IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031397
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/88 M
H01L21/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134922
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹井 祥司
(72)【発明者】
【氏名】二井 瑛典
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH11
5F033HH12
5F033JJ19
5F033KK08
5F033KK09
5F033PP06
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033QQ48
(57)【要約】
【課題】反りの低減された半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100Aは、層間絶縁膜33と、層間絶縁膜33上に配置されている最上層の配線53とを備える。配線53は、層間絶縁膜33上に配置されているシード層53aと、シード層53a上に配置されている配線本体部53bとを有する。配線本体部53bの構成材料は、銅又は銅合金である。層間絶縁膜33の上面には、層間絶縁膜33の平面視における外周縁に沿って溝37が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に配置されている最上層の配線とを備え、
前記配線は、前記層間絶縁膜上に配置されているシード層と、前記シード層上に配置されている配線本体部とを有し、
前記配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金であり、
前記層間絶縁膜の上面には、前記層間絶縁膜の平面視における外周縁に沿って溝が形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記配線の厚さは、4μm以上である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線に電気的に接続されているビアプラグをさらに備え、
前記層間絶縁膜には、前記ビアプラグが埋め込まれるビアホールが形成されており、
前記シード層の構成材料は、前記ビアホールの構成材料と異なる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記配線に電気的に接続されているビアプラグをさらに備え、
前記層間絶縁膜には、前記ビアプラグが埋め込まれるビアホールが形成されており、
前記シード層の構成材料は、前記ビアホールの構成材料と同一である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記溝の深さは、1μm以上6μm以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜にビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールにビアプラグを埋め込む工程と、
前記層間絶縁膜上に最上層の配線を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上面に溝を形成する工程とを備え、
前記配線は、前記層間絶縁膜上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に第1開口部を有する第1レジストパターンを形成する工程と、電解めっきを行うことにより前記第1開口部から露出している前記シード層上に配線本体部を形成する工程と、前記配線本体部をマスクとするエッチングにより前記シード層を除去する工程とにより形成され、
前記配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金であり、
前記層間絶縁膜は、半導体基板の上方にあり、
前記半導体基板は、平面視において、複数の素子形成領域と前記複数の素子形成領域のうちの隣り合う2つの間にあるスクライブ領域とを有し、
前記溝は、平面視において前記スクライブ領域に重なるように形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記層間絶縁膜上に第2開口部を有する第2レジストパターンを形成する工程と、
前記シード層上に第3開口部を有する第3レジストパターンを形成する工程とをさらに備え、
前記ビアホールは、前記第2レジストパターンをマスクとして前記第2開口部から露出している前記層間絶縁膜をエッチングすることにより形成され、
前記溝は、前記第3レジストパターンをマスクとして前記第3開口部から露出している前記層間絶縁膜をエッチングすることにより形成される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記層間絶縁膜上に第4開口部及び第5開口部を有する第4レジストパターンを形成する工程をさらに備え、
前記ビアホール及び前記溝は、前記第4レジストパターンをマスクとして前記第4開口部から露出している前記層間絶縁膜及び前記第5開口部から露出している前記層間絶縁膜をそれぞれエッチングすることにより形成され、
前記シード層は、前記ビアプラグが前記ビアホールに埋め込まれる際に、前記ビアプラグと同一の構成材料を用いて前記層間絶縁膜上に形成される、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2019-135779号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に配置されている最上層の配線とを有している。配線は、シード層と、シード層上に配置されている配線本体部とを有している。配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-135779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体装置では、配線の低抵抗化のために、配線本体部が厚く形成されている。また、銅の熱膨張率は、アルミニウムの熱膨張率よりも大きい。そのため、特許文献1に記載の半導体装置では、配線の熱膨張に起因して反りが生じてしまうことがある。本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、反りの低減された半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の半導体装置は、層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に配置されている最上層の配線とを備える。配線は、層間絶縁膜上に配置されているシード層と、シード層上に配置されている配線本体部とを有する。配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金である。層間絶縁膜の上面には、層間絶縁膜の平面視における外周縁に沿って溝が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体装置によると、反りの低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】半導体装置100Aの平面図である。
図2図1中のII-IIにおける断面図である。
図3】半導体装置100Aの製造工程図である。
図4】準備工程S1において準備される半導体基板10の平面図である。
図5】素子分離工程S2を説明する断面図である。
図6】第1イオン注入工程S3を説明する断面図である。
図7】ゲート絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。
図8】ゲート形成工程S5を説明する断面図である。
図9】第2イオン注入工程S6を説明する断面図である。
図10】サイドウォールスペーサ形成工程S7を説明する断面図である。
図11】第3イオン注入工程S8を説明する断面図である。
図12】第1層間絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。
図13】コンタクトプラグ形成工程S10を説明する断面図である。
図14】第1配線形成工程S11を説明する断面図である。
図15】第2層間絶縁膜形成工程S12を説明する断面図である。
図16】第1ビアプラグ形成工程S13を説明する断面図である。
図17】第2配線形成工程S14を説明する断面図である。
図18】第3層間絶縁膜形成工程S15を説明する断面図である。
図19A】第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第1断面図である。
図19B】第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第2断面図である。
図20】溝形成工程S17を説明する断面図である。
図21】シード層形成工程S18aを説明する断面図である。
図22】電解めっき工程S18bを説明する断面図である。
図23】エッチング工程S18cを説明する断面図である。
図24】半導体装置100Bの断面図である。
図25】半導体装置100Bの製造工程図である。
図26A】半導体装置100Bの製造方法における第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第1断面図である。
図26B】半導体装置100Bの製造方法における第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置を説明する。第1実施形態に係る半導体装置を、半導体装置100Aとする。
【0010】
<半導体装置100Aの構成>
以下に、半導体装置100Aの構成を説明する。
【0011】
図1は、半導体装置100Aの平面図である。なお、図1中では、配線53の図示が省略されている。図2は、図1中のII-IIにおける断面図である。図1及び図2に示されているように、半導体装置100Aは、半導体基板10と、ゲート絶縁膜21と、ゲート22と、絶縁膜23と、サイドウォールスペーサ24と、複数の層間絶縁膜30と、コンタクトプラグ40と、複数の配線50と、ビアプラグ61及びビアプラグ62とを有している。
【0012】
半導体基板10は、例えば単結晶シリコン(Si)で形成されている。半導体基板10は、第1主面10aと、第2主面10bとを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、半導体基板10の厚さ方向における端面である。第2主面10bは、第1主面10aの反対面である。半導体基板10は、ソース領域11と、ドレイン領域12と、ウェル領域13とを有している。
【0013】
ソース領域11及びドレイン領域12は、第1主面10aに配置されている。ソース領域11及びドレイン領域12は、間隔を空けて配置されている。ソース領域11の導電型及びドレイン領域12の導電型は、第1導電型である。第1導電型は、n型又はp型である。
【0014】
ソース領域11は、第1部分11aと、第2部分11bとを有している。第1部分11aは、第2部分11bよりもドレイン領域12の近くにある。第1部分11aにおけるドーパント濃度は、第2部分11bにおけるドーパント濃度よりも低い。すなわち、ソース領域11は、LDD(Lightly Doped Diffusion)構造になっている。ドレイン領域12は、第1部分12aと、第2部分12bとを有している。第1部分12aは、第2部分12bよりもソース領域11の近くにある。第1部分12aにおけるドーパント濃度は、第2部分12bにおけるドーパント濃度よりも低い。すなわち、ドレイン領域12は、LDD構造になっている。
【0015】
ウェル領域13は、ソース領域11及びドレイン領域12を取り囲むように第1主面10aに配置されている。ウェル領域13の導電型は、第2導電型である。第2導電型は、第1導電型の反対の導電型である。
【0016】
ゲート絶縁膜21は、ソース領域11とドレイン領域12との間にある第1主面10a上に配置されている。ゲート絶縁膜21は、例えば、シリコン酸化物で形成されている。ゲート22は、ゲート絶縁膜21上に配置されている。ゲート22は、例えば、不純物のドープされた多結晶シリコンで形成されている。ソース領域11、ドレイン領域12、ウェル領域13、ゲート絶縁膜21及びゲート22は、トランジスタを構成している。
【0017】
第1主面10aには、溝14が形成されている。溝14は、平面視においてウェル領域13を取り囲むように形成されている。溝14には、絶縁膜23が埋め込まれている。絶縁膜23は、例えばシリコン酸化物で形成されている。すなわち、溝14及び絶縁膜23は、1つのトランジスタを他のトランジスタから絶縁分離するSTI(Shallow Trench Isolation)構造になっている。但し、STI構造に代えて、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)構造が用いられてもよい。
【0018】
サイドウォールスペーサ24は、ゲート22の側面に接するように、第1部分11a上及び第1部分12a上に配置されている。サイドウォールスペーサ24は、例えば、シリコン窒化物で形成されている。
【0019】
複数の層間絶縁膜30のうちの最も半導体基板10の近くにあるものを、層間絶縁膜31とする。複数の層間絶縁膜30のうちの最も半導体基板10から離れているものを、層間絶縁膜33とする。複数の層間絶縁膜30のうちの層間絶縁膜31と層間絶縁膜33との間にあるものを、層間絶縁膜32とする。複数の配線50のうちの層間絶縁膜31上に配置されているものを、配線51とする。複数の配線50のうちの層間絶縁膜32上に配置されているものを、配線52とする。複数の配線50のうちの層間絶縁膜33上に配置されているものを、配線53とする。すなわち、配線53は、最上層の配線である。
【0020】
層間絶縁膜31は、ゲート絶縁膜21、ゲート22、絶縁膜23及びサイドウォールスペーサ24を覆うように半導体基板10上(第1主面10a上)に配置されている。層間絶縁膜31には、コンタクトホール34が形成されている。コンタクトホール34は、層間絶縁膜31を厚さ方向に沿って貫通している。コンタクトホール34からは、ソース領域11(第2部分11b)、ドレイン領域12(第2部分12b)又はゲート22が露出している。層間絶縁膜31は、例えばシリコン酸化物で形成されている。
【0021】
コンタクトプラグ40は、コンタクトホール34中に埋め込まれている。コンタクトプラグ40の下端は、ソース領域11(第2部分11b)、ドレイン領域12(第2部分12b)又はゲート22に電気的に接続されている。コンタクトプラグ40は、例えばタングステンで形成されている。配線51は、層間絶縁膜31上に配置されている。配線51は、コンタクトプラグ40の上端に電気的に接続されている。配線51は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
【0022】
層間絶縁膜32は、層間絶縁膜31上又は他の層間絶縁膜32上に配置されている。層間絶縁膜32には、ビアホール35が形成されている。ビアホール35は、層間絶縁膜32を厚さ方向に沿って貫通している。ビアプラグ61は、ビアホール35に埋め込まれている。ビアプラグ61の下端は、配線51又は配線52に電気的に接続されている。ビアプラグ61の上端は、配線52に電気的に接続されている。層間絶縁膜32は、例えばシリコン酸化物で形成されている。配線52は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。ビアプラグ61は、例えばタングステンで形成されている。
【0023】
層間絶縁膜33には、ビアホール36が形成されている。ビアホール36は、層間絶縁膜33を厚さ方向に沿って貫通している。ビアプラグ62は、ビアホール36に埋め込まれている。ビアプラグ62の下端は、配線52に電気的に接続されている。ビアプラグ62の上端は、配線53に電気的に接続されている。ビアプラグ62は、例えばタングステンで形成されている。
【0024】
層間絶縁膜33は、第1層33aと、第2層33bとを有している。第1層33aは、配線52を覆うように層間絶縁膜32上に配置されている。第1層33aは、例えばシリコン酸化物で形成されている。第2層33bは、第1層33a上に配置されている。第2層33bは、例えばシリコン窒化物で形成されている。
【0025】
配線53は、シード層53aと配線本体部53bとを有している。シード層53aは、層間絶縁膜33上に配置されている。シード層53aは、例えば、チタン層及び銅層が積層されることで構成されている。配線本体部53bは、銅又は銅合金で形成されている。配線53の厚さを、厚さTとする。厚さTは、例えば、4μm以上である。厚さTは、例えば、10μm以下である。
【0026】
層間絶縁膜33の上面には、溝37が形成されている。溝37は、平面視において、層間絶縁膜33の外周縁に沿って延在している。溝37の底は、例えば、層間絶縁膜32に達していてもよい。溝37の底は、層間絶縁膜32に達していなくてもよい(溝37の底は、層間絶縁膜33に位置していてもよい)。溝37の深さを深さDとする。深さDは、層間絶縁膜33の上面と溝37の底との間の距離である。深さDは、例えば、1μm以上6μm以下である。
【0027】
<半導体装置100Aの製造方法>
以下に、半導体装置100Aの製造方法を説明する。
【0028】
図3は、半導体装置100Aの製造工程図である。図3に示されているように、半導体装置100Aの製造方法は、準備工程S1と、素子分離工程S2と、第1イオン注入工程S3と、ゲート絶縁膜形成工程S4と、ゲート形成工程S5と、第2イオン注入工程S6と、サイドウォールスペーサ形成工程S7と、第3イオン注入工程S8とを有している。
【0029】
半導体装置100Aの製造方法は、さらに、第1層間絶縁膜形成工程S9と、コンタクトプラグ形成工程S10と、第1配線形成工程S11と、第2層間絶縁膜形成工程S12と、第1ビアプラグ形成工程S13と、第2配線形成工程S14と、第3層間絶縁膜形成工程S15と、第2ビアプラグ形成工程S16と、溝形成工程S17と、第3配線形成工程S18と、個片化工程S19とを有している。
【0030】
準備工程S1では、半導体基板10が準備される。準備工程S1において準備される半導体基板10は、個片化されていない。図4は、準備工程S1において準備される半導体基板10の平面図である。図4に示されているように、準備工程S1において準備される半導体基板10は、平面視において、複数の素子形成領域15と、スクライブ領域16とを有している。スクライブ領域16は、隣り合う2つの素子形成領域15の間にある。このことを別の観点から言えば、素子形成領域15は、平面視において、スクライブ領域16に取り囲まれている。
【0031】
図5は、素子分離工程S2を説明する断面図である。図5に示されているように、素子分離工程S2では、溝14が形成されるとともに、溝14に絶縁膜23が埋め込まれる。溝14は、第1主面10a上に形成されたハードマスクを用いて半導体基板10をドライエッチングすることにより形成される。絶縁膜23は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)で溝14を絶縁膜23の構成材料で埋め込むとともに、溝14からはみ出した絶縁膜23の構成材料を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)で除去することにより形成される。絶縁膜23の形成後、上記のハードマスクは除去される。
【0032】
図6は、第1イオン注入工程S3を説明する断面図である。図6に示されるように、第1イオン注入工程S3では、イオン注入により、ウェル領域13が形成される。図7は、ゲート絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。図7に示されているように、ゲート絶縁膜形成工程S4では、例えば熱酸化により、ゲート絶縁膜21が形成される。
【0033】
図8は、ゲート形成工程S5を説明する断面図である。図8に示されているように、ゲート形成工程S5では、ゲート22が形成される。ゲート22は、例えばCVDでゲート22の構成材料を成膜するとともに、成膜されたゲート22の構成材料をフォトリソグラフィでパターンニングされたレジストパターンをマスクとしてエッチングすることにより形成される。上記のレジストパターンは、ゲート22の形成後に除去される。図9は、第2イオン注入工程S6を説明する断面図である。図9に示されるように、第2イオン注入工程S6では、イオン注入により、第1部分11a及び第1部分12aが形成される。
【0034】
図10は、サイドウォールスペーサ形成工程S7を説明する断面図である。図10に示されているように、サイドウォールスペーサ形成工程S7では、サイドウォールスペーサ24が形成される。サイドウォールスペーサ24は、サイドウォールスペーサ24の構成材料を例えばCVDで成膜するとともに、成膜されたサイドウォールスペーサ24の構成材料をエッチバックすることにより形成される。図11は、第3イオン注入工程S8を説明する断面図である。図11に示されているように、第3イオン注入工程S8では、イオン注入により、第2部分11b及び第2部分12bが形成される。
【0035】
図12は、第1層間絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。図11に示されているように、第1層間絶縁膜形成工程S9では、層間絶縁膜31が形成される。層間絶縁膜31は、層間絶縁膜31の構成材料をCVD等で成膜するとともに、成膜された層間絶縁膜31の構成材料をCMP等で平坦化することにより形成される。
【0036】
図13は、コンタクトプラグ形成工程S10を説明する断面図である。図13に示されているように、コンタクトプラグ形成工程S10では、コンタクトホール34及びコンタクトプラグ40が形成される。コンタクトホール34は、フォトリソグラフィで形成されたレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜31をドライエッチングすることにより形成される。上記のレジストパターンは、コンタクトホール34の形成後に除去される。コンタクトプラグ40は、コンタクトプラグ40の構成材料を例えばCVDでコンタクトホール34に埋め込むとともに、コンタクトホール34からはみ出したコンタクトプラグ40の構成材料を例えばCMPで除去することにより形成される。
【0037】
図14は、第1配線形成工程S11を説明する断面図である。図14に示されているように、第1配線形成工程S11では、配線51が形成される。配線51は、配線51の構成材料をスパッタリング等で成膜するとともに、成膜された配線51の構成材料をフォトリソグラフィで形成されたレジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることにより形成される。上記のレジストパターンは、配線51の形成後に除去される。
【0038】
図15は、第2層間絶縁膜形成工程S12を説明する断面図である。図15に示されているように、第2層間絶縁膜形成工程S12では、層間絶縁膜32が形成される。層間絶縁膜32は、層間絶縁膜32の構成材料をCVD等で成膜するとともに、成膜された層間絶縁膜32の構成材料をCMP等で平坦化することにより形成される。
【0039】
図16は、第1ビアプラグ形成工程S13を説明する断面図である。図16に示されているように、第1ビアプラグ形成工程S13では、ビアホール35及びビアプラグ61が形成される。ビアホール35は、フォトリソグラフィで形成されたレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜32をドライエッチングすることにより形成される。上記のレジストパターンは、ビアホール35の形成後に除去される。ビアプラグ61は、ビアプラグ61の構成材料を例えばCVDでビアホール35に埋め込むとともに、ビアホール35からはみ出したビアプラグ61の構成材料を例えばCMPで除去することにより形成される。
【0040】
図17は、第2配線形成工程S14を説明する断面図である。図17に示されているように、第2配線形成工程S14を説明する断面図である。図17に示されているように、第2配線形成工程S14では、配線52が形成される。配線52は、配線52の構成材料をスパッタリング等で成膜するとともに、成膜された配線52の構成材料をフォトリソグラフィで形成されたレジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることにより形成される。上記のレジストパターンは、配線52の形成後に除去される。なお、第2層間絶縁膜形成工程S12、第1ビアプラグ形成工程S13及び第2配線形成工程S14は、層間絶縁膜32の数及び配線52の数に応じて繰り返される。
【0041】
図18は、第3層間絶縁膜形成工程S15を説明する断面図である。図18に示されているように、第3層間絶縁膜形成工程S15では、層間絶縁膜33(第1層33a及び第2層33b)が形成される。層間絶縁膜33は、第1層33aの構成材料及び第2層33bの構成材料を例えばCVDで順次成膜するとともに、成膜された33bの構成材料を例えばCMPで平坦化することにより形成される。
【0042】
図19Aは、第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第1断面図である。図19Aに示されているように、第2ビアプラグ形成工程S16では、第1に、ビアホール36が形成される。ビアホール36の形成においては、まず、フォトリソグラフィにより、レジストパターン71が層間絶縁膜33上に形成される。レジストパターン71は、開口部71aを有している。次に、レジストパターン71をマスクとして開口部71aから露出している層間絶縁膜33がドライエッチングされる。これにより、ビアホール36が形成される。レジストパターン71は、ビアホール36の形成後に除去される。
【0043】
図19Bは、第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第2断面図である。図19Bに示されるように、第2ビアプラグ形成工程S16では、第2に、ビアプラグ62が形成される。ビアプラグ62は、ビアプラグ62の構成材料を例えばCVDでビアホール36に埋め込むとともに、ビアホール36からはみ出したビアプラグ62の構成材料を例えばCMPで除去することにより形成される。
【0044】
図20は、溝形成工程S17を説明する断面図である。図20に示されているように、溝形成工程S17では、溝37が形成される。溝37は、平面視においてスクライブ領域16に重なるように形成される。溝37の形成においては、第1に、フォトリソグラフィにより、層間絶縁膜33上にレジストパターン72が形成される。レジストパターン72は、開口部72aを有している。第2に、レジストパターン72をマスクとして開口部72aから露出している層間絶縁膜33がドライエッチングされる。これにより、溝37が形成される。レジストパターン72は、溝37の形成後に除去される。
【0045】
図3に示されるように、第3配線形成工程S18は、シード層形成工程S18aと、電解めっき工程S18bと、エッチング工程S18cとを有している。図21は、シード層形成工程S18aを説明する断面図である。図21に示されているように、シード層形成工程S18aでは、例えばスパッタリングでシード層53aの構成材料をスパッタリングで成膜することにより、シード層53aが形成される。
【0046】
図22は、電解めっき工程S18bを説明する断面図である。図22に示されているように、電解めっき工程S18bでは、配線本体部53bが形成される。配線本体部53bの形成においては、第1に、フォトリソグラフィにより、シード層53a上にレジストパターン73が形成される。レジストパターン73は、開口部73aを有している。
【0047】
第2に、電解めっきにより、開口部73aから露出しているシード層53a上に配線本体部53bが形成される。レジストパターン73は、配線本体部53bの形成後に除去される。図23は、エッチング工程S18cを説明する断面図である。図23に示されているように、エッチング工程S18cでは、配線本体部53bをマスクとするウェットエッチングにより、レジストパターン73の下にあったシード層53aが除去される。
【0048】
個片化工程S19では、上記のようにして形成されたウェハが、スクライブ領域16にある半導体基板10及びスクライブ領域上にある複数の層間絶縁膜30が切断されることにより、図1及び図2に示されている構造の半導体装置100が複数得られる。上記のとおり、平面視においてスクライブ領域16が素子形成領域15を取り囲んでいるため、溝37は、層間絶縁膜33の外周縁に沿って残存することになる。
【0049】
<半導体装置100Aの効果>
以下に、半導体装置100Aの効果を説明する。
【0050】
配線本体部53bの構成材料は、銅又は銅合金であり、熱膨張係数が例えばアルミニウムと比較して大きくなっている。そのため、配線本体部53bを有するウェハでは、配線本体部53bの熱膨張に起因して反りが生じやすい。このような反りは、厚さTが大きい場合(例えば、厚さTが4μm以上の場合)に特に顕著になる。しかしながら、上記のウェハには、溝37が形成されている。その結果、上記のウェハは剛性が低下しており、上記のウェハの自重により上記の反りが矯正されやすくなっている。そのため、上記のウェハから個片化された半導体装置100Aでも、反りが抑制されている。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置100Bとする。ここでは、半導体装置100Aと異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0052】
<半導体装置100Bの構成>
以下に、半導体装置100Bの構成を説明する。
【0053】
図24は、半導体装置100Bの断面図である。図24には、図2中のII-IIに対応する位置における断面が示されている。図24に示されているように、半導体装置100Bは、半導体基板10と、ゲート絶縁膜21と、ゲート22と、絶縁膜23と、サイドウォールスペーサ24と、層間絶縁膜31、層間絶縁膜32及び層間絶縁膜33と、コンタクトプラグ40と、配線51、配線52及び配線53と、ビアプラグ61及びビアプラグ62とを有している。半導体装置100Bでは、配線53が、シード層53aと配線本体部53bとを有している。半導体装置100Bでは、平面視における層間絶縁膜33の外周縁に沿って、層間絶縁膜33の上面に、溝37が形成されている。これらの点に関して、半導体装置100Bの構成は、半導体装置100Aの構成と共通している。
【0054】
半導体装置100Bでは、シード層53aの構成材料が、ビアプラグ62の構成材料と同一である。この点に関して、半導体装置100Bの構成は、半導体装置100Aの構成と異なっている。
【0055】
以下に、半導体装置100Bの製造方法を説明する。
図25は、半導体装置100Bの製造工程図である。図25に示されているように、半導体装置100Bの製造方法は、準備工程S1と、素子分離工程S2と、第1イオン注入工程S3と、ゲート絶縁膜形成工程S4と、ゲート形成工程S5と、第2イオン注入工程S6と、サイドウォールスペーサ形成工程S7と、第3イオン注入工程S8とを有している。半導体装置100Bの製造方法は、さらに、コンタクトプラグ形成工程S10と、第1配線形成工程S11と、第2層間絶縁膜形成工程S12と、第1ビアプラグ形成工程S13と、第2配線形成工程S14と、第3層間絶縁膜形成工程S15と、第2ビアプラグ形成工程S16と、第3配線形成工程S18と、個片化工程S19とを有している。これらの点に関して、半導体装置100Bの製造方法は、半導体装置100Aの製造方法と共通している。
【0056】
半導体装置100Bの製造方法は、溝形成工程S17を有していない。図26Aは、半導体装置100Bの製造方法における第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第1断面図である。図26Aに示されているように、レジストパターン71は、開口部71aに加えて、開口部71bを有している。そのため、半導体装置100Bの製造方法では、レジストパターン71をマスクとするエッチングにより、ビアホール36及び溝37が同時に形成されることになる。
【0057】
図26Bは、半導体装置100Bの製造方法における第2ビアプラグ形成工程S16を説明する第2断面図である。図26Bに示されるように、半導体装置100Bの製造方法では、第2ビアプラグ形成工程S16においては、ビアプラグ62の構成材料がビアホール36に埋め込まれるが、層間絶縁膜33上並びに溝37の側面上及び底面上に成膜されたビアプラグ62の構成材料が除去されない。溝37の側面上及び底面上に成膜されたビアプラグ62の構成材料は、シード層53aとして機能する。そのため、半導体装置100Bの製造方法では、第3配線形成工程S18が、シード層形成工程S18aを有していない(図25参照)。これらの点に関して、半導体装置100Bの製造方法は、半導体装置100Aの製造方法と異なっている。
【0058】
<半導体装置100Bの効果>
以下に、半導体装置100Bの効果を説明する。
【0059】
半導体装置100Bは、半導体装置100Aと比較して、製造工程が簡略化される。より具体的には、半導体装置100Bの製造に際して、溝形成工程S17及びシード層形成工程S18aを別途に行う必要がなく、第2ビアプラグ形成工程S16におけるビアプラグ62の構成材料の除去を省略することができる。
【0060】
シード層53aによる溝37の底面及び側面の被覆が不十分である場合、電解めっき工程S18bに支障が生じることがある。半導体装置100Bの製造に際して、シード層53aがビアプラグ62と同時形成されるため、CVDを用いてシード層53aを形成することができる。CVDはスパッタリングと比較して段差被覆性が優れているため、半導体装置100Bでは、半導体装置100Aと比較して溝37を深く形成しても、溝37の底面及び側面をシード層53aにより被覆しやすい。溝37が深く形成されると、ウェハの剛性がさらに低下するため、半導体装置100Bでは、反りをさらに抑制可能である。
【0061】
(付記)
以上のように、本開示の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0062】
<付記1>
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に配置されている最上層の配線とを備え、
前記配線は、前記層間絶縁膜上に配置されているシード層と、前記シード層上に配置されている配線本体部とを有し、
前記配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金であり、
前記層間絶縁膜の上面には、前記層間絶縁膜の平面視における外周縁に沿って溝が形成されている、半導体装置。
【0063】
<付記2>
前記配線の厚さは、4μm以上である、付記1に記載の半導体装置。
【0064】
<付記3>
前記配線に電気的に接続されているビアプラグをさらに備え、
前記層間絶縁膜には、前記ビアプラグが埋め込まれるビアホールが形成されており、
前記シード層の構成材料は、前記ビアホールの構成材料と異なる、付記1又は付記2に記載の半導体装置。
【0065】
<付記4>
前記配線に電気的に接続されているビアプラグをさらに備え、
前記層間絶縁膜には、前記ビアプラグが埋め込まれるビアホールが形成されており、
前記シード層の構成材料は、前記ビアホールの構成材料と同一である、付記1又は付記2に記載の半導体装置。
【0066】
<付記5>
前記溝の深さは、1μm以上6μm以下である、付記1~付記4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0067】
<付記6>
層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜にビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールにビアプラグを埋め込む工程と、
前記層間絶縁膜上に最上層の配線を形成する工程と、
前記層間絶縁膜の上面に溝を形成する工程とを備え、
前記配線は、前記層間絶縁膜上にシード層を形成する工程と、前記シード層上に第1開口部を有する第1レジストパターンを形成する工程と、電解めっきを行うことにより前記第1開口部から露出している前記シード層上に配線本体部を形成する工程と、前記配線本体部をマスクとするエッチングにより前記シード層を除去する工程とにより形成され、
前記配線本体部の構成材料は、銅又は銅合金であり、
前記層間絶縁膜は、半導体基板の上方にあり、
前記半導体基板は、平面視において、複数の素子形成領域と前記複数の素子形成領域のうちの隣り合う2つの間にあるスクライブ領域とを有し、
前記溝は、平面視において前記スクライブ領域に重なるように形成される、半導体装置の製造方法。
【0068】
<付記7>
前記層間絶縁膜上に第2開口部を有する第2レジストパターンを形成する工程と、
前記シード層上に第3開口部を有する第3レジストパターンを形成する工程とをさらに備え、
前記ビアホールは、前記第2レジストパターンをマスクとして前記第2開口部から露出している前記層間絶縁膜をエッチングすることにより形成され、
前記溝は、前記第3レジストパターンをマスクとして前記第3開口部から露出している前記層間絶縁膜をエッチングすることにより形成される、付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0069】
<付記8>
前記層間絶縁膜上に第4開口部及び第5開口部を有する第4レジストパターンを形成する工程をさらに備え、
前記ビアホール及び前記溝は、前記第4レジストパターンをマスクとして前記第4開口部から露出している前記層間絶縁膜及び前記第5開口部から露出している前記層間絶縁膜をそれぞれエッチングすることにより形成され、
前記シード層は、前記ビアプラグが前記ビアホールに埋め込まれる際に、前記ビアプラグと同一の構成材料を用いて前記層間絶縁膜上に形成される、付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0070】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0071】
10 半導体基板、10a 第1主面、10b 第2主面、11 ソース領域、11a 第1部分、11b 第2部分、12 ドレイン領域、12a 第1部分、12b 第2部分、13 ウェル領域、14 溝、15 素子形成領域、16 スクライブ領域、21 ゲート絶縁膜、22 ゲート、23 絶縁膜、24 サイドウォールスペーサ、30 層間絶縁膜、31,32,33 層間絶縁膜、33a 第1層、33b 第2層、34 コンタクトホール、35,36 ビアホール、37 溝、40 コンタクトプラグ、50 配線、51,52,53 配線、53a シード層、53b 配線本体部、61,62 ビアプラグ、71 レジストパターン、71a,71b 開口部、72 レジストパターン、72a 開口部、73 レジストパターン、73a 開口部、100,100A,100B 半導体装置、D 深さ、S1 準備工程、S2 素子分離工程、S3 第1イオン注入工程、S4 ゲート絶縁膜形成工程、S5 ゲート形成工程、S6 第2イオン注入工程、S7 サイドウォールスペーサ形成工程、S8 第3イオン注入工程、S9 第1層間絶縁膜形成工程、S10 コンタクトプラグ形成工程、S11 第1配線形成工程、S12 第2層間絶縁膜形成工程、S13 第1ビアプラグ形成工程、S14 第2配線形成工程、S15 第3層間絶縁膜形成工程、S16 第2ビアプラグ形成工程、S17 溝形成工程、S18 第3配線形成工程、S18b 電解めっき工程、S18a シード層形成工程、S18c エッチング工程、S19 個片化工程、T 厚さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B