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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003146
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】在庫管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q10/087
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193513
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2019017414の分割
【原出願日】2019-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 健一
(72)【発明者】
【氏名】新戸 健吾
(72)【発明者】
【氏名】塩川 京介
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
(57)【要約】
【課題】商品の在庫を引き当てる場合に、1つの倉庫を指定するだけで、指定された倉庫に在庫がなくても自動的に在庫を引き当てることが可能な在庫管理装置を提供すること。
【解決手段】本実施の形態に係る在庫管理装置は、倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタと、倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データと、受注する場合に、倉庫、商品、及び数量を入力する受注入力処理手段と、前記在庫
データを参照し、前記受注入力処理手段で入力された倉庫、商品、及び数量について、当該倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理手段と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備えた在庫管理装置であって、
前記記憶部には、
倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタと、
倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データと、
が格納されており、
前記制御部は、
受注する場合に、オペレータの操作に応じて指定される、当該オペレータの所属する自拠点の倉庫、商品、及び数量を入力する受注入力処理手段と、
前記在庫データを参照し、前記受注入力処理手段で入力された倉庫、商品、及び数量について、当該倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理手段と、
を備えことを特徴とする在庫管理装置。
【請求項2】
前記倉庫マスタには、前記上位の倉庫について更に上位の倉庫を登録可能であり、
前記在庫引当処理手段は、
当該上位の倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該上位の倉庫に対応する更に上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該更に上位の倉庫の在庫を引き当てることを特徴とする請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記記憶部には、
さらに、商品と、当該商品と互換性のある互換性商品とを関連づけて登録した互換性品番マスタが格納されており、
前記在庫引当処理手段は、
前記上位の倉庫に在庫が無い場合には、前記互換性品番マスタを参照し、当該商品に対応する互換性商品について、当該倉庫、当該上位の倉庫の順に在庫があるか否かを確認し、在庫のある倉庫の在庫を引き当てることを特徴とする請求項1又は2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記互換性品番マスタでは、互換性のある互換性商品を複数登録可能であり、さらに、各互換性商品について、在庫を引き当てる優先順位を登録可能であり、
前記在庫引当処理手段は、
前記互換性品番マスタにおいて、商品に対応する互換性商品が複数ある場合には、優先順位に従って倉庫の在庫を引き当てることを特徴とする請求項3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
前記記憶部には、
商品と仕入先とを関連づけて登録した品番マスタが格納されており、
前記制御部は、
前記商品に対応する互換性商品について在庫がない場合には、前記品番マスタを参照して、前記商品に対応する仕入先に発注する発注処理手段を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の在庫管理装置。
【請求項6】
前記在庫引当処理手段は、倉庫に入力された数量の全数の在庫がある場合に、在庫の引当を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の在庫管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、倉庫在庫の引き当てを行うシステムとして特許文献1がある。特許文献1のシステムでは、初期処理部は倉庫決定テーブル,ルート決定テーブル,輸配送リードタイム決定テーブルを参照して各受注オーダ毎に、関係する倉庫の階層,各倉庫間及び送り先への輸配送ルート,各倉庫間及び送り先のリードタイムを決定する。倉庫別引当処理部はこの決定された情報と輸配送便決定テーブルを参照して各受注オーダ毎に、上位倉庫から順に下位倉庫まで受注数量,納期を満たす在庫引当の可能性を判定しつつ引当明細ファイル更新情報と配送オーダとを作成する。ファイル更新部は倉庫別引当処理部において全受注数量を納期までに満たすと判定された受注オーダに関し作成された引当明細ファイル更新情報及び配送オーダに基づき引当明細ファイル及び配送オーダファイルを更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-28369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、商品の在庫を引き当てる場合に、1つの倉庫を指定することで、自動的に在庫を引き当てることに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、商品の在庫を引き当てる場合に、1つの倉庫を指定するだけで、指定された倉庫に在庫がなくても自動的に在庫を引き当てることが可能な在庫管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部及び制御部を備えた在庫管理装置であって、前記記憶部には、倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタと、倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部は、受注する場合に、倉庫、商品、及び数量を入力する受注入力処理手段と、前記在庫データを参照し、前記受注入力処理手段で入力された倉庫、商品、及び数量について、当該倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理手段と、を備えことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記倉庫マスタには、前記上位の倉庫について更に上位の倉庫を登録可能であり、前記在庫引当処理手段は、当該上位の倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該上位の倉庫に対応する更に上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該更に上位の倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記記憶部には、さらに、商品と、当該商品と互換性のある互換性商品とを関連づけて登録した互換性品番マスタが格納されており、前記在庫引当処理手段は、前記上位の倉庫に在庫が無い場合には、前記互換性品番マスタを参照し、当該商品に対応する互換性商品について、当該倉庫、当該上位の倉庫の順に在庫があるか否かを確認し、在庫のある倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記互換性品番マスタでは、互換性のある互換性商品を複数登録可能であり、さらに、各互換性商品について、在庫を引き当てる優先順位を登録可能であり、前記在庫引当処理手段は、前記互換性品番マスタにおいて、商品に対応する互換性商品が複数ある場合には、優先順位に従って倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記記憶部には、商品と仕入先とを関連づけて登録した品番マスタが格納されており、前記制御部は、前記商品に対応する互換性商品について在庫がない場合には、前記品番マスタを参照して、前記商品に対応する仕入先に発注する発注処理手段を備えてもよい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記在庫引当処理手段は、倉庫に入力された数量の全数の在庫がある場合に、在庫の引当を行うことにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための在庫管理方法であって、前記記憶部には、倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタと、倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部において実行される、受注する場合に、倉庫、商品、及び数量を入力する受注入力処理ステップと、前記在庫データを参照し、前記受注入力処理手段で入力された倉庫、商品、及び数量について、当該倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための在庫管理プログラムであって、前記記憶部には、
倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタと、倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データと、が格納されており、前記制御部において、受注する場合に、倉庫、商品、及び数量を入力する受注入力処理ステップと、前記在庫データを参照し、前記受注入力処理手段で入力された倉庫、商品、及び数量について、当該倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、前記倉庫マスタを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理ステップと、を実行させるための在庫管理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、商品の在庫を引き当てる場合に、1つの倉庫を指定するだけで、指定された倉庫に在庫がなくても自動的に在庫を引き当てることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施の形態に係る在庫管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、倉庫マスタの構成例を示す図である。
図3図3は、互換性品番マスタの構成例を示す図である。
図4図4は、品番マスタの構成例を示す図である。
図5図5は、在庫データの構成例を示す図である。
図6図6は、本実施の形態に係る在庫管理装置の在庫の引当のロジックのフローを示す図である。
図7図7は、入力品番で自拠点在庫を引き当てる例(図6のステップS1,S2)を説明するための図である。
図8図8は、パーツセンタで指定した品番で在庫を引き当てる例(図6のステップS3,S4)を説明するための図である。
図9図9は、パーツセンタで互換品番の在庫を引き当てる例(図6のステップS7,S8)を説明するための図である。
図10図10は、在庫引当が不可のケースの例(図6のステップS9)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
例えば、機械関連の保守サポート業務では、大型製品を納入後の保守サポートにおいて、パーツ・部品の交換に伴う部品の発注等で多品種の商品を大量に、取り扱うことが多い。通常の卸業を営む場合は、商品が倉庫に保管され、指定した倉庫に在庫があるかを確認した上で在庫の引当や出荷指示を行うケースが殆どである。従来は、担当者が倉庫の各々の在庫を確認しながら作業を実施していた。
【0018】
サービス部門の営業所の倉庫に保管している在庫とは別にパーツセンタ等で抱えている在庫も存在している場合、一つ一つ部品がどこに在庫があるかを確認しながら作業せず、自動的に在庫のある場所から出荷できるような仕組みが望まれる。また、倉庫に在庫が存在しなかった場合は、自動的に外部へ調達できるような仕組みが望まれる。
【0019】
そこで、本実施の形態では、多段階でオペレータが指定した倉庫に対して在庫が無かった場合、上位の倉庫在庫を自動的に探し、受注を受けた全数の数量が存在した倉庫に対して在庫の引当を行い、存在しなかった場合は、発注に回すことが可能なシステム構成とした。また、部品に関してはマイナーチェンジが激しいため、本実施の形態では、代替品があればその代替品も探して引当できるようなシステム構成とした。
【0020】
[2.構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る在庫管理装置の一例について説明する。図1は、本実施の形態に係る在庫管理装置の構成の一例を示すブロック図である。図1において、在庫管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、在庫管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。在庫管理装置100は、図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。在庫管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、在庫管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、在庫管理装置100と端末装置400・・・とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。端末装置400・・・は、例えば、倉庫、パーツセンタ、営業所等の端末装置である。
【0022】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0023】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。
【0024】
また、記憶部106は、倉庫マスタ106aと、互換性品番マスタ106bと、品番マスタ106cと、在庫データファイル106dとを備えている。図2は、倉庫マスタ106aの構成例を示す図である。図3は、互換性品番マスタ106bの構成例を示す図である。図4は、品番マスタ106cの構成例を示す図である。図5は、在庫データの構成例を示す図である。マスタは分割したり統合して構成することが可能である。従って、倉庫マスタ106a、互換性品番マスタ106b、及び品番マスタ106cは、図2図4に示す構成に限られるものではない。
【0025】
倉庫マスタ106aは、倉庫と当該倉庫の上位の倉庫を指定するためのマスタであり、上位の引当先倉庫コードを保持するためのマスタである。本実施の形態では、営業所倉庫を下位の倉庫、パーツセンタを上位の倉庫とする。倉庫マスタ106aは、図2に示すように、倉庫コード(CD)、倉庫名、及び引当先倉庫コードのデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。図2に示す例では、1行目が、倉庫コード「S010」、倉庫名「東京営業所倉庫」、及び引当先倉庫コード「S100」、2行目が、倉庫コード「S020」、倉庫名「大阪営業所倉庫」、及び引当先倉庫コード「S200」、3行目が、倉庫コード「S100」、倉庫名「東京パーツセンタ」、4行目が、倉庫コード「S200」、倉庫名「大阪パーツセンタ」となっている。
【0026】
互換性品番マスタ106bは、旧品番に対してマイナーチェンジがあった場合に、上位互換としての新品番を設定するためのマスタである。互換性品番マスタ106bは、図3に示すように、商品コード(単に「品番」ともいう)、互換先商品コード(単に「互換品番」ともいう)及び優先順位のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。図3に示す例では、1行目が、商品コード「A0001」、互換先商品コード「AA001」、優先順位「1」、2行目が、商品コード「A0001」、互換先商品コード「AA002」、優先順位「2」となっている。
【0027】
品番マスタ106cは、主要仕入先を設定し、引当在庫が存在しなかった場合の仕入先を指定するためのマスタである。品番マスタ106cは、図4に示すように、商品と主要仕入先のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。図4に示す例では、1行目が、商品「A0001」、主要仕入先「株式会社〇〇」、2行目が、商品「AA001」、主要仕入先「株式会社〇〇」、3行目が、商品「AA002」、主要仕入先「株式会社〇〇」となっている。
【0028】
在庫データファイル106dは、在庫データを格納するためのファイルである。在庫データは、図5に示すように、倉庫コード、倉庫名、商品コード、数量、引当済数、及び出荷可能数のデータを含んでいてもよい。図5に示す例では、1行目が、倉庫コード「S010」、倉庫名「東京営業所倉庫」、商品コード「A0001」、数量「8個」、引当済数「0個」、及び出荷可能数「8個」、2行目が、倉庫コード「S100」、倉庫名「東京パーツセンタ」、商品コード「A0001」、数量「30個」、引当済数「10個」、及び出荷可能数「20個」、3行目が、倉庫コード「S100」、倉庫名「東京パーツセンタ」、商品コード「AA001」、数量「50個」、引当済数「0個」、及び出荷可能数「50個」となっている。
【0029】
図1に戻り、制御部102は、在庫管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、受注入力処理部102aと、在庫データ処理部102bと、在庫引当処理部102cと、発注処理部102dと、画面表示制御部102eと、マスタメンテ部102fと備えている。
【0030】
受注入力処理部102aは、例えばモニタ114に表示される不図示の受注入力画面上でのオペレータの操作に応じて、倉庫、商品、及び数量を入力し、在庫の引当(又は発注)が行われた場合に受注入力を登録する。
【0031】
在庫データ処理部102bは各倉庫の商品の入荷・出荷等に伴う在庫状況を確認して、在庫データファイル106dの在庫データを更新する。
【0032】
在庫引当処理部102cは、在庫データファイル106dの在庫データを参照して、受注入力処理部102aで入力(指定)された倉庫、商品、及び数量について、指定された倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、倉庫マスタ106aを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当て、在庫データを更新する。
【0033】
倉庫マスタ106aは、上位の倉庫について更に上位の倉庫を登録可能であり、在庫引当処理部102cは、当該上位の倉庫に在庫がない場合には、倉庫マスタ106aを参照し、当該上位の倉庫に対応する更に上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該更に上位の倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0034】
在庫引当処理部102cは、上位の倉庫に在庫が無い場合には、互換性品番マスタ106bを参照し、当該商品に対応する互換性商品について、倉庫、上位の倉庫の順に在庫があるか否かを確認し、の在庫のある倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0035】
在庫引当処理部102cは、互換性品番マスタ106bにおいて、商品に対応する互換性商品が複数ある場合には、優先順位に従って倉庫の在庫を引き当てることにしてもよい。
【0036】
在庫引当処理部102cは、倉庫に入力された数量の全数の在庫がある場合に、在庫の引当を行うことにしてもよい。
【0037】
発注処理部102dは、商品に対応する互換性商品について全数の在庫がない場合には、品番マスタ106cを参照して、商品に対応する仕入先に発注する発注処理を行う。
【0038】
画面表示制御部102eは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、受注入力画面、発注入力画面等)の各種画面の表示・入力の受付を制御する。
【0039】
マスタメンテ部102fは、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、倉庫マスタ106a、互換性品番マスタ106b、品番マスタ106cに対して、データの入力・追加・変更・更新等の編集(設定)を行う。
【0040】
[3.具体例]
本実施の形態に係る在庫管理装置100の処理の具体例について、図1図10を参照して説明する。図6は、在庫引当処理部102cの在庫引当のロジックの一例を説明するためのフローを示す図である。以下に説明する具体例では、営業所倉庫を自拠点倉庫(下位の倉庫)と称し、その上位の倉庫をパーツセンタとする。また、以下の具体例では、倉庫に、指定された数量の全数の在庫がある場合に当該倉庫の在庫を引き当てる例について説明する。なお、倉庫に、指定された数量の全数の在庫がなくても、引当可能な数の在庫を順次引き当てることにしてもよい。
【0041】
図6を参照して、在庫引当処理部102cの在庫引当のロジックの一例を説明する。図6において、受注入力処理部102aがモニタ114に表示される受注入力画面(図7図10参照)上でのオペレータの操作に応じて、倉庫コード、商品コード(品番)、及び数量を指定すると、在庫引当処理部102cは、在庫データを参照して、入力品番の商品について、自拠点倉庫(指定された倉庫)に指定された数量の全数の在庫があるか否か確認する(ステップS1)。
【0042】
在庫引当処理部102cは、自拠点在庫がある場合には(ステップS1の「Yes」)、入力品番で自拠点在庫を引き当てる(ステップS2)。
【0043】
在庫引当処理部102cは、自拠点在庫がない場合には(ステップS1の「No」)、倉庫マスタ106aを参照し、自拠点倉庫に対応する上位の倉庫であるパーツセンタを取得し、次に、在庫データを参照し、入力品番の商品について、取得したパーツセンタに指定された数量の全数の在庫があるか否か確認する(ステップS3)。
【0044】
在庫引当処理部102cは、パーツセンタに在庫がある場合には(ステップS3の「Yes」)、入力品番でパーツセンタの在庫を引き当てる(ステップS4)。
【0045】
在庫引当処理部102cは、パーツセンタに在庫がない場合には(ステップS3の「No」)、互換性品番マスタ106bを参照し、入力品番に対応する互換品番(互換先商品コード)を優先順位順に取得し、取得した互換品番の商品について、自拠点在庫に在庫があるか否か確認する(ステップS5)。互換品番の商品について、自拠点在庫がある場合には(ステップS5の「Yes」)、互換品番で自拠点在庫を引き当てる(ステップS6)。
【0046】
在庫引当処理部102cは、互換品番の商品について、自拠点在庫がない場合には(ステップS5の「No」)、互換品番でパーツセンタに在庫があるか否かを確認する(ステップS7)。互換品番でパーツセンタに在庫がある場合には(ステップS7の「Yes」)、互換品番でパーツセンタの在庫を引き当てる(ステップS8)。
【0047】
ステップS5~S8では、有効な互換品番があるだけ、優先順位順に、自拠点在庫、パーツセンタ在庫の順に在庫の確認を繰り返す。具体的には、まず、優先順位「1」の互換品番について、自拠点在庫、パーツセンタ在庫の順に在庫を確認し、次に、優先順位「2」の互換品番について、自拠点在庫、パーツセンタ在庫の順に在庫を確認し、これを優先順位順に繰り返す。
【0048】
図7図10を参照して、図6のフローの具体例を説明する。図7図10は、図6のフローの具体例を説明するための図である。以下の説明では、上記図2図5のマスタ及び在庫データのデータ例を使用する。
【0049】
図7は、入力品番で自拠点在庫を引き当てる例(図6のステップS1,S2)を説明するための図である。
【0050】
図7において、図7(A)は受注入力画面500の一例を示す図である。図7(A)に示す受注入力画面500(登録前)の例では、受注番号、倉庫、受注日、商品コード、数量を入力する欄が設けられている。オペレータが倉庫、受注日、商品コード、数量を入力すると、在庫の確認が行われ、在庫の引き当てが行われる。受注番号は受注入力の登録時に自動採番される。
【0051】
図7(A)に示す受注入力画面500の例では、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」、受注日「2018/7/20」、商品コード「A0001」、数量「5」が入力されている。
【0052】
図7(B)に示す在庫データにおいて、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」の商品コード「A0001」の出荷可能数は「8個」であるので、引き当て可能である。倉庫コード「S010」の在庫を引き当て、図7(D)に示すように、引当済数を「0個」から「5個」に、出荷可能数を「8個」から「3個」に更新する。在庫が引当可能である場合には、図7(C)に示すように、受注番号「J0001」が自動採番されて受注入力が登録される。
【0053】
図8は、パーツセンタで指定した品番で在庫を引き当てる例(図6のステップS3,S4)を説明するための図である。
【0054】
図8において、図8(A)に示す受注入力画面500(登録前)の例では、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」、受注日「2018/7/20」、商品コード「A0001」、数量「15」が入力されている。
【0055】
図8(B)に示す在庫データにおいて、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」の商品コード「A0001」の出荷可能数は「8個」であるので、引き当てることはできない。倉庫マスタ106aにおいて、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」には、引当先倉庫コード「S100(東京パーツセンタ)」が設定されているので、倉庫コード「S100(東京パーツセンタ)」の在庫を確認すると、倉庫コード「S100」の商品コード「A0001」の出荷可能数は「20個」であるので、倉庫コード「S100」の在庫を引き当る。図8(D)に示すように、引当済数を「10個」から「25個」に、出荷可能数を「20個」から「5個」に更新する。また、図8(C)に示すように、倉庫コード「S100(東京パーツセンタ)」が変更され、受注番号「J0001」が自動採番されて受注入力が登録される。
【0056】
図9は、パーツセンタにおいて互換品番で在庫を引き当てる例(図6のステップS7,S8)を説明するための図である。
【0057】
図9において、図9(A)に示す受注入力画面500の例では、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」、受注日「2018/7/20」、商品コード「A0001」、数量「40」が入力されている。
【0058】
図9(B)に示す在庫データの例では、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」の商品コード「A0001」の出荷可能数は「20個」であるので、倉庫コード「S010」の在庫を引き当てることができない。互換性品番マスタ106bにおいて、商品コード「A0001」には、優先順位「1」の互換性商品コード「AA001」が設定されているので、互換性商品コード「AA001」について在庫データを参照すると、まず、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」の在庫がないため、倉庫コード「S100(東京パーツセンタ)」の在庫を確認すると、出荷可能数は「50個」であるので、倉庫コード「S100」の在庫を引き当る。図9(D)に示すように、引当済数を「0個」から「40個」に、出荷可能数を「50個」から「10個」に更新する。また、図9(C)に示すように、倉庫コード「S100(東京パーツセンタ)」、商品コード「AA001」に変更され、受注番号「J0001」が自動採番されて受注入力が登録される。
【0059】
図10は、在庫引当が不可のケースの例(図6のステップS9)を説明するための図である。
【0060】
図10において、図10(A)に示す受注入力画面500の例では、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」、受注日「2018/7/20」、商品コード「A0001」、」数量「80」が入力されている。
【0061】
図10(B)に示す在庫データにおいて、商品コード「A0001」の数量「80」については、互換性品番「AA001」、「AA002」を含め、倉庫コード「S010(東京営業所倉庫)」及び「S100(東京パーツセンタ)」に在庫がないので、発注を行う。具体的には、品番マスタ106cを参照して、商品コード「A0001」に対応する仕入先「株式会社〇〇」に発注を行う。また、図10(C)に示すように、仕入先「株式会社〇〇」が追加されて、受注番号「J0001」が自動採番されて受注入力が登録される。発注を行う場合は受発注データとして処理する。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態によれば、倉庫と、当該倉庫の上位の倉庫とを関連づけて登録した倉庫マスタ106aと、倉庫と、商品と、当該商品の出荷可能数を含む在庫データとを格納した記憶部106と、受注する場合に、倉庫、商品、及び数量を指定する受注入力処理部102aと、在庫データを参照し、受注入力処理部102aで指定された倉庫、商品、及び数量について、指定された倉庫に在庫が有るか否かを確認し、在庫がある場合には、当該倉庫の在庫を引き当て、当該倉庫に在庫がない場合には、倉庫マスタ106aを参照し、当該倉庫に対応する上位の倉庫に在庫があるか否かを確認し、在庫がある場合には、当該上位の倉庫の在庫を引き当てる在庫引当処理部102cを備えているので、商品の在庫を引き当てる場合に、1つの倉庫を指定するだけで、指定された倉庫に在庫がなくても上位の倉庫を検索して自動的に在庫を引き当てることが可能となる。
【0063】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0064】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0065】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0066】
また、在庫管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0067】
例えば、在庫管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて在庫管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0068】
また、このコンピュータプログラムは、在庫管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0070】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0071】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0072】
また、在庫管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、在庫管理装置100は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0073】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 在庫管理装置
102 制御部
102a 受注入力処理部
102b 在庫データ処理部
102c 在庫引当処理部
102d 発注処理部
102e 画面表示制御部
102f マスタメンテ部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 倉庫マスタ
106b 互換性品番マスタ
106c 品番マスタ
106d 在庫データファイル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
400 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10