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  • 特開-非接触血流解析装置 図1
  • 特開-非接触血流解析装置 図2
  • 特開-非接触血流解析装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031413
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】非接触血流解析装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240229BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61B5/02 310V
A61B5/11 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134952
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】島崎 拓則
(72)【発明者】
【氏名】川久保 芳文
(72)【発明者】
【氏名】安在 大祐
(72)【発明者】
【氏名】林 祐平
(72)【発明者】
【氏名】光藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】大内 淳平
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA09
4C017AB04
4C017AC20
4C017AC28
4C017BC11
4C038VA04
4C038VB32
4C038VC05
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】被検査者に非接触で略全身にわたって血流の状態を解析することが可能な非接触血流解析装置を提供する。
【解決手段】この非接触血流解析装置1は、胸部に向けて電波を送信する電波送信器2と、胸部からの電波の反射波又は胸部を透過した電波の透過波を受信する電波受信器3と、反射波又は透過波の電気信号を用いて心拍波形を生成する心拍波形生成部4と、末梢血管を含む末梢部に向けて光を照射する光照射器5と、末梢部の動画又は連続した静止画の画像を取得する画像取得器6と、画像内の末梢血管を含む領域において時間変化を示す輝度値から脈波波形を生成し、脈波波形と心拍波形により脈波伝播時間を測定する血流解析部7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部に向けて電波を送信する電波送信器と、
前記胸部からの前記電波の反射波又は前記胸部を透過した前記電波の透過波を受信する電波受信器と、
前記反射波又は前記透過波の電気信号を用いて心拍波形を生成する心拍波形生成部と、
末梢血管を含む末梢部に向けて光を照射する光照射器と、
前記末梢部の動画又は連続した静止画の画像を取得する画像取得器と、
前記画像内の前記末梢血管を含む領域において時間変化を示す輝度値から脈波波形を生成し、該脈波波形と前記心拍波形により脈波伝播時間を測定する血流解析部と、
を備える非接触血流解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触血流解析装置において、
前記電波受信器は、前記反射波を受信し、
前記心拍波形生成部は、前記送信する電波の電気信号と前記反射波の前記電気信号をミキシングすることによってドプラ効果による周波数の変動成分を取得し、該変動成分を帯域通過させて心拍波形を生成する非接触血流解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波伝播時間を非接触で測定できる非接触血流解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血流の状態を解析するのに、脈波伝播時間(PWTT)(Pulse Wave Transit Time)を測定することが行われている。血管が硬いほど拍動は早く伝わるので、被検査者の2つの部位の間の脈波伝播時間を測定することでその間の血管の硬さが分かる。
【0003】
脈波伝播時間は、例えば特許文献1に記載されているように、胸部の心電図の波形を心電図電極で基準波形として測定し、末梢部の脈波の波形を光電脈波検出センサで測定し、それらの波形間の時間差から求めるものが知られている。このように被検査者の2つの部位を胸部と抹消部とすると、略全身にわたって血流の状態を解析することが可能となる。なお、光電脈波検出センサは、所定波長の光を被検査者の部位に照射し反射した光を計測するもの或いは透過した光を計測するものである。
【0004】
また、脈波伝播時間は、例えば特許文献2に記載されているように、被検査者の露出した2つの部位をビデオカメラで撮像し、得られた2つのビデオ画像を処理することにより求めるものが知られている。このように被検査者の2つの部位が露出した部位であると、非接触で被検査者の血流の状態を解析することが可能となり、感染リスクを少なくすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-312947号公報
【特許文献2】特開2015-054239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、略全身にわたって血流の状態の解析が可能ではあるが、心電図電極及び光電脈波検出センサを被検査者に取り付けなければならないので被検査者に非接触というわけではない。一方、特許文献2では、被検査者に非接触であるが、2つの部位が露出した部位であるので略全身にわたって血流の状態の解析が可能というわけではない。
【0007】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検査者に非接触で略全身にわたって血流の状態を解析することが可能な非接触血流解析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の非接触血流解析装置は、胸部に向けて電波を送信する電波送信器と、前記胸部からの前記電波の反射波又は前記胸部を透過した前記電波の透過波を受信する電波受信器と、前記反射波又は前記透過波の電気信号を用いて心拍波形を生成する心拍波形生成部と、末梢血管を含む末梢部に向けて光を照射する光照射器と、前記末梢部の動画又は連続した静止画の画像を取得する画像取得器と、前記画像内の前記末梢血管を含む領域において時間変化を示す輝度値から脈波波形を生成し、該脈波波形と前記心拍波形により脈波伝播時間を測定する血流解析部と、を備える。
【0009】
請求項2に記載の非接触血流解析装置は、請求項1に記載の非接触血流解析装置において、前記電波受信器は、前記反射波を受信し、前記心拍波形生成部は、前記送信する電波の電気信号と前記反射波の前記電気信号をミキシングすることによってドプラ効果による周波数の変動成分を取得し、該変動成分を帯域通過させて心拍波形を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る非接触血流解析装置によれば、被検査者に非接触で略全身にわたって血流の状態を解析することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る非接触血流解析装置の使用例を示す概略図である。
図2】同上の非接触血流解析装置により測定される脈波伝播時間の例を示す概略波形図である。
図3】同上の非接触血流解析装置においてコンピュータシステムで実現された血流解析部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る非接触血流解析装置1は、図1に示すように、電波送信器2と電波受信器3と心拍波形生成部4と光照射器5と画像取得器6と血流解析部7を備える。なお、図1では、筐体8の中に被検査者Hが入って検査が行われるものを示しており、筐体8に、電波送信器2と電波受信器3と心拍波形生成部4と光照射器5と画像取得器6と血流解析部7が取り付けられている。
【0013】
電波送信器2は、被検査者Hの胸部に向けて電波を送信するものである。電波受信器3は、被検査者Hの胸部からの電波の反射波を受信するものである。心拍波形生成部4は、電波受信器3が受信した反射波の電気信号を用いて図2の曲線aに示すような心拍波形を生成するものである。
【0014】
具体的には、心拍波形生成部4は、電波送信器2が送信する電波の電気信号と電波受信器3が受信した反射波の電気信号をミキシングすることによって、ドプラ効果による周波数の変動成分を取得し、その変動成分を帯域通過させて心拍波形を生成するようにできる。ここで、被検査者Hの胸部は心拍により変位し、そのため、反射波は、送信の電波の周波数から変動する。また、帯域通過させるのは、心拍以外の被検査者Hの体の動きによるノイズや非接触血流解析装置1自体が発生するノイズや外来ノイズなどを除去するためである。また、電波送信器2が送信する電波は、例えば、特開2012-205770などに記載されているような24GHzの周波数とすることができる。
【0015】
また、電波受信器3は、被検査者Hの胸部を透過した前記電波の透過波を受信するものとすることも可能である。この場合、心拍波形生成部4は、電波受信器3が受信した透過波の電気信号を用いて心拍波形を生成する。また、電波送信器2が送信する電波は、例えば、特開2020-10988などに記載されているような900MHzの周波数とすることができる。
【0016】
なお、図1においては、電波受信器3は反射波を受信するものを示しており、電波送信器2と電波受信器3は被検査者Hの前方に設けられているが、両者を後方に設けてもよい。また、電波受信器3が透過波を受信するものとするならば、電波送信器2と電波受信器3は被検査者Hの前方か後方の互いに異なる側に設けることになる。
【0017】
光照射器5は、被検査者Hの末梢部に向けて光を照射するものである。末梢部は、末梢血管を含む部分である。末梢部は、特に限定されるものではないが、例えば、足首、手首、指などが可能であり、また、1か所又は複数個所とすることができる。また、光は、例えば、白色、緑色、赤色、青色などが可能である。
【0018】
画像取得器6は、被検査者Hの末梢部の動画又は連続した静止画の画像を取得するものである。
【0019】
なお、図1においては、光照射器5は被検査者Hの両方の足首及び手首(又は指)に向けて1個で光を照射できるものを示しており、画像取得器6は、被検査者Hの両方の足首及び手首(又は指)の動画又は連続した静止画の画像を1個で取得できるものを示している。光照射器5を複数個にしたり画像取得器6を複数個にしたりすることも可能である。
【0020】
血流解析部7は、画像取得器6が取得した画像内の末梢血管を含む領域において時間変化を示す輝度値から図2の曲線bに示すような脈波波形を生成し、この脈波波形と心拍波形生成部4が生成した心拍波形により脈波伝播時間(PWTT)を測定する。なお、図2においては、曲線aの上側のピーク値から曲線bの下側のピーク値までを脈波伝播時間(PWTT)としているが、曲線a、bにおいてどの部分(タイミング)を選ぶかは適宜決めることができる。
【0021】
血流解析部7は、図3に示すように、コンピュータシステムで実現されるようにすることができる。この場合、プログラムメモリ7aに脈波波形生成のプログラムと脈波伝播時間測定のプログラムを有する。図3中、符号7bはCPU、符号7cはワークメモリ、符号7dは入出力部を含むその他の部分を示している。
【0022】
なお、脈波伝播時間(PWTT)の表示や非接触血流解析装置1全体の制御などは、血流解析部7で行ってもよいし、別のコントローラで行ってもよい。
【0023】
以上説明した非接触血流解析装置1では、被検査者Hの胸部の心拍波形を電波により取得し抹消部の脈波波形を光により取得しているので、被検査者Hに非接触で脈波伝播時間を測定することができる。また、脈波伝播時間の測定は、胸部の心拍波形と抹消部の脈波波形を用いているので、略全身にわたって血流の状態を解析することが可能である。
【0024】
また、非接触血流解析装置1では、被検査者Hは、衣服を着たままでよく、また、足首、手首、指などが露出していればそのままで、露出していなければその一部を露出させればよいので、非常に簡便である。非接触血流解析装置1では、被検査者Hが図1に示すような立った状態で血流の状態を解析することが可能であるが、筐体8等の形状や大きさなどを適宜決めることにより、椅子に座った状態や寝た状態でも可能とすることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態に係る非接触血流解析装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 非接触血流解析装置
2 電波送信器
3 電波受信器
4 心拍波形生成部
5 光照射器
6 画像取得器
7 血流解析部
7a プログラムメモリ
7b CPU
7c ワークメモリ
7d 入出力部を含むその他の部分
8 筐体
H 被検査者
図1
図2
図3