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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031482
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】藻類培養装置及び藻類培養方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
C12M1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135057
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】518362513
【氏名又は名称】株式会社イービス藻類産業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大島 義徳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】諌山 太輔
(72)【発明者】
【氏名】富田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】千野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】井上 元
(72)【発明者】
【氏名】平岡 正明
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029DG10
(57)【要約】
【課題】藻類を効率的に培養することができる藻類培養装置及び藻類培養方法を提供する。
【解決手段】藻類培養装置10は、培養槽11と、培養槽11に設けられ、藻類を育成する培養液C1を流動させる水車パドル19とを備える。培養槽11は、外壁部15等の側壁部材を備え、上面から太陽光を入射可能としている。藻類培養装置10は、更に、側壁部材に設けられ培養液C1に人工光を供給するLEDランプ25,35を有する照明装置20,30を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
藻類を育成する培養液を区画する側壁部材を備え、上面から太陽光を入射可能な培養槽と、
前記培養槽に設けられ、前記培養液を流動させる流動部材と、
前記培養液に人工光を照射するために、前記側壁部材に設けた人工照明と、を備えたことを特徴とする藻類培養装置。
【請求項2】
前記培養槽は、前記側壁部材として、前記培養液を囲む閉形状の外壁部と、前記外壁部の内部の中央に形成された仕切壁部とを有し、
前記人工照明は、前記外壁部の直線部分及び前記仕切壁部の直線部分の少なくとも一部に、前記直線部分に沿う直線形状で、吊り下げて設けられることを特徴とする請求項1に記載の藻類培養装置。
【請求項3】
藻類を育成する培養液を区画する側壁部材を備え、前記培養液を貯留する培養槽において、太陽光を液面で受けて藻類を育成する藻類培養方法であって、
前記培養槽に設けられた流動部材によって前記培養液を流動させながら、液面に照射される太陽光と、前記側壁部材に設けた人工照明による人工光を用いて、前記藻類を培養することを特徴とする藻類培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナンノクロロプシス等の藻類を培養するための藻類培養装置及び藻類培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオ燃料(炭化水素やバイオディーゼル)や、アスタキサンチン等の生理活性物質を産生することができる藻類(特に、微細藻類)が注目されている。このような藻類を大量に培養し、石油に換わるエネルギーとして利用したり、薬や化粧品、食品等に利用したりすることが検討されている。
【0003】
藻類の大量培養用の培養装置として、その一部が大気開放されているレースウェイ型の培養槽を用いた物がある(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の培養システムは、培養液を循環させて光合成微生物を培養するレースウェイ型培養槽と、この培養槽に貯溜された培養液を循環させる培養液循環装置とを備える。更に、この培養システムは、培養液の上方に配置可能に備えられ培養液の少なくとも一部を遮光する遮光部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-57989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
培養する藻類は光合成を行なっているため、弱い光よりも強い光のほうが、早期育成する可能性がある。しかしながら、照射光が強すぎると、藻類に悪影響を及ぼす。このため、太陽光とともに人工光を用いる場合にも、的確な方法で照射しなければ、適切な育成ができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する培養装置は、藻類を育成する培養液を区画する側壁部材を備え、上面から太陽光を入射可能な培養槽と、前記培養槽に設けられ、前記培養液を流動させる流動部材と、前記培養液に人工光を照射するために、前記側壁部材に設けた人工照明と、を備える。
【0007】
また、上記課題を解決する培養方法は、藻類を育成する培養液を区画する側壁部材を備え、前記培養液を貯留する培養槽において、太陽光を液面で受けて藻類を育成する藻類培養方法であって、前記培養槽に設けられた流動部材によって前記培養液を流動させながら、液面に照射される太陽光と、前記側壁部材に設けた人工照明による人工光を用いて、前記藻類を培養する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、藻類を効率的に培養することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における藻類培養装置の全体構成を説明する平面図である。
図2図1における2-2線方向の断面図である。
図3】実施形態の実験に用いた藻類培養装置の平面図である。
図4】実施形態の実験における日毎の光量子束密度を示すグラフである。
図5】実施形態の実験における日毎の日射量を示すグラフである。
図6】実施形態の実験における人工照明の照射時における培養液の濁度の変化を示すグラフである。
図7】実施形態の実験における人工照明の消灯時における培養液の濁度の変化を示すグラフである。
図8】実施形態の実験における藻類の成長速度係数と日当たり光量子束密度を示す表である。
図9】変更例における藻類培養装置の全体構成を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図8を用いて、藻類培養装置及び藻類培養方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、単細胞の微細藻であるナンノクロロプシスを培養する。
図1に示すように、本実施形態の藻類培養装置10は、ナンノクロロプシスを培養する培養液を貯蔵する培養槽11を備える。培養槽11は、図示しないビニールハウス内に設置され、枯葉等の落下物の混入が抑制される。
【0011】
培養槽11は、平面形状が角丸長方形のレールウェイ型の培養槽である。具体的には、培養槽11は、本体部と、培養槽11の内部に敷設されているシート状部材(図示せず)とを備える。このシート状部材は、繊維で構成された布の両面を軟質の合成樹脂フィルムで挟んだ防水性のある複合材料で、シート状(布状)に構成されている。
【0012】
図1及び図2に示すように、培養槽11の本体部の下端部が地面に埋設される。培養槽11の本体部は、鉄筋コンクリート等で構成され、外壁部15、底面部16及び仕切壁部17を備える。外壁部15は、培養液を囲って培養液を区画する培養槽11の閉形状の外壁を構成している。外壁部15は、対向する1対の直線部15aと対向する1対の略半円弧部分15bとを有する。本実施形態の底面部16は、外壁部15及び仕切壁部17と一体に形成されている。仕切壁部17は、培養槽11の長手方向に延在する板形状部材であって、培養槽11の中央部に固定されている。そして、外壁部15と中央の仕切壁部17との間でループ状の貯液空間を形成して、この貯液空間に培養液C1を貯蔵する。外壁部15及び仕切壁部17は、培養液を区画して培養液に接する側壁部材として機能し、地面からの高さが約50cmである。更に、培養槽11は、上方が開口して、培養槽11の内部に貯蔵される培養液C1の液面(上面)には、太陽光が照射される。
【0013】
図1に示すように、培養槽11には、培養液C1に流れを生じさせるための流動部材としての水車パドル19が設けられている。この水車パドル19を回転することにより、培養液C1に一方向の流れを発生させる。
【0014】
更に、培養槽11には、人工照明が設けられている。本実施形態の人工照明は、培養槽11の外壁部15の直線部分A1,A3、仕切壁部17の直線部分A2に設けられている。直線部分A1は、直線部分A3と、長さが異なると共に、図1における上下線対称で構成されている。直線部分A1,A3には、照明装置20が、直線部分A2には、照明装置30が設けられている。
【0015】
図1及び図2に示すように、照明装置20は、離間して並んだ複数の取付部材21を有する。各取付部材21は、外壁部15の上面にテープ等で固定されている。取付部材21は、剛性を有する金網(鋼等を格子形状に配置した網部材)で構成される。この取付部材21の格子形状は、図中では省略している。取付部材21は、外壁部15の延在する方向と直交する方向(培養槽11の外側及び内側)に、外壁部15から突出して固定されている。取付部材21の培養槽11の外側となる端部は、培養槽11の外壁部15の外周に固定された固定部材22によって固定されている。
【0016】
取付部材21には、直管(蛍光灯型)のLEDランプ25が吊り下げて固定されている。具体的には、各取付部材21の培養槽11の内側の下面に、LEDランプ25の両端部が固定されている。これにより、複数のLEDランプ25が、直線部分A1,A3に配置された隣接する2個の取付部材21を跨ぐように、直線状に並んで固定されている。本実施形態では、LEDランプ25は、外壁部15の内側から約5cm離れて設けられる。この場合、LEDランプ25の光は、培養槽11において同じ方向に流れる培養液の中央(半分の位置)よりも外壁部15側を照らす。
【0017】
照明装置30は、離間して並んだ複数の取付部材31を有する。各取付部材31は、取付部材21と同様に、外壁部15の上面にテープ等で固定され、剛性を有する金網で構成される。この取付部材31の格子形状も図中では省略している。各取付部材31は、仕切壁部17の延在する方向と直交する両方向に、仕切壁部17から突出して固定されている。
【0018】
取付部材31には、直管(蛍光灯型)のLEDランプ35が吊り下げて固定されている。具体的には、各取付部材31の仕切壁部17から突出された両端には、LEDランプ35の両端部が固定されている。これにより、LEDランプ25と同様に、複数のLEDランプ35が、直線部分A2に配置された隣接する2個の取付部材31を跨ぐように、直線状に並んで配置される。本実施形態のLEDランプ35は、LEDランプ25と同様に、仕切壁部17の両側に約5cm離れて設けられ、LEDランプ35の光は、培養槽11において同じ方向に流れる培養液の中央(半分の位置)よりも仕切壁部17側を照らす。
【0019】
(藻類の培養方法)
次に、上述した藻類培養装置10を用いて、藻類を培養する方法について説明する。この場合、例えば、水深が約20cmとなるように培養液C1を培養槽11に供給する。更に、培養液C1に藻類を供給する。この場合、供給された藻類によって太陽光が遮られ、培養槽11の底面部16には届く光量は減衰する。
【0020】
培養時には、図1に示す培養槽11の水車パドル19を常に回転させる。これにより、培養槽11の培養液C1は、一定方向(図1において時計回り)に流れる。そして、照明装置20,30を24時間点灯する。加えて、太陽が出ている場合には、太陽光が、培養槽11の培養液C1に上面から照射される。これにより、本実施形態の培養液C1の藻類には、太陽光だけでなく、照明装置20,30によって人工光が照射されながら、培養槽11を流れる。この場合、藻類は、上層部や下層部に偏ることなく、流れの中で浮き沈みしながら成長していく。
【0021】
<実験>
上述したように、太陽光を用いて藻類培養装置10において、人工光も併用することにより、藻類の生育を促進できたことは、以下の実験結果から得られた知見である。
【0022】
ここで、図3は、実験に用いた藻類培養装置50を示している。この藻類培養装置50は、上記実施形態で用いた藻類培養装置10と同様に、平面形状が角丸長方形のレールウェイ型の培養槽51を備える。この培養槽51は、長手方向の全長L1が17.5m、短手方向の全長L2が5.0mの外壁部55を備える。また、外壁部55の半円弧部分55bの長さL11,L21はそれぞれ2.5m、2.4mであり、仕切壁部57の厚さL22は0.2mである。更に、外壁部55の直線部55aの端部から水車パドル59までの距離L12は1.5mである。また、図中の点線は、藻類培養装置10と同様な取付方法で、LEDランプを取り付けた位置である。ここで、仕切壁部57の水車パドル59の反対側には、2つのLEDランプが二列となるように取り付けた。LEDランプとしては、防水防滴(IP65)のもの、1.2m・200g(25W/100V)を用い、計32本(9本×2列+7本×2列)を設置した。
【0023】
更に、培養槽51には、日射量を計測するセンサP1,P3,P5と、光量子束密度を計測するセンサP2,P4,P6とを取り付けた。センサP1,P2は、培養槽51の外壁部55の外、センサP3,P4は、LEDランプのほぼ直下、センサP5,P6は、培養槽51の中央に設置した。詳細には、センサP5,P6を、外壁部55の直線部55aの内側から距離L3(=1.2m)の位置に設けた。光量子束密度を計測するセンサP2,P4,P6は、クロロフィルが吸収できる400nmから700nmまでの波長領域を計測するセンサである。
【0024】
そして、細藻として、ナンノクロロプシスを用い、1週間(7日間)、LEDランプを照射しながら培養した。その後、部分的に収穫して培養液を加え、1週間(7日間)、LEDランプを消灯して太陽光のみで培養した。そして、人工照明(LEDランプ)の照射がある場合とない場合とで成長速度を比較した。なお、成長速度係数は、濁度の連続測定の結果から推定した。
【0025】
図4及び図5には、光量子束密度と日射量の日ごとの積分量を、それぞれ示す。
図4に示す光量子束密度では、人工照明の照射がない場合は、培養槽51の外の値とLEDランプのほぼ直下の値がほぼ等しかった。また、培養槽51の中央は、同等か、日によっては1割程度大きくなった。培養槽51中央より他の2地点が小さくなるのは、早朝と日暮れの陽が低い時間帯に培養槽51の側壁(外壁部55や仕切壁部57)による太陽光の遮断の影響を受けたものと考えられる。
【0026】
一方で、人工照明を照射した場合には、LEDランプのほぼ直下の値が培養槽51の外の値より7~10割大きくなった(1.7~2倍になった)。更に、培養槽51の中央の値は、培養槽51の外の値と等しいか、1割大きかったため人工照明の照射がない時と同様の傾向だった。
【0027】
図5に示す日射量では、ほぼ同様の関係であったが、人工照明の照射時のLEDランプのほぼ直下の値が培養槽51の外の値よりも1.3~2割程度大きくなる程度であった。
図4及び図5の結果から、全波長の日射量に比べて、光合成に寄与する波長のみを対象とした光量子束密度で差が大きく出ていることがわかる。そして、この場合、LEDランプのほぼ直下では、単なる日射量の1.7~2倍になっている。このことは、微細藻の成長に大きな寄与を及ぼす可能性を示唆する結果といえる。
【0028】
図6及び図7には、人工照明の照射時と消灯時におけるそれぞれの濁度の経時変化を示した。この濁度は、培養液の藻類による濁りの程度を示す指標であり、光を用いた測定方法により測定される。ここで、人工照明の照射時と消灯時における一次近似式の係数を比較すると、LED照射時/消灯時=0.205/0.181≒1.13となり、成長速度が約1割増大した。その際の培養槽51外の光量子束密度は、LED照射期間と消灯期間のそれぞれで、140μmol/m2/s・dayと157μmol/m2/s・dayと、消灯期間の方が約1割大きかった。
【0029】
図8に示す濁度で見た成長速度係数と日当たりの光量子束密度との関係から、人工照明の照射によって日照的には、1割程度不利な状態であるにも関わらず1割程度の成長速度の増大が確認された。
【0030】
(作用)
本実施形態では、貯留されている培養液C1の液面に照射される太陽光を用いた培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17に照明装置20,30を設ける。藻類には、太陽光だけでなく、人工光が照射されるので、藻類の成長速度が高くなる。この場合、浅層に所在する藻類と深層に所在する藻類とで、循環しながら増殖する。
【0031】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17に、LEDランプ25,35を設ける。これにより、培養槽11の培養液C1内で育成する藻類は、太陽光とともに人工照明の照射を受ける。藻類は、強い光を照射すると早期生育されるが、光が強すぎると生育不良が生じることがある。また、光照射のない暗時間なしに連続照射されると生育速度の低下が生じることがある。上記実験のように、レースウェイ型の培養槽51において、藻類を移動させながら育成する場合、培養液C1の上層の藻類が培養液C1の上下に移動すると考えられる。このため、上方に位置する藻類が、下方の藻類への光を遮ることになるので、培養槽11にLEDランプ25,35を設けても、藻類に生育不良を生じさせずに、早期育成することができる。
【0032】
(2)本実施形態では、培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17の直線部分A1,A2,A3に、直線状のLEDランプ25,35を備える照明装置20,30を設ける。これにより、LEDランプ25,35を常設してもLEDランプ25,35が、培養槽11内の掃除の障害にならない。
【0033】
(3)本実施形態では、培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17に、LEDランプ25,35が吊り下げて固定されている。これにより、培養液C1に近い位置で、簡易かつ効率的に人工光を藻類に照射することができる。更に、外壁部15及び仕切壁部17の近傍では、これら壁部(15,17)によって、培養槽11の中央領域に比べて、太陽光が遮られる。この領域にLEDランプ25,35を設けるため、LEDランプ25,35によって、太陽光の光量不足を補うことができる。
【0034】
(4)本実施形態では、培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17に設けた格子形状の取付部材21,31を介してLEDランプ25,35を設ける。これにより、太陽光を、取付部材21,31に遮断されずに、培養槽11の培養液C1に照射することができる。
【0035】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、培養槽11の外壁部15及び仕切壁部17の直線部分A1,A2,A3に、直線状のLEDランプ25,35を備える照明装置20,30を設ける。人工照明を配置する場所は、この位置に限られない。例えば、外壁部15及び仕切壁部17の底面(培養液C1の液中)に設けてもよい。この場合は、太陽光量が減衰する底面において光を供給するので、藻類の育成を促進することも可能である。更に、外壁部15及び仕切壁部17の直線部分A1~A3以外の場所に設けてもよいし、水車パドル19の近傍に、この水車パドル19の軸方向と平行となるようにLEDランプを設けてもよい。更に、LEDランプ25,35を、より液面の近くに配置してもよいし、外壁部15及び仕切壁部17の上に載置してもよい。
【0036】
・上記実施形態では、レースウェイ型の培養槽11に照明装置20,30を設けた。照明装置20,30を設ける培養槽の形状は、これに限られず、例えば、円形型の培養槽であってもよい。
【0037】
具体的には、図9に示すように、円形型の培養槽61には、貯蔵している培養液C2をかき混ぜる図示しない流動部材が設けられている。更に、培養槽61の外壁部65に渡るように2個の取付部材71を十字に設ける。そして、各取付部材71の下面に、LEDランプ75を設けてもよい。この場合においても、培養槽61の培養液C2の藻類の成長に応じた循環が生じるとともに、藻類は太陽光とLEDランプ75からの人工光とを受けるので、藻類を早期に育成することができる。
【0038】
・上記実施形態では、LEDランプ25,35を、外壁部15及び仕切壁部17に取り付ける取付部材21は、剛性を有する金網で構成した。取付部材21は、LEDランプ25,35を固定でき、太陽光をなるべく遮蔽しない構成の部材であれば、どのような物であってもよい。
・上記実施形態では、レースウェイ型の培養槽11は、ビニールハウス内に設置した。培養槽11は、ビニールハウス内に設置する場合に限られず、屋外に設置してもよい。
【0039】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記人工照明は、前記外壁部及び前記仕切壁部の少なくとも一部に、網形状の固定部材を用いて固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の藻類培養装置。
(b)前記人工照明は、前記培養槽において、取り付けられている前記側壁部側の範囲に対して人工光を照射することを特徴とする請求項1、2又は前記(a)に記載の藻類培養装置。
【符号の説明】
【0040】
A1,A2,A3…直線部分、C1,C2…培養液、P1,P2,P3,P4,P5,P6…センサ、10,50…藻類培養装置、11,51,61…培養槽、15,55,65…外壁部、15a,55a…直線部、15b,55b…半円弧部分、16…底面部、17,57…仕切壁部、19,59…水車パドル、20,30…照明装置、21,31,71…取付部材、22…固定部材、25,35,75…LEDランプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9