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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031516
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/272 20160101AFI20240229BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240229BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20240229BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240229BHJP
【FI】
F21K9/272
F21V23/00 160
F21S9/02
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135110
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】516358705
【氏名又は名称】株式会社ラピュタインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】堀田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中川 豊樹
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】 簡易な装置構成により口金ソケットの開閉操作を可能にするとともに、口金ソケットの開閉操作において配線に無理な負荷がかからないようにする照明装置を提供する。
【解決手段】 光源103と、円筒状の照明部10と、前記照明部10の端部Eに商用電源と電気的に接続するための口金ピン202(N,L)を有する口金ソケット20を備えた照明装置1であって、前記照明部10の端部E側にスライド溝Gが形成されるとともに、前記口金ソケット20の内周面に突起部Pが形成されるか、又は、前記照明部10に突起部Pが形成されるとともに、前記口金ソケット20にスライド溝Gが形成され、前記突起部Pが前記スライド溝Gに嵌め込まれることにより、前記口金ソケット20が前記照明部10に対して分離することなく移動して開閉動作する。
【選択図】 図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、円筒状の照明部と、前記照明部の端部に商用電源と電気的に接続するための口金ピンを有する口金ソケットを備えた照明装置であって、
前記照明部の端部側にスライド溝が形成されるとともに、前記口金ソケットの内周面に突起部が形成されるか、又は、前記照明部の端部側に突起部が形成されるとともに、前記口金ソケットにスライド溝が形成され、前記突起部が前記スライド溝に嵌め込まれることにより、前記口金ソケットが前記照明部に対して分離することなく移動して開閉動作することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記突起部は、当該照明装置の使用状態において、口金ソケット外周円の中心であって、照明部外周円の中心を通る直線に対して対称となるように2か所に設けられ、口金ソケットが照明部に対して移動したいずれの位置にあっても2つの突起部がそれぞれ対応するスライド溝に嵌め込まれていることにより口金ソケットが照明部を挟持して分離しないことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記突起部が口金ソケットに設けられている場合には、前記口金ソケットを構成する円筒状の照明部の開口位置から延伸して形成された側方カバーの内周面に前記突起部が設けられ、突起部が照明部の一方端近傍に設けられている場合には、前記円筒状の照明部の開口位置から延伸して形成された側方カバーの内周面に前記突起部に対応するスライド溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記口金部の移動可能距離は、照明部に口金部が装着された当該非常用照明の使用状態における照明部端部から口金部を構成する本体の開口位置までの距離よりも長く設定され、照明部内部が露出するように前記突起部を軸に前記口金部が回転移動できることを特徴とする請求項3に記載の非常用照明。
【請求項5】
前記口金ソケットの口金ピンと前記照明部を電気的に接続する配線が配され、前記配線の長さは、前記口金ソケットの移動可能ないずれの位置にあってもピンと張ったような無理な張力が付与されない長さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記照明部に内蔵バッテリー等の内蔵部品が配され、前記口金ソケットをそのストッパーを解除して前記照明部を傾けると、前記内蔵バッテリー等の内蔵部品が前記スライド溝に対する前記突起部の移動と伴って引き出されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の照明部の端部に口金ソケットが配された照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯よりも長期間の使用が可能であり、消費電力や発熱量が少ないなどの利点を有するLED照明の普及が進んでいる。
また、LED照明は従来の蛍光灯と異なり、ガスを封入する必要がなく、照明部の内部を構成する部品がコンパクトに納められていることを利用して、照明部内部に充電式のバッテリーを内蔵することが可能となっている。災害等に起因して商用電源の供給が遮断されて停電となった非常時であっても、照明の点灯が求められる公共施設や病院、発電所等の施設をはじめとして、平時(通常の使用時)は通常のLED照明として使用し、商用電源が遮断された非常時には内蔵されたバッテリーの電力により点灯する照明装置の需要が存在する。
このような需要に対応し、本願発明者は、以前に特許第6927482号に開示されている蛍光灯型の照明装置を発明した。
【0003】
このような照明装置は高コストであるにも関わらず、内蔵されている充電式のバッテリーに劣化や故障が生じると、照明装置そのものを新品に交換しなければならないが、内蔵バッテリーの劣化や不具合が生じた場合に、内蔵されているバッテリーのみを交換可能な構成とすることによりコスト抑制が期待される。
【0004】
特許文献2には、電源内蔵型のLEDランプおよびCCFLランプの利便性の向上を課題として、外部電源から供給される電力を変換する安定器の機能を具備する電源ユニットが外装の一部を構成する照明装置が開示されている。
この場合、着脱は容易であり、内蔵バッテリーのユニットを電源ユニットと同様の構成として配することも想到できるが、内蔵バッテリーのユニットと基板(発光部)を電気的に接続するためのコネクタを必要するなど、従前から提供されている照明装置に比べて部品点数の増加や専用設計の部品の増加による製造コストの上昇が避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6927482号
【特許文献2】特許第6592398号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の口金ソケットの照明装置(本体部)に対する取り外しは、例えば図15(a)(b)に示すように、固定用のネジ(ストッパー)を使用して行われているのが通常で有り(図15中符号Neが固定ネジのねじ穴を示す。上記ネジ穴Neは、金属製の遮蔽板に形成されている。)、簡単な構成での取り外しとは言えなかった。そして、前記ストッパーを外すと、内部部品(交換用部品)が飛び出すおそれを有していた。
また、口金ピンSpと照明部10Sは、給電用の配線Cにより電気的に接続されており、無理な力で口金ソケット20Sを照明部10Sから取り外そうとすると、配線Cに張力が付与され、不具合が生じる場合や、最悪の場合は断線してしまうおそれがあった。すなわち、口金ソケット20Sが照明部10Sに対して配線Cを介してのみである場合が多く、配線Cに無理な負荷がかかり(外される口金ソケット20Sに引っ張られるなどして)破断損傷する恐れを有したものが多かった。
そこで本願発明が解決しようとする課題は、簡易な装置構成により口金ソケットの開閉操作を安全に行うことを可能にするとともに、口金ソケットの開閉操作において配線に無理な負荷がかからないようにする照明装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、光源と、円筒状の照明部と、前記照明部の端部に商用電源と電気的に接続するための口金ピンを有する口金ソケットを備えた照明装置であって、前記口金ソケットは、前記照明部の端部側にスライド溝が形成されるとともに、前記口金ソケットの内周面に突起部が形成されるか、又は、前記照明部に突起部が形成されるとともに、前記口金ソケットにスライド溝が形成され、前記突起部が前記スライド溝に嵌め込まれることにより、前記口金ソケットが前記照明部に対して分離することなく移動して開閉動作することを特徴とする。
本発明によれば、スライド溝の構造により口金ソケットを開閉するので、従来の固定用のねじ式のみの構造に比べて、内蔵バッテリー等の内蔵部品の交換作業(排出作業)に伴って徐々に口金ソケットを開閉動作(移動動作)させることができ、内蔵部品の飛び出し防止や、その交換作業中に前記口金ソケットを落下させる事態を防止することがきる。
【0008】
本発明としては、前記突起部は、当該照明装置の使用状態において、口金ソケット外周円の中心であって、照明部外周円の中心を通る直線に対して対称となるように2か所に設けられ、口金ソケットが照明部に対して移動したいずれの位置にあっても2つの突起部がそれぞれ対応するスライド溝に嵌め込まれることにより口金ソケットが照明部を挟持して分離しないことを特徴とする。ここで、前記2か所の突起部は、前記照明部の中心位置よりもやや下方側に設けて、内蔵バッテリー等の内蔵部品(交換用部品)を下支えすることができる位置が好ましい。
本発明によれば、手作業で交換用部品を交換する場合、口金ソケットから手を放しても、口金ソケットは落下せず、安心して内蔵バッテリーや内蔵シャーシなどの内蔵部品の交換作業ができるようになる。
【0009】
本発明としては、前記突起部が口金ソケットに設けられている場合には、前記口金ソケットを構成する円筒状の照明部の開口位置から延伸して形成された側方カバーの内周面に前記突起部が設けられ、突起部が照明部の一方端近傍に設けられている場合には、前記円筒状の照明部の開口位置から延伸して形成された側方カバーの内周面に前記突起部に対応するスライド溝が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、前記照明部に対して照明への影響を与えないようにして、前記スライド溝と突起部を設けることができる。
【0010】
本発明としては、前記口金ソケットの移動可能距離は、前記照明部の開口位置までの距離よりも長く設定されているとともに、前記突起部を軸に前記口金ソケットが回転可能に構成されていることを特徴とする。ここで、前記スライド溝の端部を円弧形状にすることにより、前記突起部を軸に回転しやすい構造になるが、さらに、前記スライド溝の端部を斜め上向きの円弧形状としたり、下向きの円弧形状としたりして、内蔵バッテリーや内蔵シャーシなどの内蔵部品(交換用部品)の交換作業が行い易くした前記スライド溝にすることができるようになる。
本発明によれば、前記突起部を軸に前記口金ソケットが回転可能に構成されていることにより(口金ソケットを邪魔にならない位置に移動させることができるので)、内蔵部品の交換作業が行い易くなる。
【0011】
本発明としては、前記口金ソケットの口金ピンと前記照明部を電気的に接続する配線が配され、前記配線の長さは、前記口金ソケットの移動可能ないずれの位置にあってもピンと張ったような無理な張力が付与されない長さに設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記配線の長さに余裕を持たせられており、口金ソケットの開閉操作において配線に無理な負荷がかからず、内蔵部品の交換作業が行い易くなる。
【0012】
本発明としては、前記照明部に内蔵バッテリー等の内蔵部品が配され、前記口金ソケットをそのストッパーを解除して前記照明部を傾けると、前記内蔵バッテリー等の内蔵部品が前記スライド溝に対する前記突起部の移動と伴って引き出されることを特徴とする。すなわち、前記配線は、内蔵バッテリー等の内蔵部品の移動に伴って引き出される位置において余裕を持った長さで配置しているが、内蔵バッテリーや内蔵シャーシ等の内蔵部品の移動に伴って引き出される構造になっている。
本発明によれば、前記口金ソケットをそのストッパーを解除して前記照明部を傾けると、内蔵バッテリー等の内蔵部品の交換作業に応じて、スライド溝に沿って移動させることができる構造が実現でき、内蔵部品の交換作業が安全かつスムーズに行うことが可能になる。すなわち、内蔵部品の飛び出しを防止しつつ、傾斜させた角度に応じた取り出しや装着が可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内蔵バッテリーが配される一方端側の照明部及び口金ソケットに突起部と突起部に対応したスライド溝を設けるという簡易な構成で従来の製品から大きな改変も不要であり、部品点数の増加抑制も実現しながら、内蔵バッテリーの交換時に口金のピンと基盤を接続する給電用の配線を切断してしまう問題を解消する。
また、本発明によれば、照明部の端部から口金ソケットを構成する照明部の開口位置までの距離よりも、口金ソケットの移動可能距離を長く設定することにより、口金ソケットを照明部から抜き取るように移動させると、突起部を軸に回転移動させることができるので、照明部の端部が解放されて内蔵バッテリーの挿脱が容易に行うことができるとともに、照明部(光源)を覆う部分面積を小さくできるので照明範囲を狭めるような不具合も生じない。
そして、内蔵バッテリーの交換時に口金のピンと照明部を接続する給電用の配線を切断する心配もなく、突起部とスライド溝が位置決め装置の役割も果たすため、製造時及び内蔵バッテリー交換後の口金ソケットの取り付けも容易なバッテリー内蔵型の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態における照明装置の外観を示す図である。
図2】本実施の形態における照明装置の端部の構成を示す拡大図である。
図3】本実施の形態における照明装置の内部構成を示す図である。
図4】本実施の形態における照明装置の回路構成を示す図である。
図5】本実施の形態における照明装置が装着されるベース灯具との関係を示す図である。
図6】本実施の形態における照明装置の照明部と口金ソケットとの連結構造を示した図である。
図7】本実施の形態における口金ピンと照明部を接続する配線Cを示す図である。
図8】本実施の形態における突起部とスライド溝の構成を示す図である。
図9】本実施の形態における口金ソケットを照明部側から見た図である。
図10】本実施の形態における口金ソケットの構成を示す図である。
図11】本実施の形態における口金ソケットの構成を示す斜視図である。
図12】本実施の形態における口金ソケットの移動状態を示す図である。
図13】本実施の形態における口金ソケットの突起部を軸にした回転状態を示す図である。
図14】本実施の形態におけるスライド溝の種類と各々の突起部との関係を示す図である。
図15】従来の照明部と口金ソケットとの関係を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(照明装置の外観構成)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における照明装置の外観を示す図であり、円筒状の直管型非常用LED照明(以下、照明装置1)であり、図2は、当該照明装置1の照明部10の両端に設けられた口金ソケット20(21)の一方を拡大した図である。
照明部10の外装は、照明部内部に設けられた光源から発せられた光を透過する部材からなる半管状の正面カバー101と、半管状の背面カバー102によって円筒状に形成されている。
【0016】
口金ソケット20(21)は、円筒状の照明部10の両端に嵌め込まれて固定されている口金ソケット201と、ベース灯具(図示せず)に装着することにより、商用電源と当該照明装置1が電気的に接続して照明装置の照明部10内部に電力を供給するための口金ピン202によって構成されている。
【0017】
(照明装置の内部構造)
本実施の形態における照明装置1の内部構造を図3に示す。背面カバー102と一体成型された基台102aの上に光源103となるLED(Light-Emitting-Diode/発光ダイオード)チップ103aが長手方向に複数並べられたLEDチップ基盤103bが配される。
LEDチップ基盤103bが配される基台102aの面とは反対の面側には空間が形成されており、制御回路ユニット104、及び内蔵バッテリー105が収められ、配線Cにより光源103、制御回路ユニット104、内蔵バッテリー105が電気的に接続されている。
【0018】
図4は、本実施の形態における照明装置1の回路構成を示すブロック図であり、制御回路ユニット104は、少なくとも外部の商用電源からの電流を整流してLEDチップ基盤103bの作動電圧に調整する正常点灯用駆動電源AC-DCと、外部の商用電源から照明装置1が内蔵する内蔵バッテリー105への充電電流を制御する非常点灯用駆動電源AC-DCと、外部の商用電源の有無を検出して内部電源との切換を制御する集積回路であるMCU(Micro Control Unit)と充電管理ユニットを備える。
ここで、本実施の形態における照明装置1は、非常時の作動状態の確認が可能な外部スイッチ106や、内蔵バッテリーの充電状態を表示するモニターランプ107を備えていてもよい。具体的には、外部スイッチ106を押すことにより、商用電源との電気的な接続が遮断され、意図的に停電状態を創出し、内蔵バッテリーの電源による正常な点灯が行われるか否かを検査することができる。
非常点灯用駆動電源AC-DCは外部端子Nに接続した外部スイッチ106を介し外部端子L,Nに接続され、正常点灯用駆動電源AC-DCの一端が外部端子Lに接続され、他端が外部スイッチ5を介し外部端子Nに接続され、内蔵バッテリーは、充電状態を表示するモニターランプ107と接続された非常点灯用駆動電源AC-DCと充電管理ユニットに接続されるとともに、DC-DC昇圧LED定電流駆動ユニットを介してLEDチップ基盤103bと接続されている。
そして、図5に示すように、照明装置1がベース灯具Bに装着されると、壁スイッチに接続され、壁スイッチによって天井等に取付けられたベース灯具Bに搭載された状態で照明装置1の通常の点灯・消灯操作が可能になる。
【0019】
(照明装置の照明部と口金ソケットとの連結構造の概要)
図6は、本実施の形態における照明装置1の照明部10と口金ソケット20との連結構造を示した図である。
内蔵された内蔵バッテリー105は、一方の口金ソケット20側に偏って搭載されており、他方の口金ソケット20側には制御回路ユニットを構成する部材が配されている。これにより、照明部10から内蔵バッテリー搭載側の口金ソケット20を取り外すことにより、照明装置1を構成するその他の部品に触れることなく内蔵バッテリー105にアクセスでき、容易な内蔵バッテリーの挿脱が可能となる。
【0020】
しかしながら、図7に示すように、口金ピン202と照明部10は給電用の配線Cにより電気的に接続されており、無理な力で口金ソケット20を照明部10から取り外そうとすると、配線Cに張力が付与され、不具合が生じる場合や、最悪の場合は断線してしまうおそれがある(図12(b)に示すように、配線Cがピンと張った状態になる。)。
そこで、本実施の形態における照明装置1は、この課題を解決すべく、内蔵バッテリー搭載側の口金ソケット20の内周面に突起部Pが設けられ、照明部10に口金ソケット20が挿し込まれた状態(使用状態)において、該突起部Pの位置に対応する位置である照明部10の内蔵バッテリー搭載側の端部近傍にスライド溝Gが設けられており、前記突起部Pが嵌め合わされた構成とした(図8)。
口金ソケット20の内周面に設けられた突起部Pが照明部10に設けられたスライド溝Gに嵌め合わされることにより、口金ソケット20は照明部10に対し、分離することなく移動自在に配されるとともに、その移動幅をスライド溝Gの長さによって規制されている。すなわち、スライド溝Gは、照明部10の長手方向に沿って所定の長さの凹溝が形成されているものであるが、その凹溝の長さは口金ピン202と照明部10とを接続する配線Cの長さとの関係において決定される。この点については改めて詳細な説明を加える。なお、内蔵バッテリー103と制御回路ユニット104とは、前記配線Cとは別の配線で連結されている(図4)。
ここで、上記スライド溝G(G1)の構造としては、四角形状のスライド溝G2としても良いが(図14(b)参照)、端部(Ga)を円弧形状のスライド溝G1とすると、突起部Pを軸として回転動作がし易くなる(図14(a)参照)。また、前記スライド溝Gの端部Eを下向きの円弧形状としたり、斜め上向きの円弧形状としたりして、内蔵バッテリー105や内蔵シャーシ(電池や回路部品等を搭載して移動させる部材)などの内蔵部品の交換作業ができるようにしても良い(図14(c)参照)。図14(d)は、前記スライド溝Gの形状を波形にして、突起部Pを弾性部材で構成することにより、内蔵バッテリー等の内蔵用部材(交換用部材)105の重量等に応じて、前記突起部Pがスライド溝G3の波形に順次係止して、急な飛び出しを防止するものである。
【0021】
(本実施の形態における照明装置の照明部と口金ソケットの連結構造の詳細)
図9は本実施の形態における口金ソケット20を照明部11が挿し込まれる側から見た概略図であり、図10はその側面図であり、図11はその斜視図である。口金ソケット20を構成する口金ソケット201は一つ又は径の異なる複数の円筒形からなる照明部201aと、照明部の開口位置Rから延伸された側方カバー201bによって形成されており、側方カバー201bの内周面に突起部Pが設けられている。
本実施の形態における突起部Pが設けられる位置は、口金ソケット20が照明部10に装着された状態(平時の照明の使用状態)において、照明部10を構成する背面カバー部分に対応する位置であることが望ましい。これは一般的にポリカーボネートをはじめとする透光性を有する樹脂で作成された表面カバー101にスライド溝Gを形成すると、突起部Pに応じた深さのスライド溝Gを設けることが困難であることや強度不足が想定され、遮熱性や難燃性を必要とすることからアルミ等で作成される背面カバー102にスライド溝Gを設けることが適切であると考えられるためである(図8参照)。なお、上記スライド溝Gや突起部Pは、円筒状の照明部の中心位置よりも低い位置に設けて、内蔵バッテリー等の内蔵部品(交換用部品)を下支えして引き出す構造が好ましい。
また図9で示した直線A(口金ソケットの外周円の中心Sを通る鉛直な線)に対し、対称となるように突起部Pを2カ所に設けることが望ましい。
これは、相対する2つの突起部Pが対応するスライド溝Gに嵌め込まれることにより、照明部10に対して口金ソケット20が移動したいずれの位置にあっても両側方カバー201bが照明部10(背面カバー102)を挟持した状態を創出して口金ソケット20の脱落を防止するためである。
【0022】
図10は、口金ソケット20を側面から見た図であり、口金ピン202を備える口金ソケット照明部201aの開口位置Rから側方カバー201bが延伸して設けられていることを示している。
このとき、図12(a)に示すように、スライド溝Gに沿って突起部Pが移動する(スライドする)距離、すなわち口金ソケット20が移動可能な距離Xに対して、照明部10に口金ソケット20が装着された使用状態において、照明部10の端部Eと口金ソケット20を構成する照明部201aの開口位置Rとの距離Yが短くなるように設定されている(図12において、X>Y)。つまり、配線Cがピンと張った状態を超えないように設定されている。
これにより図13に示すように、前記円筒状の照明部10から口金ソケット20を抜き出すように移動させると、突起部Pを軸に口金ソケット20の口金ピン側を上下方向に回転移動させることが可能となり、照明部10の端部Eが解放されて内蔵されている内蔵バッテリー105へのアクセスが容易な状態となるとともに、内蔵部品105の取り出しに際しても、口金ソケット20を邪魔にならない位置で、戻すことが容易な位置に移動させる。
【0023】
ここで、突起部Pと該突起部に対応したスライド溝Gにより、口金ソケット20の移動可能距離を規定する。そして該口金ソケット20の移動可能距離を基準にして、口金ソケット20の開口位置Rと照明部10の端部との距離Xや、口金ピン202と照明部10を繋ぐ配線Cの長さYを調節することにより、従来技術に比較して部品点数も少なく簡易な装置構成でコストを抑制するとともに組立てが容易であり、内蔵バッテリーの交換がスムーズで安全な照明装置1を提供することできる。
本実施の形態における照明装置1のような直管型の照明において、口金ソケット20(口金ピン202)と照明部10を電気的に接続して給電するための配線Cが欠かせない。
そのため、照明部10に装着された口金ソケット20を抜き取ろうと移動(スライド)させた際に、口金ソケット20が移動可能距離Xのいずれの位置にあった場合でも配線Cに張力が付与されない長さを有していることが重要である。配線Cの長さに余裕がないと、口金ソケット20の移動により配線Cに張力が付与され、断線等不具合の原因となる可能性がある。
ここで、内蔵バッテリー105を移動可能に構成するとともに、口金ソケット20と内蔵バッテリー105の間に前記配線Cを介在させて、内蔵バッテリー105の移動により配線Cを前記口金ソケット20の方に引き出すように構成することも可能である。すなわち、前記スライド機構により、照明部10を斜めにすると、内蔵バッテリー105が前記口金ソケット20の移動により照明部10から飛び出すように構成するとともに、前記配線Cを口金ソケット20と内蔵バッテリー105の間においてスプリング状に環状に巻きまわされた前記配線Cを介在させることで。配線Cに無理な負荷がかからないようにすることが可能である(図12(b)参照)。
【0024】
また、本実施の形態における照明装置1により、別の問題点の解決にも奏効することが明らかとなった。
それは、直管型の照明は、一般的に、背面カバー(基台部分)102にネジ穴が一体成型されており、口金ソケット20に設けられた孔を介して露出した口金ピン側からねじ止めすることにより、照明部10と口金ソケット20が固定されている(例えば、図6及び図13を参照)。
ここで、直管型の照明は、円筒状であるため、従来は口金ソケット20に設けられた孔を介してネジ穴にネジ(ストッパー)Neを当て合う(あてがう)のが容易ではなく、製造段階における時間のロスとなっていたり、内蔵バッテリー105を交換後に照明部10と口金ソケット20を改めて嵌め込んで固定するのに煩わしさが生じたりする。
しかしながら、本実施の形態における照明装置1の場合は、突起部Pとスライド溝Gを対応させた状態でネジ(ストッパー)Neにより固定するので、突起部Pとスライド溝Gが位置決め装置の役割を担い、ネジ止めが容易で、製造段階、内蔵バッテリー交換後の口金ソケット20の取り付けにおいて生じる時間のロスや煩わしさが解消することとなる。なお、本発明のスライド構造により前記固定用のネジ(従来のねじ)をなくすることができる。
【0025】
本実施の形態では、口金ソケット20(側方カバー201b)に突起部P、照明部10(背面カバー102)にスライド溝Gを備えた照明装置1を説明したが、口金ソケット20(側方カバー201b)にスライド溝Gを設け、照明部(背面カバー102)に突起部Pを設けた照明装置を採用しても良く(図示せず)、本実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0026】
以上、本実施の形態では、非常用の内蔵バッテリーが配されたLED照明で説明したが、本発明は口金ソケット20を有する照明装置であれば、LED照明や非常用照明に限らず照明装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 照明装置、
10 照明部、
101 正面カバー、
102 背面カバー、
102a 基台、
103 光源、
103a LEDチップ、
103b チップ基盤、
104 制御回路ユニット、
105 内蔵バッテリー、
20 口金ソケット(一方端側の口金ソケット)、
201 口金ソケット、
201a 口金ソケット本体、
201b 側方カバー、
202(N,L) 口金ピン、
21 口金ソケット(他方端側の口金ソケット)、
A 照明部側から口金ソケットを見た図において口金ソケットの外周円の中心を通る鉛直な直線、
B ベース灯具、
C 配線(口金ピンと照明部を接続する配線)、
E 照明部の端部(照明部の一方側の端部)、
G,G1,G2,G3 スライド溝、
P 突起部、
Ne ネジ(ストッパー、ネジ穴)、
R 口金ソケットの開口位置、
S 口金ソケットの外周円の中心、
X 口金ソケットの移動可能距離、
Y 口金ソケットの開口位置と照明部の端部との距離、

図1
図2
図3
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図5
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