(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031274
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】まな板収納具及びまな板並びに水切り具
(51)【国際特許分類】
A47J 47/16 20060101AFI20240229BHJP
A47J 47/00 20060101ALI20240229BHJP
A47J 47/20 20190101ALI20240229BHJP
【FI】
A47J47/16 K
A47J47/00 A
A47J47/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134729
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】522341090
【氏名又は名称】株式会社ルームプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 亮
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066CC13
4B066CC35
4B066EE32
4B066FF11
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して、台所のシンク上における作業性を向上させることを課題とする。
【解決手段】まな板収納具は、シンクとシンク周囲の天板と天板に配置された水栓が備えられた台所に用いられ、天板のうち水栓が配置された側となる奥領域と、天板のうち前記奥領域に対して前記シンクを挟んで対向し、作業者側となる作業者側手前領域に跨る大きさを有し、内側壁で水栓を係止すると共に、天板のうち少なくとも前記奥領域と前記作業者側手前領域によって下方より支持される枠体と、枠体の内部にあって、奥領域側に水栓を使用する作業空間を空けて、作業者側手前領域側にまな板を枠体の内側で下方より支持する支持部を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクと、シンクの周囲の天板と、天板に配置された水栓が備えられた台所に用いられるまな板収納具であって、
前記天板のうち前記水栓が配置された側となる奥領域と、前記天板のうち前記奥領域に対して前記シンクを挟んで対向する作業者側手前領域に跨る大きさを有し、内側壁で前記水栓を係止すると共に、前記天板のうち少なくとも前記奥領域と前記作業者側手前領域
によって下方より支持される枠体と、
前記枠体の内部にあって、奥領域側に前記水栓を使用する作業空間を空けて、まな板を前記枠体の作業者側手前領域側の内側で下方より支持する支持部、
を備えたまな板収納具。
【請求項2】
前記支持部には、前記シンク内に水を流す水切り用の隙間が形成されている、
請求項1に記載のまな板収納具。
【請求項3】
まな板のうち前記奥領域側の奥領域側側面及び前記作業者側手前領域側の作業者側手前領域側側面を支持する側面支持部材が設けられている、
請求項1に記載のまな板収納具。
【請求項4】
前記枠体は、ヒンジ部によって、前記奥領域と前記作業者側手前領域に跨る展開姿勢及び二つ折される二つ折り姿勢に姿勢の変更が可能である、
請求項1に記載のまな板収納具。
【請求項5】
前記枠体は、前記枠体にまな板が収納された状態で、前記二つ折り姿勢に姿勢の変更が可能である、
請求項4に記載のまな板収納具。
【請求項6】
前記枠体に収納されたまな板にかかる荷重方向に対応する前記ヒンジ部の軸回りの動きを規制するストッパが設けられている、
請求項4に記載のまな板収納具。
【請求項7】
前記ヒンジ部は、前記枠体のうち二つ折りされる一方の枠部材に取り付けられる一方側羽根部材と、前記枠体のうち二つ折りされる他方の枠部材に取り付けられる他方側羽根部材と、前記一方側羽根部材に対して前記他方側羽根部材を回動させる軸部とを含み、
前記展開姿勢で当接される両板部材であって、前記一方側羽根部材に対する前記他方側羽根部材の回動を規制する一方側ストッパ板部材及び他方側ストッパ板部材が、前記一方側羽根部材及び前記他方側羽根部材それぞれに延設されている、
請求項6に記載のまな板収納具。
【請求項8】
前記一方側ストッパ板部材と前記他方側ストッパ板部材を固定するロック機構を備えた、
請求項7に記載のまな板収納具。
【請求項9】
前記ロック機構は、前記一方側ストッパ板部材と前記他方側ストッパ板部材のうちのいずれか一方のストッパ板部材に対して旋回可能に支持されると共に、両ストップ板部材を挟持する挟持部を備えており、
前記ロック機構は、前記両ストップ板部材を前記挟持部で挟持するロック位置及び前記両ストップ板部材を前記挟持部から解除するロック解除位置に旋回可能に構成されている、
請求項8に記載のまな板収納具。
【請求項10】
前記ロック機構は、磁石と当該磁石に吸引される磁性体を含んで構成され、前記磁石及び前記磁性体のうち一方が前記一方側ストッパ板部材に設けられ、前記磁石及び前記磁性体のうち他方が前記他方側ストッパ板部材に設けられている、
請求項8に記載のまな板収納具。
【請求項11】
前記一方側ストッパ板部材及び前記他方側ストッパ板部材が、まな板のうち前記奥領域側の奥領域側側面を支持する側面支持部材を兼ねている、
請求項7に記載のまな板収納具。
【請求項12】
前記枠体の側面のうち、前記支持部によって支持されるまな板の側面に対応する箇所には、作業者の指をまな板の側面に導びくための切欠きが形成されている、
請求項1に記載のまな板収納具。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のまな板収納具内に収納されると共に前記支持部で支持される大きさ及び形状の請求項1から12のいずれか一項に記載のまな板。
【請求項14】
前記支持部によって支持されるまな板の側面には、作業者の指を掛けるための窪みが形成されている、
請求項13に記載のまな板。
【請求項15】
シンクと、シンクの周囲の天板と、天板に配置された水栓が備えられた台所に用いられる水切り具であって、
前記天板のうち前記水栓が配置された側となる奥領域と、前記天板のうち前記奥領域に対して前記シンクを挟んで対向する作業者側手前領域に跨る大きさを有し、内側壁で前記水栓を係止すると共に、前記天板のうち少なくとも前記奥領域と前記作業者側手前領域によって下方より支持される枠体と、
前記枠体の内部にあって、奥領域側に前記水栓を使用する作業空間を空けて、前水切り対象物品を前記枠体の作業者側手前領域側の内側で下方より支持すると共に、前記シンク内に水を流す水切り用の隙間が形成された支持部、
を備えた水切り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板収納具及びまな板並びに水切り具に関する。
【背景技術】
【0002】
まな板は、食材等を切るなどの調理作業の際に台として用いる道具である。
【0003】
しかし、台所の天板にまな板を置くスペースを確保できないことがある。
【0004】
こうした実情に鑑み、台所のシンク上にまな板を設置可能とする発明が提案されている。
【0005】
特許文献1には、キッチンシンク上部の前縁レールと後縁レールに架設されて使用されるまな板であって、まな板の少なくとも一方の辺に添って複数の洗水落穴を穿設することによって支持部を形成し、支持部に角面を形成し、支持部の向かい合った角面辺縁部を近設したまな板が記載されている。すなわち、特許文献1には、まな板を直接シンクによって支持し、まな板本体に水切り部を設けるという発明が記載されている。
【0006】
特許文献2には、シンク部の左右側部と前側部の各上面が調理台本体上面よりもまな板の略板厚分だけ低位置に形成してシンク部の上面と調理台本体上面との間に摺動段差部を形成し、摺動段差部によってシンク部上面にまな板摺動用の摺動空間を形成し該空間にまな板を前後摺動自在に遊嵌した態様が記載されている。すなわち、特許文献2には、まな板を直接シンクによって支持するという発明が記載されている。
【0007】
特許文献3には、支持台の裏面の各隅部にそれぞれ設けた凹部に起伏自在にそれぞれ枢支される脚を備え、支持台の裏面にそれぞれ設けた一方の対の磁石と、各脚の可動方向の端面に設けた他方の対の磁石と、この各一方の対の磁石と、他方の対の磁石との吸着で、脚の起伏を図る構成としたまな板の支持台が記載されている。すなわち特許文献3には、まな板を脚を設けた支持台によって支持するという発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-314740号公報
【特許文献2】特開2018-191775号公報
【特許文献3】特開2010-268824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術と比較して、台所のシンク上における作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、シンクと、シンクの周囲の天板と、天板に配置された水栓が備えられた台所に用いられるまな板収納具であって、前記天板のうち前記水栓が配置された側となる奥領域と、前記天板のうち前記奥領域に対して前記シンクを挟んで対向する作業者側手前領域に跨る大きさを有し、内側壁で前記水栓を係止すると共に、前記天板のうち少なくとも前記奥領域と前記作業者側手前領域によって下方より支持される枠体と、前記枠体の内部にあって、前記奥領域側に前記水栓を使用する作業空間を空けて、まな板を前記枠体の前記作業者側手前領域側の内側で下方より支持する支持部、を備えたまな板収納具である。
【0011】
第2の態様は、第1の態様において、前記支持部には、前記シンク内に水を流す水切り用の隙間が形成されている、まな板収納具である。
【0012】
第3の態様は、第1の態様において、まな板のうち前記奥領域側の奥領域側側面及び前記作業者側手前領域側の作業者側手前領域側側面を支持する側面支持部材が設けられている、まな板収納具である。
【0013】
第4の態様は、第1の態様において、前記枠体は、ヒンジ部によって、前記奥領域と前記作業者側手前領域に跨る展開姿勢及び二つ折される二つ折り姿勢に姿勢の変更が可能である、まな板収納具である。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記枠体は、前記枠体にまな板が収納された状態で、前記二つ折り姿勢に姿勢の変更が可能である、まな板収納具である。
【0015】
第6の態様は、第4の態様において、前記枠体に収納されたまな板にかかる荷重方向に対応する前記ヒンジ部の軸回りの動きを規制するストッパが設けられている、まな板収納具である。
【0016】
第7の態様は、第6の態様において、前記ヒンジ部は、前記枠体のうち二つ折りされる一方の枠部材に取り付けられる一方側羽根部材と、前記枠体のうち二つ折りされる他方の枠部材に取り付けられる他方側羽根部材と、前記一方側羽根部材に対して前記他方側羽根部材を回動させる軸部とを含み、前記展開姿勢で当接される両板部材であって、前記一方側羽根部材に対する前記他方側羽根部材の回動を規制する一方側ストッパ板部材及び他方側ストッパ板部材が、前記一方側羽根部材及び前記他方側羽根部材それぞれに延設されている、まな板収納具である。
【0017】
第8の態様は、第7の態様において、前記一方側ストッパ板部材と前記他方側ストッパ板部材を固定するロック機構を備えた、まな板収納具である。
【0018】
第9の態様は、第8の態様において、前記ロック機構は、前記一方側ストッパ板部材と前記他方側ストッパ板部材のうちのいずれか一方のストッパ板部材に対して旋回可能に支持されると共に、両ストップ板部材を挟持する挟持部を備えており、前記ロック機構は、前記両ストップ板部材を前記挟持部で挟持するロック位置及び前記両ストップ板部材を前記挟持部から解除するロック解除位置に旋回可能に構成されている、まな板収納具である。
【0019】
第10の態様は、第8の態様において、前記ロック機構は、磁石と当該磁石に吸引される磁性体を含んで構成され、前記磁石及び前記磁性体のうち一方が前記一方側ストッパ板部材に設けられ、前記磁石及び前記磁性体のうち他方が前記他方側ストッパ板部材に設けられている、まな板収納具である。
【0020】
第11の態様は、第7の態様において、前記一方側ストッパ板部材及び前記他方側ストッパ板部材が、まな板のうち前記奥領域側の奥領域側側面を支持する側面支持部材を兼ねている、まな板収納具である。
【0021】
第12の態様は、第1の態様において、前記枠体の側面のうち、前記支持部によって支持されるまな板の側面に対応する箇所には、作業者の指をまな板の側面に導びくための切欠きが形成されている、まな板収納具である。
【0022】
第13の態様は、第1の態様から第12の態様のいずれかのまな板収納具内に収納されると共に前記支持部で支持される大きさ及び形状のまな板である。
【0023】
第14の態様は、第13の態様において、前記支持部によって支持されるまな板の側面には、作業者の指を掛けるための窪みが形成されている、まな板である。
【0024】
第15の態様は、シンクと、シンクの周囲の天板と、天板に配置された水栓が備えられた台所に用いられる水切り具であって、前記天板のうち前記水栓が配置された側となる奥領域と、前記天板のうち前記奥領域に対して前記シンクを挟んで対向する作業者側手前領域に跨る大きさを有し、内側壁で前記水栓を係止すると共に、前記天板のうち少なくとも前記奥領域と前記作業者側手前領域によって下方より支持される枠体と、前記枠体の内部にあって、前記奥領域側に前記水栓を使用する作業空間を空けて、水切り対象物品を前記枠体のの前記作業者側手前領域側の内側で下方より支持すると共に、前記シンク内に水を流す水切り用の隙間が形成された支持部、を備えた水切り具である。
【発明の効果】
【0025】
第1から第15の態様によれば、従来技術と比較して、台所のシンク上における作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態のまな板収納具の使用例を説明する図である。
【
図2】
図2は、実施形態のまな板収納具の上面図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態のまな板収納具の展開姿勢を右側面からみた図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態のまな板収納具の二つ折り姿勢を右側面からみた図である。
【
図4】
図4(A)、(B)(C)はそれぞれ、実施形態のまな板の上面図、奥領域側の側面図、右側の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、ヒンジ部の一方側ストッパ板部材と他方側ストッパ板部材を固定するロック機構を説明する斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、ヒンジ部の一方側ストッパ板部材と他方側ストッパ板部材を固定するロック機構を説明する斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、作業空間に、生ごみ用水切り具を配置した構成例を示す上面図である。
【
図6B】
図6Bは、作業空間に、生ごみ用水切り具を配置した構成例を示すD-D断面図である。
【
図6C】
図6Cは、作業空間に、生ごみ用水切り具を配置した構成例を示す側面図である。
【
図7】
図7(A)、(B)、(C)はそれぞれ、カトラリー用水切り具の上面図、右側面図、手前側面図である。
【
図9】
図9は、まな板を支持する様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明に係るまな板収納具及びまな板並びに水切り具の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、実施形態のまな板収納具100の使用例を説明する図である。
【0029】
図2は、実施形態のまな板収納具100の上面図である。
【0030】
図3A、
図3Bはそれぞれ、実施形態のまな板収納具100の展開姿勢、二つ折り姿勢を右側面からみた図である。
【0031】
図4(A)、(B)(C)はそれぞれ、実施形態のまな板200の上面図、奥領域側の側面図、右側の側面図である。
【0032】
図1は、まな板収納具100が台所300のシンク310に設置された状態を示している。まな板収納具100は、
図1に示すように、シンク310に掛け渡されてまな板200を収納しシンク310上で食材を切る等の調理作業を行うために使用される。
【0033】
以下、特に断りがない限り、
図1において作業者からみた左側、右側、手前側、奥側、左右方向、垂直方向、水平方向それぞれを、実施形態の各構成要素の「左側」、「右側」、「手前側」、「奥側」、「左右方向」、「垂直方向」、「水平方向」と定義する。
【0034】
まな板収納具100は、シンク310と、シンク310の周囲の天板320と、天板320に配置された水栓330が備えられた台所300に用いられる。
【0035】
まな板収納具100は、大きくは、枠体110と、支持部120とを含んで構成されている。
【0036】
枠体110は、天板320のうち水栓330が配置された側となる奥領域321と、天板320のうち奥領域321に対してシンク310を挟んで対向する作業者側手前領域322に跨る大きさを有している。また枠体110は、内側壁111Bで水栓330を係止すると共に、天板320のうち少なくとも奥領域321と作業者側手前領域322によって下方より支持される。
【0037】
枠体110は、奥領域321側の奥側面部材110B、作業者側手前領域322側の手前側面部材110F、作業者からみて左側の左側面部材110L、作業者からみて右側の右側面部材110Rを含んで構成されている。
【0038】
支持部120は、枠体110の内部にあって、奥領域321側に水栓330を使用する作業空間112を空けて、まな板200を枠体110の作業者側手前領域322側の内側で下方より支持する。
【0039】
図2に示すように、支持部120には、シンク310内に水を流す水切り用の隙間122が形成されている、
【0040】
支持部120は、例えば枠体110の内部にあって左右方向が板長手方向となる複数の立板部材121を含んで構成されている。
【0041】
複数の立板部材121それぞれの左右端部は、枠体110の左側面部材110Lの内側壁111L、右側面部材110Rの内側壁111Rそれぞれに接続、固定されている。複数の立板部材121は、板厚方向が水平横方向となり、板幅方向が垂直縦方向となるように、隣合う立板部材121と隙間122を空けて配列されている。
【0042】
図3A、
図3Bに示すように、枠体110は、ヒンジ部130によって、奥領域321と作業者側手前領域322に跨る展開姿勢及び二つ折される二つ折り姿勢に姿勢の変更が可能である。
【0043】
図2に戻り、側面支持部材123は、まな板200のうち奥領域321側の奥領域側側面200B及び作業者側手前領域322側の作業者側手前領域側側面200Fを支持する。側面支持部材123は、手前側面部材110Fと、ヒンジ部130で構成することができる。このためまな板200に奥方向及び手前方向の力G1、G2が加えられたとしてもまな板200を安定して保持することができる。なお、
図9の側面図に示すように、まな板200の奥領域側側面200Bを、ヒンジ部130の代わりに、立板部材121´で支持してもよい。
図9に示す構成例では、奥領域321に最も近い立板部材121´を他の立板部材121よりも高くして、まな板200の奥領域側側面200Bを立板部材121´に当接するように構成している。
【0044】
図3A、
図3Bに示すように、ヒンジ部130は、枠体110を、まな板200を支持する側の枠部材115と、作業空間112側の枠部材116に二つ折りする位置に配置されている。このため枠体110を、まな板200が収納された状態で、二つ折り姿勢に姿勢の変更をすることが可能である。
【0045】
図5A、
図5Bに示すように、ヒンジ部130には、枠体110に収納されたまな板200にかかる荷重方向Fに対応するヒンジ部130の軸部131の軸回り方向131Rの動きを規制するストッパ132が設けられている。
【0046】
すなわち、ヒンジ部130は、枠体110のうち二つ折りされる一方の枠部材115に取り付けられる一方側羽根部材135と、枠体110のうち二つ折りされる他方の枠部材116に取り付けられる他方側羽根部材136と、一方側羽根部材135に対して他方側羽根部材136を回動させる軸部131とを含んでいる。
【0047】
ストッパ132は、一方側ストッパ板部材132Aと他方側ストッパ板部材132Bからなる。一方側ストッパ板部材132A、他方側ストッパ板部材132Bはそれぞれ、一方側羽根部材135、他方側羽根部材136それぞれに延設されている。一方側ストッパ板部材132Aと他方側ストッパ板部材132Bは、枠体110が展開姿勢となったときに互いに当接されることで一方側羽根部材135に対する他方側羽根部材136の回動を規制する。このためまな板200に対して下方向の力Fが加えられたとしても、ヒンジ部130の動きが規制され、枠体110は展開姿勢を維持する。このためまな板200を安定して保持することができる。
【0048】
まな板収納具100の各構成要素は、まな板200に対して力が加えられたとしても容易に変形、歪が生じることがない材料、例えばステンレス等の剛性、強度を有する材料で構成することが望ましい。まな板収納具100は、鋳造、鍛造、曲げ加工、溶接等任意の成形方法、加工方法、組み立て方法によって形成することができる。まな板収納具100のうち天板320に接する部位には、天板320が傷付くことを抑制する材料、例えばシリコンゴム、ポリプロピレンを装着したり、あるいは被覆することが望ましい。
【0049】
図5A、
図5Bを用いて、ヒンジ部130の一方側ストッパ板部材132Aと他方側ストッパ板部材132Bを固定するロック機構140について説明する。
【0050】
ロック機構140は、一方側ストッパ板部材132Aと他方側ストッパ板部材132Bのうちのいずれか一方のストッパ板部材(例えば一方側ストッパ板部材132A)に対して旋回可能に支持されると共に、両ストッパ板部材132A、132Bを挟持する挟持部141を備えている。ロック機構140の挟持部141は、組ネジ142A、142Bによって矢印Cで示す旋回方向に旋回可能に支持されている。ロック機構140は、両ストッパ板部材132A、132Bを挟持部141で挟持するロック位置(
図5Aに実線で示す)及び両ストッパ板部材132A、132Bを挟持部141から解除するロック解除位置(
図5に破線で示す)に旋回可能に構成されている。このためまな板200に対して下方向の力Fが加えられたとしてもヒンジ部130の動きがロックされ、枠体110は展開姿勢を維持する。このためまな板200を安定して保持することができる。
【0051】
図10A、
図10Bは、ロック機構140の他の実施例を示す。
図10Aは、枠体110の枠部材115と枠部材116が当接する部分を拡大して示す斜視図を示し、
図10Bは、その上面図を示す。
【0052】
枠部材115の端部を上面からみてコの字状に形成することにより一方側ストッパ板部材132Aを構成している。同様に枠部材116の端部を上面からみてコの字状に形成することにより他方側ストッパ板部材132Bを構成している。
【0053】
ロック機構140は、磁石143Aとこの磁石143Aに吸引される磁性体143Bを含んで構成されている。磁性体143Bは、磁石若しくは鉄等の強磁性体を用いることができる。
【0054】
磁石143A、磁性体143Bはそれぞれ、枠体110の展開姿勢時に対面して磁力による吸着力が作用するように、一方側ストッパ板部材132A、他方側ストッパ板部材132Bに設けられている。
【0055】
図4(A)、(B)、(C)は、まな板200の構成例を示す。まな板200は、枠体110内に収容され、支持部120によって支持可能の大きさ、形状のものを使用することができる。
【0056】
図4(A)、(B)、(C)と
図3A、
図3Bを併せて説明する。まな板200の枠体110内への収納及びまな板200の枠体110内からの取り出しを容易にするために、枠体110の側面のうち、支持部120によって支持されるまな板200の側面に対応する箇所には、作業者の指をまな板200の側面に導びくための切欠き117が形成されている。切欠き117は、例えば枠体110の左側面部材110Lにあってまな板200の左側側面200Lに対応する箇所及び枠体110の右側面部材110Rにあってまな板200の右側側面200Rに対応する箇所に形成されている。
【0057】
まな板200の側面には、作業者の指を掛けるための窪み210が形成されている。窪み210は、例えば切欠き117に対応する左側側面200L及び右側側面200R並びに奥領域側側面200Bに形成されている。
【0058】
実施形態のまな板収納具100は、水切り具100として使用することが可能である。まな板200を支持部120によって支持する代わりに、洗浄後の食器等の水切り対象物品を支持部120の立板部材121上に載置してもよい。
【0059】
まな板収納具100を水切り具100として使用した場合には、水栓330を使用する作業空間112で水栓330から供給される水によって洗浄された食器等を極めて短い動線で支持部120に載置することができる。支持部120に載置された洗浄後の食器等に付着した水は、水切り用隙間122を介してシンク310内に落下する。このため洗浄後の食器等の収納作業、乾燥作業を短時間で行うことができる。
【0060】
作業空間112に、調理作業あるいは洗浄作業に必要なオプション用具を配置してもよい。
【0061】
図6A、
図6B、
図6Cは、作業空間112に、生ごみ用水切り具140を配置した構成例を示す。
【0062】
【0063】
生ごみ用水切り具140は、不織布等で構成された水切り袋141の開口縁部141Aを掛けるための枠部142と、水切り袋141の開口縁部141Aを挟み込んで枠部142に篏合する袋止めカバー143と、枠部142を枠体110に係止する係止部144を含んで構成されている。係止部144は、枠体110に篏合する断面コの字状に形成されている。係止部144を枠体110に係止することで、生ごみ用水切り具140をまな板収納具100に装着できる。
【0064】
生ごみ用水切り具140を、まな板収納具100に装着した場合には、食材を切るなどの調理作業の際に不要となった生ごみを、極めて短い動線で水切り袋141内に収容することができる。
【0065】
作業空間112に、カトラリー用水切り具150を配置してもよい。
【0066】
図7(A)、(B)、(C)はそれぞれ、カトラリー用水切り具150の上面図、右側面図、手前側面図を示す。
図6A、
図6B、
図6Cに示す生ごみ用水切り具140の代わりに、あるいは生ごみ用水切り具140と共に、係止部144と同様の係止部152によって、枠体110に係止することにより、カトラリー用水切り具150を作業空間112に配置することができる。
【0067】
カトラリー用水切り具150は、ナイフ、フォーク、スプーン、箸などの食卓用具を立てかけて水切りを行うための用具である。
【0068】
カトラリー用水切り具150は、上部が開口し側面及び底面が十字格子151Aで構成され、食卓用具を立てかけることができる深さを有する凹部体151と、凹部体151を枠体110に係止する係止部152を含んで構成されている。凹部体151の十字格子151A間の隙間151Bは、水切り孔を構成する。係止部152を枠体110に係止することで、カトラリー用水切り具150をまな板収納具100に装着できる。
【0069】
カトラリー用水切り具150をまな板収納具100に装着した場合には、水栓330を使用する作業空間112で水栓330から供給される水によって洗浄されたナイフ、フォーク、スプーン、箸などの食卓用具を極めて短い動線で凹部151に立てかけることができる。凹部体151に立てかけられた洗浄後の食卓用具に付着した水は、凹部151体の水切り孔151Bを介してシンク310内に落下する。このため洗浄後の食卓用具の収納作業、乾燥作業を短時間で行うことができる。
【0070】
作業空間112に、フック具160を配置してもよい。
【0071】
図8は、フック具160の手前側面図を示す。
図6A、
図6B、
図6Cに示す生ごみ用水切り具140、
図7(A)、(B)、(C)に示すカトラリー用水切り具150の代わりに、あるいは生ごみ用水切り具140、カトラリー用水切り具150と共に、係止部144、152と同様の係止部162によって、枠体110に係止することによりフック具160を作業空間112に配置することができる。
【0072】
フック具160は、紐付きの洗浄用スポンジなどの洗浄用具を掛けることができるフック部161と、フック部161を枠体110に係止する係止部162を含んで構成されている。係止部162を枠体110に係止することで、フック具160をまな板収納具100に装着できる。
【0073】
フック具160をまな板収納具100に装着した場合には、水栓330を使用する作業空間112で水栓330から供給される水によって食器、食卓用具を洗浄する際に、極めて短い動線で洗浄用具をフック部161から取り出したり、使用後の洗浄用具をフック部161に掛けることができる。このため洗浄作業を効率良く行うことができる。
【0074】
生ごみ用水切り具140、カトラリー用水切り具150、フック具160を枠体110に固定するロック機構を設けてもよい。例えば生ごみ用水切り具140の係止部144、カトラリー用水切り具150の係止部152、フック具160の係止部162が枠体110に当接する面を磁石で構成し、枠体110を磁性体で構成することにより、生ごみ用水切り具140、カトラリー用水切り具150、フック具160を枠体110に脱着可能に固定することができる。
【0075】
以下、実施形態のまな板収納具100及びまな板200並びに水切り具100の使用例について説明する。
【0076】
(保管時)
【0077】
まな板収納具100を使用しないときは、
図3Bに示すように枠体110を二つ折り姿勢にしてまな板収納具100を保管する。まな板収納具100にまな板200が収納された状態で枠体110を二つ折り姿勢にして保管してもよい。このため最小限の保管スペースでまな板収納具100を保管することができる。
【0078】
(調理作業時)
【0079】
まな板収納具100を調理のために使用するときは、
図3Aに示すように枠体110を展開姿勢にして、
図1に示すようにまな板収納具100をシンク310上に配置させる。
【0080】
図3Aに示すように、まな板200の窪み210に指を掛けて枠体110の切欠き117に指を挿通して、まな板200をまな板収納具100の支持部120上に載置する。このように、切欠き117、窪み210をガイドにしてまな板200をまな板収納具100内に容易に収納することができる。
【0081】
図6Aに示すように、まな板収納具100の作業空間112に、生ごみ用水切り具140を必要に応じて配置してもよい。
【0082】
作業者は、まな板200上で食材を切る等の調理作業を行う。この際に、
図2に示すように、まな板200に手前方向の力G2が加えられることがある。
【0083】
しかし、枠体110の内側壁111Bは水栓330を係止しているため、まな板200に手前方向の力G2が加えられたとしても、枠体110の手前方向の動きは規制される。同様にまな板200の作業者側手前領域側側面200Fは、枠体110の手前側面部材110Fによって支持されているため、まな板200に手前方向の力G2が加えられたとしてもまな板200の手前方向の動きは規制される。
【0084】
また調理作業の際に、まな板200に奥方向の力G1が加えられることがある。しかし、まな板200の奥領域側側面200Bは、ヒンジ部130によって支持されているため、まな板200に奥方向の力G1が加えられたとしてもまな板200の奥方向の動きは規制される。
【0085】
また調理作業の際に、まな板200に下方向の力Fが加えられることがある。しかし、まな板収納具100のヒンジ部130の動きはストッパ132により規制されるため、まな板200に下方向の力Fが加えられたとしても枠体110は展開姿勢を維持する。
【0086】
このように実施形態のまな板収納具100によれば、まな板200を安定した位置に保持した状態で調理作業を行うことができる。
【0087】
調理作業の際に、食材を洗浄してからまな板200に載せたり、まな板200上の加工し終えた食材を洗浄することがある。
【0088】
ここで、まな板200の奥側に、水栓330を使用する作業空間112が配置されているため、水栓330から供給される水によって洗浄された食材を極めて短い動線でまな板200上に載せたり、まな板200上の加工し終えた食材を、水栓330による水供給位置に極めて短い動線で持っていくことができる。
【0089】
調理作業の際に、不要となった生ごみが生じることがある。
【0090】
ここで、まな板200の奥側に、シンク310に連通する作業空間112が配置されているため、まな板200上の不要な生ごみを、シンク310内に極めて短い動線で捨てることができる。
【0091】
図6Aに示すように、生ごみ用水切り具140を、まな板収納具100に装着した場合には、同様にまな板200上の不要な生ごみを、極めて短い動線で水切り袋141内に収容することができる。
【0092】
(洗浄作業時)
【0093】
調理作業を終えると、
図3Aに示すように、枠体110の切欠き117に指を挿通して、まな板200の窪み210に指を掛けて、まな板200をまな板収納具100の支持部120から取り外す。
【0094】
このように、切欠き117、窪み210をガイドにしてまな板200をまな板収納具100から容易に取り出すことができる。
【0095】
まな板収納具100の作業空間112に、
図7に示すカトラリー用水切り具150、
図8に示すフック具160を必要に応じて配置してもよい。
【0096】
作業者は、水栓330から供給される水によって食器等を洗浄する。
【0097】
ここで、支持部120の奥側に、水栓330を使用する作業空間112が配置されているため、水栓330から供給される水によって洗浄された食器等を極めて短い動線で支持部120に載置することができる。支持部120に載置された洗浄後の食器等に付着した水は、水切り用隙間122を介してシンク310内に落下する。このため洗浄後の食器等の収納作業、乾燥作業を短時間で行うことができる。
【0098】
図7に示すカトラリー用水切り具150をまな板収納具100に装着した場合には、同様に水栓330から供給される水によって洗浄されたナイフ、フォーク、スプーン、箸などの食卓用具を極めて短い動線でカトラリー用水切り具150の凹部151に立てかけることができる。凹部151に立てかけられた洗浄後の食卓用具に付着した水は、凹部151の水切り孔151Bを介してシンク310内に落下する。このため洗浄後の食卓用具の収納作業、乾燥作業を短時間で行うことができる。
【0099】
図8に示すフック具160をまな板収納具100に装着した場合には、同様に水栓330から供給される水によって食器、食卓用具を洗浄する際に、極めて短い動線で洗浄用スポンジ等の洗浄用具をフック部161から取り出したり、使用後の洗浄用具をフック部161に掛けることができる。このため洗浄作業を効率良く行うことができる。
【0100】
以上のように実施形態によれば、従来技術と比較して、台所300のシンク310上における作業性が向上する。
【0101】
実施形態のまな板収納具100及びまな板200並びに水切り具100は、特許請求の範囲に記載された範囲内で、構成要素の省略、追加、変更、置換等の変形が可能である。
【符号の説明】
【0102】
100 まな板収納具
110 枠体
120 支持部
200 まな板
300 台所
310 シンク
320 天板
330 水栓