(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031354
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基準マーク付部品及び部品の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E06B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134858
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直也
(57)【要約】
【課題】所定の位置に位置決めされる部品に関し、その位置決めや姿勢を定めることを容易にすることが可能な、基準マーク付部品の提供。
【解決手段】開閉装置のシャフトを躯体に設置するための、取り付け位置を示す基準マークMが形成された部品(ブラケット)であって、取り付け高さを示す基準位置RPが水平方向に2つ以上記されている、基準マーク付部品1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け位置を示す基準マークが形成された部品であって、
前記基準マークによって示される基準位置が一直線上に2つ以上設けられている、基準マーク付部品。
【請求項2】
取り付け高さを示す前記基準位置が水平方向に2つ以上記されている、又は、水平方向の取り付け位置を示す前記基準位置が垂直方向に2つ以上記されている、請求項1に記載の基準マーク付部品。
【請求項3】
前記基準マークが、前記部品に形成された穴によって構成されている、請求項1に記載の基準マーク付部品。
【請求項4】
前記基準マークが多角形の穴であり、当該多角形の角部において、2つの前記基準位置が構成された、請求項3に記載の基準マーク付部品。
【請求項5】
前記基準マークがひし形の穴である、請求項4に記載の基準マーク付部品。
【請求項6】
前記基準マークが十字形の穴である、請求項3に記載の基準マーク付部品。
【請求項7】
前記部品が、シャフトを直接又は間接的に保持するためのブラケット材である、請求項5に記載の基準マーク付部品。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載の基準マーク付部品の位置決め方法であって、
部品の取り付け場所に対して直線状の基準を設けるステップと、
当該直線状の基準に前記2つ以上の基準位置を合わせるステップと、を備える、部品の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け位置を示す基準マークが形成された部品およびその位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の装置や設備などの組み付け時において、各部品を基準位置に位置決めすることが行われている。そのような部品の組み付け対象の一例として、シャッターに代表される、開閉体が上下方向にスライドすることで開口部を開閉させる開閉装置がある。
このような開閉体が上下方向にスライドするものの一形態として、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドアと呼称される開閉装置(以下、「オーバーヘッドドア」という)があり、特許文献1と2にはこのような開閉装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-109184号公報
【特許文献2】特開2014-109185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉体の開閉が上下方向に行われる開閉装置では、その開閉動作時の負荷を低減するために、開閉体を吊る(開閉体の自重を補正させる)機構が設けられており、その機構の一部として、幅方向に延びるシャフトが設けられる場合がある。
シャフトのような長手方向に長い部材を保持するためには、その長手方向に沿った複数個所においてブラケット等の部材によって支持する必要がある。シャフトを一直線上に保持するためには、各ブラケットが一直線上に正しい姿勢で配置される必要があるが、各ブラケットは必ずしも同一の形状ではなく、このような形状や大きさの異なる部材を一直線上に配置することは、煩雑な作業となるものであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、所定の位置に位置決めされる部品に関し、その位置決めや姿勢を定めることを容易にすることが可能な、基準マーク付部品及び部品の位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
取り付け位置を示す基準マークが形成された部品であって、前記基準マークによって示される基準位置が一直線上に2つ以上設けられている、基準マーク付部品。
【0007】
(構成2)
取り付け高さを示す前記基準位置が水平方向に2つ以上記されている、又は、水平方向の取り付け位置を示す前記基準位置が垂直方向に2つ以上記されている、構成1に記載の基準マーク付部品。
【0008】
(構成3)
前記基準マークが、前記部品に形成された穴によって構成されている、構成1又は2に記載の基準マーク付部品。
【0009】
(構成4)
前記基準マークが多角形の穴であり、当該多角形の角部において、2つの前記基準位置が構成された、構成1から3の何れかに記載の基準マーク付部品。
【0010】
(構成5)
前記基準マークがひし形の穴である、構成4に記載の基準マーク付部品。
【0011】
(構成6)
前記基準マークが十字形の穴である、構成3に記載の基準マーク付部品。
【0012】
(構成7)
前記部品が、直接又は間接的にシャフトを保持するためのブラケット材である、構成1から6の何れかに記載の基準マーク付部品。
【0013】
(構成8)
構成1から7の何れかに記載の基準マーク付部品の位置決め方法であって、部品の取り付け場所に対して直線状の基準を設けるステップと、当該直線状の基準に前記2つ以上の基準位置を合わせるステップと、を備える、部品の位置決め方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基準マーク付部品及び部品の位置決め方法によれば、所定の位置に位置決めされる部品に関し、その位置決めや姿勢を定めることを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】開閉装置(オーバーヘッドドア)の概略を示す斜視図
【
図2】実施形態のブラケット(基準マーク付部品)を示す図
【
図3】シャフトを保持するブラケットの取り付け位置を示す図
【
図4】ブラケット(基準マーク付部品)の別の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の基準マーク付部品が使用された開閉装置を示す図であり、屋内側から見た斜視図である。
開閉装置100は、例えば屋内と屋外を隔てる壁面に形成されている開口部を開閉する開閉装置であって、より具体的には、オーバーヘッドドアやオーバースライディングドア等と呼称される開閉装置である。
【0018】
図1に示されるように、開閉装置100は、
複数のパネル体が相互に回動可能に接続された開閉体101と、
開閉体101の移動を案内するガイドレール102と、
開閉体101の自重による負荷を補正するための自重補正機構と、を備える。
自重補正機構は、
開閉体101の下端部付近に接続されるワイヤロープ103と、
ワイヤロープ103を巻き上げるドラム104と、
ドラム104に接続されるシャフト105と、
シャフト105等を保持するために、躯体等に固定されるブラケット材であるブラケット1,2と、
シャフト105に挿通される巻締プラグ108と、
一端が、躯体等に固定されるブラケット1に対して固定され、他端が、巻締プラグ108を介してシャフト105に固定される、ばね106と、を備える。
【0019】
開閉体101の幅方向の両端部には複数のローラ1011が備えられており、ガイドレール102は、当該ローラ1011の移動を案内する。
開閉体101は、複数のパネル体がヒンジによって相互に回動可能に接続され、
図1に示される閉状態と、開閉体101が上部で略水平状態となる開状態との間で、ガイドレール102に沿って移動可能である。
自重補正機構は、ばね106の弾性力と開閉体101の自重が概ね吊り合うように設定され、開閉体101の移動時等における負荷を低減するものであり、シャフト105は、ワイヤロープ103を介して印加される開閉体101の自重によって回転モーメントが生じるドラム104と接続されており、また、ばね106の弾性力による回転モーメントが生じる巻締プラグ108が接続される。これにより、シャフト105には、ばね106による弾性力に基づく回転モーメントと、開閉体101の自重に基づく回転モーメントが、逆方向となるように働き(相互にキャンセルされ)、開閉体101の自重に基づく負荷がキャンセル若しくは低減されるものである。
なお、開閉装置100には、その他に、開閉体101の開閉を駆動させるための駆動装置及びその機構、開閉動作を制御するための制御装置等(特に図示せず)が備えられるが、それらの構成は本発明に直接関係するものではないため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
【0020】
図2は、躯体等に対して取り付けられてシャフト105を保持するためのブラケット(基準マーク付部品)1、2を示す正面図(取り付け状態において室内側から見た図)である。また、
図3は、ブラケット1と、ブラケット2の、高さ方向の取り付け位置の関係を示した側面図(シャフト105の軸線方向に沿って見た図)である。なお、ブラケット2は他の部材を介して間接的にシャフト105を保持する部材である。
図2に示されるように、ブラケット1及びブラケット2の、躯体Fに対して接する取り付け面の屋内側(部品取り付け時に正面となる面)には、取り付け位置を示す基準マークMが形成されている。
基準マークMは、取り付け面に形成されたひし形の穴であり、ひし形の対角線が、ブラケット1及びブラケット2の設置姿勢における水平方向及び垂直方向に合致するように形成されている。ここではブラケット1及びブラケット2の何れも正面視において矩形の形状であり、設置姿勢としては矩形の各辺が水平方向及び垂直方向になるように取り付けられるものであるため、ひし形の対角線が矩形(外形)の各辺と平行となるように、ひし形の穴が形成されている。
また、ひし形の穴の両端の角(基準位置RP)が、ブラケット1及びブラケット2に取り付けられるシャフト105の軸線の位置と一致するように、基準マークMが形成されている。
以下の説明からも理解されるように、基準マークMの両端部(ひし形の角部)が、取り付け高さを示す基準位置RPとして機能する。即ち、基準位置RPが水平方向に2つ形成されているものである。基準マークMは、水平方向(一直線上)の基準となり、且つ、部品の垂直度の目安ともなるマークである。
【0021】
基準マークMを備える本実施形態のブラケット1及びブラケット2の取り付けの際の位置決めは、
部品の取り付け場所(躯体F)に対して直線状の基準を設けるステップと、
当該直線状の基準に基準マークMの基準位置RPを合わせるステップと、
によって行われる。
“直線状の基準”は、
図2や
図3で示される一点鎖線の位置で、躯体Fに罫書きを行うことや、レーザー墨出し器を使用すること等によって行い、当該“直線状の基準”に、ひし形の穴である基準マークMの両端の角(基準位置RP)を合わせるという簡易な作業によって、各ブラケットを適切な位置及び姿勢で位置決めすることができる。
【0022】
前述の説明からも理解されるように、ブラケット1,2によって保持されるシャフト105は、回転する部材であり、従って、これを保持する各ブラケット1,2は、上下方向のずれがないように一直線上に、且つ、正しい姿勢で(ブラケットが垂直に)取り付けられる必要がある。
従来、ブラケットの躯体等への取り付けは、ブラケットを取り付ける位置を躯体に墨付けする等して行われており、当該墨付けは、例えばブラケットの上端や下端の位置を墨付けすること等によって行われている。
図3に示されるように、ブラケット1と、ブラケット2は、その形状および大きさが異なっており、従って、躯体Fに対する取り付け位置の基準も異なるものとなる。即ち、各ブラケットの上端(若しくは下端)を墨付けする場合、それぞれのブラケットの大きさや形状に対応した異なる位置に墨付けをする必要があり、煩雑な作業であった。また、煩雑な作業であることによって、ミスが生じる可能性も高くなるものであった。
【0023】
これに対し、本実施形態の基準マーク付部品であるブラケット1、2及びその位置決め方法によれば、前述のように、非常に簡便な作業にて、各部品を一直線上に位置決めすることができ、同時に正しい姿勢で位置決めをすることができる。
【0024】
本実施形態では、基準マークMが穴として形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、部品上に形成される塗装などによる標記や刻印、或いはシール等によって基準マークMが形成されるもの等であってもよい。
また、本実施形態では1つの基準マークMが形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、2つ以上の基準マークMが形成されるものであってもよい。また、基準位置RPが3つ以上形成されるものであってもよい。
図4には、基準マークの別の一例を示した。
図4(a)は、刻印によって2つの三角形の基準マークM1が形成されているものの例である。一方、
図4(b)は、穴によって2つの三角形の基準マークM2が形成されているものの例である。
何れも三角形の角にて基準位置RP1、基準位置RP2が形成され、“直線状の基準”に対して、これらの基準位置をあわせることで、適切な位置及び姿勢で位置決めすることができる。レーザー墨出し器を使用する場合には、部品表面に“直線状の基準”が照射される状態となるため、
図4(a)と
図4(b)の何れを用いても同様の使い勝手と言える。一方、罫書くなどして“直線状の基準”を躯体Fに形成する場合、本実施形態や
図4(b)のように穴として基準マークを形成した方が、穴を介して“直線状の基準”を確認することができるため、使い勝手に優れている面があるといえる。
【0025】
本実施形態では、基準マークMがひし形で形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、基準マークは任意の形状とし得る。
例えば、
図4で示したように三角形で形成するものの他、任意の多角形で基準マークを形成するようにしてよい。また、基準マークは多角形に限られるものではなく、円形等任意の形状としてよい。
ただし、例えば円形とする場合、基準位置としての明確性の(どこが基準位置であるかを明確にする)ために、例えば、円形の直径を許容誤差と同等以下にする等の必要がある。より正確には、高さ方向の位置決めのための基準マークである場合には、その基準マークの高さ方向の寸法を、許容誤差と同等以下にする等の対応が必要となる。
一方、多角形とする場合、多角形の角を基準位置とすることで、その位置の明確化がなされるため好ましい。多角形のなかでも、三角形やひし形(四角形)が好ましい。角が鈍角化するに伴い、基準位置としての明確さが低下する(位置表示としてのシャープさが低下する)傾向となるためである。なお、例えば、矢印を基準マークとして使用する場合も、その先端形状は三角形であり、結局、基準マークとしての機能は三角形によってもたらされることになる。その意味では、ひし形などの多角形も、結局のところ、基準マークとしの機能は三角形によってもたらされることになる(例えば、ひし形は、二つの三角形の基準マークをくっ付けて形成しているものとも言える。とはいえ、ひし形等の場合、一つの基準マークによって2つの基準位置を形成できるという面で、概念的に異なる面を有するものである)。
【0026】
基準マークとして、直線や、複数の直線の組み合わせを使用しても良い。
例えば直線状の穴を基準マークとしてもよい。直線の両端部が基準位置と機能するため、上述で説明した概念と同様のものであり、また、“直線状の基準”に対して、基準マークとしての直線を沿わせるようにすることで、より位置合わせがし易い面がある。
また、複数の直線を組み合わせたマークとしてもよい。例えば、二つの直線を直角に交差させた形状である十字型の穴を基準マークとしてもよい。これにより、例えば水平方向の基準及び垂直方向の基準の両方に対して位置合わせ機能を持たせることができる。さらに3つ以上の直線を組み合わせたマークを、基準マークとして使用してもよい。
【0027】
本実施形態では、基準マークMのひし形の穴の両端の角(基準位置RP)が、ブラケット1及びブラケット2に取り付けられるシャフト105の軸線の位置と一致するように、形成されているものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。基準位置RPは、各“基準マークが形成された部品”において、それぞれの部品が取り付けられた際に同じ高さとなる位置に形成されればよいものである。
【0028】
本実施形態では、各基準マーク付部品(ブラケット1、2)が、開閉装置のシャフトを保持するために水平方向に一直線上に設けられるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、長手方向を有する任意の部材を保持するために、長手方向に沿って複数設けられる保持部材において利用することができる。また、長手方向を有する部材を保持する部品であるか否かに関わらず、一直線上(例えば垂直方向などその方向は任意)に並べて配置される部品において、本発明の概念を使用することができ、上記の作用効果を得ることができる。
また、上記説明した本発明の概念によれば、部品の位置及び部品の姿勢を同時に定めることができるという効果を得ることができるため、一直線上に並べて配置される複数の部品であるか否かに関わらず、例えば、一つのみの部品の位置決め(姿勢決め)においても有用である。
【符号の説明】
【0029】
1、2...ブラケット(基準マーク付部品)
M...基準マーク
RP...基準位置
100...開閉装置
105...シャフト