(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031494
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】エアブロー装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/46 20060101AFI20240229BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F04D29/46 J
F04D29/62 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135072
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西 拓弥
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC22
3H130BA95J
3H130DF04Z
3H130DG03X
3H130DJ06Z
3H130EA07A
3H130ED01J
(57)【要約】
【課題】意図した位置に気体を吐出できるエアブロー装置を提供する。
【解決手段】エアブロー装置であって、モータと、モータにより駆動するファンと、モータおよびファンが内部に位置した、吸気口を有するハウジングと、ハウジングと接続した、吸気口から吸気された気体が流れる中空部を有する中空部材と、中空部材と接続した、気体の吐出口を有する排気ノズルと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより駆動するファンと、
前記モータおよび前記ファンが内部に位置した、吸気口を有するハウジングと、
前記ハウジングと接続した、前記吸気口から吸気された気体が流れる中空部を有する中空部材と、
前記中空部材と接続した、前記気体の吐出口を有する排気ノズルと、を備えるエアブロー装置。
【請求項2】
前記中空部材は、フレキシブルホースである、請求項1に記載のエアブロー装置。
【請求項3】
スイッチング素子を有する電気回路基板をさらに備え、
前記ハウジングは、前記気体の流路であって、前記ファンと前記中空部材との間に位置する第1流路をさらに有し、
前記電気回路基板は、前記第1流路内に位置している、請求項1または2に記載のエアブロー装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記気体の流路であって、前記ファンと前記吸気口との間に位置する第2流路を有し、
前記第2流路の少なくとも一部は、前記ファンの回転軸と交差する方向に延伸する、請求項1または2に記載のエアブロー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアブロー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等において工作機械を用いた加工を行うと、切屑等が発生する。従来このような切屑等は、コンプレッサ等により発生する圧縮空気を吹き付けることで除去される。
【0003】
例えば、特許文献1には、ルーツ式ブロワをモータにより駆動するように設けた圧縮空気供給装置と、圧縮空気供給装置とホースを介して接続される低圧損型ハンドガンとからなるエアブロー装置が開示されている。また、特許文献2には、ファンと、ケーシングと、ノズルとを備えたブロワが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3125489号公報
【特許文献2】特開第2021-80851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアブロー装置では、意図した位置に正確に気体を吐出できることが要望される。本開示の一態様は、意図した位置に気体を吐出できるエアブロー装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るエアブロー装置は、モータと、前記モータにより駆動するファンと、前記モータおよび前記ファンが内部に位置した、吸気口を有するハウジングと、前記ハウジングと接続した、前記吸気口から吸気された気体が流れる中空部を有する中空部材と、前記中空部材と接続した、前記気体の吐出口を有する排気ノズルと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、意図した位置に気体を吐出できるエアブロー装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るエアブロー装置の一例を示す斜視図であって、符号101により正面斜視図を示し、符号102により背面斜視図を示す。
【
図2】
図1に示すエアブロー装置について、符号201により左側面図を示し、符号202により背面図を示し、符号203により下面図を示す。
【
図3】
図1に示すエアブロー装置が備えるハウジングおよび内部部品の一部を示す分解斜視図である。
【
図4】
図2において符号203により示すエアブロー装置のV-V線矢視断面図であって、ハウジングを除いた構成を示す。
【
図5】
図1に示すエアブロー装置においてハウジングの一部を取り外した状態を示す左側面図であって、気体の流路を模式的に示す。
【
図6】実施携帯2に係るエアブロー装置を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示すエアブロー装置の右側面図である。
【
図8】
図7に示すエアブロー装置のVIII-VIII線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
本開示の一実施形態について、以下に説明する。
図1は、本実施形態に係るエアブロー装置1の一例を示す斜視図であって、符号101により示す図は正面斜視図であり、符号102により示す図は背面斜視図である。また、
図2はエアブロー装置1を示す図であって、符号201により示す図は左側面図であり、符号202により示す図は背面図であり、符号203により示す図は下面図である。
【0010】
本明細書では便宜上、エアブロー装置1の方向について、ノズル40側を正面側であって前側とし、ハンドル11側を上側とし、
図2の符号201により示す図に表れている側面側を左側として説明する。ただし、これはあくまで一例であり、エアブロー装置1の方向は特に限定されない。
【0011】
図1および
図2に示すように、エアブロー装置1は、ハウジング10と、フレキシブルホース40と、排気ノズル50とを備えている。
【0012】
(フレキシブルホースおよび排気ノズル)
フレキシブルホース40は、気体が流れる中空部41を内部に有する中空部材である。フレキシブルホース40は、ハウジング10側の端部である第1端部42と、排気ノズル50側の端部である第2端部43とを有する。フレキシブルホース40は、第1端部42においてハウジング10と接続し、第2端部43において排気ノズル50と接続する。中空部41を流れる気体は、第1端部42から第2端部43に向かって流れる。
【0013】
フレキシブルホース40は、側壁において周方向の折り込みが延伸方向に沿って連なった、蛇腹状の形状を有していてもよい。また、フレキシブルホース40は、材質が合成樹脂であってよく、可撓性を有する合成樹脂であってもよい。このような構成によれば、フレキシブルホース40は、容易に曲げることができる。そのため、エアブロー装置1のユーザは、第2端部43と接続する排気ノズル50の位置を容易に調整できる。フレキシブルホース40は、側壁が蛇腹状の形状を有していなくても、材質が可撓性を有する合成樹脂であればよい。また、フレキシブルホース40の材質は合成樹脂に限定されない。
【0014】
エアブロー装置1が備える中空部材は、例えば、材質が可撓性に乏しい金属等であって、例えばパイプであってもよい。この場合、エアブロー装置1が備えるパイプは、直線状に延伸していてもよく、1箇所以上が曲がっていてもよい。例えば、エアブロー装置1が備えるパイプは、排気ノズル50が、エアブロー装置1が吐出する気体が吹き付けられる対象の近傍に位置するように、適宜屈曲または湾曲していてもよい。気体が吹き付けられる対象とは、例えば、工作機械であってもよく、工作機械が設置される周囲の構造物であってもよい。また、エアブロー装置1の用途は、工作機械の加工により生じる切屑等の除去に限定されず、気体の吐出により除去できる物質の除去であればよい。
【0015】
エアブロー装置1は、フレキシブルホース40またはパイプ等のような中空部材を有しているため、作業者が意図する位置に向けて気体を吐出することが容易な構成である。エアブロー装置1が備える中空部材の態様は、エアブロー装置1が使用される環境によって適宜付け替え可能であってもよい。例えば、エアブロー装置1を持ち運びながら使用する場合はフレキシブルホース40が取り付けられ、エアブロー装置1を固定して使用する場合はパイプを取り付けられてもよい。このような構成によれば、1台のエアブロー装置1を、多様な環境および用途において使用できる。
【0016】
排気ノズル50は、フレキシブルホース40を流れた気体の吐出口51を有する筒状の部材である。排気ノズル50は、フレキシブルホース40の第2端部43と接続している。排気ノズル50の材質は特に限定されないが、例えば合成樹脂または金属であってもよい。エアブロー装置1のユーザは、排気ノズル50を把持することで、気体の吐出位置を調整できる。
【0017】
排気ノズル50の形状は、特に限定されない。例えば、広い範囲に気体を吐出する場合と、狭い範囲にピンポイントに気体を吐出する場合とで、開口部の開口径がそれぞれ異なる排気ノズル50が使い分けられてもよい。このように、排気ノズル50はフレキシブルホース40から取り外し可能であり、用途に応じて異なる形状の排気ノズル50を、フレキシブルホース40に取り付け可能であってもよい。
【0018】
(ハウジング)
ハウジング10は、エアブロー装置1の本体ハウジングであり、内部に各種部品が位置している。ハウジング10の材質は特に限定されないが、例えば合成樹脂または金属であってもよい。ハウジング10は、ハンドル11と、第1脚部12と、第2脚部13と、吸気口14と、第1孔15と、第2孔16と、第3孔17とを有している。
【0019】
ハンドル11は、ハウジング10の上面に位置する棒状の部材である。エアブロー装置1のユーザは、ハンドル11を把持してエアブロー装置1を持ち歩く等により、エアブロー装置1を移動させることが容易である。ハンドル11は、ハウジング10と一体となっていてもよく、ハウジング10に取り付けられる部材であってもよい。
【0020】
ハンドル11は、ハウジング10の上面以外の部分に位置していてもよい。また、エアブロー装置1は1つのハンドル11を備えていてもよく、2つ以上のハンドル11を備えていてもよい。例えば、エアブロー装置は2つのハンドル11を備えており、ハウジング10の左側面および右側面にそれぞれのハンドル11が位置していてもよい。
【0021】
第1脚部12および第2脚部13は、エアブロー装置1の脚部を構成する。エアブロー装置1は、第1脚部12および第2脚部13が接地することで、工場の床または台上等に安定して静置できる。第1脚部12は、ハウジング10の左側面および右側面のそれぞれ一部を構成している。
【0022】
第2脚部13は、ハウジング10の左右方向に延びる板状の部材である。第2脚部13は、左右の2つの第1脚部12とそれぞれ接続しており、2つの第1脚部12は第2脚部13を介して連結している。第2脚部13は、前後方向においてハウジング10の正面および背面よりも内側に位置している。しかし、第2脚部13は、ハウジング10の正面または背面の一部を構成していてもよい。また、ハウジング10は、2つ以上の第2脚部13を備えていてもよい。
【0023】
ハウジング10が、このように2つの第1脚部12を接続する第2脚部13を備えていることで、ハウジング10の剛性を容易に向上できる。ハウジング10は、第1脚部12および第2脚部13を備えていなくてもよく、例えば、ハウジング10の底面全体が接地する構成であってもよい。
【0024】
吸気口14は、ハウジング10の外部に存在する気体をハウジング10の内部に吸気、ハウジング10の背面に位置する貫通孔である。吸気口14は、ハウジング10の背面に、下向きに開口して位置していてもよい。ハウジング10は、吸気口14の下端から上側の部分が、少なくとも吸気口14の前後方向の長さ分、背面側に突出している。
【0025】
第1孔15および第2孔16は、ハウジング10の正面に位置する貫通孔である。第3孔17は、ハウジング10の背面に位置する貫通孔である。それぞれの貫通孔の機能については後述する。このようにハウジング10は、1つまたは複数の貫通孔を有していてもよい。
【0026】
凹凸部18は、ハウジング10の左側面および右側面のそれぞれ内壁面に位置し、複数の凹凸を有している。凹凸部18は、ハウジング10の内部に位置する少なくとも一部の部品と係合して接続し、これらの部品をハウジング10の内部において固定する。また、凹凸部18は、ハウジング10の軽量化と剛性の向上とを両立できる。
【0027】
(ハウジングの内部)
図3は、エアブロー装置1が備えるハウジング10および内部部品の一部を示す分解斜視図である。
図4は、
図2において符号203により示すV-V線矢視断面図であって、ハウジング10を除いた構成を示している。
図5は、エアブロー装置1が備えるハウジング10の一部を取り外した状態を示す左側面図であって、気体の流路Lを模式的に示す図である。
図5において、気体の流路Lは1点鎖線の矢印により模式的に示している。
【0028】
図3および
図4に示すように、ハウジング10の内部には、ホースコネクタ20と、アダプタ21と、ケーシング22と、ファンユニット23と、吸気ノズル24と、が位置して、気体の流路Lを構成している。さらに、ハウジング10の内部には、モータ25と、ファン26と、電気回路基板27と、スイッチ28と、スイッチ基板29と、制御基板30と、電池装着部31と、が位置している。
【0029】
ホースコネクタ20は、フレキシブルホース40の第1端部42と接続する筒状の部材である。ホースコネクタ20は、ハウジング10が有する第1孔15を貫通する態様によりハウジング10と接続している。ホースコネクタ20により、ハウジング10とフレキシブルホース40との取り付けおよび取り外しが容易となる。
【0030】
アダプタ21は、ホースコネクタ20を収容して固定する筒状の部材である。アダプタ21は、ハウジング10の内壁面に位置する凹凸部18と接続している。ホースコネクタ20は、ハウジング10の正面側から、第1孔15を通じてアダプタ21に挿入される。ホースコネクタ20は、少なくともアダプタ21に挿入される部分の外径が、アダプタ21の内径以下である。
【0031】
ケーシング22は、アダプタ21と接続すると共に、ファンユニット23を収容する筒状部材である。ケーシング22は、ハウジング10の内壁面に位置する凹凸部18と接続している。ケーシング22は、下流側に向かうにつれて、内径が徐々に大きくなっている。換言すれば、ケーシング22における気体の流路の断面積は、気体の流れの下流側に向かうにつれて徐々に大きくなっている。このような構成によれば、ファンユニット23で得られた動圧を静圧に変換することができる。
【0032】
ファンユニット23は、モータ25、ファン26および電気回路基板27を収容する筒状の部材である。ファンユニット23は、ケーシング22に背面側から挿入される。ファンユニット23は、少なくともケーシング22に挿入される部分の外径が、ケーシング22の内径以下である。
【0033】
モータ25は、ファン26を駆動する。モータ25の回転軸は、ファン26の回転軸と共通であってもよく、ギア等を介すことでファン26の回転軸とは異なっていてもよい。モータ25の種類は、ファン26を駆動できる限りにおいて特に限定されず、一般的な構成であってよい。
【0034】
ファン26は、モータ25の駆動により回転し、気流を発生する。ファン26は、エアブロー装置1の背面側から正面側に向かって流れる気流を作り出す。そのため、ファン26が作り出した気流により、ハウジング10の背面側に位置する吸気口14から吸気された気体を排気ノズル50に向けて流し、吐出口51から吐出できる。ファン26は、一般的な軸流ファンであってよく、その他の種類のファンであってもよい。
【0035】
電気回路基板27は、少なくともスイッチング素子を有し、エアブロー装置1の電気回路の一部を構成する部材である。スイッチング素子は、例えばFET(Field-Effect Transistor)であってもよく、なかでもMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であってもよい。電気回路基板27は、制御基板30から取得する信号に応じて、モータ25への電流の印加有無および印加する電流量を切り替える。
【0036】
電気回路基板27は、ファンユニット23の内部に位置していてもよい。ここで、
図5に示すように、エアブロー装置1の気体の流路Lについて、ハウジング10における、ファン26とフレキシブルホース40との間に位置する部分を第1流路L1と定義する。このとき、電気回路基板27は第1流路L1内に位置していてもよい。第1流路L1内とは、第1流路L1を構成するホースコネクタ20、アダプタ21、ケーシング22またはファンユニット23の何れかの内部であればよい。電気回路基板27がファンユニット23の内部に位置する場合、電気回路基板27は、ファン26よりも正面側に位置していれば、第1流路L1内に位置しているといえる。
【0037】
スイッチング素子は、オン抵抗等に起因する電力損失に応じて発熱する。電気回路基板27が第1流路L1内に位置していれば、発熱するスイッチング素子を有する電気回路基板27に、ファン26から気体が吹き付けられる。そのため、エアブロー装置1を稼働しながら電気回路基板27を効率的に冷却できる。
【0038】
このような構成によれば、電気回路基板27専用の冷却ファン等を必要とせず、エアブロー装置1の稼働中は常に電気回路基板27を冷却できる。そのため、エアブロー装置1が故障する恐れを低減できると共に、エアブロー装置1を省電力化する設計が容易となる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7.3「エネルギー効率の改善率向上」、目標12.5「廃棄物の発生削減」等の達成にも貢献するものである。
【0039】
また、ファン26は、気体の流路Lにおいて、吸気口14とモータ25との間に位置していてもよい。この場合、電気回路基板27に加えて、モータ25にもファン26から気体が吹き付けられる。そのため、モータ25についても発熱を効果的に低減できる。
【0040】
吸気ノズル24は、吸気口14から吸気した気体が通過する筒状部材である。吸気ノズル24は、ファンユニット23と接続する。吸気ノズル24は、例えば、ファンユニット23の背面側の一部を収容することで、ファンユニット23と接続してもよい。吸気ノズル24は、ハウジング10の内壁面に位置する凹凸部18と接続している。
【0041】
図5に示すように、エアブロー装置1の気体の流路Lについて、ハウジング10における、ファン26と吸気口14との間に位置する部分を第2流路L2と定義する。このとき、第2流路L2の少なくとも一部は、ファン26の回転軸と交差する方向に延伸している。第2流路L2の少なくとも一部とは、例えば、吸気口14と吸気ノズル24との間の部分であってよい。
【0042】
吸気口14から吸気された気体は、まず上方向に流れてハウジング10の内部に流入する。吸気ノズル24は、背面側に開口していることから、ハウジング10の内部に流入した気体は、流れる方向が、ハウジング10の正面方向であってファン26の回転軸の方向に曲がって、吸気ノズル24に流入する。そして、吸気ノズル24に流入した気体はファン26を通過し、第1流路L1をそのまま正面側に向かって流れる。その後、気体はフレキシブルホース40に流入して中空部41を通過し、排気ノズル50に流入して吐出口51から吐出される。
【0043】
このように、第2流路L2の少なくとも一部が、ファン26の回転軸と交差する方向に延伸している構成によれば、吸気口14からハウジング10の内部に流入した気体は、ファン26に到達する前に流れる方向が変化する。そのため、吸気口14からファン26までの気体の流れは非直線的となる。これにより、例えば、作業場所の空気中に粉塵等の飛散物が存在する場合、吸気口14から吸気された気体中に含まれる飛散物が、第2流路L2を通過してファン26まで到達する可能性を低減できる。
【0044】
これにより、第1流路L1内に粉塵等が付着しにくくなり、エアブロー装置1のメンテナンス頻度を低減できる。また、ファン26に加え、第1流路L1内に位置する電気回路基板27に粉塵等が付着する可能性も低減できるため、これらの部材が故障する恐れについても低減できる。
【0045】
また、第2流路L2においてファン26の回転軸と交差する方向に延伸する部分は、モータ25よりも吸気口14側に位置していてもよい。言い換えれば、第2流路L2においてファン26の回転軸と交差する方向に延伸する部分は、モータ25と吸気口14との間に位置していてもよい。このような構成によれば、吸気口14から吸気された気体中に含まれる飛散物が、第2流路L2を通過してモータ25まで到達する可能性を低減できる。そのため、モータ25が故障する恐れを低減できる。
【0046】
スイッチ28は、エアブロー装置1のオンオフおよび回転数を切り替えるスイッチ部材であり、2つのボタンにより構成されていてもよい。スイッチ28は、いずれのボタンを操作するかによって、ファン26の回転数の強弱を選択可能であってよい。また、エアブロー装置1は、スイッチ28のボタンが押されるたびに、モータ25の駆動についてオンとオフとが切り替わってよい。
【0047】
スイッチ28は、ハウジング10の内部に位置しており、ハウジング10の背面に位置する第3孔17を、ハウジング10の内側から覆うことで露出している。スイッチ28は、上述のような押しボタン式ではなく、例えば、トグル式、ロッカー式またはスライド式であってもよい。
【0048】
スイッチ基板29は、エアブロー装置1の電気回路の一部を構成する部材である。スイッチ基板29は、スイッチ28のボタン操作を信号化し、制御基板30に送信する。制御基板30は、スイッチ基板29から取得した信号に応じて、電気回路基板27のスイッチング素子を制御することで、モータ25のオンオフを切り替える。電気回路基板27、スイッチ基板29および制御基板30は、各機能が単一の基板にまとまっていてもよい。
【0049】
エアブロー装置1は、スイッチ28およびスイッチ基板29を有していなくてもよい。例えば、エアブロー装置1と電気的に接続される工作機械等の外部設備がスイッチおよびスイッチ基板を有しており、外部設備からのオンオフに関する信号が、エアブロー装置1の制御基板30へ入力される構成であってもよい。
【0050】
電池装着部31は、不図示の電池を固定すると共に、電池とモータ25とを、電気回路基板27を介して電気的に接続する。電池装着部31は、ハウジング10の内部に位置しており、ハウジング10の正面に位置する第2孔16を、ハウジング10の内側から覆うことで露出している。電池装着部31は、ハウジング10の正面側に位置していなくてもよい。また、例えば、ハウジング10が電池を挿入可能な凹部を有しており、電池装着部31は、当該凹部の内側における何れかの側面に位置していてもよい。
【0051】
また、エアブロー装置1は、電池装着部31を備えていなくてもよい。例えば、エアブロー装置1は、電気コードを備えており、電気を外部から供給してもよい。
【0052】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号の末尾にアルファベットを追加して付記し、実施形態1と異なる点について説明する。
【0053】
図6は、本実施形態に係るエアブロー装置1aを示す斜視図である。
図7は、エアブロー装置1aの右側面図である。
図8は、エアブロー装置1aについて
図7に示すVIII-VIII線矢視断面図である。本明細書では便宜上、エアブロー装置1aの方向について、
図7においてフレキシブルホース40aを備える側を正面側であって前側とし、被付帯設備61側を底面側であって下側とし、紙面に向かって手前側を右側として説明する。ただし、これはあくまで一例であり、エアブロー装置1aの方向は特に限定されない。
【0054】
図6から
図8に示すように、エアブロー装置1aは、ハウジング10aと、フレキシブルホース40aと、排気ノズル50aと、制御ユニット62と、を備える。
【0055】
ハウジング10aは、内部空間が気体の流路Lを構成する中空の部材である。ハウジング10aは、右側面視において中心から外側に向けて時計回りとなる渦巻き形状となっている。ハウジング10aに流入した気体は、ハウジング10aの内部空間を右側面視において時計回りに流れる。
【0056】
ハウジング10aは、側面視における渦巻き形状の中心領域において、内部にモータ25aおよびファン26aが位置している。エアブロー装置1aは、正面視においてファン26aの右側にモータ25aが位置している。モータ25aは、正面視においてファン26aの左側に位置していてもよい。また、ハウジング10aは左右の側面にそれぞれ、複数の吸気口14aを有している。
【0057】
ファン26aは、遠心ファンであってよい。このように、ファン26aは、気体が流入する方向と気体を吐出する方向とが異なる種類のファンであってもよい。モータ25aの駆動によりファン26aが回転すると、吸気口14aから吸気した気体が、ファン26aの回転方向の全周に亘ってハウジング10aの内部に流入する。ハウジング10a内部に流入した気体は、ハウジング10a内部を渦巻き状に通過し、フレキシブルホース40aを通過する。その後、気体は排気ノズル50aが有する吐出口51aから吐出される。
【0058】
エアブロー装置1aがこのように、遠心ファンであるファン26aを有している場合、軸流ファンと比較して、高い圧力を得ることが容易である。
【0059】
ハウジング10aは、内部に2つのホースコネクタ20aが位置している。2つのホースコネクタ20aはそれぞれ、フレキシブルホース40aと接続している。すなわち、エアブロー装置1aは2本のフレキシブルホース40aを備えている。
【0060】
ハウジング10aを通過した気体は、各フレキシブルホース40aに分割して流入する。このような構成によれば、各フレキシブルホース40aをそれぞれ異なる方向に曲げることができる。そのため、エアブロー装置1aは、異なる2つの位置に同時に気体を吐出できるため、短時間で広い範囲の粉塵等を除去できる。フレキシブルホース40aの長さは特に限定されず、設置場所等に応じて適宜調整してよい。
【0061】
図8に示すように、エアブロー装置1aにおいて、ファン26aの回転軸は、ファン26aと吸気口14aとの間に位置する第2流路L2の延伸方向と交差する方向である。モータ25aおよびファン26aの回転軸は、渦巻き形状のハウジング10aの略中心に位置し、エアブロー装置1aの左右方向に延びている。これに対して、吸気口14aは、エアブロー装置1aの側面視において、前記回転軸を中心とした径方向に向かって開口している。そのため、吸気口14aからファン26aに流入する気体は、ハウジング10aに流入した後、流れる方向をエアブロー装置1aの左右方向、すなわちファン26aの回転軸方向に変化させてファン26aに向かう。
【0062】
このような、吸気口14aから流入した気体が非直線的にファン26aに向かって流れる構成によれば、気体中に含まれる粉塵等が、ファン26aの位置まで入り込む恐れを低減できる。
【0063】
ハウジング10aは、底面側に第3脚部60を有していてもよい。第3脚部60は、エアブロー装置1aの脚部として機能し、被付帯設備61に取り付けられていてもよい。被付帯設備61は、エアブロー装置1aが設置される設備であって、特に限定されない。エアブロー装置1aは、被付帯設備61に固定されていてもよく、被付帯設備61から取り外し可能であってもよい。エアブロー装置1aは、被付帯設備61から取り外して持ち運んでの使用が可能である場合、実施形態1に係るエアブロー装置1と同じく、ハンドル11および電池装着部31等を備えていてもよい。
【0064】
第3脚部60の背面側には、制御ユニット62が接続している。制御ユニット62は、ハウジング10aの背面側に位置している。制御ユニット62は、電気回路基板27、スイッチ基板29および制御基板30が内部に位置している。制御ユニット62は、モータ25aと電気的に接続しており、モータ25aの駆動を制御する。このような制御ユニット62によれば、電気回路基板27、スイッチ基板29および制御基板30のメンテナンスが容易となる。
【0065】
また、少なくとも電気回路基板27については、制御ユニット62の内部ではなく、ハウジング10aの内部であって、気体の流路L内に位置していてもよい。このような構成によれば、ハウジング10aの内部を流れる気体により、電気回路基板27を冷却できる。
【0066】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るエアブロー装置は、モータと、前記モータにより駆動するファンと、前記モータおよび前記ファンが内部に位置した、吸気口を有するハウジングと、前記ハウジングと接続した、前記吸気口から吸気された気体が流れる中空部を有する中空部材と、前記中空部材と接続した、前記気体の吐出口を有する排気ノズルと、を備える。
【0067】
本開示の態様2に係るエアブロー装置は、前記態様1において、前記中空部材は、フレキシブルホースであってもよい。
【0068】
本開示の態様3に係るエアブロー装置は、前記態様1または2において、スイッチング素子を有する電気回路基板をさらに備え、前記ハウジングは、前記気体の流路であって、前記ファンと前記中空部材との間に位置する第1流路をさらに有し、前記電気回路基板は、前記第1流路内に位置していてもよい。
【0069】
本開示の態様4に係るエアブロー装置は、前記態様1から3の何れかにおいて、前記ハウジングは、前記気体の流路であって、前記ファンと前記吸気口との間に位置する第2流路を有し、前記第2流路の少なくとも一部は、前記ファンの回転軸と交差する方向に延伸していてもよい。
【0070】
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0071】
1 エアブロー装置
10 ハウジング
14 吸気口
25 モータ
26 ファン
27 電気回路基板
40 フレキシブルホース(中空部材)
41 中空部
50 排気ノズル
51 吐出口
L 気体の流路
L1 第1流路
L2 第2流路