(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031266
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134719
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】鷲 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(72)【発明者】
【氏名】山本 英恵
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC02
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD07
5H181FF10
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181MB07
(57)【要約】
【課題】より適切に警告表示を行うことができる運転支援装置、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供する。
【解決手段】運転支援装置Dは、自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する複数の情報取得部10と、複数の情報取得部10により取得された他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する危険度判定部30と、危険度判定部30により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御部40とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定手段と、
前記判定手段により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記判定手段により判定された危険度が所定レベル以上である場合に、外部に通報を行う通報手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記他車両の情報に基づき予め定められたあおり行為が行われているかを判断し、あおり行為が行われている場合、当該あおり行為の継続時間が長くなるほど危険度を高く判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記判定手段は、あおり行為の継続時間が所定時間に達した場合に、危険度のレベルを高めるものであって、あおり行為が複数行われていることを判断した場合、あおり行為の継続時間が前記所定時間に達していなくとも危険度のレベルを高める
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記判定手段は、自車両の速度が高くなるほど、危険度を高く判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の運転支援装置と、
前記運転支援装置が有する前記表示制御手段からの制御内容に応じた表示を行う表示手段と、
を備えることを特徴とする運転支援システム。
【請求項7】
自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定工程と、
前記判定工程により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御工程と、
を備えることを特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定工程と、
前記判定工程により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御工程と、
をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他車両が自車両に対してあおり運転を行っているかを判断し、あおり運転を行っている場合には外部に通報を行う通報装置が提案されている(特許文献1参照)。この通報装置によれば、あおり運転を受けている旨を警察署等に通報してあおり運転の被害の軽減につなげることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、あおり運転のような迷惑行為については相手側に迷惑であることを伝えることも肝要である。そこで、本件発明者らは、表示装置を利用してあおり運転について止めるよう他車両の運転者に向けて表示することを検討している。しかし、他車両の運転者に対して表示が適切に行われない場合には、却ってトラブルを招き得る。例えば、他車両が偶然車間距離を詰めてしまった場合等、あおり運転でない可能性がある場合に他車両の運転者に対してあおり運転を止める旨等の警告表示を行ってしまうと、他車両の運転者を却って怒らせることになり兼ねず、トラブルを招く可能性がある。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より適切に警告表示を行うことができる運転支援装置、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る運転支援装置は、自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定手段と、前記判定手段により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御手段と、を備える。
【0007】
本開示に係る運転支援システムは、上記に記載の運転支援装置と、前記運転支援装置が有する前記表示制御手段からの制御内容に応じた表示を行う表示手段と、を備える。
【0008】
本開示に係る運転支援方法は、自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定工程と、前記判定工程により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御工程と、を備える。
【0009】
本開示に係る運転支援プログラムは、自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得された前記他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定する判定工程と、前記判定工程により判定された危険度に応じて他車両に向けて行う表示を変化させる表示制御工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、より適切に警告表示を行うことができる運転支援装置、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る運転支援システムを示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1に示した表示部の一例を示す車両背面図である。
【
図3】自車両の速度と第1及び第2所定時間との相関を示す相関データの一例を示す概念図である。
【
図4】本実施形態に係る運転支援方法を示す第1のフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る運転支援方法を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る運転支援システムを示す機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る運転支援システム1は、運転支援装置Dと、表示部(表示手段)60とを備えている。
【0014】
表示部60は、運転支援装置Dからの制御内容に応じた表示を行うものである。
図2は、
図1に示した表示部60の一例を示す車両背面図である。本実施形態に係る表示部60は、自車両の乗員向けではなく、他車両の運転者等に向けて表示を行うものであって、例えば
図2に示すように車両の背面位置(例えばナンバープレートの上側)に設けられ、車両後方に表示を行うものである。なお、表示部60は、車両後方に表示を行うものに限らず、車両前方や側方に向けて表示を行うものであってもよい。
【0015】
図1に示す運転支援装置Dは、表示部60に表示する表示内容を制御するものであって、複数の情報取得部(取得手段)10と、車速センサ20と、危険度判定部(判定手段)30と、表示制御部(表示制御手段)40と、通報部(通報手段)50とを備えている。なお、上記の構成のうち危険度判定部30、表示制御部40、及び通報部50は、1又は複数の演算部(CPU等)において格納されている運転支援プログラムが実行されることで、機能するものである。
【0016】
複数の情報取得部10は、それぞれが自車両の周囲に位置する他車両の情報を取得するものであって、カメラ(取得手段)11と、距離センサ(取得手段)12と、レーダー(取得手段)13と、マイク(取得手段)14とを備えている。
【0017】
カメラ11は、自車両の周囲を撮影する撮影部である。本実施形態においてカメラ11は、例えば自車両の後方、側方及び前方等を撮影可能に設けられている。カメラ11は、撮影により得られた映像データを危険度判定部30に送信する。
【0018】
距離センサ12は、赤外線や超音波を利用して、自車両周辺の障害物までの距離を検出するものである。この距離センサ12は、赤外線や超音波の出射部(不図示)と、出射部から出射され障害物で反射して戻ってくる赤外線等を受信する受信部(不図示)とを備えており、赤外線等の出射から受信までの時間を利用して障害物までの距離を検出する。距離センサ12は、例えば自車両の後方、側方及び前方等の障害物までの距離を検出可能に設けられており、検出した障害物までの距離情報を危険度判定部30に送信する。
【0019】
レーダー13は、ミリ波等の電波を利用して、自車両周辺の障害物までの距離を検出するものである。このレーダー13は、電波の出射部(不図示)と、出射部から出射され障害物で反射して戻ってくる電波を受信する受信部(不図示)とを備えており、電波の出射から受信までの時間を利用して障害物までの距離を検出する。レーダー13は、例えば自車両の後方、側方及び前方等の障害物までの距離を検出可能に設けられており、検出した障害物までの距離情報を危険度判定部30に送信する。
【0020】
マイク14は、自車両の周辺の音を電気信号に変換する音響機器であって、他車両からのクラクションを検知する目的で設けられている。マイク14は、変換した電気信号を危険度判定部30に送信する。
【0021】
車速センサ20は、例えば自車両の車輪の回転数を検知可能に設けられており、自車両の車輪の回転に応じて発生するパルスに基づいて、自車両の速度を検出するためのものである。車速センサ20は、上記パルスや自車両の速度情報を危険度判定部30に送信する。
【0022】
危険度判定部30は、複数の情報取得部10によって取得された他車両の情報に基づいて、他車両の運転による自車両への危険度を判定するものである。ここで、危険度判定部30は、予め定められたあおり行為があるか否かを判断可能に構成されている。
【0023】
予め定められたあおり行為は、例えば後方からの他車両の急接近、側方からの幅寄せ、前方又は後方における蛇行運転、ハイビーム照射、複数回にわたるパッシング、急ブレーキ、複数回にわたるクラクション吹鳴、及び、無理な割り込み(例えばTTC(Time-To-Collision)内の割り込み)等が挙げられる。
【0024】
危険度判定部30は、複数の情報取得部10からの情報に基づいて、これらのあおり行為があったかを判断する。詳細に説明すると、危険度判定部30は、カメラ11からの撮影データ、又は距離センサ12若しくはレーダー13からの距離情報に基づいて、後方からの他車両の急接近、側方からの幅寄せ、急ブレーキ、及び、無理な割り込みがあったかを判断する。また、危険度判定部30は、カメラ11からの撮影データに基づいて、前方又は後方における蛇行運転、ハイビーム照射、及び複数回にわたるパッシングがあったかを判断する。さらに、危険度判定部30は、マイク14からの電気信号に基づいて、複数回にわたるクラクション吹鳴があったかを判断する。
【0025】
危険度判定部30は、上記のような予め定められたあおり行為が行われていると判断した場合に、当該あおり行為の継続時間に基づいて危険度を判定する。例えば危険度判定部30は、あおり行為が第1所定時間継続するまでは危険度「低」と判定し、あおり行為が第1所定時間継続した場合に危険度「中」と判定し、あおり行為が第2所定時間(>第1所定時間)継続した場合に危険度「高」と判定する。このように、危険度判定部30は、あおり行為の継続時間が長くなるほど危険度を高く判定する。これにより、あおり行為を長時間にわたって続けられてしまうという自車両の運転者の心理的負担を考慮した危険度を判定することができる。
【0026】
特に、本実施形態においては、あおり行為が第1所定時間継続するまでは危険度のレベルを「低」と低く判定している。このため、他車両の運転者が一時的にあおり行為と同等の行為を行ってしまったとしても、危険度のレベルが高く判定されないこととなる。
【0027】
さらに、危険度判定部30は、あおり行為の継続時間が第1所定時間に達した場合に危険度のレベルを「低」から「中」に高めるところ、あおり行為が複数行われていると判断した場合には継続時間が第1所定時間に達していなくとも危険度のレベルを「中」に高める。このため、あおり行為が複数検出されて、他車両の運転者が偶然あおり行為と同等の行為を行ってしまった可能性が低いときには危険度のレベルを迅速に高めることとなる。
【0028】
さらに、危険度判定部30は、自車両の速度が高くなるほど、危険度を高く判定する。このような判定を行うため、危険度判定部30は、自車両の速度と、危険度を判定するための第1及び第2所定時間との相関を示す相関データを記憶している。
【0029】
図3は、自車両の速度と第1及び第2所定時間との相関を示す相関データの一例を示す概念図である。
図3に示すように、危険度判定部30は、例えば自車両の速度が10km/h超60km/h以下である場合に、第1所定時間を6秒とし、第2所定時間を30秒と記憶している。これに対して、危険度判定部30は、自車両の速度が60km/hを超えて高くなると、第1所定時間を3秒とし、第2所定時間を15秒と記憶している。
【0030】
すなわち、危険度判定部30は、自車両の速度が高くなるほど第1及び第2所定時間が短くなるデータを記憶しており、短い継続時間で危険度のレベルを高く判定することとなる。
【0031】
なお、危険度判定部30は、自車両の速度が10km/h以下(所定速度以下)である場合の第1及び第2所定時間を記憶していない。これは、自車両の速度が10km/h以下(所定速度以下)であるときに、危険度判定部30が危険度の判定を行わないためである。すなわち、信号待ち等において、車両後方からの急接近であると誤った判断をしないようにするためである。
【0032】
さらに、危険度判定部30は、危険度のレベルが「高」であるときに、自車両の速度が10km/h以下まで低下したときには、他車両からの幅寄せ等の行為によって自車両が停車させられてしまったと判断して、危険度のレベルを「高」よりも高い「最大」等と判定してもよい。
【0033】
再度
図1を参照する。表示制御部40は、表示部60に表示する表示内容を制御するものである。本実施形態において表示制御部40は、危険度判定部30により判定された危険度に応じて、他車両に向けて行う表示を変化させる。一例を挙げると、表示制御部40は、危険度「低」であるときに表示部60への表示を行わず、危険度「中」であるときに例えば「車両が接近状態となっています。」等の警告表示を行い、危険度「高」であるときに例えば「車間距離が近過ぎます。通報及び撮影を開始します。」等の警告表示を行う。
【0034】
これにより、表示制御部40は、危険度「中」であるときに他車両の運転者を刺激しない程度の表示とし、危険度「高」であるときに他車両の運転者に直ちに運転を改めるよう警告することができる。
【0035】
なお、上記において表示部60の表示内容は文字によるものであるが、特にこれに限らず、ピクトグラム、表情を模した絵表示、信号灯、及び、記号等であってもよい。
【0036】
通報部50は、警察署、オペレーターセンター、所属会社、及び家族等の外部に対して通報を行うものである。本実施形態において通報部50は、危険度が所定レベル(例えば「高」)以上であるとき通報を行う。これにより、危険度が高いときに警察官に駆け付けてもらう等ができ、危険な状態の解消につなげることができる。
【0037】
次に、本実施形態に係る運転支援方法を説明する。
図4及び
図5は、本実施形態に係る運転支援方法を示すフローチャートである。
【0038】
まず、
図4に示すように、危険度判定部30は、周囲に他車両が存在するかを判断する(S1)。この処理において危険度判定部30は例えばカメラ11からの映像データに基づいて他車両が存在するかを判断する。周囲に他車両が存在しない場合(S1:NO)、周囲に他車両が存在すると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0039】
周囲に他車両が存在する場合(S1:YES)、危険度判定部30は、複数の情報取得部10からの情報に基づいて、予め定められたあおり行為が1つ以上検出されたかを判断する(S2)。
【0040】
あおり行為が1つも検出されない場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、あおり行為が1つ以上検出された場合(S2:YES)、危険度判定部30は、車速センサ20からの信号に基づいて自車速を検出する(S3)。
【0041】
次に、危険度判定部30は、ステップS3において検出した自車速が所定速度(例えば10km/h)以上であるかを判断する(S4)。自車速が所定速度以上でない場合(S4:NO)、危険度判定部30は、危険度の判定を行うことなく、処理はステップS1に移行する。
【0042】
車速が所定速度以上である場合(S4:YES)、危険度判定部30は、自車速に応じた第1及び第2所定時間を読み込む(S5)。例えば危険度判定部30は、自車速が10km/h超60km/h以下であるときに、第1及び第2所定時間を6秒及び30秒と読み込む。同様に危険度判定部30は、自車速が60km/h超であるときに、第1及び第2所定時間を例えば3秒及び15秒と読み込む。
【0043】
次に、危険度判定部30は、1つのあおり行為が第1所定時間継続、及び、2つ以上のあおり行為のいずれか一方が検出されたかを判断する(
図5:S6)。双方が検出されない場合(S6:NO)、危険度判定部30は、危険度のレベルを「低」と判定する(S7)。その後、表示部60への表示や通報部50を通じた通報を行うことなく、
図4及び
図5に示した処理は終了する。
【0044】
一方、1つのあおり行為が第1所定時間継続、及び、2つ以上のあおり行為のいずれか一方が検出された場合(S6:YES)、危険度判定部30は、危険度のレベルを「中」と判定する(S8)。その後、表示制御部40は、表示部60へ警告表示を行う(S9)。例えば、危険度「中」の警告表示としては、他車両の危険運転となる運転状態(例えば幅寄せ状態や後方近接状態等)を表示する。ここで、行われる警告表示は、後述するステップS12の警告表示と比較して、他車両の運転者を比較的刺激し難い表現のものとされる。
【0045】
その後、危険度判定部30は、1つのあおり行為が第2所定時間継続したかを判断する(S10)。危険度判定部30は、ステップS6において2つ以上のあおり行為が検出されている場合、最初に検出されたあおり行為が第2所定時間継続したかを判断する。
【0046】
あおり行為が第2所定時間継続していない場合(S10:NO)、
図4及び
図5に示した処理は終了する。あおり行為が第2所定時間継続した場合(S10:YES)、危険度判定部30は、危険度のレベルを「高」と判定し(S11)、表示制御部40は、表示部60へ警告表示を行う(S12)。ここで、行われる表示は、他車両の運転者に対して、現在の運転を改めるよう促すものであり、ステップS9の表示と比較して他車両の運転者に強めの表現で行われるものである。その後、通報部50は、外部に通報を行い(S13)、
図4及び
図5に示した処理は終了する。
【0047】
このようにして、本実施形態に係る運転支援装置D、運転支援システム1、運転支援方法及び運転支援プログラムによれば、危険度に応じて表示を変えるため、例えば危険度が低い場合には他車両の運転者を刺激しない程度の表示とし、危険度が高い場合には直ちに運転を改めるよう警告することができる。従って、より適切に警告表示を行うことができる。
【0048】
また、危険度のレベルが「高」である場合に通報を行うため、危険度が或る程度高い場合に警察署に通報して警察官に駆けつけてもらうことや、オペレーターセンターに通報して適切な対応を行ってもらうこと等が可能となり、危険な状態の解消につなげることができる。
【0049】
また、あおり行為の継続時間が長くなるほど危険度を高く判定するため、あおり行為を長時間にわたって続けられてしまうという自車両の運転者の心理的負担を考慮した危険度を判定することができる。
【0050】
また、あおり行為の継続時間が第1所定時間に達した場合に、危険度のレベルを「低」から「中」に高めるものであるため、他車両の運転者が一時的にあおり行為と同等の行為を行ってしまったとしても、危険度のレベルが高く判定されないこととなる。さらに、あおり行為が複数行われていることを判断した場合、あおり行為の継続時間が第1所定時間に達していなくとも危険度のレベルを「低」から「中」に高める。このため、あおり行為が複数検出されて偶然あおり行為と同等の行為を行ってしまった可能性が低いときには危険度のレベルを迅速に高めることとなる。従って、より適切な危険度判定を行うことができる。
【0051】
また、自車両の速度が高くなるほど危険度を高く判定するため、あおり行為によって自車両の運転者が運転ミスをした場合に重大な結果となり易い場合に危険度を高く判定することとなる。従って、より適切な危険度判定を行うことができる。
【0052】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0053】
例えば、本実施形態において表示部60は、車両に取り付けられた表示ディスプレイに限らず、プロジェクタ等の光学投射装置によって路面等に表示を行うものであってもよい。
【0054】
また、本実施形態において表示制御部40は、自車両に搭載される表示部60を表示制御対象としている。しかし、これに限らず、表示制御部40は、通信等によって他車両に搭載される表示装置の表示制御を行うものであってもよいし、他車両の運転者等が所有する通信端末等の表示制御を行うものであってもよい。
【0055】
さらに、上記実施形態ではあおり行為の継続時間によって危険度を判定しているが、これに限らず、あおり行為の度合いによって危険度を判定してもよい。例えば、危険度判定部30は、あおり行為が後方からの急接近である場合、接近度合いに応じて危険度を判定してもよい。同様に、危険度判定部30は、あおり行為がパッシングやクラクション吹鳴である場合、パッシング回数やクラクションの吹鳴回数に応じて危険度を判定してもよい。
【0056】
加えて、危険度判定部30は、ニューラルネットワークやAI(Artificial Intelligence)を利用したあおり行為の判断や危険度判定を行ってもよい。
【0057】
また、本実施形態に係る運転支援システム1等において、自車両については運転者自身が運転行為を行うことを想定して説明したが、特にこれに限らず、自動運転を行う車両に適用されてもよい。また、上記実施形態において危険度は「低」「中」「高」の3段階のレベル(又は「最大」を含む4段階のレベル)で判定されたが、特に3段階(又は4段階)に限らず、2段階又は4段階(若しくは5段階)以上のレベルで判定されてもよいし、危険度が数値で判定されてもよい。
【0058】
さらに、
図4に示したフローチャートにおいて、自車両の速度に応じた第1及び第2所定時間を読み込んでいるが、これに代えて、他車両(特にあおり行為を行う他車両)の速度に応じた第1及び第2所定時間を読み込むようにされていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 :運転支援システム
10 :情報取得部(取得手段)
11 :カメラ(取得手段)
12 :距離センサ(取得手段)
13 :レーダー(取得手段)
14 :マイク(取得手段)
20 :車速センサ
30 :危険度判定部(判定手段)
40 :表示制御部(表示制御手段)
50 :通報部(通報手段)
60 :表示部(表示手段)
D :運転支援装置