(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031423
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B17/00 B
G08B17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134966
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 真弘
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 知弘
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA06
5G405AD04
5G405AD07
5G405CA19
5G405CA21
5G405CA27
5G405CA53
5G405FA03
(57)【要約】
【課題】火災受信機に対する連動設定内容の確認を容易にする火災受信機を得る。
【解決手段】複数の感知器及び複数の防災装置に接続される火災受信機であって、複数の防災装置それぞれに対応して設けられ、防災装置が連動先であることを示す連動模擬表示部と、監視モード又は連動模擬モードを設定するモード設定部と、制御部と、を備え、モード設定部により監視モードが設定されている場合には、制御部は、感知器が発報すると防災装置に移報信号を出力して防災装置を連動させ、モード設定部により連動模擬モードが設定されている場合には、制御部は、感知器が発報すると、防災装置に移報信号を出力せず、防災装置に対応する連動模擬表示部の表示を実行させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感知器及び複数の防災装置に接続される火災受信機であって、
前記複数の防災装置それぞれに対応して設けられ、前記防災装置が連動先であることを示す連動模擬表示部と、
監視モード又は連動模擬モードを設定するモード設定部と、
制御部と、を備え、
前記モード設定部により前記監視モードが設定されている場合には、前記制御部は、前記感知器が発報すると前記防災装置に移報信号を出力して前記防災装置を連動させ、
前記モード設定部により前記連動模擬モードが設定されている場合には、前記制御部は、前記感知器が発報すると、前記防災装置に前記移報信号を出力せず、前記防災装置に対応する前記連動模擬表示部の表示を実行させる
火災受信機。
【請求項2】
前記複数の防災装置それぞれに対応し、前記防災装置が遮断先であることを示す連動遮断表示部と、
連動の遮断を設定する遮断設定部とを備え、
前記遮断設定部により連動の遮断が設定され、かつ前記モード設定部により遮断確認モードが設定されている場合には、前記制御部は、前記感知器が発報すると、前記防災装置に前記移報信号を出力せず、前記連動遮断表示部に連動の遮断を示す表示を実行させる
請求項1記載の火災受信機。
【請求項3】
前記防災装置に前記移報信号を出力する信号線の端子が連結される回路基板を備え、
前記連動模擬表示部は、前記回路基板における前記端子の連結箇所に隣接する位置に実装された発光素子を含む
請求項1又は請求項2に記載の火災受信機。
【請求項4】
前記防災装置に前記移報信号を出力する信号線の端子が連結される回路基板を備え、
前記連動遮断表示部は、前記回路基板における前記端子の連結箇所に隣接する位置に実装された発光素子を含む
請求項2記載の火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の感知器及び複数の防災装置に接続される火災受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の感知器及び複数の防災装置が火災受信機に信号線を介して接続され、感知器の発報に伴って防災装置が連動制御される技術がある。連動制御される防災装置としては、例えば、音響装置、防火戸、又は排煙装置等が挙げられる。火災受信機は、連動要因となる複数の感知器又は感知器に接続された信号線それぞれに対し、連動制御される防災装置を連動先として設定可能である。
【0003】
特許文献1には、連動要因となる感知器の信号線が接続される端子と、連動制御される防災装置の信号線が接続される端子とに、連動設定用治具の導通材を順次接触させることで、連動設定を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された火災受信機は、連動設定治具の導通材が連動先の信号線の端子に接触されると、連動先のそれぞれに対応して設けられた表示灯が点滅することで、設定者に対して連動要因と連動先とが視認されるように構成されている。
【0006】
ここで、連動設定を行う火災受信機の施工業者等の設定者と、火災受信機の施工後に定期的に点検を行う点検者とは、異なるのが一般的である。点検者は、設定者が設定した内容を確認した上で点検を行う必要があるが、異なる業者間で連動設定の設定内容を共有することは容易ではなかった。設定者が連動設定の情報を記載した資料を残しておいたとしても、点検者は火災受信機ごとにその資料を確認する必要があり、連動設定の設定内容の確認に係る負荷が大きかった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、火災受信機に対する連動設定内容の確認を容易にする火災受信機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る火災受信機は、複数の感知器及び複数の防災装置に接続される火災受信機であって、前記複数の防災装置それぞれに対応して設けられ、前記防災装置が連動先であることを示す連動模擬表示部と、監視モード又は連動模擬モードを設定するモード設定部と、制御部と、を備え、前記モード設定部により前記監視モードが設定されている場合には、前記制御部は、前記感知器が発報すると前記防災装置に移報信号を出力して前記防災装置を連動させ、前記モード設定部により前記連動模擬モードが設定されている場合には、前記制御部は、前記感知器が発報すると、前記防災装置に前記移報信号を出力せず、前記防災装置に対応する前記連動模擬表示部の表示を実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の火災受信機は、複数の防災装置それぞれに対応して設けられ、防災装置が連動先であることを示す連動模擬表示部を有する。そして、連動模擬モードが設定されている場合には、感知器が発報すると、防災装置に移報信号を出力せず、連動先の防災装置に対応する連動模擬表示部の表示を実行させる。このため、点検者等による連動設定の内容の確認を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る火災受信機を含む火災報知システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る連動模擬表示部及び連動遮断表示部を説明する図である。
【
図3】実施の形態1に係る連動模擬モードでの連動模擬表示部及び連動遮断表示部の表示動作を説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係る遮断確認モードでの連動模擬表示部及び連動遮断表示部の表示動作を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に係る遮断確認モードでの連動模擬表示部及び連動遮断表示部の表示動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る火災受信機の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態及び図示された態様に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含む。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又は相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。
【0012】
実施の形態1.
(火災報知システムの構成)
図1は、実施の形態1に係る火災受信機1を含む火災報知システム100の構成を説明する図である。火災報知システム100は、火災受信機1と、感知器回線2を介して火災受信機1に接続された感知器3及び発信機4と、移報回線5を介して火災受信機1に接続された防排煙機器6及び音響装置7とを備える。なお、図示された感知器回線2及び移報回線5の数は一例であり、数は図示のものに限定されない。
【0013】
感知器3は、例えば、熱感知器、煙感知器、又は炎感知器である。感知器3は、火災により発生する物理現象の変化を検出すると、感知器回線2に接続されている接点の開閉状態を変化させ、これによって感知器回線2の電圧を変化させる。火災受信機1は、感知器回線2の電圧を監視しており、感知器3が接点の開閉状態を変化させたことによって生じる電圧の変化を、火災の発報信号として取得(受信)する。なお、本実施の形態では、火災受信機1が、各感知器3に共通の信号である電圧変化を発報信号とするP型の火災受信機である例を説明するが、火災受信機1はR型の火災受信機であってもよい。
【0014】
発信機4は、火災を発見した人が押しボタンを押すことにより、火災受信機1に火災信号を発信する装置である。押しボタンが押されると、火災受信機1に接続された感知器回線2の電圧が変化する。火災受信機1は、感知器回線2の電圧を監視しており、押しボタンが押されたことによって生じる電圧の変化を、火災信号として取得(受信)する。
【0015】
防排煙機器6は、煙の流通を防ぐ装置又は建物から排煙する装置である。具体的には防排煙機器6は、防火戸、防火ダンパ、又は排煙装置等のいずれか一つ以上である。防火戸は、例えば火災報知システム100が設置された建築物の壁面等に設けられるものであり、通常は人の通行が可能であるが、火災時に閉まることによって、他の防護区画に火災が広がることを防止する。防火戸は防火扉とも呼称され、シャッター形式の場合は防火シャッターとも呼称される。防火ダンパは、例えば火災報知システム100が設置された建築物の空気調和又は換気を目的とするダクトの内側に設置された羽根状又は板状の扉であり、ダクトを閉じることで火災時の延焼防止及び熱い空気の噴出を防ぐ。防火ダンパは、ダクトが建築物の防火区画を貫通する場合に取り付けられる。排煙装置は、建築物の室内と室外を連通させるダクトに設けられたファンを有し、ファンが回転することで室内の煙を室外に排出する装置である。
【0016】
音響装置7は、火災が発生した際に火災が発生した旨を音又は音声によって報知するものである。音響装置7は、例えば非常ベル又はスピーカーである。
【0017】
防排煙機器6及び音響装置7は、感知器3の発報に応じて連動する防災装置である連動装置の一例である。感知器3の発報に応じて連動する連動装置としてスプリンクラー等の消火設備も挙げられるが、これらに限定されない。連動装置というときには、感知器3の発報に応じて連動するあらゆる機器及び装置を含む。
【0018】
(火災受信機の構成)
火災受信機1は、制御部10と、受信回路11と、移報回路12と、操作部13と、表示部14と、モード設定部15と、連動模擬表示部16と、連動遮断表示部17と、記憶部18とを備える。
【0019】
制御部10は、連動要因となる感知器3の発報信号が受信回路11を介して入力されると、記憶部18に記憶された連動テーブル181の連動設定に基づいて、防排煙機器6又は音響装置7等の連動装置を、移報回路12を介して動作させる。音響装置7によって火災の発生が報知されると、火災受信機1の管理者等が目視で火災発生の有無を確認する。火災が発生していることを確認した管理者等は、発信機4の押しボタンを押し、発信機4からの火災信号を受けて火災受信機1は火災の発生と断定する。また、1つの感知器回線2に対して複数台の感知器3から発報信号が送信された場合に、火災の発生が断定されてもよい。
【0020】
また、制御部10は、火災受信機1がR型の火災受信機の場合は、感知器3に対し、アナログ値の送信を要求する要求信号を定期的に送信する。感知器3は、要求信号に応じてアナログ値を送信する。感知器3にアナログ値を要求する周期は、煙、熱又は炎等の感知器3の検出対象の種類によって異なっていてもよいし、感知器3の設置場所によって異なっていてもよい。
【0021】
また、制御部10は、操作部13の遮断設定部131によって、連動装置に対する連動の遮断設定がなされている場合には、遮断設定に従って連動テーブル181の連動設定に基づく連動装置の動作を行わない。遮断設定は、すべての連動を遮断する一括遮断と、一部の連動のみを遮断する一部遮断と、を含んでいてもよい。一括遮断が設定されている場合には、制御部10は、すべての連動装置を動作させない。一部遮断が設定されている場合には、制御部10は、遮断設定の対象とである連動装置のみを動作させず、他の連動装置を動作させる。
【0022】
制御部10は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部10がCPUである場合、制御部10が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0023】
受信回路11は、感知器3及び発信機4が接続された感知器回線2が接続される回路である。受信回路11は、感知器回線2からの発報信号及び発信機4からの火災信号を受信し、受信した信号を制御部10に送る。
【0024】
移報回路12は、防排煙機器6及び音響装置7が接続された移報回線5が接続される回路である。移報回路12は、制御部10から出力された、発報信号又は火災信号が発生した感知器回線2に関する情報を、連動設定に基づいて、防排煙機器6及び音響装置7に送る。
【0025】
操作部13は、火災受信機1の筐体に設けられたハードウェアボタンを含む。操作部13は、表示部14のディスプレイに重ねて設けられたタッチパネルを含んでいてもよい。操作部13は、ユーザからの操作を受け付け、操作に対応した信号を制御部10に送る。
【0026】
遮断設定部131は、操作部13の一部であり、連動の遮断に関する設定を行う。遮断設定部131は、一括遮断を入力する入力部と、一部遮断を入力する入力部のいずれか又は両方を含む。一部遮断の入力部は、複数の連動装置それぞれに対応して設けられていてもよい。また、一部遮断の入力部は、複数の連動装置の一部をグループ化したものに対応して設けられていてもよく、この場合は連動装置のグループ単位で連動の遮断設定が行われる。
【0027】
表示部14は、発報信号が発生した感知器回線2又は感知器3を表示するとともに、発信信号を受信したことを表示する。表示部14は、火災受信機1の筐体に設けられたLED(Light Emitting Diode)等の発光素子と、発光素子に対応づけられた銘板を含む。なお、表示部14は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含んでいてもよい。
【0028】
モード設定部15は、制御部10に対し、火災受信機1の動作モードを設定する。動作モードとしては、監視モードと連動模擬モードとを含む。さらに動作モードとして、遮断確認モードとを含んでいてもよい。監視モードは、日常的に火災を監視し、感知器3が発報すると、連動設定に基づいて連動装置を動作させる動作モードである。連動模擬モードは、感知器3が発報すると、連動装置を動作させることなく、連動模擬表示部16が連動を模擬する表示を行う動作モードである。遮断確認モードは、感知器3が発報すると、連動装置を動作させることなく、連動遮断表示部17が連動遮断を示す表示を行う動作モードである。
【0029】
連動模擬表示部16は、連動模擬モードが設定されている場合に、連動を模擬する表示を行う。連動模擬表示部16は、連動装置である複数の防災装置それぞれに対応して設けられる。連動模擬表示部16は、制御部10からの指示に基づいて表示を変化させることにより、対応する防災装置が、連動要因に対する連動先として設定されていることを示す。
【0030】
連動遮断表示部17は、遮断確認モードが設定されている場合に、連動設定されている連動装置のうち、遮断設定されている連動装置を表示する。連動遮断表示部17は、連動装置である複数の防災装置それぞれに対応して設けられる。連動遮断表示部17は、制御部10からの指示に基づいて表示を変化させることにより、対応する防災装置が、遮断先として設定されていることを示す。
【0031】
記憶部18は、制御部10による各部の制御に用いられるデータを記憶する。記憶部18には、感知器回線2の各々と、その感知器回線2の敷設場所を示す情報とを対応づけたテーブルが保存されている。記憶部18は、内部記憶メモリ、メモリカード等の外部記憶媒体、又はそれらの組み合わせである。例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。
【0032】
記憶部18に記憶された連動テーブル181は、連動要因と、連動先の防災装置である連動装置とを対応づけたテーブルである。連動要因は、感知器3が接続された感知器回線2であり、連動装置は、移報回線5に接続された防排煙機器6又は音響装置7等の防災装置である。一又は複数の感知器回線2に対して、一又は複数の連動装置が設定される。連動テーブル181は、パソコンと専用ソフトウェアを用いて作成され、記憶部18に転送されて保存される。
【0033】
図2は、実施の形態1に係る連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17を説明する図である。本実施の形態では、連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17は、回路基板20に設けられており、
図2は回路基板20を正面視した状態を概略的に示している。
【0034】
回路基板20には、感知器回線用端子台21と、移報回線用端子台22とが実装されている。回路基板20には、
図1に示した制御部10及び記憶部18も実装されうる。回路基板20は、火災受信機1の筐体に内蔵されている。火災受信機1の筐体には、回路基板20にアクセスするための扉が設けられており、操作者は、扉を開けることで回路基板20及びこれに実装された部品を視認及び操作することができる。連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17は、感知器回線用端子台21、移報回線用端子台22の付近に設けられ、点検を行う操作者は、火災受信機1の扉を開け、回路基板20を視認しながら操作するため、連動模擬表示部16、連動遮断表示部17が端子台付近に設けられることで、扉の開閉の手間なく、点検作業しながら容易に連動設定や遮断設定の確認ができる。
【0035】
感知器回線用端子台21は、感知器回線2を構成する信号線の端子が連結される端子台である。本実施の形態では、感知器回線2は、1本のコモン線に対して5本のライン線が設けられた構成であり、
図2ではコモン線をCn(nは正の整数)、ライン線をLm(mは正の整数)で示している。
【0036】
移報回線用端子台22は、移報回線5を構成する信号線の端子が連結される端子台である。隣りあう端子221aと端子221bとが対になっており、それぞれに2本一組の信号線のうちの1本が接続される。端子221aと端子221bとの接続の有無を切り替える図示しないスイッチが設けられており、このスイッチが端子221aと端子221bとを接続することで、端子221a及び端子221bに接続された移報回線5の連動装置が動作する。連動模擬モードで動作しているとき、及び連動の遮断設定がなされているときには、このスイッチがオフ状態に制御され、端子221aと端子221bとが切り離されることで、連動装置を動作させないようにする。
図2に示した端子222a~224a及び端子222b~224bも、端子221a及び端子221bと同様の構成である。
【0037】
連動模擬表示部16は、本実施の形態では、火災受信機1に接続可能な連動装置の数、すなわち移報回線5の数と同数の発光素子161~164を備える。発光素子161~164は、本実施の形態では、一の移報回線5が接続される一組の端子221a及び221b、端子222a及び222b、端子223a及び223b、並びに端子224a及び224bそれぞれの近傍に設けられている。すなわち、移報回線5を構成する信号線の端子の連結箇所の近傍に、発光素子161~164が設けられている。ここで、近傍とは、回路基板20のうち複数の移報回線5と複数の発光素子161~164とを、一対一に対応づけて認識されうる範囲をいう。
【0038】
連動遮断表示部17は、本実施の形態では、火災受信機1に接続可能な連動装置の数、すなわち移報回線5の数と同数の発光素子171~174を備える。発光素子161~164は、本実施の形態では、一の移報回線5が接続される一組の端子221a及び221b、端子222a及び222b、端子223a及び223b、並びに端子224a及び224bそれぞれの近傍に設けられている。すなわち、移報回線5を構成する信号線の端子の連結箇所の近傍に、発光素子171~174が設けられている。ここで、近傍とは、回路基板20のうち複数の移報回線5と複数の発光素子171~174とを、一対一に対応づけて認識されうる範囲をいう。
【0039】
なお、
図2では、連動模擬表示部16と連動遮断表示部17とが、移報回線用端子台22を挟んで紙面左右に分かれて配置された例を示しているが、連動模擬表示部16と連動遮断表示部17との配置関係は図示の例に限定されない。連動模擬表示部16と連動遮断表示部17とが互いに隣接して配置されていてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、連動模擬表示部16と連動遮断表示部17とがそれぞれ異なる発光素子で構成された例を示すが、一つの発光素子によって一の移報回線5に対応した連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17の機能を実現してもよい。例えば、端子221a及び221bに対応した発光素子161と発光素子171とを、発光色を変更可能な一つの発光素子で構成し、連動を模擬する表示を行うときと、遮断設定されている連動装置を表示するときとで、発光色を異ならせる。一つの発光素子の発光色を異ならせることに代えて、連続点灯と点滅のように発光パターンを異ならせてもよい。
【0041】
(連動模擬モード)
図3は、実施の形態1に係る連動模擬モードでの連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17の表示動作を説明する図である。
図3上部の表には、記憶部18に記憶される連動テーブル181に基づき、端子221a及び221b、端子222a及び222b、端子223a及び223b、並びに端子224a及び224bのそれぞれに対応した連動装置に対する、連動設定の有無を示している。
図3上部の表の各列の下には、対応する連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17の発光素子の発光状態が、(A)、(B)の順に変化する様子を示している。発光素子161~164及び発光素子171~174は、消灯状態が白抜きで示され、発光状態が網掛けで示されている。
【0042】
図3(A)は、発光素子161~164及び発光素子171~174の初期状態を示しており、すべて消灯している。連動要因となる感知器3の発報信号が入力されると、
図3(B)に示すように、連動設定されている端子221a及び221b、端子222a及び222b並びに端子224a及び224bに対応した発光素子161、162及び164が、点灯状態に変化する。このとき、連動模擬モードが設定されているため、連動要因の信号が入力されても、連動装置である音響装置7及び防排煙機器6は動作しない。また、連動模擬モードでは、連動遮断表示部17は、表示を変更しない。
【0043】
(遮断確認モード)
図4は、実施の形態1に係る遮断確認モードでの連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17の表示動作を説明する図である。
図4の図示の態様は、
図3で説明したものと同じである。
【0044】
遮断設定部131には、一括遮断が設定されている。したがって、連動設定されている端子221及び221b、端子222a及び222b並びに端子224a及び224bのすべてに対して、遮断設定がなされている。
【0045】
図4(A)は、発光素子161~164及び発光素子171~174の初期状態を示しており、すべて消灯している。連動要因となる感知器3の発報信号が入力されると、
図4(B)に示すように、連動設定されかつ遮断設定されている端子221a及び221b、端子222a及び222b並びに端子224a及び224bに対応した発光素子171、172及び174が、点灯状態に変化する。このとき、遮断確認モードが設定されているため、連動要因の信号が入力されても、連動装置である音響装置7及び防排煙機器6は動作しない。また、遮断確認モードでは、連動模擬表示部16は、表示を変更しない。
【0046】
図5は、実施の形態1に係る遮断確認モードでの連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17の表示動作を説明する図である。
図5の図示の態様は、
図3で説明したものと同じである。
【0047】
遮断設定部131には、端子221a及び221b並びに端子222a及び222bに接続される連動装置の連動を遮断する一部遮断が設定されている。
【0048】
図5(A)は、発光素子161~164及び発光素子171~174の初期状態を示しており、すべて消灯している。連動要因となる感知器3の発報信号が入力されると、
図5(B)に示すように、連動設定されかつ遮断設定されている端子221a及び221b並びに端子222a及び222bに対応した発光素子171及び172が、点灯状態に変化する。このとき、遮断確認モードが設定されているため、連動要因の信号が入力されても、連動装置である音響装置7及び防排煙機器6は動作しない。
【0049】
また、遮断設定されていない端子224a及び224bに対応した発光素子174は消灯状態を継続し、連動模擬表示部16の発光素子164が点灯する。これにより、操作者は、端子224a及び224bについては連動の遮断が設定されていないことを認識できる。なお、遮断確認モードが設定されているため、連動要因の信号が入力されても、端子224a及び224bに接続された連動装置は動作しない。
【0050】
以上のように本実施の形態の火災受信機1は、複数の防災装置それぞれに対応して設けられ、防災装置が連動先であることを示す連動模擬表示部16と、監視モード又は連動模擬モードを設定するモード設定部15と、制御部10とを備える。そして、モード設定部15により監視モードが設定されている場合には、制御部10は、感知器3が発報すると防災装置に移報信号を出力して防災装置を連動させる。また、モード設定部15により連動模擬モードが設定されている場合には、制御部10は、感知器3が発報すると、防災装置に移報信号を出力せず、防災装置に対応する連動模擬表示部16の表示を実行させる。
【0051】
このため、点検者等は、防災装置を連動させることなく、また火災受信機1ごとに設定時の資料を確認しなくとも、連動模擬表示部16を見ることで、連動設定の内容の確認を容易に行うことができる。例えば、火災受信機1を設置するときの連動設定の設定者は、パソコンと専用ソフトウェアを用いて連動設定を行う。他方、火災受信機1の点検者は、設定者とは異なる場合が多く、また、作業性の観点からパソコンと専用ソフトウェアの利用が好まれないこともある。このため、感知器回線用端子台21及び移報回線用端子台22の近傍に設けられテスト用の信号線との導通穴にテスターを挿入することで、連動設定を確認することがあるが、端子台の数だけテスターを挿入して確認する必要があり、点検に時間がかかる。しかし、本実施の形態によれば、上述のように火災受信機1の連動設定の確認を容易にすることができる。
【0052】
また、本実施の形態の火災受信機1は、複数の防災装置それぞれに対応し、防災装置が遮断先であることを示す連動遮断表示部17と、連動の遮断を設定する遮断設定部131とを備える。そして、遮断設定部131により連動の遮断が設定され、かつモード設定部15により遮断確認モードが設定されている場合には、制御部10は、感知器3が発報すると、防災装置に移報信号を出力せず、連動遮断表示部17に連動の遮断を示す表示を実行させる。
【0053】
このため、点検者は、火災受信機1ごとに設定時の資料を確認しなくとも、連動遮断表示部17を見ることで、連動設定の内容の確認を容易に行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態の火災受信機1は、防災装置に移報信号を出力する信号線である移報回線5の端子が連結される回路基板20を備える。そして、連動模擬表示部16は、回路基板20における端子の連結箇所に隣接する位置に実装された発光素子161~164を含む。また、連動遮断表示部17は、基板における端子の連結箇所に隣接する位置に実装された発光素子171~174を含む。連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17は、移報回線5の信号線の連結箇所の近傍で所定の表示を行うので、点検者は、複数の移報回線5それぞれに対する連動設定及び遮断設定を確認しやすい。
【0055】
(変形例1)
回路基板20に連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17を設けることに代えて、あるいはこれに加えて、連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17を火災受信機1の筐体の露出した位置、例えば筐体の前面、側面又は背面等に設けてもよい。具体的には例えば、発光素子161~164及び発光素子171~174に相当する発光素子を、火災受信機1の筐体の表面に設置する。このようにしても、点検者は、連動設定の内容の確認を容易に行うことができる。
【0056】
(変形例2)
実施の形態1では、連動設定の設定者は、パソコンと専用ソフトウェアを用いて火災受信機1に対して連動設定を行うことを説明した。このような設定機能に加え、連動設定の内容を、火災受信機1の操作により、設定あるいは変更できるようにしてもよい。例えば、記憶部18は、監視モードで使用される連動テーブル181とは別に、監視モードでは使用しない追加の連動テーブルを記憶する。そして、火災受信機1に設けられた入力装置への操作を受け付けると制御部10は、連動テーブル181に代えて追加の連動テーブルを使用して連動制御を行う。より具体的には、例えば、火災受信機1は入力装置として避難訓練ボタンを有し、避難訓練ボタンが操作されると、記憶部18に記憶された追加の連動テーブルによって連動制御が行われる。追加の連動テーブルでは、避難訓練時には連動させたくない防災装置を連動先から外しておくとよい。このような構成により、避難訓練又は点検等の通常の監視モードとは異なる場面で連動設定を一時的に変更したい場合に、火災受信機1の操作者が容易に連動設定を変更できる。
【0057】
(変形例3)
実施の形態1では、火災受信機1がP型である例を示したが、火災受信機1はR型であってもよい。火災受信機1がR型である場合、火災受信機1には、中継器を介して、感知器回線2及び移報回線5が接続されうる。このような中継器を有する火災報知システム100の場合、連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17を火災受信機1の回路基板20に設けることに代えて、中継器に設けられた回路基板に連動模擬表示部16及び連動遮断表示部17を設けることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 火災受信機、2 感知器回線、3 感知器、4 発信機、5 移報回線、6 防排煙機器、7 音響装置、10 制御部、11 受信回路、12 移報回路、13 操作部、14 表示部、15 モード設定部、16 連動模擬表示部、17 連動遮断表示部、18 記憶部、20 回路基板、21 感知器回線用端子台、22 移報回線用端子台、100 火災報知システム、131 遮断設定部、161 発光素子、162 発光素子、163 発光素子、164 発光素子、171 発光素子、172 発光素子、173 発光素子、174 発光素子、181 連動テーブル、221a 端子、221b 端子、222a 端子、222b 端子、223a 端子、223b 端子、224a 端子、224b 端子。