(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031350
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240229BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20240229BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L27/108 671A
H01L27/108 621C
H01L27/1156
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134851
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋田 貴誉
(72)【発明者】
【氏名】野田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】浦川 聖市
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 睦
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083AD03
5F083AD56
5F083AD57
5F083EP02
5F083EP21
5F083ER21
5F083JA02
5F083JA19
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
5F101BA01
5F101BB01
5F101BD12
5F101BD16
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の信頼性の低下を抑制する
【解決手段】半導体記憶装置は、第1方向に延在する第1の酸化物半導体層と、第1方向に延在し、第1方向と交差する第2方向に沿って第1の酸化物半導体層に隣り合って配置された第2の酸化物半導体層と、第1方向と交差する第3方向に延在し、第3方向において第1の酸化物半導体層に重なる第1の配線と、第3方向に延在し、第3方向において第2の酸化物半導体層に重なる第2の配線と、第1の配線と第1の酸化物半導体層との間に設けられた第1の絶縁膜と、第2の配線と第2の酸化物半導体層との間に設けられた第2の絶縁膜と、第1の酸化物半導体層の上に設けられた第1の導電体と、第2の酸化物半導体層の上に設けられた第2の導電体と、第1の導電体と第2の導電体との間、または、第1の配線と第2の配線との間に空隙を有する絶縁層と、を具備する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する第1の酸化物半導体層と、
前記第1方向に延在し、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記第1の酸化物半導体層に隣り合って配置された第2の酸化物半導体層と、
前記第1方向と交差する第3方向に延在し、前記第3方向において前記第1の酸化物半導体層に重なる第1の配線と、
前記第3方向に延在し、前記第3方向において前記第2の酸化物半導体層に重なる第2の配線と、
前記第1の配線と前記第1の酸化物半導体層との間に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第2の配線と前記第2の酸化物半導体層との間に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第1の酸化物半導体層の上に設けられた第1の導電体と、
前記第2の酸化物半導体層の上に設けられた第2の導電体と、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間、または、前記第1の配線と前記第2の配線との間に空隙を有する絶縁層と、
を具備する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間に設けられた第3の導電体と、
前記第1の導電体の上、前記第2の導電体の上、および第3の導電体の上に延在する第3の配線と、
をさらに具備し、
前記空隙は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間、前記第1の配線と前記第2の配線との間、および前記第3の導電体と前記第3の配線との間に延在する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1の配線、前記第2の配線、前記第1の導電体、および前記第2の導電体のそれぞれと前記空隙との間に設けられた絶縁膜をさらに具備する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1方向に延在する第1の酸化物半導体層と、
前記第1方向に延在し、前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記第1の酸化物半導体層に隣り合って配置された第2の酸化物半導体層と、
前記第1方向および前記第2方向のそれぞれと交差する第3方向に延在し、前記第3方向において前記第1の酸化物半導体層に重なる第1の配線と、
前記第3方向に延在し、前記第3方向において前記第2の酸化物半導体層に重なる第2の配線と、
前記第1の配線と前記第1の酸化物半導体層との間に設けられた第1の絶縁膜と、
前記第2の配線と前記第2の酸化物半導体層との間に設けられた第2の絶縁膜と、
前記第2方向に沿って前記第1の酸化物半導体層の上および前記第2の酸化物半導体層の上に延在する導電体と、
前記導電体の上に設けられ、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向のそれぞれと交差する第4方向において前記第1の配線、前記第2の配線、および前記導電体のそれぞれと交差するように延在する第3の配線と、
を具備する、半導体記憶装置。
【請求項5】
前記導電体の側面を覆う絶縁膜をさらに具備する、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビット線、ワード線、およびこれらに接続されるメモリセル(トランジスタおよびキャパシタ)を有する半導体記憶装置が用いられている。ビット線とワード線を選択して、電圧を印加することで、メモリセルにデータを書き込み、読み出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0305081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、半導体記憶装置の信頼性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1方向に延在する第1の酸化物半導体層と、第1方向に延在し、第1方向と交差する第2方向に沿って第1の酸化物半導体層に隣り合って配置された第2の酸化物半導体層と、第1方向と交差する第3方向に延在し、第3方向において第1の酸化物半導体層に重なる第1の配線と、第3方向に延在し、第3方向において第2の酸化物半導体層に重なる第2の配線と、第1の配線と第1の酸化物半導体層との間に設けられた第1の絶縁膜と、第2の配線と第2の酸化物半導体層との間に設けられた第2の絶縁膜と、第1の酸化物半導体層の上に設けられた第1の導電体と、第2の酸化物半導体層の上に設けられた第2の導電体と、第1の導電体と第2の導電体との間、または、第1の配線と第2の配線との間に空隙を有する絶縁層と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】メモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
【
図2】半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図3】メモリセルアレイの構造例を説明するための平面模式図である。
【
図4】メモリセルアレイの構造例を説明するための断面模式図である。
【
図5】メモリセルアレイの構造例を説明するための断面模式図である。
【
図6】メモリセルアレイの第1の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図7】メモリセルアレイの第1の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図8】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図9】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図10】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図11】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図12】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図13】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図14】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図15】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図16】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図17】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図18】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図19】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図20】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図21】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図22】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図23】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図24】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図25】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図26】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図27】第1の構造例の第1の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図28】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図29】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図30】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図31】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図32】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図33】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図34】メモリセルアレイの第1の構造例の第1の変形例を説明するための断面模式図である。
【
図35】メモリセルアレイの第1の構造例の第1の変形例を説明するための断面模式図である。
【
図36】メモリセルアレイの第1の構造例の第2の変形例を説明するための断面模式図である。
【
図37】メモリセルアレイの第1の構造例の第2の変形例を説明するための断面模式図である。
【
図38】メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための平面模式図である。
【
図39】メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図40】第2の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図41】第2の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図42】第2の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図43】第2の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図44】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図45】第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
【
図46】第2の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図47】第2の構造例の第1の変形例を説明するための断面模式図である。
【
図48】メモリセルアレイの第2の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図49】メモリセルアレイの第2の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図50】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図51】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図52】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図53】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図54】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図55】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図56】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【
図57】メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。上下方向は、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
本明細書において「接続」とは物理的な接続だけでなく電気的な接続も含み、特に指定する場合を除き、直接接続だけでなく間接接続も含む。
【0009】
実施形態の半導体記憶装置は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)であって、メモリセルアレイを有する。
【0010】
図1は、メモリセルアレイの回路構成例を説明するための回路図である。
図1は、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WL(ワード線WL
n、ワード線WL
n+1、ワード線WL
n+2、nは整数)と、複数のビット線BL(ビット線BL
m、ビット線BL
m+1、ビット線BL
m+2、mは整数)と、を図示する。
【0011】
複数のメモリセルMCは、行列方向に配列され、メモリセルアレイを形成する。それぞれのメモリセルMCは、電界効果トランジスタ(FET)であるメモリトランジスタMTRと、メモリキャパシタMCPと、を備える。メモリトランジスタMTRのゲートは対応するワード線WLに接続され、ソースまたはドレインの一方は対応するビット線BLに接続される。メモリキャパシタMCPの一方の電極はメモリトランジスタMTRのソースまたはドレインの他方に接続され、他方の電極は図示しないが特定の電位を供給する電源線に接続される。メモリセルMCは、ワード線WLによるメモリトランジスタMTRのスイッチングによりビット線BLからメモリキャパシタMCPに電荷を蓄積してデータを保持できる。複数のメモリセルMCの数は、
図1に示す数に限定されない。
【0012】
図2は、半導体記憶装置の構造例を説明するための断面模式図であり、半導体記憶装置のY軸とY軸に直交するZ軸とを含むY-Z断面の一部を示す。
【0013】
図2に示す半導体記憶装置は、半導体基板10と、回路11と、電気伝導体21と、絶縁膜22と、導電体23と、電気伝導体24と、電気伝導体25と、導電性酸化物層32と、導電体33と、絶縁層34と、絶縁層35と、酸化物半導体層41と、導電層42と、絶縁層43と、絶縁層45と、導電体50と、絶縁層60と、導電層70と、絶縁層80と、を備える。
【0014】
回路11は、例えばセンスアンプ等の周辺回路を構成する。回路11は、例えばPチャネル型電界効果トランジスタ(Pch-FET)、Nチャネル型電界効果トランジスタ(Nch-FET)等の電界効果トランジスタを有する。回路11の電界効果トランジスタは、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板10を用いて形成可能であり、Pch-FETおよびNch-FETは、半導体基板10にチャネル領域とソース領域とドレイン領域とを有する。なお、半導体基板10はP型の導電型を有していてもよい。なお、
図2は、便宜のため、回路11の電界効果トランジスタを図示する。
【0015】
電気伝導体21、絶縁膜22、電気伝導体24、および電気伝導体25は、キャパシタ20を形成する。キャパシタ20は、メモリセルMCのメモリキャパシタMCPである。
図2は、4つのキャパシタ20を図示するが、キャパシタ20の数は、4つに限定されない。
【0016】
キャパシタ20は、いわゆるピラー型キャパシタ、シリンダー型キャパシタ等の3次元キャパシタである。電気伝導体21は、メモリキャパシタMCPの第1の電極としての機能を有する。絶縁膜22は、メモリキャパシタMCPの誘電体層としての機能を有する。導電体23は、メモリキャパシタMCPの第2の電極としての機能を有する。電気伝導体24は、電気伝導体21と絶縁膜22との間に設けられる。電気伝導体25は、絶縁膜22と絶縁層34との間および絶縁膜22と導電体23との間に設けられる。
【0017】
電気伝導体21は、例えばアモルファスシリコン等の材料を含む。絶縁膜22は、例えば酸化ハフニウム等の材料を含む。導電体23、電気伝導体24、および電気伝導体25は、例えばタングステン、窒化チタン等の材料を含む。
【0018】
導電性酸化物層32は、電気伝導体21の上に設けられる。導電性酸化物層32は、例えばインジウム-錫-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。
【0019】
導電体33は、回路11に電気的に接続される。導電体33は、ビアとしての機能を有する。導電体33は、例えば銅を含む。
【0020】
絶縁層34は、例えば複数のキャパシタ20間に設けられる。絶縁層34は、例えばシリコンと酸素とを含む。
【0021】
絶縁層35は、絶縁層34の上に設けられる。絶縁層35は、例えばシリコンと窒素とを含む。
【0022】
酸化物半導体層41、導電層42、および絶縁層43は、電界効果トランジスタ40を形成する。電界効果トランジスタ40は、メモリセルMCのメモリトランジスタMTRである。電界効果トランジスタ40は、キャパシタ20の上方に設けられる。
【0023】
酸化物半導体層41は、例えばZ軸方向に延在する柱状体である。酸化物半導体層41は、電界効果トランジスタ40のチャネルを形成する。酸化物半導体層41は、例えばインジウム(In)を含む。酸化物半導体層41は、例えば、酸化インジウムと酸化ガリウム、酸化インジウムと酸化亜鉛、又は、酸化インジウムと酸化スズを含む。一例として、インジウム、ガリウム、及び、亜鉛を含む酸化物(インジウム-ガリウム-亜鉛-酸化物)、いわゆるIGZO(InGaZnO)を含む。
【0024】
酸化物半導体層41のZ軸方向の一端は、導電性酸化物層51を介して導電層52に接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの一方として機能し、他端が導電性酸化物層32に接続され、電界効果トランジスタ40のソースまたはドレインの他方として機能する。このとき、導電性酸化物層32は、キャパシタ20の電気伝導体21と電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層41との間に設けられ、電界効果トランジスタ40のソース電極またはドレイン電極の他方として機能する。導電性酸化物層32は、電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層41と同様に金属酸化物を含むため、電界効果トランジスタ40と導電性酸化物層32との接続抵抗を低減できる。
【0025】
導電層42は、Y軸方向に延在する。導電層42は、X―Y平面において絶縁層43を挟んで酸化物半導体層41に重なる。導電層42は、電界効果トランジスタ40のゲート電極を形成するとともに、配線としてワード線WLを形成する。導電層42は、例えば金属、金属化合物、又は、半導体を含む。導電層42は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含む。導電層42は導電体33に接続される。
【0026】
絶縁層43は、X―Y平面において、酸化物半導体層41と導電層42との間に設けられる。絶縁層43は、電界効果トランジスタ40のゲート絶縁膜を形成する。絶縁層43は、例えば、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。
【0027】
電界効果トランジスタ40は、ゲート電極がチャネルを囲んで配置される、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。SGTにより半導体記憶装置の面積を小さくできる。
【0028】
酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、半導体基板10に設けられた電界効果トランジスタよりもオフリーク電流が低い。よって、例えばメモリセルMCに保持されたデータを長く保持できるため、リフレッシュ動作の回数を減らすことができる。また、酸化物半導体を含むチャネル層を有する電界効果トランジスタは、低温プロセスで形成可能であるため、キャパシタ20に熱ストレスを与えることを抑制できる。
【0029】
導電体50は、導電性酸化物層51と、導電層52と、導電層53と、を有する。導電体50はビット線BLを介して回路11中のセンスアンプに電気的に接続される。導電体50は、例えば電界効果トランジスタ40とビット線BLと接続するための導電性パッドとしての機能を有する。
【0030】
導電性酸化物層51は、導電性酸化物を含む導電層である。導電性酸化物層51は、電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層41に接して設けられ、電界効果トランジスタ40のソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。導電性酸化物層51は、例えばインジウム-錫-酸化物(ITO)等の金属酸化物を含む。導電性酸化物層51は、酸化物半導体層41と同様に金属酸化物を含むため、電界効果トランジスタ40と導電性酸化物層51との接続抵抗を低減できる。
【0031】
導電層52は、導電性酸化物層51の少なくとも一部の上に設けられる。導電層52は、図示しないビット線BLに電気的に接続される電極を形成する。導電層52は、金属元素を含む。導電層52は、例えばタングステン、窒化チタン等の材料を含む。
【0032】
導電層52は、電界効果トランジスタ40の上方において導電性酸化物層51に接して設けられ、導電性酸化物層51を介して電界効果トランジスタ40の酸化物半導体層41に接続される。導電性酸化物層51は、電界効果トランジスタ40のソース電極またはドレイン電極の一方として機能する。
【0033】
導電層53は、導電性酸化物層51と導電層52との間に設けられる。導電層53は、例えば、金属化合物層であり、例えば、チタンと、窒素と、を含む。導電層53を形成することにより、導電性酸化物層51から導電層52への酸素の拡散を抑制できる。
【0034】
絶縁層60は、絶縁層61と、絶縁層62と、絶縁層63と、絶縁層64と、を有する。
【0035】
絶縁層61は、絶縁層35の上に設けられる。絶縁層62は、絶縁層61の上に設けられる。絶縁層63は、絶縁層62の上に設けられる。絶縁層64は、絶縁層63の上に設けられる。絶縁層61ないし絶縁層64は、層間絶縁膜を形成する。絶縁層61、絶縁層62、絶縁層63、および絶縁層64は、例えば、シリコンと、酸素と、を含む。
【0036】
導電層70は、導電体50の上に設けられ、導電体50に接続される。導電層70は、配線としてビット線BLを形成する。
【0037】
絶縁層80は、絶縁層81と、絶縁層82と、を有する。絶縁層80は、例えば層間絶縁膜を形成する。
【0038】
絶縁層81は、絶縁層64の上に設けられる。絶縁層81は、例えば、シリコンと、酸素と、を含む。
【0039】
絶縁層82は、絶縁層81の上に設けられる。絶縁層82は、例えば、シリコンと、窒素と、を含む。
【0040】
図3は、メモリセルアレイの構造例を説明するための平面模式図である。
図3は、メモリセルアレイのX軸と、メモリセルアレイのY軸と、メモリセルアレイのZ軸と、を示す。X軸、Y軸、およびZ軸は、互いに直交する。なお、
図3は、酸化物半導体層41と、導電層42と、絶縁層43と、導電体50と、キャパシタ20と、導電層70と、を示し、その他の構成要素については便宜のため図示を省略している。
【0041】
複数の導電層42(ワード線WL)は、互いに平行に配置される。各導電層42は、X軸方向において、複数のメモリセルMCに重なる。
【0042】
複数の導電層70(ビット線BL)は、互いに平行に配置される。各導電層70は、Y軸方向において、複数のメモリセルMCに重なる。
【0043】
複数のメモリセルMCは、
図3に示すようにX-Y平面において千鳥配置を形成する。複数のワード線WLの一つに接続されたメモリセルMCは、隣り合うワード線WLに接続されたメモリセルMCに対してX軸方向にずれて配置される。これにより、メモリセルMCの集積度を高めることができる。なお、メモリセルMCの数は、特に限定されない。
【0044】
図4および
図5は、メモリセルアレイの構造例を説明するための断面模式図である。
図4は、
図3に示すメモリセルアレイのY軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図5は、
図3に示すメモリセルアレイのX軸およびZ軸を含む断面模式図である。
【0045】
図4、
図5に示すメモリセルアレイの場合、複数の導電層42(ワード線WL)の間、複数の導電体50の間、導電層42(ワード線WL)と導電層70(ビット線BL)との間、の少なくとも一つに絶縁層61ないし絶縁層64等の層間絶縁膜が存在し、寄生容量が大きいため、メモリセルMCの動作不良の原因となり、半導体記憶装置の信頼性を低下させる。これらの寄生容量は、メモリセルMCの集積度を高めるほど大きくなる。
【0046】
寄生容量を小さくするためには、例えば導電体50の面積および導電層70(ビット線BL)の配線幅を小さくすることが考えられる。しかしながら、これらの縮小により、導電体50と導電層70との接触抵抗が増加する。また、導電層70の位置と導電体50の位置がずれると導電体50と導電層70との接続不良の原因となる。さらに、複数の導電層42(ワード線WL)間や複数の導電層70(ビット線BL)間で信号が干渉(混線)する場合がある。
【0047】
これに対し、実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一つは、層間絶縁膜の一部を除去することにより形成された空隙を有する。これにより、半導体記憶装置の信頼性の低下の抑制を図る。
【0048】
また、実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの一つは、複数のメモリセルMC間で導電体50を共通化する。これにより、半導体記憶装置の信頼性の低下の抑制を図る。
【0049】
実施形態の半導体記憶装置のメモリセルアレイの具体的な構造例について以下に説明する。
【0050】
(メモリセルアレイの第1の構造例)
図6および
図7は、メモリセルアレイの第1の構造例を説明するための断面模式図である。
図6は、メモリセルアレイのY軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図7は、
図3に示すメモリセルアレイのX軸およびZ軸を含む断面模式図である。以下では
図4および
図5と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図4および
図5の説明を適宜援用できる。
【0051】
図6および
図7に示すメモリセルアレイは、
図4および
図5に示す絶縁層60が形成される部分の少なくとも一部に設けられた空隙Sと、絶縁膜92と、をさらに具備する。
【0052】
空隙Sは、例えば、複数の導電層42(ワード線WL)の間、複数の導電体50の間、導電層42(ワード線WL)と導電層70(ビット線BL)との間、の少なくとも一つに設けられる。
図6および
図7は、複数の導電層42(ワード線WL)の間、複数の導電体50の間、および導電層42(ワード線WL)と導電層70(ビット線BL)との間に延在する空隙Sを示す。空隙Sは、例えば空気で満たされていてもよい。
【0053】
絶縁膜92は、導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれにおける空隙Sに面する表面を覆うために、導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれと空隙Sとの間に設けられる。絶縁膜92は、例えば、シリコンまたはアルミニウムと、酸素または窒素と、を有する。絶縁膜92は、例えば、保護膜としての機能を有する。絶縁膜92により、例えば導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの酸化を抑制できる。絶縁膜92は、複数の絶縁膜により形成されていてもよい。
【0054】
絶縁膜92は、
図6および
図7に示すように、導電層70、絶縁層81、および絶縁層82のそれぞれにおける空隙Sに面する表面を覆うために、導電層70、絶縁層81、および絶縁層82のそれぞれと空隙Sとの間に設けられている。これにより、例えば導電層70の酸化を抑制できる。これに限定されず、絶縁膜92は、例えば導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、導電層53、導電層70、絶縁層81、および絶縁層82の少なくとも一つの空隙Sに面する表面を覆うように設けられていてもよい。
【0055】
第1の構造例では、空隙Sを形成することにより、複数の導電層42(ワード線WL)の間、複数の導電体50の間、導電層42(ワード線WL)と導電層70(ビット線BL)との間、の少なくとも一つの寄生容量を低減できる。これにより、半導体記憶装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0056】
【0057】
図8および
図9に示すように、電界効果トランジスタ40と、絶縁層60と、導電体50と、をそれぞれ形成する。導電体50は、例えばスパッタリングや原子層堆積法(ALD)を用い、導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、を順に形成し、導電層52の上に例えばフォトリソグラフィ技術を用いてマスク層101を形成し、当該マスク層101を用いたドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、の露出部を部分的に除去することにより形成可能である。絶縁層60は、例えば減圧化学気相成長法(LP-CVD)やプラズマCVD法(PE-CVD)等のCVDや塗布法を用いて形成可能である。
【0058】
次に、
図10および
図11に示すように、マスク層101を用いたエッチングにより、絶縁層64の露出部を除去することにより、絶縁層63の一部を露出させる。エッチングの例は、ドライエッチングやウェットエッチング等が挙げられる。
【0059】
次に、
図12および
図13に示すように、絶縁層61および絶縁層63のそれぞれの一部を厚さ方向(Z軸方向)に除去し、マスク層101を除去する。絶縁層61および絶縁層63は、例えば反応性イオンエッチング(RIE)により部分的に除去可能である。マスク層101は、例えば反応性イオンエッチング、ドライエッチング、またはウェットエッチングにより除去可能である。なお、エッチング時間等を調整することにより、例えば絶縁層61を部分的に除去することなく絶縁層62および絶縁層63を部分的に除去してもよい。
【0060】
次に、
図14および
図15に示すように、導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの表面を覆う絶縁膜92aを形成する。絶縁膜92aは、例えばシリコンと、酸素と、を含む。絶縁膜92aは、例えばCVD、ALDを用いて形成可能である。
【0061】
次に、
図16および
図17に示すように、絶縁膜92aの表面に犠牲層102を形成する。犠牲層102は、空隙Sを形成するために形成される。犠牲層102は、例えばアモルファスシリコンまたは窒化シリコンを含む。犠牲層102は、例えばスパッタリング、ALD、またはCVDを用いて形成可能である。
【0062】
次に、
図18および
図19に示すように、犠牲層102の一部を厚さ方向(Z軸方向)に除去し、導電層52の上面を露出させる。犠牲層102は、例えばRIEにより部分的に除去可能である。
【0063】
次に、
図20および
図21に示すように、導電層52の上に導電層70を形成し、導電層70の上に絶縁層81を形成し、絶縁層81の上に絶縁層82を形成する。導電層70は、例えばスパッタリングやALDを用いて形成可能である。絶縁層81および絶縁層82は、例えばCVDを用いて形成可能である。
【0064】
次に、
図22および
図23に示すように、導電層70、絶縁層81、および絶縁層82の積層を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去し、導電層52の一部を除去する。このとき、犠牲層102の導電層52に面する部分が除去されてもよい。導電層70、絶縁層81、絶縁層82、および導電層52は、例えばRIEにより部分的に除去可能である。
【0065】
次に、
図24および
図25に示すように、犠牲層102を除去して空隙Sを形成する。犠牲層102は、例えばコリン酸(TMY)またはリン酸(H
3PO
4)を用いたウェットエッチングにより除去可能である。
【0066】
次に、
図26および
図27に示すように、導電層70、絶縁層81、および絶縁層82のそれぞれの空隙Sに面する表面を覆う絶縁膜92bを形成する。絶縁膜92bは、例えばシリコンと、酸素と、を含む。絶縁膜92bは、例えばCVD、ALDを用いて形成可能である。絶縁膜92bは、絶縁膜92aよりもカバレッジ(段差被覆性)が悪いことが好ましい。これにより、絶縁膜92aにより空隙Sを閉塞しやすくすることができる。絶縁膜92aおよび絶縁膜92bは、
図6および
図7に示す絶縁膜92を形成する。その他の構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が第1の構造例の第1の製造方法例の説明である。
【0067】
以上のように、第1の製造方法例では、犠牲層102を用いることにより、容易に空隙Sを形成できる。
【0068】
第1の構造例の製造方法例は、第1の製造方法例に限定されない。第1の構造例の第2の製造方法例について
図28ないし
図33を参照して説明する。
図28ないし
図33は、第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図28、
図30、
図32、
図34のそれぞれは、Y軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図29、
図31、
図33、および
図35のそれぞれは、X軸およびZ軸を含む断面模式図である。なお、ここでは、第1の製造方法例と異なる部分について説明し、その他の部分については、第1の製造方法例の説明を適宜援用できる。
【0069】
図8ないし
図13に示す工程を経てマスク層101を除去した後、
図28および
図29に示すように、導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの表面を覆う絶縁膜92aを形成する。
図28および
図29において、絶縁膜92aは、複数の導電体50間の凹部を塞ぐように厚く形成される。絶縁膜92aは、例えばシリコンと、酸素と、を含む。絶縁膜92aは、例えばCVD、ALDを用いて形成可能である。
【0070】
次に、
図30および
図31に示すように、絶縁膜92aの一部を厚さ方向(Z軸方向)に除去し、導電層52の上面を露出させる。犠牲層102は、例えばRIEにより部分的に除去可能である。
【0071】
その後第1の製造方法と同様の工程により、
図32および
図33に示すように、導電層70、絶縁層81、絶縁層82、絶縁膜92b、および空隙Sを形成する。その他の構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が第1の構造例の第2の製造方法例の説明である。
【0072】
第2の製造方法例では、犠牲層を用いずに空隙Sを形成できる。よって、製造工程数の増加を抑制できる。
【0073】
(第1の構造例の変形例)
図34および
図35は、メモリセルアレイの第1の構造例の第1の変形例を説明するための断面模式図である。
図34は、Y軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図35は、X軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図34および
図35に示すメモリセルアレイは、
図6および
図7に示す構成要素に加え、絶縁膜93をさらに具備する。以下では
図6および
図7と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図6および
図7の説明を適宜援用できる。
【0074】
絶縁膜93は、導電層42の側面を覆うように設けられる。絶縁膜93は、導電層42の保護膜としての機能を有する。絶縁膜93は、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。絶縁膜93により、例えば導電層42の酸化を抑制できる。
【0075】
絶縁膜92は、絶縁膜93の上に設けられ、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの空隙Sに面する表面を覆う。
【0076】
図36および
図37は、メモリセルアレイの第1の構造例の第2の変形例を説明するための断面模式図である。
図36は、Y軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図37は、X軸およびZ軸を含む断面模式図である。
図36および
図37に示すメモリセルアレイは、
図6および
図7に示す構成要素に加え、絶縁膜94をさらに具備する。以下では
図6および
図7と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図6および
図7の説明を適宜援用できる。
【0077】
絶縁膜94は、絶縁膜92の表面に設けられる。絶縁膜94は、シリコンと、窒素と、を含む。
【0078】
絶縁膜92は、導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの空隙Sに面する表面を覆うために、絶縁膜92と空隙Sとの間に設けられる。絶縁膜92は、シリコンと、酸素と、を含む。
【0079】
以上のように、複数の絶縁膜を用いて導電層42、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの空隙Sに面する表面を覆うことにより、酸化防止効果を高めることができる。
【0080】
(メモリセルアレイの第2の構造例)
図38は、メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための平面模式図であり、メモリセルアレイのX軸と、Y軸と、Z軸と、W軸と、を示す。W軸は、X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれと交差する、X-Y平面上の任意の方向である。
図39は、メモリセルアレイの第2の構造例を説明するための断面模式図であり、Z軸と、W軸と、を含む断面模式図である。以下では
図3ないし
図5と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図3ないし
図5の説明を適宜援用できる。
【0081】
図38および
図39に示すメモリセルアレイは、導電体50がW軸方向に沿って複数の酸化物半導体層41の上に延在する構造を有する。導電体50の延在方向(W軸方向)は、導電層42(ワード線WL)の延在方向(X軸方向)に対して例えば45度以上85度以下の角度を有することが好ましい。これにより、導電体50は、W軸方向において導電層70の下を通るように延在させることができる。
図38および
図39は、導電性酸化物層51、導電層53、および導電層52のそれぞれがW軸方向に沿って複数の酸化物半導体層41の上に延在する構造を示すが、これに限定されず、少なくとも導電層52がW軸方向に沿って複数の酸化物半導体層41の上に延在していればよい。
図38において、導電体50は、Z軸方向から見たときにオーバル形状を有している。オーバル形状にすることにより、例えば半導体記憶装置の動作時において、導電体50の一部への電界集中を抑制できる。
【0082】
導電層70(ビット線BL)は、Y軸方向において、導電体50および複数の導電層42(ワード線WL)のそれぞれと交差するように延在する。
図38および
図39は、導電層70がZ軸方向において複数の酸化物半導体層41の一部と重なる構造を示すが、これに限定されず、導電層70がZ軸方向において複数の酸化物半導体層41のそれぞれの一部と重なることなく導電体50の上に設けられていてもよい。
【0083】
第2の構造例では、導電層70(ビット線BL)の下を通り、異なる導電層42(ワード線WL)に接続された複数の電界効果トランジスタ40のそれぞれの上に延在する導電体50を形成することにより、例えば導電体50の面積および導電層70の線幅を小さくしても、導電体50と導電層70との位置ずれによる接続不良を抑制しつつ、配線間の寄生容量を低減できる。また、導電体50と導電層70との接触面積を大きくすることができるため接続抵抗を低減できる。これにより、半導体記憶装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0084】
(第2の構造例の製造方法例)
第2の構造例の第1の製造方法例について
図40ないし
図43を参照して説明する。
図40ないし
図43は、第2の構造例の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図40ないし
図43のそれぞれは、W軸とZ軸とを含む断面模式図である。なお、ここでは、電界効果トランジスタ40を形成してから導電体50を形成するまでの製造工程について説明する。
【0085】
図40に示すように、電界効果トランジスタ40と、絶縁層61、絶縁層62、および絶縁層63と、をそれぞれ形成する。
【0086】
次に、
図41に示すように、導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、マスク層103と、マスク層104と、を順に形成する。導電性酸化物層51、導電層53、および導電層52は、例えばスパッタリングやALDを用いて形成可能である。
【0087】
マスク層103は、例えば金属元素を含み、例えばハードマスクとしての機能を有する。マスク層103は、例えばスパッタリングやALDを用いて形成可能である。
【0088】
マスク層104は、例えばポリエチレンポリオール(PEP)等の樹脂材料を含む。マスク層103は、例えば塗布法を用いて形成可能である。
【0089】
次に、
図42に示すように、マスク層103およびマスク層104を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去して導電層52の一部を露出させる。マスク層103およびマスク層104は、導電体50を加工して所望の形状を有するパターンを形成するために上記パターンに応じた形状に加工される。マスク層103およびマスク層104は、例えばドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより部分的に除去可能である。
【0090】
次に、
図43に示すように、マスク層104を除去する。マスク層104は、例えばアッシングにより除去可能である。その後、マスク層103を用いたエッチングにより、導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去することにより、導電体50を形成する。導電性酸化物層51、導電層53、および導電層52は、例えばドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより部分的に除去可能である。その他の構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が第2の構造例の第1の製造方法例の説明である。
【0091】
第1の製造方法例では、マスク層103およびマスク層104を1回のエッチングにより加工することにより、ハードマスクの形成にかかる工程数を低減できる。
【0092】
第2の構造例の製造方法例は、第1の製造方法例に限定されない。第2の構造例の第2の製造方法例について
図44および
図45を参照して説明する。
図44および
図45は、第1の構造例の第2の製造方法例を説明するための断面模式図である。
図44および
図45のそれぞれは、W軸とZ軸とを含む断面模式図である。なお、ここでは、第1の製造方法例と異なる部分について説明し、その他の部分については、第1の製造方法例の説明を適宜援用できる。
【0093】
図40および
図41に示す工程を経て導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、マスク層103と、マスク層104と、を順に形成した後、
図44に示すように、マスク層104を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去してマスク層103の一部を露出させる。マスク層104は、導電体50を加工して所望の形状を有するパターンを形成するために上記パターンに応じた形状に加工される。マスク層104は、例えばドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより部分的に除去可能である。
【0094】
次に、
図45に示すように、マスク層104を用いたエッチングによりマスク層103を部分的に除去する。マスク層103は、例えばドライエッチングやウェットエッチング等のエッチングにより部分的に除去可能である。
【0095】
その後、第1の製造方法と同様の工程により、マスク層104を除去し、マスク層103を用いたエッチングにより、導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去することにより、導電体50を形成する。その他の構成要素の形成方法については、既知の方法を用いることができる。以上が第2の構造例の第2の製造方法例の説明である。
【0096】
第2の製造方法例では、マスク層103およびマスク層104を複数回のエッチングにより加工することにより、容易に所望の形状を有するハードマスクを形成できる。
【0097】
(第2の構造例の変形例)
図46は、第2の構造例の第1の変形例を説明するための平面模式図であり、メモリセルアレイのX軸と、Y軸と、Z軸と、W軸と、を示す。
図47は、第2の構造例の第1の変形例を説明するための断面模式図であり、Z軸と、W軸と、を含む断面模式図である。
図46および
図47に示すメモリセルアレイは、
図38および
図39に示す構成要素に加え、絶縁膜95をさらに具備する。以下では
図38ないし
図39と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図38および
図39の説明を適宜援用できる。
【0098】
絶縁膜95は、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの側面を覆うように設けられる。絶縁膜95は、シリコンと、酸素または窒素と、を含む。絶縁膜95は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層であってもよい。絶縁膜95は、例えば減圧プラズマCVD(LP-CVD)または熱CVDにより形成可能であり、導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれを覆うように形成された後、例えば化学機械研磨(CMP)により部分的に除去されて導電層52が露出される。
【0099】
絶縁膜95を形成することにより、導電体50の面積を小さくしても導電体50を安定的に配置できる。導電体50の面積を小さくするとともに導電層70(ビット線BL)の線幅を細くし、配線間隔を大きくすることにより、配線間の寄生容量を低減できる。
【0100】
図48および
図49は、メモリセルアレイの第2の構造例の第2の変形例を説明するための平面模式図であり、メモリセルアレイのX軸と、Y軸と、Z軸と、W軸と、を示す。
図48に示すメモリセルアレイは、
図38および
図39に示す導電体50の形状が異なる。以下では
図38および
図39と異なる部分について説明し、その他の部分については、
図38および
図39の説明を適宜援用できる。
【0101】
導電体50は、Z軸方向から見たときに平行四辺形状等の多角形状を有する。多角形状を有する導電体50は、例えば第2の構造例の第2の製造方法例を用い、マスク層103を多角形状に加工し、加工されたマスク層103を用いたエッチングにより、導電性酸化物層51と、導電層53と、導電層52と、を厚さ方向(Z軸方向)に部分的に除去することにより、形成可能である。
【0102】
第2の変形例は、第2の構造例の第1の変形例と適宜組み合わせることができる。例えば、
図49に示すように、導電体50の導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの側面を覆う絶縁膜95を形成してもよい。
【0103】
導電体50を多角形状に加工することにより、例えば導電体50の面積を大きくして、導電体50と導電層70(ビット線BL)との接触抵抗を低減できる。
【0104】
図50ないし
図57は、メモリセルアレイの第2の構造例の第3の変形例を説明するための平面模式図であり、メモリセルアレイのX軸と、Y軸と、Z軸と、W軸と、を示す。
【0105】
【0106】
導電体50は、W軸方向に沿って3つの酸化物半導体層41の上に延在する構造を有する。3つの酸化物半導体層41は、互いに異なる導電層42(ワード線WL)に重なる。導電体50は、W軸方向において導電層70の下を通るように延在する。
図50において、導電体50は、Z軸方向において少なくとも一つの酸化物半導体層41に重なり、Z軸方向から見たときにオーバル形状を有している。
【0107】
図51に示すように、第2の変形例と同様に、導電体50は、Z軸方向から見たときに平行四辺形状等の多角形状を有していてもよい。また、
図52および
図53に示すように、第1の変形例と同様に、導電体50の導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの側面を覆う絶縁膜95を形成してもよい。
【0108】
さらに、
図54に示すように、導電体50は、W軸方向に沿って4つの酸化物半導体層41の上に延在する構造を有していてもよい。4つの酸化物半導体層41は、互いに異なる導電層42(ワード線WL)に重なる。導電体50は、W軸方向において導電層70の下を通るように延在する。
図54において、導電体50は、Z軸方向から見たときにオーバル形状を有している。
【0109】
図55に示すように、第2の変形例と同様に、導電体50は、Z軸方向から見たときに平行四辺形状等の多角形状を有していてもよい。また、
図56および
図57に示すように、第1の変形例と同様に、導電体50の導電性酸化物層51、導電層52、および導電層53のそれぞれの側面を覆う絶縁膜95を形成してもよい。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
10…半導体基板、11…回路、20…キャパシタ、21…電気伝導体、22…絶縁膜、23…導電体、24…電気伝導体、25…電気伝導体、32…導電性酸化物層、33…導電体、34…絶縁層、35…絶縁層、40…電界効果トランジスタ、41…酸化物半導体層、42…導電層、43…絶縁層、45…絶縁層、50…導電性パッド、51…導電性酸化物層、52…導電層、53…導電層、60…絶縁層、61…絶縁層、62…絶縁層、63…絶縁層、64…絶縁層、70…導電層、80…絶縁層、81…絶縁層、82…絶縁層、
92…絶縁膜、92a…絶縁膜、92b…絶縁膜、93…絶縁膜、94…絶縁膜、95…絶縁膜、101…マスク層、102…犠牲層、103…マスク層、104…マスク層。