(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031281
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基板作業装置、基板のバックアップ方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134736
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 英一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC21
5E353EE02
5E353GG31
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL03
5E353MM04
5E353MM08
5E353PP02
5E353QQ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バックアップピンによるバックアップ動作前に、基板とバックアップピンの相対的なズレを抑える。
【解決手段】基板作業装置であって、基板PKを搬送する搬送装置20と、前記基板PKを、バックアップピンを用いて下方からバックアップするバックアップ装置と、前記基板PKを、前記第1方向に直交する第2方向から挟むクランプ装置と、前記基板PKに対して、所定の作業を行うヘッド部と、制御装置と、を備える。前記クランプ装置は、前記第2方向に開閉する一対のプレート41A、41Bを有し、前記制御装置は、前記基板PKが前記作業位置Kまで搬送された後、一対の前記プレート41A、41Bにより前記第2方向の両側から前記基板PKを挟むことで前記基板PKの姿勢を矯正し、前記プレート41A、41Bによる姿勢矯正後、前記バックアップピンを上昇させ、前記基板PKを下方からバックアップする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板作業装置であって、
基板を第1方向に送り、所定の作業位置まで搬送する搬送装置と、
前記搬送装置により前記作業位置に搬送された前記基板を、バックアップピンを用いて下方からバックアップするバックアップ装置と、
前記搬送装置により前記作業位置に搬送された前記基板を、前記第1方向に直交する第2方向から挟むクランプ装置と、
前記バックアップピンによりバックアップされた前記基板に対して、所定の作業を行うヘッド部と、
制御装置と、を備え、
前記クランプ装置は、前記第2方向に開閉する一対のプレートを有し、
前記制御装置は、
前記搬送装置により前記基板が前記作業位置まで搬送された後、一対の前記プレートにより前記第2方向の両側から前記基板を挟むことで前記基板の姿勢を矯正し、
前記プレートによる姿勢矯正後、前記バックアップピンを上昇させ、前記基板を下方からバックアップする、基板作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板作業装置であって、
前記基板を撮影する撮影装置を備え、
前記制御装置は、前記基板の姿勢矯正後、前記基板を前記第2方向の両側から挟む一対の前記プレートを開くと共に、前記撮影装置により前記基板を撮影し、
前記撮影装置により撮影した前記基板の画像から前記基板に存在する特徴点を認識し、
前記特徴点の認識結果より前記基板の停止位置の前記第1方向のズレ量を検出し、
前記第1方向のズレ量の検出後、前記搬送装置を駆動して前記基板の前記第1方向の位置を調整することにより、前記基板の停止位置の前記第1方向の位置のズレ量を補正する、基板作業装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板作業装置であって、
前記制御装置は、前記撮影装置により撮影した前記基板の画像から前記基板の対角に存在する2つの特徴点を認識し、
2つの前記特徴点の認識結果から前記基板の姿勢矯正後の回転方向のズレ量を検出し、
回転方向のズレ量が許容値を超えている場合、異常を報知する、基板作業装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板作業装置であって、
前記クランプ装置は、モータ駆動式であり、
前記制御装置は、前記基板の姿勢矯正のため一対の前記プレートを閉じる際に、モータの回転量制御により、一対の前記プレートの間隔を前記基板の前記第2方向の幅より広く調整する、基板作業装置。
【請求項5】
基板のバックアップ方法であって、
第1方向に送られる前記基板が作業位置まで搬送された後、一対のプレートにより第2方向の両側から前記基板を挟むことで、前記基板の姿勢を矯正し、
前記プレートによる姿勢矯正後、バックアップピンを上昇させ、前記基板を下方からバックアップする、基板のバックアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、基板とバックアップピンの相対的なズレを抑える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機や印刷機等の基板作業装置は、部品の搭載作業や印刷作業を行う際に、基板が撓まないように、基板をバックアップピンで支えている。この種の技術を開示する文献として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックアップピンは、部品の搭載位置を避けて配置する必要がある。搬送装置による搬送中に基板が傾く場合があるから、現状は、作業位置に搬入された基板の姿勢が傾いていても、バックアップピンが部品の搭載位置に重ならないように、バックアップピンの使用本数を減らし、バックアップピンの間隔を広くしている。
【0005】
本明細書で開示される技術は、バックアップピンによるバックアップ動作前に、基板の姿勢を矯正し傾きを抑えることで、部品の搭載位置に対するバックアップピンの距離を詰めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)基板作業装置は、基板を第1方向に送り、所定の作業位置まで搬送する搬送装置と、前記搬送装置により前記作業位置に搬送された前記基板を、バックアップピンを用いて下方からバックアップするバックアップ装置と、前記搬送装置により前記作業位置に搬送された前記基板を、前記第1方向に直交する第2方向から挟むクランプ装置と、前記バックアップピンによりバックアップされた前記基板に対して、所定の作業を行うヘッド部と、制御装置と、を備える。
【0007】
前記クランプ装置は、前記第2方向に開閉する一対のプレートを有する。前記制御装置は、前記搬送装置により前記基板が前記作業位置まで搬送された後、一対の前記プレートにより前記第2方向の両側から前記基板を挟むことで前記基板の姿勢を矯正し、前記プレートによる姿勢矯正後、前記バックアップピンを上昇させ、前記基板を下方からバックアップする。
【0008】
この構成は、バックアップピンによる基板のバックアップ動作前に、基板の姿勢(傾き)を矯正することで、基板とバックアップピンの相対的なズレを抑えた状態で、基板をバックアップすることができる。
【0009】
この構成は、バックアップピンによる基板のバックアップ動作前に、基板の姿勢を矯正しない場合と比較して、部品の搭載位置に対するバックアップピンの距離を詰めることが出来る。そのため、バックアップピンの使用本数を増やし、ピンの間隔を狭くすることが可能となり、基板をバックアップピンにより安定的に支持することが出来る。
【0010】
基板作業装置は、以下の構成でもよい。
(2)前記基板を撮影する撮影装置を備えてもよい。前記制御装置は、前記基板の姿勢矯正後、前記基板を前記第2方向の両側から挟む一対の前記プレートを開くと共に、前記撮影装置により前記基板を撮影し、前記撮影装置により撮影した前記基板の画像から前記基板に存在する特徴点を認識し、前記特徴点の認識結果より前記基板の停止位置の前記第1方向のズレ量を検出し、前記第1方向のズレ量の検出後、前記搬送装置を駆動して前記基板の前記第1方向の位置を調整することにより、前記基板の停止位置の前記第1方向の位置のズレ量を補正してもよい。
【0011】
この構成は、基板の姿勢(傾き)に加え、基板の停止位置の第1方向の位置のズレを補正できる。そのため、基板とバックアップピンの相対的なズレを抑えることができ、部品の搭載位置に対するバックアップピンの距離をより一層詰めることが出来る。
【0012】
(3)前記制御装置は、前記撮影装置により撮影した前記基板の画像から前記基板の対角に存在する2つの特徴点を認識し、2つの前記特徴点の認識結果から前記基板の姿勢矯正後の回転方向のズレ量を検出し、回転方向のズレ量が許容値を超えている場合、異常を報知してもよい。
【0013】
この構成は、クランプ装置や基板固定の異常を、作業者に早期に知らせることが出来る。そのため、作業者がラインを止めるなど必要な措置を講じることで、不良基板の発生を抑制できる。
【0014】
(4)前記クランプ装置は、モータ駆動式でもよい。前記制御装置は、前記基板の姿勢矯正のため一対の前記プレートを閉じる際に、モータの回転量制御により、一対の前記プレートの間隔を前記基板の前記第2方向の幅より広く調整してもよい。
【0015】
この構成は、基板の姿勢矯正後、一対のプレートを開かず、閉じた状態でも、基板の第1方向の位置補正を行うことが可能となる。そのため、基板の搬入後、基板を固定するまで時間を短くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書で開示される技術によれば、バックアップピンによるバックアップ動作前に、基板の姿勢を矯正し傾きを抑えることで、部品の搭載位置に対するバックアップピンの距離を詰めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】搬送装置、バックアップ装置及びクランプ装置の平面図である。
【
図3】搬送装置、バックアップ装置及びクランプ装置の側面図である。
【
図4】部品の搭載位置とバックアップピンの関係を示す図である。
【
図6】基板の姿勢矯正動作と位置補正動作の説明図である。
【
図7】基板の姿勢矯正動作と位置補正動作の説明図である。
【
図8】基板の搬入から作業実行までの一連の流れを示すフローチャートである。
【
図9】バックアップ動作と基板のクランプ動作の説明図である。
【
図11】基板の搬入から作業実行までの一連の流れを示すフローチャートである。
【
図12】基板の回転方向のズレ量の算出方法の説明図である。
【
図14】表面実装機の正面図(ヘッド部回りを示す)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
1.基板作業装置10の構成
図1は、基板作業装置10のブロック図である。基板作業装置10は、矩形の基板PKに対して所定の作業を行う装置であり、例えば、基板PKに印刷作業を行う印刷機や、部品の搭載作業を行う表面実装機等が含まれる。基板作業装置1は、搬送装置20、バックアップ装置30、クランプ装置40、ヘッド部50、撮影装置70及び制御装置100を備えている。
【0019】
搬送装置20は、作業対象となる基板PKをX方向(
図2の左右方向)に送り、所定の作業位置Kまで搬送する装置である。尚、以下の説明において、X方向に直交する方向を、Y方向(
図2の上下方向)とする。X方向は本発明の「第1方向」に相当し、Y方向は「第2方向」に相当する。
【0020】
搬送装置20は、例えば、コンベアであり、
図2に示すように、2本のコンベアベルト22A、22Bを有している。2本のコンベアベルト22A、22Bは、
図3に示すように、2つのコンベア支持フレーム21A、21Bに対して支持されており、2本のコンベアベルト22A、22BがX方向に同期回転することで、コンベアベルト22上の基板PKをX方向に送り、所定の作業位置Kに搬入することが出来る。
【0021】
作業位置Kは、ヘッド部50による所定の作業(基板に対する搭載作業や印刷作業)が実施される位置である。
【0022】
バックアップ装置30は、
図2に示すように、作業位置Kに配置されている。バックアップ装置30は、
図3に示すように、バップアッププレート31と、バックアッププレート31を上下方向に昇降させる昇降装置35と、を備える。
【0023】
作業位置Kに搬入され停止した基板PKを、バックアッププレート31上に配置したバックアップピン32により下方から支えることで、印刷作業や部品の搭載作業を行う際に、基板PKの撓みを抑えることが出来る。
【0024】
クランプ装置40は、第1プレート41A、第2プレート41B及び駆動装置45を有している。
図2に示すように、第1プレート41A及び第2プレート41Bは、X方向に長い形状であり、作業位置Kに配置されたバックアップ装置30のY方向両側に位置している。
【0025】
第1プレート41A、第2プレート41Bは、いずれも、コンベア支持フレーム21A、21Bに支持されている。この実施形態では、第1プレート41Aはコンベア支持フレーム21Aに固定された位置不変の固定プレートである。一方、第2プレート41Bはコンベア支持フレーム21Bに対して、Y方向への移動が可能な状態で取り付けられた移動プレートである。
【0026】
図3に示すように、第2プレート41Bをクランプ解除位置P1からクランプ位置P2に移動してプレート41A、41Bを閉じることで(間隔を狭くすることで)、一対のプレート41A、41BによりY方向両側から基板PKを挟むことが出来る。
【0027】
また、第2プレート41Bをクランプ位置P2からクランプ解除位置P1に移動して、プレート41A、41Bを開くことで(間隔を広くすることで)、一対のプレート41A、41Bによる基板PKの拘束を解くことが出来る。
【0028】
駆動装置45は、第2プレート41BをY方向に往復移動する装置である。駆動装置45は、エアシリンダやモータを用いることが出来る。この実施形態では、エアシリンダを使用する。
【0029】
制御装置100は、
図1に示すように、CPU101及び記憶部103を有している。制御装置100には、搬送装置20、バックアップ装置30、クランプ装置40、ヘッド部50及び撮影装置70がそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
制御装置100は、基板PKの搬送プロブラムや作業プロブラム(部品実装プログラムや印刷プログラム)など所定の動作プログラムに従って、各装置20、30、40、5070を制御する。
【0031】
記憶部103は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部103には、上記した動作プログラムや動作プログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。また、撮影装置70は、作業対象となる基板PKを撮影するカメラである。
【0032】
2.バックアップ動作前における基板の姿勢矯正
図4の(A)~(C)は、基板PK上の部品の搭載位置Wとバックアップピン32との位置関係を示す図である。
図4の(A)に示すように、バックアップピン32は、部品の搭載位置Wに重ならないように部品の搭載位置Wを避けて、バップアッププレート31上に配置する必要がある。
【0033】
搬送装置20による搬送中、
図5に示すように基板PKが傾く場合がある。基板PKの傾きを考慮しない場合、
図4の(B)に示すように、部品の搭載位置Wにバックアップピン32が重なる可能性がある。そのため、作業位置Kに搬入された基板PKが傾いていても、部品の搭載位置Wにバックアップピン32が重ならないように、従来は、
図4の(C)に示すように、バックアップピン32の使用本数を減らし、ピン32の間隔を広くて、部品の搭載位置Wまでの距離を必要以上に確保している。
【0034】
基板PKを安定的に保持するには、バックアップピン32の間隔を狭くすることが望ましく、そのためには、バックアップピン32によるバックアップ動作前の状態において、基板PKの傾きを抑え、基板PKとバックアップピン32の相対的なズレを抑制する必要がある。
【0035】
上記課題に鑑み基板作業装置10は、バックアップピン32による基板PKのバックアップ動作前に、以下の(A)、(B)を行う。
【0036】
(A)基板の姿勢矯正
(B)基板の第1方向の位置補正
【0037】
図6~
図8を参照して具体的に説明すると、作業対象となる基板PKは、
図6(1)に示すように、搬送装置20により、作業位置Kに搬入され停止する(
図8のS10)。尚、作業位置Kに対する基板PXの停止は、コンベアベルト22を駆動するコンベアモータ(図略)の回転量で制御してもよいし、物理的なストッパを設けてもよい。
【0038】
基板PKが作業位置Kに停止すると、
図6(2)に示すように、制御装置100は、駆動装置45を制御し、第2プレート41Bをクランプ解除位置P1からクランプ位置P2に移動する(
図8のS20)。
【0039】
これにより、作業位置Kに停止する基板PKは、一対のプレート41A、41BによりY方向両側から挟み込まれる。作業位置Kに停止する基板PKは、Y方向両側から挟み込まれることで、X方向に沿った状態となり、姿勢(傾き)が矯正される(
図8のS30)。
【0040】
姿勢矯正後、
図6(3)に示すように、制御装置100は、駆動装置45を制御し、第2プレート41Bをクランプ位置P2からクランプ解除位置P1に戻す。第2プレート41Bがクランプ解除位置P1に戻ることで、クランプ装置40による拘束が解かれ、作業位置Kに停止する基板PKは、搬送装置20の駆動に伴い、X方向への移動が可能となる(
図8のS40)。
【0041】
その後、制御装置100は、作業位置Kに停止する基板PKの上方に撮影装置70を移動し、基板PK上に存在するマーク等の特徴点Mを撮影装置70により撮影する(
図8のS50)。
【0042】
基板撮影後、制御装置100は、作業位置Kに停止する基板PKの画像から、基板PK上に存在する特徴点Mの位置を認識する。そして、特徴点Mの位置の認識結果から、基板PKの理想的な停止位置に対する姿勢矯正後の停止位置のX方向のズレ量を検出する。例えば、認識した特徴点Mの位置を理想的な特徴点Mの位置と比較して、特徴点MのX方向のズレ量を求めることで、停止位置のX方向のズレ量を検出することが出来る。
【0043】
制御装置100は、基板PKについて、停止位置のX方向のズレ量を検出すると、
図6(4)に示すように、搬送装置20を駆動し、基板PKのX方向の位置を調整することにより、基板PKの停止位置のX方向のズレ量を補正する(
図8のS60)。
【0044】
その後、制御装置100は、
図9(1)に示すように、昇降装置35を制御してバックアッププレート31を上昇させる(
図8のS70)。
【0045】
バックアッププレート31の上昇により、基板PKとバックアップピン32の上下方向の距離は短くなって行き、やがて、基板PKの下面にバックアップピン32が当接する。
【0046】
その後も、バックアッププレート31は上昇を続け、基板PKはバックアップピン32により持ち上げられる。
【0047】
そして、
図9(2)に示すように、持ち上げられた基板PKの上面がフラップ37に突き当たると、バックアッププレート31はその位置で上昇を停止する。以上により、基板PKはバックアップピン32によりバックアップされた状態となる。
【0048】
基板PKのバックアップ動作後、制御装置100は、駆動装置45を制御し、
図9(3)に示すように、第2プレート41Bをクランプ解除位置P1からクランプ位置P2に移動させる(
図8のS80)。
【0049】
これにより、バックアップピン32によりバックアップされた基板PKは、一対のプレート41A、41BによりY方向両側から挟みこまれる。
【0050】
以上により、基板PKは、一対のプレート41A、41Bにより、Y方向の移動を規制された状態となり、固定される。
【0051】
その後、制御装置100は、ヘッド部50を制御して、作業位置Kに固定された基板PKに対して所定の作業を行う。
図9の(4)では、ヘッド部50の一例として、基板PKに対する印刷作業を実行するスキージヘッド50Aを例示している。
【0052】
尚、実施形態1の
図3、
図7、
図9において、裏面に部品を搭載した裏面搭載済み基板を例に挙げているが、この技術は、裏面に部品を搭載していない基板にも適用することが出来る。
【0053】
図10は印刷機10Aの斜視図であり、印刷機10Aを構成する構成部品のうち、ヘッド部、マスク、バックアップ装置等については省略し、搬送装置20、クランプ装置40、撮影装置70のみ示している。
【0054】
この例では、スキージヘッドを駆動する駆動系とは別に、撮像装置70を駆動する駆動系を有しており、スキージヘッドの動作に拘束されることなく、任意のタイミングで基板PKの撮影を行うことが出来る構成となっている。
【0055】
4.効果
以上説明したように、バックアップピン32によるバックアップ動作に先立って、基板PKの姿勢矯正及びX方向の停止位置補正を行うことで、基板PKとバックアップピン32の相対的なズレを抑制した状態で、基板PKのバックアップ動作を行うことが出来る。
【0056】
本構成では、
図4の(C)に示すように、バックアップピン32から部品の搭載位置Wまでの距離を必要以上に確保する必要がなくなり、部品の搭載位置Wに対するバックアップピン32の距離を詰めることが出来る。従って、バックアップピン32の使用本数を増やし、ピンの間隔を狭くすることが可能となり、基板PKをバックアップピン32により安定的に支持した状態で、基板PKに対する印刷作業や部品の搭載作業を実施することが出来る。尚、基板の停止位置補正は任意の処理であり、省略することもできる。
【0057】
<実施形態2>
図11は、基板の搬入から作業実行までの流れを示すフローチャートであり、実施形態1にて開示した
図8のフローチャートに対して、S55とS100の2つのステップが追加されている点が相違している。
【0058】
S55にて、制御装置100は、撮影装置70により撮影した基板PKの画像から、基板PKの姿勢矯正後の回転方向のズレ量を認識する。具体的には、
図12に示すように、基板PKの画像から、基板PKの対角に存在する2つの特徴点M1、M2を認識する。
【0059】
そして、2つの特徴点M1、M2を通る直線Vを算出し、更に、基準直線V0に対する直線Vの角度誤差Δθを回転方向のズレ量として算出する。基準直線V0は、回転方向のズレ量がゼロであるときの2点M1、M2を通る直線である。
【0060】
回転方向のズレ量(角度誤差Δθ)が許容値を超えている場合(S55:NO)、制御装置100は、異常を外部に報知する(S100)。報知の態様は、例えば、基板作業装置10に設置されている警告ランプの点灯や、ブザーを鳴らすことが考えられる。
【0061】
一方、回転方向のズレ量(角度誤差Δθ)が許容値未満の場合(S55:YES)、実施形態1と同様に、制御装置100は、搬送装置20による基板PKのX方向の停止位置補正、バックアップ装置30による基板PKのバックアップ、クランプ装置40による基板クランプを実行した後、基板PKに対して印刷作業や部品の実装作業を行う(S60~S90)。
【0062】
この構成では、クランプ装置40や基板固定の異常の発生を、作業者に早期に知らせることが出来る。そのため、作業者がラインを止めるなど必要な措置を講じることで、不良基板の発生を抑制できる。
【0063】
<実施形態3>
実施形態1のクランプ装置40はシリンダ駆動式であったが、実施形態3のクランプ装置40はモータ駆動式である。モータ駆動式のクランプ装置40は、モータの回転量制御により、一対のプレート41A、41Bの間隔を微調整できるメリットがある。
【0064】
制御装置100は、姿勢矯正のため一対のプレート41A、41Bを閉じる際に、モータ40Aの回転量制御により、一対のプレート41A、41Bの間隔D1を、基板PKのY方向の幅D2よりも、広く調整する(
図13参照)。
【0065】
D1>D2の関係により、プレート41A、41Bを閉じた状態でも、基板PKとプレート41A、41Bとの間には隙間があり、基板PKはX方向に移動することが出来る。
【0066】
以上のことから、基板PKの姿勢矯正後、一対のプレート41A、41Bを開かず、閉じた状態のままでも、基板PKのX方向の位置補正を行うことが可能となり、実施形態1の
図8のS40を省略することが出来る。
【0067】
そのため、実施形態1と比較して、基板PKの搬入後、基板PKを固定するまで時間を短縮することが可能となる。
【0068】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0069】
上記した実施形態1~3では、基板作業装置10の一例として、
図10を参照して、印刷機10Aを例示した。基板作業装置10は、表面実装機10Bでもよい。
図14は、表面実装機10Bの正面図である。表面実装機10Bのヘッド部50Bは、部品を吸着するノズルシャフト53を有しており、作業位置Kに固定された基板PKに対して、ノズルシャフト53を用いて、部品の搭載作業を行うことが出来る。また、ヘッド部50Bには、撮影装置70が搭載されており、ヘッド部50Bを基板上方に移動することで、撮影装置70による基板PKの撮影が可能となっている。
【0070】
上記した実施形態1~3では、基板PK上に存在する特徴点Mの一例に、マークを示したが、特徴点Mはドットなどでもよい。
【0071】
上記した実施形態1~3では、クランプ装置40の一対のプレート41A、41Bのうち、第1プレート41Aを固定されたプレート、第2プレート41BをY方向に移動可能なプレートとした。クランプ装置40は、一対のプレート41A、41Bによる開閉動作(Y方向の間隔を狭くしたり、広げる動作)が可能性であればよく、例えば、第1プレート41A、第2プレート41Bの双方とも、Y方向に移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 基板作業装置
20 搬送装置
30 バックアップ装置
32 バックアップピン
40 クランプ装置
41A、41B プレート
50 ヘッド部
70 撮影装置
100 制御装置