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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031315
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】静電容量型圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/04 20060101AFI20240229BHJP
   G01L 9/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01L19/04
G01L9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134801
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松儀 泰明
(72)【発明者】
【氏名】石原 卓也
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055CC02
2F055EE25
2F055FF01
2F055FF38
2F055FF43
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】検出精度を高く保ちながら、センサとしてのダウンサイジングを実現できる静電容量型圧力センサを提供する。
【解決手段】被測定流体が導入されるハウジングと、ハウジング内を流体室と真空室とに仕切る支持ダイアフラム24とを備える。支持ダイアフラム24に接合された板状部材34およびダイアフラム構成部材35とを備える。ダイアフラム構成部材35は圧力を受けるセンサダイアフラム47を含む。板状部材34と支持ダイアフラム24とを貫通してダイアフラム構成部材35のセンサダイアフラム47まで延びる圧力導入路43を有する。圧力導入路43は、支持ダイアフラム24からセンサダイアフラム47に至る途中に支持ダイアフラム24の周方向に延びる吸熱部55を有している。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が導入される導入部を有するハウジングと、
前記ハウジング内を前記導入部に連通された流体室と真空の真空室とに仕切る支持ダイアフラムと、
支持ダイアフラムの前記流体室に位置する面に接合された板状部材と、
前記支持ダイアフラムの前記真空室に位置する面に接合され、圧力を受けるセンサダイアフラムを含むダイアフラム構成部材と、
前記板状部材と前記支持ダイアフラムとを貫通して前記ダイアフラム構成部材の前記センサダイアフラムまで延び、被測定流体の圧力を前記流体室から前記センサダイアフラムに導く圧力導入路とを有し、
前記圧力導入路は、前記支持ダイアフラムから前記センサダイアフラムに至る途中に前記支持ダイアフラムの周方向に延びる吸熱部を有していることを特徴とする静電容量型圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電容量型圧力センサにおいて、
前記ダイアフラム構成部材は、
環状に形成されて中空部が前記センサダイアフラムによって閉塞され、前記センサダイアフラムと前記支持ダイアフラムとの間に圧力導入室が形成されるように一端が前記支持ダイアフラムに接合されたダイアフラム支持部と、
前記ダイアフラム支持部の他端に接合されて前記センサダイアフラムとの間に基準真空室を形成するセンサ台座とを有するセンサチップによって構成され、
前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムと前記ダイアフラム支持部との合わせ部分に形成されていることを特徴とする静電容量型圧力センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の静電容量型圧力センサにおいて、
前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムの周方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする静電容量型圧力センサ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一つに記載の静電容量型圧力センサにおいて、
前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムの周方向とは交差する方向に延びて通路内を横切る多数の吸熱体を有していることを特徴とする静電容量型圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップが支持ダイアフラムを介してハウジングに支持された静電容量型圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量型圧力センサとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に開示されている静電容量型センサの要部は図9に示すように構成されている。特許文献1に示す従来の静電容量型センサは、リング状の支持ダイアフラム1を有している。支持ダイアフラムは、図示していないハウジングの内部を被測定流体が導入される流体室2と真空の真空室3とに仕切っている。
【0003】
支持ダイアフラム1の中央部には、支持ダイアフラム1を挟む第1の台座プレート4と第2の台座プレート5とが接合されている。
真空室3に位置する第2の台座プレート5にはセンサチップ6が接合されている。センサチップ6のセンサダイアフラム7と第2の台座プレート5との間に形成された圧力導入室8は、圧力導入通路9を介して流体室2に連通されている。
圧力導入通路9は、第1の台座プレート4の貫通孔10と、第1の台座プレート4と第2の台座プレート5との間の隙間11と、第2の台座プレート5の貫通孔12と、センサチップ6に形成された凹部からなる通路13とによって形成されている。
【0004】
特許文献1には、被測定流体を第2の台座プレート5に形成された貫通孔12に通した後、センサチップ6に形成された凹部からなる通路13で被測定流体の流れ方向を圧力導入室8の方向に変えることで、結果的に被測定流体が持つ熱エネルギーをセンサチップ6の厚み部分であるセンサ台座14で吸熱する構成が開示されている。
特許文献1に開示された静電容量型圧力センサにおいては、吸熱部として作用するセンサ台座14の厚みを十分に確保する必要があるので、センサとしては大きめになる。一方で、この種の静電容量型圧力センサは、半導体製造装置のような限られた設置場所で利用するものであることから、常にダウンサイジングが実現されることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-132485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す静電容量型圧力センサの小型化を図るためには、支持ダイアフラム1に接合されている第2の台座プレート5を薄くするか取り除くことが考えられる。第2の台座プレート5を取り除く場合は、支持ダイアフラム1に相当する薄い部材に第2の台座プレート5の貫通孔12の役割となる経路(孔)を形成することが考えられる。
しかし、その場合は、実質的に厚みのある第2の台座プレート5の貫通孔12でも得られていた吸熱効果が失われることになる。すなわち、第2の台座プレート5を薄くするか取り除いて小型化を図ると、被測定流体が持つ熱エネルギーでセンサダイアフラム7の温度が上昇し、圧力を検出する精度が低くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、検出精度を高く保ちながら、センサとしてのダウンサイジングを実現できる静電容量型圧力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係る静電容量型圧力センサは、被測定流体が導入される導入部を有するハウジングと、前記ハウジング内を前記導入部に連通された流体室と真空の真空室とに仕切る支持ダイアフラムと、支持ダイアフラムの前記流体室に位置する面に接合された板状部材と、前記支持ダイアフラムの前記真空室に位置する面に接合され、圧力を受けるセンサダイアフラムを含むダイアフラム構成部材と、前記板状部材と前記支持ダイアフラムとを貫通して前記ダイアフラム構成部材の前記センサダイアフラムまで延び、被測定流体の圧力を前記流体室から前記センサダイアフラムに導く圧力導入路とを有し、前記圧力導入路は、前記支持ダイアフラムから前記センサダイアフラムに至る途中に前記支持ダイアフラムの周方向に延びる吸熱部を有しているものである。
【0009】
本発明は、前記静電容量型圧力センサにおいて、前記ダイアフラム構成部材は、環状に形成されて中空部が前記センサダイアフラムによって閉塞され、前記センサダイアフラムと前記支持ダイアフラムとの間に圧力導入室が形成されるように一端が前記支持ダイアフラムに接合されたダイアフラム支持部と、前記ダイアフラム支持部の他端に接合されて前記センサダイアフラムとの間に基準真空室を形成するセンサ台座とを有するセンサチップによって構成され、前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムと前記ダイアフラム支持部との合わせ部分に形成されていてもよい。
【0010】
本発明は、前記静電容量型圧力センサにおいて、前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムの周方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられていてもよい。
【0011】
本発明は、前記静電容量型圧力センサにおいて、前記吸熱部は、前記支持ダイアフラムの周方向とは交差する方向に延びて通路内を横切る多数の吸熱体を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、被測定流体が吸熱部を通るときに被測定流体の熱エネルギーがダイアフラム構成部材に伝達される。このため、センサダイアフラムに熱エネルギーの少ない被測定流体が接触することになり、センサダイアフラムの温度上昇が抑えられる。また、吸熱部によって被測定流体の吸熱が促進されるから、支持ダイアフラムとダイアフラム構成部材との間に台座プレートを設けなくてよいか、設けたとしても薄く形成することができる。このため、静電容量型圧力センサの要部を支持ダイアフラムの厚み方向に小型化することができる。
したがって、本発明によれば、検出精度を高く保ちながら、センサとしてのダウンサイジングを実現可能な静電容量型圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る静電容量型圧力センサの断面図である。
図2図2は、要部の斜視断面図である。
図3図3は、要部の分解斜視図である。
図4図4は、通路形成用の凹部を拡大して示す斜視図である。
図5図5は、要部の他の実施の形態を示す斜視断面図である。
図6図6は、要部の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
図7図7は、通路形成用の凹部を拡大して示す斜視図である。
図8図8は、吸熱部の他の実施の形態を示す斜視図である。
図9図9は、従来の静電容量型圧力センサの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る静電容量型圧力センサの一実施の形態を図1図4を参照して詳細に説明する。
図1に示す静電容量型圧力センサ21は、ハウジング22に各種の機能部品を組み付けて構成されている。
ハウジング22は、図1において最も上に描かれている筒状のアッパーハウジング23と、このアッパーハウジング23との間に支持ダイアフラム24が挟まれる状態でアッパーハウジング23に溶接された筒状のロアハウジング25と、ロアハウジング25の開口部を塞ぐカバー26とによって構成されている。カバー26には信号伝達用の電極端子27が貫通している。電極端子27は、導電性を有するコンタクトバネ28を介して後述するセンサチップ29に接続されている。
【0015】
アッパーハウジング23のロアハウジング25とは反対側の端部は、被測定流体が導入される導入部31となっている。
支持ダイアフラム24は、ハウジング22内を導入部31に連通された流体室32と、ロアハウジング25内の真空室33とに仕切っている。流体室32内には被測定流体が導入され、真空室33内は、所定の真空度の真空状態に保たれている。
【0016】
支持ダイアフラム24の中央部には、板状部材34とダイアフラム構成部材35とが支持ダイアフラム24を挟む状態で接合されている。板状部材34は、支持ダイアフラム24の流体室32に位置する面に接合されている。ダイアフラム構成部材35は、支持ダイアフラム24の真空室33に位置する面に接合されている。この実施の形態による板状部材34とダイアフラム構成部材35は、支持ダイアフラム24の厚み方向から見て形状が一致するように形成されている。
支持ダイアフラム24に板状部材34とダイアフラム構成部材35とが接合されることにより、ハウジング22内が流体室32と真空室33とに気密に隔成される。
【0017】
板状部材34は、例えばサファイアによって板状に形成されており、図2および図3に示すように、中央部に貫通孔41が穿設されているとともに、支持ダイアフラム24と対向する部分に凹部42が形成されている。図2の破断位置は、図3において支持ダイアフラム24に描いた二点鎖線Aに沿う位置である。板状部材34の凹部42は、支持ダイアフラム24と同一軸線上に位置する円形凹部42aと、円形凹部42aより小さく形成されて円形凹部42aの外周部に連なる複数の小径凹部42bとによって構成されている。
【0018】
板状部材34の貫通孔41と凹部42は、後述する圧力導入路43の一部を構成している。
支持ダイアフラム24は、円板状に形成されており、上述した小径凹部42bと対向する部分にそれぞれ貫通孔44を有している。この実施の形態においては、支持ダイアフラム24を周方向に4等分する位置にそれぞれ小径凹部42bと貫通孔44とが形成されている。これらの貫通孔44も後述する圧力導入路43の一部を構成している。
この実施の形態によるダイアフラム構成部材35は、被測定流体の圧力を静電容量に基づいて検出するセンサチップ29によって構成されている。詳述すると、ダイアフラム構成部材35は、図2に示すように、支持ダイアフラム24に一端が接合されたダイアフラム支持部45と、ダイアフラム支持部45の他端に接合されたセンサ台座46とを備えている。ダイアフラム支持部45とセンサ台座46は、例えばサファイアによって形成されている。
【0019】
ダイアフラム支持部45は、中央部にセンサダイアフラム47が一体に形成されている。詳述すると、ダイアフラム支持部45は、環状に形成された環状部45aの中空部がセンサダイアフラム47によって閉塞された構造が採られている。このダイアフラム支持部45は、センサダイアフラム47と支持ダイアフラム24との間に圧力導入室48が形成されるように支持ダイアフラム24に接合されている。
【0020】
図3に示すように、ダイアフラム支持部45の支持ダイアフラム24に接合される環状部45aには、複数の通路形成用の凹部51が例えばエッチングによって形成されている。この実施の形態による通路形成用の凹部51は、環状部45aにおける、支持ダイアフラム24の貫通孔44と対応する位置、すなわちダイアフラム支持部45の周方向に並ぶ複数の(4箇所の)位置にそれぞれ設けられている。
【0021】
図4に示すように、通路形成用の凹部51は、支持ダイアフラム24の厚み方向から見て支持ダイアフラム24の貫通孔44と重なる位置に形成されている円形凹部52と、この円形凹部52に一端が連通されて支持ダイアフラム24の周方向に延びる円弧状の溝53と、この円弧状の溝53の他端からダイアフラム支持部45の中央に向けて延びる直線状の溝54とによって形成されている。この実施の形態においては、ダイアフラム支持部45に形成された円弧状の溝53によって本発明でいう吸熱部55が構成されている。直線状の溝54は、円弧状の溝53と圧力導入室48とを連通している。
この通路形成用の凹部51を有するダイアフラム構成部材35と板状部材34とが支持ダイアフラム24に接合されることによって、板状部材34の貫通孔41および凹部42と、支持ダイアフラム24の貫通孔44と、ダイアフラム構成部材35の通路形成用の凹部51とからなる圧力導入路43が形成される。
【0022】
この圧力導入路43は、板状部材34と支持ダイアフラム24とを貫通し、さらにダイアフラム構成部材35の環状部45aを通ってセンサダイアフラム47(圧力導入室48)まで延びている。このため、センサダイアフラム47には、圧力導入路43を通して流体室32から被測定流体が導入され、被測定流体の圧力が伝播される。
この圧力導入路43は、支持ダイアフラム24からセンサダイアフラム47に至る途中であって、支持ダイアフラム24とダイアフラム支持部45との合わせ部分に吸熱部55を有している。
【0023】
センサダイアフラム47とセンサ台座46との間には図2に示すように基準真空室61が形成されている。この基準真空室61は、センサ台座46を貫通する貫通孔(図示せず)によって真空室33に連通されている。センサダイアフラム47を含むダイアフラム支持部45とセンサ台座46との互いに対向する面には、それぞれ静電容量を測定するための電極62,63が設けられている。これらの電極は、図示していない導体を介して上述したコンタクトバネ28に電気的に接続されている。このため、センサチップ29が検出した静電容量のデータは、センサチップ29から図示していない導体とコンタクトバネ28およびカバー26の電極端子27とを介して図示していない測定回路に送られる。
【0024】
このように構成された静電容量型圧力センサ21においては、ハウジング22の導入部31からハウジング22内に導入された被測定流体が板状部材34の貫通孔41から圧力導入路43に入り、圧力導入路43を通ってセンサチップ29の圧力導入室48に流入する。圧力導入路43は、支持ダイアフラム24の周方向に延びる吸熱部55を有している。吸熱部55内の被測定流体は、ダイアフラム構成部材35に接触しながらダイアフラム構成部材35に沿って流れる。このため、被測定流体が圧力導入路43の吸熱部55を通るときに被測定流体の熱エネルギーがダイアフラム構成部材35に伝達される。
【0025】
このため、センサダイアフラム47に熱エネルギーの少ない被測定流体が接触することになり、センサダイアフラム47の温度上昇が抑えられる。
このように吸熱部55によって被測定流体の吸熱が促進されるから、支持ダイアフラム24とダイアフラム構成部材35との間に従来使用していた台座プレートを設ける必要はないか、台座プレートを設ける場合であっても厚みの薄いものを使用することができる。この結果、静電容量型圧力センサ21の要部を支持ダイアフラム24の厚み方向に小型化することができる。
したがって、この実施の形態によれば、検出精度を高く保ちながら、センサとしてのダウンサイジングを実現可能な静電容量型圧力センサを提供することができる。
【0026】
この実施の形態によるダイアフラム構成部材35は、環状に形成されて中空部がセンサダイアフラム47によって閉塞され、センサダイアフラム47と支持ダイアフラム24との間に圧力導入室48が形成されるように一端が支持ダイアフラム24に接合されたダイアフラム支持部45と、ダイアフラム支持部45の他端に接合されてセンサダイアフラム47との間に基準真空室61を形成するセンサ台座46とを有するセンサチップ29によって構成されている。圧力導入路43の吸熱部55は、支持ダイアフラム24とダイアフラム支持部45との合わせ部分に形成されている。
このため、センサチップ29の相対的に厚みが厚いダイアフラム支持部45の環状部45aを利用して吸熱を行うことができるから、従来の静電容量型圧力センサの支持ダイアフラムとセンサチップとの間に設けられていた台座プレートを省くことができる。
したがって、支持ダイアフラムの厚み方向により一層小型化された静電容量型圧力センサを実現することができる。
【0027】
この実施の形態による圧力導入路43の吸熱部55は、支持ダイアフラム24の周方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられている。このため、ダイアフラム構成部材35の周方向の広い範囲で被測定流体の熱エネルギーを吸収することができるから、吸熱効率が高くなる。
【0028】
(第2の実施の形態)
圧力導入路の吸熱部は図5図7に示すように支持ダイアフラムに形成することができる。図5図7において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図5の破断位置は、図6において支持ダイアフラム24に描いた二点鎖線Bに沿う位置である。
図5に示す支持ダイアフラム24は、真空室33側となる面であってダイアフラム構成部材35と対向する位置に複数の通路形成用の凹部71と円形凹部72とが形成されている。図5に示すダイアフラム構成部材35の環状部45aは、図1図4によって説明した実施の形態を採るときとは異なり、通路形成用の凹部51は形成されていない。この環状部45aの支持ダイアフラム24に接合される合わせ面は、全面にわたって支持ダイアフラム24に接合されるように平坦に形成されている。
【0029】
支持ダイアフラム24の通路形成用の凹部71は、貫通孔44の開口部分に形成された環状の凹部73と、この環状の凹部73に一端が連通されて支持ダイアフラム24の周方向に延びる円弧状の溝74と、円弧状の溝74の他端から径方向の内側に向けて延びる直線状の溝75とによって形成されている。
この実施の形態においては、支持ダイアフラム24に形成された円弧状の溝74によって本発明でいう吸熱部55が構成されている。
【0030】
支持ダイアフラム24の円形凹部72は、円板状の支持ダイアフラム24と同一軸線上に形成されており、開口形状が円形となるように形成されている。円形凹部72の内径は、センサダイアフラム47の外径と一致している。直線状の溝75は、円弧状の溝74と円形凹部72とを連通している。
【0031】
この実施の形態においては、通路形成用の凹部71を有する支持ダイアフラム24に板状部材34とダイアフラム構成部材35とが接合されることによって、板状部材34の貫通孔41および凹部42と、支持ダイアフラム24の通路形成用の凹部71および円形凹部72とからなる圧力導入路43が形成される。
【0032】
この実施の形態で示すように吸熱部55が支持ダイアフラム24に形成される場合であっても、被測定用流体が吸熱部55を通るときに熱エネルギーがダイアフラム構成部材35に伝達されて吸熱される。したがって、この実施の形態においても、検出精度を高く保ちながら、センサとしてのダウンサイジングを実現可能な静電容量型圧力センサを提供することができる。
上述した第1の実施の形態においては吸熱部55がダイアフラム構成部材35に設けられ、第2の実施の形態においては吸熱部55が支持ダイアフラム24に設けられている例を示した。しかし、本発明はこのような限定にとらわれることはない。すあわち、本発明は、吸熱部55をダイアフラム構成部材35と支持ダイアフラム24との両方に設ける構成を採ることができる。
【0033】
(第3の実施の形態)
吸熱部は図8に示すように構成することができる。図8において、図1図7によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図8に示すダイアフラム構成部材35の通路形成用の凹部51は、円弧状の溝53と直線状の溝54とにそれぞれ多数の吸熱体81を有している。
この実施の形態による吸熱体81は、立方体状に形成されており、円弧状の溝53と直線状の溝54の底面から突出している。すなわち、吸熱体81は、支持ダイアフラム24の厚み方向(図8においては上下方向であって、支持ダイアフラム24の周方向とは交差する方向)に延びて通路内を横切るように形成されている。
【0034】
このように吸熱部55に多数の吸熱体81が形成されていると、吸熱部55の実質的な表面積が増大する。このため、被測定流体の熱エネルギーがダイアフラム構成部材35に伝達され易くなるから、吸熱をより一層効率よく行うことが可能になる。
吸熱体81の形状は、立方体状に限定されることはなく、適宜変更することができる。例えば、吸熱体81を円柱状や、平面視多角形の柱状などに形成することができる。また、図5図7に示すように吸熱部55を支持ダイアフラム24に設ける場合であっても吸熱体81を備えることができる。この場合は、支持ダイアフラム24の円弧状の溝74と直線状の溝75とに吸熱体81を突設する。そして、支持ダイアフラム24にダイアフラム構成部材35を接合するときに吸熱体81をそれぞれダイアフラム構成部材35に接合することによって、吸熱体81をダイアフラム構成部材35に設ける場合と同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0035】
21…静電容量型圧力センサ、22…ハウジング、24…支持ダイアフラム、29…センサチップ、31…導入部、32…流体室、33…真空室、34…板状部材、35…ダイアフラム構成部材、43…圧力導入路、45…ダイアフラム支持部、46…センサ台座、47…センサダイアフラム、48…圧力導入室、55…吸熱部、61…基準真空室、81…吸熱体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9