IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプス電気株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031463
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】カバーを有する電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135028
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直人
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB12
4E360BA03
4E360BC04
4E360BC05
4E360BC06
4E360EA03
4E360EA18
4E360EB03
4E360EC03
4E360EE02
4E360GA28
4E360GA46
4E360GB99
4E360GC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置本体にカバーを簡単に装着でき、装着後のがたつきノイズの発生を抑制できるカバーを有する電子装置を提供する。
【解決手段】車載用表示装置1において、装置本体2が有する筐体4とカバー3との間の筐体4には、突き当て案内部10Aと、規制案内部10Bと、掛止機構30f、30rが設けられている。カバー3の側壁部3aの規制突部28を導入開口部22に挿入して、第1突き当て突部及び第2突き当て突部16を突き当て摺動部11a、12aに突き当て、カバー3を掛止力作用方向(Y1方向)へスライドさせると、規制突部28が規制案内部10Bで規制されながら、カバー3が移動し、突状掛止部31が保持穴34に挿入されて掛止される。この掛止状態で、突き当て案内部10Aと規制案内部10Bでのカバー3と筐体4との接触が解除される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、前記装置本体に取り付けられるカバーと、を有する電子装置において、
前記装置本体と前記カバーの一方に、突状掛止部が、他方に、前記突状掛止部を保持する保持穴または保持凹部が設けられ、前記カバーを所定の掛止力作用方向に移動させることで、前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止されて前記カバーが前記装置本体に組み付けられ、
前記装置本体と前記カバーとの間には、前記カバーを、前記掛止力作用方向と交差する方向へ規制しつつ前記掛止力作用方向への移動を可能とする規制案内部が設けられており、
前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止されて前記カバーの前記装置本体への組み付けが完了したときに、前記規制案内部による規制が解除される、ことを特徴とするカバーを有する電子装置。
【請求項2】
前記装置本体と前記カバーとの間には、前記カバーを、前記掛止力作用方向と交差する向きで前記装置本体に押し付けたときに、互いに突き当てられる突き当て案内部が設けられており、
前記突き当て案内部での突き当て状態を維持したまま、前記カバーを前記掛止力作用方向へ移動させる途中で、前記規制案内部での規制と案内とが開始される請求項1記載のカバーを有する電子装置。
【請求項3】
前記規制案内部は、
前記カバーを前記装置本体から離れないように縦方向へ規制しつつ前記掛止力作用方向へ案内する縦規制案内部と、
前記縦規制案内部に沿って前記掛止力作用方向へ移動した前記カバーを、前記装置本体に接近させて、前記突状掛止部を前記保持穴または保持凹部に掛止可能な位置に対向させる接近規制案内部と、
を含む請求項1または2記載のカバーを有する電子装置。
【請求項4】
前記規制案内部は、前記カバーを、前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へさらに規制しながら案内する請求項3記載のカバーを有する電子装置。
【請求項5】
前記規制案内部は、前記カバーと前記装置本体のいずれか一方に形成されて前記掛止力作用方向に延びる規制長穴と、他方に設けられた規制突部とを有し、
前記規制突部が、前記規制長穴を移動するときに、前記カバーが、前記装置本体から離れないように縦方向へ規制され且つ前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へ規制されつつ、前記掛止力作用方向へ案内される請求項1記載のカバーを有する電子装置。
【請求項6】
前記装置本体と前記カバーとの間には、前記カバーを前記掛止力作用方向と交差する向きで前記装置本体に押し付けて、前記規制突部を前記規制長穴と連続する導入開口部に挿入したときに、互いに突き当てられる突き当て案内部が設けられており、
前記突き当て案内部での突き当て状態を維持したまま、前記カバーを前記掛止力作用方向へ移動させる途中で、前記規制案内部での規制と案内とが開始される請求項5記載のカバーを有する電子装置。
【請求項7】
前記規制突部が前記規制長穴を移動して、前記カバーが前記掛止力作用へ案内される途中で、前記カバーが、前記装置本体に接近する方向へ案内されて、前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止可能な位置に対向させられる請求項5または6記載のカバーを有する電子装置。
【請求項8】
前記突状掛止部は、
前記保持穴または保持凹部内に挿入されたときに、前記カバーを、前記装置本体から離れないように縦方向へ拘束し且つ前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へ拘束する拘束突部と、
前記カバーが前記掛止力作用方向へ動かないように掛止する掛止突部と、
を有する請求項1,2,5,6のいずれかに記載のカバーを有する電子装置。
【請求項9】
前記装置本体は、車室内の天井部に設置されるものであり、前記装置本体の前面に表示画面が設けられ、前記装置本体の背部に設けられた車両への取り付け機構が前記カバーで覆われる請求項1,2,5,6のいずれかに記載のカバーを有する電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置などの各種の電子機能を有する電子装置に係るものであり、装置本体にカバーが掛止されて固定される構造の電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケースにカバーが掛止されて固定された電子機器筐体が記載されている。この電子機器筐体は、上方に向く開口部を有するケースの両壁部の内側に、互いに対向する2組の係合リブが設けられている。係合リブは弾性を有する板状であり、それぞれにスライド溝が形成されている。スライド溝は、係合リブの一端側に開放され、この開放側がケースから離れて高くなるように傾斜している。また、前記両壁部と直交する他の一端壁に形成された係合リブには2つの孔が形成されている。カバーの両壁部の内側には、各スライド溝に対応する2組の係合爪が設けられ、これら係合爪は各スライド溝と同じ角度の傾斜面を有している。また、カバーの一端壁には、前記孔に対応する2つの嵌合突起が設けられている。
【0003】
カバーをケースに結合させるときは、カバーの一端壁に設けられた嵌合突起をケースの一端壁に形成された孔に挿入し、この嵌合突起と孔との挿入部を支点として、カバーをケースに向けて押し込むように回動させる。このとき、カバーの係合爪が、ケースのスライド溝を有する係合リブの外面を摺動し、さらにカバーをケースに向けて押し込むと前記係合リブが弾性変形し、その後、係合爪とスライド溝とが弾性的に係合して、カバーがケースに組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-130382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された電子機器筐体は、カバーをケースに結合させるときに、最初に、カバーの一端壁に設けられた嵌合突起をケースの一端壁に形成された孔に位置合わせして挿入する作業が必要であるが、このときの位置合わせが煩雑である。特に、カバーがケースの背部に設けられ、作業者が、係合突起と孔の位置を直接に目視することなく組み付けざるを得ない場合には、前記位置合わせと挿入作業が困難である。
【0006】
特許文献1に記載された電子機器筐体は、カバーがケースに組み合わされた後に、ねじによってカバーとケースとが互いに固定される。しかし、このようなねじを使用せずに、カバーとケースとが、嵌合突起と孔との挿入部および係合爪とスライド溝との係合部のみによって互いに組み付け状態を維持する構造の場合には、カバーとケースとの間の係合部の箇所が多くなりすぎ、外部振動が作用したときに、係合部のがたつきに起因するノイズが発生しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、カバーを装置本体に取り付ける作業を容易にでき、カバーが装置本体に組み付けられた後は、装置本体とカバーとが当たる個所を最少限にして、がたつきに起因するノイズが発生しにくい構造とした、カバーを有する電子装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカバーを有する電子装置は、装置本体と、前記装置本体に取り付けられるカバーと、を有する電子装置において、
前記装置本体と前記カバーの一方に、突状掛止部が、他方に、前記突状掛止部を保持する保持穴または保持凹部が設けられ、前記カバーを所定の掛止力作用方向に移動させることで、前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止されて前記カバーが前記装置本体に組み付けられ、
前記装置本体と前記カバーとの間には、前記カバーを、前記掛止力作用方向と交差する方向へ規制しつつ前記掛止力作用方向への移動を可能とする規制案内部が設けられており、
前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止されて前記カバーの前記装置本体への組み付けが完了したときに、前記規制案内部による規制が解除される、ことを特徴とするものである。
【0009】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記装置本体と前記カバーとの間に、前記カバーを、前記掛止力作用方向と交差する向きで前記装置本体に押し付けたときに、互いに突き当てられる突き当て案内部が設けられており、
前記突き当て案内部での突き当て状態を維持したまま、前記カバーを前記掛止力作用方向へ移動させる途中で、前記規制案内部での規制と案内とが開始されることが好ましい。
【0010】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記規制案内部が、
前記カバーを前記装置本体から離れないように縦方向へ規制しつつ前記掛止力作用方向へ案内する縦規制案内部と、
前記縦規制案内部に沿って前記掛止力作用方向へ移動した前記カバーを、前記装置本体に接近させて、前記突状掛止部を前記保持穴または保持凹部に掛止可能な位置に対向させる接近規制案内部と、を含むことが好ましい。
【0011】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記規制案内部が、前記カバーを、前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へさらに規制しながら案内することが好ましい。
【0012】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記規制案内部が、前記カバーと前記装置本体のいずれか一方に形成されて前記掛止力作用方向に延びる規制長穴と、他方に設けられた規制突部とを有し、
前記規制突部が、前記規制長穴を移動するときに、前記カバーが、前記装置本体から離れないように縦方向へ規制され且つ前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へ規制されつつ、前記掛止力作用方向へ案内されるものとして構成できる。
【0013】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記装置本体と前記カバーとの間に、前記カバーを前記掛止力作用方向と交差する向きで前記装置本体に押し付けて、前記規制突部を前記規制長穴と連続する導入開口部に挿入したときに、互いに突き当てられる突き当て案内部が設けられており、
前記突き当て案内部での突き当て状態を維持したまま、前記カバーを前記掛止力作用方向へ移動させる途中で、前記規制案内部での規制と案内とが開始されるものが好ましい。
【0014】
この場合のカバーを有する電子装置は、前記規制突部が前記規制長穴を移動して、前記カバーが前記掛止力作用へ案内される途中で、前記カバーが、前記装置本体に接近する方向へ案内されて、前記突状掛止部が前記保持穴または保持凹部に掛止可能な位置に対向させられることが好ましい。
【0015】
本発明のカバーを有する電子装置は、前記突状掛止部が、
前記保持穴または保持凹部内に挿入されたときに、前記カバーを、前記装置本体から離れないように縦方向へ拘束し且つ前記縦方向と前記掛止力作用方向の双方に交差する横方向へ拘束する拘束突部と、
前記カバーが前記掛止力作用方向へ動かないように掛止する掛止突部と、
を有することが好ましい。
【0016】
本発明のカバーを有する電子装置は、例えば、前記装置本体が、車室内の天井部に設置されるものであり、前記装置本体の前面に表示画面が設けられ、前記装置本体の背部に設けられた車両への取り付け機構が前記カバーで覆われるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカバーを有する電子装置は、カバーを装置本体に組み込むときに、カバーを、規制案内部で規制しながら掛止力作用方向へスライドさせるだけで、突状掛止部を保持穴または保持凹部に確実に掛止させることができる。また、装置本体とカバーとの間に突き当て案内部を設けると、カバーと装置本体とを突き当て案内部で突き当てて掛止力作用方向へスライドさせるだけで、前記規制案内部での規制と案内が行われるようになり、カバーの装着作業がさらに容易になる。
【0018】
本発明のカバーを有する電子装置は、突状掛止部が保持穴または保持凹部に掛止されてカバーの前記装置本体への組み付けが完了したときに、規制案内部による規制が解除されるため、組み付けが完了した後は、規制案内部でカバーと装置本体とが当たることがなくなり、外部振動が作用したときのがたつきに起因するノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の電子装置の一例である車載用表示装置を前方斜め下方から見た斜視図、
図2図1に示された電子装置の装置本体を、表示画面を水平な向きで示し、カバーを取り外した状態で示す斜視図、
図3】カバーの組み付け行程において、カバーを装置本体に突き当てる作業を、示す、表示画面を水平な向きで示した部分斜視図、
図4A】カバーの組み付け行程において、突き当て案内部でカバーと装置本体とが突き当てられた状態を、斜め後方から見た部分斜視図、
図4B】カバーの組み付け行程において、突き当て案内部でカバーと装置本体とが突き当てられた状態を、斜め前方から見た部分斜視図、
図5A】カバーの組み付け行程において、突き当て案内部でカバーと装置本体とを突き当てた状態で、カバーを掛止力作用方向へスライドさせ、規制案内部の規制突部が規制長穴に入り込んだ状態を、斜め後方から見た部分斜視図、
図5B】カバーの組み付け行程において、突き当て案内部でカバーと装置本体とを突き当てた後にカバーを掛止力作用方向へスライドさせ、規制案内部の規制突部が規制長穴に入り込んだ状態を、斜め前方から見た部分斜視図、
図6】カバーがさらに掛止力作用方向へスライドさせられたときに、規制案内部の接近規制案内部で、カバーが装置本体に接近した位置に案内され、突状掛止部が保持穴に掛止可能な位置に対向した状態を、斜め後方から見た部分斜視図、
図7A】カバーがさらに掛止力作用方向へスライドさせられて、突状掛止部が保持穴に掛止されてカバーの装置本体への組み付けが完了した状態を、斜め後方から見た部分斜視図、
図7B】カバーがさらに掛止力作用方向へスライドさせられて、突状掛止部が保持穴に掛止されてカバーの装置本体への組み付けが完了した状態を、斜め前方から見た部分斜視図、
図8A】規制案内部と突き当て案内部でのカバーと装置本体との相対位置の変化を説明する部分断面図であり、図4A図4Bと同じ状態を示す、
図8B】規制案内部と突き当て案内部でのカバーと装置本体との相対位置の変化を説明する部分断面図であり、図5A図5Bと同じ状態を示す、
図8C】規制案内部と突き当て案内部でのカバーと装置本体との相対位置の変化を説明する部分断面図であり、図6と同じ状態を示す、
図8D】規制案内部と突き当て案内部でのカバーと装置本体との相対位置の変化を説明する部分断面図であり、図7A図7Bと同じ状態を示す、
図9】装置本体に形成された規制案内部と突き当て案内部の構造を示す部分断面斜視図、
図10】装置本体に形成された規制案内部ならびに突き当て案内部と、カバーに設けられた規制突部ならびに突き当て突部との相対位置の変化を示す断面図であり、図6に示したカバーと規制突部のスライド位置を(vi)で示し、図7A図7Bで示したカバーと規制突部の掛止完了位置を(vii)で示す。
図11A】装置本体に形成された規制案内部による、カバーに設けられた規制突部の拘束状態を示すものであり、図5Bに示すXIA-XIA断面図、
図11B】装置本体に形成された規制案内部による、カバーに設けられた規制突部の拘束状態を示すものであり、図6に示すXIB-XIB断面図、
【発明を実施するための形態】
【0020】
<車載用表示装置>
図1に本発明の実施形態の電子装置の一例として車載用表示装置1が示されている。車載用表示装置1は、装置本体2と、装置本体2の背部2bに組み付けられるカバー3とを有している。装置本体2は筐体4を有しており、筐体4内に表示ユニットと電子回路が内蔵されている。装置本体2の前面2aに表示ユニットの表示画面5が現われている。表示ユニットは、液晶表示素子またはエレクトロルミネッセンス素子などの表示素子を有している。
【0021】
図1では、自動車の車室内の天井部6に取り付けられた車載用表示装置1を、前方斜め下方から見た状態で示している。図2および図3ないし図7Bの各図では、装置本体2の背部2bの構造と、装置本体2へのカバー3の組み込み作業を見やすくするために、装置本体2を、その前面2aを図面上で水平に向けた状態で示している。
【0022】
車載用表示装置1は、Y1-Y2方向が装置本体2の前面2aを基準とした上下方向であり、Y1方向が上方向でY2方向が下方向である。また、Y1方向は、カバー3を装置本体2に組み込むときの「掛止力作用方向」である。X1-X2方向は、装置本体2の前面2aを基準とした左右方向であり、X1方向が左方向でX2方向が右方向である。また、X1-X2方向は、カバー3を装置本体2に組み込む作業に関して「横方向」である。図2などに示されるZ1-Z2方向は、装置本体2の前面2aを基準とした前後方向であり、Z1方向が前方でZ2方向が後方(背部方向)である。また、Z1-Z2方向は、カバー3を装置本体2に組み込む作業に関して「縦方向」である。Z1方向は、カバー3を装置本体2に組み込むときの「接近方向」であり突き当て方向でありさらに押し付け方向である、Z2方向は、カバー3の装置本体2からの「離反方向」である。
【0023】
図2に示されるように、装置本体2の背部の左右両側部に取り付け機構7が設けられている。図1に示されるように、車室内の天井部6に開口部8が形成されており、開口部8の内部に支持機構9が固定されている。取り付け機構7を支持機構9に連結することにより、装置本体2が天井部6に吊り下がるように固定される。装置本体2が天井部6に取り付けられた後に、カバー3が装置本体2の背部2bに固定され、取り付け機構7と支持機構9との連結部がカバー3で覆われる。
【0024】
図1に示されるように、装置本体2は、表示画面5が前方および下方へ斜めに向くように取り付けられる。そのため、カバー3を装置本体2の背部2bに組み込むときに、装置本体2とカバー3との間に設けられた案内機構10や掛止機構30f,30rを目視することができず、カバー3を手探りの状態で装置本体2に取り付けざるを得ない。そのため、本発明の実施形態の車載用表示装置1では、カバー3を装置本体2に装着しやすいように、案内機構10と掛止機構30f,30rが構成されている。
【0025】
図2に示されるように、車載用表示装置1では、装置本体2とカバー3との間に案内機構10および上方掛止機構30fと下方掛止機構30rが設けられている。案内機構10は左右両側部に1組ずつ設けられている。上方掛止機構30fは装置本体2の上方(Y1方向)に2組設けられ、下方掛止機構30rは、下方(Y2方向)に3組設けられている。
【0026】
図3図9および図10に、右側(X2側)に位置する案内機構10と、上方掛止機構30fの構造が示されている。また、図3には、下方掛止機構30rの構造も示されている。図3図9に示されるように、案内機構10は、突き当て案内部10Aと規制案内部10Bとを有している。突き当て案内部10Aと規制案内部10Bは、装置本体2とカバー3の双方の形状によって構成されている。
【0027】
<突き当て案内部>
図3図9に示されるように、装置本体2の背部2bに、突き当て案内部10Aを構成する第1案内リブ11と、それよりもY1側に位置する第2案内リブ12、さらにY1側に位置する第3案内リブ13が設けられている。それぞれの案内リブ11,12,13は、合成樹脂材料や軽金属材料などによって装置本体2の筐体4と一体に形成されている。それぞれの案内リブ11,12,13は、離反方向(Z2方向)に立ち上がって、掛止力作用方向(Y1方向)に向けて延びている。
【0028】
第1案内リブ11の頂部である第1突き当て摺動部11aと、第2案内リブ12の頂部である第2突き当て摺動部12aは、装置本体2の背部2bからのZ2方向の高さが同じである。第3案内リブ13の頂部は、第3突き当て摺動部13aとそれよりもY1側に位置する突き当て解除部13bとが段差を有して連続しており、第3突き当て摺動部13aと突き当て解除部13bとで、装置本体2の背部2bからのZ2側の高さが相違している。図9図10に示されるように、第3突き当て摺動部13aは、第1突き当て摺動部11aおよび第2突き当て摺動部12aよりも、装置本体2への接近方向(Z1方向)へ向けて低い位置となり、突き当て解除部13bは、第3突き当て摺動部13aよりもさらに接近方向へ向けて低い位置にある。
【0029】
図4Aに示されるように、カバー3の側壁部3aに、突き当て案内部10Aの一部である第1突き当て突部15と、それよりもY1側に位置する第2突き当て突部16とが設けられている。突き当て突部15,16は、合成樹脂材料や軽金属材料などによってカバー3と一体に形成されて、突き当て方向(Z1方向)に延びている。図2図3には、第2突き当て突部16が現われているが、第1突き当て突部15はカバー3に隠れている。また、図8Aには、突き当て案内部10Aにおいて、第1突き当て突部15が、装置本体2の第1突き当て摺動部11aに突き当てられ、第2突き当て突部16が第2突き当て摺動部12aに突き当てられた状態が平断面図として示されている。
【0030】
<規制案内部>
図3図9および図8Aに示されるように、装置本体2の背部2bでは、筐体4に規制長穴21が形成されている。規制長穴21は、横方向(X1-X2方向)の開口幅寸法が一定であり、掛止力作用方向(Y1方向)に向けて直線的に延びている。筐体4には、規制長穴21とY2側で連続する導入開口部22が形成されている。導入開口部22は、横方向(X1-X2方向)の開口幅寸法が規制長穴21よりも大きくなっている。図8Aに示されるように、導入開口部22の掛止力作用方向(Y1方向)に向く内端はガイド端22aとなっている。ガイド端22aは、規制長穴21の左側(X1側)と右側(X2側)に設けられ、掛止力作用方向(Y1方向)に向かうにしたがって、互いに接近する傾斜端となっている。さらに、筐体4には、規制長穴21とY1側で連続する規制解除開口部23が形成されている。規制解除開口部23の左右方向(X1-X2方向)の開口幅寸法は、規制長穴21よりも大きくなっている。
【0031】
図8Aに示されるように、導入開口部22と規制解除開口部23は、筐体4において周囲が囲まれた角穴であるが、これら開口部22,23は多角形穴や丸穴などであってもよい。また、これら開口部22,23は、例えば筐体4において右方向(X2方向)などに開放された切欠き形状や凹形状であってもよい。
【0032】
図3図9に示されるように、筐体4には、規制案内部10Bを構成する規制リブ24が、離反方向(Z2方向)へ隆起して一体に形成されている。規制リブ24のZ2側の頂部は、掛止力作用方向(Y1方向)に向けて延びている。規制リブ24の頂部には、後側縦規制案内部24aと、後側縦規制案内部24aのY1側に連続する後側傾斜規制案内部24bと、後側傾斜規制案内部24bからさらにY1方向に連続する後側接近規制案内部24cとが形成されている。後側縦規制案内部24aは、筐体4の背部からの高さ寸法が一定であり、後側接近規制案内部24cも筐体4の背部からの高さ寸法が一定である。ただし、後側接近規制案内部24cは、後側縦規制案内部24aよりも接近方向(Z1方向)に一段低い位置にある。後側傾斜規制案内部24bは、Y1方向に向かうにしたがって筐体4の背部に接近する向きに傾斜している。
【0033】
図9図10に示されるように、筐体4のZ1側に向く前面(内面)の一部も規制案内部10Bを構成している。筐体4の前面には、前側縦規制案内部25aと、前側縦規制案内部25aのY1側に連続する前側傾斜規制案内部25b、および前側傾斜規制案内部25bからさらにY1方向に連続する前側接近規制案内部25cが形成されている。前側接近規制案内部25cは、前側縦規制案内部25aよりも接近方向(Z1方向)に一段低い位置にある。前側傾斜規制案内部25bは、Y1方向に向かうにしたがって筐体4の内方(Z1方向)に接近する向きに傾斜している。
【0034】
規制案内部10Bでは、後側縦規制案内部24aと前側縦規制案内部25aとで「縦規制案内部」が構成され、後側接近規制案内部24cと前側接近規制案内部25cとで「接近規制案内部」が構成されている。後側縦規制案内部24aと前側縦規制案内部25aとの間のZ1-Z2方向の間隔と、後側接近規制案内部24cと前側接近規制案内部25cとの間のZ1-Z2方向の間隔は、互いに一致している。
【0035】
図2図3および図11Aに示されるように、カバー3には、側壁部3aから接近方向(Z1方向)に向けて突出する規制突部28が一体に形成されている。この規制突部28も、規制案内部10Bの一部を構成している。規制突部28には、縦方向(Z1-Z2方向)の一定の範囲において横方向(X1-X2方向)の幅寸法が一定の介入部28aと、介入部28aの離反側(Z2側)から右方向(X2方向)に向けて延びる後側対向部28bと、介入部28aの接近側(Z1側)から左方向(X1方向)に向けて延びる前側対向部28c、とが形成されている。
【0036】
図11A図11Bには、規制突部28の介入部28aが、筐体4に形成された規制長穴21に入り込んだ状態が示されている。介入部28aと規制長穴21との間の横方向(X1-X2方向)の隙間はわずかであり、規制突部28は横方向の移動が規制されている。図11Aでは、規制突部28の後側対向部28bが、規制リブ24の頂部の後側縦規制案内部24aに対向し、前側対向部28cが、筐体4の内面の前側縦規制案内部25aに対向している。このとき、規制突部28およびカバー3は、縦方向(Z1-Z2方向)の移動が規制される。図11Bでは、規制突部28の後側対向部28bが、規制リブ24の頂部の後側接近規制案内部24cに対向し、前側対向部28cが、筐体4の内面の前側接近規制案内部25cに対向している。このとき、規制突部28およびカバー3は、接近方向(Z1方向)へ下降した位置で、縦方向(Z1-Z2方向)への移動が規制される。
【0037】
図2に示されるように、装置本体2では、左側(X1側)の側部にも案内機構10が設けられている。左側の側部に設けられた案内機構10と、これまで説明した右側の側部に設けられた案内機構10は、横方向(X1-X2方向)において互いに線対称の構造である。
【0038】
案内機構10は実施形態とは逆の構造とすることが可能である。すなわち、突き当て案内部10Aの構造として、カバー3に、第1案内リブ11と第2案内リブ12および第3案内リブ13が設けられ、装置本体2に、第1突き当て突部15と第2突き当て突部16とが設けられてもよい。さらに規制案内部10Bの構成として、カバー3に、後側縦規制案内部24aと前側縦規制案内部25a、後側接近規制案内部24cと前側接近規制案内部25c、および規制長穴21などが設けられ、装置本体2に、規制突部28が設けられていてもよい。
【0039】
<掛止機構>
図3図4Aに、2組設けられた上方掛止機構30fのうちの1組が示されている。上方掛止機構30fは、カバー3に突状掛止部31が一体に形成され、装置本体2の筐体4に保持穴34が一体に形成されている。突状掛止部31は、拘束突部32と掛止突部33を有している。図3図7A図7Bに示されるように、拘束突部32は、縦方向(Z1-Z2方向)に張り出して掛止力作用方向(Y1方向)に延びる縦方向拘束リブ32aと、横方向(X1-X2方向)に張り出して掛止力作用方向(Y1方向)に延びる横方向拘束リブ32bを有している。掛止突部33は離反方向(Z2方向)へ弾性変形可能であり、先部にフック部33aがZ1方向に向けて一体に形成されている。保持穴34は、拘束穴35と掛止穴36を有している。
【0040】
カバー3が、案内機構10によって掛止力作用方向(Y1方向)へ案内されると、拘束突部32が拘束穴35に挿入され、掛止突部33が掛止穴36へ挿入される。図7A図7Bに示されるように、拘束突部32が拘束穴35に入り込むと、縦方向拘束リブ32aと横方向拘束リブ32bが拘束穴35の内縁に当たり、装置本体2に対してカバー3が縦方向(Z1-Z2方向)と横方向(X1-X2方向)に拘束される。また、掛止突部33が掛止穴36に入り込むときに掛止突部33がZ2方向へ弾性変形し、さらに入り込むと、フック部33aが、掛止穴36のZ1側の縁部のY1側の外面に掛止される。この掛止により、装置本体2に対してカバー3がY2方向へ動かないように掛止される。
【0041】
図4Bに、3組設けられた下方掛止機構30rのうちの1組が示されている。下方掛止機構30rでは、装置本体2の筐体に突状掛止部31が設けられ、カバー3に保持穴34が設けられている。突状掛止部31は、Y2方向へ突出する拘束突部32と掛止突部33を有している。拘束突部32は、縦方向(Z1-Z2方向)に張り出す縦方向拘束リブ32aと、横方向(X1-X2方向)に張り出す横方向拘束リブ32bを有している。掛止突部33は接近方向(Z1方向)へ弾性変形可能であり、先部にフック部33aがZ2方向に向けて一体に形成されている。保持穴34は、拘束穴35と掛止凹部37を有している。
【0042】
下方掛止機構30rにおいても、カバー3が、案内機構10によって掛止力作用方向(Y1方向)へ案内されると、拘束突部32が拘束穴35に挿入され、掛止突部33が掛止凹部37へ挿入される。拘束突部32が拘束穴35に入り込むと、装置本体2に対してカバー3が縦方向(Z1-Z2方向)と横方向(X1-X2方向)に拘束される。また、掛止突部33が掛止凹部37に入り込むときに掛止突部33がZ1方向へ弾性変形し、フック部33aが、掛止凹部37のZ2側の縁部のY2側の外面に掛止される。この掛止により、装置本体2に対してカバー3がY1方向へ動かないように固定される。
【0043】
カバー3が、掛止力作用方向(Y1方向)へ移動させられると、上方掛止機構30fと下方掛止機構30rの双方において同時に、突状掛止部31と保持穴34との掛止が行われる。これにより、カバー3が装置本体2に組み込まれて、容易に動くことなく固定される。
【0044】
上方掛止機構30fと下方掛止機構30rでは、保持穴34を構成する拘束穴35と掛止穴36の一部または全ての代わりに保持凹部を形成してもよい。ここでの保持凹部とは、前記掛止凹部37として例示できるように、穴の一部が欠けている形状のものを意味している。あるいは保持凹部は、穴部がY1-Y2方向に所定の長さ(深さ)を有するフォルダー形状のものを意味してもよい。保持穴34の変わりに保持凹部、すなわち拘束凹部および掛止凹部を使用した場合も、拘束凹部に掛止突部33が挿入されてカバー3が位置決めされ、掛止凹部に掛止突部33が挿入されてカバー3が掛止される。
【0045】
<カバーの取り付け作業>
次に、装置本体2へのカバー3の取り付け手順を説明する。
図1に示すように、車載用表示装置1を車室内に取り付けるときは、破線で示すようにカバー3を取り外した状態で、装置本体2の背部2bに設けられた取り付け機構7(図2参照)を、天井部6の開口部8の内部に位置する支持機構9に連結する。その後に、天井部6に取り付けられた装置本体2の背部2bにカバー3を装着し、取り付け機構7と支持機構9との連結部をカバー3で覆う。この作業の際、装置本体2の背部2bとカバー3との接合部を目視することが難しいため、カバー3の装着は手探り状態で行なわれる。しかし、実施形態の車載用表示装置1では、前述のように構成された案内機構10と掛止機構30f,30rを使用し、カバー3を、装置本体2の背部2bに押し付け、その後に掛止力作用方向(Y1方向)へスライドさせることで、カバー3を装置本体2に簡単に且つ確実に固定することが可能になる。
【0046】
カバー3は、図1に示される向きで装置本体2に組み付けられるが、図2以下では、説明を容易にするために、装置本体2の前面2aを水平な向きとして、カバー3の組み付け作業を説明する。
【0047】
<カバーの突き当て>
カバー3の組み付け手順としては、装置本体2の背部2bにカバー3をZ1方向に向けて組み付ける。カバー3の左右の両側部に設けられた規制突部28を、筐体4に形成された導入開口部22に挿入すると、図4A図4Bおよび図8Aに示されるように、カバー3に設けられた第1突き当て突部15が、筐体4に設けられた第1案内リブ11の第1突き当て摺動部11aに突き当てられ、同じくカバー3に設けられた第2突き当て突部16が、第2案内リブ12の第2突き当て摺動部12aに突き当てられる。
【0048】
規制突部28を導入開口部22に挿入できないと、規制突部28が筐体4の背部に当たってしまい、第1突き当て突部15と第2突き当て突部16を、第1突き当て摺動部11aと第2突き当て摺動部12aに突き当てることができない。すなわち、規制突部28を導入開口部22に挿入することによって、第1突き当て突部15が第1突き当て摺動部11aに当たり、第2突き当て突部16が第2突き当て摺動部12aに当たるように、カバー3を導くことができる。したがって、カバー3と装置本体2との突き当て部を、直接に目視できなくても、カバー3を装置本体2の背部2bに押し付けるときに、突き当て突部15,16と突き当て摺動部11a,12aとが当たったことを手の感触で確認することで、カバー3を装置本体2の背部2bに適正な姿勢で突き当てたことを確認できる。
【0049】
<カバーの掛止力作用方向へのスライド>
次に、図4A図4Bおよび図8Aに示されるように、第1突き当て突部15と第2突き当て突部16を、第1突き当て摺動部11aと第2突き当て摺動部12aに突き当てたまま、カバー3を掛止力作用方向(Y1方向)へスライドさせる。このスライド操作により、カバー3に設けられた規制突部28の介入部28aが、筐体4に形成された規制長穴21に入り込む。
【0050】
図5A図5B図8Bならびに図11Aに、介入部28aが規制長穴21に入り込んだ初期の状態が示されている。このとき、介入部28aが規制長穴21の内部で、横方向(X1-X2方向)へ大きく移動しないように規制される。さらに、図11Aの断面図に示されるように、規制突部28の後側対向部28bが、規制リブ24の頂部の後側縦規制案内部24aに対向し、前側対向部28cが、筐体4の内面の前側縦規制案内部25aに対向して、規制突部28が縦方向(Z1-Z2方向)に大きく動くことなく規制される。そのため、カバー3をこの位置まで移動させると、カバー3を装置本体2の背部2bに押し付ける力を弱めたとしても、カバー3が背部2bから外れにくくなる。
【0051】
図6図8Cには、さらにカバー3を掛止力作用方向(Y1方向)へスライドさせ、規制突部28の介入部28aを、筐体4に形成された規制長穴21のY1側の端部まで移動させた状態が示されている。この時点では、規制突部28の介入部28aが、規制長穴21の内部に位置して横方向(X1-X2)に規制された状態が継続している。図10には、カバー3および規制突部28が掛止力作用方向(Y1方向)へ移動するときの、2つの時点でのカバー3および規制突部28の位置が断面図で示されている。規制突部28が図6および図8Cに示す位置に至ったとき、図10では、規制突部28が実線で示す(vi)の位置に移動している。また、図6の位置の規制突部28をXIB-XIB線で切断した断面が、図11Bに示されている。
【0052】
図6図10および図11Bに示されるように、規制案内部10Bで規制されたカバー3を掛止力作用方向(Y1方向)へスライドさせると、規制突部28の後側対向部28bが、規制リブ24の後側縦規制案内部24aから後側傾斜規制案内部24bを経て、後側接近規制案内部24cに対向する位置に至る。また、規制突部28の前側対向部28cが、筐体4の内面の前側縦規制案内部25aから前側傾斜規制案内部25bを経て、前側接近規制案内部25cに対向する位置に至る。
【0053】
規制突部28が、後側接近規制案内部24cと前側接近規制案内部25cとから成る「接近規制案内部」に案内されると、カバー3の縦方向(Z1-Z2方向)の規制が継続されつつ、規制突部28がZ1方向へ移動させられ、カバー3が装置本体2の背部2bに接近するように案内される。カバー3が装置本体2の背部2bに接近すると、図6に示されるように、上方掛止機構30fでは、突状掛止部31の拘束突部32が保持穴34を構成する拘束穴35に挿入できる高さ位置となり、掛止突部33が掛止穴36に挿入できる高さ位置となる。下方掛止機構30rでも同じであり、図4Bに示されている装置本体2側の拘束突部32がカバー3側の拘束穴35に挿入できる高さ位置に対向し、掛止突部33が掛止凹部37に掛止できる位置に対向する。
【0054】
このとき、図6図10の(vi)に示されるように、カバー3に設けられた第2突き当て突部16が、第2突き当て摺動部12aから外れて、第3案内リブ13の第3突き当て摺動部13aの上にほぼ当接した状態となる。突状掛止部31とほぼ一体に形成されている第2突き当て突部16が、第3突き当て摺動部13aの上に当たることで、突状掛止部31を保持穴34に対向させる高さ位置で安定させることができる。
【0055】
規制案内部10Bでは、カバー3を掛止力作用方向へ移動させることで、掛止突部28を「縦規制案内部」で規制でき、さらに掛止力作用方向へスライドさせることで、掛止突部28を「接近規制案内部」に案内して、カバー3を装置本体2の背部2bに接近させ、突状掛止部31を保持穴34に対向させることができる。手でカバー3のこの接近動作を感じることで、目視できていなくても、カバー3が装置本体2に掛止できる位置まで確実に移動できていることを確認することができる。
【0056】
<掛止機構による掛止>
図6および図10の(vi)に示されるように、カバー3が装置本体2の背部2bに接近する位置に案内された状態から、さらにカバー3を手で掛止力作用方向(Y1方向)へ移動させると、掛止機構30f,30rにおいて、カバー3と装置本体2とが掛止され固定される。この状態は、図7A図7Bおよび図8Dに示されている。このとき、図10では、規制突部28とカバー3が破線で示す(vii)の位置に移動している。
【0057】
カバー3が、図7A図7B図8Dおよび図10の(vii)で示す位置へ移動すると、上方掛止機構30fでは、突状掛止部31の拘束突部32が保持穴34の拘束穴35に挿入され、掛止突部33が掛止穴36へ挿入される。拘束突部32が拘束穴35に入り込むと、縦方向拘束リブ32aと横方向拘束リブ32bが拘束穴35の内縁に当たり、装置本体2に対してカバー3が縦方向(Z1-Z2方向)と横方向(X1-X2方向)へ動かないように拘束される。また、掛止突部33が掛止穴36に入り込むと、フック部33aが、掛止穴36のZ1側の縁部のY1側の外面に掛止される。下方掛止機構30rにおいても、拘束突部32が拘束穴35に挿入されて、装置本体2に対してカバー3が縦方向(Z1-Z2方向)と横方向(X1-X2方向)に拘束される。同時に、掛止突部33が掛止凹部37へ挿入されて、フック部33aが、掛止凹部37のZ2側の縁部のY2側の外面に掛止される。上方掛止機構30fと下方掛止機構30rの双方において、突状掛止部31と保持穴34との掛止が行われることにより、カバー3が装置本体2に位置決めされて固定される。
【0058】
図7A図7B図8Dおよび図10の(vii)に示されるように、上方掛止機構30fと下方掛止機構30rとで、装置本体2とカバー3とが掛止されて互いに固定されると、突き当て案内部10Aでは、第1突き当て突部15が第1突き当て摺動部11aからY1方向に外れ、第2突き当て突部16は、第2突き当て摺動部12aからY1方向に外れ、さらに第2突き当て突部16は、第3突き当て摺動部13aからY1方向に外れて、突き当て解除部13bからZ2方向へ離れた位置に移動する。そのため、突き当て案内部10Aでは、装置本体2とカバー3との間の接触が生じなくなる。また、規制案内部10Bでは、規制突部28が、筐体4の規制解除開口部23の内部に移動する。よって、規制案内部10Bにおいても、装置本体2とカバー3との間の接触が生じなくなる。
【0059】
上方掛止機構30fと下方掛止機構30rとで、装置本体2とカバー3とが掛止されて互いに固定されたときに、突き当て案内部10Aと規制案内部10Bの双方で、装置本体2とカバー3との間の接触が生じないため、車体振動などの外部振動が作用したときに、突き当て案内部10Aと規制案内部10Bとで、装置本体2とカバー3との間でがたつきに起因するノイズが発生するのを防止することができる。
【0060】
突き当て案内部10Aおよび規制案内部10Bにおいて、上記のように装置本体2とカバー3との間の接触が生じなくなるタイミングは、カバー3が図6および図10の(vi)に示される状態から掛止力作用方向(Y1方向)へ移動し、上方掛止機構30fと下方掛止機構30rの少なくともいずれか一方において突状掛止部31が保持穴34に挿入され始めた後のタイミングであることが好ましい。これにより、カバー3は、突き当て案内部10Aおよび規制案内部10Bにおいて装置本体2と接触しなくなった後も、上方掛止機構30fと下方掛止機構30rの少なくともいずれか一方により装置本体2に確実に位置決めされて固定される。
【符号の説明】
【0061】
1 車載用表示装置
2 装置本体
3 カバー
4 筐体
5 表示画面
6 天井部
7 取り付け機構
10 案内機構
10A 突き当て案内部
10B 規制案内部
11a 第1突き当て摺動部
12a 第2突き当て摺動部
13a 第3突き当て摺動部
15 第1突き当て突部
16 第2突き当て突部
21 規制長穴
22 導入開口部
23 規制解除開口部
24a 後側縦規制案内部
24c 後側接近規制案内部
25a 前側縦規制案内部
25c 前側接近規制案内部
28 規制突部
28a 介入部
28b 後側対向部
28c 前側対向部
30f 上方掛止機構
30r 下方掛止機構
31 突状掛止部
34 保持穴
Y1 掛止力作用方向
Z1-Z2 縦方向
X1-X2 横方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B