(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031492
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】カウントカセット及び薬剤払出装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135070
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】谷口 嘉則
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047JJ01
4C047JJ06
4C047JJ10
4C047JJ12
4C047JJ31
4C047KK01
4C047KK06
4C047KK11
4C047KK14
4C047KK25
4C047KK28
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、カウントカセットに収容される錠剤に振動を有効に与えることができる振動機構を備え、水洗いした際に水分が残らないカウントカセット及びそれを備えた薬剤払出装置を提供する。
【解決手段】多数の錠剤を収容する錠剤容器11と、錠剤容器が装着される装着部12とを備えた錠剤払出装置1の錠剤容器11からカウントされて払い出される錠剤を受け取るカウントカセット40において、カウントカセットの外面に振動機構61が設けられている。振動機構61は、カウントカセットの外面に設けられた軸部62に回転可能に設けられた回転部材63と、軸部に対して軸方向に移動可能で、軸回りに回転可能に設けられた可動部材64と、回転部材の回転を可動部材の軸方向の移動に変換するカム機構65と、可動部材をカウントカセットの外面に向かって軸方向に付勢し、カウントカセットの外面に対して衝撃力を付与する弾性部材66とを備える。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器が装着される装着部とを備えた錠剤払出装置の前記錠剤容器からカウントされて払い出される錠剤を受け取るカウントカセットにおいて、
前記カウントカセットの外面に振動機構が設けられ、
前記振動機構は、
前記カウントカセットの外面に設けられた軸部と、
前記軸部に対して軸方向に移動可能に設けられた可動部材と、
前記カウントカセットの外面から離れた状態の可動部材を前記外面に向かって軸方向に付勢し、前記外面に対して衝撃力を付与する弾性部材と
を備えることを特徴とするカウントカセット。
【請求項2】
前記振動機構は、前記カウントカセットの底部の外面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカウントカセット。
【請求項3】
前記軸部に回転可能に設けられた回転部材と、
前記回転部材の回転を前記可動部材の軸方向の移動に変換するカム機構と、
をさらに備える請求項1に記載のカウントカセット。
【請求項4】
前記回転部材は、前記装着部の駆動ギヤに噛み合うように前記カウントカセットの底部の外面に回転可能に設けられた従動ギヤであることを特徴とする請求項3に記載のカウントカセット。
【請求項5】
前記回転部材は前記可動部材と同軸で、前記回転部材に前記可動部材に係合する係合部を設けて、前記回転部材の回転により前記係合部を介して前記可動部材を回転させるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のカウントカセット。
【請求項6】
前記カム機構は、
前記可動部材の内周面と前記軸部の外周面のいずれか一方に形成された爪部と、
前記可動部材の内周面と前記軸部の外周面のいずれか他方に形成され、前記爪部が摺接する傾斜面とを備えることを特徴とする請求項3に記載のカウントカセット。
【請求項7】
前記爪部は、前記可動部材に複数設けられ、
前記傾斜面は、前記軸部に前記爪部と対応して複数設けられ、前記回転部材の回転方向に対して前記カウントカセットから離れる方向に傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカウントカセット。
【請求項8】
多数の錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器が装着される装着部とを備え、前記錠剤容器から払い出される錠剤のカウント機能を有する錠剤払出装置において、
請求項1から7のいずれかに記載のカウントカセットを備えることを特徴とする薬剤払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤の棚卸をするときに錠剤カセットからカウントされて払い出される錠剤を受け取るのに使用するカウントカセット及びそれを備えた薬剤払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局では、例えば1か月に1回の頻度で棚卸作業が行われている。また、取り扱いに注意が必要な向精神薬などの特定の薬品については、1ヶ月ではなく、短い期間(例えば毎日)で、盗難防止の観点で在庫確認を行っている。棚卸作業は、薬局内の調剤棚の開封・未開封の薬剤の在庫や、薬剤払出装置内に残留している薬剤の数を薬剤ごとにカウントして在庫金額を調べ、利益を確定する作業である。従来、薬剤払出装置内に残留している薬剤は人手で数えたり、専用のカウント装置を使用してカウントされている。
【0003】
薬剤払出装置の錠剤を人手で数えるのは、手間がかかり、数え間違いが生じる。また、カウント装置は購入費用がかかり、設置スペースが必要であるという問題があった。
在庫錠剤をロードセルで計測して1錠単位の重さで割って在庫数を求めることができるが、錠剤のロット単位で1錠単位の重さが変わるために正確な計数ができなかった。
【0004】
特許文献1には、可変カセットに残存する錠剤を回収するために、可変カセットの下方に薬品収容部を載置する載置台を設けるとともに、可変カセットの第1経路から分岐する第2経路を切り替え可能に設けて、可変カセットの錠剤を第2経路を介して薬品収容部に回収する回収ユニットを備えた薬剤払出装置が記載されている。しかし、この引用文献1の回収ユニットは、第2経路を設ける必要がある。
【0005】
本願出願人は、特許文献2において、錠剤受取容器を使用して錠剤カセットの錠剤をカウントし棚卸をすることができる薬剤払出装置を提案している。
【0006】
特許文献2の薬剤払出装置では、棚卸対象の錠剤カセットの錠剤をカウントして払い出される錠剤を受け止める錠剤受取容器に振動機構を設けて、錠剤受取容器に収容される錠剤を隙間なく充填して、錠剤受取容器の収容可能量まで十分に収容することができるようになっている。
【0007】
しかし、特許文献2では、可動ブロックを回動させて錠剤受取容器の外面に衝撃を与えるレバー型振動機構と、可動ブロックの直線移動によりロッドを昇降させて、錠剤受取容器の内部の錠剤案内ガイドに衝撃を与えるロッド型振動機構を開示している。
【0008】
レバー型振動機構は、従動ギヤと可動ブロックが異なる軸に設けられているので、構成が複雑であり、可動部材を錠剤受取容器の底に平行に回動させて錠剤受取容器の衝撃受け部に水平方向に衝撃を与えるため、錠剤受取容器に収容される錠剤に有効に振動を伝えることができないという問題があった。
【0009】
ロッド型振動機構は、外部から内部に力を伝達するため、構造が複雑であるうえ、錠剤受取容器を水洗浄して乾燥させても、特にロッド回りに水分が残り、薬剤紛等が付着して汚れるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2017/159819号公報
【特許文献2】国際公開WO2021/210624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡易な構造で、カウントカセットに収容される錠剤に振動を有効に与えることができる振動機構を備え、水洗いした際に水分が残らないカウントカセット及びそれを備えた薬剤払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。
【0013】
(1) 多数の錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器が装着される装着部とを備えた錠剤払出装置の前記錠剤容器からカウントされて払い出される錠剤を受け取るカウントカセットにおいて、
前記カウントカセットの外面に振動機構が設けられ、
前記振動機構は、
前記カウントカセットの外面に設けられた軸部と、
前記軸部に対して軸方向に移動可能に設けられた可動部材と、
前記カウントカセットの外面から離れた状態の可動部材を前記外面に向かって軸方向に付勢し、前記外面に対して衝撃力を付与する弾性部材と
を備える。
この解決手段では、軸部が1つであるため、構成が簡易である。また、振動機構がカウントカセットの外面に設けられているので、カウントカセットを水洗いした後に、特に内部に水が残ることがない。
【0014】
(2)前記手段(1)に記載のカウントカセットにおいて、
前記振動機構は、前記カウントカセットの底部の外面に設けられている。
振動機構がカウントカセットの底部の外面に設けられていることにより、振動機構の振動をカウントカセットの底部に収容される錠剤に有効に与えることができる。
(3)前記手段(1)又は(2)に記載のカウントカセットにおいて、
前記軸部に回転可能に設けられた回転部材と、
前記回転部材の回転を前記可動部材の軸方向の移動に変換するカム機構と、
をさらに備える。
カム機構により、回転部材の回転が可動部材の軸方向の移動に変換されるので、構成が簡易である。
【0015】
(4)前記手段(3)に記載のカウントカセットにおいて、
前記回転部材は、前記装着部の駆動ギヤに噛み合うように前記カウントカセットの底部の外面に回転可能に設けられた従動ギヤである。
回転部材として、装着部の既存の従動ギヤに噛み合う従動ギヤを使用し、装着部の駆動手段により回転部材を回転させることができるので、カウントカセットに動力を設ける必要がない。
【0016】
(5)前記手段(3)又は(4)に記載のカウントカセットにおいて、
前記回転部材は前記可動部材と同軸で、前記回転部材に前記可動部材に係合する係合部を設けて、前記回転部材の回転により前記係合部を介して前記可動部材を回転させるように構成されている。
回転部材と可動部材が同軸であり、回転部材の回転を係合部を介して可動部材に効率よく伝えることができる。
【0017】
(6)前記手段(3)から(5)のいずれかに記載のカウントカセットにおいて、
前記カム機構は、
前記可動部材の内周面と前記軸部の外周面のいずれか一方に形成された爪部と、
前記可動部材の内周面と前記軸部の外周面のいずれか他方に形成され、前記爪部が摺接する傾斜面とを備える。
カム機構が可動部材の内周面と軸部の外周面の間に形成されているため、カム機構を設けるための別の部材を設ける必要がなく、構成が簡易になる。
【0018】
(7)前記手段(6)に記載のカウントカセットにおいて、
前記爪部は、前記可動部材に複数設けられ、
前記傾斜面は、前記軸部に前記爪部と対応して複数設けられ、前記回転部材の回転方向に対して前記カウントカセットから離れる方向に傾斜するように形成されている。
爪部と傾斜面が複数設けられているため、可動部材がカウントカセットの外面に対して衝撃力を安定して付与することができる。
【0019】
(8)多数の錠剤を収容する錠剤容器と、前記錠剤容器が装着される装着部とを備え、前記錠剤容器から払い出される錠剤のカウント機能を有する錠剤払出装置において、
前記手段(1)から(7)のいずれかに記載のカウントカセットを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の薬剤払出装置によれば、簡易な構造で、カウントカセットに収容される錠剤に振動を有効に与えることができるとともに、水洗いした際に水分が残らないという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出装置の斜視図。
【
図2】ドラムに配置された錠剤供給部の部分斜視図。
【
図5】カウントカセットを装着した装着部を斜め後方から見た斜視図。
【
図7】カウントカセットの斜め上方から見た斜視図(a)、及び斜め下方から見た斜視図(b)。
【
図8】カウントカセットの容器本体と緩衝板の斜視図。
【
図9】カウントカセットの支持部とロック部を外側から見た分解斜視図(a)、カウントカセットの支持部の内側から見た斜視図(b)。
【
図10】錠剤受けガイド部材の上方から見た分解斜視図(a)、及び下方から見た分解斜視図(b)。
【
図11】ロック部のロック時の正面図(a)、錠剤受けガイド部材を取り外した状態の正面図(b)。
【
図12】カウントカセット装着前の錠剤受け部の状態(a)、及びカウントカセット装着時の錠剤受け部の状態(b)を示す断面図。
【
図13】錠剤受け部で跳ね返った錠剤の飛出し防止カバーを示す断面図。
【
図14】カウントカセットの底側に向かって見た振動機構の分解斜視図。
【
図15】カウントカセットの底側から見た振動機構の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るカウントカセットを使用する薬剤払出装置1を示す。薬剤払出装置1は、本体2の内部に設けられた第1錠剤供給部3と装置本体2の外部に設けられた第2錠剤供給部4からなる錠剤供給ユニット5、手撒きユニット6、分包ユニット7、錠剤充填台8、バーコードリーダ9、制御ユニット10等を備えている。
【0024】
第1錠剤供給部3は、錠剤カセット11と、該錠剤カセット11を着脱可能な装着部12とで構成され、
図2に示すように装置本体2の内部に回転可能に設けられたドラム20の外面に周方向に複数列、軸方向に複数段配置されている。
【0025】
各錠剤カセット11は、
図3に示すように、多数個の所定の錠剤を収容する錠剤収容部13が形成されたカセット本体14と、当該錠剤収容部13の底に回転可能に設けられて複数の錠剤案内溝15が形成されたロータ16と、該ロータ16の錠剤案内溝15を仕切る仕切部材17とを備えた公知のものである。錠剤カセット11は、ロータ16の回転に伴って、錠剤収容部13の錠剤が錠剤案内溝15に侵入し、錠剤案内溝15がカセット本体14に形成された錠剤出口18の上方に来る毎に、錠剤案内溝15の仕切部材17より下方の錠剤が1個ずつ錠剤出口18から排出されるように構成されている。錠剤カセット11には、識別装置としてRFIDタグ19が取り付けられている。RFID(radio Frequency Identification)は、RFIDタグとRFIDリーダライタとの間で情報を読み書きする近距離無線通信を用いた自動認識技術である。RFIDタグ19には、錠剤カセット11の識別情報、又は該錠剤カセット11に収容される錠剤の薬種識別情報の少なくともいずれか、あるいは記憶部102に記録された当該錠剤カセット11に関する情報のアドレス等が書き込まれる。識別装置としては、RFIDタグ以外に、ITF(Interleaved Two of Five)のようなバーコードも使用できる。
【0026】
各装着部12は、ドラム20の外面の壁部21に棚状に設けられ、内部に錠剤カセット11のロータ16を駆動する駆動モータ22と、錠剤カセット11のRFIDタグ19を読み取る読取装置としてRFIDリーダライタ23が内蔵されている。一部の装着部12(好ましくは下から3番目)の駆動モータ22は、錠剤排出時には通常の速度で動作し、錠剤カウント時にはそれより高速で動作が可能なものにしておき、当該装着部12の正面に、
図4に示すように、高速運転が可能であることを示す例えば「HS」の表示をしておくことが好ましい。装着部12には、錠剤カセット11の錠剤出口18と連通する錠剤排出路24が形成されている。錠剤排出路24には、錠剤出口18から排出される錠剤を検出する錠剤検出センサ25が設けられている。
【0027】
図1に戻ると、第2錠剤供給部4は、本体の外側に配置され、ユニバーサル型の錠剤カセット26と、該ユニバーサル型錠剤カセット26が着脱可能な装着部27とで構成された従来より公知のものであり、
図1に示す実施例では8段×1列の合計8セット設けられている。
【0028】
図3に示すように、第1錠剤供給部3の装着部12が取り付けられるドラム20の壁部21には、第1錠剤供給部3の装着部12の錠剤排出路24に連通する錠剤排出口31が形成されている。また、ドラム20の壁部21の背面には、第1錠剤供給部3の各列に錠剤落下経路32がそれぞれ設けられている。錠剤落下経路32の下端は分包ユニット7の案内ホッパ33(
図25参照)に受け入れられて、第1錠剤供給部3から供給される錠剤を分包ユニット7で包装できるようになっている。各錠剤落下経路32は、錠剤排出口31を介して、第1錠剤供給部3の装着部12の各錠剤排出路24と連通している。
【0029】
第1錠剤供給部3の最下位の装着部12が取り付けられるドラム20の壁部21には、後述するカウントカセット40の錠剤受け部49が挿入されるカウントカセット挿入口34が形成されている。カウントカセット挿入口34は錠剤落下経路32と連通し、錠剤落下経路32の幅と同じ幅を有している。また、
図2に示すように、第1錠剤供給部3の最上位の装着部12が取り付けられるドラム20の壁部21にも、同様のカウントカセット挿入口34が形成され、カウントカセット40を使用しないときに、当該カウントカセット40を最上位の装着部12にス着して保管できるようになっている。この最上位の装着部12のカウントカセット挿入口34は、開口したままでもよいが、後述する可動板37により、内側から開閉可能に覆うようにしてもよい。このように、カウントカセット40を薬剤払出装置1内に保管できるので、外部に保管場所を確保する必要がない。
【0030】
各錠剤排出口31の上方には、錠剤落下経路32を上方から落下してくる錠剤が錠剤排出口31から錠剤排出路24に侵入して該錠剤排出路24の斜面で跳ね返って落下を遅らせるのを防止する跳ね返り防止部材35が設けられている。第1錠剤供給部3の最下位にある装着部12の錠剤排出口31に設けられる跳ね返り防止部材35aは、上端が壁部21から離れる方向に回動するようにヒンジ36により取り付けられるとともに、カウントカセット挿入口34を錠剤落下経路32の内側から開閉する可動板37を有している。可動板37を有する跳ね返り防止部材35aは、可動板37がカウントカセット挿入口34を閉じる方向に図示しないばね手段により付勢されている。
【0031】
図5に示すように、第1錠剤供給部3の最下位の装着部12が装着されるドラム20の壁部21には、後述するカウントカセット40が装着されたことを検出するカウントカセット検出センサ38が設けられている。カウントカセット検出センサ38は、カウントカセット40の係合部56が当接して下方に移動する検知ロッド38aと、該検知ロッド38aの移動を検出するセンサ部38bとを備えている。
【0032】
図1に戻ると、手撒きユニット6は、多数のマス状の手撒き部に錠剤を収容し、各マスの底を開放して分包ユニット7に供給し、所定の服用時期ごとに分包する公知のものである。
【0033】
分包ユニット7は、第1錠剤供給部3と第2錠剤供給部4からなる錠剤供給ユニット5、手撒きユニット6から供給される錠剤を服用時期ごとに薬包シートに包装する公知のものである。
【0034】
錠剤充填台8は、装置本体2の正面に設けられ、錠剤カセット11や、ユニバーサルカセット31、カウントカセット40を載置することができる。錠剤充填台8は、
図5に示すように、読取装置としてRFIDリーダライタ39を備えている。RFIDリーダライタ39は、錠剤カセット11のRFIDタグ19とユニバーサル型錠剤カセット31のRFIDタグ(不図示)に書き込まれている錠剤カセット11とユニバーサル型錠剤カセット31の識別情報又は、該錠剤カセット11とユニバーサル型錠剤カセット31に収容される錠剤の薬種識別情報等を読み取り、あるいは書き換えすることができるとともに、カウントカセット40のRFIDタグ47に、コード番号、棚卸対象の薬剤を書き込み、あるいは書き換えすることができる。
【0035】
バーコードリーダ9は、錠剤充填台8の上方の装置本体2の正面に設けられ、薬剤ケースや薬瓶のバーコードのほか、カウントカセット40のバーコード53を読み取ることができる。
【0036】
制御ユニット10は、
図1の実施例ではパーソナルコンピュータであるが、これには限定されない。
図6に示すように、制御ユニット10は、制御部101、記憶部102、表示部103、キーボード等の入力部104を備えている。制御ユニット10は、錠剤カセット11の装着部12に設けられた駆動モータ22、ユニバーサル型錠剤カセット31の装着部32に設けられた駆動モータ(不図示)、錠剤検出センサ25、RFIDリーダライタ23、カウントカセット検出センサ38、バーコードリーダ9、RFIDリーダライタ39と協働して、錠剤供給ユニット5、手撒きユニット6を制御して錠剤及び散薬を分包ユニット7に供給する薬剤供給処理と、供給された薬剤を服用時期単位に包装する薬剤包装処理と、錠剤供給ユニット5に残留する錠剤をカウントして棚卸を行う棚卸処理を行う。
【0037】
次に、
図7~13を参照して、薬剤払出装置1の棚卸時に使用されるカウントカセット40について説明する。
【0038】
図7に示すように、カウントカセット40は、容器本体41と、緩衝板42と、錠剤受けガイド部材43とを有する。
【0039】
容器本体41は、
図8に示すように、上方に開口部41aを有する略矩形の容器で、錠剤カセット11と同様にして装着部12に装着可能な形状を有している。すなわち、容器本体は、装着部12に錠剤カセット11と交換して装着できるように形成されている。容器本体は、底部41bと、装着部12に装着された状態で手前側に位置する正面部41cと、左右側に位置する左側面部41d及び右側面部41eと、奥側に位置する背面部41fとを有し、これらにより錠剤を収容できる収容部が構成されている。
【0040】
容器本体41の底部41bは、
図7(b)に示すように、錠剤カセット11の装着部12に位置決めするガイド44が設けられている。容器本体41の底部41bの内面には、
図12(b)に示すように、正面部41cとの間に後述する緩衝板42の下端が係合する溝41gが形成されている。
【0041】
図8に示すように、容器本体41の正面部41cは、外側に凸に膨らんだ形状を有し、内側に装着される緩衝板42との間に隙間が形成されるようになっている。衝撃板42の材質としては、ポリカーボネート、アクリル、硬質塩化ビニル、塩素化塩化ビニル等が使用できる。
容器本体41の左側面部41d及び右側面部41eには、正面部41cに近接した位置に、緩衝板42を取り付けるための係合穴41hが形成されている。
【0042】
容器本体41の背面部41fには、カウントカセット40を装着部12に装着したときに、カウントカセット検出センサ38の検知ロッド38aが係合する係合部41iが形成されている。
【0043】
容器本体41の背面部41fは、開口部41aから下方に切り欠かれた切欠部41jを有している。切欠部41jの底縁には、後述する錠剤受けガイド部材43を支持する支持部45が設けられている。
【0044】
図9に示すように、支持部45は、背面部41fの内外に水平に突出した形状を有している。支持部45の上面には、錠剤受けガイド部材43の被係合凹部52aが係合する略プラス(+)形の係合突部45aが形成されている。支持部45の内側には、錠剤受けガイド部材43の1対の突起52fが嵌合する嵌合穴45bが上面から下方に向かって形成されている。支持部45の外側には、ばね57が挿通される貫通穴45cが両側面から水平方向に形成されている。支持部45の外側突出端面には、ロック部51の軸部54が挿入される軸孔45dが貫通穴45cと直交する方向に形成されている。
【0045】
カウントカセット40には、正面部41cに
図6に示すバーコード46が設けられるとともに、底部41aに
図7(b)に示すRFIDタグ47が取付けられている。バーコード46は、カウントカセット40の識別情報としてコード番号が記録されている。RFIDタグ47には、カウントカセット40の識別情報が書き込まれる。
【0046】
図8に示すように、緩衝板42は、容器本体41の正面部41cの内側に取り付けられる矩形の板である。緩衝板42の両側縁部には、容器本体41の係合穴41hに係合する凸部42aが形成されている。
【0047】
図10に示すように、錠剤受けガイド部材43は、錠剤ガイド部48と、錠剤受け部49と、板ばね50と、ロック部51(
図9(a)参照)とで構成されている。錠剤ガイド部48は、基部52と、ガイド板53とを有する。
【0048】
錠剤ガイド部48の基部52の底面には、容器本体41の支持部45の係合突部45aに係合する被係合凹部52aが形成されている。
図11(a)に示すように、被係合凹部52aは、容器本体41の支持部45より幅広で、支持部45の両側面と、被係合凹部52aの内面との間に、ロック部51の弾性片55が収容される空間52bが形成されている。被係合凹部52aの両側壁には、ロック部51の弾性片55の爪部55aが係合する係合穴52cが係合されている。基部52の両側端には、一対の軸受け部52dと、切欠部41jの両側縁に沿って立ち上がる起立片52eと、起立片52eから両側に突出する突起52fとを有している。基部52の外側端面には、後述する板ばね50の一端が挿入支持される溝52gが形成されている。軸受け部52dには、軸孔52hが形成されている。
【0049】
錠剤ガイド部48のガイド板53は、基部52と一体に形成され、基部52の上面から、カウントカセット40の内部に向かって下方に14.0~18.0度、好ましくは16.0度の角度で傾斜し、容器本体41の正面部41cまで延びている。ガイド板53は、
図8に示すように、基部52から先端に向かって幅広に形成されるとともに、両側に向かって下方に傾斜している。ガイド板53の裏面には、
図10(b)に示すように、基部52から先端まで延びる2つの補強リブ53aが設けられ、基部52の近傍には容器本体41の支持部45の嵌合穴45bに嵌合する一対の突起53bが設けられている。
【0050】
錠剤受け部49は、上部49aと、下部49bと、先端部49cと、両側部49d、49eと、上部49aの内面から先端部49cへ延びる複数のリブ49fとで構成され、上方から見て矩形の形状を有している。両側部49d、49eの一端には、軸部49gが外側に突出して形成されている。上部49aと下部49bの間には、後述する板ばね50が挿入される隙間49hが形成されている。錠剤受け部49は、軸部49gが基部52の軸孔52hに嵌合することで、軸部49gを中心に回動可能になっている。
【0051】
板ばね50は、一端が基部52の溝52gに支持され、他端が錠剤受け部49の隙間49hに挿入支持されて、錠剤受け部49を略水平な状態に保持している。水平状態では、錠剤受け部49のストッパ49iが軸受け部52dに当接している。また、板ばね50は、錠剤受け部49が上方に回動したときに、錠剤受け部49を下向きに付勢するようになっている。なお、板ばね50の代わりに、コイルばねを使用してもよい。
【0052】
図9(a)に示すように、ロック部51は、軸部54と、弾性片55とを有している。軸部54は、容器本体41の支持部45の軸孔45dに挿入され、ねじ56で抜け止めされている。弾性片55は、軸部54の下面から両側にU字形に伸びて、容器本体41の支持部45と、基部52の被係合凹部52aとの間の空間52bに進入している。弾性片55の外面の先端には、基部52の係合穴52cに係合する係合爪55aが形成されている。弾性片55の内面には、ばね57の両端を支持するばね係止部55bが形成されている。弾性片55の側縁には、軸部54の軸方向に突出する摘み部55cが形成されている。
【0053】
錠剤受けガイド部材43は、ロック部51の係合爪55aが係合穴52cに係合しているので、容器本体41から外れるのを防止することができる。また、錠剤受けガイド部材43は、ロック部51の摘み部55cを押すと係合爪55aが係合穴52cから離脱するので、容器本体41から取り外すことができる。錠剤受けガイド部材43を取り外すことで、容器本体41の内部と、錠剤受けガイド部材43自体を容易に清掃することができる。
図11(b)に示すように、錠剤受けガイド部材43が取り外された容器本体41は、ロック部51のばね57により広げられて、カウントカセット挿入口34より広い幅になっている。このため、錠剤受けガイド部材43を取り付けない状態では、カウントカセット40を装着部12に装着できない。このため、錠剤受けガイド部材43の付け忘れを防止することができる。
【0054】
錠剤受けガイド部材43の錠剤受け部49は、カウントカセット40を装着部12に設置したときに、ドラム20のカウントカセット挿入口34を介して錠剤落下経路32に挿入される。錠剤受け部49の幅は、ドラム20の壁部21のカウントカセット挿入口34に挿入可能な寸法を有するが、カウントカセット挿入口34に挿入されたときに錠剤落下経路32の内面との間の隙間に錠剤が入らない寸法になっている。錠剤受け部49の突出長さは、錠剤落下経路32の奥行寸法より大きく、カウントカセット挿入口34に挿入されたときに、錠剤落下経路32の内面と接触して上方に向かって折れ曲がるようになっている。
【0055】
装着部12に錠剤カセット11が装着されている場合は、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口31、錠剤落下経路32、分包ユニット7に至る錠剤分包経路60Aが形成される。カウントカセット40が装着部12に設置され、錠剤受け部49がドラム20のカウントカセット挿入口34を介して錠剤落下経路32に挿入されると、
図3に示すように、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口31、錠剤落下経路32、カウントカセット40の錠剤受け部49、錠剤ガイド部48、カウントカセット40の内部に至る錠剤受取経路60Bが形成される。カウントカセット40は、装着部12に錠剤カセット11と交換して装着されるので、特別な設置スペースを設ける必要がないし、カウントカセット40を装着部12に設置したときに、錠剤受け部49が錠剤落下経路32に挿入されて、錠剤受取経路60Bが形成されるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0056】
図12(a)に示すように、カウントカセット40を所定の装着部12に装着する前は、カウントカセット40の錠剤受け部49は傾斜が緩い状態になっており、カウントカセット挿入口34より低い位置になっている。このため、
図12(b)に示すように、カウントカセット40を装着部12に載置して前に押すと、跳ね返り防止部材35aを押して錠剤受け部49がカウントカセット挿入口34に挿入される。カウントカセット40をさらに押し込むと、錠剤受け部49の先端が錠剤落下経路32に当たり、その反力で板ばね50の付勢力に抗して上方に押し上げられて、傾斜角が急になる。錠剤受け部49は板ばね50により錠剤落下経路32に当たったままになるため、隙間は生じない。また、錠剤受け部49の傾斜が急であるため、上方の錠剤カセット11から払い出される錠剤が錠剤受け部49に当たって勢いよくカウントカセット40内に入るため、カウントカセット40の入り口で錠剤が詰まることはない。カウントカセット40を装着部12から取り外すと、錠剤受け部49は板ばね50の付勢力により傾斜が緩やかな元の状態に戻る。
【0057】
勢いよくカウントカセット40内に入ってきた錠剤はカウントカセット40の正面部41cの内側に設けられた緩衝板42に衝突するが、正面部41cの壁と緩衝板42との間に隙間が形成されているので、衝撃音が低減する。
【0058】
図13に示すように、錠剤受け部49に当たった錠剤はカウントカセット40内に入らずに、上方に跳ね返って上方の錠剤排出口31に入り、錠剤カセット11が無い場合は、錠剤排出路24から外部に飛び出す可能性がある。
【0059】
そこで、錠剤をカウントする前に、カウントカセット40を装着した装着部12の1つ上の装着部12に錠剤カセット11が有るか否かをRFIDリーダライタ23により判断し、錠剤カセット12が無い場合は錠剤カセット12又は飛出し防止カバー58を装着するようユーザに促す。飛び出し防止カバー58には、RFIDタグが設けられ、このRFIDタグをRFIDリーダライタ23により検出することで、飛び出し防止カバー58が装着されたことを判断し、後述する錠剤カウントモードに移行するようにしてもよい。飛び出し防止カバー58は、錠剤カセット11と同様に装着部12に装着できるベース部58aと、錠剤排出路24を閉塞する手段である閉塞部58bとを有する。カウントカセット40を装着した装着部12の1つ上の装着部12に錠剤カセット11又は飛び出し防止カバー64を装着することで、錠剤受け部49で跳ね返った錠剤が上方の錠剤排出口31から外部に飛び出すのを防止することができる。
【0060】
次に、
図14-16を参照して、カウントカセット40の容器本体41の底部41bを振動させる振動機構61について説明する。
【0061】
振動機構61は、カウントカセット40の容器本体41の底部41bの外面に設けられた軸部62と、従動ギヤ63と、可動部材64と、カム機構65と、弾性部材66とで構成されている。
【0062】
軸部62は、カウントカセット40の底部41bの外面に設けられ、小径部62aと大径部62bをからなる円柱形状を有している。軸部62の先端には、ねじ孔62cが形成されている。
【0063】
従動ギヤ63は、中心孔63aを有する円板の外周面にギア63bが形成されたもので、中心孔63aに固定ねじ67を通して、カウントカセット40の軸部62のねじ孔62cにねじ込むことにより、回転可能に設けられている。従動ギヤ63は、カウントカセット40を装着部12に装着したときに、装着部12に設けられた駆動ギヤ22a(
図4参照)に噛み合うように構成されている。カウントカセット40の底部41bの外面と対向する側の従動ギヤ63の端面には、4つの円柱状の係合ピン63cが周4等配位置に設けられ、各係合ピン63cの周囲に後述する弾性部材66の一端を支持する環状溝63d(
図15,17参照)が形成されている。
【0064】
可動部材64は、外周面と内周面を有する円環状の板からなり、従動ギヤ63とカウントカセット40の底部41bとの間に、従動ギヤ63と同軸に配置されている。可動部材64の外周面は、従動ギヤ63の外径とほぼ同じか、それより小さい。可動部材64の内周面は、カウントカセット40の軸部62の大径部62bの外径より大きく形成されている。可動部材64の内周面には、後述するカム機構65を構成する2つの爪部68が設けられている。可動部材64には、従動ギア63の係合ピン63cが嵌合する4つの係合孔64aが軸心と平行に貫通するように周4等配位置に形成されている。可動部材64は、係合孔64aに従動ギヤ63の係合ピン63cが挿入されて、従動ギヤ63の軸方向に移動可能で、従動ギヤ63の回転により回転可能に設けられている。
【0065】
カム機構65は、可動部材64の内周面に設けられた爪部68と、カウントカセット40の軸部62に設けられた傾斜面69とで構成されている。爪部68は、可動部材64の内周面の2箇所に設けられ、カウントカセット40の底部41bと対向する面には、傾斜面69と摺接する摺動面68aが設けられている。傾斜面69は、カウントカセット40の軸部62の小径部62aと大径部62bの間の段部に2箇所に設けられ、爪部68の摺動面68aが摺接するようになっている。傾斜面69は、カウントカセット40の底部41bを見たときに、低い位置にある第1端部69aから高い位置にある第2端部69bまで時計回りに上傾斜して螺旋状に延びている。
図16に示すように、第1端部69aから第2端部69bまでの角度は約140度であり、隣接する2つの傾斜面の第1端部69aと第2端部69bの間には、爪部68が落ち込む空間69cが形成され、その角度は約40度である。
【0066】
弾性部材66は、4つのコイルばねからなり、それぞれ従動ギヤ63の4つの係合ピン63cに外装されている。各弾性部材66の一端は従動ギヤ63の環状溝63dに収容され、他端は可動部材64の端面に当接している。弾性部材66は、可動部材64をカウントカセット40の底部41bの外面に向かって付勢している。
【0067】
次に、振動機構61の作用について説明する。
【0068】
カウントカセット40を装着部12に装着し、当該装着部12より上方の錠剤カセット11から錠剤を排出してカウントしている間、カウントカセット40を装着した装着部12の駆動モータ22を駆動する。
図17(a)に示すように、駆動モータ22の駆動により、駆動ギヤ22aと噛み合う従動ギヤ63が回転し、従動ギヤ63の4つの係合ピン63cが可動部材64を回転させる。可動部材64の2つの爪部68はカウントカセット40の軸部62の2つの傾斜面69をそれぞれ第1端部69aから第2端部69bまで摺動する。これにより、
図17(b)に示すように、可動部材64は、回転しながら弾性部材66の付勢力に抗して軸方向に移動し、カウントカセット40の底部41bの外面から離れる。可動部材64の2つの爪部68が2つの傾斜面69の各第2端部69bを越えると、
図17(c)に示すように、可動部材64は、弾性部材66の付勢力により、軸方向にカウントカセット40の底部41bに向かって移動し、可動部材64の端面がカウントカセット40の底部41bの外面に衝突し、カウントカセット40の底部41bに衝撃を与える。
【0069】
従動ギヤ63が半回転する毎に、可動部材64がカウントカセット40の底部41bに衝撃を与える結果、カウントカセット40の底部41bに周期的に振動が与えられる。これにより、カウントカセット40に排出される錠剤間の隙間が詰められ、錠剤が密に積み重ねられ、カウントカセット40の収容可能量まで十分に収容することができる。また、底部41bの振動が錠剤ガイド部48に伝動して、錠剤ガイド部48上の錠剤を底に落下させるので、錠剤ガイド部48に錠剤が溜まってカウントカセット40の受取口が詰まるのを防止できる。
【0070】
本実施形態の振動機構61は、軸部62が1つであり、部品として、従動ギヤ63と、可動部材64と、弾性部材66を有する簡易な構成であり、容器本体41の底部41bの外面に設けられているので、カウントカセット40を水洗いした後に、特に内部に水が残ることがない。また、振動機構61がカウントカセット40の底部41bの外面に設けられていることにより、振動機構61の振動をカウントカセット40の底部41bに収容される錠剤に有効に与えることができる。
【0071】
本実施形態の振動機構61は、回転部材として、装着部12の既存の駆動ギヤ22aに噛み合う従動ギヤ63を使用し、装着部12の駆動モータ22により従動ギヤ63を回転させることができるので、カウントカセット40に動力を設ける必要がない。
【0072】
また、従動ギヤ63と可動部材64が同軸であり、従動ギヤ63の回転を係合ピン63cを介して可動部材64に効率よく伝えることができる。
【0073】
さらに、カム機構65が可動部材64の内周面と軸部62の外周面の間に形成されているため、カム機構65を設けるための別の部材を設ける必要がなく、構成が簡易になる。
【0074】
また、カム機構65の傾斜面69と爪部68が複数設けられているため、可動部材64がカウントカセット40の外面に対して衝撃力を安定して付与することができる。
【0075】
振動機構61は、SSサイズの錠剤カセット11のカウントモードで排出される錠剤を受け取る小容量のカウントカセット40に設けて、下から3段目の錠剤カセット11のカウントモードで、振動機構61を動作させ、20秒毎に8回振動させることが好ましい。
【0076】
前記実施形態の振動機構61では、カム機構65の傾斜面69をカウントカセット40の底部41bの軸部62に設け、カム機構65の爪部68を可動部材64に設けているが、逆にカム機構65の爪部をカウントカセット40の底部41bの軸部62に設け、カム機構65の傾斜面を可動部材64に設けてもよい。
【0077】
また、前記実施形態の振動機構61では、カム機構65の爪部68と傾斜面69の組合わせを2組設けたが、3組以上設けてもよい。
【0078】
前記実施形態の振動機構61は、カウントカセット40の底部41bの外面に設けたがカウントカセット40の底部41bに限らず、側面部41d、41eの背面に設けてもよい。また、前記実施形態の振動機構61の従動ギヤは、装着部12の駆動ギヤ22aと噛み合って回転するようにした、カウントカセット40に設けたバッテリーで駆動するモータにより回転可能にしてもよい。
【0079】
次に、薬剤払出装置1の棚卸処理及び動作について説明する。
【0080】
本実施形態の薬剤払出装置1では、錠剤カセット11の錠剤を錠剤カウンタに移し換えることなく、カウントカセット40を薬剤払出装置1の錠剤カウント機能を利用して棚卸することができる。
【0081】
まず、操作者は、薬剤払出装置1の正面の扉を開いて、ドラムの最上段の装着部12に装着されて保管されているカウントカセット40を取り出す。続いて、ドラム20を手動で動かし、棚卸対象の錠剤が収容された錠剤カセット11がある列の棚を手前に移動させて、その列の最下段の装着部12に装着された錠剤カセット11を取り外し、錠剤カセット11と交換で、当該最下段の装着部12にカウントカセット40を差し込む。このとき、カウントカセット40の錠剤受け部49は、ドラム20のカウントカセット挿入口34から可動板37を押圧して、錠剤落下経路32に進入する。これにより、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口31、錠剤落下経路32、カウントカセット40の錠剤受け部49、錠剤ガイド部48、カウントカセット40の内部に至る錠剤受取経路60Bが形成されるので、各錠剤カセット11の錠剤をカウントカセット40で受け取ることが可能となる。なお、カウントカセット40を装着した装着部12の1つ上の装着部12に装着された錠剤カセット11を取り外して、代わりに飛び出し防止カバー58を装着しておく。
【0082】
制御ユニット10の制御部101は、ドラム20のカウントカセット検出センサ38からの信号に基づき、カウントカセット40が差し込まれたことを判断すると、表示部103に棚卸が可能な錠剤を表示する。なお、カウントカセット40が最上位の装着部12に装着されているときは、当該カウントカセット40は保管状態であるので、カウントカセット装着センサ38による検出対象外とする。操作者は、表示部103に表示されたた錠剤のうち、棚卸のためにカウントしたい錠剤を選択し、表示部103の「開始」ボタンを押す。
【0083】
制御部101は、「開始」ボタンが押されると、棚卸対象の錠剤カセット11が装着された装着部12の駆動モータ22を駆動し、棚卸対象の錠剤カセット11の錠剤出口18から錠剤を排出するとともに、錠剤検出センサ25からの信号に基づき、錠剤出口18から排出される錠剤を検出し、錠数を記憶部102に記憶する。次に、錠剤検出センサ25からの信号に基づき、錠剤の排出が完了したと判断すると、棚卸対象の錠剤カセット11が装着された装着部12の駆動モータ22を停止する。
【0084】
錠剤払い出し処理が終了すると、操作者は、カウントカセット40に払い出された錠剤を錠剤カセット11トに戻すために、カウントカセット40を取り外して、錠剤充填台8に載置する。また、操作者は、払い出し処理した錠剤カセット11を装着部12から取り出して錠剤充填台8に載置する。
【0085】
次に、制御部101は、棚卸対象の錠剤カセット11の薬種識別情報と、カウントカセット40のコード番号と紐付けられた薬種識別情報とを錠剤充填台8のRFIDリーダライタ39で読み取って、両者が一致していれば、表示部104に照合OKの表示を行う。照合OKになると、操作者は、カウントカセット40の錠剤を錠剤カセット11に移し換えて、戻し処理を終了する。
【0086】
以上のようにして、1つの錠剤カセット11の薬品のカウントが終了すると、表示部103で他の棚の錠剤カセット11の薬品を選択して、同様にカウント処理を行うことができる。
【0087】
なお、高速動作可能な駆動モータ22がある装着部12(
図4に示すように、正面に「HS」の表示がある装着部12)を棚卸時に優先的に使用するようにしてもよい。この場合、制御装置101は、表示部103に、「HS表示した装着部12に錠剤カセット12を装着する」旨の表示を行うとともに、当該装着部12の正面にLEDを点灯又は点滅表示する。ユーザは、棚卸対象の錠剤カセット11を全て取り外して、順次、「HS」の装着部12に装着して錠剤をカウントすることができる。これにより、カウント動作が速くなるので、棚卸作業が短時間で行えるとともに、棚卸場所が特定されているので、錠剤カセット12の着脱等の作業効率が向上する。
【0088】
また、カウントカセット40を装着部12に装着したとき、カウント動作が開始する前に、カウントカセット40を装着した列のいずれかの錠剤カセット11から錠剤が偶発的に排出されて、カウントカセット40に誤落下することがある。この場合、誤落下した錠剤と、棚卸対象の錠剤がカウントカセット40に混入し、他の錠剤カセット12に戻される危険性がある。そこで、カウントカセット40を装着した後、カウント動作を開始する前に、カウントカセット40と同じ列の錠剤検出センサ25が錠剤を検出すると、制御装置101は、表示部103に、薬剤混入の虞れがある旨を表示してユーザに通知し、「開始」ボタンを非アクティブにして、カウント開始できないようにするか、あるいは、カウントカセット40を取り外して錠剤充填台8に載置したときに、照合不可にして、カウントカセット40の薬品を錠剤カセット11に戻せないようにすることが好ましい。
【0089】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で変形や修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0090】
1 薬剤払出装置
2 装置本体
3 第1錠剤供給部
4 第2錠剤供給部
5 錠剤供給ユニット
8 錠剤充填台
9 バーコードリーダ
10 制御ユニット
11 錠剤カセット(錠剤容器)
12 装着部
19 RFIDタグ
31 錠剤排出口
32 錠剤落下経路
34 カウントカセット挿入口
40 カウントカセット
43 錠剤受けガイド部材
49 錠剤受け部
61 振動機構
62 軸部
63 従動ギヤ(回転部材)
63c 係合ピン(係合部)
64 可動部材
65 カム機構
66 弾性部材
68 爪部
69 傾斜面