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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031375
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134891
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD19
5H607EE49
5H607EE52
5H607EE54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】出力シャフトが回動を停止する位置の精度を高めることができる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】モータ軸J1を中心として回転可能なロータを有するモータ部と、ロータの回転が伝達されて回動する複数のギヤを有する伝達機構30と、を備える。複数のギヤは、第1ギヤ33と、回動方向に回動する第2ギヤ36と、を含む。伝達機構30は、ストッパ部36eと、第2ギヤ36の回動移動領域に配置され、ストッパ部36eと接触可能な接触部35と、を有する。第1ギヤ33は、ストッパ部36eと接触部35とのうちの一方を有する。第2ギヤ36は、ストッパ部36eと接触部35とのうちの他方を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を中心として回転可能なロータを有するモータ部と、
前記ロータの回転が伝達されて回動する複数のギヤを有する伝達機構と、
を備え、
前記複数のギヤは、第1ギヤと、回動方向に回動する第2ギヤと、を含み、
前記伝達機構は、
ストッパ部と、
前記第2ギヤの回動移動領域に配置され、前記ストッパ部と接触可能な接触部と、
を有し、
前記第1ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの一方を有し、
前記第2ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの他方を有する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ストッパ部は、第1ストッパ部と、第2ストッパ部と、を有し、
前記接触部は、第1接触部と、第2接触部と、を有し、
前記第1ストッパ部は、前記第1接触部に前記回動方向の一方側から接触可能であり、
前記第2ストッパ部は、前記第2接触部に前記回動方向の他方側から接触可能である、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1ギヤは、第2軸線を中心として回動可能な駆動ギヤであり、
前記駆動ギヤは、前記第2軸線を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる駆動歯車部を有し、
前記第2ギヤは、前記第2軸線が延びる方向に延びる第3軸線を中心として回動可能な被駆動ギヤであり、
前記被駆動ギヤは、前記第3軸線を中心とする周方向に沿って円弧状に延び前記駆動歯車部と噛み合う被駆動歯車部を有する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記駆動ギヤは、前記接触部を有し、
前記被駆動ギヤは、前記被駆動歯車部を有し前記第3軸線が通る被駆動ギヤ基部と、前記ストッパ部と、を有し、
前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記被駆動ギヤ基部から前記第3軸線を中心とする径方向に突出し、前記第3軸線を中心とする周方向に前記接触部を挟んで配置される、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記駆動ギヤは、前記第2軸線が通る駆動ギヤ基部と、前記ストッパ部と、を有し、
前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記駆動ギヤ基部に設けられ、
前記被駆動ギヤは、前記接触部を有し、
前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記第2軸線を中心とする周方向に前記接触部を挟んで配置される、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記第1ギヤは、駆動入力歯車部を有し前記ロータとともに前記モータ軸を中心として回転可能な駆動入力ギヤであり、
前記第2ギヤは、被駆動歯車部を有する被駆動ギヤであり、
前記複数のギヤは、第1駆動歯車部および第2駆動歯車部を有する駆動ギヤを含み、
前記駆動入力歯車部と前記第1駆動歯車部とは互いに噛み合い、
前記第2駆動歯車部と前記被駆動歯車部とは互いに噛み合い、
前記被駆動ギヤは、前記接触部を有し、
前記駆動入力ギヤは、前記ストッパ部を有する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記駆動入力ギヤは、前記モータ軸に沿って延びる駆動入力本体部を有し、
前記駆動入力歯車部は、前記駆動入力本体部の外周面に設けられ、前記モータ軸を中心に回動可能であり、
前記被駆動ギヤは、前記モータ軸と交差する第3軸線を中心として回動可能であり、
前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記接触部を前記モータ軸が延びる方向に挟んで配置される、請求項6に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部は、それぞれ、前記駆動入力本体部に固定され、前記駆動入力本体部から径方向外側に突出する円環状の部材である、請求項7に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータと、モータと連結される減速機構と、減速機構と介してモータの回転が伝達される出力シャフトと、を備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、出力シャフトが一定の範囲を回転すると、カバーに設けられるストッパと、出力シャフトと接続される出力ギヤに設けられるストッパとを当接させて、出力シャフトの回転を停止させる電動アクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-319866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電動アクチュエータでは、組立公差および寸法公差などによって、カバーのストッパと出力ギヤのストッパとの間の相対的な位置のばらつきが大きくなり易い。そのため、出力シャフトの回転を停止させる位置の精度を高めることが困難である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、出力シャフトが回動を停止する位置の精度を高めることができる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能なロータを有するモータ部と、前記ロータの回転が伝達されて回動する複数のギヤを有する伝達機構と、を備える。前記複数のギヤは、第1ギヤと、回動方向に回動する第2ギヤと、を含む。前記伝達機構は、ストッパ部と、前記第2ギヤの回動移動領域に配置され、前記ストッパ部と接触可能な接触部と、を有する。前記第1ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの一方を有する。前記第2ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの他方を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、出力シャフトが回動を停止する位置の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、第1一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、図1におけるII-II断面図である。
図3図3は、第1実施形態の伝達機構を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態の伝達機構を示す第1の上面図である。
図5図5は、第1実施形態の伝達機構を示す第2の上面図である。
図6図6は、第1実施形態の伝達機構を示す第3の上面図である。
図7図7は、第2実施形態の伝達機構を示す上面図である。
図8図8は、第3実施形態の伝達機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。
X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、電動アクチュエータの左右方向である。以下の実施形態において、+X側は、電動アクチュエータの左側であり、-X側は、電動アクチュエータの右側である。以下の説明では、電動アクチュエータの左側を単に「左側」と呼び、電動アクチュエータの右側を単に「右側」と呼ぶ。
Y軸方向は、Z軸方向とX軸方向の両方と直交する方向であって、電動アクチュエータの前後方向である。以下の実施形態において、+Y側は、電動アクチュエータの前側であり、-Y側は、電動アクチュエータの後側である。以下の説明では、電動アクチュエータの前側を単に「前側」と呼び、電動アクチュエータの後側を単に「後側」と呼ぶ。
なお、上側、下側、左側、右側、前側、および後側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
各図に適宜示すモータ軸J1が延びる方向は、X軸方向、すなわち左右方向と平行である。以下の説明では、モータ軸J1と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
周方向は、各図において矢印θ1で示されている。周方向のうち矢印θ1が向く側(+θ1側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θ1が向く側と逆側(-θ1側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、左側(+X側)から見てモータ軸J1回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、左側から見てモータ軸J1回りに反時計回りに進む側である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、車両に搭載される電動アクチュエータである。より詳細には、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図1に示すように、電動アクチュエータ1は、ケース10と、モータ部20と、伝達機構30と、支持部材50と、制御部70と、フィルタ部材90と、を備える。図2に示すように、電動アクチュエータ1は、出力シャフト38を備える。
【0014】
ケース10は、モータ部20、伝達機構30、出力シャフト38、支持部材50、および制御部70を内部に収容する。図2に示すように、ケース10は、出力シャフト38を内部に収容する。図1に示すように、ケース10には、フィルタ部材90が取り付けられる。ケース10は、モータ軸J1を囲む筒状である。ケース10は、収容部11と、蓋部17と、を有する。なお、本実施形態において、ケース10は、樹脂製である。そのため、ケース10が金属製である場合と比較して、電動アクチュエータ1の製造コストおよび質量が増大することを抑制できる。なお、ケース10はアルミニウムなどの金属製であってもよい。
【0015】
収容部11は、軸方向に延びる箱状である。収容部11は、下側に開口する第1開口部11aを有する。第1開口部11aは、収容部11の下側の端部に固定された蓋部17によって塞がれている。収容部11は、モータ収容部12と、伝達機構収容部14と、を有する。
【0016】
モータ収容部12は、モータ部20を内部に収容する。モータ収容部12は、モータ部20の右側(-X側)に位置する第1側壁部13を有する。
【0017】
伝達機構収容部14は、伝達機構30を内部に収容する。伝達機構収容部14は、モータ収容部12の左側(+X側)に配置される。伝達機構収容部14は、伝達機構30の左側に位置する第2側壁部15を有する。第2側壁部15は、第2側壁基部15aと、貫通孔15bと、第1突出部15eと、を有する。第2側壁基部15aは、軸方向と直交する方向に拡がる板状である。
【0018】
貫通孔15bは、第2側壁基部15aを軸方向に貫通する孔である。すなわち、貫通孔15bは、ケース10の壁部を軸方向に貫通する孔である。貫通孔15bは、モータ軸J1を中心とする円形状の孔である。貫通孔15bを介して、ケース10の内部とケース10の外部とが繋がる。
【0019】
第1突出部15eは、第2側壁基部15aから左側(+X側)に突出する。軸方向に見て、第1突出部15eは、モータ軸J1を中心とする円形状である。第1突出部15eは、貫通孔15bの径方向外側に配置される。
【0020】
図2に示すように、伝達機構収容部14は、伝達機構30の上側に配置される第1壁部14aと、伝達機構30の前側(+Y側)に配置される第2壁部14bと、伝達機構30の後側(+Y側)に配置される第3壁部14cと、を有する。第1壁部14aには、出力孔14eと、第1支持穴14fと、が設けられる。
【0021】
出力孔14eは、第1壁部14aをZ軸方向に貫通する孔である。出力孔14eは、第1壁部14aの前側(+Y側)の部分に設けられる。Z軸方向に見て、出力孔14eは、モータ軸J1と直交しZ軸と平行な方向に延びる第3軸線J3を中心とする円形状である。
第1支持穴14fは、第1壁部14aの下側を向く面から、上側に窪む穴である。第1支持穴14fは、第1壁部14aの後側(-Y側)の部分に設けられる。Z軸方向に見て、第1支持穴14fは、モータ軸J1と直交しZ軸と平行な方向に延びる第2軸線J2を中心とする円形状である。
【0022】
以下の説明において、第2軸線J2に平行な方向を単に「第2軸方向」と呼び、第2軸線J2を中心とする径方向を単に「第2径方向」と呼び、第2軸線J2を中心とする周方向を単に「第2周方向」と呼ぶ。第2軸線J2は、仮想軸線である。第2周方向は、各図において矢印θ2で示される。第2周方向のうち矢印θ2が向く側(+θ2側)を「第2周方向の一方側」と呼ぶ。第2周方向のうち矢印θ2が向く側と逆側(-θ2側)を「第2周方向の他方側」と呼ぶ。第2周方向の一方側は、下側(-Z側)から見て、第2軸線J2回りに時計回りに進む側である。第2周方向の他方側は、下側から見て、第2軸線J2回りに反時計回りに進む側である。
【0023】
以下の説明において、第3軸線J3に平行な方向を単に「第3軸方向」と呼び、第3軸線J3を中心とする径方向を単に「第3径方向」と呼び、第3軸線J3を中心とする周方向を単に「第3周方向」と呼ぶ。第3軸線J3は、仮想軸線である。第3周方向は、各図において矢印θ3で示される。第3周方向のうち矢印θ3が向く側(+θ3側)を「第3周方向の一方側」と呼ぶ。第3周方向のうち矢印θ3が向く側と逆側(-θ3側)を「第3周方向の他方側」と呼ぶ。第3周方向の一方側は、下側(-Z側)から見て、第3軸線J3回りに時計回りに進む側である。第3周方向の他方側は、下側(-Z側)から見て、第3軸線J3回りに反時計回りに進む側である。本実施形態において、第3軸線J3は、第2軸線J2が延びる方向に延びる。本実施形態において、第3軸線J3は、モータ軸J1と直交する。
【0024】
図1に示すように、支持部材50は、モータ部20、伝達機構30、および制御部70を支持する。支持部材50は、モータ支持部51と、底壁部53と、伝達機構支持部55と、基板支持部57と、を有する。図2に示すように、支持部材50は、突出壁部54を有する。
【0025】
図1に示すように、モータ支持部51は、軸方向に沿って延びる。モータ支持部51は、モータ部20の下側の部分の径方向外側に配置される。モータ支持部51は、後述するモータケース40を介して、モータ部20を支持する。図示は省略するが、モータ支持部51は、軸方向に見て、モータ軸J1を中心とし、下側に凸となる円弧状である。モータ支持部51の周方向一方側(+θ1側)の部分および周方向他方側(-θ1側)の部分は、モータ収容部12に固定される。これにより、支持部材50はケース10に固定される。
【0026】
底壁部53は、Z軸方向と直交する方向に拡がる板状である。図示は省略するが、底壁部53の右側(+X側)の端部は、モータ支持部51と軸方向に繋がる。底壁部53は、伝達機構30の下側(-Z側)に位置する。図2に示すように、底壁部53は、第1孔部53aと、第2支持穴53bと、を有する。
【0027】
第1孔部53aは、底壁部53をZ軸方向に貫通する孔である。第1孔部53aは、底壁部53の前側(+Y側)の部分に設けられる。第1孔部53aは、第3軸線J3を中心とする円形状の孔である。第1孔部53aの内周面には、第4軸受96が保持される。
第2支持穴53bは、底壁部53の上側を向く面から、下側に窪む穴である。第2支持穴53bは、底壁部53の後側(-Y側)の部分に設けられる。Z軸方向に見て、第2支持穴53bは、第2軸線J2と中心とする円形状である。Z軸方向に見て、第2支持穴53bは、第1支持穴14fと重なる。
【0028】
突出壁部54は、出力シャフト38の第3径方向外側に配置される。本実施形態において突出壁部54は、出力シャフト38の前側(+Y側)に配置される。突出壁部54は、底壁部53から上側に突出する。図示は省略するが、Z軸方向に見て、突出壁部54は、第3軸線J3を中心とする略円弧状である。
【0029】
図1に示すように、伝達機構支持部55は、底壁部53の左側(+X側)の端部から上側(+Z側)に突出する円環状である。第3軸受95は、伝達機構支持部55の内周面には、第3軸受95が保持される。伝達機構支持部55は、第4孔部55aを有する。第4孔部55aは、伝達機構支持部55を軸方向に関する孔である。第4孔部55aは、モータ軸J1を中心とする略円形状の孔である。
【0030】
基板支持部57は、Z軸方向に突出する円柱状である。基板支持部57は、複数設けられる。複数の基板支持部57は、モータ支持部51から下側に突出する基板支持部57と、底壁部53から下側に突出する基板支持部57と、を含む。
【0031】
モータ部20は、モータケース40と、ロータ22と、ステータ23と、第1軸受93と、第2軸受94と、を有する。モータケース40は、ロータ22、ステータ23、第1軸受93、および第2軸受94を内部に収容する。モータケース40は、モータケース本体41と、蓋体42と、を有する。
【0032】
モータケース本体41は、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。モータケース本体41は、左側(+X側)および右側(-X側)に開口する。モータケース本体41は、ロータ22およびステータ23を径方向外側から囲む。モータケース本体41の下側の部分は、支持部材50のモータ支持部51に保持される。モータケース本体41の上側の部分は、ケース10のモータ収容部12に保持される。モータケース本体41の左側(+X側)の部分の内周面には、第2軸受94が保持される。蓋体42は、モータ軸J1を中心とする円環状である。蓋体42は、モータケース本体41の右側(-X側)の端部に固定される。蓋体42の右側の部分の内周面には、第1軸受93が保持される。
【0033】
ロータ22は、モータ軸J1を中心に回転可能である。ロータ22は、ロータコア22aと、複数のモータマグネット22bと、モータシャフト24と、を有する。ロータ22の回転は、伝達機構30に伝達される。ロータコア22aは、モータ軸J1を中心とする略円環状である。複数のモータマグネット22bは、それぞれ、ロータコア22aの外周面に固定される。
【0034】
モータシャフト24は、モータ軸J1に沿って軸方向に延びる略円柱状である。モータシャフト24の外周面には、ロータコア22aが固定される。モータシャフト24の左側(+X側)の端部は、伝達機構収容部14の内部に位置する。モータシャフト24の左側の部分は、第2軸受94に回転可能に支持される。モータシャフト24の右側の部分は、蓋体42に保持された第1軸受93に回転可能に支持される。これらにより、モータシャフト24は、モータ軸J1を中心として回転可能である。
【0035】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に配置される。ステータ23は、ロータ22と径方向に隙間をあけて対向して配置される。ステータ23は、ステータコア23aと、ステータコア23aに装着されるインシュレータ23eと、インシュレータ23eを介してステータコア23aに装着される複数のコイル23fと、を有する。ステータコア23aは、モータ軸J1を中心とする略円環状である。ステータコア23aは、モータケース本体41に固定される。コイル23fには、図示しない外部電源から電力が供給される。
【0036】
伝達機構30は、モータ部20の左側(+X側)に配置される。伝達機構30は、モータシャフト24および出力シャフト38と連結される。本実施形態において、伝達機構30は、ロータ22の回転を減速して出力シャフト38に伝達する減速機構である。図3に示すように、伝達機構30は、複数のギヤと、中間シャフト32と、を有する。本実施形態において複数のギヤは、駆動入力ギヤ31と、駆動ギヤ33と、被駆動ギヤ36と、を含む。駆動入力ギヤ31、駆動ギヤ33、および被駆動ギヤ36は、それぞれ、ロータ22の回転が伝達されて回動するギヤである。本実施形態において、駆動入力ギヤ31、駆動ギヤ33、および被駆動ギヤ36は、それぞれ、金属製である。本実施形態において、駆動入力ギヤ31、駆動ギヤ33、および被駆動ギヤ36は、それぞれ、ステンレス製である。本実施形態において、駆動入力ギヤ31、駆動ギヤ33、および被駆動ギヤ36それぞれの縦弾性係数は、ケース10の縦弾性係数よりも大きい。
【0037】
本実施形態において、伝達機構30が有する複数のギヤは、第1ギヤと、第2ギヤと、を含む。第1ギヤは、後述するストッパ部と後述する接触部とのうち一方を有する。第2ギヤは、ストッパ部と接触部とのうち他方を有する。すなわち、伝達機構30は、ストッパ部と、接触部と、を有する。第2ギヤは、回動方向に回動する。
【0038】
図1に示すように、駆動入力ギヤ31は、モータ軸J1に沿って軸方向に延びる。駆動入力ギヤ31は、モータシャフト24の左側(+X側)に配置される。駆動入力ギヤ31は、モータシャフト24と接続される。駆動入力ギヤ31は、駆動入力本体部31aと、駆動入力歯車部31dと、を有する。
【0039】
駆動入力本体部31aは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる。駆動入力本体部31aは、胴部31bと、接続部31cと、を有する。胴部31bは、モータ軸J1を中心として軸方向に延びる略円柱状である。胴部31bの左側(+X側)の部分は、第3軸受95に支持される。
【0040】
接続部31cは、胴部31bの右側(-X側)の端部から右側に突出する。接続部31cは、モータ軸J1を中心とする円環状である。接続部31cの内側には、モータシャフト24の左側(+X側)の端部が挿入される。接続部31cとモータシャフト24の左側の端部とは互いに連結されている。これにより、駆動入力ギヤ31は、モータシャフト24と軸方向に接続される。駆動入力ギヤ31は、ロータ22とともにモータ軸J1を中心として回動可能である。
【0041】
駆動入力歯車部31dは、胴部31bの外周面に設けられる。つまり、駆動入力歯車部31dは、駆動入力本体部31aの外周面に設けられる。本実施形態において、駆動入力歯車部31dは、軸方向に螺旋状に延びるウォームギヤである。駆動入力歯車部31dは、モータ軸J1を中心に回動可能である。
【0042】
図3に示すように、駆動ギヤ33は、第2軸線J2を中心として回転する。駆動ギヤ33は、駆動入力ギヤ31の後側(-Y側)に配置される。駆動ギヤ33は、駆動入力ギヤ31の回動を被駆動ギヤ36に伝達する。駆動ギヤ33は、第1駆動ギヤ34と、第1駆動ギヤ34よりも半径が小さい第2駆動ギヤ35と、を有する二段ギヤである。駆動ギヤ33は、第2周方向、すなわち第2軸線J2を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる駆動歯車部33bを有する。駆動歯車部33bは、第1駆動歯車部34bと、第2駆動歯車部35bと、を有する。第1駆動歯車部34bは、第1駆動ギヤ34に設けられる。第2駆動歯車部35bは、第2駆動ギヤ35に設けられる。
【0043】
第1駆動ギヤ34は、駆動入力ギヤ31の回動を第2駆動ギヤ35に伝達する。第1駆動ギヤ34は、第2軸線J2を中心として回動可能である。第1駆動ギヤ34は、駆動ギヤ基部34aと、第1駆動歯車部34bと、を有する。
駆動ギヤ基部34aは、第2軸線J2を中心とする略扇形状の板状である。駆動ギヤ基部34aの板面は、Z軸方向を向く。駆動ギヤ基部34aは、駆動入力ギヤ31に向かって突出している。駆動ギヤ基部34aには、駆動ギヤ基部34aを第2軸方向に貫通する孔部34eが設けられる。孔部34eは、第2軸線J2を中心とする円形状の孔である。
【0044】
第1駆動歯車部34bは、駆動ギヤ基部34aの外周面に設けられる。より詳細には、第1駆動歯車部34bは、駆動ギヤ基部34aのうち駆動入力ギヤ31に向かって突出する部分の先端部における外周面に設けられる。言い換えれば、第1駆動歯車部34bは、駆動ギヤ基部34aの外周面のうち、略扇形状の駆動ギヤ基部34aの弧となる部分に設けられている。第1駆動歯車部34bは、第2軸線J2を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる。第1駆動歯車部34bは、第2周方向に並ぶ複数の第1駆動歯部34cを有する。第1駆動歯車部34bと駆動入力歯車部31dとは互いに噛み合う。これにより、駆動入力ギヤ31の回動が駆動ギヤ33に伝達される。第1駆動ギヤ34の回動は、駆動入力ギヤ31の回動に対して減速される。
【0045】
第2駆動ギヤ35は、第1駆動ギヤ34の回動を被駆動ギヤ36に伝達する。第2駆動ギヤ35は、第1駆動ギヤ34の上側(+Z側)に配置される。第2駆動ギヤ35は、第1駆動ギヤ34と固定される。第2駆動ギヤ35は、第1駆動ギヤ34とともに第2軸線J2を中心に回転する。第2駆動ギヤ35は、第2駆動ギヤ基部35aと、第2駆動歯車部35bと、軸部35eと、を有する。
【0046】
第2駆動ギヤ基部35aは、第2軸線J2を中心とする略円環状である。第2駆動ギヤ基部35aの半径は、駆動ギヤ基部34aの半径よりも小さい。図2に示すように、第2駆動ギヤ基部35aには、第2駆動ギヤ基部35aを第2軸方向に貫通する孔部35dが設けられる。図4に示すように、第2駆動ギヤ基部35aは、接触部35fを有する。すなわち、駆動ギヤ33は、接触部35fを有する。本実施形態において、駆動ギヤ33は、接触部35fを有する第1ギヤである。
【0047】
図4に示す状態の伝達機構30では、Z軸方向に見て、第2駆動歯車部35bの第2周方向の中心位置は、第2軸線J2および第3軸線J3の両方を通る仮想直線L1と重なる。以下の説明において、Z軸方向に見て、第2駆動歯車部35bの第2周方向の中心位置と、仮想直線L1と重なる位置に駆動ギヤ33が位置するときの伝達機構30の各ギヤの位置を中央位置P1と呼ぶ。なお、以下の説明において、中央位置P1は、伝達機構30の動作によって移動する各ギヤの位置、特に、接触部とストッパ部の位置を説明するための基準位置である。したがって、伝達機構30の各ギヤは必ずしも中央位置P1で停止する必要は無く、伝達機構30の各ギヤは中央位置P1で停止してもよいし、中央位置P1で停止しなくてもよい。
【0048】
接触部35fは、第2駆動ギヤ基部35aの外周面の一部である。中央位置P1において、接触部35fは、第2軸線J2よりも後側(-Y側)に位置する。本実施形態において、接触部35fは、第1接触部35gと、第2接触部35hと、を有する。中央位置P1において、第1接触部35gは、仮想直線L1よりも左側(+X側)に位置する。中央位置P1において、第2接触部35hは、仮想直線L1よりも右側(-X側)に位置する。
【0049】
図3に示すように、第2駆動歯車部35bは、第2駆動ギヤ基部35aの外周面に設けられる。第2駆動歯車部35bは、第2駆動ギヤ基部35aの外周面の一部のみに設けられる。より詳細には、第2駆動歯車部35bは、被駆動ギヤ36と対向する部分に設けられる。第2駆動歯車部35bは、第2軸線J2を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる。上述のように、第1駆動歯車部34bは、第2軸線J2を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる。したがって、駆動ギヤ33は、第2周方向に沿って円弧状に延びる駆動歯車部33bを有する。本実施形態において、第2駆動歯車部35bのピッチ半径は、第1駆動歯車部34bのピッチ半径よりも小さい。第2駆動歯車部35bは、第2周方向に並ぶ複数の第2駆動歯部35cを有する。
【0050】
図2に示すように、軸部35eは、第2駆動ギヤ基部35aから下側に向けて突出する。軸部35eは、第2軸線J2を中心とする円筒状である。軸部35eの下側の部分の外周面は、第1駆動ギヤ34の孔部34eに固定される。これにより、第1駆動ギヤ34と第2駆動ギヤ35とが互いに固定される。
【0051】
中間シャフト32は、第2軸線J2を中心として第2軸方向に延びる円柱状である。中間シャフト32は、軸部35eの内部および孔部35dをZ軸方向に通される。中間シャフト32の上側の部分は、第1支持穴14fに支持される。中間シャフト32の下側の部分は、第2支持穴53bに支持される。
【0052】
被駆動ギヤ36は、第3軸線J3を中心として回動可能である。被駆動ギヤ36は、駆動ギヤ33の回動を出力シャフト38に伝達する。図3に示すように、被駆動ギヤ36は、第2駆動ギヤ35の前側(+Y側)に配置される。被駆動ギヤ36は、駆動入力ギヤ31に上側(+Z側)に配置される。被駆動ギヤ36は、被駆動ギヤ基部36aと、ストッパ部36eと、を有する。本実施形態において、被駆動ギヤ36は、ストッパ部36eを有する第2ギヤである。また、本実施形態において、第2ギヤが回動する回動方向は、第3周方向である。
【0053】
被駆動ギヤ基部36aは、第2駆動ギヤ35に向かって第3軸線径方向に突出する。第3軸線J3を中心とする略扇形状である。被駆動ギヤ基部36aには、第3軸線J3が通る。図4に示すように、中央位置P1において、被駆動ギヤ基部36aは、後側(-Y側)に突出する。図3に示すように、被駆動ギヤ基部36aは、被駆動歯車部36bを有する。図2に示すように、被駆動ギヤ基部36aは、被駆動ギヤ基部36aを第3軸方向に貫通する孔部36dを有する。孔部36dは、第3軸線J3を中心とする略円形状の孔である。
【0054】
図3に示すように、被駆動歯車部36bは、被駆動ギヤ基部36aの外周面に設けられる。より詳細には、図4に示すように、被駆動歯車部36bは、被駆動ギヤ基部36aのうち第2駆動ギヤ35に向かって突出する部分の先端部における外周面に設けられている。被駆動歯車部36bは、第3軸線J3を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる。上述のように、駆動ギヤ33は、第2周方向に沿って円弧状に延びる駆動歯車部33bを有する。よって、本実施形態によれば、駆動歯車部33bが円弧状であるため、駆動歯車部33bを第2周方向に沿って一周に亘って設ける場合と比較して、第2径方向において、駆動ギヤ33の小型化を図ることができる。また、被駆動歯車部36bが円弧状であるため、被駆動歯車部36bを第3周方向に沿って一周に亘って設ける場合と比較して、第3径方向において、被駆動ギヤ36の小型化を図ることが小型化できる。したがって、伝達機構30および電動アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
【0055】
中央位置P1において、Z軸方向に見て、被駆動歯車部36bの第3周方向の中心位置は、仮想直線L1とほぼ重なる。被駆動歯車部36bは、第3周方向に並ぶ複数の被駆動歯部36cを有する。被駆動歯車部36bと第2駆動歯車部35bとは互いに噛み合う。すなわち、被駆動歯車部36bは、駆動歯車部33bと噛み合う。これにより、ロータ22の回動が駆動ギヤ33を介して、被駆動ギヤ36に伝達される。また、被駆動ギヤ36の回動は、第1駆動ギヤ34の回動に対して減速される。
【0056】
ストッパ部36eは、被駆動ギヤ基部36aから第3径方向に突出する。ストッパ部36eは、第1ストッパ部36fと、第2ストッパ部36gと、を有する。
第1ストッパ部36fは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の一方側(+θ3側)の端部から第3径方向外側に突出する柱状である。第1ストッパ部36fは、第2駆動ギヤ35の第3周方向の一方側に配置される。第1ストッパ部36fは、第1接触部35gの第3周方向の一方側に配置される。
【0057】
第2ストッパ部36gは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の他方側(-θ3側)の部分から第3径方向外側に突出する柱状である。第2ストッパ部36gは、第2駆動ギヤ35の第3周方向の他方側に配置される。第2ストッパ部36gは、第2接触部35hの第3周方向の他方側に配置される。上述のように、第1ストッパ部36fは、第1接触部35gの第3周方向の一方側(+θ3側)に配置される。これらにより、第1ストッパ部36fと第2ストッパ部36gとは、第3周方向に接触部35fを挟んで配置される。
【0058】
出力シャフト38には、伝達機構30を介してモータシャフト24の回転が伝達される。図2に示すように、出力シャフト38は、第3軸線J3に沿って延びる。出力シャフト38は、軸部38aと、筒部38bと、保持部38eと、を有する。
軸部38aは、第3軸線J3に沿って延びる略円柱状である。Z軸方向において、軸部38aは、支持部材50の底壁部53と、被駆動ギヤ36との間に位置する。
【0059】
筒部38bは、軸部38aから上側に突出する。筒部38bは、第3軸線J3を中心とする円環状である。筒部38bの下側の部分の外周面は、被駆動ギヤ36の孔部36dに固定される。これにより、被駆動ギヤ36と出力シャフト38とが接続される。すなわち、出力シャフト38は、伝達機構30と接続される。筒部38bの上側の部分の外周面は、ケース10の出力孔14eの内周面に支持される。筒部38bの外周面には溝が設けられ、溝にはXリング92が嵌め込まれる。Xリング92は、出力孔14eの内周面と筒部38bの外周面とに接触して、ケース10と出力シャフト38との間を封止する。
【0060】
筒部38bの内周面には、第3周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられる。筒部38bの内周面は、電動アクチュエータ1の駆動力が出力される他の部材と連結される。本実施形態において、他の部材は、車両のマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ1は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギヤを切り換える。
【0061】
保持部38eは、軸部38aから下側に突出する。保持部38eは、第3軸線J3を中心とする円環状である。保持部38eの外周面は、第4軸受96に支持される。上述のように、筒部38bは、ケース10の出力孔14eの内周面に支持される。これらにより、出力シャフト38は、第3軸線J3を中心に回転可能である。保持部38eの内周面には、マグネット保持部98が固定される。マグネット保持部98は、マグネット99は、制御部70とZ軸方向に間隔をあけて対向する。
【0062】
制御部70は、コイル23fに供給される直流電流を制御する。図1に示すように、
制御部70は、制御基板70aを有する。制御基板70aは、Z軸方向と直交する方向に拡がる板状である。制御基板70aは、モータ部20および伝達機構30の下側に配置される。制御基板70aは、複数の基板支持部57によって支持部材50に支持されている。図示は省略するが、制御基板70aは、コイル23fと電気的に接続されている。コイル23fには、制御基板70aに設けられたインバータ回路から電力が供給される。制御基板70aの上側の面にはセンサ76が取り付けられている。センサ76は、マグネット99の磁界を検出可能な磁気センサである。センサ76は、マグネット99の磁界を検出することでマグネット99の回転位置を検出し、出力シャフト38の回転を検出する。
【0063】
図1に示すように、第1軸受93および第2軸受94は、それぞれボールベアリングである。第1軸受93および第2軸受94は、ボールベアリング以外の転がり軸受であっても良いし、滑り軸受であっても良い。第3軸受95および図2に示す第4軸受96は、それぞれ滑り軸受である。第3軸受95および第4軸受96は、転がり軸受であっても良い。
【0064】
図1に示すように、フィルタ部材90は、ケース10の貫通孔15bに取り付けられる。フィルタ部材90は、ケース10の内部とケース10の外部とを通気可能なフィルタである。フィルタ部材90により、ケース10の内部の気圧を安定させることができる。フィルタ部材90と、貫通孔15bの内周面との間には、Oリング91が配置される。Oリング91は、フィルタ部材90と、貫通孔15bの内周面とに接触して、フィルタ部材90とケース10との間を封止する。
【0065】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ1において、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回動することを抑制する構成について説明する。
まず、図4に示すように、中央位置P1から、駆動ギヤ33が第2周方向の一方側(+θ2側)に回動し、被駆動ギヤ36が第3周方向の他方側(-θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、図5に示すように、第1接触部35gは、第2周方向の一方側に移動する。また、第1ストッパ部36fは、第3周方向の他方側、すなわち、第2駆動ギヤ35に向けて回動する。被駆動ギヤ36が、第3周方向の他方側に所定角度回転すると、第1ストッパ部36fは、第2駆動ギヤ35の第1接触部35gに第3周方向の一方側、すなわち回動方向一方側から接触する。つまり、第1接触部35gは、被駆動ギヤ36、すなわち第2ギヤの回動移動領域に配置され、第1ストッパ部36fと接触可能である。これにより、被駆動ギヤ36の第3周方向の他方側への回動が抑制される。被駆動ギヤ36の回動が抑制されると、伝達機構30の全てのギヤの回動が抑制されるため、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の一方側に回動することを抑制できる。このとき、第2駆動歯車部35bと被駆動歯車部36bとは互いに噛み合った状態が維持されている。
【0066】
次に、図4に示すように、中央位置P1から、駆動ギヤ33が第2周方向の他方側(-θ2側)に回動し、被駆動ギヤ36が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、図6に示すように、第2接触部35hは、第2周方向の他方側に移動する。また、第2ストッパ部36gは、第3周方向の一方側、すなわち、第2駆動ギヤ35に向けて回動する。被駆動ギヤ36が、第3周方向の一方側に所定角度回転すると、第2ストッパ部36gは、第2駆動ギヤ35の第2接触部35hに第3周方向の他方側、すなわち回動方向他方側から接触する。つまり、第2接触部35hは、被駆動ギヤ36の回動移動領域に配置され、第2ストッパ部36gと接触可能である。これにより、被駆動ギヤ36の第3周方向の一方側への回動が抑制され、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の他方側に回動することが抑制される。このとき、第2駆動歯車部35bと被駆動歯車部36bとは互いに噛み合った状態が維持されている。
【0067】
本実施形態によれば、複数のギヤは、第1ギヤである駆動ギヤ33と、回動方向に回動する第2ギヤである被駆動ギヤ36と、を含み、伝達機構30は、ストッパ部36eと、被駆動ギヤ36の回動移動領域に配置され、ストッパ部36eと接触可能な接触部35fと、を有する。駆動ギヤ33は、接触部35fを有し、被駆動ギヤ36は、ストッパ部36eを有する。よって、上述したように、被駆動ギヤ36が第3周方向、すなわち回動方向に所定角度回転すると、被駆動ギヤ36のストッパ部36eと、駆動ギヤ33の接触部35fとが接触するため、被駆動ギヤ36が所定角度を超えて回動することを抑制できる。したがって、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回転することを抑制できる。さらに、被駆動ギヤ36の被駆動歯車部36bと駆動ギヤ33の駆動歯車部33bとが互いに脱落することを抑制できるため、電動アクチュエータ1を安定して駆動させることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、伝達機構30を構成する複数のギヤの一つである被駆動ギヤ36がストッパ部36eを有し、駆動ギヤ33が接触部35fを有する。そのため、例えば、ケース10等の他の部材がストッパ部または接触部の一方を有する構成と比較して、ストッパ部36eと接触部35fとの相対的な位置のばらつきを抑制し易い。したがって、被駆動ギヤ36が回動を停止する位置の精度を高めることができるため、出力シャフト38が回動を停止する位置の精度を高めることができる。また、被駆動ギヤ36を所望の位置で停止できるため、被駆動ギヤ36の被駆動歯車部36bと駆動ギヤ33の駆動歯車部33bとが互いに脱落することを抑制できる。
【0069】
本実施形態では、伝達機構30の複数のギヤが、それぞれ、金属製であるため、被駆動ギヤ36の回動を停止する際に、複数のギヤそれぞれの歯車部に大きな力が加わっても、複数のギヤそれぞれの歯車部が損傷することを抑制できる。
【0070】
本実施形態では、伝達機構30がストッパ部および接触部の両方を有するため、伝達機構30の複数のギヤよりも縦弾性係数が小さな材料によって構成されるケース10がストッパ部または接触部の一方を有し、ケース10によって、伝達機構30の複数のギヤのうち少なくとも一つのギヤの回動を抑制する構成と比較して、ケース10が損傷することを抑制できる。
【0071】
本実施形態によれば、ストッパ部36eは、第1ストッパ部36fと、第2ストッパ部36gと、を有し、接触部35fは、第1接触部35gと、第2接触部35hと、を有し、第1ストッパ部36fは、第1接触部35gに第3周方向、すなわち回動方向の一方側から接触可能であり、第2ストッパ部36gは、第2接触部35hに第3周方向の他方側(-θ3側)から接触可能である。よって、被駆動ギヤ36が第3周方向の他方側に回動する場合には、被駆動ギヤ36が所定角度を回動すると、第1ストッパ部36fが第1接触部35gに接触するため、被駆動ギヤ36が所定角度を超えて回動することを抑制できる。また、被駆動ギヤ36が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合には、被駆動ギヤ36が所定角度を回動すると、第2ストッパ部36gが第2接触部35hに接触するめ、被駆動ギヤ36が第3周方向の一方側へ所定角度を超えて回動することを抑制できる。よって、出力シャフト38が第3周方向の一方側および他方側のそれぞれの方向に一定の範囲を超えて回動することを抑制できる。
【0072】
本実施形態によれば、駆動ギヤ33は、接触部35fを有し、被駆動ギヤ36は、被駆動歯車部36bを有し第3軸線J3が通る被駆動ギヤ基部36aと、ストッパ部36eと、を有する。第1ストッパ部36fと第2ストッパ部36gとは、被駆動ギヤ基部36aから第3軸線J3を中心とする径方向に突出し、第3軸線J3を中心とする周方向に接触部35fを挟んで配置される。よって、被駆動ギヤ36が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合および第3周方向の他方側(-θ3側)に回動する場合のどちらの場合でであっても、被駆動ギヤ36が所定角度を回動すると、第1ストッパ部36fまたは第2ストッパ部36gのいずれか一方が接触部35fに接触するため、被駆動ギヤ36が所定角度を超えて回動することを抑制できる。
【0073】
<第2実施形態>
図7は、本実施形態の電動アクチュエータ201の伝達機構230を示す側面図である。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の伝達機構230では、被駆動ギヤ236が接触部236hを有し、駆動ギヤ233がストッパ部234hを有する。本実施形態において、被駆動ギヤ236は、接触部236hを有する第1ギヤである。また、駆動ギヤ233は、ストッパ部234hを有する第2ギヤである。また、第2ギヤが回動する回動方向は、第2周方向である。本実施形態の電動アクチュエータ201のその他の構成は、上述の第1実施形態の電動アクチュエータ1のその他の構成と同様の構成である。
なお、図7に示す伝達機構230は、Z軸方向に見て、第2駆動歯車部35bの第2周方向の中心位置および被駆動歯車部36bの第3周方向の中心位置と仮想直線L1とが重なる。つまり、図7に示す伝達機構230の各ギヤの位置は中央位置P1である。
【0074】
接触部236hは、被駆動ギヤ236の被駆動ギヤ基部36aの外側面の一部である。より詳細には、接触部236hは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向を向く外側面の一部である。中央位置P1において、接触部236hは、第3軸線J3よりも後側(-Y側)に位置し、被駆動歯車部36bよりも前側(+Y側)に位置する。Z軸方向に見て、接触部236hは、駆動ギヤ基部34aと重なる。本実施形態において、接触部236hは、第1接触部236iと、第2接触部236jと、を有する。
【0075】
第1接触部236iは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の他方側(-θ3側)を向く外側面の一部である。中央位置P1において、第1接触部236iは、仮想直線L1よりも右側(-X側)に位置する。第2接触部236jは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の一方側(+θ3側)を向く外側面の一部である。中央位置P1において、第2接触部236jは、仮想直線L1よりも左側(+X側)に位置する。
【0076】
本実施形態において、駆動ギヤ233が有する第1駆動ギヤ234は、駆動ギヤ基部34aと、ストッパ部234hと、を有する。駆動ギヤ基部34aの構成は、第1実施形態の駆動ギヤ基部34aの構成と同様の構成である。ストッパ部234hは、駆動ギヤ基部34aに設けられる。ストッパ部234hは、駆動ギヤ基部34aの上側(+Z側)を向く面の第2周方向の縁部から上側に突出する。Z軸方向に見て、ストッパ部234hは、略矩形状である。Z軸方向において、ストッパ部234hの上側の端部は、被駆動ギヤ基部36aの下側(-Z側)を向く面よりも、上側に位置する。ストッパ部234hの第2径方向外側の端部は、第1駆動歯部34cの第2径方向外側の端部よりも、第2径方向外側に位置する。ストッパ部234hは、第1ストッパ部234iと、第2ストッパ部234jと、を有する。
【0077】
第1ストッパ部234iは、駆動ギヤ基部34aの上側(+Z側)を向く面の第2周方向の一方側(+θ2側)の縁部から上側に突出する。中央位置P1において、第1ストッパ部234iは、第2駆動ギヤ35の右側(-X側)に配置される。中央位置P1において、第1ストッパ部234iは、被駆動ギヤ236よりも第2周方向の一方側に配置される。中央位置P1において、第1ストッパ部234iは、第1接触部236iの第2周方向の一方側に配置される。
【0078】
第2ストッパ部234jは、駆動ギヤ基部34aの上側(+Z側)を向く面の第2周方向の他方側(-θ2側)の縁部から上側に突出する。中央位置P1において、第2ストッパ部234jは、第2駆動ギヤ35の左側(+X側)に配置される。中央位置P1において、第2ストッパ部234jは、被駆動ギヤ236よりも第2周方向の他方側に配置される。中央位置P1において、第2ストッパ部234jは、第2接触部236jの第2周方向の他方側に配置される。これらにより、第1ストッパ部234iと第2ストッパ部234jとは、第2周方向に接触部236hを挟んで配置される。
【0079】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ201において、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回動することを抑制する構成について説明する。
まず、中央位置P1から、駆動ギヤ233が第2周方向の他方側(-θ2側)に回動し、被駆動ギヤ236が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、第1接触部236iは、第3周方向の一方側に移動する。また、第1ストッパ部234iは、被駆動ギヤ236に向けて回動する。駆動ギヤ233が、第2周方向の他方側に所定角度回動すると、第1ストッパ部234iは、第1接触部236iに第2周方向の一方側、すなわち回動方向一方側から接触する。これにより、駆動ギヤ233の第2周方向の他方側への回動が抑制され、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の一方側に回動することが抑制される。このとき、第2駆動歯車部35bと被駆動歯車部36bとは互いに噛み合った状態が維持されている。
【0080】
次に、中央位置P1から、駆動ギヤ233が第2周方向の一方側(+θ2側)に回動し、被駆動ギヤ236が第3周方向の他方側(-θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、第2接触部236jは、第3周方向の他方側に移動する。また、第2ストッパ部234jは、被駆動ギヤ236に向けて回動する。駆動ギヤ233が、第2周方向の一方側に所定角度回動すると、第2ストッパ部234jは、第2接触部236jに第2周方向の他方側、すなわち回動方向他方側から接触する。これにより、駆動ギヤ233の第2周方向の一方側への回動が抑制され、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の他方側に回動することが抑制される。このとき、第2駆動歯車部35bと被駆動歯車部36bとは互いに噛み合った状態が維持されている。
【0081】
本実施形態によれば、駆動ギヤ233は、第2軸線J2が通る駆動ギヤ基部34aと、ストッパ部234hと、を有し、第1ストッパ部234iと第2ストッパ部234jとは、駆動ギヤ基部34aに設けられ、被駆動ギヤ236は、接触部236hを有し、第1ストッパ部234iと第2ストッパ部234jとは、第2軸線J2を中心とする周方向に接触部236hを挟んで配置される。よって、駆動ギヤ233が第2周方向の一方側(+θ2側)に回動する場合および第2周方向の他方側(-θ2側)に回動する場合のどちらの場合でであっても、駆動ギヤ233が所定角度を回動すると、第1ストッパ部234iまたは第2ストッパ部234jのいずれか一方が接触部236hに接触するため、駆動ギヤ233が所定角度を超えて回動することを抑制できる。したがって、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回転することを抑制できる。さらに、駆動ギヤ233の第2駆動歯車部35bと被駆動ギヤ236の被駆動歯車部36bとが互いに脱落することを抑制できるため、電動アクチュエータ201を安定して駆動させることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、伝達機構230がストッパ部234hおよび接触部236hを有するため、ストッパ部234hと接触部236hとの相対的な位置のばらつきを抑制できる。したがって、駆動ギヤ233、すなわち第2ギヤが回動を停止する位置の精度を高めることができ、出力シャフト38が回動を停止する位置の精度を高めることができる。
【0083】
<第3実施形態>
図8は、本実施形態の電動アクチュエータ301の伝達機構330を示す側面図である。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の伝達機構330では、被駆動ギヤ336が接触部336hを有し、駆動入力ギヤ331がストッパ部331eを有する。本実施形態において、駆動入力ギヤ331は、ストッパ部331eを有する第1ギヤである。被駆動ギヤ336は、接触部336hを有する第2ギヤである。また、第2ギヤが回動する回動方向は、第3周方向である。本実施形態の電動アクチュエータ301のその他の構成は、上述の第1実施形態の電動アクチュエータ1のその他の構成と同様の構成である。
なお、図8に示す伝達機構330は、Z軸方向に見て、第2駆動歯車部35bの第2周方向の中心位置および被駆動歯車部36bの第3周方向の中心位置と仮想直線L1とが重なる。つまり、図8に示す伝達機構330の各ギヤの位置は中央位置P1である。
【0084】
接触部336hは、被駆動ギヤ336の被駆動ギヤ基部36aの外側面の一部である。より詳細には、接触部336hは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向を向く外側面の一部である。中央位置P1において、接触部336hは、第3軸線J3よりも後側(-Y側)に位置する。Z軸方向に見て、接触部336hは、駆動入力ギヤ331と重なる。本実施形態において、接触部336hは、第1接触部336iと、第2接触部336jと、を有する。
【0085】
第1接触部336iは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の一方側(+θ3側)を向く外側面の一部である。中央位置P1において、第1接触部336iは、仮想直線L1よりも左側(+X側)に位置する。第2接触部336jは、被駆動ギヤ基部36aの第3周方向の他方側(-θ3側)を向く外側面の一部である。中央位置P1において、第2接触部336jは、仮想直線L1よりも右側(-X側)に位置する。
【0086】
ストッパ部331eは、駆動入力本体部31aに固定される。ストッパ部331eは、駆動入力本体部31aから径方向外側に突出する。ストッパ部331eは、モータ軸J1を中心とする略円環状の部材である。本実施形態において、ストッパ部331eは、E形止め輪である。ストッパ部331eは、駆動入力本体部31aの外周面に設けられる図示しない溝に固定される。よって、本実施形態によれば、駆動入力本体部31aに、ストッパ部331eを容易に固定することができるため、電動アクチュエータ301の製造工数が増大することを抑制できる。なお、ストッパ部331eは、C型止め輪等の他の部材であっても良い。ストッパ部331eは、第1ストッパ部331fと、第2ストッパ部234jと、を有する。
【0087】
第1ストッパ部331fは、駆動入力本体部31aの胴部31bに固定される。より詳細には、胴部31bの左側(+X側)の部分の外周面に設けられる図示しない溝に固定される。第1ストッパ部331fは、被駆動ギヤ336よりも第3周方向の一方側(+θ3側)に配置される。第1ストッパ部331fは、第1接触部336iの第3周方向の一方側に配置される。第1ストッパ部331fの上側(+Z側)の部分は、第1接触部336iと第3周方向に対向する。
【0088】
第2ストッパ部331gは、駆動入力本体部31aの接続部31cに固定される。より詳細には、接続部31cの外周面に設けられる図示しない溝に固定される。第2ストッパ部331gは、被駆動ギヤ336よりも第3周方向の他方側(-θ3側)に配置される。第2ストッパ部331gは、第2接触部336jの第3周方向の他方側に配置される。第2ストッパ部331gの上側(+X側)の部分は、第2接触部336jと第3周方向に対向する。これらにより、第1ストッパ部234iと第2ストッパ部234jとは、接触部336hを軸方向、すなわちモータ軸J1が延びる方向に挟んで配置される。
【0089】
次に、本実施形態の電動アクチュエータ301において、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回動することを抑制する構成について説明する。
まず、中央位置P1から、駆動入力ギヤ331が周方向一方側(+θ1側)に回動し、被駆動ギヤ336が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、第1接触部336iは、第3周方向の一方側に移動する。被駆動ギヤ336が、第3周方向の一方側に所定角度回動すると、第1ストッパ部331fは、第1接触部336iに第3周方向の一方側、すなわち回動方向一方側から接触する。これにより、被駆動ギヤ336の第3周方向の一方側への回動が抑制され、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の一方側に回動することが抑制される。
【0090】
次に、中央位置P1から、駆動入力ギヤ331が周方向他方側(-θ1側)に回動し、被駆動ギヤ336が第3周方向の他方側(-θ3側)に回動する場合について説明する。この場合、第2接触部336jは、第3周方向の他方側に移動する。被駆動ギヤ336が、第3周方向の他方側に所定角度回動すると、第2ストッパ部331gは、第2接触部336jに第3周方向の他方側、すなわち回動方向他方側から接触する。これにより、被駆動ギヤ336の第3周方向の他方側への回動が抑制され、出力シャフト38が一定の範囲を超えて第3周方向の他方側に回動することが抑制される。
【0091】
よって、本実施形態によれば、被駆動ギヤ336が第3周方向の一方側(+θ3側)に回動する場合および第3周方向の他方側(-θ3側)に回動する場合のどちらの場合であっても、被駆動ギヤ336が所定角度を回動すると、第1ストッパ部331fまたは第2ストッパ部331gのいずれか一方が接触部336hに接触するため、被駆動ギヤ336が所定角度を超えて回動することを抑制できる。したがって、出力シャフト38が一定の範囲を超えて回転することを抑制できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、伝達機構330がストッパ部331eおよび接触部336hを有するため、ストッパ部331eと接触部336hとの相対的な位置のばらつきを抑制できる。したがって、被駆動ギヤ336、すなわち第2ギヤが回動を停止する位置の精度を高めることができ、出力シャフト38が回動を停止する位置の精度を高めることができる。
【0093】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0094】
例えば、本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、伝達機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されず車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【0095】
また、伝達機構がストッパ部および接触部を有し、出力シャフトが所定範囲を超えて回動することを抑制できるならば、伝達機構の構成は上述の実施形態に限定されない。例えば、伝達機構が有するギヤの個数は、2個以下でも良いし、4個以上であっても良い。伝達機構は、ストッパ部および接触部それぞれを2個以上有していても良い。また、駆動ギヤおよび被駆動ギヤの形状は扇形状の形状でなくても良く、円形状等の他の形状であっても良い。
【0096】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータ軸を中心として回転可能なロータを有するモータ部と、前記ロータの回転が伝達されて回動する複数のギヤを有する伝達機構と、を備え、前記複数のギヤは、第1ギヤと、回動方向に回動する第2ギヤと、を含み、前記伝達機構は、ストッパ部と、前記第2ギヤの回動移動領域に配置され、前記ストッパ部と接触可能な接触部と、を有し、前記第1ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの一方を有し、前記第2ギヤは、前記ストッパ部と前記接触部とのうちの他方を有する、電動アクチュエータ。
(2) 前記ストッパ部は、第1ストッパ部と、第2ストッパ部と、を有し、前記接触部は、第1接触部と、第2接触部と、を有し、前記第1ストッパ部は、前記第1接触部に前記回動方向の一方側から接触可能であり、前記第2ストッパ部は、前記第2接触部に前記回動方向の他方側から接触可能である、(1)に記載の電動アクチュエータ。
(3) 前記第1ギヤは、第2軸線を中心として回動可能な駆動ギヤであり、前記駆動ギヤは、前記第2軸線を中心とする周方向に沿って円弧状に延びる駆動歯車部を有し、前記第2ギヤは、前記第2軸線が延びる方向に延びる第3軸線を中心として回動可能な被駆動ギヤであり、前記被駆動ギヤは、前記第3軸線を中心とする周方向に沿って円弧状に延び前記駆動歯車部と噛み合う被駆動歯車部を有する、(2)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 前記駆動ギヤは、前記接触部を有し、前記被駆動ギヤは、前記被駆動歯車部を有し前記第3軸線が通る被駆動ギヤ基部と、前記ストッパ部と、を有し、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記被駆動ギヤ基部から前記第3軸線を中心とする径方向に突出し、前記第3軸線を中心とする周方向に前記接触部を挟んで配置される、(3)に記載の電動アクチュエータ。
(4) 前記駆動ギヤは、前記第2軸線が通る駆動ギヤ基部と、前記ストッパ部と、を有し、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記駆動ギヤ基部に設けられ、前記被駆動ギヤは、前記接触部を有し、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記第2軸線を中心とする周方向に前記接触部を挟んで配置される、(3)に記載の電動アクチュエータ。
(6) 前記第1ギヤは、駆動入力歯車部を有し前記ロータとともに前記モータ軸を中心として回転可能な駆動入力ギヤであり、前記第2ギヤは、被駆動歯車部を有する被駆動ギヤであり、前記複数のギヤは、第1駆動歯車部および第2駆動歯車部を有する駆動ギヤを含み、前記駆動入力歯車部と前記第1駆動歯車部とは互いに噛み合い、前記第2駆動歯車部と前記被駆動歯車部とは互いに噛み合い、前記被駆動ギヤは、前記接触部を有し、前記駆動入力ギヤは、前記ストッパ部を有する、(2)に記載の電動アクチュエータ。
(7) 前記駆動入力ギヤは、前記モータ軸に沿って延びる駆動入力本体部を有し、前記駆動入力歯車部は、前記駆動入力本体部の外周面に設けられ、前記モータ軸を中心に回動可能であり、前記被駆動ギヤは、前記モータ軸と交差する第3軸線を中心として回動可能であり、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記接触部を前記モータ軸が延びる方向に挟んで配置される、(6)に記載の電動アクチュエータ。
(7) 前記第1ストッパ部および前記第2ストッパ部は、それぞれ、前記駆動入力本体部に固定され、前記駆動入力本体部から径方向外側に突出する円環状の部材である、(7)に記載の電動アクチュエータ。
【符号の説明】
【0097】
1,201,301…電動アクチュエータ、10…ケース、20…モータ部、22…ロータ、30,230,330…伝達機構、31a…駆動入力本体部、31d…駆動入力歯車部、33,233…駆動ギヤ、33,236,331…第1ギヤ、33b…駆動歯車部、34a…駆動ギヤ基部、34b…第1駆動歯車部、35b…第2駆動歯車部、35f,236h,336h…接触部、35g,236i,336i…第1接触部、35h,236j,336j…第2接触部、36,236,336…被駆動ギヤ、36,233,336…第2ギヤ、36a…被駆動ギヤ基部、36b…被駆動歯車部、36e,234h,331e…ストッパ部、36f,234i,331f…第1ストッパ部、36g、234j,331g…第2ストッパ部、331…駆動入力ギヤ、J1…モータ軸、J2…第2軸線、J3…第3軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8