(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031426
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240229BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134969
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】西 淑嘉
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070CB13
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】第1電極とインダクタ配線との間で発生する浮遊容量の過度な増加を抑えつつ、第1電極が底面上に露出する面積を確保する。
【解決手段】インダクタ配線30は、素体11の底面11Eに最も近い箇所を含み、且つ底面11Eに平行に延びる下辺部分P2を有している。素体11のうち、第1仮想平面VF1から第2仮想平面VF2までの範囲を配線範囲AWとする。第1電極40の第1突起部分40Cは、第1電極40の第1底面電極部分40Aにおける第2端面11D側の端から第2端面11D側に向けて突出している。第1主面11Aに垂直な方向での第1突起部分40Cの最大寸法は、第1主面11Aに垂直な方向での第1底面電極部分40Aの最大寸法よりも小さくなっている。底面11Eにおける第1突起部分40Cの少なくとも一部は、配線範囲AW内に位置している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6つの外面を有する直方体状の素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、
前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、前記第1端面に平行な面を第2端面とし、前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面としたとき、
前記インダクタ配線は、前記底面に最も近い箇所を含み、且つ前記底面に沿って延びる下辺部分を有しており、
前記下辺部分の前記第1端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第1仮想平面とし、
前記下辺部分の前記第2端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第2仮想平面とし、
前記素体のうち、前記第1仮想平面から前記第2仮想平面までの範囲を配線範囲としたとき、
前記第1電極は、前記底面において前記素体の外部に露出する底面電極部分、及び前記底面において前記素体の外部に露出する突起部分を有しており、
前記底面電極部分は、前記第1端面から前記配線範囲における前記第1端面側の端までの範囲内のみに位置しており、
前記突起部分は、前記底面電極部分における前記第2端面側の端から前記第2端面側に向けて突出しており、
前記主面に垂直な方向での前記突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記底面電極部分の最大寸法よりも小さくなっており、
前記底面における前記突起部分の少なくとも一部は、前記配線範囲内に位置している
インダクタ部品。
【請求項2】
前記底面での前記底面電極部分における第1端面側の端は、前記底面の第1端面側の端と一致しており、
前記第1端面に垂直な方向での前記第1端面から前記突起部分の前記第2端面側の端までの最大寸法は、前記第1端面に垂直な方向での前記底面の最大寸法の4分の1倍以上2分の1倍未満である
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記インダクタ配線は、前記第1端から前記主面に平行に延びる第1端配線部と、前記第2端から前記主面に平行に延びる第2端配線部と、を有しており、
前記第2端配線部は、前記主面に垂直な方向において前記第1端配線部と同じ層に存在しておらず、
前記突起部分は、前記主面に垂直な方向において前記第2端配線部と同一層には存在していない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記底面電極部分は、前記底面において四角形状であり、
前記底面において、前記第1端面に垂直な方向での前記底面電極部分の前記第2端面側の端と前記第2電極の前記第1端面側の端との間隔を第1ギャップとしたとき、前記第1ギャップは、前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも大きくなっており、
前記底面において、前記第1端面に垂直な方向での前記突起部分の前記第2端面側の端と前記第2電極の前記第1端面側の端との間隔を第2ギャップとしたとき、前記第2ギャップは、前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも小さくなっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる配線を有し、互いに前記主面に垂直な方向に並んだ複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法は、前記周回経路の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも小さくなっている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる配線を有し、互いに前記主面に垂直な方向に並んだ複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記突起部分は、前記主面に垂直な方向において前記配線部が存在する層のみに存在している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記突起部分は、前記主面に垂直な方向において前記ビアが存在する層のみに存在している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記底面に垂直な方向を向いて視たときに、前記底面上に前記第1電極が露出している形状は、前記底面上に前記第2電極が露出している形状に対して、前記底面の幾何中心を中心とする2回対称形状ではない
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記底面電極部分を第1底面電極部分、前記突起部分を第1突起部分としたとき、
前記第2電極は、前記底面において前記素体の外部に露出する第2底面電極部分、及び前記底面において前記素体の外部に露出する第2突起部分を有しており、
前記第2底面電極部分は、前記第2端面から前記配線範囲における前記第2端面側の端までの範囲内のみに位置しており、
前記第2突起部分は、前記第2底面電極部分における前記第1端面側の端から前記第1端面側に向けて突出しており、
前記主面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記第2底面電極部分の最大寸法よりも小さくなっており、
前記底面における前記第2突起部分の少なくとも一部は、前記配線範囲内に位置する
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記主面に垂直な方向での前記第1突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法と異なっている
請求項9に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記第1端面に垂直な方向での前記第1突起部分の最大寸法は、前記第1端面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法と異なっている
請求項9に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記第1突起部分の数は、前記第2突起部分の数と異なっている
請求項9に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記第1突起部分は、前記主面に垂直な方向において前記第2突起部分が存在する層には存在していない
請求項9記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記第1電極を覆う第1被覆電極を、さらに備える
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる配線を有し、互いに前記主面に垂直な方向に並んだ複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
複数の前記配線部は、前記第1端面に沿って延びる側辺部分と、前記下辺部分及び前記側辺部分を斜め方向に接続する斜辺部分と、を有している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる配線を有し、互いに前記主面に垂直な方向に並んだ複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記素体の6つの外面のうち、前記底面と平行な面を天面としたとき、
複数の前記配線部は、前記天面に沿って延びる上辺部分を備えており、
前記上辺部分は、前記下辺部分よりも前記天面側に位置している
請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項17】
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる配線を有し、互いに前記主面に垂直な方向に並んだ複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記素体の6つの外面のうち、前記底面と平行な面を天面とし、
複数の前記配線部は、前記第1端面に沿って延びる第1側辺部分と、前記下辺部分及び前記第1側辺部分を斜め方向に接続する第1斜辺部分と、前記天面に沿って延びる上辺部分と、前記第2端面に沿って延びる第2側辺部分と、前記下辺部分及び前記第2側辺部分を斜め方向に接続する第2斜辺部分と、を有しており、
前記上辺部分は、前記下辺部分よりも前記天面側に位置しており、
前記第2側辺部分は、前記第1側辺部分よりも前記第2端面側に位置しており、
前記第2斜辺部分は、前記第1斜辺部分よりも前記第2端面側に位置しており、
前記周回経路は、前記下辺部分、前記第1斜辺部分、前記第1側辺部分、前記上辺部分、前記第2側辺部分、及び前記第2斜辺部分によって構成されている
請求項1に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインダクタ部品は、6つの外面を有する直方体状の素体を備えている。素体の6つの外面は、最も面積の大きい面である第1主面と、第1主面に平行な第2主面と、第1主面に垂直な第1端面と、第1端面に平行な第2端面と、第1主面及び第1端面に垂直な底面と、底面に平行な天面と、である。また、インダクタ部品は、螺旋状に巻き回されたインダクタ配線を備えている。インダクタ配線は、素体の内部に位置している。素体は、第1電極と、第2電極と、を有している。インダクタ配線の第1端は、第1電極に接続している。また、インダクタ配線の第2端は、第2電極に接続している。第1電極は、第1端面から底面にかけての領域で素体の外部に露出している。第2電極は、第2端面から底面にかけての領域で素体の外部に露出している。
【0003】
また、特許文献1に記載のインダクタ部品を、第1主面に垂直な方向を向いて視たときに、インダクタ配線は、周回する周回経路を有している。また、インダクタ配線は、最も底面に近い箇所を含み、且つ底面と平行に延びる下辺部分を有している。そして、第1電極及び第2電極は、第1端面に垂直な方向において、下辺部分が存在しない範囲内に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなインダクタ部品において、インダクタ配線の下辺部分と各電極との間で発生する浮遊容量を低減するという観点では、第1端面に垂直な方向において、各電極と下辺部分とが離れていることが好ましい。その一方で、特許文献1に記載のようなインダクタ部品は、第1電極及び第2電極がめっきである被覆電極や実装はんだなどを介して基板等のランド電極に固着される。このとき、各電極のうちの素体の底面で露出している面積が大きいほど、基板等に対して強固に固着できる。そのため、下辺部分との距離を大きくするために各電極の面積を小さくすると、基板等に対するインダクタ部品の固着力が不足する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、6つの外面を有する直方体状の素体と、前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、を備え、前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、前記第1端面に平行な面を第2端面とし、前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面としたとき、前記インダクタ配線は、前記底面に最も近い箇所を含み、且つ前記底面に沿って延びる下辺部分を有しており、前記下辺部分の前記第1端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第1仮想平面とし、前記下辺部分の前記第2端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第2仮想平面とし、前記素体のうち、前記第1仮想平面から前記第2仮想平面までの範囲を配線範囲としたとき、前記第1電極は、前記底面において前記素体の外部に露出する底面電極部分、及び前記底面において前記素体の外部に露出する突起部分を有しており、前記底面電極部分は、前記第1端面から前記配線範囲における前記第1端面側の端までの範囲内のみに位置しており、前記突起部分は、前記底面電極部分における前記第2端面側の端から前記第2端面側に向けて突出しており、前記主面に垂直な方向での前記突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記底面電極部分の最大寸法よりも小さくなっており、前記底面における前記突起部分の少なくとも一部は、前記配線範囲内に位置しているインダクタ部品である。
【0007】
上記構成によれば、突起部分が存在する分だけ、第1電極が底面上で露出する面積を確保できる。また、突起部分は配線範囲内に位置しているものの、主面に垂直な方向での突起部分の最大寸法は、同方向での底面電極部分の最大寸法よりも小さい。したがって、底面電極部分自体が配線範囲内に位置している場合よりも、第1電極とインダクタ配線との間で発生する浮遊容量を低減できる。
【発明の効果】
【0008】
第1電極とインダクタ配線との間で発生する浮遊容量の過度な増加を抑えつつ、第1電極が底面上に露出する面積を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のインダクタ部品の斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態のインダクタ部品の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態のインダクタ部品における第1層の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<一実施形態>
以下、インダクタ部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0011】
(全体構成について)
図1に示すように、インダクタ部品10は、直方体状の素体11を備えている。また、
図3に示すように、インダクタ部品10は、素体11の内部で延びているインダクタ配線30を備えている。素体11は、インダクタ配線30の第1端に接続している第1電極40と、インダクタ配線30の第2端に接続している第2電極50と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、素体11は、全体として、複数の板状の層が積層されたような構造になっている。また、各層は、平面視で長方形状になっている。そして、素体11は直方体状であることから6つの外面を有している。
図1に示すように、これら6つの外面のうち、各層の主面と平行な特定の1つの面を第1主面11Aとする。また、第1主面11Aと平行な面を第2主面11Bとする。そして、第1主面11Aに垂直な特定の1つの面を第1端面11Cとする。また、第1端面11Cに平行な面を第2端面11Dとする。さらに、第1主面11A及び第1端面11Cのいずれにも垂直な特定の1つの面を底面11Eとする。また、底面11Eと平行な面を天面11Fとする。
【0013】
なお、以下の説明では、複数の層が積層する方向に沿う軸、すなわち第1主面11Aに垂直な軸を第1軸Xとする。また、第1端面11Cに垂直な軸を第2軸Yとする。さらに、底面11Eに垂直な軸を第3軸Zとする。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの第1主面11Aが向く方向を第1正方向X1とし、第1正方向X1と反対方向を第1負方向X2とする。また、第2軸Yに沿う方向のうちの第1端面11Cが向く方向を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1と反対方向を第2負方向Y2とする。さらに、第3軸Zに沿う方向のうちの天面11Fが向く方向を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1と反対方向を第3負方向Z2とする。
【0014】
図2に示すように、素体11は、第1層L1~第9層L9を有している。第1層L1~第9層L9は、この順で第1負方向X2に並んでいる。第1層L1~第9層L9の厚み、すなわちX軸に沿う方向の寸法は、すべて略同一である。
図3に示すように、第1層L1は、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、第1絶縁部21と、によって構成されている。
【0015】
第1電極部41は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1電極部41は、全体としてL字状になっている。第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中心よりも第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第1電極部41は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0016】
第1電極部41における第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第3軸Zに沿う方向の寸法の略2分の1倍以上である。第1電極部41における第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第1電極部41のうち第1端面11Cに沿って延びる部分の第3軸Zに沿う方向の寸法である。すなわち、第1電極部41における第3正方向Z1側の端は、第3軸Zに沿う方向での第1層L1の中央よりも第3正方向Z1側に位置している。第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の2分の1倍よりも小さい。また、第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の4分の1倍以上となっている。第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1電極部41のうち底面11Eに沿って延びる部分の第2軸Yに沿う方向の寸法である。すなわち、第1電極部41における第2負方向Y2側の端は、第2軸Yに沿う方向での第1層L1の中央よりも第2正方向Y1側に位置している。
【0017】
第2電極部51は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2電極部51は、全体としてL字状になっている。第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の中心よりも第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第2電極部51は、第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1層L1の第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。
【0018】
第2電極部51における第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第3軸Zに沿う方向の寸法の略2分の1倍以上である。第2電極部51における第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第2電極部51のうち第2端面11Dに沿って延びる部分の第3軸Zに沿う方向の寸法である。すなわち、第2電極部51における第3正方向Z1側の端は、第3軸Zに沿う方向での第1層L1の中央よりも第3正方向Z1側に位置している。第2電極部51における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の2分の1倍よりも小さい。また、第2電極部51における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の4分の1倍以上となっている。第2電極部51における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第2電極部51のうち底面11Eに沿って延びる部分の第2軸Yに沿う方向の寸法である。すなわち、第2電極部51における第2正方向Y1側の端は、第2軸Yに沿う方向での第1層L1の中央よりも第2負方向Y2側に位置している。
【0019】
第1配線部31は、銀などの導電性材料からなっている。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第1配線部31は、全体として、おおむね第1層L1の中心を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第1配線部31の第1端部31Aは、第1電極部41の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。第1端部31Aは、第1負方向X2を向いて視たときに、第1層L1~第9層L9の各配線部が重なって構成される周回経路CRから外れた部分である。周回経路CRについては、後述する。すなわち、第1端部31Aは、インダクタ配線30の第1端である。第1配線部31の配線幅は、第2端部31Bを除いて略一定となっている。第1配線部31の第2端部31Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における中央より第3正方向Z1側である。また、第1配線部31の第2端部31Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における中央より第2正方向Y1側である。そして、第1負方向X2を向いて第1配線部31を視たときに、第1配線部31は、第1端部31Aから第2端部31Bに向かって時計回りに延びている。
【0020】
第1配線部31の第2端部31Bは、後述するビア32と接続するためのパッドとして機能している。第1負方向X2を向いて第1層L1を視たときに、第2端部31Bは、略円形状になっている。また、第1配線部31の第2端部31Bは、第1配線部31の他の部分よりも配線幅が大きくなっている。
【0021】
第1層L1において、第1電極部41と、第2電極部51と、第1配線部31と、を除く部分は、第1絶縁部21である。第1絶縁部21は、ガラス、樹脂、アルミナなど非磁性の絶縁体からなっている。
【0022】
図2に示すように、第2層L2は、第1層L1の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たとき、第2層L2は、第1層L1と同じ長方形状である。第2層L2は、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、第2絶縁部22と、によって構成されている。
【0023】
第3電極部42は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第3電極部42は、全体としてL字状になっている。第3電極部42は、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第2層L2の中心よりも第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第3電極部42は、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第2層L2の第2正方向Y1側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。したがって、第3電極部42は、第1電極部41の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0024】
第3電極部42の第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第1電極部41の第3軸Zに沿う方向の寸法と等しい。第3電極部42の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1電極部41の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。第3電極部42の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、底面11Eに沿って延びる部分の第2軸Yに沿う方向の寸法である。
【0025】
第4電極部52は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第4電極部52は、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、全体としてL字状になっている。第4電極部52は、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第2層L2の中心よりも第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側に位置している。より具体的には、第4電極部52は、第1負方向X2を向いて第2層L2を視たときに、第2層L2の第2負方向Y2側且つ第3負方向Z2側の角を含む箇所に位置している。したがって、第4電極部52は、第2電極部51の第1負方向X2を向く面に積層されている。
【0026】
第4電極部52の第3軸Zに沿う方向の最大の寸法は、第2電極部51の第3軸Zに沿う方向の寸法と等しい。第4電極部52の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第2電極部51の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。第4電極部52の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、底面11Eに沿って延びる部分の第2軸Yに沿う方向の寸法である。
【0027】
ビア32は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア32は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bと電気的に接続している。そして、ビア32は、第1配線部31の第2端部31Bから第1負方向X2に延びている。
【0028】
第2層L2において、第3電極部42と、第4電極部52と、ビア32と、を除く部分は、第2絶縁部22である。第2絶縁部22は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0029】
第3層L3は、第2層L2の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第3層L3は、第1層L1と同じ長方形状である。第3層L3は、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、第3絶縁部23と、によって構成されている。
【0030】
第5電極部43は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第5電極部43は、第1電極部41と同じ寸法のL字状であり、且つ第1電極部41と同じ箇所に位置している。そのため、第5電極部43は、第3電極部42の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第5電極部43の寸法は、第1電極部41と同じ寸法であることから、第5電極部43の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第3電極部42の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0031】
第6電極部53は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たとき、第6電極部53は、第2電極部51と同じ寸法のL字状であり、且つ第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第6電極部53は、第4電極部52の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第6電極部53の寸法は、第2電極部51と同じ寸法であることから、第6電極部53の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第4電極部52の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0032】
第2配線部33は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第3層L3を視たときに、第2配線部33は、全体として、おおむね第3層L3の中心を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第2配線部33の第1端部33Aの位置は、ビア32の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第2配線部33の第1端部33Aは、ビア32に接続している。第2配線部33の配線幅は、第1端部33A及び第2端部33Bを除いて略一定となっている。第2配線部33の第2端部33Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第3層L3の中央より第3負方向Z2側である。また、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第3層L3の中央より第2正方向Y1側である。且つ、第2配線部33の第2端部33Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第1配線部31の第2端部31Bの第2軸Yに沿う方向における位置よりも第2軸Yに沿う方向における中央側である。そして、第1負方向X2を向いて第2配線部33を視たときに、第2配線部33は、第1端部33Aから第2端部33Bに向かって時計回りに延びている。
【0033】
第3層L3において、第5電極部43と、第6電極部53と、第2配線部33と、を除く部分は、第3絶縁部23である。第3絶縁部23は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0034】
第4層L4は、第3層L3の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第4層L4は、第1層L1と同じ長方形状である。第4層L4は、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、第4絶縁部24と、によって構成されている。
【0035】
第7電極部44は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第7電極部44は、第3電極部42と同じ寸法のL字状であり、且つ第3電極部42と同じ箇所に位置している。そのため、第7電極部44は、第5電極部43の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第7電極部44の寸法は、第3電極部42と同じ寸法であることから、第7電極部44の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第5電極部43の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。
【0036】
第8電極部54は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第4層L4を視たとき、第8電極部54は、第4電極部52と同じ寸法のL字状であり、且つ第4電極部52と同じ箇所に位置している。そのため、第8電極部54は、第6電極部53の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第8電極部54の寸法は、第4電極部52と同じ寸法であることから、第8電極部54の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第6電極部53の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。
【0037】
ビア34は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア34は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bと電気的に接続している。そして、ビア34は、第2配線部33の第2端部33Bから第1負方向X2に延びている。
【0038】
第4層L4において、第7電極部44と、第8電極部54と、ビア34と、を除く部分は、第4絶縁部24である。第4絶縁部24は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0039】
第5層L5は、第4層L4の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第5層L5は、第1層L1と同じ長方形状である。第5層L5は、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、第5絶縁部25と、によって構成されている。
【0040】
第9電極部45は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第9電極部45は、第1電極部41と同じ寸法のL字状であり、且つ第1電極部41と同じ箇所に位置している。そのため、第9電極部45は、第7電極部44の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第9電極部45の寸法は、第1電極部41と同じ寸法であることから、第9電極部45の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第7電極部44の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0041】
第10電極部55は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たとき、第10電極部55は、第2電極部51と同じ寸法のL字状であり、且つ第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第10電極部55は、第8電極部54の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第10電極部55の寸法は、第2電極部51と同じ寸法であることから、第10電極部55の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第8電極部54の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0042】
第3配線部35は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第5層L5を視たときに、第3配線部35は、全体として、おおむね第5層L5の中心を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第3配線部35の第1端部35Aの位置は、ビア34の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第3配線部35の第1端部35Aは、ビア34に接続している。第3配線部35の配線幅は、第1端部35A及び第2端部35Bを除いて略一定となっている。第3配線部35の第2端部35Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第5層L5の中央より第3負方向Z2側である。また、第3配線部35の第2端部35Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第5層L5の中央より第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第3配線部35を視たときに、第3配線部35は、第1端部35Aから第2端部35Bに向かって時計回りに延びている。
【0043】
第5層L5において、第9電極部45と、第10電極部55と、第3配線部35と、を除く部分は、第5絶縁部25である。第5絶縁部25は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0044】
第6層L6は、第5層L5の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第6層L6は、第1層L1と同じ長方形状である。第6層L6は、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、第6絶縁部26と、によって構成されている。
【0045】
第11電極部46は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第11電極部46は、第3電極部42と同じ寸法のL字状であり、且つ第3電極部42と同じ箇所に位置している。そのため、第11電極部46は、第9電極部45の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第11電極部46の寸法は、第3電極部42と同じ寸法であることから、第11電極部46の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第9電極部45の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。
【0046】
第12電極部56は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第6層L6を視たとき、第12電極部56は、第4電極部52と同じ寸法のL字状であり、且つ第4電極部52と同じ箇所に位置している。そのため、第12電極部56は、第10電極部55の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第12電極部56の寸法は、第4電極部52と同じ寸法であることから、第12電極部56の第2軸Yに沿う方向の寸法は、第10電極部55の第2軸Yに沿う方向の寸法よりも小さい。
【0047】
ビア36は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア36は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bと電気的に接続している。そして、ビア36は、第3配線部35の第2端部35Bから第1負方向X2に延びている。
【0048】
第6層L6において、第11電極部46と、第12電極部56と、ビア36と、を除く部分は、第6絶縁部26である。第6絶縁部26は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0049】
第7層L7は、第6層L6の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第7層L7は、第1層L1と同じ長方形状である。第7層L7は、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、第7絶縁部27と、によって構成されている。
【0050】
第13電極部47は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第13電極部47は、第1電極部41と同じ寸法のL字状であり、且つ第1電極部41と同じ箇所に位置している。そのため、第13電極部47は、第11電極部46の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第13電極部47の寸法は、第1電極部41と同じ寸法であることから、第13電極部47の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第11電極部46の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0051】
第14電極部57は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たとき、第14電極部57は、第2電極部51と同じ寸法のL字状であり、且つ第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第14電極部57は、第12電極部56の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第14電極部57の寸法は、第2電極部51と同じ寸法であることから、第14電極部57の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第12電極部56の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0052】
第4配線部37は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第7層L7を視たときに、第4配線部37は、全体として、おおむね第7層L7の中心を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第4配線部37の第1端部37Aの位置は、ビア36の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第4配線部37の第1端部37Aは、ビア36に接続している。第4配線部37の配線幅は、第1端部37A及び第2端部37Bを除いて略一定となっている。第4配線部37の第2端部37Bの第3軸Zに沿う方向における位置は、第3軸Zに沿う方向における第7層L7の中央より第3正方向Z1側である。また、第4配線部37の第2端部37Bの第2軸Yに沿う方向における位置は、第2軸Yに沿う方向における第7層L7の中央より第2負方向Y2側であって、第1端部37Aの第2軸Yに沿う方向における位置よりも第2負方向Y2側である。そして、第1負方向X2を向いて第4配線部37を視たときに、第4配線部37は、第1端部37Aから第2端部37Bに向かって時計回りに延びている。また、第4配線部37は、インダクタ配線30の延び方向における中央を通る第3軸Zに沿う方向の軸を回転軸として、第2配線部33と回転対称となっている。
【0053】
第7層L7において、第13電極部47と、第14電極部57と、第4配線部37と、を除く部分は、第7絶縁部27である。第7絶縁部27は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0054】
第8層L8は、第7層L7の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第8層L8は、第1層L1と同じ長方形状である。第8層L8は、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、第8絶縁部28と、によって構成されている。
【0055】
第15電極部48は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第15電極部48は、第3電極部42と同じ寸法のL字状であり、且つ第3電極部42と同じ箇所に位置している。そのため、第15電極部48は、第13電極部47の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第15電極部48の寸法は、第3電極部42と同じ寸法であることから、第15電極部48の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第13電極部47の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。
【0056】
第16電極部58は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第8層L8を視たとき、第16電極部58は、第4電極部52と同じ寸法のL字状であり、且つ第4電極部52と同じ箇所に位置している。そのため、第16電極部58は、第14電極部57の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第16電極部58の寸法は、第4電極部52と同じ寸法であることから、第16電極部58の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第14電極部57の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも小さい。
【0057】
ビア38は、第1配線部31と同じ材料からなっている。ビア38は、第1軸Xに沿う方向に延びる円柱状である。ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bにおける第1負方向X2を向く面に積層されている。そのため、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bと電気的に接続している。そして、ビア38は、第4配線部37の第2端部37Bから第1負方向X2に延びている。
【0058】
第8層L8において、第15電極部48と、第16電極部58と、ビア38と、を除く部分は、第8絶縁部28である。第8絶縁部28は、第1絶縁部21と同じ材料の非磁性の絶縁体からなっている。
【0059】
第9層L9は、第8層L8の第1負方向X2を向く主面に積層されている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第9層L9は、第1層L1と同じ長方形状である。第9層L9は、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、第9絶縁部29と、によって構成されている。
【0060】
第17電極部49は、第1電極部41と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第17電極部49は、第1電極部41と同じ寸法のL字状であり、且つ第1電極部41と同じ箇所に位置している。そのため、第17電極部49は、第15電極部48の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第17電極部49の寸法は、第1電極部41と同じ寸法であることから、第17電極部49の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第15電極部48の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0061】
第18電極部59は、第2電極部51と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たとき、第18電極部59は、第2電極部51と同じ寸法のL字状であり、且つ第2電極部51と同じ箇所に位置している。そのため、第18電極部59は、第16電極部58の第1負方向X2を向く面に積層されている。なお、第18電極部59の寸法は、第2電極部51と同じ寸法であることから、第18電極部59の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第16電極部58の第2軸Yに沿う方向の最大の寸法よりも大きい。
【0062】
第5配線部39は、第1配線部31と同じ材料からなっている。第1負方向X2を向いて第9層L9を視たときに、第5配線部39は、全体として、第9層L9の中心を中心とした渦巻状に延びている。具体的には、第5配線部39の第1端部39Aの位置は、ビア38の第1負方向X2を向く面上である。そのため、第5配線部39の第1端部39Aは、ビア38に接続している。第5配線部39の配線幅は、第1端部39Aを除いて略一定となっている。第5配線部39の第2端部39Bは、第18電極部59の第3軸Zに沿う方向における第3正方向Z1側の端部に接続している。そして、第1負方向X2を向いて第5配線部39を視たときに、第5配線部39は、第1端部39Aから第2端部39Bに向かって時計回りに延びている。なお、第5配線部39の第2端部39Bは、インダクタ配線30の第2端である。また、第5配線部39は、インダクタ配線30の延び方向における中央を通る第3軸Zに沿う方向の軸を回転軸として、第1配線部31と回転対称となっている。なお、第2端部39Bは、第1負方向X2を向いて視たときに、第1層L1~第9層L9の各配線部が重なって構成される周回経路CRから外れた部分である。周回経路CRについては、後述する。
【0063】
第9層L9において、第17電極部49と、第18電極部59と、第5配線部39と、を除く部分は、第9絶縁部29である。第9絶縁部29は、第1絶縁部21と同じ材料の絶縁体からなっている。
【0064】
素体11は、第1被覆絶縁層61と、第2被覆絶縁層62と、を有している。第1負方向X2を向いて第1被覆絶縁層61を視たとき、第1被覆絶縁層61は、第1層L1と同じ長方形状である。第1被覆絶縁層61は、第1層L1の第1正方向X1を向く主面に積層されている。第1正方向X1を向いて第2被覆絶縁層62を視たとき、第2被覆絶縁層62は、第1層L1と同じ長方形状である。第2被覆絶縁層62は、第9層L9の第1負方向X2を向く主面に積層されている。なお、第1被覆絶縁層61は、複数の絶縁層が積層された構成であってもよい。また、第1被覆絶縁層61が複数の絶縁層によって構成される場合、一部の絶縁層が着色されていてもよい。
【0065】
上述した第1絶縁部21~第9絶縁部29と、第1被覆絶縁層61と、第2被覆絶縁層62と、は一体化されている。なお、絶縁部20の各部分の間に、物理的な境界はなくてもよいし、あってもよい。以下では、これらを区別する必要がない場合には、絶縁部20と総称する。
【0066】
また、第1配線部31と、第2配線部33と、第3配線部35と、第4配線部37と、第5配線部39と、ビア32と、ビア34と、ビア36と、ビア38と、は一体化されている。なお、インダクタ配線30の各部分の間に、物理的な境界はなくてもよいし、あってもよい。以下では、これらを区別する必要がない場合には、インダクタ配線30と総称する。そして、インダクタ配線30は、全体として、螺旋状に巻き回されている。そして、インダクタ配線30が巻き回される際の中心軸は、第1軸Xに沿って延びる軸になっている。
【0067】
さらに、上述した第1電極部41と、第3電極部42と、第5電極部43と、第7電極部44と、第9電極部45と、第11電極部46と、第13電極部47と、第15電極部48と、第17電極部49と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第1電極40になっている。
【0068】
同様に、上述した第2電極部51と、第4電極部52と、第6電極部53と、第8電極部54と、第10電極部55と、第12電極部56と、第14電極部57と、第16電極部58と、第18電極部59と、は一体化している。そして、これらが合わさって、第2電極50になっている。
【0069】
そして、本実施形態においては、絶縁部20と、第1電極40と、第2電極50と、によって、インダクタ部品10の素体11が構成されている。そして、インダクタ配線30は、素体11の内部で延びている。なお、インダクタ配線30と、第1電極40と、第2電極50とは、一体化していてもよい。つまり、インダクタ配線30と第1電極40との間や、インダクタ配線30と第2電極50との間に、物理的な境界はなくてもよい。
【0070】
第1層L1~第9層L9、第1被覆絶縁層61、および第2被覆絶縁層62が積層された結果、
図1に示すように、素体11は、全体として直方体状になっている。なお、第1層L1~第9層L9、第1被覆絶縁層61、及び第2被覆絶縁層62の各層間に、物理的な境界はなくてもよいし、あってもよい。また、各層間において、一体化している部分は絶縁部20だけではなく、各電極部間、各配線部と各ビアとの間も一体化していてもよい。
図3に示すように、第1電極40は、第1端面11Cから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。また、第2電極50は、第2端面11Dから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。
【0071】
図1に示すように、インダクタ部品10は、第1被覆電極71と、第2被覆電極72と、を備えている。第1被覆電極71は、第1電極40のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第1被覆電極71は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。つまり、第1電極40が素体11の外部に露出する、とは、素体11の外部に露出してさえいればよく、めっきである第1被覆電極71などの被膜に覆われている場合も含む。
【0072】
第2被覆電極72は、第2電極50のうちの素体11から外部に露出している面を覆っている。第2被覆電極72は、図示は省略するが、ニッケルめっき、錫めっきの2層構造になっている。つまり、第2電極50が素体11の外部に露出する、とは、めっきである第2被覆電極72に覆われていてもよい。なお、
図2及び
図3においては、第1被覆電極71と第2被覆電極72との図示を省略している。
【0073】
(インダクタ配線の周回経路について)
図3に示すように、インダクタ配線30は、全体として、第1軸Xに沿う方向に延びる中心軸を巻き中心として、螺旋状に延びている。そして、
図2に示すように、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、及び第5配線部39は、それぞれ、第1主面11Aに平行に延びている。
【0074】
ここで、
図3に示すように、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たとき、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、及び第5配線部39は、周回経路CRを有している。周回経路CRは、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、1周巻き回されている。
【0075】
周回経路CRは、上辺部分P1と、下辺部分P2と、第1側辺部分P3と、第2側辺部分P4と、第1斜辺部分P5と、第2斜辺部分P6と、を有している。
上辺部分P1は、第2軸Yに平行に延びている。上辺部分P1は、インダクタ配線30における天面11Fに最も近い箇所を含んでいる。つまり、上辺部分P1は、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1配線部31と、第2配線部33とが重複している箇所のうち、天面11Fに最も近い箇所を含み、且つ第2軸Yに平行に延びている部分である。
【0076】
下辺部分P2は、第2軸Yに平行に延びている。下辺部分P2は、インダクタ配線30における底面11Eに最も近い箇所を含んでいる。つまり、下辺部分P2は、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1配線部31と、第2配線部33とが重複している箇所のうち、底面11Eに最も近い箇所を含み、且つ第2軸Yに平行に延びている部分である。下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の寸法は、上辺部分P1の第2軸Yに沿う方向の寸法よりも小さくなっている。そして、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端は、上辺部分P1の第2正方向Y1側の端よりも、第2負方向Y2側に位置している。また、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端は、上辺部分P1の第2負方向Y2側の端よりも、第2正方向Y1側に位置している。
【0077】
第1側辺部分P3は、第3軸Zに平行に延びている。第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第1側辺部分P3の第3正方向Z1側の端は、上辺部分P1の第2正方向Y1側の端の位置と一致している。第1側辺部分P3の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端よりも、第2正方向Y1側且つ第3正方向Z1側に位置している。
【0078】
第2側辺部分P4は、第3軸Zに平行に延びている。第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視たときに、第2側辺部分P4の第3正方向Z1側の端は、上辺部分P1の第2負方向Y2側の端の位置と一致している。第2側辺部分P4の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端よりも、第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側に位置している。
【0079】
第1斜辺部分P5は、第2軸Y及び第3軸Zのいずれに対しても斜めとなるように直線状に延びている。具体的には、第1斜辺部分P5は、第2負方向Y2側ほど第3負方向Z2側に位置するように斜めに延びている。第1斜辺部分P5の第3正方向Z1側の端は、第1側辺部分P3の第3負方向Z2側の端の位置と一致している。第1斜辺部分P5の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端の位置と一致している。
【0080】
第2斜辺部分P6は、第2軸Y及び第3軸Zのいずれに対しても斜めとなるように直線状に延びている。具体的には、第2斜辺部分P6は、第2正方向Y1側ほど第3負方向Z2側に位置するように斜めに延びている。第2斜辺部分P6の第3正方向Z1側の端は、第2側辺部分P4の第3負方向Z2側の端の位置と一致している。第2斜辺部分P6の第3負方向Z2側の端は、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端の位置と一致している。
【0081】
このように、第1負方向X2を向いてインダクタ配線30を視て、第1電極40から第2電極50に向かってインダクタ配線30を辿るとする。この場合、周回経路CRは、上辺部分P1、第2側辺部分P4、第2斜辺部分P6、下辺部分P2、第1斜辺部分P5、第1側辺部分P3の順番に、時計回りに周回している。
【0082】
そして、周回経路CRにおける第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、上辺部分P1の第2軸Yに沿う方向の最大寸法である。上辺部分P1の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、周回経路CRにおける回転中心から視て上辺部分P1の外側の縁の寸法である。下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、周回経路CRにおける回転中心から視て下辺部分P2の外側の縁の寸法である。下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、上辺部分P1の第2軸Yに沿う方向の最大寸法よりも小さくなっている。つまり、下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、周回経路CRにおける第2軸Yに沿う方向の最大寸法よりも小さくなっている。なお、以下では、素体11のうち、第1仮想平面VF1から第2仮想平面VF2までの範囲を配線範囲AWとする。第1仮想平面VF1は、下辺部分P2の第1端面11C側の端を含み、第1端面11Cに平行な仮想平面である。第2仮想平面VF2は、下辺部分P2の第2端面11D側の端を含み、第1端面11Cに平行な仮想平面である。つまり、配線範囲AWは、素体11のうち、第2軸Yに垂直なすべての方向から下辺部分P2を投影したときに影と重なる範囲であって、第1主面11Aに垂直な方向の全域、且つ底面11Eに垂直な方向の全域である。
図3及び
図4では、配線範囲AWをドットを付して示す。
【0083】
(底面電極部分と突起部分について)
図3に示すように、第1電極40は、第1端面11Cから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。第1電極40は、第1底面電極部分40Aと、第1端面電極部分40Bと、5つの第1突起部分40Cと、を有している。
【0084】
図4に示すように、第1底面電極部分40Aは、底面11Eにおいて素体11の外部に露出している。第1底面電極部分40Aは、板状である。第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第1底面電極部分40Aは、四角形状である。第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第1底面電極部分40Aの第2正方向Y1側の辺は、素体11の第1端面11Cと一致している。そのため、底面11Eでの第1底面電極部分40Aにおける第2正方向Y1側の端は、底面11Eの第2正方向Y1側の端と一致している。また、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第1底面電極部分40Aの第2負方向Y2側の辺は、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端よりも第2正方向Y1側に位置している。そのため、第1底面電極部分40Aは、第1端面11Cから配線範囲AWにおける第1端面11C側の端までの範囲内のみに位置している。
【0085】
図3に示すように、第1端面電極部分40Bは、第1端面11Cにおいて素体11の外部に露出している。第1端面電極部分40Bは、板状である。第2負方向Y2を向いて第1端面11Cを視たときに、第1端面電極部分40Bは、四角形状である。第2負方向Y2を向いて第1端面11Cを視たときに、第1端面電極部分40Bの第3負方向Z2側の辺は、第1底面電極部分40Aの第3正方向Z1を向く面に接している。つまり、第1端面電極部分40Bは、第1底面電極部分40Aの第2正方向Y1側の端から、第3正方向Z1に向かって延びている。
【0086】
図4に示すように、第1突起部分40Cは、底面11Eにおいて素体11の外部に露出している。第1突起部分40Cは、第1底面電極部分40Aにおける第2負方向Y2側の端から第2負方向Y2に向けて突出している。すなわち、第1突起部分40Cは、第1底面電極部分40Aにおける第2端面11D側の端から第2端面11D側に向けて突出している。そして、底面11Eにおける第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の一部は、配線範囲AW内に位置している。
【0087】
つまり、
図2及び
図4に示すように、第1電極部41、第5電極部43、第9電極部45、第13電極部47、及び第17電極部49のうち、第3電極部42の第2負方向Y2側の端よりも第2負方向Y2に突出している箇所が、第1突起部分40Cである。そのため、第1突起部分40Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1底面電極部分40Aの第1軸Xに沿う方向の最大寸法よりも小さい。具体的には、第1突起部分40Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1層L1の第1軸Xに沿う方向の寸法である。第1底面電極部分40Aの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1層L1~第9層L9のそれぞれの第1軸Xに沿う方向の寸法の合計値である。
【0088】
また、
図3に示すように、第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の2分の1倍よりも小さい。また、第1電極部41における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の4分の1倍以上となっている。そのため、第1端面11Cから第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端までの最大寸法は、底面11Eの第2軸Yに沿う方向の最大寸法の4分の1倍以上2分の1倍未満である。
【0089】
また、5つの第1突起部分40Cは、それぞれ第1層L1、第3層L3、第5層L5、第7層L7、又は第9層L9に存在している。そのため、第1突起部分40Cは、第1軸Xに沿う方向において、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、又は第5配線部39が存在している層のみに存在している。つまり、第1突起部分40Cは、第1主面11Aに垂直な方向においてインダクタ配線30のうちの各配線部が存在する層のみに存在している。
【0090】
図3に示すように、第1電極40と同様に、第2電極50は、第2端面11Dから底面11Eにかけての領域で素体11の外部に露出している。第2電極50は、第2底面電極部分50Aと、第2端面電極部分50Bと、5つの第2突起部分50Cと、を有している。
【0091】
図4に示すように、第2底面電極部分50Aは、底面11Eにおいて素体11の外部に露出している。第2底面電極部分50Aは、板状である。第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第2底面電極部分50Aは、四角形状である。第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第2底面電極部分50Aの第2負方向Y2側の辺は、素体11の第2端面11Dと一致している。そのため、底面11Eでの第2底面電極部分50Aにおける第2負方向Y2側の端は、底面11Eの第2負方向Y2側の端と一致している。また、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、第2底面電極部分50Aの第2正方向Y1側の辺は、下辺部分P2の第2負方向Y2側の端よりも第2負方向Y2側に位置している。そのため、第2底面電極部分50Aは、第2端面11Dから配線範囲AWにおける第2端面11D側の端までの範囲内のみに位置している。
【0092】
図3に示すように、第2端面電極部分50Bは、第2端面11Dにおいて素体11の外部に露出している。第2端面電極部分50Bは、板状である。第2正方向Y1を向いて第2端面11Dを視たときに、第2端面電極部分50Bは、四角形状である。第2正方向Y1を向いて第2端面11Dを視たときに、第2端面電極部分50Bの第3負方向Z2側の辺は、第2底面電極部分50Aの第3正方向Z1を向く面に接している。つまり、第2端面電極部分50Bは、第2底面電極部分50Aの第2負方向Y2側の端から、第3正方向Z1に向かって延びている。
【0093】
図4に示すように、第2突起部分50Cは、底面11Eにおいて素体11の外部に露出している。第2突起部分50Cは、第2底面電極部分50Aにおける第2正方向Y1側の端から第2正方向Y1に向けて突出している。すなわち、第2突起部分50Cは、第2底面電極部分50Aにおける第1端面11C側の端から第1端面11C側に向けて突出している。そして、底面11Eにおける第2突起部分50Cの第2正方向Y1側の一部は、配線範囲AW内に位置している。
【0094】
つまり、
図2及び
図4に示すように、第2電極部51、第6電極部53、第10電極部55、第14電極部57、及び第18電極部59のうち、第4電極部52の第2正方向Y1側の端よりも第2正方向Y1に突出している箇所が、第2突起部分50Cである。そのため、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第2底面電極部分50Aの第1軸Xに沿う方向の最大寸法よりも小さい。具体的には、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1層L1の第1軸Xに沿う方向の寸法である。第2底面電極部分50Aの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1層L1~第9層L9のそれぞれの第1軸Xに沿う方向の寸法の合計値である。
【0095】
また、
図3に示すように、第2電極部51における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の2分の1倍よりも小さい。また、第2電極部51における第2軸Yに沿う方向の最大の寸法は、第1層L1における第2軸Yに沿う方向の寸法の4分の1倍以上となっている。そのため、第2端面11Dから第2突起部分50Cの第2正方向Y1側の端までの最大寸法は、底面11Eの第2軸Yに沿う方向の最大寸法の4分の1倍以上2分の1倍未満である。
【0096】
また、5つの第2突起部分50Cは、それぞれ第1層L1、第3層L3、第5層L5、第7層L7、又は第9層L9に存在している。そのため、第2突起部分50Cは、第1軸Xに沿う方向において、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、又は第5配線部39が存在している層のみに存在している。つまり、第2突起部分50Cは、第1主面11Aに垂直な方向においてインダクタ配線30のうちの各配線部が存在する層のみに存在している。
【0097】
そして、第2底面電極部分50Aの寸法は、第1底面電極部分40Aの寸法と等しい。また、第2突起部分50Cの寸法は、第1突起部分40Cの寸法と等しい。そのため、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状である。
【0098】
(電極間のギャップについて)
図4に示すように、底面11Eにおいて、第2軸Yに沿う方向での第1底面電極部分40Aの第2負方向Y2側の端と第2電極50との間隔を第1ギャップG1とする。第1ギャップG1は、第1底面電極部分40Aの第2負方向Y2側の端と第2底面電極部分50Aの第2正方向Y1側の端との最小距離となる。第1ギャップG1は、配線範囲AWの第2軸Yに沿う方向の寸法よりも、大きくなっている。
【0099】
一方で、底面11Eにおいて、第2軸Yに沿う方向での第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端と第2電極50との間隔を第2ギャップG2とする。第2ギャップG2は、第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端と第2突起部分50Cの第2正方向Y1側の端との最小距離となる。第2ギャップG2は、配線範囲AWの第2軸Yに沿う方向の寸法よりも、小さくなっている。
【0100】
(実施形態の効果について)
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。なお、第1電極40及び第2電極50に共通する効果は、第1電極40を代表として説明し、第2電極50の説明は省略する。
【0101】
(1)上記実施形態によれば、第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の一部は、配線範囲AW内に位置している。そのため、第1電極40が、底面11Eに露出する面積を十分に確保できる。よって、第1電極40が基板等に固着されるときに、基板等に対するインダクタ部品10の固着力が不足することを抑制できる。また、第1突起部分40Cは配線範囲AW内に位置しているものの、第1軸Xに沿う方向での第1突起部分40Cの最大寸法は、第1軸Xに沿う方向での第1底面電極部分40Aの最大寸法よりも小さい。したがって、第1底面電極部分40A自体が配線範囲AW内に位置している場合よりも、第1電極40とインダクタ配線30との間で発生する浮遊容量を低減できる。
【0102】
(2)上記実施形態によれば、第1端面11Cから第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端までの最大寸法は、底面11Eの第2軸Yに沿う方向の最大寸法の4分の1倍以上である。そのため、第1電極40の底面11Eに露出する面積として必要十分な面積を確保できる。また、第1端面11Cから第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端までの最大寸法は、底面11Eの第2軸Yに沿う方向の最大寸法の2分の1倍未満である。そのため、製造誤差等により、第1電極40と第2電極50とが接触した不良品が発生することを防止できる。
【0103】
(3)上記実施形態によれば、第2ギャップG2は、配線範囲AWの第2軸Yに沿う方向の寸法よりも小さくなっている。そのため、第1電極40が底面11Eで露出している面積及び第2電極50が底面11Eで露出している面積を合わせた面積が、相当に大きい。よって、基板等に対してインダクタ部品10がより強固に固着できる。
【0104】
(4)上記実施形態によれば、下辺部分P2の第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、周回経路CRの第2軸Yに沿う方向の最大寸法よりも小さくなっている。つまり、下辺部分P2と第3軸Zに沿う方向における同じ位置において、下辺部分P2よりも第2正方向Y1側の部分には、配線部は存在していない。そのため、第1底面電極部分40Aが、下辺部分P2の第2正方向Y1側の端よりも第2正方向Y1側に位置していても、周回経路CRとは、十分な距離を確保できる。そのため、第1底面電極部分40Aが周回経路CRと過度に近づくことを回避しつつ、第1底面電極部分40Aの底面11Eにおける露出面積が十分となるように設計しやすい。
【0105】
(5)仮に、各ビアが存在する層に第1突起部分40Cを設ける場合、第1突起部分40Cがインダクタ配線30と接触しないようにするためには、他の層における各配線部との接触を留意して設計する必要がある。上記実施形態によれば、5つの第1突起部分40Cは、第1配線部31、第2配線部33、第3配線部35、第4配線部37、又は第5配線部39が位置する層のみに存在している。そのため、5つの第1突起部分40Cは、ビア32、ビア34、ビア36、又はビア38が位置する層には存在していない。よって、第1突起部分40Cがインダクタ配線30と接触しないように設計するうえで、同じ層における配置を考慮すれば足りるため、設計しやすい。
【0106】
(6)上記実施形態によれば、第1電極40の第1突起部分40Cと同様に、第2電極50においても、第2突起部分50Cの第2負方向Y2側の一部は、配線範囲AW内に位置している。そのため、第1電極40に加えて、第2電極50が、底面11Eに露出する面積を十分に確保できる。また、第2電極50においても、第2底面電極部分50A自体が配線範囲AW内に位置している場合よりも、第2電極50とインダクタ配線30との間で発生する浮遊容量を低減できる。
【0107】
<その他の実施形態について>
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせて実施することができる。なお、第1電極40及び第2電極50に共通する点は、第1電極40を代表して説明し、第2電極50の説明を省略する。
【0108】
・第1層L1~第9層L9の厚み、すなわち第1軸Xに沿う方向の寸法は、すべて同一でなくてもよい。すべての厚みが互いに異なっていてもよいし、一部の層の厚みが他の層の厚みと異なっていてもよい。
【0109】
・素体11は、第1軸Xに沿う方向に長い直方体であってもよいし、第3軸Zに沿う方向に長い直方体であってもよい。また、素体11は、第1軸Xに沿う方向の寸法、第2軸Yに沿う方向の寸法、及び第3軸Zに沿う方向の寸法が等しい直方体であってもよい。例えば、素体11の各軸に沿う方向の寸法について、第1軸Xに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向の寸法が等しく、且つ第2軸Yに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法よりも大きくてもよい。また例えば、素体11の各軸に沿う方向の寸法について、第2軸Yに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向の寸法より大きく、且つ第3軸Zに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法より大きくてもよい。また例えば、第2軸Yに沿う方向の寸法が第1軸Xに沿う方向の寸法より大きく、且つ第1軸Xに沿う方向の寸法が第3軸Zに沿う方向より大きくてもよい。
【0110】
・絶縁部20の材質は、上記実施形態の例に限られず、絶縁体であればよい。例えば、絶縁部20の材質は、磁性の絶縁体であってもよい。また、絶縁部20の一部が、他の部分と異なる非磁性又は磁性の絶縁体であってもよい。
【0111】
・第1被覆電極71及び第2被覆電極72は、省略できる。なお、第1被覆電極71を、第1電極40に対してめっきにて設ける場合、第1被覆電極71を形成する過程で、第1被覆電極71が、底面11Eに露出する第1電極40の範囲よりも大きく広がってしまうことがある。つまり、底面11Eに垂直な方向で視たときに、第1被覆電極71の形状が、第1電極40の形状に完全に一致しないことがある。このような場合であっても、底面11E上において、第1底面電極部分40Aが配線範囲AWの外に位置しており、且つ第1突起部分40Cの一部が、配線範囲AW内に位置していればよい。
【0112】
(第1電極及び第2電極について)
・底面11Eに露出している第1電極40の寸法は、上記実施形態の例に限られない。例えば、第1底面電極部分40Aが、底面11Eにおいて、第1軸Xに沿う方向の全体に亘って広がっていてもよい。また例えば、第1端面11Cから第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端までの最大寸法は、第2軸Yに沿う方向の底面11Eの最大寸法の4分の1倍未満であってもよいし、2分の1倍以上であってもよい。第1突起部分40Cの少なくとも一部が、配線範囲AW内に位置していればよい。ただし、第1電極40が、第2電極50に対して離れていなければならない。
【0113】
・第1電極40が有する第1突起部分40Cの数は、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。また、第1軸Xに沿う方向での第1突起部分40Cの位置も適宜調整できる。
【0114】
例えば、
図5に示す変更例のインダクタ部品110では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1突起部分40Cの数及び位置が異なっている。また、インダクタ部品110では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第2突起部分50Cの数及び位置が異なっている。具体的には、インダクタ部品110において、第1電極40は、3つの第1突起部分40Cを有している。第1突起部分40Cは、
図2に示す第3層L3、第5層L5、及び第7層L7のそれぞれに存在している。すなわち、第1突起部分40Cは、第1層L1及び第9層L9に存在していない。また、インダクタ部品110において、第2電極50は、3つの第2突起部分50Cを有している。第2突起部分50Cは、
図2に示す第3層L3、第5層L5、及び第7層L7のそれぞれに存在している。すなわち、第2突起部分50Cは、第1層L1及び第9層L9に存在していない。
【0115】
ところで、インダクタ配線30の有する複数の配線部のうち、インダクタ配線30の第1端から第1主面11Aに平行に延びる配線部を、第1端配線部とする。また、インダクタ配線30の有する複数の配線部のうち、インダクタ配線30の第2端から第1主面11Aに平行に延びる配線部を、第2端配線部とする。この場合、第1端配線部は、第1配線部31である。また、第2端配線部は、第5配線部39である。第2端配線部である第5配線部39は、第1端配線部である第1配線部31と同じ層に存在していない。
【0116】
そして、
図5に示す変更例のインダクタ部品110では、第1突起部分40Cは、第2端配線部である第5配線部39が存在する層には存在していない。つまり、第1突起部分40Cは、第1主面11Aに垂直な方向において第5配線部39が存在する層と同一層には存在していない。なお、第1突起部分40Cと同様に、第2電極50についても、第2突起部分50Cは、第1端配線部である第1配線部31が存在する層には存在していない。つまり、第2突起部分50Cは、第1主面11Aに垂直な方向において第1配線部31が存在する層と同一層には存在していない。
【0117】
図5に示す変更例のインダクタ部品110によれば、第1電極40と第2端配線部である第5配線部39とでは、インダクタ配線30の経路上において相当に距離がある。そのため、インダクタ配線30に電流が流れた場合、第1電極40と第2端配線部である第5配線部39とでは、無視できない電位差が発生する。仮に、第1突起部分40Cが第5配線部39の存在する第9層L9に存在する場合、第1突起部分40Cによって、浮遊容量が大きく発生する虞がある。上記変更例のインダクタ部品110によれば、第1突起部分40Cは、第5配線部39が存在する第9層L9には存在していないため、大きく浮遊容量が発生することを抑制できる。
【0118】
・第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状でなくてもよい。この場合、底面11E上での電極の形状を観察することで、インダクタ部品10の第1端面11C側と、第2端面11D側とを把握できる。
【0119】
・例えば、
図6に示す変更例のインダクタ部品210では、
図5に示す変更例のインダクタ部品110と比べて、第1突起部分40Cの数が異なる。具体的には、第1電極40は、2つの第1突起部分40Cを有している。第1突起部分40Cは、第3層L3及び第7層L7のそれぞれに存在している。一方で、第2電極50は、3つの第2突起部分50Cを有している。第2突起部分50Cは、第3層L3、第5層L5及び第7層L7のそれぞれに存在している。そのため、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状ではない。これにより、第1底面電極部分40Aの形状及び寸法が、第2底面電極部分50Aの形状及び寸法と同一であっても、突起部分の数が異なることで、第1電極40と第2電極50とを区別できる。
【0120】
・また例えば、
図7に示す変更例のインダクタ部品310では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1突起部分40Cの数と、第2突起部分50Cの数と、第2突起部分50Cの第1軸X軸に沿う方向の最大寸法とが異なる。具体的には、第1電極40は、1つの第1突起部分40Cを有している。第1突起部分40Cは、第5層L5のみに存在している。一方で、第2電極50は、1つの第2突起部分50Cを有している。第2突起部分50Cは、第3層L3~第7層L7にまたがって存在している。つまり、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第1突起部分40Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法よりも大きい。このように、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法と異なっている。そのため、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状ではない。これにより、第1底面電極部分40Aの形状及び寸法が、第2底面電極部分50Aの形状及び寸法と同一であっても、突起部分の第1軸Xに沿う方向の寸法、すなわち突起部分の幅が異なることで、第1電極40と第2電極50とを区別できる。
【0121】
・また例えば、
図8に示す変更例のインダクタ部品410では、
図7に示す変更例のインダクタ部品310と比べて、第1突起部分40Cの第2軸Yに沿う方向の寸法と、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の寸法とが異なる。具体的には、第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端は、底面11Eにおける第2軸Yに沿う方向の中央に位置している。一方で、第2突起部分50Cは、第5層L5のみに存在している。第2突起部分50Cの第2正方向Y1側の端は、底面11Eにおける第2軸Yに沿う方向の中央よりも第2負方向Y2側に位置している。つまり、第1突起部分40Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、第2突起部分50Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法よりも小さい。このように、第1突起部分40Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、第2突起部分50Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法と異なっている。そのため、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状ではない。これにより、第1底面電極部分40Aの形状及び寸法が、第2底面電極部分50Aの形状及び寸法と同一であっても、突起部分の第2軸Yに沿う方向の寸法、すなわち突起部分の長さが異なることで、第1電極40と第2電極50とを区別できる。
【0122】
・また例えば、
図9に示す変更例のインダクタ部品510では、
図8に示す変更例のインダクタ部品410と比べて、第1突起部分40Cの第2軸Yに沿う方向の寸法と、第1突起部分40Cの存在する位置が異なる。具体的には、第1突起部分40Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、第2突起部分50Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法と等しい。第1突起部分40Cは、第3層L3に存在している。一方で、第2突起部分50Cは、第5層L5に存在している。つまり、第1軸Xに沿う方向において、第1突起部分40Cが存在する範囲は、第2突起部分50Cが存在する範囲と異なっている。そのため、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状ではない。これにより、第1底面電極部分40Aの形状及び寸法が、第2底面電極部分50Aの形状及び寸法と同一であっても、突起部分の第1軸Xに沿う方向の位置が異なることで、第1電極40と第2電極50とを区別できる。
【0123】
・第1軸Xに沿う方向において、第1突起部分40Cの存在する範囲は、各配線部が存在する範囲に限られない。例えば、
図10に示す変更例のインダクタ部品610では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第1突起部分40Cの数及び位置が異なる。また、インダクタ部品610では、上記実施形態のインダクタ部品10と比べて、第2突起部分50Cの数及び位置が異なる。具体的には、第1電極40は、4つの第1突起部分40Cを有している。第1突起部分40Cは、
図2に示す第2層L2、第4層L4、第6層L6、及び第8層L8のそれぞれに存在している。また、第2電極50は、4つの第2突起部分50Cを有している。第2突起部分50Cは、
図2に示す第2層L2、第4層L4、第6層L6、及び第8層L8のそれぞれに存在している。つまり、第1突起部分40C及び第2突起部分50Cは、第1主面11Aに垂直な方向においてインダクタ配線30のうちビア32、ビア34、ビア36、又はビア38が存在する層のみに存在している。そのため、第1突起部分40C及び第2突起部分50Cは、第1軸Xに沿う方向においてインダクタ配線30の各配線部が存在する層には存在していない。このように、第1軸Xに沿う方向において、各配線部と各突起部分との位置をずらすことにより、これらの間で浮遊容量が大きくなることをさらに抑制できる。
【0124】
・第1電極40は、第1端面電極部分40Bを省略してもよい。第1電極40は、少なくとも第1底面電極部分40A及び第1突起部分40Cを有していればよい。また、第1底面電極部分40Aにおける第1端面11C側の端は、必ずしも底面11Eにおける第1端面11C側の端と一致していなくてもよい。
【0125】
・第2突起部分50Cは省略してもよい。例えば、上記実施形態のインダクタ部品10において、第2突起部分50Cを省略してもよい。この場合、第3正方向Z1を向いて底面11Eを視たときに、底面11E上に第1電極40が露出している形状は、底面11E上に第2電極50が露出している形状に対して、底面11Eの幾何中心Cを中心とする2回対称形状ではない。これにより、第1底面電極部分40Aの形状及び寸法が、第2底面電極部分50Aの形状及び寸法と同一であっても、突起部分の有無により、第1電極40と第2電極50とを区別できる。
【0126】
・第2ギャップG2は、配線範囲AWの第2軸Yに沿う方向の寸法以上の大きさとなっていてもよい。例えば、上記実施形態のインダクタ部品10において、第2突起部分50Cを省略し、且つ第2底面電極部分50Aの第2軸Yに沿う方向の寸法が、相応に小さくなってもよい。この場合、第2ギャップG2は、底面11Eにおける第1突起部分40Cの第2負方向Y2側の端と第2底面電極部分50Aとの間隔の寸法となる。そして、この場合、第2ギャップG2は、配線範囲AWの第2軸Yに沿う方向の寸法以上の大きさになり得る。
【0127】
・第1底面電極部分40Aの形状及び寸法は、上記実施形態の例に限られない。第1底面電極部分40Aは、第2軸Yに沿う方向において、第1端面11Cから配線範囲AWにおける第2正方向Y1側の端までの範囲内のみに位置していればよい。
【0128】
・第3負方向Z2を向いてインダクタ配線30を視たときに、インダクタ配線30は、周回経路CRを有していてもよい。すなわち、周回経路CRの中心軸は、第3軸Zに沿う方向に延びていてもよい。この場合であっても、インダクタ配線30は、少なくとも下辺部分P2を有していればよい。この場合、下辺部分P2は、インダクタ配線30の底面11Eに最も近い箇所を含み、且つ底面11Eに平行に延びている部分である。
【0129】
・周回経路CRは、1周に限られず、1周を超えていてもよい。この場合、上辺部分P1と、下辺部分P2と、第1側辺部分P3と、第2側辺部分P4と、第1斜辺部分P5と、第2斜辺部分P6と、は、周回経路CRのうち最も外側の経路における各部分に該当する。
【0130】
・周回経路CRは、第1負方向X2を向いて視たときに、略四角形状になっていてもよい。つまり、インダクタ配線30は、第1斜辺部分P5及び第2斜辺部分P6を有していなくてもよい。
【0131】
・インダクタ配線30は、周回経路CRを有していなくてもよい。インダクタ配線30は、少なくとも下辺部分P2を有していればよい。例えば、全体として、1周巻き回されていないことで、上辺部分P1を有していなくてもよい。この場合、インダクタ配線30の底面11Eにもっと近い箇所を含む箇所が底面11Eに平行に延びていれば、当該箇所が下辺部分P2を有している。
【0132】
・上辺部分P1は、第2軸Yに平行に延びていなくてもよい。上辺部分P1は第2軸Yに沿って延びていればよく、上辺部分P1が第2軸Yに対して多少傾いていてもよいし、上辺部分P1が曲線を含んでいてもよい。また、上辺部分P1と同様に、下辺部分P2は、第2軸Yに平行に延びていなくてもよい。下辺部分P2は第2軸Yに沿って延びていればよく、上辺部分P1が第2軸Yに対して多少傾いていてもよいし、下辺部分P2が曲線を含んでいなくてもよい。さらに、第1側辺部分P3は、第3軸Zに平行に延びていなくてもよい。第1側辺部分P3は第3軸Zに沿って延びていればよく、第1側辺部分P3が第3軸Zに対して多少傾いていてもよいし、第1側辺部分P3が曲線を含んでいてもよい。また、第1側辺部分P3と同様に、第2側辺部分P4は、第3軸Zに平行に延びていなくてもよい。第2側辺部分P4は第3軸Zに沿って延びていればよく、第2側辺部分P4が第3軸Zに対して多少傾いていてもよいし、第2側辺部分P4が曲線を含んでいてもよい。
【0133】
・第1斜辺部分P5は、直線状でなくてもよい。第1斜辺部分P5は、多少の曲線を含んでいてもよい。第1斜辺部分P5と負うように、第2斜辺部分P6は、直線状でなくてもよい。第2斜辺部分P6は、多少の曲線を含んでいてもよい。
【0134】
・インダクタ配線30の構成は、上記実施形態の例に限られない。少なくとも下辺部分P2を有していれば、例えば、複数の配線部のみで構成されていてもよい。つまり、ビアを省略してもよい。
【0135】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
<1>
6つの外面を有する直方体状の素体と、
前記素体の内部で延びているインダクタ配線と、
を備え、
前記素体は、前記インダクタ配線の第1端に接続している第1電極と、前記インダクタ配線の第2端に接続している第2電極と、を有し、
前記素体の6つの外面のうち、特定の1つの面を主面とし、前記主面に垂直な面の1つを第1端面とし、前記第1端面に平行な面を第2端面とし、前記主面及び前記第1端面のいずれにも垂直な面の1つを底面としたとき、
前記インダクタ配線は、前記底面に最も近い箇所を含み、且つ前記底面に沿って延びる下辺部分を有しており、
前記下辺部分の前記第1端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第1仮想平面とし、
前記下辺部分の前記第2端面側の端を含み、前記第1端面に平行な仮想平面を第2仮想平面とし、
前記素体のうち、前記第1仮想平面から前記第2仮想平面までの範囲を配線範囲としたとき、
前記第1電極は、前記底面において前記素体の外部に露出する底面電極部分、及び前記底面において前記素体の外部に露出する突起部分を有しており、
前記底面電極部分は、前記第1端面から前記配線範囲における前記第1端面側の端までの範囲内のみに位置しており、
前記突起部分は、前記底面電極部分における前記第2端面側の端から前記第2端面側に向けて突出しており、
前記主面に垂直な方向での前記突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記底面電極部分の最大寸法よりも小さくなっており、
前記底面における前記突起部分の少なくとも一部は、前記配線範囲内に位置している
インダクタ部品。
【0136】
<2>
前記底面での前記底面電極部分における第1端面側の端は、前記底面の第1端面側の端と一致しており、
前記第1端面に垂直な方向での前記第1端面から前記突起部分の前記第2端面側の端までの最大寸法は、前記第1端面に垂直な方向での前記底面の最大寸法の4分の1倍以上2分の1倍未満である
<1>に記載のインダクタ部品。
【0137】
<3>
前記インダクタ配線は、前記第1端から前記主面に平行に延びる第1端配線部と、前記第2端から前記主面に平行に延びる第2端配線部と、を有しており、
前記第2端配線部は、前記第1端配線部と同じ層に存在しておらず、
前記突起部分は、前記第2端配線部と前記主面に平行な方向に重なる前記素体内の範囲には存在していない
<1>又は<2>に記載のインダクタ部品。
【0138】
<4>
前記底面電極部分は、前記底面において四角形状であり、
前記底面において、前記第1端面に垂直な方向での前記底面電極部分の前記第2端面側の端と前記第2電極の前記第1端面側の端との間隔を第1ギャップとしたとき、前記第1ギャップは、前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも大きくなっており、
前記底面において、前記第1端面に垂直な方向での前記突起部分の前記第2端面側の端と前記第2電極の前記第1端面側の端との間隔を第2ギャップとしたとき、前記第2ギャップは、前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも小さくなっている
<1>~<3>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0139】
<5>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記下辺部分の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法は、前記周回経路の前記第1端面に垂直な方向の最大寸法よりも小さくなっている
<1>~<4>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0140】
<6>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記突起部分は、前記配線部と前記主面に平行な方向に重なる前記素体内の範囲のみに存在している
<1>~<5>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0141】
<7>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記突起部分は、前記ビアと前記主面に平行な方向に重なる前記素体の範囲内のみに存在している
<1>~<5>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0142】
<8>
前記底面に垂直な方向を向いて視たときに、前記底面上に前記第1電極が露出している形状は、前記底面上に前記第2電極が露出している形状に対して、前記底面の幾何中心を中心とする2回対称形状ではない
<1>~<7>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0143】
<9>
前記底面電極部分を第1底面電極部分、前記突起部分を第1突起部分としたとき、
前記第2電極は、前記底面において前記素体の外部に露出する第2底面電極部分、及び前記底面において前記素体の外部に露出する第2突起部分を有しており、
前記第2底面電極部分は、前記第2端面から前記配線範囲における前記第2端面側の端までの範囲内のみに位置しており、
前記第2突起部分は、前記第2底面電極部分における前記第1端面側の端から前記第1端面側に向けて突出しており、
前記主面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記第2底面電極部分の最大寸法よりも小さくなっており、
前記底面における前記第2突起部分の少なくとも一部は、前記配線範囲内に位置する
<1>~<8>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0144】
<10>
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記主面に垂直な方向での前記第1突起部分の最大寸法は、前記主面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法と異なっている
<9>に記載のインダクタ部品。
【0145】
<11>
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記第1端面に垂直な方向での前記第1突起部分の最大寸法は、前記第1端面に垂直な方向での前記第2突起部分の最大寸法と異なっている
<9>又は<10>に記載のインダクタ部品。
【0146】
<12>
前記第1底面電極部分の形状及び寸法が、前記第2底面電極部分の形状及び寸法と同一であり、
前記第1突起部分の数は、前記第2突起部分の数と異なっている
<9>~<11>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0147】
<13>
前記第1突起部分は、前記第2突起部分と前記主面に平行な方向に重なる前記素体内の範囲に位置していない
<9>~<12>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0148】
<14>
前記第1電極を覆う第1被覆電極を、さらに備える
<1>~<13>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0149】
<15>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
複数の前記配線部は、前記第1端面に沿って延びる側辺部分と、前記下辺部分及び前記側辺部分を斜め方向に接続する斜辺部分と、を有している
<1>~<14>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0150】
<16>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記素体の6つの外面のうち、前記底面と平行な面を天面としたとき、
複数の前記配線部は、前記天面に沿って延びる上辺部分を備えており、
前記上辺部分は、前記下辺部分よりも前記天面側に位置している
<1>~<15>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【0151】
<17>
前記インダクタ配線は、前記主面と平行に延びる複数の配線部と、複数の前記配線部を前記主面に垂直な方向に接続するビアと、を有しており、
前記主面に垂直な方向を向いて視たときに、複数の前記配線部は、周回する周回経路を有しており、
前記素体の6つの外面のうち、前記底面と平行な面を天面とし、
複数の前記配線部は、前記第1端面に沿って延びる第1側辺部分と、前記下辺部分及び前記第1側辺部分を斜め方向に接続する第1斜辺部分と、前記天面に沿って延びる上辺部分と、前記第2端面に沿って延びる第2側辺部分と、前記下辺部分及び前記第2側辺部分を斜め方向に接続する第2斜辺部分と、を有しており、
前記上辺部分は、前記下辺部分よりも前記天面側に位置しており、
前記第2側辺部分は、前記第1側辺部分よりも前記第2端面側に位置しており、
前記第2斜辺部分は、前記第1斜辺部分よりも前記第2端面側に位置しており、
前記周回経路は、前記下辺部分、前記第1斜辺部分、前記第1側辺部分、前記上辺部分、前記第2側辺部分、及び前記第2斜辺部分によって構成されている
<1>~<16>のいずれか1つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0152】
10,110,210,310,410,510,610…インダクタ部品
11…素体
20…絶縁部
30…インダクタ配線
40…第1電極
40A…第1底面電極部分
40C…第1突起部分
50…第2電極
50A…第2底面電極部分
50C…第2突起部分