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  • 特開-射出成型用ペレット製造方法 図1
  • 特開-射出成型用ペレット製造方法 図2
  • 特開-射出成型用ペレット製造方法 図3A
  • 特開-射出成型用ペレット製造方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031329
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】射出成型用ペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/04 20060101AFI20240229BHJP
   B29B 7/10 20060101ALI20240229BHJP
   B29B 9/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B27N3/04 Z
B29B7/10
B29B9/12
B27N3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134821
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229069
【氏名又は名称】株式会社セキソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 僚一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 耀司
【テーマコード(参考)】
2B260
4F201
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260AA20
2B260BA04
2B260BA07
4F201AA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC02
4F201BK01
4F201BK15
4F201BL01
4F201BL43
(57)【要約】
【課題】 形状が画一化されたペレットを比較的簡単に得ることができる射出成型用ペレット製造方法を提供する。
【解決手段】 射出成型用ペレット製造方法は、セルロース繊維材及び澱粉系結合材の混合材に所定量の水を加え加熱しながら混錬することによりペースト状の材料を製造する準備工程と、表面に複数の凹部が設けられたプレートの前記表面に前記材料を載置し、ヘラを前記プレートの表面に沿って走査して、前記材料を前記複数の凹部に充填する成形工程と、前記複数の凹部に充填されて成形されたペレットを前記凹部から取り出す取り出し工程と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維材及び澱粉系結合材の混合材に所定量の水を加え加熱しながら混錬することによりペースト状の材料を製造する準備工程と、
表面に複数の凹部が設けられたプレートの前記表面に前記材料を載置し、ヘラを前記プレートの表面に沿って走査して、前記材料を前記複数の凹部に充填する成形工程と、
前記複数の凹部に充填されて成形されたペレットを前記凹部から取り出す取り出し工程と、
を含む、射出成型用ペレット製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成型用終ペレット製造方法において、
前記取り出し工程は、前記複数の凹部から取り出した材料を乾燥させる乾燥工程を含む、射出成型用ペレット製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の射出成型用ペレット製造方法において、
前記プレートは、複数の貫通孔を有する第1プレートと、平板状の第2プレートとを含み、
前記成形工程は、前記前記第2プレートの上面に前記第1プレートを重ね合わせることにより、前記貫通孔の下端を塞いだ状態で前記材料を前記貫通孔の上端から充填する工程を含み、
前記取り出し工程は、前記第2プレートを取り除き、前記第1プレートの貫通孔から前記ペレットを落下させる工程を含む、射出成型用ペレット製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の射出成型用ペレット製造方法において、
前記ペースト状材料は、水を75重量%乃至85重量%含む、射出成型用ペレット製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の射出成型用ペレット製造方法において、
前記混合材は、前記セルロース繊維材を1重量%乃至60重量%含む、射出成型用ペレット製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成型用ペレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成型用ペレットの製造方法(以下、「従来方法」と称呼する。)が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。従来方法は、攪拌工程、押出工程及び裁断工程を含む。混錬工程は、セルロース繊維材料と澱粉系結合剤との混合物に水を加えて攪拌して粒状材を製造する工程である。押出工程は、前記粒状材をダイスから押し出す工程である。裁断工程は、ダイスから押し出された材料(ストランド)の長さが所定長に達するごとに、その末端部(ダイス側の端部)を、カッター(ペレタイザー)を用いて切断する工程である。上記の工程を経て製造されたペレットは、ホッパーに投入され、当該ホッパーから射出成型機へ投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―268750号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
従来方法の押出工程において、材料をダイスから押し出しているが、澱粉系結合剤を含む材料は比較的粘着性が高く、このような材料をダイスから押し出し難い。また、従来方法の裁断工程において材料の末端部(ダイス側の端部)を、カッター(薄い金属板など)を用いて切断している。そのため、当該切断部(つまり、ペレットの端部)の断面が他の部分に比べて歪んでいて、各ペレットの形状差(ばらつき)が大きい。そのため、ホッパーから射出成型機へのペレットの投入に支障をきたす虞がある。
【0005】
本発明は上記課題に対処するためになされたもので、形状が画一化されたペレットを比較的簡単に得ることができる射出成型用ペレット製造方法を提供することにある。
【0006】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成型用ペレット製造方法は、セルロース繊維材及び澱粉系結合材の混合材に所定量の水を加え加熱しながら混錬することによりペースト状の材料を製造する準備工程と、表面に複数の凹部が設けられたプレートの前記表面に前記材料を載置し、ヘラを前記プレートの表面に沿って走査して、前記材料を前記複数の凹部に充填する成形工程と、前記複数の凹部に充填されて成形されたペレットを前記凹部から取り出す取り出し工程と、を含む。
【0007】
本発明の一態様に係る射出成型用終ペレット製造方法において、前記取り出し工程は、前記複数の凹部から取り出した材料を乾燥させる乾燥工程を含む。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る射出成型用ペレット製造方法において、前記プレートは、複数の貫通孔を有する第1プレートと、平板状の第2プレートとを含み、前記成形工程は、前記前記第2プレートの上面に前記第1プレートを重ね合わせることにより、前記貫通孔の下端を塞いだ状態で前記材料を前記貫通孔の上端から充填する工程を含み、前記取り出し工程は、前記第2プレートを取り除き、前記第1プレートの貫通孔から前記ペレットを落下させる工程を含む。
【0009】
また、本発明の他の態様に係る射出成型用ペレット製造方法において、前記ペースト状材料は、水を75重量%乃至85重量%含む。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る射出成型用ペレット製造方法において、前記混合材は、前記セルロース繊維材を1重量%乃至60重量%含む。
【0011】
上記のように、本発明に係る射出成型用ペレット製造方法は、ペースト状材料を製造する工程と、プレートの凹部にペースト状材料を充填して成形する工程と、その成形物を凹部から取り出す工程を含み、従来方法のような、押出工程及び裁断工程を含まない。そのため、従来方法に比べて、ペレットを比較的簡単に製造でき、そのペレットの形状のばらつきが少ない。すなわち、本発明によれば、形状が画一化されたペレットを比較的簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、射出成型用ペレット製造装置及び射出成型用ペレットの製造工程を示す概略図である。
図2図2は、第1プレートの平面図である。
図3A図3Aは、材料を金型の凹部へ充填する場面を示す側面図である。
図3B図3Bは、金型の表面に残った材料を削ぎ取る場面を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、射出成型用ペレットを製造するための装置(ペレット製造装置1)について説明する。図1に示したように、ペレット製造装置1は、攪拌装置10、成形装置20及び取り出し装置30を備える。
【0014】
攪拌装置10は、材料を収容する容器11、材料を攪拌するプロペラ12、プロペラ12を回転させる電動モータ13、容器11内の材料を加熱する電気ヒーター14を備える。電動モータ13の回転速度(又はトルク)が、図示しない制御装置によって制御される。電気ヒーター14は、容器11内の材料を直接的に加熱するように構成されてもよいし、容器11を加熱することにより材料を間接的に加熱するように構成されてもよい。
【0015】
成形装置20は、金型21及び充填装置22を備える。
【0016】
金型21は、第1プレート211及び第2プレート212を備える。第1プレート211は、長方形の平板である。図1及び図2に示したように、第1プレート211は、その表面から裏面へ貫通する複数の円形の貫通孔THを有する。第1プレート211の板厚は、例えば、5mmであり、貫通孔THの内径は、例えば、4.5mmである。
【0017】
第2プレート212は、長方形の平板である。第2プレート212の外形は、第1プレート211の外形と略同一である。第2プレート212は、第1プレート211とは異なり、貫通孔を有していない。
【0018】
第1プレート211は、第2プレート212の表面(上面)に重ねられる。つまり、第1プレート211と第2プレート212とが重ねられた状態では、各貫通孔THの一方の端面(つまり、第1プレート211の表面側)は開放されているが、貫通孔THの他方の端面(つまり、第1プレート211の裏面側)は第2プレート212によって塞がれている。言い換えれば、金型21の表面側(上面側)に、複数の凹部Rが形成されている。
【0019】
充填装置22は、材料を金型21の各凹部Rへ充填するための装置である。充填装置22は、第1アクチュエータ221、第2アクチュエータ222及びヘラ223を備える。第1アクチュエータ221は、後述する第2アクチュエータ222及びヘラ223を、金型21の長辺に対して平行な方向へスライド(往復)させる直動装置である。第2アクチュエータ222は、ヘラ223を上下方向へスライド(往復)させる直動装置である。第1アクチュエータ221及び第2アクチュエータ222は、例えば、ボールねじ機構、当該ボールねじ機構を駆動する電動モータ、当該電動モータの回転速度、回転方向などを制御する制御装置を含むとよい。また、これらのアクチュエータとしてエアシリンダ装置を採用してもよい。
【0020】
ヘラ223は、図3A図3B)に示したように、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bから構成されている。合成樹脂製(又は合成ゴム製)の略長方形の板状部材がU字状に折り曲げられる(折り返される)ことにより、第1ヘラ223aが形成される。第1ヘラ223aの折り返し部が下方へ向けられている。第1ヘラ223aの折り返し部の稜線(下端)が金型21の短辺に対して平行である。第1ヘラ223aの稜線の長さ(第1ヘラ223aの幅)は、金型21の短辺の長さと略同一である。第2ヘラ223bは、合成樹脂製(又は合成ゴム製)の略長方形の板状部材である。第2ヘラ223bの1つの辺が金型21の短辺に対して平行である。第2ヘラ223bの幅は、第1ヘラ223aの幅と同一である。第2ヘラ223bの下辺が、第1ヘラ223aと第2ヘラ223bとが、金型21の長辺の延設方向に少し離間している。
【0021】
取り出し装置30は、複数の突き出し棒31を備える。各突き出し棒31は、上下方向に延設されている。これらの突き出し棒31は、図示しないアクチュエータにより駆動されて、上下方向にスライド可能である。
【0022】
つぎに、ペレット製造装置1を用いて射出成型用ペレットPを製造する工程(本発明の一実施形態に係る射出成型用ペレット製造方法)を説明する。
【0023】
<準備工程>
図1(A)に示したように、雑草、紙片などから抽出したセルロース繊維材及び澱粉系結合剤からなる固形材を攪拌装置10の容器11に投入する。さらに、容器11に水を加える。つぎに、容器11内の材料の温度が60℃乃至80℃になるように電気ヒーター14を稼働(電力を制御)させつつ、プロペラ12を所定回転数で回転させて、材料を攪拌・混合して、ペースト状の材料PMを製造する。ここで、固形材のうち、1重量%乃至60重量%がセルロース繊維材であるとよい。また、材料PMは、水を75重量%乃至85重量%含むとよい。なお、ステアリン酸亜鉛を含む離型剤を少量添加するとよい。
【0024】
<成型工程>
図1(B)に示したように、第2プレート212に第1プレート211を重ね合わせた状態で材料PMを容器11から第1プレート211の上面(金型21の上面)に移す。第2アクチュエータ222を駆動して、金型21の上方から、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bを降下させ、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bの下端を金型21の上面に当接させる。その際、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bを、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bを金型21の上面に軽く押し付ける。これにより、第2ヘラ223bは、図3A及び図3Bに示したように、少し湾曲する。また、第1ヘラ223aの下端部も僅かに変形する。つぎに、第1アクチュエータ221を駆動して、第1ヘラ223a及び第2ヘラ223bを金型21の上面に沿って往復させ、材料PMを金型21の上面に塗り広げるようにして、材料PMを各凹部Rに充填する。主に、第1ヘラ223aによって、材料PMが各凹部Rに押し込まれ、第2ヘラ223bによって、金型21の表面に残った材料PMが削ぎ取られる。
【0025】
<取り出し工程>
図1(C)に示したように、金型21の第2プレート212を除去し、第1プレート211の上方から、突き出し棒31を降下させて、材料PMを下方へ押圧して落下させる。そして、上記のようにして取り出した材料PMを乾燥・固化させる。これにより、ペレットPが完成する。
【0026】
(効果)
上記のように、本実施形態に係る射出成型用ペレット製造方法は、ペースト状の材料PMを製造する工程と、金型21の凹部Rに材料PMを充填して成形する工程と、当該材料PMを凹部Rから取り出した後に乾燥・固化させてペレットPを製造する工程と、そのペレットPを凹部Rから取り出す工程を含むが、従来方法のような押出工程及び裁断工程を含まない。そのため、従来方法に比べて、ペレットPを比較的簡単に製造でき、そのペレットPの形状のばらつきが少ない。すなわち、本実施形態によれば、形状が画一化されたペレットPを比較的簡単に得ることができる。
【0027】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0028】
上記実施形態では、金型21は、第1プレート211と第2プレート212から構成されているが、これに代えて、平板部材の上面を彫り込んで(切削して)、凹部Rを形成した金型を採用してもよい。この場合、材料PMを凹部Rに充填した後、金型を反転させ、金型21に振動を加えて、材料PMを金型21から落下させた後に、当該材料PMを乾燥・固化させてもよい。
【0029】
また、材料PMを凹部R内にてある程度固化させた後、材料PMを、真空吸着装置を用いて、材料PMを金型21から取り出してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…ペレット製造装置、10…攪拌装置、20…成形装置、30…取り出し装置
図1
図2
図3A
図3B