(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031345
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ワッシャー
(51)【国際特許分類】
F27D 1/14 20060101AFI20240229BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20240229BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20240229BHJP
F16B 39/24 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F27D1/14 F
F16B43/00 Z
F16B5/02 U
F16B39/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134846
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】306039120
【氏名又は名称】DOWAサーモテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴史
(72)【発明者】
【氏名】日高 巧智
(72)【発明者】
【氏名】武本 慎一
【テーマコード(参考)】
3J001
3J034
4K051
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001KA26
3J034AA07
3J034BB02
4K051AA04
4K051AB03
4K051BA02
4K051BB04
(57)【要約】
【課題】固定部材をワッシャーで固定する際の緩みを抑制することができるワッシャーを提供する。
【解決手段】ワッシャー50は、断熱材20を貫通させたボルト30に締め付けるワッシャー50であって、ワッシャー50の重心位置は、ボルト30が貫通する孔51の位置に対して下方にずれている。ワッシャー50fは、断熱材20と、断熱材20を貫通させたボルト30に締め付けるナット41との間に配置され、ナット41を収容する凹部52を有し、凹部52におけるナット41との間の隙間は、充填部材53で埋められてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材を貫通させたボルトに締め付けるワッシャーであって、
前記ワッシャーの重心位置は、前記ボルトが貫通する孔の位置に対して下方にずれている、
ワッシャー。
【請求項2】
前記固定部材と、前記固定部材を貫通させた前記ボルトに締め付けるナットと、の間に配置され、
前記ナットを収容する凹部を有し、
前記凹部における前記ナットとの間の隙間は、充填部材で埋められた、
請求項1に記載のワッシャー。
【請求項3】
前記ワッシャーを前記孔の方向から見た形状は、円形、矩形、ティアドロップ型、及び、偏心ダイヤ型のいずれかを含む、
請求項1または2に記載のワッシャー。
【請求項4】
前記ワッシャーは、上部及び下部を含み、
前記上部と前記下部とは、材料、前記孔の方向から見た形状、及び、前記孔の方向における厚みの少なくともいずれかが異なる、
請求項1または2に記載のワッシャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワッシャーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、真空浸炭炉内に断熱材を配置した断熱構造が開示されている。特許文献2及び3には、ワッシャーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-029995号公報
【特許文献2】特開2005-112260号公報
【特許文献3】実開平06-037619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
断熱材等の固定部材は、ワッシャーを介してボルトをナットで締結しているが、真空浸炭炉を使用中にワッシャー及びナットが緩み、炉内に落下する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、固定部材をワッシャーで固定する際の緩みを抑制することができるワッシャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るワッシャーは、固定部材を貫通させたボルトに締め付けるワッシャーであって、前記ワッシャーの重心位置は、前記ボルトが貫通する孔の位置に対して下方にずれている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、固定部材をワッシャーで固定する際の緩みを抑制することができるワッシャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)及び(b)は、比較例に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の1A-1A線の断面を示す。
【
図2】比較例に係る熱処理炉の断熱材を貫通させたボルトの両端をナット及びワッシャーで締め付けた構成を例示した一部断面斜視図である。
【
図3】(a)及び(b)は、実施形態1に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の3A-3A線の断面を示す。(c)及び(d)は、実施形態1の変形例1に係るティアドロップ型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の3C-3C線の断面を示す。(e)及び(f)は、実施形態1の変形例2に係る偏心ダイヤ型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(e)は、(f)の3E-3E線の断面を示す。
【
図4】(a)及び(b)は、実施形態1の変形例3に係る異材混合型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の4A-4A線の断面を示す。(c)及び(d)は、実施形態1の変形例4に係る面形状異形型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の4C-4C線の断面を示す。(e)及び(f)は、実施形態1の変形例5に係る厚み異形型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(e)は、(f)の4E-4E線の断面を示す。
【
図5】実施形態1及び変形例1~5に係るワッシャーの構成の組み合わせを例示した図である。
【
図6】(a)及び(b)は、実施形態2に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の6A-6A線の断面を示す。(c)及び(d)は、実施形態3に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の6C-6C線の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
実施形態に係るワッシャーを説明する前に、比較例に係るワッシャー及びその課題を説明する。その後、比較例に係るワッシャーと対比させながら、実施形態に係るワッシャーを説明する。これにより、本実施形態に係るワッシャーをより明確にする。なお、比較例に係るワッシャー及びその課題も、実施形態の技術思想の範囲に含まれる。
【0011】
(比較例)
図1(a)及び(b)は、比較例に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の1A-1A線の断面を示す。
図2は、比較例に係る熱処理炉の断熱材を貫通させたボルトの両端をナット及びワッシャーで締め付けた構成を例示した一部断面斜視図である。
図1~
図2に示すように、例えば、真空浸炭炉等の熱処理炉10における内側の断熱材20の落下を防止するために、断熱材20は、ボルト30、ナット40及びワッシャー150を用いて、熱処理炉10の内側に固定されている。熱処理炉10の炉内温度は、例えば、900℃~1000℃付近になり、省エネルギー及び安全のために、断熱材20で放熱を抑える必要がある。なお、熱処理炉10の炉内温度は、900℃~1000℃に限らず、900℃よりも低温でもよいし、1000℃よりも高温でもよい。
【0012】
断熱材20は、例えば、熱処理炉10の炉壁11の内壁面に配置されている。本実施形態において、ボルト30、ナット40及びワッシャー150を用いて固定される固定部材として、断熱材20を例に説明する。固定部材は、ボルト30、ナット40及びワッシャー150を用いて固定されるものであれば、断熱材に限らない。
【0013】
断熱材20は、炉壁11及び断熱材20を貫通させたボルト30の両端をナット40及びワッシャー150で締め付けることで固定されている。ナット40は、炉壁11の外壁面12上でボルト30の一端を締め付けている。ワッシャー150は、炉壁11の内壁面13に配置された断熱材20上でボルト30の他端を締め付けている。
【0014】
ボルト30は、炉壁11及び断熱材20に設けられた貫通孔を貫通している。ボルト30の一端は、炉壁11の外壁面12上に露出している。ボルト30の他端は、炉壁11の内壁面13に配置された断熱材20上に露出している。ボルト30の両端は、ネジ溝を有している。よって、ボルト30の一端は、ナット40によって固定されている。ボルト30の他端は、ワッシャー150によって固定されている。このように、ボルト30は、両端にネジ溝を有し、両端にナット40等を締め付けるタイプを含む。
【0015】
ナット40は、内周面にネジ溝が形成された孔を有している。ナット40は、ボルト30の一端に固定される。
【0016】
ワッシャー150は、例えば、板状である。ワッシャー150は、孔151の方向、すなわち、板面に直交する方向から見て円形でもよいし、矩形でもよい。
図1では、板面が円形のワッシャー150を示し、
図2では、板面が矩形のワッシャー150を示している。ワッシャー150は、孔151を有している。ワッシャー50の孔151は、板面に直交する方向に延びている。孔151は、断熱材20に接する一方の板面から熱処理炉10の炉内側の他方の板面に貫通してもよい。なお、孔151は、一方の板面から延び、ワッシャー150の内部に底を有してもよい。
【0017】
ワッシャー150の孔151は、ワッシャー150の重心を通るように形成されている。具体的には、ワッシャー150の板面が水平になるように一点で支えた場合に、釣り合う重心に孔151が形成されている。板状のワッシャー150の厚さが一様の場合には、孔151が延びる方向、すなわち、板面に直交する方向から見て、ワッシャー150の板面の重心に孔151が形成されている。例えば、板面が円形の場合には、円形の板面の中心に孔151が形成されている。例えば、板面が正方形及び長方形の場合には、板面の対角線の交点に孔151が形成されている。
【0018】
ワッシャー150の孔151は、ボルト30が入る孔151である。ボルト30は、孔151を貫通してもよい。ワッシャー150の孔151の内周面は、ネジ溝を有してもよい。よって、孔151には、ボルト30が螺入してもよい。ワッシャー150は、断熱材20を貫通させたボルト30の他端に締め付けられる。ワッシャー150をボルト30の他端に締め付けた後で、使用中に緩まないように、ワッシャー150とボルト30とは、溶接固定されてもよい。熱処理環境下では、断熱材20は、熱収縮する場合がある。この場合には、ワッシャー150と断熱材20との間には、クリアランスが発生する。しかしながら、断熱材20が炉内に落下することを防止できれば、少々のクリアランスの発生は許容することができる。
【0019】
ワッシャー150とボルト30とを溶接固定しない場合には、熱処理炉10の扉の開け閉め等、熱処理炉10の使用により、ワッシャー150が回転し、ワッシャー150が徐々に緩んで熱処理炉10内に落下することがある。そして、落下したワッシャー150等が熱処理炉10内の製品等の熱処理対象物に当たって外観キズが発生する場合がある。また、製品を炉内から搬送時に異常が起こる場合もある。よって、このような外観キズ及び異常を未然に防止するために、ワッシャー150の回転の抑制が必須となっている。
【0020】
しかしながら、ワッシャー150とボルト30とを溶接固定する場合には、ワッシャー150の数だけ溶接作業を必要とする。例えば、溶接作業は、熱処理炉10の製作時、及び、断熱材20の定期交換時に必要となる。数十個のワッシャー150を固定する際には、膨大な溶接作業時間を必要とする。
【0021】
また、ワッシャー150の回転を抑制するためとはいっても、熱処理炉10のラインレイアウトをなるべくコンパクトにする必要があるので、ナット40を複数個重ねることは避けたい。このようなことから、溶接固定しなくても、固定部材をワッシャーで固定する際の緩みを抑制することができるワッシャーが所望されていた。
【0022】
(実施形態1)
次に、実施形態1に係るワッシャーを説明する。
図3(a)及び(b)は、実施形態1に係るワッシャー50を例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の3A-3A線の断面を示す。
図3に示すように、本実施形態において、ワッシャー50の孔51は、ワッシャー50の重心からずれた位置に偏心させて形成されている。具体的には、ワッシャー50の板面が水平になるように一点で支えた場合に、釣り合う重心からずれた位置に孔51が形成されている。
【0023】
したがって、断熱材20を貫通させたボルト30の両端をナット40及びワッシャー50で締め付けた場合に、ワッシャー50の重心位置は、ボルト30が貫通する孔51の位置に対して下方にずれている。このように、ワッシャー50の回転中心よりもワッシャー50の重心が低い位置にあるため、持続的に力を加えて180度以上反時計回りに回転させないかぎり、ワッシャー50の自重で元の位置、すなわち、ワッシャー50の重心が孔51より下方にずれた位置に戻る。
【0024】
例えば、実際の熱処理炉10の扉に比較例のワッシャー150及び実施形態1のワッシャー50を用いて断熱材20を固定し、N=50回程度の繰り返し動作検証試験を行った。その結果、扉の開閉動作で振動が加わるたびに、比較例のワッシャー150(溶接固定なし)は、徐々に緩み方向に回転していく。これに対し、実施形態1のワッシャー50(溶接固定なし)は一切動かず、緩みが進まないことを確認した。このことから、ワッシャー50の重心を回転中心より下方に設定することで、ワッシャー50の回転を抑制する効果を発揮させることができる(以下では、偏心効果と呼ぶ。)。このように、本実施形態のワッシャー50は、孔51を重心から偏心させることにより、比較例に比べて、溶接固定を不要としつつ、断熱材20をワッシャー50で固定する際の緩みを抑制することができる。
【0025】
(変形例)
次に、ワッシャー50の変形例を説明する。
図3(c)及び(d)は、実施形態1の変形例1に係るティアドロップ型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の3C-3C線の断面を示す。
図3(c)及び(d)に示すように、ワッシャー50aを孔51aの方向から見た形状は、ティアドロップ型である。具体的には、ワッシャー50aは、水滴の断面の形状を有している。ワッシャー50aの重心位置は、孔51aから偏心して下方にずれている。このような形状とすることにより、ワッシャー50aの重心を回転中心より下方に設定することができ、ワッシャー50aの回転を抑制する前述の偏心効果を得ることができる。また、ワッシャー50aの形状をティアドロップ型にすることによって、円形状よりも偏心させることのできる範囲を大きくすることができる。よって、より振動や外力に対して安定させることができる。
【0026】
図3(e)及び(f)は、実施形態1の変形例2に係る偏心ダイヤ型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(e)は、(f)の3E-3E線の断面を示す。
図3(e)及び(f)に示すように、ワッシャー50bを孔51bの方向から見た形状は、偏心ダイヤ型の形状を含んでいる。具体的には、ワッシャー50bは、正三角形の1辺と、二等辺三角形の底辺とを接続した四角形である。ワッシャー50bの重心位置は、孔51bから偏心して下方にずれている。このような形状とすることにより、ワッシャー50bの重心を回転中心より下方に設定することができ、ワッシャー50bの回転を抑制する前述の偏心効果を得ることができる。また、ワッシャー50bの形状を偏心ダイヤ型にすることによって、取り付け時の回転スペースを小さくすることができ、取り付けスペースの制限を緩和することができる。
【0027】
図4(a)及び(b)は、実施形態1の変形例3に係る異材混合型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の4A-4A線の断面を示す。
図4(a)及び(b)に示すように、ワッシャー50cは、異材混合型の形状を有している。ワッシャー50cは、上部と下部とに2分されている。孔51cは、上部と下部との間に形成されている。上部の材料の比重は、下部の材料の比重よりも小さい。例えば、上部は、比重7.93のステンレスを含み、下部は、比重11.35の鉛を含んでいる。このように、ワッシャー50cの上部の材料と、下部の材料と、を異なるようにすることにより、ワッシャー50cの重心を回転中心より下方に設定することができ、ワッシャー50cの回転を抑制する前述の偏心効果を得ることができる。また、ワッシャー50を異材混合型にすることによって、孔51cの方向から見たワッシャー50cの形状の中心位置に孔51cを形成することができる。また、ワッシャー50cの形状は問われないので、ワッシャー50cの形状の自由度を向上させることができる。
【0028】
図4(c)及び(d)は、実施形態1の変形例4に係る面形状異形型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の4C-4C線の断面を示す。
図4(c)及び(d)に示すように、ワッシャー50dは、異材混合型の形状を有している。ワッシャー50dは、厚さが一様な上部と下部とに2分されている。孔51dは、上部と下部との間に形成されている。孔51dの方向から見た上部の面積は、下部の面積よりも小さい。このように、ワッシャー50dの上部の形状と、下部の形状とを異なるようにすることにより、ワッシャー50cの重心を回転中心より下方に設定することができ、ワッシャー50cの回転を抑制する前述の偏心効果を得ることができる。
【0029】
図4(e)及び(f)は、実施形態1の変形例5に係る厚み異形型のワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(e)は、(f)の4E-4E線の断面を示す。
図4(e)及び(f)に示すように、ワッシャー50eは、厚み異材型の形状を有している。ワッシャー50eは、上部と下部とに2分されている。孔51eは、上部と下部との間に形成されている。上部の厚さは、下部の厚さよりも小さい。このように、ワッシャー50eの上部の厚みと、下部の厚みとを異なるようにすることにより、ワッシャー50eの重心を回転中心より下方に設定することができ、ワッシャー50eの回転を抑制する前述の偏心効果を得ることができる。
【0030】
図5は、実施形態1及び変形例1~5に係るワッシャーの構成の組み合わせを例示した図である。
図5に示すように、実施形態1の円形偏心型のワッシャー50を1件目、変形例1のティアドロップ型のワッシャー50aを2件目、変形例2の偏心ダイヤ型のワッシャー50bを3件目、変形例3の異材混合型のワッシャー50cを4件目、変形例4の面形状異形型のワッシャー50dを5件目、変形例5の厚み異形型のワッシャー50eを6件目とする。使用環境と費用対効果を考慮して、1件目~6件目の各構成を組み合わせることにより、7件目~27件目に拡張することができる。
【0031】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るワッシャーを説明する。
図6(a)及び(b)は、実施形態2に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(a)は、(b)の6A-6A線の断面を示す。
図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態のワッシャー50fは、断熱材20とナット41との間に配置されている。ナット41は断熱材20を貫通させたボルト30の他端に締め付けられている。よって、ボルト30は、炉壁11、断熱材20及びワッシャー50fを貫通する。ボルト30の一端は、ナット40で締め付けられ、ボルト30の他端は、ナット41で締め付けられている。
【0032】
ワッシャー50fは、ナット41を収容する凹部52を有している。凹部52をザグリとも呼ぶ。凹部52は、ワッシャー50fにおける炉内側の板面に形成されている。凹部52の深さは、ナット41の厚さと同じ寸法であることが好ましい。凹部52におけるナット41との間の隙間は、充填部材53で埋められている。充填部材53は、例えば、耐火部材である。ワッシャー50fの重心位置は、ボルト30が貫通する孔51fの位置に対して下方にずれている。
【0033】
本実施形態によれば、ボルト30の他端をワッシャー50f及びナット41で固定するので、断熱材20をワッシャー50fで固定する際の緩みを抑制することができる。また、ナット41を充填部材53によって凹部52に埋めてワッシャー50fと固定する。また、ワッシャー50fの重心位置を下方にずらして回りにくくする。これにより、ワッシャー50fで固定する際の緩みを抑制することができる。ナット41を凹部52内に収容しているので、炉内の製品等の熱処理対象物との干渉を抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び変形例1~5の記載に含まれている。
【0034】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係るワッシャーを説明する。
図6(c)及び(d)は、実施形態3に係るワッシャーを例示した断面図及び正面図であり、(c)は、(d)の6C-6C線の断面を示す。
図6(c)及び(d)に示すように、本実施形態のワッシャー50gは、断熱材20とナット42との間に配置されている。ナット42は断熱材20を貫通させたボルト30の他端に締め付けられている。よって、ボルト30は、炉壁11、断熱材20及びワッシャー50gを貫通する。ボルト30の一端は、ナット40で締め付けられ、ボルト30の他端は、ナット42で締め付けられている。実施形態2及び3のワッシャー50f及び50gの孔51f及び51gの内周面は、実施形態1と同様にネジ溝を有してもよいし、ネジ溝を有していなくてもよい。よって、ワッシャー50f及び50gは、ボルト30に締め付けてもよいし、ボルト30に締め付けなくてもよい。
【0035】
ワッシャー50gは、ナット42を収容する凹部54を有している。凹部54をザグリとも呼ぶ。凹部54は、ワッシャー50gにおける炉内側の板面に形成されている。凹部54の深さは、ナット42の厚さと同じ寸法であることが好ましい。凹部54におけるナット42との間の隙間は、充填部材53で埋められていない。なお、凹部54におけるナット42との間の隙間は、充填部材53で埋められてもよい。充填部材53は、例えば、耐火部材である。ワッシャー50gの重心位置は、ボルト30が貫通する孔51gの位置に対して下方にずれている。孔51gの方向から見て、ナット42は、矩形である。よって、孔51gの方向から見て、ナット42を収容する凹部54も矩形である。
【0036】
本実施形態によれば、ワッシャー50gは、矩形ザグリの凹部54を有し、ナット42は、矩形ナットである。よって、ワッシャー50gの凹部54内で、ナット42が単独で回転することを抑制することができる。これにより、凹部54におけるナット42との間の隙間を充填部材53で埋めることを不要とすることができる。したがって、充填部材53の費用及び管理を削減することができる。なお、充填部材53を用いてもよく、その場合には、ワッシャー50gの凹部54内で、ナット42が単独で回転することをさらに抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~2及び変形例1~5の記載に含まれている。
【0037】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1~3及び変形例1~5における各構成は、適宜、組み合わせてもよい。さらに、下記のワッシャーも実施形態の技術思想の範囲である。
(付記1)
固定部材と、前記固定部材を貫通させたボルトに締め付けるナットと、の間に配置されたワッシャーであって、
前記ナットを収容する凹部を有し、
前記ワッシャーの重心位置は、前記ボルトが貫通する孔の位置に対して下方にずれ、
前記ナット及び前記凹部を前記孔の方向から見た形状は、矩形である、
ワッシャー。
【符号の説明】
【0038】
10 熱処理炉
11 炉壁
12 外壁面
13 内壁面
20 断熱材
30 ボルト
40、41 ナット
50、50a、50b、50c、50d、50e、50f ワッシャー
51、51a、51b、51c、51d、51e、51f 孔
52 凹部
53 充填部材
150 ワッシャー
151 孔