(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031286
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】洗髪用及び身体用の洗浄設備
(51)【国際特許分類】
A45D 44/02 20060101AFI20240229BHJP
A45D 19/04 20060101ALI20240229BHJP
A45D 19/06 20060101ALI20240229BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20240229BHJP
A61H 35/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A45D44/02 A
A45D19/04
A45D19/06
A47K1/00 H
A61H35/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134745
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】507097800
【氏名又は名称】有限会社ビューティフルライフ
(71)【出願人】
【識別番号】519164312
【氏名又は名称】合同会社KT福祉環境研究所
(71)【出願人】
【識別番号】516106232
【氏名又は名称】傳明地 洋基
(71)【出願人】
【識別番号】301014524
【氏名又は名称】株式会社クニナリ
(71)【出願人】
【識別番号】500494499
【氏名又は名称】株式会社シマブン
(71)【出願人】
【識別番号】522341126
【氏名又は名称】山形 茂生
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】田中 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 清美
(72)【発明者】
【氏名】傳明地 洋基
(72)【発明者】
【氏名】米澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】島 信英
(72)【発明者】
【氏名】山形 茂生
【テーマコード(参考)】
3B040
4C094
【Fターム(参考)】
3B040AB01
4C094AA02
4C094AA10
4C094BB06
(57)【要約】
【課題】洗浄容器を床面等に充分に近づけることができ、長い範囲での昇降が可能であると共に、より軽量で簡易な構造でありながら、使用時の安定性や、安全性が良好であり、使い勝手に優れた洗髪用及び身体用の洗浄設備を提供する。
【解決手段】洗浄設備の一例である洗浄設備Aは、基台1と、脚部2と、載置台3と、ブラケット部4と、平行リンク部5と、洗浄ボウル6を備えている。また、洗浄設備Aは、シャンプー台、または、手足の洗浄台として使用する洗浄設備である。また、平行リンク部5は、上部リンク50及び下部リンク51、伸縮シリンダ52を有している。略コの字状に形成された上部リンク50及び下部リンク51を、その開口部を対向させて配置することで、平行リンク部5の本体全体としては、筒状の箱型形状を形成している。本形状により、上部リンク50及び下部リンク51の内側に空間が形成され、同空間に伸縮シリンダ52を配置可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
所定の設置面に配置されると共に、前記基台に接続され、かつ、同基台を支持する脚部と、
前記基台の前記所定の設置面とは反対側に配置され、洗浄容器が取り付けられる載置部と、
前記載置部の前記基台側に取り付けられ、同載置部を支持するブラケット部と、
略筒状に形成され、前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、前記所定の設置面に対して前記載置部を昇降せしめる平行リンク機構と、
前記平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になるとと共に、その伸縮により前記平行リンク機構を回動させる伸縮部とを備える
洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項2】
前記平行リンク機構は、
前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が軸支されると共に、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された上部リンクと、
前記上部リンクと平行に配置され、前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が軸支されると共に、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された下部リンクを有し、
前記伸縮部は、一端が前記上部リンクに軸支され、かつ、他端が前記基台に軸支された
請求項1に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項3】
前記上部リンクにおける長手方向に沿った断面視での略コの字の大きさは、前記下部リンクにおける長手方向に沿った断面視での略コの字の大きさよりも小さく形成されると共に、長手方向に沿った断面視で、前記上部リンクの前記下部リンク側の端縁は、同下部リンクの内側に位置する
請求項2に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項4】
前記ブラケット部の内部に設けられ、前記所定の設置面に向けて突出したストッパー部を備え、
前記平行リンク機構は、前記ストッパー部の近傍に切欠きが形成され、
前記平行リンク機構を介して、前記載置部を降下させた際に、前記ストッパー部の端部側が前記切欠きを挿通して、同平行リンク機構の外部に露出する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項5】
前記ブラケット部に対する前記載置部の角度を調整可能であり、同載置部の角度を固定した状態と、同載置部の角度を可変な状態に切り替え可能な首振り機構を備え、
前記首振り機構は、
前記載置部の前記ブラケット部側に設けられ、前記所定の設置面に向けて突出すると共に、スライド溝が形成された板状のロックプレートと、
略棒状の部材であり、少なくとも一部が前記スライド溝を挿通して、前記載置部の角度を可変な状態では、前記ロックプレートの移動を案内すると共に、前記載置部の角度を固定する状態では、前記ロックプレートを、厚み方向に沿って押圧して、同ロックプレートの移動を規制するロックレバーを有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項6】
前記載置部と前記ブラケット部はトルクヒンジを介して接続され、
前記首振り機構を介して、前記載置部を前記ブラケット部に近づける方向に向けて、同載置部の角度を変える際に、前記トルクヒンジが抗力を生じる
請求項5に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項7】
前記伸縮部は、流体の移動の制御で、伸縮可能な状態と、伸縮が固定された状態を切り替え可能なロックシリンダであり、
前記ロックシリンダは、押圧されることで、前記流体が移動可能となり、同ロックシリンダを伸縮可能な状態とするピン部材を有し、
前記所定のロック機構は、回動可能なロックペダルと、前記ロックペダルの回動に伴って回動すると共に、回動して前記ピン部材を押圧可能な回転部材を有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項8】
前記脚部は、
前記基台に接続され、同基台から離れる方向に延出した複数の柱部と、
前記所定の設置面に当接する複数のキャスター部と、
前記柱部と前記キャスター部を接続すると共に、鉛直方向における、前記柱部側の端部の位置と、前記キャスター部側の端部の位置とを異ならせる段差部が形成され、前記柱部に対する接続の向きを上下反転して接続可能に構成されたキャスター接続部を有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項9】
前記載置部と前記洗浄容器の間に配置されると共に、前記載置部と前記洗浄容器の両方に着脱自在に構成され、同載置部と同洗浄容器を接続する容器接続部を備える
請求項1、請求項2または請求項3に記載の洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【請求項10】
基台と、
所定の設置面に配置されると共に、前記基台に接続され、かつ、同基台を支持する脚部と、
前記基台の前記所定の設置面とは反対側に配置され、洗浄容器が取り付けられる載置部と、
前記載置部の前記基台側に取り付けられ、同載置部を支持するブラケット部と、
略筒状に形成され、前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、前記所定の設置面に対して前記載置部を昇降せしめる平行リンク機構と、
前記平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になると共に、その伸縮により前記平行リンク機構を回動させる伸縮部と、
前記載置部に取り付けられる容器体であり、その内部で、少なくとも頭髪、手、足を洗浄可能な洗浄容器とを備える
洗髪用及び身体用の洗浄設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗髪用及び身体用の洗浄設備に関する。詳しくは、洗浄容器を床面等に充分に近づけることができ、長い範囲での昇降が可能であると共に、より軽量で簡易な構造でありながら、使用時の安定性や、安全性が良好であり、使い勝手に優れた洗髪用及び身体用の洗浄設備に係るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療、介護での治療や施術、あるいは理美容院等のサービスを提供する際、手、頭、足等の治療や、施術及びサービスを受ける利用者の体の各部位を洗浄するための洗浄設備が用いられている。
【0003】
この洗浄設備は、例えば、シャンプー台が代表的であるが、使用者の頭部を洗浄容器の上に位置させ、シャワー等で洗髪を行う際に用いられる。また、医療や介護の分野では、対象者の手または足を洗浄容器に入れ、手足の洗浄を行う洗浄台が利用されている。
【0004】
このような洗浄設備を用いる際には、洗浄の対象となる部位や、対象者の姿勢に合わせて、洗浄容器を、所望の高さ位置や角度に配置する必要があり、洗浄容器の昇降機構や、首振り機構を設けた洗浄設備が提案されている。
【0005】
また、本発明者らは、長年、介護及び理美容事業に携わっており、健常者に限らず、体の姿勢を大きく変えることが困難な高齢者や、車椅子の利用者、寝たきりの状態にある方にも利用しやすい洗浄設備の開発を行ってきた。
【0006】
例えば、本発明者らは、洗浄容器の昇降機構や、首振り機構を有しながら、より軽量で安価に構成しやすい洗浄設備を開発している(特許文献1参照)。
【0007】
この特許文献1に記載された洗浄設備は、
図17に示すように、基台1と、洗浄容器30が載置される載置台20と、基台1に対して載置台20を昇降自在に接続するリンク機構と、基台1とリンク機構とに接続され、かつ載置台20を基台1に対して昇降させるシリンダ40とを備えている。
【0008】
また、リンク機構は、両端部が載置台20と基台1とに枢着され伸縮しないリンク24と、リンク24と略平行に両端部が載置台20と基台1とに枢着され伸縮可能なメカロック機構とを有している。
【0009】
この特許文献1に記載された洗浄設備は、第2伸縮部材50の長さを適正に設定すれば、リンク24と第2伸縮部材50とが、ほぼ平行四辺形をなすように位置し、シリンダ40を伸縮させ、平行リンク機構を構成する昇降モードとすることができる。
【0010】
また、載置台20が適正な高さに至った状態で、第1伸縮部材(シリンダ40)の動作を停止し、第2伸縮部材50を伸長/収縮させることで、首振りモードとして、載置台を基台に対して傾けることができる。即ち、洗浄容器を水平面に対して、首振りさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載された洗浄設備では、以下の点において、更なる改良の余地があった。
【0013】
まず、特許文献1に記載された洗浄設備では、洗浄容器の高さ位置を変える昇降モードにおいて、洗浄容器を床面側に位置させた際に、洗浄容器を充分に低い位置に配置することが困難であった。
【0014】
これは、洗浄容器を降下させる際、つまり、第1伸縮部材(シリンダ40)を縮めて、リンク24と第2伸縮部材50を床面側に近づけていく時に、シリンダ40を設けた位置の制約により、リンク24及び第2伸縮部材50を水平面と略平行な向き、または、それ以上に傾けることができないことに起因している。
【0015】
このように、載置台20及び洗浄容器を、充分に床面に近づけて、低い位置に配置できないことから、洗浄設備で足を洗浄する際、対象者によっては、床面から足を持ち上げ、洗浄容器内に足を入れる一連の動作が難しく、洗浄設備を利用しにくくなっていた。
【0016】
このことは、とりわけ、足が不自由な人や、足の筋力が低下した高齢者等で顕著であり、洗浄設備側の改良が求められていた。また、洗浄容器の昇降する範囲が長くなれば、それだけ、対象者の様々な姿勢に対応しやすい構造となる。
【0017】
また、特許文献1に記載された洗浄設備では、構造全体の軽量化が不充分であった。例えば、上述したように、洗浄設備の支持機構の中で、広い範囲を占める平行リンク機構において、その一部が、第2伸縮部材50で構成されている。
【0018】
第2伸縮部材50は、首振りモードを担うため、伸縮機能を備える必要があるが、そのために、リンク24等に比べて、部材そのものの重量が大きく、構造全体の重量が重くなる原因となっていた。
【0019】
さらに、特許文献1に記載された洗浄設備では、昇降モードや首振りモードで、各部材が回動する際に、使用者が手等を挟んでしまうおそれがあった。即ち、使用時の安全性を高める点でも、改善の余地があった。
【0020】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、洗浄容器を床面等に充分に近づけることができ、長い範囲での昇降が可能であると共に、より軽量で簡易な構造でありながら、使用時の安定性や、安全性が良好であり、使い勝手に優れた洗髪用及び身体用の洗浄設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために本発明の洗髪用及び身体用の洗浄設備は、基台と、所定の設置面に配置されると共に、前記基台に接続され、かつ、同基台を支持する脚部と、前記基台の前記所定の設置面とは反対側に配置され、洗浄容器が取り付けられる載置部と、前記載置部の前記基台側に取り付けられ、同載置部を支持するブラケット部と、略筒状に形成され、前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、前記所定の設置面に対して前記載置部を昇降せしめる平行リンク機構と、前記平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になるとと共に、その伸縮により前記平行リンク機構を回動させる伸縮部とを備える。
【0022】
ここで、基台と、所定の設置面に配置されると共に、基台に接続され、かつ、基台を支持する脚部によって、脚部と基台を介して、所定の設置面に、洗浄設備を置いて支持可能となる。なお、ここでいう所定の設置面とは、平坦な床面だけでなく、脚部を置くことが可能な程度の、凹凸のある面も含むものを意味する。
【0023】
また、載置部が、基台の所定の設置面とは反対側に配置され、洗浄容器が取り付けられることによって、所定の設置面から離れた箇所に洗浄容器を配置することができる。
【0024】
また、ブラケット部が、載置部の基台側に取り付けられ、載置部を支持し、平行リンク機構が、基台及びブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されることによって、ブラケット部と平行リンク機構を介して、基台の上方で、載置部を支持可能となる。即ち、基台の上方で、洗浄容器を支持する構造とすることができる。
【0025】
また、平行リンク機構が、基台及びブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、所定の設置面に対して載置部を昇降せしめることによって、所定の設置面からの載置部の高さ位置を変えることができる。即ち、洗浄容器を昇降させ、その高さを変えることが可能となる。
【0026】
また、伸縮部が、所定のロック機構を解除して伸縮自在になると共に、その伸縮により平行リンク機構を回動させることによって、伸縮部を伸縮させて、所定の設置面からの載置部の高さ位置を変えることが可能となる。また、所定のロック機構により、伸縮部を伸縮不可にして、載置部の高さ位置を固定することができる。
【0027】
また、伸縮部が、平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になるとと共に、その伸縮により平行リンク機構を回動させることによって、伸縮部に干渉されることなく、平行リンク機構を回動可能となる。このことによれば、平行リンク機構の回動範囲が大きくなり、これに伴い、所定の設置面に載置部を近づけやすくなる。この結果、所定の設置面に対して、洗浄容器を、充分に低い位置に配置させることができる。
【0028】
また、平行リンク機構が、基台及びブラケット部に、その両端が軸支されると共に、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された上部リンクと、上部リンクと平行に配置され、基台及びブラケット部に、その両端が軸支されると共に、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された下部リンクを有し、伸縮部が、一端が上部リンクに軸支され、かつ、他端が基台に軸支された場合には、上部リンク、下部リンク及び伸縮部により、平行リンク機構を構成することができる。また、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された上部リンクと、長手方向に沿った断面視で略コの字状に形成された下部リンクにより、上部リンク及び下部リンクに囲まれた内部空間を形成して、その内部空間に、伸縮部を配置することが可能となる。
【0029】
また、上部リンクにおける長手方向に沿った断面視での略コの字の大きさは、下部リンクにおける長手方向に沿った断面視での略コの字の大きさよりも小さく形成されると共に、長手方向に沿った断面視で、上部リンクの下部リンク側の端縁は、下部リンクの内側に位置する場合には、2つの略コの字状の部材を向き合わせた状態で、より小さな略コの字の上部リンクの端縁を、大きな略コの字の下部リンクの内側に配置させて、平行リンク機構の外形を構築するものとなる。このことによれば、2つの略コの字状の部材を向き合わせた状態で、上部リンクと下部リンクの一部を重ねて、各部材の側面に隙間が生じにくい形状とすることができる。即ち、伸縮部を伸縮させ、平行リンク機構を回動させる際に、上部リンクと下部リンクとの隙間に使用者の指が入り、回動に伴って、指が部材間で挟まれてしまうことを抑止できる。
【0030】
また、ブラケット部の内部に設けられ、所定の設置面に向けて突出したストッパー部を備え、平行リンク機構は、ストッパー部の近傍に切欠きが形成され、平行リンク機構を介して、載置部を降下させた際に、ストッパー部の端部側が切欠きを挿通して、平行リンク機構の外部に露出する場合には、ストッパー部を介して、ブラケット部及び載置部を安定して、所定の設置面上で支持することが可能となる。即ち、例えば、載置部を降下させた際には、洗浄容器が所定の設置面に近づいた低い位置に配置され、洗浄容器に対象者の足を入れて、足浴して、足を洗浄する用途に用いられる。この時、使用者の体重や洗浄時の水の重さが洗浄容器にかかるが、重さがかかって洗浄容器が下がる動きに伴い、ストッパー部の下端が所定の設置面にあたり、ストッパー部を介して、容器を安定して支持しやすくなる。これにより、洗浄容器が傾いたり、水が容器外にこぼれたりすることを抑止できる。
【0031】
また、ブラケット部に対する載置部の角度を調整可能であり、載置部の角度を固定した状態と、載置部の角度を可変な状態に切り替え可能な首振り機構を備える場合には、ブラケット部に対する洗浄容器の角度を異なる角度に切り替えて、使用者の姿勢等に合わせて、洗浄容器を配置しやすくなる。
【0032】
また、首振り機構が、載置部のブラケット部側に設けられ、所定の設置面に向けて突出すると共に、スライド溝が形成された板状のロックプレートと、略棒状の部材であり、少なくとも一部がスライド溝を挿通して、載置部の角度を可変な状態では、ロックプレートの移動を案内するロックレバーを有する場合には、ロックプレートのスライド溝と、スライド溝を挿通したロックレバーの一部とで、載置部の角度を変える動きを案内して、その角度を調整することができる。
【0033】
また、首振り機構が、載置部のブラケット部側に設けられ、所定の設置面に向けて突出すると共に、スライド溝が形成された板状のロックプレートと、略棒状の部材であり、少なくとも一部がスライド溝を挿通して、載置部の角度を固定する状態では、ロックプレートを、厚み方向に沿って押圧して、ロックプレートの移動を規制するロックレバーを有する場合には、ロックレバーを介して、ロックプレートを厚み方向に沿って押圧して、ロックプレートの移動を規制し、載置部の角度を固定することができる。
【0034】
また、首振り機構が、載置部のブラケット部側に設けられた板状のロックプレートと、略棒状の部材であり、少なくとも一部がスライド溝を挿通したロックレバーを有する場合には、平行リンク機構の構成部材とは別の部材を用いて、載置部の首振り機構を構築することができる。即ち、例えば、平行リンク機構の構成部材の一部に伸縮部材を設けて、洗浄容器の首振り機構を設ける構造に比べて、ロックプレートとロックレバーは小さな部材となるため、首振り機構を構築する部材を、小さくコンパクトなものにできる。これにより、洗浄設備の構造全体における重量を軽量化することが可能となる。
【0035】
また、載置部とブラケット部がトルクヒンジを介して接続され、首振り機構を介して、載置部をブラケット部に近づける方向に向けて、載置部の角度を変える際に、トルクヒンジが抗力を生じる場合には、載置部をブラケット部に近づける際に、トルクヒンジの抗力により、載置部とブラケット部がゆっくり近づく構造となり、載置部とブラケット部との間に使用者の指が入り、指が部材間で挟まれてしまうことを抑止できる。
【0036】
また、伸縮部が、流体の移動の制御で、伸縮可能な状態と、伸縮が固定された状態を切り替え可能なロックシリンダであり、ロックシリンダは、押圧されることで、流体が移動可能となり、ロックシリンダを伸縮可能な状態とするピン部材を有し、所定のロック機構は、回動可能なロックペダルと、ロックペダルの回動に伴って回動すると共に、回動してピン部材を押圧可能な回転部材を有する場合には、使用者がロックペダルを操作することで、回転部材を回転させ、ピン部材を押圧し、ロックシリンダを伸縮可能な状態にする、即ち、平行リンク機構を回動可能にして、載置部を昇降可能な状態にすることができる。また、使用者がロックペダルを放すことで、回転部材によりピン部材が押圧されなくなり、ロックシリンダが伸縮不可となり、平行リンク機構が回動せず、載置部の昇降位置をロックすることができる。このように、ロックペダルの操作により、載置部の昇降位置を変えたり、固定したりすることができる。
【0037】
また、脚部が、基台に接続され、基台から離れる方向に延出した複数の柱部と、所定の設置面に当接する複数のキャスター部と、柱部とキャスター部を接続すると共に、鉛直方向における、柱部側の端部の位置と、キャスター部側の端部の位置とを異ならせる段差部が形成され、柱部に対する接続の向きを上下反転して接続可能に構成されたキャスター接続部を有する場合には、キャスター接続部の、柱部に対する接続の向きを上下反転させることで、鉛直方向における、所定の設置面に対する、基台の高さ位置を変えることができる。即ち、段差部により、キャスター接続部の柱部側の端部の位置が、所定の設置面に対して、高い位置と、低い位置に切り替え可能となる。この結果、鉛直方向における、載置部及び洗浄容器の高さ位置に、更なる高低差を反映させ、使用の用途に合わせた、高さ位置の選択の幅を広げることができる。
【0038】
また、載置部と洗浄容器の間に配置されると共に、載置部と洗浄容器の両方に着脱自在に構成され、載置部と洗浄容器を接続する容器接続部を備える場合には、載置部と洗浄容器を分離する作業を容易なものにできる。即ち、例えば、洗浄容器を直接、載置部に接続した構造では、ブラケット部と繋がった状態の載置部に、洗浄容器を固定するためのボルト等の固定具を設ける必要があり、固定具を外す際には、ブラケット部を避けながら作業を行うこととなり、作業性が悪くなる。そこで、載置部と洗浄容器の間に、双方の部材を接続し、着脱自在に構成された容器接続部を設けることで、容器接続部のうち、ブラケット部と干渉しにくい位置に固定具を取り付けることができる。この結果、載置部と洗浄容器を容易に分離することが可能となる。
【0039】
また、上記の目的を達成するために本発明の洗髪用及び身体用の洗浄設備は、基台と、所定の設置面に配置されると共に、前記基台に接続され、かつ、同基台を支持する脚部と、前記基台の前記所定の設置面とは反対側に配置され、洗浄容器が取り付けられる載置部と、前記載置部の前記基台側に取り付けられ、同載置部を支持するブラケット部と、略筒状に形成され、前記基台及び前記ブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、前記所定の設置面に対して前記載置部を昇降せしめる平行リンク機構と、前記平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になると共に、その伸縮により前記平行リンク機構を回動させる伸縮部と、前記載置部に取り付けられる容器体であり、その内部で、少なくとも頭髪、手、足を洗浄可能な洗浄容器とを備える。
【0040】
ここで、基台と、所定の設置面に配置されると共に、基台に接続され、かつ、基台を支持する脚部によって、脚部と基台を介して、所定の設置面に、洗浄設備を置いて支持可能となる。
【0041】
また、平行リンク機構が、基台及びブラケット部に、その両端が回動可能に軸支されると共に、回動することで、所定の設置面に対して載置部を昇降せしめることによって、所定の設置面からの載置部の高さ位置を変えることができる。即ち、洗浄容器を昇降させ、その高さを変えることが可能となる。
【0042】
また、伸縮部が、所定のロック機構を解除して伸縮自在になると共に、その伸縮により平行リンク機構を回動させることによって、伸縮部を伸縮させて、所定の設置面からの載置部の高さ位置を変えることが可能となる。また、所定のロック機構により、伸縮部を伸縮不可にして、載置部の高さ位置を固定することができる。
【0043】
また、伸縮部が、平行リンク機構の内側に配置され、所定のロック機構を解除して伸縮自在になると共に、その伸縮により平行リンク機構を回動させることによって、伸縮部に干渉されることなく、平行リンク機構を回動可能となる。このことによれば、平行リンク機構の回動範囲が大きくなり、これに伴い、所定の設置面に載置部を近づけやすくなる。この結果、所定の設置面に対して、洗浄容器を、充分に低い位置に配置させることができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る洗髪用及び身体用の洗浄設備は、洗浄容器を床面等に充分に近づけることができ、長い範囲での昇降が可能であると共に、より軽量で簡易な構造でありながら、使用時の安定性や、安全性が良好であり、使い勝手に優れたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の実施の形態である洗浄設備の概略側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態である洗浄設備の概略斜視図である。
【
図3】洗浄ボウルを除いた状態での洗浄設備の概略側面図である。
【
図4】
図3に示す構造における昇降モードの上昇時の概略部分断面図である。
【
図5】
図3に示す構造における昇降モードの下降時の概略部分断面図である。
【
図6】平行リンク部の構造を示す部分断面図である。
【
図7】平行リンク部のロック機構の周辺構造を示す概略部分断面図である。
【
図8】
図3に示す構造における昇降モードの上昇時の概略斜視図である。
【
図9】
図3に示す構造における昇降モードの下降時の概略斜視図である。
【
図10】
図3に示す構造の前方側から見た概略正面図である。
【
図11】載置台及びブラケット部の内部構造を示す概略部分断面図である。
【
図12】載置台及びブラケット部の内部構造を示す概略部分正面図である。
【
図13】(a)は、洗浄ボウルの異なる固定構造を有する洗浄設備の全体構造を示す概略斜視図であり、(b)は、載置台と容器接続部の周辺構造を示す拡大図である。
【
図14】(a)は、
図14(b)に示す図を下方側から見た概略斜視図であり、(b)は、載置台の概略平面図であり、(c)は載置台の概略側面図である。
【
図15】(a)は、容器接続部の概略平面図であり、(b)容器接続部の概略側面図であり、(c)は突起部とその周辺部分の拡大図である。
【
図16】(a)は、載置台と容器接続部をやや分離させた状態で配置した概略斜視図であり、(b)は、
図16(a)の図を側面から見た図である。
【
図17】従前の洗浄設備の構造を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。
【0047】
本発明を適用した洗浄設備の一例である洗浄設備Aは、基台1と、脚部2と、載置台3と、ブラケット部4と、平行リンク部5と、洗浄ボウル6を備えている(
図1参照)。また、洗浄設備Aは、シャンプー台、または、手足の洗浄台として使用する洗浄設備である。
【0048】
なお、以下の説明においては、
図1を基準に、基台1から見た洗浄ボウル6の方向を、上または上方とし、洗浄ボウル6から見た基台1の方向を、下または下方と称する。また、
図1を基準に、図中の左側を、前または前方と称し、図中の右側を、後ろまたは後方と称する。また、
図10を基準に、基台1から見たキャスター22の方向を、外または外側とし、キャスター22から見た基台1の方向を、内または内側と称する。
【0049】
ここで、基台1は、洗浄設備Aの下部側の本体を構成する部材であると共に、載置台3、ブラケット部4、平行リンク部5及び洗浄ボウル6を支持する部材である。また、脚部2は、洗浄設備Aを配置する床面上で、基台1を支持する部材である(
図1及び
図2参照)。
【0050】
また、洗浄設備Aは、脚部2を配置可能な場所(設置面)であれば、必ずしも、略平坦な床面のみに設置されるものではなく、例えば、多少の凹凸を有する屋外等の地面に設置して使用することが可能である。
【0051】
また、載置台3は、洗浄ボウル6を取り付ける板状の部材であると共に、後述する首振り機構を介して、ブラケット部4に対する角度を変えて、洗浄ボウル6の床面に対する角度が調整可能な部材である(
図1参照)。
【0052】
また、ブラケット部4は、載置台3及び洗浄ボウル6を支持する部材であると共に、洗浄設備Aの上部側の本体を構成する部材である(
図1参照)。また、ブラケット部4は、その内部に、首振り機構が設けられた部材である。
【0053】
また、平行リンク部5は、基台1の上方で、ブラケット部4、載置台3及び洗浄ボウル6を支持する部材である(
図1及び
図2参照)。また、平行リンク部5は、床面に対する載置台3及び洗浄ボウル6の高さ位置を変更するため平行リンク機構を担う部材である。
【0054】
また、洗浄ボウル6は、頭部または手足を洗浄する際に、対象者の頭部や手足を、その上方に配置して、シャワー等により、頭部や手足にかける温水を集めて、図示しないホースや配管構造に流水を流すための容器部材である(
図1及び
図2参照)。
【0055】
ここで、洗浄ボウル6の形状や大きさは特に限定されるものでなく、用途や対象者のサイズ等に合わせて、適宜設定することができる。
【0056】
図2に示すように、基台1は、基台側片10と基台側片11を有する。この基台側片10と基台側片11は、図示しない締結具で固定され、一体化され、基台1を構成する。また、基台側片10と基台側片11の間には、平行リンク部5の下端部側が取り付けられている。
【0057】
また、基台側片10と基台側片11の間には、平行リンク部5の回動を規制または解除するロック機構7が設けられている(
図2参照)。ロック機構7の詳細な構造は後述する。また、基台側片10または基台側片11には、後述する、脚部2を構成する柱部20の一端が固定されている。
【0058】
ここで、基台1は、必ずしも、基台側片10と基台側片11を有して構成される必要はなく、洗浄設備Aを配置した床面上に、脚部2を介して、載置台3、ブラケット部4、平行リンク部5、及び、洗浄ボウル6を安定的に支持可能な構造となっていれば、基台1を構成する部材や形状は、適宜設定することが可能である。
【0059】
[平行リンク部]
図3~
図9を用いて、平行リンク部5及び周辺構造と、平行リンク部5を用いた昇降モードについて説明する。なお、
図4、
図5及び
図7は、平行リンク部5及び周辺構造の内部構造を示した概略図である。また、
図3~
図9においては、平行リンク部5及び周辺構造を分かりやすくするため、載置台3の上部に置かれる洗浄ボウル6を除いた状態の構造を図示している。
【0060】
ここで、平行リンク部5は、上部リンク50及び下部リンク51(
図3及び
図4参照)、伸縮シリンダ52(
図4及び
図5参照)を有している。
【0061】
また、上部リンク50及び下部リンク51は、平行リンク部5の本体(平行リンク機構の本体)を構成する部材である。また、上部リンク50及び下部リンク51の両端が、基台1またはブラケット部4に、回動可能に軸支されている。
【0062】
この平行リンク部5は、平行リンク機構を構成しており、上部リンク50及び下部リンク51を回動させる際には、上部リンク50及び下部リンク51の、それぞれの長手方向が略平行な向きのまま、回動するように構成されている。
【0063】
より詳細には、上部リンク50の上端部側は、上部リンク第1軸支部500を介して、ブラケット部4に回動可能に軸支されている。また、上部リンク50の下端部側は、上部リンク第2軸支部501を介して、ブラケット部4に回動可能に軸支されている(
図3及び
図4参照)。
【0064】
また、下部リンク51の上端部側は、下部リンク第1軸支部510を介して、ブラケット部4に回動可能に軸支されている。また、下部リンク51の下端部側は、下部リンク第2軸支部511を介して、ブラケット部4に回動可能に軸支されている(
図3及び
図4参照)。
【0065】
また、伸縮シリンダ52は、後述するロック機構7を介して、伸縮可能な状態と、伸縮が規制された状態が切替可能に構成されている。伸縮シリンダ52は、ロック機構7が解除された状態で、伸縮可能となるシリンダ部材である。
【0066】
この伸縮シリンダ52が伸縮することで、基台1に対する載置台3(洗浄ボウル6)の向きを一定に保ったまま、上部リンク50及び下部リンク51を回動させて、床面に対する載置台3の高さ位置を昇降させることができる(この昇降の動きを行う状態を「昇降モード」と称する)。
【0067】
また、伸縮シリンダ52の上端部側は、伸縮シリンダ第1軸支部523を介して、上部リンク50に回動可能に軸支されている。また、伸縮シリンダ52の下端部側は、伸縮シリンダ第2軸支部524を介して、ブラケット部4に回動可能に軸支されている(
図3及び
図4参照)。
【0068】
上記のように、上部リンク50、下部リンク51及び伸縮シリンダ52のそれぞれの部材の両端が回動可能に軸支され、かつ、伸縮シリンダ52の伸縮に伴って、各部材が回動することで、基台1に対する載置台3(洗浄ボウル6)の向きを一定に保ったまま、床面に対する載置台3の高さ位置を昇降させることができる。
【0069】
なお、
図3、
図4及び
図8では、昇降モードのうち、床面からの載置台3の高さが最も高い状態(以下、「昇降モードの上昇時」と称する)の状態を示し、
図5及び
図9では、昇降モードのうち、床面からの載置台3の高さが最も低い状態(以下、「昇降モードの下降時」と称する)の状態を示している。
【0070】
ここで、伸縮シリンダ52は、所定のロック機構を介して、伸縮状態が切替可能な伸縮部材であれば、既知の部材が採用しうる。例えば、オイルシリンダやガスシリンダ等の流体を利用して伸縮するシリンダ部材等が採用しうる。
【0071】
また、
図6に示すように、上部リンク50及び下部リンク51は、その長手方向から見た視点で、略コの字状に形成された柱状の部材であり、互いに、その略コの字状の開口部を対向させる向きで配置されている。なお、
図6は、
図1の符号Bで示した矢印の方向に沿って、平行リンク部5を見た概略断面図である。
【0072】
このような、略コの字状に形成された上部リンク50及び下部リンク51を、その開口部を対向させて配置することで、平行リンク部5の本体全体としては、筒状の箱型形状を形成している。本形状により、上部リンク50及び下部リンク51の内側に空間が形成され、同空間に伸縮シリンダ52を配置可能となる。
【0073】
そして、上部リンク50及び下部リンク51の内側の空間に伸縮シリンダ52を配置したことで、昇降モードの動作時に、上部リンク50及び下部リンク51を回動させる際に、上部リンク50及び下部リンク51が回動する移動経路において、伸縮シリンダ52が干渉せず、上部リンク50及び下部リンク51が回動する範囲を大きく取ることができる。
【0074】
つまり、本発明を適用した洗浄設備Aでは、伸縮シリンダ52が、昇降モードの下降時に、上部リンク50及び下部リンク51を前方へと回動させる動きを妨げず、載置台3及び洗浄ボウル6を充分に床面に近づけた、低い位置に配置させることが可能となる。
【0075】
もし仮に、下部リンク51と床面の間に、伸縮シリンダが設けられた構造(本発明とは異なる構造)となっていれば、上部リンク50及び下部リンク51を前方へと回動させる際に、伸縮シリンダが、下部リンク51が前方に回動する動きの途中で干渉することを避ける必要が生じ、下部リンク51を伸縮シリンダに接触しない位置で停止させるものとなる。このような構造では、載置台3及び洗浄ボウル6を充分に床面に近づけた、低い位置に配置させることが困難となる。
【0076】
また、
図6に示すように、長手方向から見た視点で、上部リンク50の略コの字状の外形の大きさは、下部リンク51の略コの字状の外形の大きさよりも小さく形成されている。また、上部リンク50の前方側の端縁502(
図6で見る左側の端縁)は、下部リンク51の後方側の端縁512(
図6で見る右側の端縁)の内側に配置されている。
【0077】
上部リンク50の端縁502及び下部リンク51の端縁512が、上記の位置関係となることで、下部リンク51の略コの字状の開口部に、上部リンク50の端縁502が入り込んだ形状となる(
図6参照)。
【0078】
そして平行リンク部5を側面から見た場合、上部リンク50と下部リンク51は、部分的に重なった位置関係となり、上部リンク50と下部リンク51の間には、隙間が形成されない形状となる(
図3参照)。
【0079】
このように、平行リンク部5を側面から見た場合で、上部リンク50と下部リンク51の間には、隙間が形成されない形状となることから、上部リンク50と下部リンク51が回動する際に、上部リンク50の端縁502と、基台1との間に、使用者の指が挟まれてしまうことを抑止できる。
【0080】
[昇降モードのロック機構]
次に、昇降モードのロック機構7について説明する。ロック機構7は、伸縮シリンダ52を伸縮可能な状態と、伸縮が規制された状態に切り替える機構である。また、伸縮シリンダ52が伸縮可能な状態となることで、平行リンク部5が回動して、載置部3を床面に対して、昇降させることができる。なお、
図7は、
図3に示す符号Dを付した円で囲んだ範囲の内部構造を示す概略断面図である。
【0081】
また、ロック機構7は、ロック解除ペダル70と、ベアリング71と、半月板72を有している(
図4及び
図7参照)。また、ロック機構7で操作される伸縮シリンダ52は、シリンダ本体520と、ピストンロッド521と、プッシュピン522を有している。
【0082】
また、ロック解除ペダル70は、ペダル軸支部700を介して回転可能に支持された部材であり、ロック解除ペダル70を使用者が踏むとこれが回転して、ベアリング71を回転させる部材である(
図7参照)。
【0083】
また、ベアリング71が回転すると、これに伴い、半月板72が回転して、半月板72がプッシュピン522を押圧するように構成されている(
図7参照)また、半月板72は、上述した伸縮シリンダ第2軸支部524を介して、回転可能に軸支されている。
【0084】
また、ロック解除ペダル70の一部と、ペダル軸支部700と、ベアリング71と、半月板72は、基台1の内部、即ち、基台側片10と基台側片11の間に配置されている。
【0085】
また、伸縮シリンダ52では、シリンダ本体520の内部に、ピストンロッド521と、プッシュピン522への押圧の有無に伴って移動するオイルやガス等の流体が充填されている。また、ピストンロッド521の下端にプッシュピン522が設けられている。
【0086】
また、伸縮シリンダ52は、プッシュピン522が回転した半月板72に押圧されることで、シリンダ本体520の内部で流体が移動して、ピストンロッド521が移動可能な状態となる。即ち、伸縮シリンダ52が長手方向に沿って伸縮可能となる。
【0087】
この状態が、ロック機構7のロックが解除された状態であり、伸縮シリンダ52が伸縮して、上部リンク50及び下部リンク51が回動可能な状態となり、昇降モードとなる。
【0088】
一方、使用者がロック解除ペダル70から足を離すと、ベアリング71及び半月板72が回転する前の状態に戻り、半月板72がプッシュピン522を押圧しなくなり、シリンダ本体520に充填されたガスが移動して、ピストンロッド521の移動が規制された状態となる。
【0089】
この状態が、ロック機構7で規制された状態であり、伸縮シリンダ52の伸縮が規制されて、上部リンク50及び下部リンク51の回動が停止し、載置台3の床面からの高さ位置が固定される。つまり、ロック解除ペダル70から足を離すことで、所望の高さ位置で、載置台3の位置を固定することができる。
【0090】
なお、
図4に示すように、昇降モードの上昇時では、シリンダ本体520に対して、ピストンロッド521が斜め下方に向かって離れる方向に移動し、伸縮シリンダ52の全体では、その長手方向に沿って伸びた状態となる。
【0091】
また、
図5に示すように、昇降モードの下降時では、シリンダ本体520に対して、ピストンロッド521が斜め上方に向かって、シリンダ本体520の内部に収容される方向に移動し、伸縮シリンダ52の全体では、その長手方向に沿って縮んだ状態となる。
【0092】
このように、洗浄設備Aでは、使用者がロック解除ペダル70を踏みこむことで、平行リンク部5を昇降モードにして載置台3の高さを調整可能となる。また、使用者がロック解除ペダル70から足を離した任意の位置で、載置台3の高さを固定することができる。
【0093】
ここで、必ずしも、ロック機構7の構造及び動作により、伸縮シリンダ52の伸縮可能な状態と、伸縮が規制された状態が切り替えられる必要はなく、既知のロック機構を適宜採用することができる。但し、ロック機構7のように、ロック解除ペダル70を踏む動作だけで、伸縮シリンダ52の伸縮状態を切り替え可能となる点や、ロック解除ペダル70、ベアリング71、及び、半月板72という比較的簡易な構成で、昇降モードでの高さ調整や、載置台の高さ位置の固定が可能となる点で、ロック機構7の構造が採用されることが好ましい。
【0094】
[ストッパー部]
また、
図4及び
図5に示すように、上部リンク50の上端側、かつ、ブラケット部4の内側には、鉛直下方に向かって延び出した略円柱状のストッパー部8が設けられている。また、
図10に示すように、下部リンク51の上部側の一部、かつ、ストッパー部8に対応する位置には、切欠き513が形成されている。
【0095】
また、ストッパー部8は、常に鉛直下方に向かう向きとなるように、固定して設けられている。また、ストッパー部8の下端には、ゴム製のキャップ80が取り付けられている(
図4、
図5及び
図10参照)。
【0096】
このストッパー部8は、昇降モードの下降時に、下部リンク51が床面に近づいて、洗浄ボウル6に対象者の足を入れて重さがかかった際に、その下端のキャップ80が床面に当接して、床面上で平行リンク部5を安定的に支持する部材である。また、ストッパー部8の下端は、通常は、床面に当接しない高さにあることで、昇降モードの下降時の状態で、洗浄設備Aを移動させる際に、ストッパー部8が床面に干渉することなく、スムーズに移動させることが可能となる。
【0097】
ここで、
図4に示すように、昇降モードの上昇時では、ストッパー部8は、上部リンク50及び下部リンク51の内部の空間に収容されている。
【0098】
一方、
図5に示すように、昇降モードの下降時では、上部リンク50及び下部リンク51が前方に回動して、下部リンク51が床面に近づいた際に、ストッパー部8の下部側の一部は、切欠き513を介して、下部リンク51の外側に飛び出て、その下端のキャップ80が床面の近傍に位置する。
【0099】
このように、昇降モードの下降時で、かつ、洗浄ボウル6に重さがかかった際に、ストッパー部8が、床面上で平行リンク部5を支持することで、載置台3及び洗浄ボウル6を安定して支持することが可能となる。
【0100】
例えば、昇降モードの下降時は、洗浄ボウル6を床面に近い位置に配置して、対象者のフットケアとして足を洗浄する際に利用される。この際、ストッパー部8が洗浄ボウル6をしっかりと支持することで、洗浄ボウル6が揺れて、その内部側から水やお湯が外に飛び出ることを抑止できる。
【0101】
[キャスター接続部]
図2に示すように、脚部2は、4本の柱部20と、4つのキャスター接続部21と、4つのキャスター22を有している。
【0102】
また、柱部20は、一端側が、基台側片10または基台側片11に固定され、他端側に、キャスター接続部21が取り付けられている。
【0103】
また、キャスター接続部21は、長手方向の一部に段差部210が形成されている(
図1及び
図2参照)。また、キャスター接続部21は、一端が柱部20に取り付け可能に構成されると共に、他端がキャスター21に取り付けられている。
【0104】
また、キャスター接続部21は、上下反転した向きでも、その一端が柱部20に、他端がキャスター22に、それぞれ取り付け可能に構成されている。
【0105】
このように、キャスター接続部21は、段差部210と、上下反転した向きでも、両端が、柱部20またはキャスター22に取り付け可能となっていることから、キャスター接続部21の上下の向きを変えて使用することで、基台1及び柱部20の床面からの高さを変更することができる。
【0106】
即ち、例えば、
図1及び
図2の中では、キャスター接続部21の両端のうち、その他端(キャスター22側)の方が、その一端(柱部20側)よりも、床面からの高さが高くなっている。この状態において、洗浄設備Aの全体(キャスター接続部21の上下の向きの違い)では、基台1及び柱部20の床面からの高さは、低い状態となる。
【0107】
一方、図示しないが、
図1及び
図2に示す状態から、キャスター接続部21の向きの上下を反転させると、キャスター接続部21の両端のうち、その一端(柱部20側)の方が、その他端(キャスター22側)よりも、床面からの高さが高くなる。この状態において、洗浄設備Aの全体(キャスター接続部21の上下の向きの違い)では、基台1及び柱部20の床面からの高さは、高い状態となる。
【0108】
このように、キャスター接続部21は、上下の向きを変えることで、基台1及び柱部20の床面からの高さを異ならせることができる。即ち、キャスター22を、別途の大きさが異なるキャスターに取り換えることなく、床面からの洗浄ボウル6の高さ位置を変更可能となる。
【0109】
キャスター接続部21の本機能により、例えば、洗浄設備Aをシャンプー台として使用する際に、洗浄ボウル6を床面から、より高い位置に配置しやすくなる。また、洗浄設備Aをフットケア用の洗浄台として使用する際に、洗浄ボウル6を床面に近い、より低い位置に配置しやすくなる。このように、キャスターを交換することなく、用途に応じて、洗浄ボウル6の床面からの高さ位置を変更することができる。
【0110】
ここで、必ずしも、脚部2は、柱部20、キャスター接続部21、及びキャスター22の数が4つに限定されるものでなく、床面の上に基台1を安定的に支持可能であれば、脚部を構成する部材の数は適宜設定することができ、例えば、床面上の三点で支持する構造を採用することも可能である。
【0111】
[載置台及びブラケット]
載置台3及びブラケット部4の構造について説明する。上述したように、載置台3は、洗浄ボウル6を取り付ける板状の部材である。また、ブラケット4は、平行リンク部5の上部に取り付けられ、載置台3を支持する部材であると共に、その内部に首振り機構を有している。
【0112】
また、載置台3は、天板部30、接続片31、及び、折り返し部32を有している(
図8、
図9及び
図11参照)。なお、
図11は、
図3に示す符号Cを付した円で囲んだ範囲の内部構造を示す概略断面図である。
【0113】
また、天板部30は、洗浄ボウル6を取り付けて固定する板状の部材である。また、接続片31は、天板部30の前方側の端縁に設けられ、後述するトルクヒンジ9を介して、ブラケット部4の上部片400及び上部片410と接続される部分である。
【0114】
また、折り返し部32は、天板部30の後方側の端縁に部分的に設けられ、載置台3の強度を向上させるための部分となる。
【0115】
ここで、天板部30への洗浄ボウル6の固定方法は、特に限定されるものでなく、種々の固定具または締結具等を介して、洗浄ボウル6を天板部30に固定することが可能である。他の固定構造については後述する。
【0116】
また、必ずしも載置台3は、天板部30、接続片31、及び、折り返し部32を有して構成される必要はなく、洗浄ボウル6が取り付け可能であり、ブラケット部4と接続可能であれば、その形状や構造は適宜設定することができる。
【0117】
また、ブラケット部4は、2つのブラケット側片40及びブラケット側片41から構成されている(
図10参照)。ブラケット側片40及びブラケット側片41は、前後方向から見た視点で、略L字状の形状であり、2つの部材は、略線対称の関係になる形状となっている(
図10参照)。
【0118】
また、ブラケット側片40は、上部片400と垂直片401を有している(
図10、
図11及び
図12参照)。また、ブラケット側片41は、上部片410と垂直片411を有している(
図10及び
図12参照)。
【0119】
また、上部片400及び上部片410は、前方側の端縁にトルクヒンジ9が取り付けられ(
図10及び
図11参照)、このトルクヒンジ9を介して、載置台3の接続片31に取り付けられている。
【0120】
また、トルクヒンジ9は、後述する首振り機構において、上部片400及び上部片410と、天板部30とがなす角度(首振り角度)を調整する際、天板部30を上部片400及び上部片410に近づける時に、天板部30が急に移動しないように抗力を生じるための接続部材である。
【0121】
即ち、トルクヒンジ9の抗力により、天板部30が、上部片400及び上部片410の方向に向かって、各部材間の距離(隙間)が急に小さくなることがなく、使用者が、天板部30と、上部片400及び上部片410との間で、指等を挟むことを抑止できる。
【0122】
また、上述した載置台3及び洗浄ボウル6との固定方法とは異なる、別の固定構造について説明する。ここでは、
図13~
図16により、載置台3の代わりに載置台3aと容器接続部34を用いて、洗浄ボウルを固定する態様を示している。
【0123】
図13(a)に示す洗浄設備Bは、載置台3aと、容器接続部34を有している。容器接続部34は、載置台3aと、洗浄ボウル(図示省略)を接続する部材である。また、容器接続部34は、載置台3aと洗浄ボウルの各々に、着脱自在に取り付けられている。
【0124】
また、載置台3aは、トルクヒンジを介してブラケット部(符号省略)に取り付けられており、洗浄設備Bのブラケット部より下方の構造は、上述した洗浄設備Aと同じ構造となっている。また、載置台3aは、容器接続部34を取り付けるための構造部分以外は、載置台3と同様の構造を有している。
【0125】
また、容器接続部34は、載置台3aの上部に配置され、載置台3aに重ねた状態で、容器接続部34と載置台3aが固定され、両部材が一体化した構造となる(
図13(b)及び
図14(a)参照)。なお、
図13(b)は、
図13(a)に示す符号Xを付した円で囲んだ範囲の構造を示す拡大図である。
【0126】
載置台3aには、折り返し部32aと、スライド孔30aが形成されている(
図14(b)及び
図14(c)参照)。また、容器接続部34には、複数のボルト孔340と、折り返し部342が形成されている(
図15(a)及び
図15(b)参照)。また、容器接続部34には、突起部341が形成されている(
図15(b)及び
図15(c)参照)
【0127】
ここで説明する洗浄ボウルの固定構造では、容器接続部34の複数のボルト孔340を、洗浄ボウル側に設けたボルト孔(図示省略)の位置と併せて、ボルト及びナットを介して、容器接続部34と洗浄ボウルが接続可能となっている。
【0128】
また、載置台3aの折り返し部32aには、ボルト孔320aが形成され、容器接続部34の折り返し部342には、ボルト孔343が形成されている。載置台3aと容器接続部34は、ボルト孔320aとボルト孔343の位置を合わせて、ボルト35等の締結具により接続される(
図16(a)及び
図16(b)参照)。
【0129】
なお、
図16(a)及び
図16(b)では、載置台3aと容器接続部34の詳細な構造を明確にするため、2つの部材をやや分離させた状態を図示している。
【0130】
また、載置台3aと容器接続部34を接続する際には、容器接続部34の端部側に設けられた突起部341を、載置台3aのスライド孔341に挿通させ、容器接続部34を、折り返し部32aと折り返し部342とが重なるように移動させることで、突起部341をスライド孔341に嵌合させることができる。
【0131】
また、載置台3aには、ロックプレート33が設けられている(
図14(c)、
図16(a)及び
図16(b)参照)。このロックプレート33は、首振り機構を構成する部材であり詳細は後述する。
【0132】
このように、洗浄設備Bでは、容器接続部34を、載置台3aと洗浄ボウルのそれぞれに接続して、載置台3aに洗浄ボウルを取り付けることができる。また、容器接続部34に洗浄ボウルを接続するためのボルト孔340が設けられたことで、ブラケット部と干渉しにくい位置で、載置台3aから洗浄ボウルを取り外す作業を行うことができる。
【0133】
続いて、首振り機構の詳細な構造を説明する。この首振り機構とは、載置台3上に取り付けられた洗浄ボウル6が、水平方向となす角度を変えて、使用者の所望の角度に調整するための角度調整機構である。
【0134】
また、以下で説明する、首振り機構のロック機能が解除されて、載置台3(洗浄ボウル6)の角度が調整可能となった状態を、首振りモードと称する。
【0135】
この首振り機構は、2つのロックプレート33と、ロックレバー42を有している(
図12参照)。2つのロックプレート33は、天板部30の底面側に固定して設けられ、下方に向かって、やや弯曲して延び出した板状の部材である(
図11参照)。また、ロックプレート33には、スライド溝330が形成されている。
【0136】
なお、
図12は、
図10に示す符号Aを付した円で囲んだ範囲の内部構造を示す概略断面図である。
【0137】
2つのロックプレート33の各スライド溝330には、内外方向(
図10及び
図12でおける図中の左右方向)に沿って、ロックレバー42の本体の一部が挿通されている。首振り機構のロック機能が解除されて、首振りモードになった状態では、各スライド溝33に沿って、挿通されたロックレバーの一部が移動することで、角度調整時の天板部30の動きがガイドされる。
【0138】
また、首振りモードで調整した所望の角度で、載置台3の角度を固定する際には、ロックレバー42のハンドル420(
図10及び
図11参照)を回転させ、ロックレバー42の先端を含むネジ構造を締め、上下方向におけるロックプレート33の位置が固定され、載置台3の角度を固定することができる(首振りモードのロック機能)。
【0139】
また、首振りモードにする際には、ハンドル420を元の方向に戻すように回転させることで、ロックレバー42の先端を含むネジ構造が緩み、上下方向に沿って、ロックプレート33が移動可能となり、ロックが解除された状態となる。
【0140】
なお、ロック機能でロックする際に、ハンドル420を回転させる方向とは、例えば、
図11における時計回りの方向であり、ロックを解除する際にハンドル420を回転させる方向とは、例えば、
図11における反時計回りの方向である。
【0141】
また、ロック機能に関する詳細な構造について、
図12を用いて説明する。首振りモードのロック機能に関する部材として、
図12には、ロックレバー42の一部、ナット43、2つロックプレート33、2つのスペーサー44、中央プレート46、受けプレート45、及び、ロックレバー先端部421を示している。
【0142】
また、ロックレバー42の本体は、垂直片401、ナット43、2つロックプレート33、2つのスペーサー44、中央プレート46、受けプレート45を挿通している。また、ロックレバー先端部421の外周面と、受けプレート45の挿通孔(図示せず)の内周面には、それぞれにネジ溝が設けられており、ロックレバー先端部421が回転し、受けプレート45にネジ構造で締め付け可能となっている。また、中央プレート46の下部には、上述したストッパー8が設けられている。
【0143】
また、首振りモードのロック機能でロックする際には、ハンドル420の回転に伴い、ロックレバー42及びロックレバー先端部421が回転して、ネジ構造により締め付けられる。
【0144】
このネジ構造の締め付けにより、
図12中の右側のロックプレート33は、ナット43及び右側のスペーサー44に挟まれて固定される。また、
図12中の左側のロックプレート33は、受けプレート45及び左側のスペーサー44に挟まれて固定される。
【0145】
このように、2つのロックプレート33が、ロックレバー42の回転により内外方向から締め付けられることで、ロックプレート33及び天板部30の移動が規制され、首振りモードで任意に調整した角度で、載置台3の角度を固定することができる。
【0146】
ここで、必ずしも、首振り機構は、2つのロックプレート33と、ロックレバー42で構成されるものに限定されず、載置台3の角度を調整可能であり、かつ、任意の角度を固定可能であれば、種々の構造が採用しうる。但し、比較的簡易であり、少ない部材点数で、首振り機構を構築できることから、2つのロックプレート33と、ロックレバー42が採用されることが好ましい。
【0147】
また、必ずしも、首振り機構において、2つのロックプレート33が用いられる必要はなく、1つのロックプレート33のみを用いた構造も採用しうる。但し、洗浄ボウル6や、載置台3の天板部30のサイズがある程度の大きさであり、首振りモードにおいて、安定した角度調整を行う点、調整した角度をより確実に固定する点から、2つのロックプレート33が用いられることが好ましい。
【0148】
以上で説明した本発明における洗髪用及び身体用の洗浄設備の一例である洗浄設備Aは、昇降モードにおいて、載置台3及び洗浄ボウル6の床面からの高さ位置を大きく異ならせることができる。特に、昇降モードの下降時において、載置台3を床面に充分に近づけることができる構造となっている。
【0149】
また、洗浄設備Aは、平行リンク部5を側面から見た視点で、上部リンク50と下部リンク51の間には、隙間が形成されていないことから、平行リンク部5が回動する際に、上部リンク50の端縁502と、基台1との間に、使用者の指が挟まれてしまうことを抑止できる。
【0150】
さらに、洗浄設備Aは、首振り機構において、トルクヒンジ9を用いていることから、天板部30を下方に向かって下げる際に、天板部30と、上部片400及び上部片410との、各部材間の距離(隙間)が急に小さくなることがなく、使用者が、天板部30と、上部片400及び上部片410との間で、指等を挟むことを抑止できる。
【0151】
このように、洗浄設備Aは、使用時の安全性にも優れた構造となっている。
【0152】
また、洗浄設備Aは、昇降モードの下降時には、ストッパー部8が床面に当接して、載置台3及びブラケット部4を安定して支持するため、洗浄ボウル6が揺れて、その内部側から水やお湯が外に飛び出ることを抑止できる。
【0153】
以上のように本発明を適用した洗髪用及び身体用の洗浄設備は、洗浄容器を床面等に充分に近づけることができ、長い範囲での昇降が可能であると共に、より軽量で簡易な構造でありながら、使用時の安定性や、安全性が良好であり、使い勝手に優れたものとなっている。
【0154】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0155】
A 洗浄設備
1 基台
10 基台側片
11 基台側片
2 脚部
20 柱部
21 キャスター接続部
210 段差部
22 キャスター
3 載置台
30 天板部
31 接続片
32 折り返し部
33 ロックプレート
330 スライド溝
3a 載置台
30a スライド孔
32a 折り返し部
320a ボルト孔
34 容器接続部
340 ボルト孔
341 突起部
342 折り返し部
343 ボルト孔
35 ボルト
4 ブラケット部
40 ブラケット側片
400 上部片
401 垂直片
41 ブラケット側片
410 上部片
411 垂直片
42 ロックレバー
420 ハンドル
421 ロックレバー先端部
43 ナット
44 スペーサー
45 受けプレート
46 中央プレート
5 平行リンク部
50 上部リンク
500 上部リンク第1軸支部
501 上部リンク第2軸支部
502 (上部リンクの前方側の)端縁
51 下部リンク
510 下部リンク第1軸支部
511 下部リンク第2軸支部
512 (下部リンクの後方側の)端縁
513 切欠き
52 伸縮シリンダ
520 シリンダ本体
521 ピストンロッド
522 プッシュピン
523 伸縮シリンダ第1軸支部
524 伸縮シリンダ第2軸支部
6 洗浄ボウル
7 ロック機構
70 ロック解除ペダル
700 ペダル軸支部
71 ベアリング
72 半月板
8 ストッパー部
80 キャップ
9 トルクヒンジ