(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031495
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】人流制御装置、端末装置、人流制御システムおよび人流制御方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135073
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC17
(57)【要約】
【課題】緊急事態の発生時において適切に人流を制御すること。
【解決手段】実施形態に係る人流制御装置は、混雑緩和に関する人流を制御する人流制御装置であって、コントローラを備え、前記コントローラは、緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、生成した前記人流制御情報をユーザが所有する端末装置又は連携する外部システムに提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混雑緩和に関する人流を制御する人流制御装置であって、コントローラを備え、
前記コントローラは、
緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、
生成した前記人流制御情報をユーザが所有する端末装置末又は連携する外部システムに提供する、
人流制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
ユーザの位置情報の取得結果に基づく各エリアの混雑度に基づいて、混雑緩和に向けた前記人流制御情報を生成する、
請求項1に記載の人流制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記緊急事態の内容に応じて、連携する外部システムを選択する、
請求項1に記載の人流制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
ユーザの位置情報に基づき、人流の状況を示す人流状況情報を生成し、
生成した前記人流状況情報を前記外部システムへ提供する、
請求項3に記載の人流制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
イベントを開催する施設の緊急事態時における対応マニュアルに基づいて、前記人流制御情報を生成する、
請求項1に記載の人流制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記緊急事態の発生後に支援が可能な支援施設情報を提供する、
請求項1に記載の人流制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記緊急事態に応じて、イベントを開催する施設の外部にいるユーザまで人流制御の対象を拡大する、
請求項1に記載の人流制御装置。
【請求項8】
ユーザが所有する端末装置であって、
混雑緩和に関する人流制御情報を前記ユーザへ提供し、
緊急事態の発生時において、前記人流制御情報を当該緊急事態の内容に応じた緊急用の人流制御情報へ切り替えて提供する、端末装置。
【請求項9】
混雑緩和に関する人流を制御する人流制御装置と、
ユーザが所有する端末装置と
を備え、
前記人流制御装置は、
緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、
生成した前記人流制御情報を前記端末装置へ提供する、
人流制御システム。
【請求項10】
混雑緩和に関する人流を制御する人流制御方法であって、
緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、
生成した前記人流制御情報をユーザが所有する端末装置又は連携する外部システムに提供する、
人流制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人流制御装置、端末装置、人流制御システムおよび人流制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イベント施設およびその周辺を含むイベント会場などにおける混雑緩和のため、人流を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、災害の発生などの緊急事態の発生時において人流を制御することについては考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、緊急事態の発生時において適切に人流を制御することができる人流制御装置、端末装置、人流制御システムおよび人流制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る人流制御装置は、混雑緩和に関する人流を制御する人流制御装置であって、コントローラを備え、前記コントローラは、緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、生成した前記人流制御情報をユーザが所有する端末装置又は連携する外部システムに提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緊急事態の発生時において適切に人流を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、人流制御システムの構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、災害用人流情報の通知例を示す図(その1)である。
【
図7】
図7は、災害用人流情報の通知例を示す図(その2)である。
【
図8】
図8は、人流制御装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する人流制御装置、人流制御システムおよび人流制御方法について説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る人流制御方法の概要について説明する。
図1は、人流制御方法の概要説明図である。
図1に示すように、実施形態に係る人流制御システム1は、人流制御装置10と、ユーザ端末100とを備える。また、人流制御システム1は、災害情報提供機関が運営する災害情報提供サーバ200とインターネットや携帯電話回線網等であるネットワークNによって相互に接続され、ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に設けられる。
【0011】
図1に示す人流制御装置10は、例えばクラウドサーバとして実現され、ネットワークNを介し、各ユーザのユーザ端末100にインストールされたアプリケーション(以下、単にアプリと記載)を介して、各ユーザに対し各種人流制御情報を提供する情報処理装置である。なお、ユーザ端末100は、ユーザが所有する端末装置の一例に対応する。
図1に示す例では、ユーザ端末100がスマートフォンである場合を例示しているが、ユーザ端末100は、タブレット端末、デスクトップPC、ノートPCなど、通信機能を有する端末であればその他の端末であってもよい。
【0012】
例えば、スタジアムなどのイベント施設1000において、イベントの終了後には、イベント参加者が一斉に帰宅するため、最寄りの交通機関には多くの人が集中し、混雑が発生する。
【0013】
実施形態に係る人流制御装置10は、このような混雑緩和に向けて、イベント施設1000を含むイベント会場周辺に設置された各店舗で使用可能なクーポンの提供や、ユーザの待機時間に応じてポイントを付与する。
【0014】
つまり、人流制御装置10は、交通機関の混雑緩和に寄与するユーザに対しインセンティブを付与することで、イベント参加者による交通機関の利用時刻の分散を図ることができる。
【0015】
また、人流制御装置10は、イベント施設1000の出入口付近のリアルタイム映像提供等を行う。これにより、ユーザが、リアルタイム映像を視聴することにより、混雑緩和に向けた行動を取ることが期待できるので、イベント終了後における出入口付近の混雑緩和を図ることができる。
【0016】
例えば、
図1に示すように、人流制御装置10は、各ユーザのユーザ端末100から位置情報を取得する(ステップS1)。位置情報は、例えば各ユーザが前述のアプリを自身のユーザ端末100上で動作させ、チケット情報を示す二次元コード等をイベント会場のチェックイン機などにかざすことで取得可能となる。また、位置情報は、かかるチェックイン後、人流制御装置10においてトラッキングが可能である。
【0017】
つづいて、人流制御装置10は、例えば、イベント終了時において、取得した各ユーザの位置情報に基づいて人流制御情報を生成し、生成した人流制御情報を提供する(ステップS2)。
【0018】
一般的な人流制御情報は、例えば、イベント会場周辺の店舗で利用可能なクーポンやポイント等の特典である。一般的とは、後述する災害などの緊急事態が発生していない場合である。この場合、人流制御装置10は、ユーザの位置情報に基づき、ユーザの現在地から所定範囲内にある店舗のクーポンを人流制御情報として各ユーザ端末100に対し生成・提供を行う。
【0019】
つまり、この場合において、クーポンが配布されたユーザが店舗に立ち寄ることで、イベント参加者による交通機関の利用時刻の分散を図ることができる。
【0020】
しかし、災害などの緊急事態の発生時においては、一般的な人流制御情報ではなく、緊急事態の内容に対応した人流制御情報の提供が求められる。緊急事態の内容とは、緊急事態の種別や規模等である。特に、大規模なイベントでは、イベント会場周辺に土地勘のないユーザが多数来訪する。そのため、土地勘のないユーザにとっては、緊急事態が発生した場合に、適切な避難行動を行うことが困難となる。また、イベント施設1000から各ユーザがそれぞれの判断に基づいて避難を行う場合に、階段や出口付近などといった避難経路が過度に混雑し、群衆雪崩等の2次被害が発生するおそれがある。
【0021】
このため、実施形態に係る人流制御装置10は、緊急事態の発生時においては、緊急事態用の人流制御情報を生成し、提供することとした。緊急事態用の人流制御情報とは、避難行動に必要な情報等であり、具体的には、避難先場所、避難方向、避難に用いる道順等を示す情報である。なお、以下では、緊急事態が自然災害である場合について説明するが、イベント施設1000内で発生した火災等の災害であってもよい。
【0022】
例えば、人流制御装置10は、災害情報提供サーバ200からイベント会場周辺における災害情報を取得した場合(ステップS11)、災害用人流制御情報を生成し、各ユーザに対し提供する(ステップS12)。つまり、人流制御装置10は、災害情報を取得した場合に、通常制御モードから災害対応モードに切り替えたうえで、災害に対応した災害用人流制御情報を生成する。
【0023】
例えば、人流制御装置10は、災害情報が地震情報である場合には、地震用の災害用人流制御情報を生成する。例えば、イベント施設1000が地震の発生後に避難所として使用される施設である場合には、人流制御装置10は、各ユーザに対し災害用人流制御情報によってイベント施設1000内の待機を指示する。
【0024】
また、災害情報が津波情報であり、イベント施設1000が津波による避難区域となっている場合、人流制御装置10は、各ユーザに対し災害用人流制御情報によって避難場所や避難方向等を通知する。また、この際、一斉にユーザがイベント施設1000から避難すると、上述のように群衆雪崩が発生する恐れがある。そのため、人流制御装置10は、イベント施設1000内で各ユーザの避難方向が分散するように各エリアの混雑度に応じて避難経路や避難タイミングを指示する。
【0025】
なお、人流制御装置10は、災害の種別や規模に応じて、対象を拡大したうえで人流制御を行うことも可能である。例えば、人流制御装置10は、大規模な災害が発生した場合には、その被害想定エリアにいるすべてのユーザを対象として、災害用人流制御情報を生成し、提供する。つまり、この場合には、イベント施設1000内のユーザに加え、既にイベント施設1000を後にしたイベント周辺施設にいるユーザ、イベント周辺施設にイベント参加者以外のユーザに対象として災害用の人流制御を行う。これにより、イベント周辺施設にいるユーザに対しても災害に応じた適切な避難誘導を図ることができる。
【0026】
また、後述するように、人流制御装置10は、イベント施設1000や国あるいは自治体が管理する管理サーバに対し各ユーザの避難状況となる人流状況情報を提供する。これにより、イベント施設1000や自治体による適切な対応を容易にすることができる。
【0027】
このように、実施形態に係る人流制御システム1では、イベント終了時における混雑緩和に関する人流制御情報を提供し、緊急事態の発生時においては、緊急事態に応じた災害用人流制御情報を提供する。
【0028】
したがって、実施形態に係る人流制御システム1および人流制御装置10によれば、緊急事態の発生時において適切に人流を制御することができる。
【0029】
また、実施形態に係るユーザ端末100は、通常時において、人流制御装置10から提供される人流制御情報をユーザへ提供し、災害などの緊急時には、緊急用の人流制御情報に切り替えて提供する。これにより、実施形態に係るユーザ端末100によれば、ユーザに対し適切な避難誘導を促すことができる。
【0030】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る人流制御システム1の構成例について説明する。
図2は、人流制御システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、人流制御システム1は、人流制御装置10と、ユーザ端末100と、災害情報提供サーバ200と、管理サーバ300と、店舗装置400とを含む。
【0031】
また、
図2に示すように、人流制御装置10と、ユーザ端末100と、災害情報提供サーバ200と、管理サーバ300と、店舗装置400とは、インターネットや携帯電話回線網等であるネットワークNによって相互に接続され、ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に設けられる。
【0032】
人流制御装置10は、例えばクラウドサーバとして実現され、ネットワークNを介し、ユーザ端末100、災害情報提供サーバ200、管理サーバ300および店舗装置400との間で適宜通信を行いつつ、人流制御に関する各処理を実行する。
【0033】
なお、人流制御装置10は、例えば、チケット販売業者等によって管理・運営されるサーバ装置と連携し、チケットの販売状況に関するチケット情報を取得することができる。
【0034】
ユーザ端末100は、ユーザが携帯し利用する端末装置であり、人流制御システム1に係るアプリが動作するプラットフォームを有する。ユーザ端末100は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話機や、タブレット端末等である。ユーザ端末100は、他にも、PC(Personal Computer)や、PDA(Personal Digital Assistant)や、腕時計型、メガネ型のウェアラブルデバイス等であってもよい。
【0035】
災害情報提供サーバ200は、例えば、気象庁が運営するサーバ装置であり、自然災害に関する災害情報を提供する。災害情報は、例えば、緊急地震速報、津波警報、気象警報、河川の氾濫情報などが含まれる。なお、災害情報提供サーバ200は、例えば、各自治体が運営するサーバや、例えば、テレビ局などの報道機関、あるいは、ニュースサイトの運営機関など各種メディアによって管理されるサーバ等が含まれる。
【0036】
管理サーバ300は、イベント施設1000や自治体によって運営されるサーバ装置である。例えば、管理サーバ300は、人流制御装置10から提供される人流状況情報に基づき、各ユーザの避難状況を各運営者に通知する。これにより、イベント施設1000や自治体では、避難状況に応じた適切な対応を容易にすることができる。
【0037】
なお、管理サーバ300は、例えば、消防や自衛隊など救助を行う救助団体や、病院などの救護団体が管理するサーバであってもよい。この場合、管理サーバ300は、例えば、人流制御装置10から通知される人流状況情報に基づき、救助や救護を手配することができる。
【0038】
店舗装置400は、イベント会場、あるいはイベント会場付近、イベント会場と鉄道の駅間の経路沿いなどで営業する各店舗に設けられる装置であり、PCや、PDA等で構成される。店舗装置400は、人流制御装置10に各店舗の店舗情報を提供し、また店舗スタッフへの情報提供、クーポンに関する各種処理(クーポン管理システムとの各種情報通信(クーポン照合、クーポン使用実績通知のための情報通信等))、等を行う。店舗情報は、各店舗の混雑度等を含むが、これらの情報は店舗に適宜設置されたカメラにより撮影された店舗内や店舗周辺の画像の画像解析処理、あるいは店舗スタッフ等による手入力、等により、取得することが可能である。
【0039】
次に、
図3を用いて、人流制御装置10の構成例について説明する。
図3は、人流制御装置10のブロック図である。
図3に示すように、実施形態に係る人流制御装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。また、人流制御装置10は、会場内センサ3が、通信部11を介して通信可能に接続される。
【0040】
会場内センサ3は、イベント会場内の各所に設けられた各種のセンサ群で、イベント参加者等のイベント会場周辺に居る人の動向を検知するものである。会場内センサ3は、前述のチェックイン機や、イベント参加者がイベント会場からのチェックアウト時に利用するチェックアウト機、カメラ等を含む。
【0041】
通信部11は、例えば、ネットワークアダプタ等によって実現される。通信部11は、上述したネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末100や、各店舗に設置された店舗装置(不図示)との間で情報の送受信を行う。また、通信部11は、会場内センサ3と有線または無線で接続され、会場内センサ3との間で情報の送受信を行う。
【0042】
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部12は、
図3の例では、ユーザ情報12aと、クーポン情報12bと、混雑度情報12cと、地図情報12dとを記憶する。
【0043】
ユーザ情報12aは、イベント参加者等の各ユーザに関する情報である。
図4は、ユーザ情報の一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザ情報12aは、「ユーザID」と、「ユーザ名」と、「接続情報」と、「現在位置」と、「特性」とを含む。
【0044】
「ユーザID」の各データ(ユーザ)は、各ユーザを一意に識別する識別情報である。なお、ユーザはデータレコードの識別コードの働きもあり、ユーザで特定されるデータレコードにユーザのユーザ(個人)に関する各情報が記憶されることになる。
【0045】
「ユーザ名」の各データは、ユーザの名称を示すデータ(ユーザ名Nn)で、ユーザ等が他のユーザを把握する等のために利用される。「接続情報」の各データは、各ユーザ所有のユーザ端末100と接続するためのデータ(接続情報ADn)で、例えばメールアドレス、IP(Internet Protocol)アドレス等を利用できる。この接続情報ADnを用いて、各ユーザ所有のユーザ端末100と接続し、イベントの電子チケットや、クーポン等を各ユーザに送付することが可能となる。
【0046】
「現在位置」の各データは、各ユーザの現在位置を示すデータ(ユーザ位置Ln)である。ユーザ位置Lnは、例えば、各ユーザの所持するユーザ端末100から送信される位置データに基づき把握される。なお、他にも、会場内センサ3による各種のセンシングデータを用いて、例えばカメラ画像の解析により(この場合、ユーザ識別用の比較画像データを記憶しておくことが必要)、各ユーザの現在位置を把握することも可能である。
【0047】
「特性」の各データは、各ユーザの特性、例えば、避難時における介助の要否や、当該介助の種別等のデータ(ユーザ特性UQn)であり、車椅子や、高齢者、妊婦などのデータが対応する。なお、「特性」に関する各種データについては、チケットの購入時において登録されたデータを利用することができる。
【0048】
図3の説明に戻り、クーポン情報12bについて説明する。クーポン情報12bは、各ユーザ端末100へ配信される各店舗のクーポンに関する情報である。例えば、クーポン情報12bは、店舗ID、クーポンID、クーポン情報、配布枚数などといった項目を対応付けた情報であり、例えば、各店舗装置400によって登録される。
【0049】
混雑度情報12cは、各エリアの混雑度に関する情報であり、ユーザ情報12aの「現在地」(
図4参照)に基づき、ユーザ分布をエリア毎に集計した情報である。なお、ここでのエリアは、例えば、イベント施設1000などを所定の区画に区分けしたものであってもよく、イベント周辺の店舗単位であってもよい。
【0050】
地図情報12dは、イベント施設1000内の構造やイベント会場周辺の地形に関する情報である。地図情報12dは、例えば、イベント施設1000内の避難経路に関する情報や、周辺の地形、災害後に支援が可能な支援施設情報(一時避難施設や、災害対応自動販売機)に関する各種情報が含まれる。なお、地図情報12dは、例えば、災害発生後に適宜更新されるようにしてもよい。例えば、地図情報12dは、災害の影響によって利用できなくなった道路や、災害によって利用できなくなった支援施設情報を適宜反映することにしてもよい。
【0051】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0052】
制御部13は、取得部13aと、登録部13bと、生成部13cと、提供部13dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部13の各機能ブロックについては、それぞれ別々の装置で実現するようにしてもよい。また、装置が別々である場合には、別々の装置を実行するプログラムについても別々のプログラムを用いるようにしてもよい。例えば、取得部13aを実現する装置及びプログラムと、登録部13bを実現する装置及びプログラムが別々であってもよい。
【0053】
取得部13aは、通信部11を介し、会場内センサ3のセンシングデータやユーザ端末100からのデータに基づいてユーザ(現在)位置等のユーザ情報12aを取得する。上述した通り、ユーザ情報12aは、各ユーザの所有する位置情報等を含む。
【0054】
また、取得部13aは、災害情報提供サーバ200から災害情報を取得し、取得した災害情報に基づき、連携する外部システムを選択する。取得部13aは、災害情報に基づき、災害情報提供サーバ200や管理サーバ300を連携する外部システムとして選択する。ここで、連携する外部システムとは、人流制御装置10との間で情報共有を行うシステムである。
【0055】
つまり、連携する外部システムは、例えば、人流制御装置10に対し、災害に関する詳細な情報、被害状況等に関する各種情報を提供し、人流制御装置10からユーザの人流状況情報を取得する。
【0056】
例えば、取得部13aは、災害情報が示す被害想定エリア内に存在するイベント施設1000や自治体によって管理される管理サーバ300を、連携する管理サーバ300として選択する。
【0057】
このように、人流制御装置10は、災害情報に応じて、連携する外部システムを選択することで、災害に対する情報共有を迅速に行うことができ、結果として、災害に関する各種対応を迅速に行うことが可能となる。
【0058】
また、取得部13aは、例えば、自治体等が運営する管理サーバ300から、地図情報12dに関する更新情報を取得する。ここでの更新情報は、例えば、道路の通行止め、河川の氾濫の有無、避難施設に関する情報などが含まれる。
【0059】
登録部13bは、予め設定可能なクーポン情報12bの各種情報を登録する。登録部13bは、店舗装置400から取得した情報に基づいて自動的に登録処理を実行してもよい。また、登録部13bは、オペレータ等の手動操作により登録処理を実行してもよい。
【0060】
生成部13cは、通常制御モードあるいは災害対応モードのいずれかの動作モードで動作し、各ユーザの位置情報に基づき、各種の人流制御情報を生成する。生成部13cは、通常制御モードにおいては、イベント終了時において混雑緩和に関する人流制御情報を生成する。
【0061】
例えば、生成部13cは、イベント会場周辺の店舗で利用可能なクーポンを人流制御情報として生成する。具体的には、生成部13cは、各ユーザの位置情報に基づき、各ユーザに対し提供するクーポンを記憶部12のクーポン情報12bから選択する。
【0062】
この際、生成部13cは、各クーポンに設定された発行上限を上限として、各ユーザに対するクーポンを選択する。また、生成部13cは、ユーザの趣味嗜好や、グループ人数等を考慮して、各ユーザに対するクーポンを選択するようにしてもよい。
【0063】
また、生成部13cは、例えば、各店舗の混雑度に応じて、ユーザに対し提供するクーポンを選択するようにしてもよい。すなわち、生成部13cは、混雑度が高い店舗に比べて、混雑度が低い店舗への入店を促すようにクーポンを選択するようにしてもよい。
【0064】
つづいて、災害対応モードにおける生成部13cの処理について説明する。災害対応モードにおいて、生成部13cは、各ユーザの避難場所の決定、避難場所までの避難経路の決定を行ったうえで、災害用人流制御情報を生成する。
【0065】
例えば、生成部13cは、災害が地震であれば、自治体等によって指定された避難施設を避難場所として決定する。この際、生成部13cは、イベント施設1000が避難施設に設定されている場合には、イベント施設1000を避難場所として設定する。
【0066】
例えば、この場合においては、生成部13cは、イベント施設1000内にいるユーザに対しては待機、イベント施設1000周辺にいるユーザに対してはイベント施設1000への避難を求めることになる。
【0067】
一方、例えば、災害が津波や河川の氾濫などである場合に、イベント施設1000が避難区域に指定されている場合、生成部13cは、イベント施設1000あるいはイベント施設1000周辺にいるユーザに対して、避難場所を決定する。
【0068】
なお、ここでの避難場所は、避難施設であってもよく、例えば、高台などさらに抽象的な概念であってもよい。例えば、生成部13cは、避難施設を避難場所として決定する場合には、各ユーザの特性に基づき、高齢者、体の不自由な人、妊婦などの特性を有するユーザに対し近郊の避難施設を優先的に割り当てるようにしてもよい。
【0069】
つづいて、生成部13cは、各ユーザに対し決定した避難場所までの避難経路を決定する。例えば、生成部13cは、河川の氾濫の恐れがある場合、あるいは、津波の規模によっては津波が河川を逆流するおそれがある場合、当該河川の近傍を避けるような避難経路を決定する。
【0070】
また、生成部13cは、各ユーザに対し避難誘導を行う場合に、記憶部12の混雑度情報12cを参照し、各エリアの混雑度に応じて各ユーザに対して誘導を行う。ここで、
図5を用いて、生成部13cによる災害対応モードにおける人流制御の一例について説明する。
図5は、災害用人流制御の模式図である。なお、ここでは、イベント施設1000からイベント施設1000の外へ避難する場合における人流制御を例に挙げて説明する。
【0071】
例えば、
図5に示すように、避難出口e1~e4から各ユーザを避難させる場合に、避難出口e1、e3、e4の混雑度が「大」であり、残る避難出口e2の混雑度が「中」であったとする。
【0072】
この場合、生成部13cは、避難出口e1、e3、e4から避難予定のユーザの一部を比較的混雑していない避難出口e2から避難するように誘導を行う。これにより、各避難出口e1~e4の混雑を緩和することができ、群衆雪崩等の2次被害の発生を抑制するとともに、各ユーザをイベント施設1000から迅速に非難させることができる。
【0073】
また、生成部13cは、これら避難場所や避難経路を決定すると、各ユーザに対しそれぞれ決定した内容で災害用人流制御情報を生成し、生成した災害用人流制御情報を提供部13dに渡す。
【0074】
なお、これらの一連の処理において、生成部13cは、例えば、イベント施設1000内のユーザに向けて生成する災害用人流制御情報については、イベント施設1000で設定されている災害時の対応マニュアルに基づいて生成することが好ましい。
【0075】
すなわち、生成部13cは、イベント施設1000内の災害時の対応マニュアルに準拠した災害用人流制御情報を生成することによって、イベント施設1000内で避難誘導を行う場内アナウンスと、災害用人流制御情報をリンクさせることができる。これにより、イベント施設1000と協調して、避難誘導を行うことが可能となる。なお、各イベント施設1000の災害時の対応マニュアルは、予め入手し、記憶部12に記憶しておくとよい。
【0076】
また、生成部13cは、災害の発生後においては、ユーザの位置情報に基づき、人流の状況を示す人流状況情報を生成する。ここでの人流制御情報は、各ユーザの位置情報に基づき、各ユーザの避難状況を示す情報である。すなわち、人流制御情報は、避難が完了していないユーザや、避難場所別に避難したユーザに関する各種情報である。
【0077】
提供部13dは、生成部13cによって生成された人流制御情報または災害用人流制御情報を各ユーザに対して提供する。例えば、提供部13dは、ユーザ情報12aの接続情報を参照し、各ユーザのユーザ端末100宛に人流制御情報あるいは災害用人流制御情報を提供する。
【0078】
図6および
図7は、災害用人流情報の通知例を示す図である。なお、以下では、災害が地震であり、地震に引き続き津波警報が発表された場合について説明する。例えば、
図6に示すように、地震の発生後、ユーザ端末100には、地震情報が表示される。地震情報は、地震の発生時刻、最大震度、震源、深さ、規模などに関する情報が含まれる。
【0079】
その後、例えば、人流制御装置10が津波に関する情報を取得し、被害想定エリアにいるユーザのユーザ端末100には、
図7に示すような避難を促す画面が表示される。なお、ここでは、画面下側に地震の震源地があり、かつ、震源地の方向に海がある場合であり、画面上側に津波に対する避難エリアとなる高台(ユーザの現在地よりも海抜が高い位置)がある場合を想定する。
【0080】
図7に示す例では、画面上側に位置する高台へ誘導する場合を例示し、ユーザ端末100には、地震の震源方向、現在地、避難方向(高台の方向)に関する情報が表示される。この場合、人流制御装置10の生成部13cは、各ユーザの位置情報に基づき、津波の被害想定エリア内にいるユーザを抽出し、抽出したユーザそれぞれに対し避難を促すための情報を生成する。
【0081】
そして、人流制御装置10の提供部13dは、生成部13cによって生成された情報を各ユーザのユーザ端末100へ提供(送信)する。なお、この際、生成部13cおよび提供部13dは、既に高台にいるユーザに対しては、情報の生成および提供を行わなくてもよいし、あるいは、避難想定エリアへの立ち入りを禁止するようなアナウンスを行うようにしてもよい。
【0082】
つまり、
図6および
図7に示す一連の画面によって、土地勘のないユーザも、避難方向を容易に把握することができるので、例えば、迅速に避難を行うことができる。
【0083】
また、提供部13dは、生成部13cによって生成された人流制御情報をイベント施設1000や、自治体等が管理する管理サーバ300へ通知する。これにより、イベント施設1000では各ユーザの避難状況を把握することができ、逃げ遅れたユーザに対し早急な対応を行うことができる。
【0084】
また、自治体においては、避難場所別に救助物資の手配などといった各種事務処理の効率化や、消防や自衛隊などの出動要請を素早く行うことができる。
【0085】
また、提供部13dは、災害発生後に支援が可能な支援施設情報を提供する。例えば、提供部13dは、地図情報12dを参照し、一時避難施設、災害対応自動販売機などといった支援施設情報を抽出し、ユーザに提供する。
【0086】
これにより、ユーザに対し避難後に適切な施設への誘導を行うことが可能となる。なお、この際、提供部13dは、各施設の避難状況(定員超過の有無)や支援物資の有無に関する情報をあわせて提供するようにしてもよい。
【0087】
次に、
図8を用いて、実施形態に係る人流制御装置10が実行する処理手順について説明する。
図8は、人流制御装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、災害情報の取得を契機として、人流制御装置10の制御部13によって実行される。
【0088】
図8に示すように、制御部13は、災害情報を取得すると(ステップS111)、災害情報に基づき、ユーザの避難が必要か否かを判定する(ステップS112)。制御部13は、避難が必要と判定した場合(ステップS112;Yes)、各ユーザに対し避難場所を決定する(ステップS113)。
【0089】
つづいて、制御部13は、各ユーザに対し決定した避難場所までの避難経路を決定する(ステップS114)。そして、制御部13は、ステップS113およびステップS114の処理結果に基づき、災害用人流制御情報の生成・提供を行い(ステップS115)、処理を終了する。
【0090】
また、制御部13は、ステップS112の判定において、例えば、避難が不要であると判定した場合には(ステップS112;No)、ステップS112およびステップS113の処理を省略して、ステップS115の処理へ進む。この場合、ステップS115においては、例えば、
図6に示したように、災害の発生状況に関する情報を災害用人流制御情報として生成・提供することになる。
【0091】
上述したように、実施形態に係る人流制御装置10は、混雑緩和に関する人流を制御する人流制御装置であって、制御部13(コントローラ)を備え、制御部13(コントローラ)は、緊急事態の発生時において、当該緊急事態の内容に対応した人流制御情報を生成し、生成した人流制御情報をユーザが所有するユーザ端末又は連携する外部システムに提供する提供する。したがって、実施形態に係る人流制御装置10によれば、緊急事態の発生時において適切に人流を制御することができる。
【0092】
ところで、上述した実施形態では、イベントに参加したユーザのユーザ端末100に対して災害用人流制御情報を提供する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、災害時において、通信キャリアが提供する電波が届かない場所(例えば、地下街など)にユーザがいる場合も想定される。そのため、例えば、店舗に設置された有線回線(光回線など)に接続された店舗の固定端末や、店舗で営業に使用される端末などに対して、人流制御装置10は、災害用人流制御情報を提供するようにしてもよい。すなわち、店舗に設置された端末についてもユーザ端末100と見做すようにしてもよい。これにより、電波が繋がらないユーザや、店舗の従業員に対しても、適切な避難誘導を行うことが可能となる。
【0093】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 人流制御システム
3 会場内センサ
10 人流制御装置
11 通信部
12a ユーザ情報
12b クーポン情報
12c 混雑度情報
12d 地図情報
13a 取得部
13b 登録部
13c 生成部
13d 提供部
100 ユーザ端末
200 災害情報提供サーバ
300 管理サーバ
400 店舗装置
1000 イベント施設