(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031264
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】陽イオン含有微細気泡発生装置、及び陽イオン発生装置
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20240229BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20240229BHJP
【FI】
B01F23/23
C02F1/461 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134713
(22)【出願日】2022-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】519187104
【氏名又は名称】株式会社ナノバブル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】本田 正
(72)【発明者】
【氏名】小森 幹雄
【テーマコード(参考)】
4D061
4G035
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB16
4D061EB20
4D061EB28
4D061EB31
4D061EB37
4D061EB39
4D061FA20
4D061GA12
4D061GC12
4G035AB04
(57)【要約】
【課題】微細気泡の他に、複種類の任意の陽イオンを含有する液体を生成可能な陽イオン含有微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】陽イオン含有微細気泡発生装置の一例は、金属イオン発生装置2、微細気泡発生装置3、及び過流ポンプ4を含む。金属イオン発生装置2は、水施設1から流れる水に複種類の金属イオンを陽イオンとして発生させる。陽イオンの発生は、正電極と負電極との間に電流を流すことで行われる。微細気泡発生装置3は、金属イオン発生装置2が発生させた複種類の陽イオンが存在する水に微細気泡を発生させる。この微細気泡の発生により、微細気泡、及び複種類の陽イオンを含有した液体が生成される。過流ポンプ4は、水施設1から流出させ、水施設1に環流させるための水の流れを発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の正電極、及び一つ以上の負電極の間に、それぞれ液体を介して電流を流すために前記正電極毎に接続された複数の接続部を有する陽イオン発生装置、及び前記液体に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置を備え、
前記複数の接続部を用いて、前記複数の正電極として採用された複種類の正電極材、及び前記負電極の間にそれぞれ個別に電流を流し、前記複種類の正電極材に応じた複種類の陽イオンを含有する前記液体を生成する、
陽イオン含有微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記複数の接続部は、対応する正電極材を流れる電流量を個別に調整可能であり、
前記複数の接続部による前記複種類の正電極材にそれぞれ流れる前記電流量の調整を通して、前記液体に含有させる前記複種類の陽イオンの発生量が個別に制御可能である、
請求項1に記載の陽イオン含有微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記陽イオン発生装置は、前記複種類の正電極材のうちの2種類以上の正電極材を用いて作製された筒状の構造体と、棒状に作製され、前記構造体の内側に配置された前記負電極と、を備え、
前記液体は、前記構造体の一端から流入し、前記構造体内を旋回流となって流れ、前記構造体の他端から流出する、
請求項1、または2に記載の陽イオン含有微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記陽イオン発生装置における前記複種類の正電極材のうちの少なくとも一つは、前記負電極の径方向上、前記負電極と前記構造体との間に配置されている、
請求項3に記載の陽イオン含有微細気泡発生装置。
【請求項5】
異なる種類の正電極材がそれぞれ採用された複数の正電極と、
一つ以上の負電極と、
前記複数の正電極にそれぞれ接続され、前記複数の正電極、及び前記負電極の間に液体が存在する場合に、各正電極に流れる電流量を調整可能な複数の接続部と、
を備える陽イオン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽イオン含有微細気泡発生装置、及び陽イオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水を含む液体中に発生した微細気泡は、消滅時には数千度、数千気圧となり、内部のガス分子を強制的に分解させることができる。そのため、結果的に酸化力の強いフリーラジカルを発生させる。このフリーラジカルは、強い殺菌力を有することから、微細気泡を含む液体,例えば水は、食材の殺菌等に用いられている。
【0003】
微細気泡の消滅には、表面張力が大きく影響する。この表面張力により、液体中に存在する微細気泡は長期に安定した状態を維持できない。微細気泡は、この表面張力により、小さくなるほど早く消滅するからである。
【0004】
近年、このような微細気泡、より具体的にはマイクロバブル、或いはナノバブルの長寿命化に、イオンが寄与することが分かっている。ナノバブルは、例えば1μm未満の径の気泡のことであり、マイクロバブルは、例えば50μm未満の径の気泡のことである。安定化するナノバブルの径は、電解質の種類、及びイオン濃度により異なるが、おおよそ50~500nmである。
【0005】
イオンは、微細気泡の周囲に集まり、ナノバブルレベルの微細気泡では、静電気的な反発力を強く作用させる。この静電気的な反発力が、表面張力により縮小させる力と均衡する状態ができ、安定化する。この安定化により、貝等の生きた食材では、体内に取り込ませて、体内の菌を消滅させることができる。なお、イオンを発生させる装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0006】
このように、微細気泡が存在する液体では、その微細気泡の安定化、つまり長寿命化にイオンが有用である。イオンを液体に発生させることにより、その液体中の微細気泡を安定化させることができる。そのイオンには、微細気泡の安定化だけでなく、そのイオンの種類に応じた利点も存在する。例えば陽イオンである銅イオン、及び銀イオンのうちの一方を有する液体は、優れた抗菌作用を有する。微細気泡自体は、環境浄化、及び食料の他に、医療、及び健康などの多岐にわたる分野で活用されることが期待されている。このようなこともあり、用途、或いは使用目的等に応じて、微細気泡の他に、複種類の任意の陽イオンが含有する液体を生成できるようにすることが望まれると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、微細気泡の他に、複種類の任意の陽イオンを含有する液体を生成可能にする技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様の陽イオン含有微細気泡発生装置は、複数の正電極、及び一つ以上の負電極の間に、それぞれ液体を介して電流を流すために前記正電極毎に接続された複数の接続部を有する陽イオン発生装置、及び前記液体に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置を備え、前記複数の接続部を用いて、前記複数の正電極として採用された複種類の正電極材、及び前記負電極の間にそれぞれ個別に電流を流し、前記複種類の正電極材に応じた複種類の陽イオンを含有する前記液体を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、微細気泡の他に、複種類の任意の陽イオンが含有する液体を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置の構成例、及び適用例を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置の具体例を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置の他の具体例を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置の変形例を説明する図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置に採用された正電極、及び負電極の例を説明する図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置に採用された正電極、及び負電極の構成例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、変形例を含めあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本発明の技術的範囲には、様々な変形例も含まれる。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置の構成例、及び適用例を説明する図である。
図1に示す適用例は、水施設1での水処理に陽イオン含有微細気泡発生装置を用いた場合の例である。陽イオン含有微細気泡発生装置は、水施設1から液体として供給される水に、複種類の任意の陽イオン、及び微細気泡を発生させるために用いられている。つまり、複種類の任意の陽イオン、及び微細気泡を含有する水の生成のために用いられている。それにより、水施設1は、環境浄化、食料、医療、或いは健康などの分野で有用な液体である水を供給するものとなっている。
【0014】
水施設1は、例えば水道施設、浄水施設、或いは処理水の生成施設等である。水道施設では、例えば水を殺菌するとともに、ミネラル分を供給するために用いられる。それにより、水道水を飲用する人にとっては、血液浄化作用、抵抗力の増進、及びミネラルの供給等を通しての健康の促進といった利点が得られる。また、水道水には、より高い洗浄力、及びより強い殺菌力があるため、その面での利点もある。この利点により、浄水施設で陽イオン含有微細気泡発生装置を用いることができる。植物にとってより生育に望ましい環境を実現できるのは、その利点の一つである。これらのことから、処理水の生成を目的とした生成施設に陽イオン含有微細気泡発生装置を用いても良い。
【0015】
陽イオン含有微細気泡発生装置には、金属イオン発生装置2、微細気泡発生装置3、及び過流ポンプ4が含まれる。
金属イオン発生装置2は、本実施形態における陽イオン発生装置であり、水施設1から流れる水に複種類の金属イオンを陽イオンとして発生させることが可能である。陽イオンの発生は、正電極と負電極との間に電流を流すことで行われる。発生させる陽イオンの種類は、正電極とする正電極材の採用を通して選択するようになっている。
【0016】
微細気泡発生装置3は、金属イオン発生装置2が発生させた複種類の陽イオンが存在する水に微細気泡を発生させる。ここでの微細気泡とは、マイクロバブル、或いはナノバルブである。
微細気泡発生装置3は、特に限定するものではない。つまり、ベンチュリ管方式、加圧溶解方式、或いはオリフィス方式等が採用されたもの、超音波振動を利用したもの、及び微細孔フィルタを使用したもの等、様々な微細気泡発生装置を採用することができる。
【0017】
過流ポンプ4は、微細気泡発生装置3が発生させた微細気泡が存在する水を加圧し、水施設1に送る。それにより、過流ポンプ4は、水施設1に貯留された水を、金属イオン発生装置2、微細気泡発生装置3、及び自身の過流ポンプ4を経て水施設1に戻るように環流させる。このことから、水施設1から処理のために水施設1の外に流れた水は、以降「循環水」と表記し、水施設1内の水と区別する。
【0018】
この過流ポンプ4により、金属イオン発生装置2,及び微細気泡発生装置3は何れも、流れる循環水に対して、陽イオン、及び微細気泡を発生させるようになっている。これは、正電極で発生した陽イオンが負電極に移動して消滅するのを回避、或いは抑制するためである。このようなことから、水が流れない環境下では、過流ポンプ4は陽イオン含有微細気泡発生装置の必須の構成要素となっている。自然に流れるか、或いは他の目的により水を流すような環境下では、過流ポンプ4は必須の構成要素ではない。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置の具体例を説明する図である。金属イオン発生装置2は、上記のように、本実施形態における陽イオン発生装置である。
金属イオン発生装置2は、正電極5、負電極6、電源部20、電源部20と正電極5とを接続する複数の接続部、及び電源部20と負電極6とを接続する配線を備える。
【0020】
電源部20には、直流電源10が備えられている。この直流電源10の負端子は、アースに接続されるとともに、負接続端子16と接続されている。直流電源10の正端子と正接続端子15との間には、正端子側から、可変抵抗器11、及び電流計12が直列に接続されている。それにより、可変抵抗器11は、電源10から供給される電流量の調整用であり、電流計12は、その電流量の確認用となっている。
【0021】
負接続端子16と負電極6とは、配線によって接続されている。負電極6は、例えばステンレス(SUS)を負電極材とする板状の部材である。
正電極5は、複種類の異なる正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Na等を電気的に絶縁させつつ、板状に成形したものである。各正電極材に付した5Cu等の符号では、「5」に続くシンボルが正電極材の種類を表している。それにより、例えば「5Cu」では、正電極材が銅(Cu)か、或いは銅を含む部材であることを表している。「5Mg」「5Mn」「5Na」のそれぞれは、正電極材がマグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ナトリウム(Na)か、或いはその金属を含む部材であることを表している。
【0022】
各正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naはともに、それぞれが一つの正電極5である。このことから、それらの符号は正電極5の符号としても用いることとする。1つ以上の任意の正電極材、或いはその正電極材が用いられた正電極を指す符号としては「5X」を用いることとする。
【0023】
このような正電極材5Xが用いられた正電極5は、負電極6とともに、例えば循環水が流れる流路30内に対面するように配置される。それにより、循環水を介して各正電極材5Xと負電極6との間に電流が流れた場合、各正電極材5Xで、その正電極材5Xに応じた金属イオンが陽イオンとして発生することになる。例えば正電極材5Cuでは、電流が流れることにより、負電荷を失った銅が銅イオン(Cu2+)として循環水中に溶解することになる。このことから、正電極材5Xの選択を通して、循環水中に溶解させる陽イオンの種類を選択することができる。
【0024】
各正電極材5Xは何れも、例えば配線、可変抵抗器17、及び配線を含む接続部を介して正接続端子15と接続されている。
図2では、接続部を4つのみ示しているが、その数は特に限定されない。つまり、接続部は、接続させた正電極材5Xに電流が流れるようにするものであることから、その数は、採用する正電極材5Xの種類数、或いは数に合わせれば良い。
【0025】
各接続部に含まれる可変抵抗器17は、接続させた正電極材5Xに流れる電流量を調整可能にする。そのため、本実施形態では、可変抵抗器17の抵抗値の調整により、各陽イオンの発生量を管理(制御)できるようになっている。電流のオン/オフを可能にした場合には、発生させる陽イオンを選択することができる。このことから、電流のオン/オフが可能な可変抵抗器17を採用するか、或いは電流のオン/オフを可能にするスイッチ等を接続部に含めても良い。また、陽イオンの発生量をより高精度に管理できるように、電流計を各接続部に含めても良い。
【0026】
各正電極材5Xに含まれる銅、マグネシウム、マンガン、及びナトリウムの各陽イオンは、人体で次のような役割があることが知られている。
銅は、約10種類の酵素の活性中心に結合して、生体内で様々な働きをする。貧血予防に欠かせないミネラルであり、マクロファージなどの免疫細胞のエネルギー代謝にかかわるチトクロムCオキシダーゼという酵素の構成成分である。そのため、免疫力を高める効果、動脈硬化の予防の効果等がある。それ以外には、エネルギー生成、鉄代謝、活性酸素除去、細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生などにも関与している。
【0027】
マグネシウムは、エネルギー生産、核酸、及びタンパク質の維持、体温調節、神経の興奮、筋肉の収縮、ホルモン分泌にかかわる。触媒として代謝を促進する。
マンガンは、骨、肝臓の酵素作用を活性化するのに必要なミネラルである。幾つかの酵素の構成成分であるだけでなく、マンガンを含まない酵素でも、活性化のために必要とされることも多い。脂質、炭水化物の代謝にも重要である。
【0028】
ナトリウムは、細胞の内側と外側の体液のバランス、つまり浸透圧の調節に必要なミネラルである。筋肉の収縮、神経の伝達等にも大きく係わっている。
陽イオン含有微細気泡発生装置は、このようなミネラルを陽イオンとして摂取可能にするだけでなく、その陽イオンにより、微細気泡を安定化させ、その微細気泡の利点もより利用しやすくする。微細気泡の利点をより利用しやすくしつつ、含有させる陽イオンに応じた利点を利用可能にさせる。このことから、環境浄化、食料、医療、及び健康などの多岐にわたる分野でより幅広く活用可能であり、且つより有用な液体を提供できる。この液体、つまり水は、水田、池、或いは湖等における水質の向上、田畑における土壌改良、植物の生育環境の改善等のためにも幅広く活用することができる。
【0029】
なお、液体(循環水)に含有させる陽イオンとしては、上記のようなものに限定されない。摂取させる人、改良する土地の状態、生育環境の状態、等に応じて、含有させる陽イオンの種類、その陽イオンの量等を決定するのが望ましい。金属イオン発生装置2は、決定された陽イオンを個別に発生させられるだけでなく、その陽イオンの発生量も調整可能であることから、望ましい液体を生成するうえで有用である。
【0030】
本実施形態では、複種類の正電極材5Xを用いて一つの正電極5を作製しているが、
図3に示すように、各正電極材5Xをそれぞれ一つの正電極5Cu、5Mg、5Mn、5Naとして対面配置するようにしても良い。このようにした場合、正電極5Cu、5Mg、5Mn、5Naの有効な面積はより大きくさせることができる。また、同じ正電極材5Xを複数の正電極5とさせることもできる。このようなことから、含有させる陽イオン、各陽イオンの発生量等の調整における幅はより広くできるという利点がある。
【0031】
陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置2、微細気泡発生装置3、及び過流ポンプ4の位置関係は、
図1に示すようなものに限定されない。液体である循環水の流れを確保できるのであれば、それらの間の位置関係は様々に変形させることができる。このことから、例えば
図4に示すように、水施設1からの循環水は、微細気泡発生装置3、過流ポンプ4、及び金属イオン発生装置2を介して水施設1に環流させるようにしても良い。
【0032】
図5は、本発明の他の実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置に採用された正電極、及び負電極の例を説明する図である。
図6は、本発明の他の実施形態に係る陽イオン含有微細気泡発生装置を構成する金属イオン発生装置に採用された正電極、及び負電極の構成例を表す説明図である。
図6は、上面図により、特に正電極5の構成例を示している。
【0033】
図5に示すように、正電極5は、全体が筒状の構造体50として作製され、負電極6は、棒状に作製されている。棒状の負電極6は、構造体50の径方向上の中心か、或いはほぼ中心に、軸方向が一致するか、或いはほぼ一致するように配置されている。
【0034】
構造体50の一端である下部には、循環水を内部に流入させるための吸水口51が設けられ、構造体50の他端である上部には、内部に流入した循環水を排出するための吐出口52が設けられている。それにより、構造体50内に吸水口51から流入した循環水は、
図5中の矢印で示すように、負電極6を中心にして、構造体50の内面に沿いつつ、上方に向かって流れる螺旋流となって、吐出口52から流出することになる。そのようにして、負電極6と構造体50との間に存在する循環水が全体的に流れるようになっていることから、陽イオンの発生を効率的に行うことができる。
【0035】
構造体50は、
図6に示すように、電気的に絶縁させた4種類の正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naにより、筒状に形成されている。4種類の正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naは何れも1対となっており、構造体50の軸を中心に、点対称の位置に配置されている。1対の正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naは何れも、接続部を介して正接続端子15に接続されている。
図6では便宜的に、一方の正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naのみ、接続部を介して正接続端子15と接続させている。
【0036】
このような構造体50とした場合、各正電極材5Cu、5Mg、5Mn、5Naと負電極6との間の距離は、全て狭い範囲内で一致させることができる。そのため、各陽イオンの発生量をより容易に制御できるようになる。
【0037】
なお、本他の実施形態では、構造体50を構成する正電極材5Xの種類を4種類としているが、種類数は特に限定されない。また、他と比較して、発生量を大きくさせるべき陽イオンがある場合、その陽イオンを発生させるための正電極材5Xを、構造体50の径方向上、構造体50と負電極6との間に配置させるようにしても良い。負電極6との距離が近くなるほど、流れる電流量は大きくなることから、より多くの陽イオンを発生させることができる。
図6中に破線で示す正電極材5Caは、その正電極材5Xの例であるとともに、その配置例を表している。
【符号の説明】
【0038】
1・・・水施設
2・・・金属イオン発生装置
3・・・微細気泡発生装置
4・・・過流ポンプ
5・・・正電極
5Cu、5Mg、5Mn、5Na、5Ca・・正電極材
6・・・負電極
10・・直流電源
11、17・・可変抵抗器
12・・電流計
15・・正接続端子
16・・負接続端子
50・・構造体
51・・吸水口
52・・吐出口