(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031331
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】香り見本容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20240229BHJP
A47F 5/11 20060101ALI20240229BHJP
A47F 7/00 20060101ALI20240229BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D5/52 101C
A47F5/11
A47F7/00 Z
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134823
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 千春
(72)【発明者】
【氏名】川崎 喬章
【テーマコード(参考)】
3B118
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3B118GA12
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060CA02
3E060CA13
3E060CA32
3E060CA42
3E060CB03
3E068AA22
3E068AB05
3E068AC02
3E068AC08
3E068BB02
3E068CC04
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD25
3E068DD30
3E068DE04
3E068DE05
3E068EE10
3E068EE14
3E068EE25
3E068EE31
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】簡単に組み立てることができる香り見本容器を提供する。
【解決手段】
紙製の香り見本容器1は、芳香体3を収容可能に形成される箱本体10と、箱本体10に連結されて陳列台の被掛合部4に掛合するフック部30と、を備えている。箱本体10は、芳香体3が収納される筒体26と、筒体26の上端に連設される外蓋板16と、を有し、フック部30は、下板と上板31とを積層することで形成され、上面開口部を閉塞する内蓋部40と、一対の内差込片と一対の外差込片とを積層することで形成され、上面開口部から筒体26の内部に差し込まれる一対の差込部と、内掛合板34と外掛合板33とを下端で接続することで形成され、被掛合部4を進入させる掛合空間43を挟んで筒体26に対向する掛合部42と、を有し、内蓋部40と外蓋板16には、外蓋板16を内蓋部40に積層した状態を保持するロック部50が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香体(3)を収容可能に形成される箱本体(10)と、前記箱本体に連結されて陳列台の被掛合部(4)に掛合するフック部(30)と、を備えている紙製の香り見本容器(1)であって、
前記箱本体は、
前記芳香体が収納される筒体(26)と、
前記筒体の上端に連設される外蓋板(16)と、を有し、
前記フック部は、
下板(32)と上板(31)とを積層することで形成され、前記筒体の上面開口部(26U)を閉塞すると共に前記筒体よりも後方に延設される内蓋部(40)と、
前記下板の左右両側端から下方に延設される一対の内差込片(36)と前記上板の左右両側端から下方に延設される一対の外差込片(35)とを積層することで形成され、前記上面開口部から前記筒体の内部に差し込まれる一対の差込部(41)と、
前記下板の後端から下方に延設される内掛合板(34)と前記上板の後端から下方に延設される外掛合板(33)とを下端で接続することで形成され、前記被掛合部を進入させる掛合空間(43)を挟んで前記筒体に対向する掛合部(42)と、を有し、
前記内蓋部と前記掛合部のいずれか一方と前記外蓋板には、前記外蓋板を前記内蓋部に積層した状態を保持するロック部(50)が設けられていることを特徴とする香り見本容器。
【請求項2】
前記上板は、前記下板よりも後方に延設され、
前記内掛合板は、前記筒体の後面と平行な姿勢となり、
前記外掛合板は、下端から上方に向かって徐々に前記内掛合板から後方に離れるように傾斜した姿勢となることを特徴とする請求項1に記載の香り見本容器。
【請求項3】
前記ロック部は、
前記上板の後部に切り込まれるU字状の切目(37A)によって区画される規制片(37)と、
前記外蓋板に連設され、前記規制片を押し込むことで開口するロック穴(38)に差し込まれるロック片(22)と、を有し、
前記規制片は、基端から先端に向けて下傾した姿勢となり、その先端を、前記ロック穴に差し込まれた前記ロック片に突き当てることを特徴とする請求項1または2に記載の香り見本容器。
【請求項4】
前記箱本体は、粒状に形成された前記芳香体を収容可能な直方体状に形成され、
前記筒体の正面または側面は、前記芳香体が挿通可能な外面穴(20)を有する外面板(11A)の裏面に、前記芳香体が挿通可能な内面穴(21)を有する内面板(14)を接着することで形成され、
前記内面板を前記外面板に接着した状態で、前記内面穴と前記外面穴とは、互いに位置ずれして一部分を重ね合わせることで前記芳香体が挿通不能な芳香穴(25)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の香り見本容器。
【請求項5】
前記筒体は、角筒状に形成され、
前記筒体の前面の上端には、前記外蓋板が連設され、
前記筒体の左右両側面の上端には、前記内蓋部と前記外蓋板との間に挟まれる一対の上内フラップ(15)が連設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の香り見本容器。
【請求項6】
前記筒体の左右両側面の下端には、前記筒体の下面開口部(26D)の少なくとも一部を閉塞する一対の下内フラップ(17)が連設され、
前記筒体の後面の下端には、一対の前記下内フラップに積層される内底板(18)が連設され、
前記筒体の前面の下端には、前記内底板に積層される外底板(19)が連設され、
前記外底板の先端には、前記内底板に穿設される下側ロック穴(23)に差し込まれる下側ロック片(24)が連設されていることを特徴とする請求項5に記載の香り見本容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香体を収容する紙製の香り見本容器に関する。
【背景技術】
【0002】
香り物質を含有したゲル状の樹脂で形成される香り発生部を支持する板紙製の支持部材を備えた香り見本が知られている(特許文献1)。支持部材は、2つ折りされて対向する前面部と背面部とを有し、前面部には香り発生部の突出部を露出させる貫通孔が開口している。香り発生部の底面は両面粘着テープを介して背面部に接着され、前面部は香り発生部の鍔部を背面部との間に挟みつつ両面粘着テープを介して背面部に接着されている。また、支持部材の背面部には、店頭に設置される展示棚のプライスレールに引っ掛けられる掛止部が固定されている。掛止部は、両面粘着テープを介して支持部材の背面部に接着される貼着部と、貼着部の上端で折曲した上面部の後端から下方に延びる背面部と、を有し、(合成)樹脂製で下端を開放したコの字状に形成されている。掛止部の背面部は、下方へ行くほど貼着部から離れる方向に傾斜している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した香り見本では、支持部材が紙製で、掛止部が樹脂製であるため、廃棄時に分別の手間がかかるという問題があった。また、近年、プラスチックゴミの削減が求められており、香り見本全体を紙製に変更したいという要望がある。このような要望に対し、
図11ないし
図13に示すような、全体を板紙で形成された香り見本容器が知られている。
【0005】
図11および
図12に示すように、香り見本容器100は、芳香体(図示せず)を内包したボトル(図示せず)を支持可能な支持台130と、支持台130の背面から上方に延設される支持部材131と、支持部材131の背面に設けられるフック部132と、を備えている。香り見本容器100は、
図13に示す1枚の板紙で形成されたブランク100Aを折り曲げたり接着したりすることで組み立てられる。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。また、
図13は表面側を示しており、
図13に示す「X」は紙目と平行な「紙目方向」を示し、「Y」は紙目方向に直交する「直交方向」を示している。
【0006】
図13に示すように、ブランク100Aは、台底板101と、補強背面板102と、補強傾斜板103と、支持中板104と、台正面板105と、台天面板106と、支持正面板107と、折返し板108と、掛合上板109と、掛合背面板110と、掛合内面板111と、掛合下板112と、支持背面板113と、を有している。補強背面板102、補強傾斜板103および支持中板104は、この順に、台底板101から紙目方向の一方(
図13で下方)に向けて並設されている。台正面板105、台天面板106、支持正面板107、折返し板108、掛合上板109、掛合背面板110、掛合内面板111、掛合下板112および支持背面板113は、この順に、台底板101から紙目方向の他方(
図13で上方)に向けて並設されている。つまり、これらの板101~113は、紙目方向に一列に並設されている。
【0007】
台底板101の直交方向の両端には一対の内側面板114が連設され、台底板101と一対の内側面板114との境界付近には一対の差込切目120が切り込まれている。台底板101の紙目方向の一側(後側)には、スリット121が穿設されている。支持中板104には、補強傾斜板103との境界から紙目方向の一方に向けて切り込まれた略U字状の切目によって補強片122が区画されている。
【0008】
台天面板106の直交方向の両端には一対の外側面板115が連設され、一対の外側面板115の先端には一対の差込板116が連設されている。台天面板106には、支持正面板107との境界から紙目方向の一方に向けて切り込まれた略U字状の切目によって開口片123が区画されている。掛合上板109の直交方向の一方(
図13で左方)には、ボトルから延びる紐(図示せず)を結ぶための丸穴124が穿設されている。
【0009】
なお、
図13において、上記した各種の板101~116の境界に示された破線や短い実線は、各種の板101~116を折り曲げるための折目線を示している。また、板紙の裏面を内側に向けるように折り曲げることを「正折り」と呼び、板紙の表面を内側に向けるように折り曲げることを「逆折り」と呼ぶこととする。
【0010】
ブランク100Aから香り見本容器100を組み立てるには、まず、作業者は、例えば、補強片122の表面に両面粘着テープTを貼付すると共に、支持中板104、折返し板108、掛合内面板111および支持背面板113の裏面に両面粘着テープTを貼付する(
図12参照)。なお、各板の接着には、両面粘着テープTに代えて、接着剤が用いられてもよい。
【0011】
続いて、
図11および
図12に示すように、作業者は、台底板101に対して補強背面板102を正折りして立ち上げ、補強傾斜板103を前方に正折りしつつ支持中板104を逆折りして立ち上げる。また、作業者は、補強片122を支持中板104から抜き出して台底板101のスリット121に差し込み、両面粘着テープTを介して補強片122を台底板101の底面(表面)に接着する。この状態で、台底板101の後部、補強背面板102および補強傾斜板103は、略三角筒状に形成される。
【0012】
次に、作業者は、台底板101に対して台正面板105を正折りして立ち上げ、台天面板106を後方に正折りしつつ支持正面板107を逆折りして立ち上げる。支持正面板107の立ち上げに伴って、台天面板106から開口片123が下方に抜き出され、台天面板106にはボトルを嵌め込む嵌合穴125が開口する(
図11参照)。また、作業者は、両面粘着テープTを介して支持中板104を支持正面板107の裏面に接着する。さらに、作業者は、折返し板108を後方に折り返し(正折りし)、両面粘着テープTを介して折返し板108を支持中板104の上部表面に接着する。なお、台天面板106は、台正面板105から支持正面板107に向かって上方に傾斜した姿勢になる。
【0013】
次に、作業者は、掛合上板109を逆折りして後方に延ばし、掛合下板112と支持背面板113とを逆折りしつつ掛合内面板111を内側に折り返し(正折りし)、両面粘着テープTを介して掛合内面板111を掛合背面板110の裏面に接着する。また、作業者は、掛合背面板110を正折りして垂下させ、両面粘着テープTを介して支持背面板113を支持中板104の表面に接着する。この状態で、支持中板104が支持正面板107と支持背面板113(折返し板108)との間に挟まれ、三重壁構造と成る支持部材131が構成される。また、掛合上板109、掛合背面板110、掛合内面板111および掛合下板112がフック部132を構成する。掛合上板109と掛合下板112とが隙間を挟んで上下方向に対向し、掛合背面板110と掛合内面板111とが二重壁を構成する。この二重壁は、展示棚(図示せず)のプライスレール(図示せず)が嵌り込む隙間を挟んで支持部材131(支持背面板113)に対向する。
【0014】
次に、作業者は、一対の内側面板114を正折りして立ち上げた後、一対の外側面板115を正折りして垂下させ、一対の差込板116を正折りしながら一対の差込切目120に差し込む。この状態で、台底板101、台正面板105、台天面板106および各側面板114,115等が、略四角錘台状に形成される(
図11参照)。この四角錘台状に形成された部分と、先に説明した三角筒状に形成された部分とによって、支持台130が構成される。
【0015】
以上によって、板紙で形成された香り見本容器100が完成する(
図11参照)。
【0016】
しかしながら、上記した香り見本容器100を組み立てるためには、1枚のブランク100Aを決められた向きに折り曲げながら複数箇所を接着しなければならなかった。また、支持部材131やフック部132の強度(剛性)を上げるために、1枚のブランク100Aを複雑に折り曲げながら複数の板を重ねて接着しなければならなかった。したがって、上記した香り見本容器100の組立作業には熟練を要するため、誰でも簡単に組み立てられるとは言えなかった。また、上記した香り見本容器100では、組立作業に多くの手間と時間がかかるという問題があった。
【0017】
本発明は、上記事情を考慮し、簡単に組み立てることができる香り見本容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、芳香体を収容可能に形成される箱本体と、前記箱本体に連結されて陳列台の被掛合部に掛合するフック部と、を備えている紙製の香り見本容器であって、前記箱本体は、前記芳香体が収納される筒体と、前記筒体の上端に連設される外蓋板と、を有し、前記フック部は、下板と上板とを積層することで形成され、前記筒体の上面開口部を閉塞すると共に前記筒体よりも後方に延設される内蓋部と、前記下板の左右両側端から下方に延設される一対の内差込片と前記上板の左右両側端から下方に延設される一対の外差込片とを積層することで形成され、前記上面開口部から前記筒体の内部に差し込まれる一対の差込部と、前記下板の後端から下方に延設される内掛合板と前記上板の後端から下方に延設される外掛合板とを下端で接続することで形成され、前記被掛合部を進入させる掛合空間を挟んで前記筒体に対向する掛合部と、を有し、前記内蓋部と前記掛合部のいずれか一方と前記外蓋板には、前記外蓋板を前記内蓋部に積層した状態を保持するロック部が設けられている。
【0019】
この場合、前記上板は、前記下板よりも後方に延設され、前記内掛合板は、前記筒体の後面と平行な姿勢となり、前記外掛合板は、下端から上方に向かって徐々に前記内掛合板から後方に離れるように傾斜した姿勢となるとよい。
【0020】
この場合、前記ロック部は、前記上板の後部に切り込まれるU字状の切目によって区画される規制片と、前記外蓋板に連設され、前記規制片を押し込むことで開口するロック穴に差し込まれるロック片と、を有し、前記規制片は、基端から先端に向けて下傾した姿勢となり、その先端を、前記ロック穴に差し込まれた前記ロック片に突き当てるとよい。
【0021】
この場合、前記箱本体は、粒状に形成された前記芳香体を収容可能な直方体状に形成され、前記筒体の正面または側面は、前記芳香体が挿通可能な外面穴を有する外面板の裏面に、前記芳香体が挿通可能な内面穴を有する内面板を接着することで形成され、前記内面板を前記外面板に接着した状態で、前記内面穴と前記外面穴とは、互いに位置ずれして一部分を重ね合わせることで前記芳香体が挿通不能な芳香穴を形成するとよい。
【0022】
この場合、前記筒体は、角筒状に形成され、前記筒体の前面の上端には、前記外蓋板が連設され、前記筒体の左右両側面の上端には、前記内蓋部と前記外蓋板との間に挟まれる一対の上内フラップが連設されてもよい。
【0023】
この場合、前記筒体の左右両側面の下端には、前記筒体の下面開口部の少なくとも一部を閉塞する一対の下内フラップが連設され、前記筒体の後面の下端には、一対の前記下内フラップに積層される内底板が連設され、前記筒体の前面の下端には、前記内底板に積層される外底板が連設され、前記外底板の先端には、前記内底板に穿設される下側ロック穴に差し込まれる下側ロック片が連設されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、香り見本容器を簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る香り見本容器(香り見本)を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る香り見本容器の箱本体のブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る香り見本容器のフック部のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る香り見本容器の箱本体を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体とフック部との組立手順を説明する斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体にフック部を連結する過程を説明する斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体の上面開口部をフック部の内蓋部で閉塞した状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体にフック部を連結した状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体の下面開口部から筒体の内部に芳香体を収容する過程を説明する斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る香り見本容器であって、箱本体の下面開口部を閉塞した状態を示す斜視図である。
【
図13】従来の香り見本容器のブランクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0027】
図1ないし
図3を参照して、香り見本容器1について説明する。
図1は香り見本容器1(香り見本2)を示す斜視図である。
図2は香り見本容器1の箱本体10のブランク10Aを示す平面図である。
図3は香り見本容器1のフック部30のブランク30Aを示す平面図である。
【0028】
図1に示すように、香り見本容器1は、粒状に形成された芳香体3を収容可能な略直方体状に形成される箱本体10と、箱本体10に連結されて陳列台(図示せず)のプライスレール等の被掛合部4に掛合するフック部30と、を備えている。つまり、香り見本容器1は、分離可能な箱本体10とフック部30の2つの部材で構成されている。この香り見本容器1は、全て紙製とされており、箱本体10に芳香体3を収容した状態で香り見本2として利用される。香り見本2は、洗剤、芳香剤または香水等の商品の香りを、顧客が店頭で購入前に試香するものである。
【0029】
なお、香り見本2(香り見本容器1)は、顧客が片手で持てる程度の大きさであって、例えば、高さ(最大値)が50~70mm程度、前後・左右方向の寸法(最大値)が20~40mm程度とされている。また、芳香体3は、例えば、直径4mm程度に形成された粒状(球状)のセルロースに、芳香剤を浸み込ませたものである。また、芳香体3は、粒状(球状)に限らず、ペレット状(円筒状)に形成されてもよいし、キューブ状に形成されてもよい(図示せず)。また、芳香体3は、脱脂綿やスポンジ等の多孔質体に芳香剤を浸み込ませたものでもよい(図示せず)。また、箱本体10には、複数粒の芳香体3が収容されているが、1粒以上の芳香体3が収容されていればよい。
【0030】
箱本体10は、
図2に示すブランク10Aから組み立てられ、フック部30は、
図3に示すブランク30Aから組み立てられる。これらのブランク10A,30Aは、1枚の板紙を抜型等で打ち抜いて形成されている。板紙は、例えば、表裏両面をコーティングした多層抄きの厚紙である。なお、芳香体3に接する箱本体10(ブランク10A)の内面(裏面)には、撥水・撥油コーティングがされるとよい。また、
図2および
図3は、表面側を示している。本明細書では、紙目と平行な方向を「紙目方向」と呼び、紙目方向に直交する方向を「直交方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「紙目方向」を示し、「Y」は「直交方向」を示している。
【0031】
[箱本体のブランク]
図2に示すように、箱本体10のブランク10Aは、正面板11と、背面板12と、一対の側面板13と、内面板14と、一対の上内フラップ15と、外蓋板16と、一対の下内フラップ17と、内底板18と、外底板19と、を備えている。なお、
図2において、一対の側面板13、一対の上内フラップ15および一対の下内フラップ17は、それぞれ、概ね、左右対称となる形状であるため、本明細書では、主に、1つの側面板13、1つの上内フラップ15および1つの下内フラップ17について説明する。
【0032】
<正面板>
正面板11は、直交方向(上下方向)に長い略長方形状に形成されている。正面板11は、外面板11Aと、外面板11Aから紙目方向に一方(
図2で右方)に向かって延設されている延出板11Bと、を有している。なお、図示は省略するが、ブランク10Aの表面には、芳香体3の芳香を有する商品(洗剤や芳香剤等)の広告や説明等として絵柄や文字等が印刷されている。延出板11Bを設けることによって、広告や説明等を提示可能な面積を拡大することができ、商品の訴求効果を向上させることが可能になる。なお、延出板11Bは省略されてもよく、正面板11(筒体26の正面)は外面板11Aのみで構成されてもよい(図示せず)。
【0033】
外面板11Aの直交方向の一方(上方)かつ紙目方向の略中央には、芳香体3が挿通可能な外面穴20が穿設されている。外面穴20は、例えば、約4mmの直径の丸穴である。ところで、一般的に、ブランク10Aの製造工程では、直径4mm未満の外面穴20を形成することが難しいと言われている。打ち抜き部分の断面における摩擦力が大きく、打ち抜いた外面穴20の不要部分を抜き落とすことが困難であるためである。そこで、本実施形態に係る香り見本容器1では、外面穴20の直径が4mm以上に設定されている。
【0034】
<背面板、側面板、内面板>
背面板12および一対の側面板13は、それぞれ、正面板11の外面板11Aと略同一の大きさとなる略長方形状に形成されている。内面板14は、外面板11Aよりも僅かに小さな略長方形状に形成されている。3つの板11,12,14と一対の側面板13とは、交互に紙目方向に一列に並設され、第1折曲線L1を介して連設されている。
【0035】
内面板14の直交方向の一方(上方)かつ紙目方向の略中央には、芳香体3が挿通可能な内面穴21が穿設されている。内面穴21は、外面穴20と同様であって、直径約4mmの丸穴である。内面穴21は、内面板14において、外面穴20よりも直交方向に他方(下方)にずれた位置に開口している。具体的な一例として、内面穴21は、外面穴20に対して直径の半分程度(約2mm)下方にずれている。なお、内面穴21のずれる方向は、外面穴20よりも上方であってもよいし、左右方向のいずれか一方であってもよい(図示せず)。
【0036】
<上内フラップ、外蓋板>
一対の上内フラップ15は、第2折曲線L2を介して一対の側面板13の直交方向の一端(上端)に連設されている。上内フラップ15は略正方形状に形成され、その延出寸法(直行方向の寸法)は背面板12(外面板11A)の紙目方向の寸法と略同等とされている。外蓋板16は、第2折曲線L2を介して正面板11の外面板11Aの直交方向の一端(上端)に連設されている。外蓋板16は直交方向に長い略長方形状とされ、その延出寸法(直行方向の寸法)は上内フラップ15の延出寸法よりも長く(例えば1.4倍程度)なっている。
【0037】
外蓋板16の直交方向の先端かつ紙目方向の略中央部には、第4折曲線L4を介してロック片22が連設されている。ロック片22は、全体的に直交方向の基端から先端に向かって幅狭くなる略台形状に形成されている。ロック片22の基端部には、紙目方向の両側から切り欠くことで括れ部22Aが形成されている。
【0038】
<下内フラップ、内底板>
一対の下内フラップ17は、第3折曲線L3を介して一対の側面板13の直交方向の他端(下端)に連設されている。下内フラップ17は直交方向の基端から先端に向かって幅狭くなる略台形状に形成され、その延出寸法(直行方向の寸法)は背面板12(外面板11A)の紙目方向の寸法の略半分となっている。内底板18は、第3折曲線L3を介して背面板12の直交方向の他端(下端)に連設されている。内底板18は略正方形状に形成され、その延出寸法(直行方向の寸法)は側面板13の紙目方向の寸法よりも若干短くなっている。
【0039】
内底板18には、第3折曲線L3に沿って下側ロック穴23が穿設されている。下側ロック穴23は、内底板18の直交方向の基端(第3折曲線L3)から先端に向かって幅狭くなる略台形状に形成されている。下側ロック穴23の直交方向の先端側には、略半円形の半円部23Aが凹設されている。第3折曲線L3上には、下側ロック穴23の基端の紙目方向の両端から両外側に向かって一対の切目23Bが切り込まれている。各々の切目23Bは、先端側を背面板12に屈曲させて略L字状に形成されている。
【0040】
<外底板>
外底板19は、第3折曲線L3を介して側面板13の直交方向の他端(下端)に連設されている。外底板19は略正方形状に形成され、その延出寸法(直行方向の寸法)は上内フラップ15の延出寸法と略同等とされている。外底板19の直交方向の先端かつ紙目方向の略中央部には、第5折曲線L5を介して下側ロック片24が連設されている。下側ロック片24は、ロック片22を上下反転させた形状とされている。下側ロック片24の紙目方向の最大幅は、上記した下側ロック穴23の一対の切目23Bの先端間の寸法と略同等とされている。下側ロック片24の基端部に形成された括れ部24Aの紙目方向の幅は、下側ロック穴23の直交方向の先端側における紙目方向の幅よりも僅かに短くなっている。
【0041】
なお、第1~第5折曲線L1~L5は、板紙を表面から直線状に凹ませた汎用罫線である。汎用罫線は、主に、裏面を内側に向けるように板紙を折り曲げる(正折りする)機能を有している。第1~第5折曲線L1~L5は、汎用罫線に限らず、例えば、ミシン目や汎用罫線上にミシン目を形成したリード罫等、板紙を折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0042】
[フック部のブランク]
図3に示すように、フック部30のブランク30Aは、上板31と、下板32と、外掛合板33と、内掛合板34と、一対の外差込片35と、一対の内差込片36と、を備えている。なお、
図3において、一対の外差込片35および一対の内差込片36は、それぞれ、左右対称となる形状であるため、本明細書では、主に、1つの外差込片35および1つの内差込片36について説明する。
【0043】
<上板、下板、外掛合板、内掛合板>
上板31、外掛合板33、内掛合板34および下板32は、それぞれ、略長方形状に形成されている。上板31、外掛合板33、内掛合板34および下板32は、この順に紙目方向の一方から他方に向かって並設され、第6折曲線L6を介して連設されている。上板31の紙目方向の寸法(前後長)は、外蓋板16の延出寸法よりも若干長くなっている。上板31の直交方向の寸法(左右幅)は、背面板12の紙目方向の寸法(左右幅)よりも僅かに小さくなっている。下板32の紙目方向の寸法(前後長)は、側面板13の紙目方向の寸法よりも長く、かつ外蓋板16の延出寸法よりも若干短くなっている。下板32の直交方向の寸法(左右幅)は、上板31の左右幅よりも小さくなっている。外掛合板33は、上板31と同一の左右幅で、上板31よりも紙目方向に若干短く形成されている。内掛合板34は、外掛合板33から下板32に向かって徐々に直交方向に幅狭くなり、外掛合板33よりも紙目方向に僅かに短い略台形状に形成されている。
【0044】
上板31には、略U字状に切り込まれた切目37Aによって規制片37が区画されている。切目37Aは、上板31おいて外掛合板33との境界(第6折曲線L6)付近かつ直交方向の中央部に形成されている。切目37A(規制片37)は、上板31の紙目方向の自由端側の角部を傾斜させた略六角形状に形成されている。なお、切目37Aの両端部は、第6折曲線L6を越えて外掛合板33まで延びている。また、上記したロック片22の紙目方向の最大幅は、規制片37(後述するロック穴38)の最大寸法と略同等とされている。また、上記したロック片22の括れ部22Aの紙目方向の幅は、規制片37の自由端側における直交方向の幅よりも僅かに短くなっている。
【0045】
<外差込片、内差込片>
外差込片35および内差込片36は、それぞれ、紙目方向に長い略長方形状に形成されている。一対の外差込片35は、第7折曲線L7を介して上板31の直交方向の両端に連設されている。一対の内差込片36は、第7折曲線L7を介して下板32の直交方向の両端に連設されている。外差込片35と内差込片36との紙目方向の寸法(前後長)は、側面板13の紙目方向の寸法よりも若干短くなっている。外差込片35と上板31とは紙目方向の自由端を一致させ、内差込片36と下板32とは紙目方向の自由端を一致させている。
【0046】
なお、第6折曲線L6はリード罫であり、第7折曲線L7は汎用罫線である。詳細には、上板31と外掛合板33との境界の第6折曲線L6には規制片37の基部に1つのミシン目が切り込まれており、その他の第6折曲線L6には3つのミシン目が切り込まれている。また、外差込片35と上板31との境界の第7折曲線L7には1つの直線状の切目が切り込まれ、内差込片36と下板32との境界の第7折曲線L7には1つの台形状に屈曲した切目が切り込まれている。これらの切目は外差込片35や内差込片36を折り曲げ易くするために形成されている。なお、第6および第7折曲線L6,L7は、リード罫や汎用罫線に限らず、例えば、ミシン目等、板紙を折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0047】
[箱本体の製造]
次に、
図4を参照して、箱本体10の製造工程について簡単に説明する。
図4は箱本体10を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【0048】
箱本体10は、例えば、自動製函機(図示せず)によって大量生産される。自動製函機には複数のブランク10Aがセットされており、自動製函機はブランク10Aを適所で折り曲げたり接着したりすることで箱本体10を製造する。
【0049】
自動製函機は、内面板14と背面板12との間の側面板13を第1折曲線L1に沿って折り返す(正折りする)。折り返された側面板13は背面板12上に重なり、内面板14は他方の側面板13上に重なる。
【0050】
続いて、自動製函機は、内面板14の表面(または外面板11Aの裏面)に接着剤を塗布し、正面板11(外面板11A)を第1折曲線L1に沿って折り返す(正折りする)。外面板11Aは、内面板14上に重なり、接着剤を介して内面板14に接着される。延出板11Bは、折り返された側面板13上に重なる。
【0051】
以上によって、平坦に折り畳まれた箱本体10が完成する。ここで、上記したように、内面板14に開口した内面穴21は、外面板11Aに開口した外面穴20よりも下方にずれているため、内面板14を外面板11Aに接着した状態で、内面穴21は、外面穴20に対して直径の半分程度下方にずれた位置に重なる。このように、内面穴21と外面穴20とは、互いに位置ずれして一部分を重ね合わせることで芳香体3が挿通不能な芳香穴25を形成する。芳香穴25は、芳香体3の粒(直径4mm程度)よりも小さな開口となる(最も広い部分で2mm程度)。
【0052】
[香り見本の組立]
次に、
図5ないし
図10を参照して、香り見本2の組立手順について説明する。
図5は箱本体10とフック部30との組立手順を説明する斜視図である。
図6は箱本体10にフック部30を連結する過程を説明する斜視図である。
図7は箱本体10の上面開口部26Uをフック部30の内蓋部40で閉塞した状態を示す斜視図である。
図8は箱本体10にフック部30を連結した状態を示す斜視図である。
図9は箱本体10の下面開口部26Dから筒体26の内部に芳香体3を収容する過程を説明する斜視図である。
図10は箱本体10の下面開口部26Dを閉塞した状態を示す斜視図である。
【0053】
<筒体の組立>
図5に示すように、作業者は、折り畳まれた箱本体10(
図4参照)を引き起こして、外面板11A(内面板14)、背面板12および一対の側面板13によって角筒状の筒体26を形成する。積層された外面板11Aと内面板14とは筒体26の正面を成し、背面板12は筒体26の背面を成し、一対の側面板13は筒体26の左右両側面を成す。延出板11Bは、筒体26の正面(外面板11A)から右方に延設されている。筒体26の上下両端には上面開口部26Uと下面開口部26Dとが開口している。外蓋板16は筒体26の前面(外面板11A)の上端に連設され、一対の上内フラップ15は筒体26の左右両側面(一対の側面板13)の上端に連設されている。内底板18は筒体26の後面(背面板12)の下端に連設され、外底板19は筒体26の前面(外面板11A)の下端に連設され、一対の下内フラップ17は筒体26の左右両側面(一対の側面板13)の下端に連設されている。
【0054】
<フック部の組立>
作業者は、ブランク30Aの外掛合板33に対して内掛合板34を第6折曲線L6に沿って折り返す(180度正折りする(
図5参照))。内掛合板34は外掛合板33の裏面に重なり、下板32は上板31の裏面に重なり、各内差込片36は各外差込片35の裏面に重なる。作業者は、内掛合板34と外掛合板33とを第6折曲線L6に沿って下方に折り曲げ、各内差込片36と各外差込片35とを第7折曲線L7に沿って下方に折り曲げる(
図5参照)。
【0055】
図6に示すように、作業者は、下板32と上板31との自由端を一致させ、各内差込片36と各外差込片35と一致させる。下板32と上板31とを積層することで内蓋部40が形成される。下板32の後端から下方に延設される内掛合板34と上板31の後端から下方に延設される外掛合板33とを下端で接続することで掛合部42が形成される。上板31は、下板32よりも前後方向に長く形成されているため、下板32よりも後方に延設されている。このため、外掛合板33と内掛合板34とは、下端を接続し、上端部を互いに前後方向に離間させ、側方から見て略三角形状を構成する。また、下板32の左右両側端から下方に延設される一対の内差込片36と上板31の左右両側端から下方に延設される一対の外差込片35とを積層することで一対の差込部41が形成される。
【0056】
以上によって、フック部30が完成する(
図6参照)。
【0057】
<箱本体とフック部との連結>
作業者は、フック部30の一対の差込部41を筒体26の上面開口部26U上に配置し(
図6参照)、一対の差込部41を上面開口部26Uから筒体26の内部に差し込む(
図7参照)。
図7に示すように、内蓋部40は、上面開口部26Uを閉塞すると共に筒体26よりも後方に延設された状態となる。この状態で、内掛合板34は、略垂直な姿勢となり、外掛合板33は、内掛合板34と接続された下端から上方に向かって内掛合板34から後方に離れるように傾斜した姿勢となる。掛合部42は、内掛合板34を底辺とし、外掛合板33を斜辺とした略直角三角形状に形成されている。また、内掛合板34は、筒体26の後面(背面板12)と平行な姿勢とされている。掛合部42(内掛合板34)は、被掛合部4を進入させる掛合空間43を挟んで筒体26(背面板12)に対向している。内掛合板34と背面板12とは平行であるため、掛合空間43は、下端から上端まで略均一な前後幅に形成されている。なお、内掛合板34が筒体26の後面と「平行」であるとは、厳密に平行であることを要求する意味ではなく、若干の傾きを許容する意味である。
【0058】
作業者は、一対の上内フラップ15を順に第2折曲線L2に沿って正折りし、内蓋部40上に折り重ねる(
図8参照)。作業者は、外蓋板16を第2折曲線L2に沿って正折りし、ロック片22を第4折曲線L4に沿って正折りする(
図8参照)。作業者は、外蓋板16を第2折曲線L2で折り曲げながら、ロック片22を上板31の後部に形成された規制片37に押し当てる。規制片37は、ロック片22に押されて第6折曲線L6に沿って下方に折れ曲がり、内掛合板34と外掛合板33との間に進入する。規制片37が押し込まれることで、上板31の後部にはロック穴38が開口し、ロック片22は、規制片37を押し込みながらロック穴38に差し込まれる(
図8参照)。
【0059】
図8に示すように、規制片37は、基端(外掛合板33との接続部分)から先端に向けて下傾した姿勢となり、その先端を、ロック穴38に差し込まれたロック片22に突き当てる。ロック片22は規制片37によってロック穴38の前方に押され、ロック片22の括れ部22Aはロック穴38の左右方向に幅狭い部分に嵌り込んでいる。これにより、ロック片22がロック穴38から引き抜き難くなり、外蓋板16が一対の上内フラップ15を挟んで内蓋部40に積層された状態に保持される。このように、内蓋部40に区画された規制片37(ロック穴38)と、外蓋板16に連設されたロック片22とが、外蓋板16を内蓋部40に積層した状態に保持するロック部50を構成する。
【0060】
以上によって、フック部30が箱本体10の上部に連結される(
図8参照)。
【0061】
<芳香体の収容>
図9に示すように、作業者は、フック部30を連結した箱本体10を、天底逆さまにして下面開口部26Dを上方に向けた姿勢で、作業台(図示せず)に載置する。箱本体10の外蓋板16は、筒体26よりも後方に延設されているため、外蓋板16を作業台に接地させることで、組立途中の香り見本容器1を安定した状態で立設させることができる。作業者は、下面開口部26Dから筒体26の内部に芳香体3を入れる(収容する)。なお、芳香体3は、筒体26が満杯になるまで入れる必要はなく、芳香体3の収容量は、例えば、筒体26の内容積の半分以下でよい(
図1参照)。
【0062】
<香り見本容器の封緘>
作業者は、一対の下内フラップ17を第3折曲線L3に沿って正折りし、内底板18を第3折曲線L3に沿って正折りする(
図10参照)。一対の下内フラップ17は、その先端部を突き合せ、筒体26の下面開口部26Dを概ね閉塞する(図示せず)。内底板18は、一対の下内フラップ17に積層される(
図10参照)。
【0063】
作業者は、外底板19を第3折曲線L3に沿って正折りし、下側ロック片24を第5折曲線L5に沿って正折りする(
図10参照)。作業者は、外底板19を第3折曲線L3で折り曲げながら、下側ロック片24を内底板18に開口した下側ロック穴23に差し込む(
図10参照)。下側ロック片24は、一対の切目23Bに沿って差し込まれて行く。
図10に示すように、下側ロック片24の全体が下側ロック穴23に差し込まれると、下側ロック片24は外底板19の折目(第3折曲線L3)周りの復元力によって僅かに前方に移動し、括れ部24Aが下側ロック穴23の左右方向に幅狭い部分に嵌り込む。これにより、下側ロック片24が下側ロック穴23から引き抜き難くなり、外底板19が内底板18に積層された状態に保持される。このように、内底板18に開口した下側ロック穴23と、外底板19に連設された下側ロック片24とが、外底板19を内底板18に積層した状態に保持する下側ロック部51を構成する。
【0064】
以上によって、芳香体3を内包した箱本体10が封緘され、香り見本2が完成する(
図1も参照)。
図1に示すように、香り見本2は、筒体26と掛合部42との間の掛合空間43に陳列台の被掛合部4を掛合させることで、陳列台に取り付けられる。芳香体3が発する芳香は、筒体26の正面に開口した芳香穴25から外部に流出する。なお、箱本体10の上下両面には僅かな隙間が有るため、これらの隙間から芳香体3が発する芳香が外部に流出することもある。
【0065】
なお、以上説明した香り見本2の組立手順では、箱本体10にフック部30を連結した後に、下面開口部26Dから筒体26の内部に芳香体3を収容していたが、これに限らず、筒体26の下面開口部26Dを閉塞した後に、上面開口部26Uから筒体26の内部に芳香体3を収容し、フック部30を箱本体10に連結してもよい。
【0066】
以上説明した本実施形態に係る香り見本容器1(香り見本2)によれば、一対の差込部41を筒体26の内部に差し込むことで、内蓋部40によって上面開口部26Uを閉塞することができる(
図7参照)。また、外蓋板16を内蓋部40上に重ねてロック部50で固定することで、フック部30を箱本体10に連結することができ、掛合部42の位置や姿勢を保持することができる(
図8参照)。これにより、粘着テープや接着剤等を用いることなく、紙製の香り見本容器1(香り見本2)を簡単に組み立てることができる。また、本実施形態に係る香り見本容器1では、内蓋部40が外蓋板16と共に箱本体10の天面部分を構成し、その天面部分が掛合部42を支持している。天面部分は下板32と上板31と外蓋板16とを積層した三重壁構造であるため、掛合部42を強固に支持することができる。これにより、確りと香り見本2を陳列台の被掛合部4に引っ掛けることができる。また、外蓋板16と内蓋部40との紙目方向は互いに直交しているため、箱本体10の天面部分を撓み難くすることができる(剛性の向上)。
【0067】
また、本実施形態に係る香り見本容器1(香り見本2)では、内掛合板34が筒体26の後面(背面板12)と平行に配置され、外掛合板33が下端から上方に向かって後方に傾いて配置される構成とした(
図8参照)。この構成によれば、掛合部42は側面から見て直角三角形状を成すトラス構造になるため、荷重による掛合部42の変形を抑制することができる。また、内掛合板34が筒体26の後面と平行であるため、掛合空間43の前後幅を均一にすることができる。これにより、被掛合部4を掛合空間43に嵌め合わせることができるため、被掛合部4に引っ掛けた香り見本2が傾いたりガタついたりすることが抑制され、被掛合部4に対して適正に香り見本2を引っ掛けることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る香り見本容器1(香り見本2)では、規制片37を押し込みながらロック片22をロック穴38に差し込んだ状態で、傾斜した規制片37の先端がロック片22に突き当たる構成とした(
図8参照)。この構成によれば、傾斜した規制片37によってロック片22の引き抜きを規制することができる。これにより、意図しない外蓋板16の開放が阻止され、フック部30から箱本体10が分離して落下する等の不具合の発生を抑制することができる。
【0069】
既に説明したように、箱本体10のブランク10Aの製造工程において、4mm未満の穴を形成した場合、打ち抜いた穴の不要部分を抜き落とすことが難しいと言われている。このため、ブランク10Aの製造工程において、外面穴20や内面穴21は4mm以上に設定することが好ましい。その一方で、芳香体3は直径4mm程度の粒状であるため、4mm以上の外面穴20や内面穴21が形成された場合、箱本体10(筒体26)に収容された芳香体3が各穴20,21から漏れ出す虞がある。このような問題に対し、本実施形態に係る香り見本容器1(香り見本2)では、外面板11Aの裏面に内面板14を接着することで、筒体26の正面が形成され、内面穴21が外面穴20に対して位置ずれして重なり、芳香体3の粒よりも小さな芳香穴25が形成される構成とした。この構成によれば、ブランク10Aの製造工程において、外面穴20や内面穴21を、芳香体3よりも大きく形成することができる。これにより、ブランク10Aの製造工程において、各穴20,21の不要部分を抜き落とすことができる。また、箱本体10を形成した状態で、芳香体3よりも小さな芳香穴25が形成されるため、箱本体10に収容した芳香体3の漏出を抑制することができ、芳香体3から発生する芳香のみを外部に漏出させることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る香り見本容器1によれば、一対の上内フラップ15が内蓋部40に折り重なり、内蓋部40と外蓋板16との間に挟まれる構成とした。この構成によれば、箱本体10の天面部分を更に厚くすることができ、箱本体10の強度(剛性)を向上させることができる。また、外蓋板16をロックすることで、一対の上内フラップ15が内蓋部40に押し付けられるため、箱本体10に対するフック部30の連結を強固にすることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る香り見本容器1(香り見本2)では、内底板18が一対の下内フラップ17上に重ねられ、外底板19が内底板18上に重ねられてロックされることで、箱本体10の底面部分が構成されていた。この構成によれば、粘着テープや接着剤等を用いることなく、箱本体10の底面部分を形成することができる。また、上記した香り見本2の組立手順で示したように、箱本体10の上部にフック部30を連結させた後、天底を逆さまにし、箱本体10(筒体26)の下面開口部26Dから芳香体3を収容することができる(
図9参照)。これにより、箱本体10にフック部30を連結させる作業と、箱本体10に芳香体3を収容する作業と、を複数の作業者に分担することができ、香り見本2を効率良く作製することができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る香り見本容器1では、規制片37(ロック穴38)が内蓋部40の上板31に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロック部50の一部である規制片37(ロック穴38)は掛合部42の外掛合板33(の上部)に形成されてもよく、この場合、ロック片22が外掛合板33のロック穴38に届くように、外蓋板16は上板31全体を覆うように延長されるとよい(図示せず)。また、本実施形態に係る香り見本容器1では、規制片37を折り曲げることでロック穴38が開口していたが、これに限らず、規制片37(切目37A)を省略し、ロック穴38が初めから上板31等に穿設されていてもよい(図示せず)。
【0073】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、掛合部42が、略垂直な内掛合板34と、傾斜した外掛合板33とによって、側方から見て略直角三角形状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内掛合板34と外掛合板33とが、下端(接続部分)から上方に向かって互いに離れるように傾斜し、掛合部42が、側方から見て略二等辺三角形状に形成されてもよい(図示せず)。また、例えば、掛合部42は、内掛合板34と外掛合板33とを互いに重ね合わせた二重壁構造とされてもよい(図示せず)。なお、掛合部42を二重壁構造とする場合には、規制片37(ロック穴38)は、上板31と下板32との両方に形成される、または外掛合板33と内掛合板34との両方に形成されるとよい(図示せず)。
【0074】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、外面板11Aの裏面に内面板14を接着すると、内面穴21と外面穴20とが一部を一致させて重なり、芳香体3の粒よりも小さな芳香穴25が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。仮に、ブランク10Aの製造工程において、芳香体3の粒よりも小さな外面穴20等を形成することが可能なのであれば、内面穴21と外面穴20との全部を一致させて芳香穴25が形成されてもよい(図示せず)。また、芳香体3の粒よりも小さな外面穴20を形成することができるのであれば、内面板14は、外面板11Aの全面に接着される必要はなく、外面板11Aの端部分のみに接着される継代片とされてもよく、この場合、内面穴21は不要となる(図示せず)。
【0075】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、筒体26の正面を構成する外面板11Aと内面板14とが互いに接着されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内面板14の先端に第2の内面板(図示せず)が連設され、第2の内面板を一方の側面板13の裏面に接着することで、筒体26の(一方の)側面が形成されてもよい。この場合、内面穴21が第2の内面板に形成され、外面穴20が一方の側面板13に形成されてもよい(図示せず)。つまり、芳香穴25(外面穴20、内面穴21)は、筒体26の正面に限らず、左右両側面の少なくとも何れか一方に形成されてもよい(図示せず)。また、芳香穴25は、複数形成されてもよい(図示せず)。また、芳香穴25(内面穴21、外面穴20)は、筒体26の上側に形成されていたが、これに限らず、筒体26の上下方向の中央付近や下側に形成されてもよい(図示せず)。さらに、箱本体10の上下両面にある僅かな隙間から芳香体3が発する芳香が外部に流出するため、芳香穴25(内面穴21、外面穴20)は省略されてもよい(図示せず)。
【0076】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、一対の上内フラップ15が互いに折り重なる長さに形成されていたが、これに限らず、例えば、一対の上内フラップ15は先端同士を突き合わせられる長さに形成されてもよい(図示せず)。また、1つの上内フラップ15のみが設けられてもよいし、一対の上内フラップ15は省略されてもよい(図示せず)。
【0077】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、一対の下内フラップ17が先端同士を突き合わせられる長さに形成されていたが、これに限らず、一対の下内フラップ17が互いに折り重なる長さに形成されてもよい(図示せず)。また、1つの下内フラップ17のみが設けられてもよいし、一対の下内フラップ17は省略されてもよい(図示せず)。
【0078】
また、本実施形態に係る香り見本容器1では、外底板19と内底板18とが下側ロック部51を介してロックされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内底板18を省略し、下側ロック片24に代えて外底板19の先端に連設された差込片(図示せず)が筒体26の内部に差し込まれてもよい。つまり、下側ロック部51は省略されてもよい。また、筒体26の底面部分は、地獄底(アメリカンロック)であってもよいし、筒体26を形成する過程で自動的に底面部分を形成するワンタッチ底であってもよい(いずれも図示せず)。ワンタッチ底である場合、芳香体3は、上面開口部26Uから筒体26に収容することになる。
【0079】
また、本実施形態に係る香り見本容器1は、板紙で形成されていたが、本発明はこれに限定されない。香り見本容器1は、例えば、紙製の段ボールシートで形成されてもよい。また、香り見本容器1の各部の寸法(幅、奥行き、高さ等)や形状、板紙等の厚みや紙目方向等は自由に変更してもよい。
【0080】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る香り見本容器の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0081】
1 香り見本容器
3 芳香体
4 被掛合部
10 箱本体
11A 外面板
14 内面板
15 上内フラップ
16 外蓋板
17 下内フラップ
18 内底板
19 外底板
20 外面穴
21 内面穴
22 ロック片
23 下側ロック穴
24 下側ロック片
25 芳香穴
26 筒体
26U 上面開口部
26D 下面開口部
30 フック部
31 上板
32 下板
33 外掛合板
34 内掛合板
35 外差込片
36 内差込片
37 規制片
37A 切目
38 ロック穴
40 内蓋部
41 差込部
42 掛合部
43 掛合空間
50 ロック部