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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031273
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】移動体及び車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/04 20130101AFI20240229BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20240229BHJP
   B62K 5/025 20130101ALI20240229BHJP
   B62K 5/003 20130101ALI20240229BHJP
【FI】
A61G5/04 703
A61G5/04 710
A61G5/12 704
B62K5/025
B62K5/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134728
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】大畑 智則
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健一
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AA01
3D011AA07
3D011AD11
3D011AD18
(57)【要約】
【課題】運転者の意図に応じて誤操作なく確実に操作が可能な移動体を提供する。
【解決手段】駆動輪4,4及び従動輪3,3を備える移動体1であり、座席5と、座席5の幅方向両側に設けられ、走行方向に沿って進退操作可能な左右のアームレスト10L,10Rと、アームレスト10L,10Rの操作量を取得する操作状態取得部20,20と、走行を制御する制御部40と、駆動輪4,4を駆動する駆動部30,30とを備える。制御部40は、操作状態取得部20で取得した左側アームレスト10Lの操作量、及び右側アームレスト10Rの操作量に基づいて、駆動部30,30を駆動制御する。アームレスト10は、ベース部11、進退操作可能なカバー部12、及びカバー部12を前後に付勢する付勢部23,23を有し、カバー部12における前進又は後進の操作は、付勢部23,23の付勢力に抗して行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の駆動輪及び少なくとも1つの従動輪を備える移動体であり、
着座可能な座席と、
前記座席の幅方向両側に設けられ、前記移動体の走行方向に沿って進退操作可能な左右一対のアームレストと、
一対の前記アームレストの操作量を取得する操作状態取得部と、
前記移動体の走行を制御する制御部と、
一対の前記駆動輪をそれぞれ独立して駆動する駆動部と、
を備え、
前記制御部は、前記操作状態取得部で取得した一方側の前記アームレストの操作量、及び他方側の前記アームレストの操作量に基づいて、前記駆動部を駆動制御すること、を特徴とする移動体。
【請求項2】
一対の前記アームレストは、
前記座席の幅方向両側に、それぞれ支持された一対のベース部と、
一対の前記ベース部のそれぞれに対して、前記移動体の走行方向に沿って進退操作可能な一対のカバー部と、
一対の前記カバー部をそれぞれ前記移動体の前方側及び後方側に向けて付勢する一対の付勢部と、
を有しており、
一対の前記カバー部は、それぞれの前記ベース部に対して相対的な位置が所定の関係となるように前記付勢部を介して移動可能に支持されており、
一対の前記カバー部は、前進又は後進の操作が、前記付勢部の付勢力に抗して行われるものであること、を特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記操作状態取得部が、前方圧力センサ及び後方圧力センサを有しており、
前記前方圧力センサは、前記カバー部の後退に伴って、加圧されるものであり、
前記後方圧力センサは、前記カバー部の前進に伴って、加圧されるものであり、
前記制御部は、前記前方圧力センサで検知された圧力に応じて、前記駆動部の後退駆動量を制御するものであり、前記後方圧力センサで検知された圧力に応じて前記駆動部の前進駆動量を制御するものであること、を特徴とする請求項2に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体及び車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車椅子やシニアカー等(単に、電動車椅子等とも称する)が利用されている。これらの電動車椅子等における操舵手段として、ジョイスティックやトラックボールが用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1に記載の電動車椅子は、一方のアームレストの前端付近にジョイスティック又はトラックボールが設けられており、運転者(利用者)によるジョイスティック又はトラックボールの操作方向に応じて駆動されるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-194192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電動車椅子は、突起部が運転者の服に引っ掛かり、誤操作される懸念があった。また、上記特許文献1に記載の電動車椅子は、利き腕ではない側に操作部(ジョイスティックやトラックボール)がある場合、安定した操作が困難となる懸念があった。また、操作中は、アームをしっかりと掴むことができないため、運転者が安心して操作することができない場合があった。また、上記特許文献1に記載の電動車椅子は、高齢者等が乗車する場合、ジョイスティックやトラックボールによる操作を直感的に行うことが困難であり、運転者の意図した操作が困難となる懸念があった。また、乗車時に誤って、操作部に触れることにより、誤発進する懸念もあった。
【0006】
そこで、本発明は、運転者の意図に応じて確実な操作が可能な移動体及び車椅子を提供することを目的とする。また、本発明は、誤操作を抑制可能な移動体及び車椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の移動体は、少なくとも一対の駆動輪及び少なくとも1つの従動輪を備える移動体であり、着座可能な座席と、前記座席の幅方向両側に設けられ、前記移動体の走行方向に沿って進退操作可能な左右一対のアームレストと、一対の前記アームレストの操作量を取得する操作状態取得部と、前記移動体の走行を制御する制御部と、一対の前記駆動輪をそれぞれ独立して駆動する駆動部と、を備え、前記制御部は、前記操作状態取得部で取得した一方側の前記アームレストの操作量、及び他方側の前記アームレストの操作量に基づいて、前記駆動部を駆動制御すること、を特徴とするものである。
【0008】
上述した移動体は、一対のアームレストの操作量を操作状態取得部で取得し、取得したそれぞれのアームレストの操作量に基づいて、一対の駆動輪(駆動部)が駆動制御される。従って、運転者は、利き腕を意識することなく、移動体の意図した操作を行うことができる。これにより、運転者は、誤操作なく安定、かつ安心して移動体を操作できる。また、上述した移動体は、一対のアームレストを有するので、運転者がアームレストを掴んで安心して乗車できる。
【0009】
(2)上述した本発明の移動体において、一対の前記アームレストは、前記座席の幅方向両側に、それぞれ支持された一対のベース部と、一対の前記ベース部のそれぞれに対して、前記移動体の走行方向に沿って進退操作可能な一対のカバー部と、一対の前記カバー部をそれぞれ前記移動体の前方側及び後方側に向けて付勢する一対の付勢部と、を有しており、一対の前記カバー部は、それぞれの前記ベース部に対して相対的な位置が所定の関係となるように前記付勢部を介して移動可能に支持されており、一対の前記カバー部は、前進又は後進の操作が、前記付勢部の付勢力に抗して行われるものであること、を特徴とするとよい。
【0010】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、一対のカバー部における前進又は後進の操作が、付勢部の付勢力に抗して行われるものとされている。従って、一対のカバー部は、それぞれ適度な節度感をもって操作することができる。また、上述した移動体は、カバー部の非操作時に、カバー部を例えば、中立の位置に復帰させることができる。これにより、上述した移動体は、運転者の負担を軽減でき、運転者が安定、かつ安心して操作できる。
【0011】
(3)上述した本発明の移動体は、前記操作状態取得部が、前方圧力センサ及び後方圧力センサを有しており、前記前方圧力センサは、前記カバー部の後退に伴って、加圧されるものであり、前記後方圧力センサは、前記カバー部の前進に伴って、加圧されるものであり、前記制御部は、前記前方圧力センサで検知された圧力に応じて、前記駆動部の後退駆動量を制御するものであり、前記後方圧力センサで検知された圧力に応じて前記駆動部の前進駆動量を制御するものであること、を特徴とするとよい。
【0012】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、運転者の意図した方向に進退操作することができる。そのため、上述した移動体は、運転者による誤操作を抑制できる。これにより、上述した移動体は、運転者が安定、かつ安心して操作できる。
【0013】
(4)上述した本発明の移動体は、前記付勢部が、前方付勢部材及び後方付勢部材を有しており、前記前方圧力センサは、前記カバー部の後退に伴って、前記前方付勢部材により加圧されるものであり、前記後方圧力センサは、前記カバー部の前進に伴って、前記後方付勢部材により加圧されるものであること、を特徴とするとよい。
【0014】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、運転者の意図した進退操作を、適度な節度感をもって行うことができる。これにより、上述した移動体は、運転者による誤操作をより一層確実に抑制できる。そのため、上述した移動体は、運転者がより一層安定、かつ安心して操作できる。
【0015】
(5)上述した本発明の移動体は、一対の前記前方圧力センサ及び一対の前記後方圧力センサのそれぞれで検出された圧力の分布に基づいて、一対の前記駆動輪のそれぞれを駆動制御すること、を特徴とするとよい。
【0016】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、移動体の駆動制御を簡素化できる。これにより、上述した移動体は、設計に要するコストや移動体を構成する部材のコスト等の低減が期待できる。
【0017】
(6)上述した本発明の移動体は、前記移動体が、フットレストを有しており、前記フットレストは、前記移動体を停止状態とする停止モード、及び前記移動体を走行可能な状態とする走行モードを切り替える走行モード切替スイッチと、所定の圧力を検知するフットレスト圧力センサと、を有しており、前記フットレストは、前記フットレスト圧力センサが、所定の圧力を検知することを条件として、前記走行モード切替スイッチを前記停止モードから前記走行モードに切り替えること、を特徴とするとよい。
【0018】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、運転者が例えば、フットレストに足を掛けた場合に走行モード切替スイッチを、停止モード(移動体の停止状態)から走行モード(移動体の走行可能状態)に切り替えることができる。従って、例えば、運転者が移動体に乗車する際に、誤ってアームレストを操作した場合であっても、移動体を停止状態に保つことができる。これにより、運転者が安心して移動体に乗降できる。
【0019】
(7)上述した移動体は、一対の前記アームレストが、それぞれ上方圧力センサを有しており、一対の前記上方圧力センサの双方が所定の圧力を検知することを条件として、前記操作状態取得部による前記操作量の取得が許容されること、を特徴とするとよい。
【0020】
上述した移動体は、かかる構成とすることにより、運転者が乗車の際にアームレストを掴んだ場合であっても、移動体の発進を抑制できる。そのため、上述した移動体は、運転者が安定、かつ安心して乗車できる。
【0021】
(8)上述した移動体は、前記操作状態取得部で取得される前記操作量に応じて、一対の前記駆動部に対して出力される出力値を予め複数の領域に区画分けした出力値テーブルを有しており、複数の前記領域は、前記駆動部における一対の前記駆動輪の駆動量と対応して区画分けされており、前記制御部は、取得された前記操作量に応じて出力される出力値、及び前記出力値テーブルを比較することにより、前記出力値に対応する前記領域における一対の前記駆動輪の駆動量に基づいて前記駆動部の駆動制御を行うこと、を特徴とするとよい。
【0022】
上述した移動体は、操作状態取得部で取得される前記操作量に応じて、一対の駆動部に対して出力される出力値を予め複数の領域に区画分けした出力値テーブルを有している。また、上述した移動体は、一対のアームレストの操作量に応じて出力される出力値を予め用意された出力値テーブルと比較することにより、一対の駆動輪の駆動量を決定するものとされている。従って、上述した移動体は、出力値テーブルに応じた簡素な駆動制御を行うことができる。これにより、上述した移動体は、設計に要するコストや移動体を構成する部材のコスト等のより一層の低減が期待できる。
【0023】
(9)上述した課題を解決すべく提供される本発明の車椅子は、前記移動体が、車椅子として構成されていること、を特徴とするものである。
【0024】
上述した車椅子は、上述した移動体の構成を有するので、運転者の意図した操作が可能である。また、上述した車椅子は、運転者が安定、かつ安心して操作できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、運転者の意図に応じて確実な操作が可能な移動体及び車椅子を提供することができる。また、本発明は、誤操作を抑制可能な移動体及び車椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る車椅子の外観斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車椅子の制御系統のブロック図である。
図3】(a)は、本発明に係る車椅子を構成するアームレストの分解斜視図及び組立斜視図であり、(b)は、(a)のA-A方向断面矢視図である。
図4】(a)は、本発明の車椅子を構成する右側アームレストのシステム構成図であり、(b)は、本発明に係る車椅子を構成する左側アームレストのシステム構成図である。
図5】本発明に係る車椅子を構成する操作状態取得部の説明図である。
図6】本発明に係る車椅子に適用される出力値テーブルの説明図である。
図7】(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る車椅子の動作説明図である。
図8】(d)~(e)は、本発明の一実施形態に係る車椅子の動作説明図である。
図9】本発明の一実施形態に係る車椅子の動作フロー図である。
図10図9に続く車椅子の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る移動体1の一実施形態について、図1図10を参照しながら以下に詳細を説明する。本実施形態では、移動体1が電動車椅子1(車椅子1とも称する)に適用されている場合を例示している。また、以下の説明において、前方側は、電動車椅子1の進行方向前側を表し、後方側は、電動車椅子1の進行方向後側を表すものとして説明する。また、各部品について特に左右を区別する必要がない場合は、L,Rを省略して説明することがある。
【0028】
図1に示すように、電動車椅子1は、本体フレーム2、前輪としての一対の従動輪3,3、後輪としての一対の駆動輪4,4、座席5、及び左右一対のアームレスト10L,10Rを備えている。また、電動車椅子1は、図2に示すように、前記の他、一対の操作状態取得部20L,20R、一対のモータ30L,30R(駆動部30L,30Rとも称する)、コントローラ40(制御部40)、及びフットレスト50等を備えている。
【0029】
図1に示すように、本体フレーム2は、車台2Aと、車台2Aに立設された座席枠2B等を備えている。車台2Aは、水平な板状部材で構成されており、前方側の車幅方向両側に従動輪3,3が回転可能に支持されている。また、車台2Aの後方側における幅方向両側に駆動輪4,4が回転可能に支持されている。
【0030】
座席枠2Bの上端側には、運転者が着座可能な座席5が設けられている。座席5は、後端側に背もたれ5Aが形成されている。背もたれ5Aの幅方向両側には、前方に向けて突出するブラケット5B,5Bが支持されている。ブラケット5B,5Bには、後述するアームレスト10L,10Rのベース部11,11が上下回転可能に支持されている。
【0031】
従動輪3,3(前輪3,3とも称する)は、ゴムや樹脂等を素材として形成されている。前輪3,3は、自由回転可能に前輪軸(図示せず)に支持され、従動輪として機能するものとされている。本実施形態では、前輪3,3が全方向車輪として形成されている。なお、従動輪3,3は、全方向車輪に代え左右に首振り可能なキャスターとしてもよい。
【0032】
駆動輪4,4(後輪4,4とも称する)は、ゴムや樹脂等を素材として形成されている。後輪4,4には、モータ30L,30R(図2参照)が接続されている。従って、後輪4,4は、モータ30L,30Rをそれぞれ駆動することにより、それぞれ独立して正逆回転駆動することが可能である。
【0033】
モータ30L,30Rは、後輪4,4の回転軸(図示せず)を回転駆動することにより、後輪4,4を回転駆動することができる。また、モータ30L,30Rには、図2に示すように、モータドライバ31,31が接続されている。モータドライバ31,31は、後述する制御部40の制御指令に従って後輪4,4をそれぞれ独立して回転駆動制御することができる。
【0034】
図1に示すように、アームレスト10L,10Rは、座席5の幅方向両側に設けられており、電動車椅子1の走行方向(前後方向)に沿って進退操作が可能である。アームレスト10L,10Rは、左右対称に同様の構成のものが設けられているため、以下では、一方側の右側アームレスト10R(単にアームレスト10Rとも称する)について説明し、他方側の左側アームレスト10L(単にアームレスト10Lとも称する)の説明は省略する。図3(a)は、アームレスト10Rの分解斜視図及び組立斜視図である。アームレスト10Rは、ベース部11、カバー部12、及び操作状態取得部20R等を有している。
【0035】
ベース部11,11は、図1に示すように、座席5の幅方向両側に設けられており、背もたれ5A,5Aに設けられたブラケット5B,5Bに上下回転可能に支持されている。具体的には、ベース部11は、水平状態と、上方側に向けた揺動とが可能なように、ブラケット5Bに揺動可能に支持されている。従って、ベース部11は、運転者の乗降時に緩衝しないように上方側に向けて揺動させることができる。
【0036】
ベース部11は、略矩形の支柱として前後方向に延びるように形成されている。図3(a)に示すように、ベース部11は、両側面に前後方向に沿ったスライド溝11A,11A(一方側は図示省略)が形成されている。また、ベース部11は、前方寄りに矩形状の開口部11Bが開口形成されている。
【0037】
開口部11Bは、内壁の前後方向両側に一対の係止穴11C,11C(図3(b)参照)が形成されている。係止穴11C,11Cは、後述するコイルバネ23f,コイルバネ23rの一端を係止するものとされている。
【0038】
カバー部12は、ベース部11の前後方向の長さに対して半分程度の長さに形成されており、ベース部11の前半分程度を覆うものとされている。カバー部12は、矩形の箱状に形成され、底部と後端部分が開放形成されている。カバー部12は、両側面に内側方向に突出する係合部(図示せず)が形成されており、両係合部が、スライド溝11A,11Aと摺動可能に係合している。従って、カバー部12は、スライド溝11A,11Aに沿って進退操作が可能である。すなわち、カバー部12は、ベース部11に対して、電動車椅子1の走行方向(前後方向)に沿って進退操作が可能である。また、カバー部12は、後述する収容ケース21と接続されている。
【0039】
図3及び図4に示すように、操作状態取得部20Rは、収容ケース21、前方圧力センサ22f、後方圧力センサ22r、上方圧力センサ22U、及び前後一対のコイルバネ23f(前方付勢部材23f,付勢部23fとも称する),コイルバネ23r(後方付勢部材23r,付勢部23rとも称する)等を有している。詳細は後述するが、操作状態取得部20Rは、アームレスト10Rの操作量(移動量)を取得可能なものとされている。
【0040】
収容ケース21は、矩形のブロックとして形成されており、開口部11Bに嵌め込み可能なものとされている。収容ケース21は、前面及び後面に円形穴21f,21r(図3(b)参照)が形成されている。また、収容ケース21の上部には、上方圧力センサ22Uが埋め込まれている。また、収容ケース21は、上端側が、カバー部12の下面と接続されている。従って、収容ケース21は、カバー部12の進退動に伴って、カバー部12と一体的な進退動が可能である。
【0041】
円形穴21f,21rには、前方圧力センサ22f及び後方圧力センサ22rが収容されている。また、円形穴21f,21rには、前方圧力センサ22f及び後方圧力センサ22rのそれぞれとストッパ24,24を介して当接するように一対のコイルバネ23f,23rが収容されている。
【0042】
コイルバネ23fは、前方側の円形穴21fに収容されており、一端側にストッパ24が取り付けられている。コイルバネ23fは、ストッパ24を介して前方圧力センサ22fに当接している。また、コイルバネ23fの他端側は、円形穴21fの開口端から突出して、前方側の係止穴11Cに係止されている。すなわち、コイルバネ23fは、カバー部12を前方側に向けて付勢している。
【0043】
コイルバネ23rは、後方側の円形穴21rに収容されており、一端側にストッパ24が取り付けられている。コイルバネ23rは、ストッパ24を介して後方圧力センサ22rに当接している。また、コイルバネ23rの他端側は、円形穴21rの開口端から突出して、後方側の係止穴11Cに係止されている。すなわち、コイルバネ23rは、カバー部12を後方側に向けて付勢している。ここで、コイルバネ23f及びコイルバネ23rのバネ定数は、ほぼ同じものとされている。従って、カバー部12は、ベース部11に対して相対的な位置が所定の関係(本実施形態では、中立な位置)となるように位置付けられる。ここで、カバー部12が中立な位置とは、カバー部12の前後方向への移動量を二分する位置とされている。また、カバー部12は、前進又は後進の操作が、コイルバネ23f,23rの付勢力に抗して行われる。なお、カバー部12は、必要に応じて、中立以外の位置に位置させることも可能である。
【0044】
前方圧力センサ22fは、カバー部12の後退に伴って、コイルバネ23fを介して加圧されるものである。前方圧力センサ22fで検知された圧力は、信号増幅器41及びA/D変換器42(共に図2参照)を介して、後述する制御部40に供される。これにより、前方圧力センサ22fは、受けた圧力に応じてカバー部12(アームレスト10)の操作量を取得できる。具体的な、前記操作量の取得方法については後述する。取得されたカバー部12の操作量に応じて、モータ30L,30R(図2参照)の後退駆動量が制御される。
【0045】
後方圧力センサ22rは、カバー部12の前進に伴って、コイルバネ23rにより加圧されるものである。後方圧力センサ22rで検知された圧力は、信号増幅器41及びA/D変換器42を介して、後述する制御部40に供される。これにより、後方圧力センサ22rは、受けた圧力に応じてカバー部12(アームレスト10)の操作量を取得できる。具体的な、前記操作量の取得方法については後述する。取得されたカバー部12の操作量に応じて、モータ30L,30Rの前進駆動量が制御される。
【0046】
このように、上述した電動車椅子1は、運転者の意図した方向に進退操作することができる。そのため、上述した電動車椅子1は、運転者による誤操作を抑制できる。これにより、上述した電動車椅子1は、運転者が安定、かつ安心して操作できる。
【0047】
上方圧力センサ22Uは、例えば、ロードセルや圧電素子等で形成されており、例えば、運転者がアームレスト10に手を掛けた場合に、カバー部12の上部から加わった圧力を検知することができる。上方圧力センサ22Uで検知された圧力は、信号増幅器41及びA/D変換器42を介して、後述する制御部40に供される。ここで、上方圧力センサ22Uは、左右一対の上方圧力センサ22U,22Uの双方が所定の圧力を検知することを条件として、操作状態取得部20による前記操作量の取得を許容するものとされている。
【0048】
従って、上述した電動車椅子1は、運転者が乗車の際にアームレスト10,10を掴んだ場合であっても、電動車椅子1の発進を抑制できる。そのため、上述した電動車椅子1は、運転者が安定、かつ安心して乗車できる。
【0049】
制御部40(コントローラ40)は、図2に示すように、例えば、マイクロコンピュータ等の演算処理装置で構成されており、電動車椅子1全体を制御することができる。なお、制御部40は、単一のものだけではなく、機能毎に複数設けられていてもよい。
【0050】
また、制御部40には、複数のAD変換器42、モータドライバ31,31、及び走行モード切替スイッチ52等が接続されている。制御部40は、操作指示に応じてモータドライバ31,31に制御信号を送信することにより、モータ30L,30Rの駆動制御を行うことができる。具体的には、制御部40は、左側操作状態取得部20Lで取得した一方側(左側)のアームレスト10Lの操作量、及び右側操作状態取得部20Rで取得した他方側(右側)のアームレスト10Rの操作量に基づいて、モータ30L,30Rを駆動制御することができる。より具体的には、制御部40は、前方圧力センサ22fで検知された圧力に応じて、モータ30L,30Rの後退駆動量を制御するものであり、後方圧力センサ22rで検知された圧力に応じてモータ30L,30Rの前進駆動量を制御するものである。
【0051】
フットレスト50は、電動車椅子1の前端側に設けられており、走行モード切替スイッチ52を備えている。フットレスト50は、表面上に運転者の足を載せることができる。フットレスト50は、所定の圧力を検知可能なフットレスト圧力センサ51を備えている。なお、フットレスト50は、適宜、折り畳み可能なものや揺動可能なものとして構成してもよい。
【0052】
走行モード切替スイッチ52は、電動車椅子1を停止状態とする停止モード、及び電動車椅子1を走行可能な状態とする走行モードを切り替えるものとされている。ここで、フットレスト50は、フットレスト圧力センサ51が、所定の圧力(例えば、両足をフットレスト50上に載置した場合の圧力)を検知することを条件として、走行モード切替スイッチ52を前記停止モードから前記走行モードに切り替えるものとされている。
【0053】
フットレスト圧力センサ51は、例えば、ロードセルや圧電素子等で構成されており、例えば、運転者がフットレスト50に足を載せた際に掛かる圧力(負荷)を検出することができる。従って、上述した電動車椅子1は、運転者が例えば、フットレスト50に足を掛けた場合に走行モード切替スイッチ52を、停止モード(移動体の停止状態)から走行モード(移動体の走行可能状態)に切り替えることができる。これにより、上述した電動車椅子1は、例えば、運転者が電動車椅子1に乗車する際に、誤ってアームレスト10,10を操作した場合であっても、電動車椅子1を停止状態に保つことができる。これにより、運転者が安心して電動車椅子1に乗降できる。
【0054】
以上が、本発明の一実施形態に係る電動車椅子1の構成であり、次に上述した操作状態取得部20による操作状態の取得についての一実施形態を以下に説明する。
【0055】
図5に示すように、左右一対の操作状態取得部20L,20Rは、前後方向の圧力値を、それぞれ所定の圧力値毎に区画(ゾーン分け)して、取得するものとされている。具体的には、一対の前方圧力センサ22f,22f及び一対の後方圧力センサ22r,22r(総称して操作状態取得部20,20とも称する)で取得される圧力値は、カバー部12,12のそれぞれの中立位置を原点L0,R0として、前後方向に所定圧力値毎に区画(ゾーン)分けされている。本実施形態では、例えば、左側操作状態取得部20Lの圧力値が、前方側にL0~Lfn、後方側にL0~Lrn(それぞれnは任意の整数)に区画分けされている。また、右側操作状態取得部20Rの圧力値が、前方側にR0~Rfn、後方側にR0~Rrn(それぞれnは任意の整数)に区画分けされている。
【0056】
図6に示すように、電動車椅子1(例えば、制御部40)は、取得されるアームレスト10,10の操作量に応じて、一対のモータ30L,30Rに対して出力される出力値を予め複数の領域に区画分けした出力値テーブルTを有している。
【0057】
出力値テーブルTは、例えば、図示のようにマトリックス状に複数の領域に区画分けされている。出力値テーブルTは、本実施形態では、Y方向に右側操作状態取得部20R、X方向に左側操作状態取得部20Lの出力値が配されている。ここで、出力値の各領域は、モータ30L,30Rにおける一対の駆動輪4,4の駆動量と対応して区画分けされている。例えば、図示拡大図のように、X方向に左側操作状態取得部20Lの出力値Lout0~Lout2が配され、Y方向に右側操作状態取得部20Lの出力値Rout1~Rout3が配されている。そのため、制御部40は、取得されたアームレスト10L,10R操作量に応じて出力される出力値、及び出力値テーブルTを比較することにより、前記出力値に対応する各領域における一対の駆動輪4,4の駆動量を取得できる。また、制御部40は、取得した駆動量に基づいてモータ30L,30Rの駆動制御を行うことができる。
【0058】
このように、上述した電動車椅子1は、一対の前方圧力センサ22f,22f及び一対の後方圧力センサ22r,22rのそれぞれで検出された圧力の分布に基づいて、一対の駆動輪4,4のそれぞれが駆動制御される。従って、上述した電動車椅子1は、駆動制御を簡素化できる。これにより、上述した電動車椅子1は、設計に要するコストや電動車椅子1を構成する部材のコスト等の低減が期待できる。
【0059】
さらに、上述した電動車椅子1では、一対のアームレスト10L,10Rの操作量に応じて出力される出力値と、予め用意された出力値テーブルとを比較することにより、一対の駆動輪4,4の駆動量が決定されている。従って、上述した電動車椅子1は、出力値テーブルTに応じた簡素な駆動制御を行うことができる。これにより、上述した電動車椅子1は、設計に要するコストや電動車椅子1を構成する部材のコスト等のより一層の低減が期待できる。
【0060】
以上が、本発明に係る電動車椅子1を構成する操作状態取得部20L,20Rによる操作状態取得の一実施形態であり、次に本発明に係る電動車椅子1の動作について、図7及び図8を参照しながら以下に詳細を説明する。
【0061】
図7(a)は、左右のアームレスト10L,10Rのそれぞれを同じ量だけ少し前方に操作(スライド)した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1がゆっくりと前進する。
【0062】
図7(b)は、左右のアームレスト10L,10Rのそれぞれを同じ量だけ大きく前方に操作した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1が高速で前進する。
【0063】
図7(c)は、左右のアームレスト10L,10Rのそれぞれを同じ量だけ後方に操作した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1が後退する。なお、後退は、必要に応じて前進と同様に、2段階以上の速度で行うようにしてもよい。
【0064】
図8(d)は、右側アームレスト10Rを大きく、左側アームレスト10Lを小さく前方に操作した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1がゆっくりと前方左側に向けて旋回する。
【0065】
図8(e)は、右側アームレスト10Rのみを大きく前方に操作した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1が素早く前方左側に向けて旋回する。
【0066】
図8(f)は、右側アームレスト10Rを前方に操作すると共に、左側アームレスト10Lを右側アームレスト10Rと同じだけ後方に操作した状態を表すものである。かかる場合は、電動車椅子1がその場で左側に向けて回転(スピンターン)する。
【0067】
以上が、本発明に係る電動車椅子1の動作の一例であるが、上述した電動車椅子1は、上述した操作と左右対称の操作を行うことにより、上述した例示と左右対称の動作を行うことが可能である。次に、本発明に係る電動車椅子1の動作フローについて、図9及び図10の動作フロー図を参照しながら以下に説明する。
【0068】
図9に示すように、電動車椅子1が、起動(開始)されると、右側の上方圧力センサ22Uが検知されたか否かの判定が行われる(ステップS1)。ステップS1において、右側の上方圧力センサ22Uが検知された場合(Onの場合)は、処理がステップS1に戻される。ステップS1において、右側の上方圧力センサ22Uが検知されない場合(Offの場合)は、左側の上方圧力センサ22Uが検知されたか否かの判定が行われる(ステップS2)。
【0069】
ステップS2において、左側の上方圧力センサ22Uが検知された場合(Onの場合)は、処理がステップS1に戻される。ステップS2において、左側の上方圧力センサ22Uが検知されない場合(Offの場合)は、走行モード切替スイッチ52が検知されたか否かの判定が行われる(ステップS3)。
【0070】
ステップS3において、走行モード切替スイッチ52が検知されない場合(Offの場合)は、処理がステップS1に戻される。ステップS3において、走行モード切替スイッチ52が検知された場合(Onの場合)は、ステップS10(図10参照)のサブルーチン処理に移行する。
【0071】
図10に示すように、ステップS10では、右側操作状態取得部20Rの出力値検出が行われる。ステップS10での処理が終了すると、右側の変位量(操作量)をn個の領域(ゾーン)に当てはめる(ステップS20)。
【0072】
続いて、左側操作状態取得部20Lの出力値検出が行われる(ステップS30)。ステップS30での処理が終了すると、左側の変位量(操作量)をn個の領域に当てはめる(ステップS40)。
【0073】
ステップS40での処理が終了すると、制御部40は、左右の領域(ゾーン)より出力値テーブルTを参照して対応する出力値を取得する(ステップS50)。制御部40により、モータ30L,30Rの出力値が取得されると、制御部40からモータドライバ31,31に出力値が出力される(ステップS51)。すなわち、制御部40は、取得されたアームレスト10,10の操作量に応じて出力される出力値、及び出力値テーブルTを比較することにより、前記出力値に対応する領域における一対の駆動輪4,4の駆動量に基づいてモータ30L,30Rの駆動制御を行う。
【0074】
以上が、本発明の電動車椅子1(移動体1)の操舵補助に係る動作フローの一実施形態であり、次に、本発明の電動車椅子1の作用効果について以下に説明する。
【0075】
上述した電動車椅子1は、一対のアームレスト10,10の操作量を操作状態取得部20,20で取得し、取得したそれぞれのアームレスト10,10の操作量に基づいて、一対の駆動輪4,4(駆動部30,30)が駆動制御される。従って、運転者は、利き腕を意識することなく、電動車椅子1の意図した操作を行うことができる。これにより、運転者は、誤操作なく安定、かつ安心して移動体を操作できる。また、上述した電動車椅子1は、一対のアームレスト10,10を有するので、運転者がアームレスト10,10を掴んで安心して乗車できる。
【0076】
また、上述した電動車椅子1は、一対のカバー部12,12が、それぞれのベース部11,11に対して相対的な位置が所定の関係となるように付勢部23,23を介して移動可能に支持されており、一対のカバー部12,12における前進又は後進の操作が、付勢部23,23の付勢力に抗して行われるものとされている。
【0077】
従って、一対のカバー部12,12は、それぞれ適度な節度感をもって操作することができる。すなわち、上述した電動車椅子1は、運転者の意図した進退操作を、適度な節度感をもって行うことができる。これにより、上述した移動体は、運転者による誤操作をより一層確実に抑制できる。そのため、上述した移動体は、運転者がより一層安定、かつ安心して操作できる。また、上述した電動車椅子1は、カバー部12,12の非操作時に、カバー部12,12を例えば、中立の位置に復帰させることができる。これにより、上述した電動車椅子1は、運転者の負担を軽減でき、運転者が安定、かつ安心して操作できる。
【0078】
以上が、本発明に係る電動車椅子1(移動体1)の構成及び作用効果であるが、本発明に係る電動車椅子1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形を行うことができる。
【0079】
本実施形態では、移動体1が電動車椅子1である場合を例示したが、本発明の移動体1は、カートやシニアカーなどの各種の車両や車椅子に利用することができる。また、移動体1の従動輪3や駆動輪4の数量は、適宜、変更することができる。また、座席5やアームレスト10,10の形状や大きさ、配する位置も適宜、変更することが可能である。
【0080】
また、本実施形態では、前方圧力センサ22f及び後方圧力センサ22rに基づいて、駆動輪4,4の制御が行われているが、これには限定されない。例えば、前方圧力センサ22f及び後方圧力センサ22rが一体的に形成されているものなど各種の形態の圧力センサが利用できる。また、本実施形態では、ロードセルや圧電素子を圧力センサ22f,22r,22Uに用いたが、これには限定されず、各種の圧力センサを用いることができる。また、本実施形態では、駆動部30L,30Rがモータである場合を例示したが、駆動部30L,30Rに利用される駆動源は、モータだけではなく、各種のものが利用できる。
【0081】
また、本実施形態では、アームレスト10が、ベース部11、カバー部12、及び付勢部23で構成されているが、これには限定されず、各種の形態のアームレスト10が利用できる。また、本実施形態では、付勢部23にコイルバネ23が用いられているが、これには限定されない。例えば、付勢部23は、ベース部11に対してカバー部12を付勢できるものであれば、各種の弾性部材を利用できる。
【0082】
また、本実施形態では、出力値テーブルTを用いて、モータ30L,30Rの駆動制御を行っているが、出力値テーブルTは、必要に応じて設ければよく、出力値テーブルTを有しない構成とすることもできる。かかる場合は、例えば、前方圧力センサ22f及び後方圧力センサ22rのそれぞれで検出された圧力の分布に基づいて、一対の駆動輪4,4のそれぞれを駆動制御すればよい。また、出力値テーブルTに設ける領域(ゾーン)は、電動車椅子1の制御特性に応じて、適宜、変更することができる。また、前記領域は、各種の数や大きさのものが利用できる。また、出力値テーブルTは、例えば、制御部40や操作状態取得部20L,20Rなどに設けられた記憶装置等に記憶しておけばよい。
【0083】
また、本実施形態では、電動車椅子1が、フットレスト50を有し、フットレスト50が、電動車椅子1を停止状態とする停止モード、及び電動車椅子1を走行可能な状態とする走行モードを切り替える走行モード切替スイッチ52と、所定の圧力を検知するフットレスト圧力センサ51と、を有するものとしたが、フットレスト50、走行モード切替スイッチ52、及びフットレスト圧力センサ51は、それぞれ必要に応じて設ければよく、これらを有しない構成とすることもできる。
【0084】
また、本実施形態では、アームレスト10,10が、それぞれ上方圧力センサ22Uを有しており、一対の上方圧力センサ22U,22Uの双方が所定の圧力を検知することを条件として、操作状態取得部20,20による操作量の取得が許容されるものとしているが、これには限定されない。例えば、アームレスト10が上方圧力センサ22Uを有しないものとすることもできる。
【0085】
以上が、本発明に係る移動体及び車椅子の各種の実施形態や変形例であるが、本発明は上述した実施形態や変形例において例示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の移動体は、カートやシニアカー等の各種の車両等に利用することができる。また、本発明の車椅子は、電動車椅子等の各種の車椅子に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 :移動体(電動車椅子、車椅子)
2 :本体フレーム
3 :従動輪(前輪)
4 :駆動輪(後輪)
5 :座席
10 :アームレスト
20 :操作状態取得部
22f:前方圧力センサ
22r:後方圧力センサ
23 :コイルバネ(付勢部)
23f:前方付勢部材(コイルバネ、付勢部)
23r:後方付勢部材(コイルバネ、付勢部)
30 :モータ(駆動部)
30L:モータ(駆動部)
30R:モータ(駆動部)
40 :制御部
50 :フットレスト
51 :フットレスト圧力センサ
52 :走行モード切替スイッチ
T :出力値テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10