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特開2024-31297検出器ユニットと検出器ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031297
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】検出器ユニットと検出器ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240229BHJP
   G01J 1/04 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
G01J1/02 D
G01J1/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134766
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】加賀 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 篤広
(72)【発明者】
【氏名】高野 航
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AB11
2G065AB15
2G065AB19
2G065BA18
2G065CA19
2G065DA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペルチェ素子の交換と固定とが容易な検出器ユニットとその製造方法を提供する。
【解決手段】検出器ユニット1は、検出器11と、検出器ケース12と、検出器の温度を調節する温度調節ユニット20と、吸放熱部材50と、検出器ケースと吸放熱部材との間に配置されるスペーサ41、43と、を有してなる。温度調節ユニットは、板状のペルチェ素子21と、圧縮可能であり第1面に配置される第1熱伝導部材22と、圧縮可能であり第2面に配置される第2熱伝導部材23と、を備える。第1熱伝導部材は検出器ケースの取付面12aに当接し、第2熱伝導部材は吸放熱部材に当接し、スペーサは取付面と吸放熱部材とに当接する。第1方向Zにおいて、スペーサの長さL1は、無負荷状態の温度調節ユニットの長さL2よりも小さくペルチェ素子の長さL3よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器と、
前記検出器を収容する検出器ケースと、
前記検出器ケースを冷却または加熱することにより、前記検出器の温度を調節する温度調節ユニットと、
前記温度調節ユニットに対する放熱部材または吸熱部材として機能する吸放熱部材と、
前記温度調節ユニットの周囲において、前記検出器ケースと前記吸放熱部材との間に配置されるスペーサと、
を有してなり、
前記検出器ケースは、
前記温度調節ユニットが取り付けられる取付面、
を備え、
前記温度調節ユニットは、
放熱面または吸熱面として機能する第1面と第2面とを備える板状のペルチェ素子と、
圧縮可能であり、前記第1面に配置される第1熱伝導部材と、
圧縮可能であり、前記第2面に配置される第2熱伝導部材と、
を備え、
前記第1熱伝導部材は、前記取付面に当接し、
前記第2熱伝導部材は、前記吸放熱部材に当接し、
前記スペーサは、前記取付面と前記吸放熱部材とに当接し、
前記取付面に垂直な第1方向において、前記スペーサの長さは、無負荷状態の前記温度調節ユニットの長さよりも小さく、前記ペルチェ素子の長さよりも大きい、
ことを特徴とする検出器ユニット。
【請求項2】
前記スペーサを前記取付面に取り付ける取付ねじ、
を有してなり、
前記スペーサは、
前記取付ねじが挿通される挿通孔、
を備え、
前記挿通孔は、
前記取付ねじの雄ねじ部が挿通される第1孔部と、
前記取付ねじの頭部が配置される第2孔部と、
を備え、
前記第1方向において、前記第2孔部の長さは、前記頭部の長さよりも大きい、
請求項1に記載の検出器ユニット。
【請求項3】
前記吸放熱部材は、前記スペーサに取り付けられる、
請求項2に記載の検出器ユニット。
【請求項4】
前記検出器ケースと前記吸放熱部材との間に配置される断熱部材、
を有してなり、
前記第1方向視において、前記断熱部材は、前記温度調節ユニットの全周を囲み、前記取付面を覆う、
請求項1に記載の検出器ユニット。
【請求項5】
前記断熱部材は、加えられた圧縮力により可逆的または不可逆的に変形可能な材料製であり、
前記第1方向において、無負荷状態の前記断熱部材の長さは、前記スペーサの長さ以上である、
請求項4に記載の検出器ユニット。
【請求項6】
前記断熱部材は、
前記温度調節ユニットが収容されるユニット収容部と、
前記スペーサが収容されるスペーサ収容部と、
を備える、
請求項4に記載の検出器ユニット。
【請求項7】
前記第1熱伝導部材は、弾性を有するシート状の部材で構成され、
前記第2熱伝導部材は、弾性を有するシート状の部材で構成される、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出器ユニット。
【請求項8】
検出器と、
前記検出器を収容する検出器ケースと、
前記検出器ケースの取付面に取り付けられ、前記検出器ケースを冷却または加熱することにより前記検出器の温度を調節する温度調節ユニットと、
前記温度調節ユニットに対する放熱部材または吸熱部材として機能する吸放熱部材と、
前記検出器ケースと前記吸放熱部材との間に配置されるスペーサと、
を有してなる検出器ユニットの製造方法であって、
前記温度調節ユニットは、
放熱面または吸熱面として機能する第1面と第2面とを備える板状のペルチェ素子と、
圧縮可能であり、前記第1面に配置される第1熱伝導部材と、
圧縮可能であり、前記第2面に配置される第2熱伝導部材と、
を備え、
前記取付面に垂直な第1方向において、前記スペーサの長さは、無負荷状態の前記温度調節ユニットの長さよりも小さく、前記ペルチェ素子の長さよりも大きく、
前記スペーサが、前記取付面に取り付けられるステップと、
前記温度調節ユニットが、前記取付面に取り付けられるステップと、
前記第1方向において、前記吸放熱部材が前記スペーサに当接するまで、前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材とが、前記吸放熱部材により圧縮されるステップと、
を含む、
ことを特徴とする検出器ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出器ユニットと検出器ユニットの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
検出器は、自然環境や人工的な環境において様々な質的・量的な情報を検出して、これらの情報を電気信号などの信号に変換する。このような検出器は、計測機器(例えば、ガス濃度測定装置など)に組み込まれた状態で用いられることがある。例えば、計測機器が温度の低い(または高い)計測環境下で用いられる場合、または、検出器が冷却されて用いられる場合、検出器の検出精度を維持するため、検出器の温度は、ペルチェ素子などの温度調節部材により調節される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、検出器(光電子増倍管)には冷却ブロックが取り付けられ、冷却ブロックにはペルチェ素子の吸熱面が取り付けられている。検出器と冷却ブロックとペルチェ素子とは、ボックスに収容されている。また、ペルチェ素子の放熱面には、放熱フィンを有する放熱板(いわゆるヒートシンク)が取り付けられている。この冷却構造では、検出器はペルチェ素子により室温以下に冷却され、ペルチェ素子からの熱は放熱板から放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-88747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、同技術では、検出器と冷却ブロックとペルチェ素子などへの結露の発生を防ぐため、ボックス内の空間(隙間)には、断熱材として機能する発泡ウレタンが充填されている。したがって、同技術では、検出器やペルチェ素子を交換するためには、充填されている発泡ウレタンの除去が必要となる。その結果、同技術では、検出器とペルチェ素子とは、容易に交換することができない。
【0006】
また、放熱板と温調対象とによりペルチェ素子が挟み込まれる場合、ペルチェ素子の各面と、放熱板と温調対象と、の間の密着性が高いほど、熱が効率よく伝達される。したがって、ペルチェ素子は、放熱板と温調対象とにより押圧されるように挟み込まれる。しかしながら、過度および/または不均一な押圧力がペルチェ素子に加えられると、ペルチェ素子が破損し得る。そのため、ペルチェ素子に適度かつ均一な押圧力が加えられるように、押圧力を調節するねじの締め付けトルクの管理が必要となる。
【0007】
さらに、ペルチェ素子の各面と、放熱板と温調対象のペルチェ素子との接触面と、の間には、これらの面の面粗さに起因する隙間が生じる。通常、この隙間を埋めて各面間の密着性を高めるために、ペルチェ素子の各面には熱伝導グリスが塗布されている。この場合、熱伝導グリスを塗布する作業者の作業のばらつきにより、熱伝導グリスの厚さにムラが生じ易い。
【0008】
本発明は、ペルチェ素子の交換と固定とが容易な検出器ユニットと、検出器ユニットの製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る検出器ユニットは、検出器と、検出器を収容する検出器ケースと、検出器ケースを冷却または加熱することにより、検出器の温度を調節する温度調節ユニットと、温度調節ユニットに対する放熱部材または吸熱部材として機能する吸放熱部材と、温度調節ユニットの周囲において、検出器ケースと吸放熱部材との間に配置されるスペーサと、を有してなり、検出器ケースは、温度調節ユニットが取り付けられる取付面、を備え、温度調節ユニットは、放熱面または吸熱面として機能する第1面と第2面とを備える板状のペルチェ素子と、圧縮可能であり、第1面に配置される第1熱伝導部材と、圧縮可能であり、第2面に配置される第2熱伝導部材と、を備え、第1熱伝導部材は、取付面に当接し、第2熱伝導部材は、吸放熱部材に当接し、スペーサは、取付面と吸放熱部材とに当接し、取付面に垂直な第1方向において、スペーサの長さは、無負荷状態の温度調節ユニットの長さよりも小さく、ペルチェ素子の長さよりも大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ペルチェ素子の交換と固定とが容易な検出器ユニットと、検出器ユニットの製造方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る検出器ユニットの実施の形態を示す分解斜視図である。
図2図1の検出器ユニットの背面図である。
図3】(a)~(c)は図1の検出器ユニットが備えるスペーサの模式断面図である。
図4図1の検出器ユニットの図2のAA線における部分拡大断面図である。
図5】本発明に係る検出器ユニットの製造方法の各段階を説明する模式拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る検出器ユニットと検出器ユニットの製造方法(以下「本製法」という。)との実施の形態について説明する。以下の説明において、同一の構造または機能を有する要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、各要素の寸法比率は、各図面に図示されている比率に限定されない。
【0013】
また、各図において、X軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する3軸であり、「+X軸方向」は前方であり、「-X軸方向」は後方であり、「+Y軸方向」は左方向であり、「-Y軸方向」は右方向であり、「+Z方向」は上方向であり、「-Z軸方向」は下方向である。X軸方向は、本発明における第1方向の一例である。
【0014】
以下の説明において、本発明に係る検出器ユニットは、大気中の窒素酸化物(NOx)の濃度を測定するNOx濃度測定装置に組み込まれている光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)ユニットを構成しているものとする。すなわち、以下の説明において、PMTは、本発明における検出器の例である。
【0015】
●検出器ユニット●
●検出器ユニットの構成
図1は、本発明に係る検出器ユニットの実施の形態を示す分解斜視図である。
図2は、検出器ユニット1の背面図である。
図2は、説明の便宜上、後述されるヒートシンク50を二点鎖線で示している。
【0016】
検出器ユニット1は、本体ユニット10と、温度調節ユニット20と、断熱部材30と、3つのスペーサ41,42,43と、ヒートシンク50と、3つのスペーサ取付ねじB1と、4つのヒートシンク取付ねじB2と、を備える。
【0017】
本体ユニット10は、PMT11(図4参照。以下同じ。)と、PMTケース12と、PMTソケット(不図示。以下同じ。)と、ソケットホルダ13と、反応槽14と、反応槽ホルダ15と、を備える。
【0018】
PMT11は、一酸化窒素がオゾンと反応して二酸化窒素を生成する過程で生じる化学発光を検出する。PMT11は、PMTケース12に収容されている。
【0019】
PMTケース12は、PMT11を収容する。PMTケース12は、例えば、上下左右前後方向に面を有する直方体状である。PMTケース12は、本発明における検出器ケースの一例である。PMTケース12は、本発明における取付面として機能する後面12aと、3つの雌ねじ孔12d,12e,12fと、を備える。雌ねじ孔12dは後面12aの左端部に配置され、雌ねじ孔12e,12fは後面12aの右端部に配置されている。雌ねじ孔12eは、雌ねじ孔12fの上方に配置されている。
【0020】
PMTソケットは、PMT11が接続され、接続されたPMT11からの電気信号の伝送を媒介する公知のPMT用ソケットである。PMTソケットは、ソケットホルダ13に保持されている。
【0021】
ソケットホルダ13は、PMTソケットを内部に保持する。ソケットホルダ13は、PMTケース12の右面12bに取り付けられている。ソケットホルダ13は、PMTケース12の後面12aと面一となるように連続する後面13aを備える。
【0022】
反応槽14は、測定対象(一酸化窒素)をオゾンと反応させて、PMT11に検出される化学発光を生じさせる。反応槽14は、反応槽ホルダ15に保持されている。
【0023】
反応槽ホルダ15は、反応槽14を保持する。反応槽ホルダ15は、PMTケース12の上面12cに取り付けられている。反応槽ホルダ15は、PMTケース12の後面12aと面一となるように連続する後面15aを備える。
【0024】
温度調節ユニット20は、PMTケース12を冷却することにより、PMTケース12を介して、PMT11の温度を調節する。温度調節ユニット20は、PMTケース12の後面12aに取り付けられている。温度調節ユニット20は、ペルチェ素子21と、2つの熱伝導シート22,23と、を備える。
【0025】
ペルチェ素子21は、例えば、金属を介して直列に接続された複数のp型とn型の半導体が2つの絶縁板に挟み込まれている構造を有する、公知のペルチェ素子である。ペルチェ素子21は、矩形(正方形)の板状で、前面21aと後面21bと(共に図5参照。以下同じ。)を備える。前面21aは本発明における第1面の一例であり、後面21bは本発明における第2面の一例である。本実施の形態において、ペルチェ素子21は、PMT11の温度を下げるために用いられる。そのため、前面21aはPMT11(PMTケース12)の熱を吸収する吸熱面として機能し、後面21bはペルチェ素子21の熱を放出する放熱面として機能する。
【0026】
熱伝導シート22,23は、例えば、弾性を有するアクリル樹脂系の公知の熱伝導シートである。熱伝導シート22,23は、ペルチェ素子21とほぼ同じ面積を有する矩形のシート状である。熱伝導シート22は本発明における第1熱伝導部材の一例であり、熱伝導シート23は本発明における第2熱伝導部材の一例である。熱伝導シート22はペルチェ素子21の前面21aに貼り付けられ、熱伝導シート23はペルチェ素子21の後面21bに貼り付けられている。すなわち、熱伝導シート22は前面21aに配置され、熱伝導シート23は後面21bに配置されている。
【0027】
断熱部材30は、例えば、ポリエチレンフォームなどの弾性を有する多孔性材料製である。断熱部材30は、PMTケース12と反応槽ホルダ15それぞれの後面12a,15aの全面とソケットホルダ13の後面13aの左端部とを被覆可能な面積を有する矩形の板状である。断熱部材30は、本体ユニット10とヒートシンク50との間に配置されている。断熱部材30は、ユニット収容部30aと、3つのスペーサ収容部30b,30c,30dと、を備える。
【0028】
ユニット収容部30aは、温度調節ユニット20を収容する矩形(正方形)の孔である。ユニット収容部30aは、断熱部材30の略中央に配置されている。
【0029】
スペーサ収容部30b,30cはスペーサ41,42を収容する矩形の孔であり、スペーサ収容部30dはスペーサ43を収容する矩形の切り欠きである。上下方向において、スペーサ収容部30bの長さはユニット収容部30aの長さと同じであり、スペーサ収容部30c,30dの長さはユニット収容部30aの長さの略半分である。スペーサ収容部30bはユニット収容部30aの左方に配置され、スペーサ収容部30c,30dはユニット収容部30aの右方に配置されている。スペーサ収容部30dは、スペーサ収容部30cの下方に並んで配置され、断熱部材30の外縁と連続している。
【0030】
図3(a)はスペーサ41の模式断面図であり、(b)はスペーサ42の模式断面図であり、(c)はスペーサ43の模式断面図である。
同図は、各スペーサ41~43が短手方向(本実施の形態では左右方向)の中央で切断された断面を示している。以下のスペーサ41~43の説明では、図1も適宜参照される。
【0031】
スペーサ41~43は、後述するヒートシンク50による温度調節ユニット20と断熱部材30への負荷(圧縮力)を調整する。スペーサ41~43は、例えば、ABS樹脂などの合成樹脂製である。スペーサ41~43は、上下方向に細長い矩形の板状である。
【0032】
スペーサ41は、挿通孔41aと、2つの雌ねじ孔41d,41eと、を備える。挿通孔41aは、第1孔部41bと第2孔部41cとを備える。挿通孔41aの前半部は、第1孔部41bを構成している。挿通孔41aの後半部は、後方に向かうにつれて連続的に拡径して円錐台状の第2孔部41cを構成している。挿通孔41aと雌ねじ孔41d,41eそれぞれは、上下方向に並んで配置され、スペーサ41を前後方向に貫通している。挿通孔41aは、雌ねじ孔41d,41eの間に配置されている。
【0033】
スペーサ42は、挿通孔42aと雌ねじ孔42dとを備える。挿通孔42aは、第1孔部42bと第2孔部42cとを備える。挿通孔42aの前半部は、第1孔部42bを構成している。挿通孔42aの後半部は、後方に向かうにつれて連続的に拡径して円錐台状の第2孔部42cを構成している。挿通孔42aと雌ねじ孔42dそれぞれは、上下方向に並んで配置され、スペーサ42を前後方向に貫通している。挿通孔42aは、雌ねじ孔42dの下方に配置されている。
【0034】
スペーサ43は、挿通孔43aと雌ねじ孔43dとを備える。挿通孔43aは、第1孔部43bと第2孔部43cとを備える。挿通孔43aの前半部は、第1孔部43bを構成している。挿通孔43aの後半部は、後方に向かうにつれて連続的に拡径して円錐台状の第2孔部43cを構成している。挿通孔43aと雌ねじ孔43dそれぞれは、上下方向に並んで配置され、スペーサ43を前後方向に貫通している。挿通孔43aは、雌ねじ孔43dの上方に配置されている。
【0035】
図1図2とに戻る。
ヒートシンク50は、温度調節ユニット20(ペルチェ素子21)からの熱を放熱する公知のヒートシンクである。ヒートシンク50は、矩形の板状のベース51と、ベース51から後方に向けて突出している複数のフィン52と、により構成されている。ベース51は、4つの挿通孔(不図示)を備える。本実施の形態において、ヒートシンク50は、温度調節ユニット20に対する放熱部材として機能している。ヒートシンク50は、本発明における吸放熱部材の一例である。
【0036】
スペーサ取付ねじB1は、例えば、公知の皿ねじである。スペーサ取付ねじB1は、例えば、ステンレスなどの金属製である。スペーサ取付ねじB1は、逆円錐台状の頭部B1aと、頭部B1aの小径端から延出している雄ねじ部B1bと、を備える。スペーサ取付ねじB1は、本発明における取付ねじの一例である。
【0037】
ヒートシンク取付ねじB2は、例えば、公知の六角ボルトである。ヒートシンク取付ねじB2は、例えば、ステンレスなどの金属製である。
【0038】
●前後方向における各部材の長さの関係
次に、各部材の前後方向(第1方向)における長さ(厚さ)の関係が、以下に説明される。以下の説明において、図1も適宜参照される。
【0039】
図4は、検出器ユニット1の図2のAA線における部分拡大断面図である。
同図は、検出器ユニット1の後面12a部分を拡大して示している。また、同図は、説明の便宜上、ヒートシンク50が取り外されている状態(後述する負荷(圧縮力)が各部材に加えられていない状態:無負荷状態)を示している。
【0040】
前後方向において、スペーサ41~43それぞれの長さ(厚さ)L1は、同じである。スペーサ41~43の長さL1は、温度調節ユニット20の長さ(厚さ)L2と断熱部材30の長さ(厚さ)L4とよりも小さく、ペルチェ素子21の長さ(厚さ)L3よりも大きい。温度調節ユニット20の長さL2は、断熱部材30の長さL4と同じ、または同長さL4よりも僅かに小さい。スペーサ取付ねじB1の頭部B1aの長さL5は、対応する第2孔部41c,42c,43cの長さ(深さ)L6よりも小さい。以下の説明において、各部材の長さL1~L6に関する説明は、特に明記されない限り、前後方向における長さを意味するものとする。
【0041】
●検出器ユニットの製造方法
次に、本製法が、以下に説明される。以下の説明において、図1図4は、適宜参照される。
【0042】
図5は、本製法の各段階を説明する模式拡大断面図である。
同図は、検出器ユニット1の図2のAA線における断面を、スペーサ41の周囲を中心に模式的に示している。
【0043】
先ず、各スペーサ41~43が、スペーサ取付ねじB1により、PMTケース12の後面12aに取り付けられる。具体的には、スペーサ取付ねじB1それぞれは、対応する挿通孔41a~43aに挿通され、対応する雌ねじ孔12d~12fにねじ込まれる。その結果、各スペーサ41~43は、長手方向が上下方向に沿うように配置され、PMTケース12の後面12aに当接している。
【0044】
前述のとおり、スペーサ取付ねじB1の頭部B1aの長さL5は、対応する第2孔部41c~43cの長さ(深さ)L6よりも小さい。そのため、頭部B1aは、対応する第2孔部41c~43c内に収容(配置)されていて、スペーサ41~43の後面41f,42e,43eよりも後方に突出していない。
【0045】
次いで、温度調節ユニット20がPMTケース12の後面12aの所定位置に仮配置される。「所定位置」は、スペーサ41とスペーサ42,43との間であって、後面12aにおいて最終的に温度調節ユニット20が配置される位置の近傍である。このとき、熱伝導シート22は、後面12aに当接している。
【0046】
次いで、断熱部材30がPMTケース12の後面12aに取り付けられる。このとき、断熱部材30は、スペーサ収容部30b~30dそれぞれに、対応するスペーサ41~43が収容されることにより、後面12aに対して適切な位置に位置決めされる。また、温度調節ユニット20の位置は適宜動かされ、温度調節ユニット20はユニット収容部30aに収容されている。その結果、前後方向視において、断熱部材30は、温度調節ユニット20の全周を囲み、後面12aを覆っている。このように、温度調節ユニット20は、断熱部材30により容易に位置決めされる。
【0047】
断熱部材30は、PMTケース12と反応槽ホルダ15それぞれの後面12a,15aの全面と、ソケットホルダ13の後面13aの左端部と、を覆い、それぞれに当接している。このとき、後方視において、スペーサ41は温度調節ユニット20の左辺の中央部の左方に対向して配置され、スペーサ42は温度調節ユニット20の右辺の上部の右方に対向して配置され、スペーサ43は温度調節ユニット20の右辺の下部の右方に対向して配置されている。その結果、後方視において、スペーサ41~43それぞれの一部は、温度調節ユニット20の周囲において、温度調節ユニット20の4つの角部の近傍に配置されている。
【0048】
「角部の近傍」は、例えば、後方視において、温度調節ユニット20の辺のうち、中央部よりも角部に近い部分に対向する位置である。すなわち、例えば、後方視において、左上の角部の近傍は、温度調節ユニット20の左辺のうち、同角部を含む上部1/4の部分に対向する位置であり、温度調節ユニット20の上辺のうち、同角部を含む左部1/4の部分に対向する位置である。
【0049】
前述のとおり、スペーサ41~43の長さL1は断熱部材30の長さL4よりも小さく、温度調節ユニット20の長さL2は断熱部材30の長さL4とほぼ同じである。そのため、温度調節ユニット20と断熱部材30とは、スペーサ41~43の後面41f,42e,43eよりも後方に突出している。
【0050】
次いで、ヒートシンク50が、ヒートシンク取付ねじB2により、スペーサ41~43の後面41f,42e,43eに取り付けられる。具体的には、ヒートシンク取付ねじB2それぞれは、ベース51の対応する挿通孔(不図示)に挿通され、ヒートシンク50の前面50aがスペーサ41~43の後面41f,42e,43eに当接するまで、対応する雌ねじ孔41d,41e,42d,43dにねじ込まれる。その結果、温度調節ユニット20と断熱部材30とスペーサ41~43それぞれは、PMTケース12(後面12a)とヒートシンク50とに当接し、これらの間に配置されている。このとき、前後方向において、温度調節ユニット20と断熱部材30とは、それぞれの長さL2,L4がスペーサ41~43の長さL1の長さになるまで、ヒートシンク50により後面12a,13a,15a側に圧縮(押圧)される。すなわち、温度調節ユニット20と断熱部材30それぞれには、それぞれの長さL2,L4とスペーサ41~43の長さL1との差分に基づいて定まる負荷(圧縮力)が加えられている。前述のとおり、スペーサ41~43は、温度調節ユニット20の角部の近傍であって、後面12aの左右端部に配置されている。そのため、負荷は、温度調節ユニット20と断熱部材30それぞれの全面に均等に加えられている。
【0051】
前述のとおり、ペルチェ素子21の長さL3は、スペーサ41~43の長さL1よりも小さい。また、熱伝導シート22,23は、弾性を有している。そのため、ヒートシンク50がスペーサ41~43に取り付けられたとき、熱伝導シート22は圧縮されて後面12aとペルチェ素子21の前面21aとに密着(当接)し、熱伝導シート23は圧縮されてペルチェ素子21の後面21bとヒートシンク50の前面50aとに密着(当接)している。その結果、熱伝導シート22を介したペルチェ素子21と後面12aとの間の熱伝導効率と、熱伝導シート23を介したペルチェ素子21とヒートシンク50との間の熱伝導効率とは、それぞれが密着してない状態の熱伝導効率よりも向上する。すなわち、熱伝導シート22,23は、有効に機能している(熱伝導シート22,23がその設計どおりの機能(熱伝導性)を発揮している)。また、ペルチェ素子21が受ける負荷の一部は、熱伝導シート22,23が圧縮されることにより吸収される。そのため、ペルチェ素子21には、ペルチェ素子21が破損するような過剰な負荷は、加えられていない。このように、温度調節ユニット20は、ペルチェ素子21に過剰な負荷が加えられておらず、かつ、熱伝導シート22,23が有効に機能している状態で、本体ユニット10(PMTケース12)とヒートシンク50との間に固定(配置)されている。
【0052】
また、熱伝導シート22,23の圧縮率は、スペーサ41~43の長さL1と温度調節ユニット20の長さL2とにより、ペルチェ素子に過剰な負荷が加えられず、かつ、熱伝導シート22,23の設計に応じた圧縮率(例えば、20%~60%)となるように調整されている。そのため、ペルチェ素子は破損せず、熱伝導シート22,23はその設計どおりの機能を発揮できる(有効に機能する)。また、熱伝導シート22,23への負荷の分布は、スペーサ41~43の位置により、温度調節ユニット20全体に均等に加えられるように調整されている。そのため、ヒートシンク取付ねじB2の取付トルクにばらつきが生じていても、熱伝導シート22,23は均等に圧縮され、ペルチェ素子21には偏った負荷が加えられない。
【0053】
前述のとおり、断熱部材30は、弾性を有する多孔性材料(ポリエチレンフォーム)製である。そのため、ヒートシンク50がスペーサ41~43に取り付けられ、断熱部材30の微細な内部空間(気泡部分)が圧縮されることにより、断熱部材30は圧縮されている。したがって、本体ユニット10(PMTケース12、ソケットホルダ13の左端部、反応槽ホルダ15)とヒートシンク50との間の空間には、ユニット収容部30aとスペーサ収容部30b~30dを除き、圧縮された断熱部材30が充填されることとなる。すなわち、後方視において、温度調節ユニット20の全周は、圧縮された断熱部材30により囲まれている。
【0054】
ここで、断熱部材30が連続気泡構造体である場合、気泡の圧縮に伴い、圧縮前の断熱部材30に内包されていた空気の一部は、断熱部材30の外部に放出される。その結果、断熱部材30の内包空気量は負荷に応じて減少し、一部の気泡同士の繋がりは断たれ、断熱部材30の透湿性は低下する。したがって、PMTケース12の後面12aが温度調節ユニット20により冷却されているとき、断熱部材30内および断熱部材30に覆われている各後面12a,13a,15aにおける結露の発生は、圧縮前の断熱部材30と比較して、抑制される。一方、断熱部材30が独立気泡構造体である場合、断熱部材30は透湿せず、断熱部材30内および断熱部材30に覆われている各後面12a,13a,15aにおける結露は、(殆ど)生じない。
【0055】
図5に戻る。
さらに、前述のとおり、スペーサ取付ねじB1の頭部B1aは、スペーサ41~43の後面41f,42e,43eよりも後方に突出していない。そして、頭部B1aとヒートシンク50の前面50aとの間には、「長さL6-長さL5」に相当する長さL7を有する隙間Sが形成されている。そのため、PMTケース12の後面12aに取り付けられているスペーサ取付ねじB1は、ヒートシンク50の前面50aに当接していない。すなわち、金属製のヒートシンク50は金属製のスペーサ取付ねじB1に当接しておらず、ヒートシンク50とスペーサ取付ねじB1との間には合成樹脂製のスペーサ41~43が介在している。一般的に、樹脂と空気それぞれの熱伝導率は、金属の熱伝導率よりも大幅に低い。そのため、ヒートシンク50の熱は、スペーサ41~43と隙間Sとにより遮られ、スペーサ取付ねじB1を介して後面12aには殆ど伝わらず、外気に放出される。
【0056】
このように構成される検出器ユニット1において、温度調節ユニット20と断熱部材30それぞれは、ヒートシンク50が取り外されるだけで、容易に取り外しできる。すなわち、検出器ユニット1において、ペルチェ素子21は、容易に交換できる。また、ペルチェ素子21に加えられる負荷(圧縮力)を調整するためのトルクの管理は、不要である。さらに、熱伝導シート22,23は、均等に圧縮される。そのため、熱伝導グリスが用いられる従来の検出器に生じ得る熱伝導グリスの厚さのムラなどの不具合は、生じない。さらにまた、断熱部材30は弾性を有するため、ヒートシンク50が取り外されると、圧縮前の状態に戻る。すなわち、断熱部材30は負荷(圧縮力)により可逆的に変形可能である。そのため、断熱部材30は、繰り返し利用可能である、
【0057】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、検出器ユニット1は、PMT11と、PMTケース12と、温度調節ユニット20と、ヒートシンク50と、スペーサ41~43と、を備える。PMTケース12は、PMT11を収容し、温度調節ユニット20が取り付けられる後面12aを備える。温度調節ユニット20は、PMTケース12を冷却することによりPMT11の温度を調節し、ペルチェ素子21と熱伝導シート22,23とを備える。熱伝導シート22は、ペルチェ素子21の前面21aに配置され、後面12aに当接している。熱伝導シート23は、ペルチェ素子21の後面21bに配置され、ヒートシンク50に当接している。スペーサ41~43は、温度調節ユニット20の周囲において、PMTケース12とヒートシンク50との間に配置され、それぞれに当接している。前後方向において、スペーサ41~43の長さL1は、無負荷状態(圧縮されていない状態)の温度調節ユニット20の長さL2よりも小さく、ペルチェ素子21の長さL3よりも大きい。この構成によれば、ヒートシンク50が取り付けられ、スペーサ41~43に当接しているとき、温度調節ユニット20には、ヒートシンク50による負荷(圧縮力)が加えられている。このとき、温度調節ユニット20は、ペルチェ素子21に過剰な負荷が加えられておらず、かつ、熱伝導シート22,23が有効に機能している状態で、本体ユニット10(PMTケース12、ソケットホルダ13の左端部、反応槽ホルダ15)とヒートシンク50との間に配置(固定)されている。また、ヒートシンク50が取り外されるだけで、温度調節ユニット20(ペルチェ素子21)は、容易に交換できる。このように、本発明では、ペルチェ素子21の交換と固定とが容易となる。
【0058】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、検出器ユニット1は、スペーサ41~43を後面12aに取り付ける金属製のスペーサ取付ねじB1を備える。スペーサ41~43は、スペーサ取付ねじB1が挿通される挿通孔41a~43aを備える。挿通孔41a~43aは、第1孔部41b~43bと第2孔部41c~43cとを備える。スペーサ取付ねじB1の頭部B1aの長さL5は、対応する第2孔部41c,42c,43cの長さ(深さ)L6よりも小さい。この構成によれば頭部B1aとヒートシンク50の前面50aとの間には、「長さL6-長さL5」に相当する長さL7を有する隙間Sが形成されている。そのため、PMTケース12の後面12aに取り付けられているスペーサ取付ねじB1は、ヒートシンク50の前面50aに当接していない。すなわち、金属製のヒートシンク50は金属製のスペーサ取付ねじB1に当接しておらず、ヒートシンク50とスペーサ取付ねじB1との間には合成樹脂製のスペーサ41~43が介在している。そのため、ヒートシンク50の熱は、スペーサ41~43と隙間Sとにより遮られ、スペーサ取付ねじB1を介して後面12aには殆ど伝わらず、外気に放出される。その結果、温度調節ユニット20によるPMT11の温度調節は、安定する。
【0059】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ヒートシンク50は、スペーサ41~43に取り付けられる。この構成によれば、ヒートシンク50は、PMTケース12の後面12aに当接せず、ヒートシンク50の熱はスペーサ41~43により遮られ、後面12aには殆ど伝わらない。その結果、温度調節ユニット20によるPMT11の温度調節は、安定する。
【0060】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、検出器ユニット1は、PMTケース12とヒートシンク50との間に配置される断熱部材30を備える。後方視において、断熱部材30は、温度調節ユニット20の全周を囲み、PMTケース12の後面12aと、反応槽ホルダ15の後面15aと、ソケットホルダ13の後面13aの左端部と、を覆っている。この構成によれば、各後面12a,13a,15aとヒートシンク50との間の空間には、断熱部材30が充填されている。その結果、ヒートシンク50の熱は、断熱部材30により遮断され、本体ユニット10(PMTケース12、ソケットホルダ13の左端部、反応槽ホルダ15)には殆ど伝達されない。
【0061】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、断熱部材30は、弾性を有する多孔性材料(ポリエチレンフォーム)製である。前後方向において、無負荷状態の断熱部材30の長さL4は、スペーサ41~43の長さL1よりも大きい。この構成によれば、ヒートシンク50がスペーサ41~43に当接しているとき、断熱部材30は、ヒートシンク50により圧縮されている。このとき、断熱部材30の微細な内部空間(気泡部分)が圧縮されることにより、断熱部材30は圧縮されている。その結果、PMTケース12の後面12aが温度調節ユニット20により冷却されているとき、断熱部材30内および断熱部材30に覆われている各後面12a,13a,15aにおける結露の発生は、抑制される。
【0062】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、断熱部材30は、ユニット収容部30aとスペーサ収容部30b~30dとを備える。ユニット収容部30aには温度調節ユニット20が収容され、スペーサ収容部30b~30dには対応するスペーサ41~43が収容されている。この構成によれば、断熱部材30はスペーサ41~43により容易に位置決めでき、温度調節ユニット20は断熱部材30により容易に位置決めできる。
【0063】
●その他の実施形態
なお、本発明における検出器はPMTに限定されない。また、本発明に係る検出器ユニットが組み込まれる測定機器は、NOx濃度測定装置に限定されない。すなわち、例えば、測定機器は、アルシンガス検知装置でもよい。
【0064】
また、本発明において、温度調節ユニットは、検出器の動作温度によっては、検出器を加熱するために用いられていてもよい。この場合、ヒートシンクは、吸熱部材として機能する。
【0065】
さらに、本発明において、検出器ユニットは、複数の温度調節ユニットを備えていてもよい。この場合、断熱部材は、各温度調節ユニットに対応する複数のユニット収容部を備えていてもよい。
【0066】
さらにまた、本発明において、熱伝導シートは、ヒートシンクによる負荷により圧縮可能な構造と、熱伝導シートとして一般的な熱伝導率と、を有していればよく、アクリル樹脂系の熱伝導シートに限定されない。すなわち、例えば、熱伝導シートは、シリコン樹脂系の熱伝導シートでもよい。
【0067】
さらにまた、本発明において、第1熱伝導部材は、熱伝導シートと、熱伝導シートの前面または両面に塗布される熱伝導グリスと、により構成されていてもよい。また、第2熱伝導部材は、熱伝導シートと、熱伝導シートの後面または両面に塗布される熱伝導グリスと、により構成されていてもよい。この場合でも、前後方向において、スペーサの長さは、温度調節ユニットの長さよりも小さく設定される。好ましくは、前後方向において、スペーサの長さは、2つの熱伝導シートとペルチェ素子との合計長さよりも小さく設定されるとよい。これらの構成では、熱伝導グリスも圧縮される。そのため、仮に、熱伝導グリスの厚みにムラが生じていても、熱伝導グリスの厚みは、圧縮過程において、均される。また、仮に、熱伝導シート、ペルチェ素子、ヒートシンクのベースの前面、およびPMTケースの後面に歪みや面荒れが生じていても、熱伝導グリスが介在することにより、これらの部材と第1熱伝導部材(第2熱伝導部材)との間の密着性は良好となり、第1熱伝導部材(第2熱伝導部材)による熱伝導効率は悪化しない。
【0068】
さらにまた、本発明において、第1熱伝導部材と第2熱伝導部材とは、熱伝導シートに代えて熱伝導グリスにより構成されていてもよい。この場合、熱伝導グリスは、前後方向において、温度調節ユニットの長さがスペーサの長さよりも大きくなるような厚みとなるように、ペルチェ素子の両面に塗布される。この構成では、熱伝導グリスも圧縮される。そのため、仮に熱伝導グリスの厚みにムラが生じていても、熱伝導グリスの厚みは、圧縮過程において、均される。
【0069】
さらにまた、本発明において、断熱部材の材料は、負荷(圧縮力)により可逆的(弾性的)または不可逆的(塑性的)に変形可能であり、ペルチェ素子からの熱により変質せず、透湿を無視し得る材料であればよく、ポリエチレンフォームに限定されない。すなわち、例えば、断熱部材は、発泡スチロール製でもよい。
【0070】
さらにまた、本発明において、前後方向における断熱部材の長さ(厚み)は、スペーサの長さと同じでもよい。この場合、断熱部材に内包されている空気量は減少しないが、本体ユニットとヒートシンクとの間の熱の伝達は、断熱部材により抑制される。
【0071】
さらにまた、本発明において、ユニット収容部の位置と形状とは、温度調節ユニットの位置と形状とに対応していればよく、本実施の形態に限定されない。
【0072】
さらにまた、本発明において、スペーサ収容部の位置と形状とは、スペーサの位置と形状とに対応していればよく、本実施の形態に限定されない。
【0073】
さらにまた、本発明において、スペーサの構成(数、形状)は、ヒートシンクによる温度調節ユニットへの負荷が均等に加えられる構成であればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、スペーサは、「U」字状や「C」字状の1つの部材で構成されていてもよい。また、スペーサは、「L」字状の2つ、または4つの部材で構成されていてもよい。さらに、スペーサは、「□」の枠状や「○」の枠状の1つの部材で構成されていてもよい。
【0074】
さらにまた、本発明において、スペーサの配置は、ヒートシンクによる温度調節ユニットへの負荷が均等に加えられる位置であればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、スペーサは、後方視において、温度調節ユニットの各辺に対向する位置に配置されていてもよい。
【0075】
さらにまた、本発明において、スペーサの挿通孔の第2孔部の形状は、スペーサ取付ねじの頭部の形状に対応していればよく、本実施の形態に限定されない。
【0076】
さらにまた、本発明において、スペーサの材料は、負荷(圧縮力)およびペルチェ素子からの熱により変形、破損、および変質しない樹脂または金属であればよく、ABSに限定されない。この場合、PMTの温度調節の観点では、樹脂製のスペーサが望ましい。一方、変形、破損および変質の観点では、金属製のスペーサが望ましい。
【0077】
さらにまた、本発明において、温度調節ユニットに対するスペーサの配置は、温度調節ユニットに負荷が均等に加えられる配置であればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、後方視において、スペーサは、温度調節ユニットの各辺に対向する位置に配置されていてもよい。
【0078】
さらにまた、本発明において、スペーサ取付ねじは、合成樹脂製であってもよい。この場合であっても、ヒートシンクの熱は、スペーサと隙間とにより遮られ、スペーサ取付ねじを介して後面には殆ど伝わらない。また、スペーサ取付ねじが相対的に熱伝導率が低い合成樹脂製の場合、頭部の長さは、第2孔部の長さと同じでもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 検出器ユニット
11 PMT(検出器)
12 PMTケース(検出器ケース)
12a 後面(取付面)
20 温度調節ユニット
21 ペルチェ素子
21a 前面(第1面)
21b 後面(第2面)
22 熱伝導シート(第1熱伝導部材)
23 熱伝導シート(第2熱伝導部材)
30 断熱部材
30a ユニット収容部
30b スペーサ収容部
30c スペーサ収容部
30d スペーサ収容部
41 スペーサ
41a 挿通孔
41b 第1孔部
41c 第2孔部
42 スペーサ
42a 挿通孔
42b 第1孔部
42c 第2孔部
43 スペーサ
43a 挿通孔
43b 第1孔部
43c 第2孔部
50 ヒートシンク(吸放熱部材)
B1 スペーサ取付ねじ(取付ねじ)
B1a 頭部
B1b 雄ねじ部
L1 スペーサの長さ(厚さ)
L2 温度調節ユニットの長さ(厚さ)
L3 ペルチェ素子21の長さ(厚さ)
L4 断熱部材の長さ(厚さ)
L5 頭部の長さ
L6 第2孔部の長さ(深さ)

図1
図2
図3
図4
図5