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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031290
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】係止状態検出装置
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A62B35/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134755
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000106287
【氏名又は名称】サンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】小柳 利朗
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184KA11
2E184LA16
2E184MA01
(57)【要約】
【課題】フックを係止させた状態で移動する場合であっても、係止状態を検出できるようにしたフックの係止状態検出装置を提供する。
【解決手段】単管や親綱などの被係止部8に係止される鉤部11と外れ止め装置13とを備えてなるフック1に設けられる係止状態検出装置2において、前記鉤部11の内縁上部近傍を第一の検出領域33aとする第一の光センサー30aと、前記鉤部11の内縁上部近傍よりも鉤部11の内側中央付近を第二の検出領域33bとする第二の光センサー30bとを備えるようにする。そして、第一の光センサー30aによって、係止状態で作業していること検出し、また、第二の検出領域33bを検出できるようにした第二の光センサー30bによって、係止状態でフック1を浮かせた状態で移動していると検出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単管や親綱などの被係止部に係止される鉤部と、
当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置と、
を備えてなるフックの係止状態検出装置において、
前記鉤部の内縁上部近傍を第一の検出領域とする第一の光センサーと、
前記鉤部の内縁上部近傍よりも鉤部の内側中央付近を第二の検出領域とする第二の光センサーと、
を備えたことを特徴とする係止状態検出装置。
【請求項2】
前記第一の光センサーの光軸と、前記第二の光センサーの光軸の角度を変えて設けるようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項3】
前記第二の検出領域が、前記外れ止め装置の開閉領域外を検出領域とするものである請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項4】
前記第二の光センサーが、発光部を前記鉤部の上方に設け、受光部を前記鉤部の前記開口部分近傍の斜め下方に設けるようにしたものである請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項5】
さらに、係止状態であるか否かを検出する検出手段を設け、
当該検出手段が、前記第一の光センサーと第二の光センサーの両方を一定時間内で検出した場合、係止状態で移動していることを示す旨の情報を出力するようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項6】
さらに、係止状態であるか否かを検出する検出手段を設け、
当該検出手段が、前記第二の光センサーのみが一定時間検出されている場合、フックを手で持っていることを示す旨の情報を出力するようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【請求項7】
前記第一の光センサーと第二の光センサーを取り付けたカバー体の内側湾曲部分における表裏面に沿った断面に、内側湾曲部分から外側湾曲部分に向かった凹部を形成しておき、
当該凹部に、前記第一の光センサーと第二の光センサーの発光部および受光部の穴部を覆う透明部材を取り付けるようにした請求項1に記載の係止状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全帯のフックに使用される係止状態検出装置に関するものであって、より詳しくは、フックを単管や親綱などに係止して作業している状態や、作業場所を移動している状態などを検出できるようにした係止状態検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、作業者が高所で作業を行う場合、身体に安全帯を取り付けて作業することが義務付けられている。この安全帯は、親綱の両端にフックを取り付けてなるもので、一方のフックを作業者のハーネス側に取り付け、他方のフックを作業場の単管や親綱などに取り付けて作業者の落下を防止できるようにしたものである。
【0003】
ところで、このように作業者が安全帯を身体に取り付けて使用する場合、作業者によっては、その安全帯のフックを単管などに取り付けずに作業する場合があるため、危険を免れ得ない。
【0004】
そこで、フックを単管などに係止させたか否かを検出できるようにするために、係止状態検出機能を備えた装置が提案されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1には、フックに着脱可能に取り付けられる係止状態検出装置であって、フックが単管などに係止された場合に、フックの内側上縁部に設けられたレバー状部材を回動させ、その回動領域に設けられた圧力センサーによって、「係止状態」を検出できるようにした装置が提案されている。また、下記の特許文献2には、フックの内縁上部近傍を検出領域とする光センサーを設け、鉤部が単管などに係止された際に、光センサーの遮光によって、「係止状態」を検出できるようにした装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-104339号公報
【特許文献2】特開2020-192077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような構造では、次のような問題を有する。
【0008】
すなわち、一般に、高所で作業する場合、フックを単管などに係止させた状態で作業するが、その作業場から別の作業場に移動する場合、フックを単管や親綱に係止させた状態で移動する。このような移動を行う場合、フックが単管などに接触していると、不快な金属音や振動を生じさせるため、作業者は、単管などからフックを浮かせた状態で移動することが多い。しかるに、このようにフックを浮かせた状態で移動すると、特許文献1に示すような圧力センサーを設けている構成では、フックのレバー状部材に設けられた圧力センサーが作動しない。また、特許文献2に示すように、光センサーを設けている構成であっても、検出領域から単管などが外れてしまうため、係止状態を検出することができない。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、フックを浮かせた状態で移動する場合であっても、係止状態を検出できるようにしたフックの係止状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、単管や親綱などの被係止部に係止される鉤部と、当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置と、を備えてなるフックの係止状態検出装置において、前記鉤部の内縁上部近傍を第一の検出領域とする第一の光センサーと、前記鉤部の内側中央付近を第二の検出領域とする第二の光センサーとを備えるようにしたものである。
【0011】
このように構成すれば、第一の光センサーによって係止状態で作業していること検出することができるとともに、第二の光センサーによってフックを浮かせた状態で移動していることを検出することができるようになる。
【0012】
また、このような発明において、前記第一の光センサーの光軸と、前記第二の光センサーの光軸の角度を変えるようにする。
【0013】
このように構成すれば、光軸の角度が異なるため、広い範囲を検出することができるとともに、太陽光が両方の受光部に同時に受光されてしまうことがなくなるため、いずれか一方の光センサーで係止状態を検出することもできるようになる。
【0014】
さらに、前記第二の検出領域を、前記外れ止め装置の開閉領域外を検出領域とするようにしておく。
【0015】
このように構成すれば、外れ止め装置の開閉によって、光軸が遮られて誤検出されるようなことがなくなる。
【0016】
また、前記第二の光センサーを設ける場合、発光部を前記鉤部の上側に設け、受光部を前記鉤部の前記開口部分近傍であって、前記発光部の斜め下方に設けるようにする。
【0017】
このように構成すれば、鉤部を手で握って移動するような場合、手で握っている部分に光軸が存在しないので、光が遮られてしまうようなことがなくなる。
【0018】
また、係止状態であるか否かを検出する検出手段を設ける場合、前記第二の光センサーが一定時間内で複数回の光の遮断を検出している場合、係止状態で移動していることを示す旨の情報を出力できるようにする。
【0019】
このように構成すれば、歩行時の揺れによって第二の検出領域を単管や親綱などが行き来するような場合であっても、係止状態で移動していることを検出することができるようになる。
【0020】
また、係止状態であるか否かを検出する検出手段を設ける場合、前記第二の光センサーのみが一定時間検出されている場合、フックを手で持っていることを示す旨の情報を出力する。
【0021】
このように構成すれば、第二の光センサーを覆うように手で鉤部を持っているような状況を検出することができるようになる。
【0022】
また、前記第一の光センサーと第二の光センサーを取り付けたカバー体の内側湾曲部分における表裏面に沿った断面に、内側湾曲部分から外側湾曲部分に向かった凹部を形成しておき、当該凹部に、前記第一の光センサーと第二の光センサーの発光部および受光部の穴部を覆う透明部材を取り付けるようにする。
【0023】
このように構成すれば、光センサーの穴部を覆う透明部材に被係止部が接触することがなくなるため、透明部材の表面を傷付けてしまうことがなくなる。このとき、この透明部材を一枚のシールなどで構成すれば、複数の光センサーの発光部および受光部の穴部に透明な樹脂などを嵌め込む必要がなくなり、透明部材の取付作業を簡素化することができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、単管や親綱などの被係止部に係止される鉤部と、当該鉤部を被係止部に係止させるための開口部分を開閉可能に覆い、鉤部が被係止部から抜けないようにするための外れ止め装置と、を備えてなるフックの係止状態検出装置において、前記鉤部の内縁上部近傍を第一の検出領域とする第一の光センサーと、前記鉤部の内縁上部近傍よりも鉤部の内側中央付近を第二の検出領域とする第二の光センサーとを備えるようにしたので、第一の光センサーによって、係止状態で作業していること検出することができるとともに、第二の光センサーによって、係止状態でフックを浮かせて移動していることも検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態におけるフックを示す図
図2】同形態におけるフックにカバー体を装着した状態を示す斜視図
図3】同形態におけるカバー体を示す分解図
図4】同形態におけるカバー体の内側湾曲部分の凹部と透明部材を示す図
図5】同形態におけるカバー体を装着した状態のB-B側面図
図6】同形態におけるフックを親綱に係止させた状態図
図7】同形態におけるフックを単管に係止させた状態図
図8】同形態における光センサーの遮光状態と作業状態を示す状態図
図9】別の実施の形態を示すカバー体を示す図
図10】別の実施の形態を示すカバー体をフックに装着した状態図
図11】安全帯を有するシステムの使用状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0027】
この実施の形態におけるフック1の係止状態検出装置2は、図11に示すように、高所で作業を行う作業者に所持させて使用されるものであって、図1に示すようなフック1を構成する鉤部11に装着される。この係止状態検出装置2は、図2図3に示すように、カバー体20と、そのカバー体20に設けられ、フック1が単管や親綱などの被係止部8(図11参照)に係止されたか否かなどを検出する係止状態検出部3などを備えて構成されるものである。そして、特徴的に、図6図7に示すように、係止状態検出部3を構成する第一の光センサー30aの第一の検出領域33aを、鉤部11の内縁上部近傍12を検出領域とするように設けるとともに、第二の光センサー30bの第二の検出領域33bを、鉤部11の内側中央付近を検出領域に設定するようにし、「係止状態で作業中」である旨や、「係止状態で移動中」である旨などを検出できるようにしたものである。以下、本実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施の形態の説明において、フック1を単管などに係止させて自重で吊り下げた状態において、被係止部8が内縁上部近傍12に接する部分の上側とし、また、図1における紙面の表側を外側カバーの「表面」側として説明する。
【0028】
この係止状態検出装置2が取り付けられるフック1は、安全帯のランヤードを構成するものであって、図1などに示すように、鉤状に構成された板状の鉤部11と、その鉤部11の開口部Sを開閉する外れ止め装置13と、その外れ止め装置13を不意に開かせないようにするための安全装置14などを備えて構成される。そして、フック1を単管などの被係止部8に係止させる際に、外れ止め装置13と安全装置14を同時に持って外れ止め装置13を鉤部11の内側開口領域に回動させ(図1の破線)、被係止部8に鉤部11を係止させるようにするとともに、この鉤部11を被係止部8に係止させた後は、図示しないバネの力によって外れ止め装置13や安全装置14を元の位置に復元させ、外れ止め装置13を安全装置14に係止させることで、外れ止め装置13を不意に開かせないように構成されている。
【0029】
このフック1に取り付けられるカバー体20は、図2に示すように、表側カバー21および裏側カバー22を表裏に嵌め合わせて構成され、鉤部11の表面側に乗せた状態でバンド24を介して取り付けられる。そして、このカバー体20に係止状態検出部3や電源部4、送信部5などを設けることで、フック1が被係止部8に係止されたことを示す信号などを外部のセンター装置7(図11)に送信させるようにしている。
【0030】
このカバー体20は、鉤部11の湾曲形状に沿うように構成されており、また、内側の湾曲部分については、図4に示すように、左右の壁34を設けて内側に凹むような凹部34aを形成しておき、そして、第一の光センサーや第二の光センサー30a、30bなどの光を透過させる穴部35を、その凹部34aの底部に設けるようにしている。そして、その凹部34aの底部に沿って、図3に示すような、一枚の透明なフィルムなどの透明部材36を貼り付け、これによって、透明部材36が傷付かないようにするとともに、穴部35へのゴミの付着などを防止できるようにしている。
【0031】
このカバー体20に設けられる係止状態検出部3は、フック1の係止状態を検出できるようにしたものであって、ここでは、第一の光センサー30aと第二の光センサー30bとを有するように構成される。
【0032】
このうち、第一の光センサー30aは、図6図7などに示すように、鉤部11の内縁上部近傍12を第一の検出領域33aとするように設けられ、鉤部11の縦軸方向の中央線を跨ぐような水平方向の光軸を有するように発光部31aや受光部32aを設けるようにしている。そして、フック1を被係止部8に係止させた際に、その被係止部8によって光を遮断し、「係止状態」であることを検出できるようにしている。
【0033】
一方、第二の光センサー30bは、前記第一の検出領域33aよりも鉤部11の中央付近側を第二の検出領域33bとするようにしたものであって、前記第一の光センサー30aの発光部31aの近傍に設けられた発光部31bと、鉤部11の開口部S近傍に設けられた受光部32bとを備えて構成される。そして、この第二の光センサー30bの光軸を、第一の光センサー30aの光軸に対して10度から20度(好ましくは15度)の範囲内で下側に向けるようにしておく。そして、このように光軸の角度を変えることによって、係止状態を検出できる領域を広くするとともに、外れ止め装置13を回動させた際に、その外れ止め装置13によって遮光されないようにし、また、鉤部11の付け根近傍を手で握った場合であっても、遮光されないようにしている。
【0034】
このように設けられた第一の光センサー30aや第二の光センサー30bで係止状態を検出する場合において、フック1をハーネスのリング81(図11参照)などに係止させて移動する時、リング81によって光が遮断されて、親綱や単管などに係止させている状態であると誤検出されてしまう可能性がある。そこで、ハーネスのリング81にフック1が装着されたことを検出するマグネット61を取り付けておくとともに、フック1側のカバー体20にそのマグネット61を検出する装置を設けておく。そして、マグネット61とフック1とが一定距離の範囲内にある場合に、そのフック1が身体に装着されたとみなして、係止状態検出部3による機能を停止させるようにする。
【0035】
また、このカバー体20には、電源部4が設けられており、その電源部4から係止状態検出部3や送信部5などに電源を供給できるようになっている。そして、フック1がマグネット61から離れた場合に、係止状態検出部3を作動させ、送信部5を介してセンター装置7に無線で係止状態などを出力できるようにする。なお、これらの情報をセンター装置7に送信する場合、作業者が所持しているスマートホンなどの無線端末装置71にBlue tooth(登録商標)などを介して信号を出力し、その無線端末装置71からセンター装置7に出力するようにしてもよい。
【0036】
センター装置7では、その第一の光センサー30aや第二の光センサー30bによる係止状態を時系列で記録しておく。具体的には、時系列で、「非係止状態」「親綱に係止状態で作業中」「単管に係止状態で作業中」「係止状態で移動中」などの状態を記録しておく。そして、「非係止状態」が一定時間以上検出された場合は、スマートホンなどを介して、作業者に注意を促すようにする。
【0037】
次に、このように構成された係止状態検出装置2を装着したフック1を用いて作業する場合の動作について説明する。
【0038】
まず、作業者が作業現場に向かう途中においては、フック1をハーネスのリング81に装着する。このとき、身体側のマグネット61とフック1が近い状態にあるため、係止状態検出部3が停止状態になり、係止されたか否かの信号が出力されない。
【0039】
そして、作業者が現場に到着して作業を開始する場合、ハーネスのリング81に係止していたフック1を取り外す。これにより、フック1がマグネット61から離れ、係止状態検出部3が作動する状態となる。そして、このような状況のもと、作業者がフック1を単管や親綱などの被係止部8に係止させると、図6図7に示すように、そのフック1の内縁上部近傍12に被係止部8である親綱や単管が接触する。これにより、被係止部8によって、第一の光センサー30aの第一の検出領域33aを遮光し、「係止状態」であることが検出される。なお、この被係止部8としては、径の小さい親綱に係止させている場合は、第一の検出領域33aのみが遮光され、一方、径の大きい単管に係止させている場合は、第一の検出領域33aと第二の検出領域33bの両方が遮光されるため、第一の光センサー30aと第二の光センサー30bとの遮光状態によって、どの種類の被係止部8に係止させているかを判断できるようになる。
【0040】
そして、これらの状態の信号を送信部5や無線端末装置71を介してセンター装置7に送信し、作業状態を記録させるようにする。このとき、図8に示すように、一定時間以上、第一の光センサー30aと第二の光センサー30bの両方が透光している場合(状態1)は、「非係止状態」であると判断し、また、一定時間以上、第一の光センサー30aが遮光状態で第二の光センサー30bが透光状態である場合(状態2)は、「親綱に係止状態で作業中」であると判断する。一方、一定時間内において、第一の光センサー30aの透光状態と第二の光センサー30bの透光状態が繰り返えされている場合は、「親綱に係止状態で移動中」であると判断し、また、第一の光センサー30aと第二の光センサー30bが一定時間以上遮光状態である場合(状態4)、「単管に係止させて作業中」であると判断する。また、第二の光センサー30bが遮光状態であって、一定時間内に、第一の光センサー30aの透光状態と遮光状態が繰り返えされている場合は、「単管に係止状態で移動中」であると判断する。
【0041】
そして、これらの状態を時系列で記録し、例えば、一定時間の間に基準値回数以上の「非係止状態」が検出された場合、適正に係止を行っていないと判断して、警告を発するようにする。このとき、センター装置7との送受信をスマートホンなどの無線端末装置71を介して行っている場合は、その無線端末装置71に警報音を出させるようにする。
【0042】
このように上記実施の形態によれば、単管や親綱などの被係止部8に係止される鉤部11と、当該鉤部11を被係止部8に係止させるための開口部Sを開閉可能に覆い、鉤部11が被係止部8から抜けないようにするための外れ止め装置13と、を備えてなるフック1の係止状態検出装置2において、前記鉤部11の内縁上部近傍を第一の検出領域33aとする第一の光センサー30aと、前記鉤部11の内縁上部近傍よりも鉤部11の内側中央付近を第二の検出領域33bとする第二の光センサー30bとを備えるようにしたので、第一の光センサー30aによって、係止状態で作業していること検出することができるとともに、第二の光センサー30bによって、係止状態でフック1を浮かせて移動していることを検出できるようになる。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、光センサーとして、第一の光センサー30aと第二の光センサー30bを設けるようにしたが、三つ以上の光センサーを設けるようにしてもよい。このとき、各光センサーについては、光軸の向きをそれぞれ変えるようにしておくと、種々の動作を検出することができるようになる。
【0045】
また、上記実施の形態では、光センサーによって係止状態を検出できるようにしたが、これに加速度センサーやジャイロセンサー、地磁気センサー、荷重センサーなどを併用して係止状態や移動状態などを検出できるようにしてもよい。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、第二の光センサー30bの光軸を第一の光センサー30aに対して約10度から20度下方に向けるようにしたが、その光軸を、第一の光センサー30aに対して直交する上下方向に向けるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、第一の光センサー30aや第二の光センサー30bをカバー体20に取り付けるようにしたが、フック1に直接取り付けるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施の形態では、フック1側で係止状態を検出するようにしたが、センター装置7側に遮光状態のみをセンター装置7側に送信し、センター装置7側に設けられた係止状態検出部3で「係止状態」などを検出できるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、係止状態検出部3で、「係止状態で作業中」である旨や、「係止状態で移動中」である旨を判断するようにしたが、第一の光センサー30aの状態や、第二の光センサー30bの状態のみを出力し、人間によって、どのような状態で作業しているかを判断できるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、鉤部11の表面側にカバー体20を乗せ、金属製のバンド24で鉤部11に固定するようにしたが、図9図10に示すように、鉤部11の上側縁部から上側カバー21aを挟み込み、また、鉤部11の下側縁部から下側カバー22aを挟み込んでゴムなどのバンド24aで固定するようにしてもよい。このとき、バンド24aで固定する場合、下側カバー22aの表面に設けられた突起23にバンド24aを取り付け、上側カバー体21を周回するようにして取り付ける。
【符号の説明】
【0051】
1・・・フック
11・・・鉤部
12・・・内側縁部
13・・・外れ止め装置
14・・・安全装置
2・・・係止状態検出装置
20・・・カバー体
21(21a)・・・表側カバー(上側カバー)
22(22a)・・・裏側カバー(下側カバー)
23・・・突起
24、24a・・・バンド
3・・・係止状態検出部
30a・・・第一の光センサー
30b・・・第二の光センサー
31a、30b・・・発光部
32a、31b・・・受光部
33a・・・第一の検出領域
33b・・・第二の検出領域
34・・・壁
34a・・・凹部
35・・・穴部
36・・・透明部材
4・・・電源部
5・・・送信部
6・・・装着検出部
61・・・マグネット
7・・・センター装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11