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特開2024-31527三次元造形システムおよび三次元造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031527
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】三次元造形システムおよび三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/295 20170101AFI20240229BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20240229BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240229BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240229BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20240229BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20240229BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240229BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240229BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240229BHJP
【FI】
B29C64/295
B29C64/106
B29C64/245
B29C64/209
B29C64/35
B29C64/241
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135133
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】寺本 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 和英
(72)【発明者】
【氏名】間島 淳史
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL56
4F213WL67
4F213WL73
4F213WL87
4F213WL92
4F213WL95
4F213WW01
4F213WW06
(57)【要約】
【課題】造形面と、第1吐出部および第2吐出部から吐出された造形材料と、の界面の強度を大きくでき、かつ第1造形物および第2造形物の反りを低減できる三次元造形システムを提供する。
【解決手段】第1吐出部および第2吐出部と、ステージと、加熱部と、制御部と、を含み、前記制御部は、前記第1吐出部および前記第2吐出部から可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出させて、造形面に、第1造形物および第2造形物を造形させる造形処理と、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱させる加熱処理と、を行い、前記造形処理は、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行われる、三次元造形システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記造形材料を吐出するノズルと、を有する第1吐出部および第2吐出部と、
造形面を有し、前記造形面に前記造形材料が堆積されるステージと、
前記ステージに堆積された前記造形材料を加熱する加熱部と、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御して、前記第1吐出部および前記第2吐出部から可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出させて、前記造形面に、第1造形物および第2造形物を造形させる造形処理と、
前記加熱部を制御して、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱させる加熱処理と、
を行い、
前記造形処理は、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行われる、三次元造形システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記加熱部は、前記ノズルのノズル開口よりも下方に位置し、前記ステージを加熱する第1加熱部を有し、
前記造形面は、前記造形面に垂直な方向からみて、
前記第1造形物が造形される第1領域と、
前記第2造形物が造形される第2領域と、
を有し、
前記第1加熱部は、前記第1領域および前記第2領域を、互いに異なる温度で加熱する、三次元造形システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記加熱部は、造形時に前記ノズルのノズル開口よりも上方に位置する、プレート状の第2加熱部を有し、
前記第2加熱部は、前記ノズルに連動して移動し、
前記第2加熱部は、前記造形面に垂直な方向からみて、個別に温度制御可能な第1部分および第2部分を有する、三次元造形システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち一方の吐出部を制御して、前記一方の吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に剥離層を形成する剥離層形成処理を行い、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物を前記剥離層上に造形し、
前記一方の吐出部は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度の低い前記造形材料を吐出する方の吐出部である、三次元造形システム。
【請求項5】
請求項1において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち一方の吐出部を制御して、前記一方の吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に剥離層を形成する剥離層形成処理を行い、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物を前記剥離層上に造形し、
前記一方の吐出部は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度の高い
前記造形材料を吐出する方の吐出部である、三次元造形システム。
【請求項6】
請求項1において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に第1剥離層を形成する処理と、前記第2吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に第2剥離層を形成する処理と、を行い、
前記制御部は、前記第1造形物を前記第2剥離層上に造形し、前記第2造形物を前記第1剥離層上に造形する、三次元造形システム。
【請求項7】
請求項1において、
前記制御部は、前記造形処理において、前記第1吐出部または前記第2吐出部のエラーを検知した場合、エラーが検知された吐出部による造形を停止し、エラーが検知されていない吐出部による造形を行う、三次元造形システム。
【請求項8】
請求項1において、
前記ノズルをクリーニングするクリーニング機構を含み、
前記制御部は、前記造形処理の開始から所定時間が経過した場合に、前記クリーニング機構を制御して、前記第1吐出部の前記ノズルおよび前記第2吐出部の前記ノズルをクリーニングさせるクリーニング処理を行い、
前記所定時間は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度が低い前記造形材料を吐出する方の吐出部におけるクリーニングのタイミングに基づいて決定される、三次元造形システム。
【請求項9】
請求項1において、
前記第1吐出部および前記第2吐出部は、それぞれの前記ノズルのノズル開口の中心間の距離を所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成され、
前記所定の距離は、前記第1吐出部の前記ノズル開口の中心と前記第2吐出部の前記ノズル開口の中心とを通る仮想直線の方向における前記造形面の長さを2で除した長さ以上である、三次元造形システム。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1吐出部および前記第2吐出部は、それぞれの前記ノズルのノズル開口の中心間の距離を所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成され、
前記所定の距離は、前記第1吐出部の前記ノズル開口の中心と前記第2吐出部の前記ノズル開口の中心とを通る仮想直線の方向における前記造形面の長さを2で除した長さ以下である、三次元造形システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項において、
前記造形面に垂直な方向を中心に、前記ステージと、前記第1吐出部および前記第2吐出部と、を相対的に回転させる回転機構を含む、三次元造形システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物の形状に基づいて、前記回転機構による回転角度を決定する、三次元造形システム。
【請求項13】
材料を可塑化して造形材料を生成し前記造形材料を吐出する第1吐出部および第2吐出部から、可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出して、ステージの造形面に、第1造形物および第2造形物を造形する造形工程と、
前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱する加熱工程と、
を行い、
前記造形工程を、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行う、三次元造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形システムおよび三次元造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化された材料を、ステージに向けて吐出して、硬化させることによって三次元造形物を造形する三次元造形システムが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、予熱器で加熱されて溶融した熱可塑性の材料を基台上に押出すための押出ノズルを備え、押出ノズルは、予め設定された形状データにしたがって走査可能性に構成され、基台上で硬化した材料の上に、更に溶融した材料を積層して3次元物体を作成する造形装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-192710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような押出ノズルを複数搭載して、同時に複数の造形物を造形するデュプリケート造形と呼ばれる技術が知られている。互いに異なる材料を吐出して複数造形物を同時に造形する場合、材料の可塑化温度が異なるため、基台と吐出された材料との界面の強度や、造形物の反りが問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る三次元造形システムの一態様は、
材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記造形材料を吐出するノズルと、を有する第1吐出部および第2吐出部と、
造形面を有し、前記造形面に前記造形材料が堆積されるステージと、
前記ステージに堆積された前記造形材料を加熱する加熱部と、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御して、前記第1吐出部および前記第2吐出部から可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出させて、前記造形面に、第1造形物および第2造形物を造形させる造形処理と、
前記加熱部を制御して、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱させる加熱処理と、
を行い、
前記造形処理は、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行われる。
【0007】
本発明に係る三次元造形物の製造方法の一態様は、
材料を可塑化して造形材料を生成し前記造形材料を吐出する第1吐出部および第2吐出部から、可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出して、ステージの造形面に、第1造形物および第2造形物を造形する造形工程と、
前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記
造形材料を、互いに異なる温度で加熱する加熱工程と、
を行い、
前記造形工程を、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る三次元造形システムを模式的に示す斜視図。
図2】本実施形態に係る三次元造形システムを模式的に示す断面図。
図3】本実施形態に係る三次元造形システムのフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
図4】本実施形態に係る三次元造形システムのバレルを模式的に示す平面図。
図5】本実施形態に係る三次元造形システムを模式的に示す平面図。
図6】本実施形態に係る三次元造形システムを模式的に示す平面図。
図7】本実施形態に係る三次元造形システムの動作を説明するためのフローチャート。
図8】本実施形態に係る三次元造形システムの造形層形成処理を説明するための断面図。
図9】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システムを模式的に示す断面図。
図10】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システムの動作を説明するためのフローチャート。
図11】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形システムを模式的に示す断面図。
図12】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形システムの動作を説明するためのフローチャート。
図13】本実施形態の第3変形例に係る三次元造形システムを模式的に示す平面図。
図14】本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システムを模式的に示す平面図。
図15】本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システムの動作を説明するためのフローチャート。
図16】本実施形態の第5変形例に係る三次元造形システムを模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1. 三次元造形システム
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る三次元造形システム100を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る三次元造形システム100を模式的に示す図1のII-II線断面図である。
【0011】
なお、図1および図2では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0012】
三次元造形システム100は、図1および図2に示すように、例えば、吐出部10と、ステージ20と、移動部30と、支持部材40と、加熱部50と、制御部60と、を含む。
【0013】
三次元造形システム100は、吐出部10からステージ20に向けて可塑化された造形材料を吐出させつつ、移動部30を駆動して、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形システム100は、ステージ20上に所望の形状の三次元造形物として第1造形物M1および第2造形物M2を造形する。三次元造形システム100は、例えば、材料押出方式(MEX)の三次元造形システムである。
【0014】
三次元造形システム100は、吐出部10として、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bを含む。図示の例では、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bは、X軸方向に並んでいる。第1吐出部10aおよび第2吐出部10bの構成は、例えば、同じである。第1吐出部10aは、例えば、第1造形物M1を構成する造形材料を吐出する。第2吐出部10bは、例えば、第2造形物M2を構成する造形材料を吐出する。
【0015】
吐出部10は、例えば、材料供給部110と、可塑化部120と、ノズル160と、を有している。
【0016】
材料供給部110には、ペレット状や粉末状の材料が投入される。材料供給部110は、可塑化部120に原料となる材料を供給する。材料供給部110は、例えば、ホッパーによって構成されている。
【0017】
材料供給部110と可塑化部120とは、図2に示すように、材料供給部110の下方に設けられた供給路112によって接続されている。材料供給部110に投入された材料は、供給路112を介して、可塑化部120に供給される。
【0018】
可塑化部120は、例えば、スクリューケース122と、駆動モーター124と、フラットスクリュー130と、バレル140と、ヒーター150と、を有している。可塑化部120は、材料供給部110から供給された固体状態の材料を可塑化し、流動性を有するペースト状の造形材料を生成して、ノズル160に供給する。
【0019】
なお、可塑化とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0020】
スクリューケース122は、フラットスクリュー130を収容する筐体である。スクリューケース122の下面には、バレル140が設けられている。スクリューケース122とバレル140とによって囲まれた空間に、フラットスクリュー130が収容されている。
【0021】
駆動モーター124は、スクリューケース122の上面に設けられている。駆動モーター124は、例えば、サーボモーターである。駆動モーター124のシャフト126は、フラットスクリュー130の上面131に接続されている。駆動モーター124は、制御部60によって制御される。なお、図示はしないが、減速機を介して、駆動モーター124のシャフト126と、フラットスクリュー130の上面131とが、接続されていてもよい。
【0022】
フラットスクリュー130は、回転軸R方向の大きさが、回転軸R方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、回転軸Rは、Z軸と平行である。駆動モーター124が発生させるトルクによって、フラットスクリュー130は、回転軸Rを中心に回転する。
【0023】
フラットスクリュー130は、上面131と、上面131とは反対側の溝形成面132と、上面131と溝形成面132とを接続する側面133と、を有している。溝形成面132には、第1溝134が形成されている。側面133は、例えば、溝形成面132に対して垂直である。ここで、図3は、フラットスクリュー130を模式的に示す斜視図である。なお、便宜上、図3では、図2に示した状態とは上下の位置関係を逆向きとした状態を示している。
【0024】
フラットスクリュー130の溝形成面132には、図3に示すように、第1溝134が形成されている。第1溝134は、例えば、中央部135と、接続部136と、材料導入部137と、を有している。中央部135は、バレル140に形成された連通孔146と対向している。中央部135は、連通孔146と連通している。接続部136は、中央部135と材料導入部137とを接続している。図示の例では、接続部136は、中央部135から溝形成面132の外周に向かって渦状に設けられている。材料導入部137は、溝形成面132の外周に設けられている。すなわち、材料導入部137は、フラットスクリュー130の側面133に設けられている。材料供給部110から供給された材料は、材料導入部137から第1溝134に導入され、接続部136および中央部135を通って、バレル140に形成された連通孔146に搬送される。第1溝134は、例えば、2つ設けられている。
【0025】
なお、第1溝134の数は、特に限定されない。図示はしないが、第1溝134は、3つ以上設けられていてもよいし、1つだけ設けられていてもよい。
【0026】
また、図示はしないが、可塑化部120は、フラットスクリュー130ではなく、側面に螺旋溝を有する長尺のインラインスクリューを有していてもよい。そして、可塑化部120は、インラインスクリューの回転によって材料を可塑化してもよい。
【0027】
バレル140は、図2に示すように、フラットスクリュー130の下方に設けられている。バレル140は、フラットスクリュー130の溝形成面132に対向する対向面142を有している。対向面142の中心には、第1溝134と連通する連通孔146が形成されている。ここで、図4は、バレル140を模式的に示す平面図である。
【0028】
バレル140の対向面142には、図4に示すように、第2溝144と、連通孔146と、が形成されている。第2溝144は、複数形成されている。図示の例では、6つの第2溝144が形成されているが、第2溝144の数は、特に限定されない。複数の第2溝144は、Z軸方向からみて、連通孔146の周りに形成されている。第2溝144は、一端が連通孔146に接続され、連通孔146からバレル140の外周148に向かって渦状に延びている。第2溝144は、可塑化された造形材料を連通孔146に導く機能を有している。
【0029】
なお、第2溝144の形状は、特に限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、第2溝144は、一端が連通孔146に接続されていなくてもよい。さらに、第2溝144は、対向面142に形成されていなくてもよい。ただし、連通孔146に可塑化された材料を効率よく導くことを考慮すると、第2溝144は、対向面142に形成されていることが好ましい。
【0030】
ヒーター150は、図2に示すように、バレル140に設けられている。ヒーター150は、フラットスクリュー130とバレル140との間に供給された材料を加熱する。ヒーター150の出力は、制御部60によって制御される。可塑化部120は、フラットスクリュー130、バレル140、およびヒーター150によって、材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して可塑化された造形材料を生成する。そして、可塑化部120は、生成された造形材料を連通孔146から流出させる。
【0031】
なお、Z軸方向からみて、ヒーター150の形状は、リング形状であってもよい。また、ヒーター150は、バレル140ではなく、例えば、バレル140の下方に設けられていてもよい。
【0032】
ノズル160は、バレル140の下方に設けられている。ノズル160には、ノズル流路162が形成されている。ノズル流路162は、連通孔146に連通している。ノズル流路162には、連通孔146から造形材料が供給される。ノズル流路162は、ノズル開口164を有している。ノズル開口164は、ノズル160の先端に形成されている。図示の例では、ノズル開口164は、ノズル160の-Z軸方向の端に形成されている。ノズル160は、ノズル開口164から造形材料をステージ20に向けて吐出する。
【0033】
ステージ20は、図1および図2に示すように、ノズル160の下方に設けられている。図示の例では、ステージ20の形状は、直方体である。ステージ20は、造形材料が堆積される造形面22を有している。造形面22は、ステージ20の上面の領域である。ここで、図5は、ステージ20を模式的に示す平面図である。
【0034】
ステージ20の造形面22は、図5に示すように、造形面22に垂直な方向からみて、第1領域22aと、第2領域22bと、を有している。図5に示す例では、第1領域22aおよび第2領域22bの形状は、長方形である。図示の例では、造形面22に垂直な方向は、Z軸方向である。第1領域22aには、図2に示すように、第1造形物M1が造形される。第1造形物M1は、例えば、第1吐出部10aから吐出された造形材料で構成される造形物である。第2領域22bには、第2造形物M2が造形される。第2造形物M2は、例えば、第2吐出部10bから吐出された造形材料で構成される造形物である。
【0035】
ステージ20の材質は、例えば、アルミニウムなどの金属である。ステージ20は、金属板と、金属板に設けられた密着シートと、によって構成されていてもよい。この場合、造形面22は、密着シートによって構成される。密着シートは、ステージ20と、吐出部10から吐出された造形材料と、の密着性を向上できる。
【0036】
移動部30は、ステージ20を支持している。図示の例では、移動部30は、加熱部50の第1加熱部170を介して、ステージ20を支持している。移動部30は、ノズル160とステージ20との相対的な位置を変更する。第1吐出部10aおよび第2吐出部10bは、それぞれのノズル160のノズル開口164の中心間の距離を所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成されている。図示の例では、移動部30は、ステージ20をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、X軸方向およびY軸方向において、ノズル160とステージ20との相対的な位置を変更する。さらに、移動部30は、吐出部10をZ軸方向に移動させることによって、Z軸方向において、ノズル160とステージ20との相対的な位置を変更する。
【0037】
移動部30は、例えば、第1電動アクチュエーター32と、第2電動アクチュエーター34と、第3電動アクチュエーター36と、を有している。第1電動アクチュエーター32は、ステージ20をX軸方向に移動させる。第2電動アクチュエーター34は、ステージ20をY軸方向に移動させる。第3電動アクチュエーター36は、吐出部10をZ軸方
向に移動させる。
【0038】
なお、移動部30は、ノズル160とステージ20との相対的な位置を変化させることができれば、その構成は、特に限定されない。移動部30は、例えば、ステージ20をZ軸方向に移動させ、吐出部10をX軸方向およびY軸方向に移動させる構成であってもよい。または、移動部30は、ステージ20または吐出部10をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させる構成であってもよい。
【0039】
支持部材40は、第3電動アクチュエーター36に接続されている。支持部材40は、吐出部10を支持している。移動部30は、第3電動アクチュエーター36によって支持部材40をZ軸方向に移動させることにより、吐出部10をZ軸方向に移動させる。
【0040】
加熱部50は、ステージ20の造形面22に堆積された造形材料を加熱する。加熱部50は、造形面22に造形された第1造形物M1および第2造形物M2を、互いに異なる温度で加熱する。
【0041】
加熱部50は、図1および図2に示すように、例えば、第1加熱部170と、第2加熱部180と、を有している。
【0042】
第1加熱部170は、ノズル開口164よりも下方に位置している。第1加熱部170は、造形面22よりも下方に設けられている。第1加熱部170は、移動部30に支持されている。第1加熱部170は、移動部30とステージ20との間に設けられている。第1加熱部170は、ステージ20と連動して移動する。第1加熱部170は、ステージ20を加熱する。
【0043】
第1加熱部170は、図2に示すように、例えば、断熱部材172と、下部プレート174と、ヒーター176と、上部プレート178と、を有している。
【0044】
断熱部材172は、移動部30上に設けられている。断熱部材172は、移動部30と下部プレート174との間に設けられている。断熱部材172の形状は、例えば、板状である。断熱部材172としては、例えば、ロスリムボード(登録商標)を用いる。断熱部材172は、断熱部材172よりも下方に伝わるヒーター176の熱を低減できる。
【0045】
下部プレート174は、断熱部材172上に設けられている。下部プレート174は、断熱部材172とヒーター176との間に設けられている。下部プレート174の材質は、例えば、アルミニウムである。下部プレート174の上面および下面は、例えば、研磨処理された鏡面である。これにより、下部プレート174は、ヒーター176からの輻射熱をステージ20側に反射できる。
【0046】
ヒーター176は、下部プレート174上に設けられている。ヒーター176は、下部プレート174と上部プレート178との間に設けられている。ヒーター176は、下部プレート174と上部プレート178とに挟まれることによって固定されている。ヒーター176は、例えば、板状のヒータープレートである。ヒーター176としては、例えば、ラバーヒーターを用いる。ヒーター176は、上部プレート178を介して、ステージ20を加熱する。
【0047】
ヒーター176は、図2および図5に示すように、第1部分176aと、第2部分176bと、を有している。図示の例では、第1部分176aおよび第2部分176bは、互いに離隔している。図示はしないが、第1部分176aおよび第2部分176bは、互いに接続されて一体に設けられていてもよい。第1部分176aおよび第2部分176bの
平面形状は、例えば、長方形である。図5に示す例では、Z軸方向からみて、造形面22の第1領域22aは、第1部分176aと重なっている。第1部分176aは、第1領域22aを加熱する。Z軸方向からみて、造形面22の第2領域22bは、第2部分176bと重なっている。第2部分176bは、第2領域22bを加熱する。
【0048】
ヒーター176は、第1領域22aおよび第2領域22bを、互いに異なる温度で加熱する。ヒーター176は、第1造形物M1および第2造形物M2を、互いに異なる温度で加熱する。
【0049】
上部プレート178は、ヒーター176上に設けられている。上部プレート178は、ヒーター176とステージ20との間に設けられている。ステージ20は、上部プレート178上に設けられている。上部プレート178の材質は、例えば、アルミニウムである。上部プレート178の上面および下面には、例えば、酸化膜が設けられている。酸化膜によって、ヒーター176からの輻射熱がこもり易くすることができ、効率よくステージ20を加熱できる。ステージ20は、例えば、着脱可能に構成されている。上部プレート178は、ステージ20が取り外された場合に、ヒーター176が露出することを防ぐことができる。
【0050】
第2加熱部180は、造形物M1,M2の造形時に、ノズル開口164よりも上方に位置する。第2加熱部180は、造形面22よりも上方に設けられている。第2加熱部180は、支持部材40に支持されている。第2加熱部180は、吐出部10と連動して移動する。第2加熱部180の形状は、プレート状である。Z軸方向からみて、第2加熱部180は、ステージ20の造形面22と重なっている。
【0051】
第2加熱部180には、第1貫通孔182aおよび第2貫通孔182bが形成されている。貫通孔182a,182bは、第2加熱部180をZ軸方向に貫通している。造形時には、第1貫通孔182aに、第1吐出部10aのノズル160が位置する。第2貫通孔182bに、第2吐出部10bのノズル160が位置する。ここで、図6は、第2加熱部180を模式的に示す平面図である。
【0052】
図6に示すように、第1貫通孔182aと重なるノズル開口164の中心と、第2貫通孔182bと重なるノズル開口164の中心と、の間の距離Dは、仮想直線Bの方向における造形面22の長さLを2で除した長さ以下である。距離Dは、長さLを2で除した長さより小さくてもよいし、長さLを2で除した長さと同じであってもよい。仮想直線Bは、第1吐出部10aのノズル開口164と、第2吐出部10bのノズル開口164と、を通る直線である。図示の例では、仮想直線Bは、第1吐出部10aのノズル開口164の中心と、第2吐出部10bのノズル開口164の中心と、を通っている。仮想直線Bの方向は、X軸方向である。
【0053】
第2加熱部180は、図2に示すように、例えば、ヒーター184と、断熱部材186と、を有している。
【0054】
ヒーター184は、造形面22と対向している。ヒーター184は、造形面22と断熱部材186との間に設けられている。ヒーター184は、例えば、板状のヒータープレートである。ヒーター184としては、例えば、ラバーヒーターを用いる。ヒーター184は、造形面22を加熱する。
【0055】
ヒーター184は、図2および図6に示すように、第1部分184aと、第2部分184bと、を有している。図示の例では、第1部分184aおよび第2部分184bは、互いに離隔している。図示はしないが、第1部分184aおよび第2部分184bは、互い
に接続されて一体に設けられていてもよい。第1部分184aには、第1貫通孔182aが形成されている。第2部分184bには、第2貫通孔182bが形成されている。
【0056】
ヒーター184の第1部分184aおよび第2部分184bの平面形状は、例えば、長方形である。図6に示す例では、Z軸方向からみて、造形面22の第1領域22aは、第1部分184aと重なっている。第1部分184aおよび第2部分184bは、制御部60によって、個別に温度制御が可能である。第1部分184aおよび第2部分184bは、造形時において、互いに温度が異なる。第1部分184aは、例えば、第1領域22aを加熱する。Z軸方向からみて、造形面22の第2領域22bは、第2部分184bと重なっている。第2部分184bは、例えば、第2領域22bを加熱する。
【0057】
ヒーター184は、例えば、第1領域22aおよび第2領域22bを、互いに異なる温度で加熱する。ヒーター184は、例えば、第1造形物M1および第2造形物M2を、互いに異なる温度で加熱する。
【0058】
なお、図示はしないが、第2加熱部180は、ヒーター184の下に金属プレートを有していてもよい。金属プレートの材質は、例えば、アルミニウムである。
【0059】
断熱部材186は、ヒーター184上に設けられている。断熱部材186は、例えば、支持部材40に接続されている。断熱部材186は、断熱部材186よりも上方に伝わるヒーター184の熱を低減できる。
【0060】
制御部60は、例えば、プロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースと、を有するコンピューターによって構成されている。制御部60は、例えば、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。具体的には、制御部60は、吐出部10a,10b、移動部30、および加熱部50を制御する。なお、制御部60は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0061】
1.2. 第1造形物および第2造形物
第1造形物M1は、図2に示すように、造形面22の第1領域22aに造形される。第2造形物M2は、造形面22の第2領域22bに造形される。第1造形物M1および第2造形物M2の形状は、同じであってもよいし、異なってもよい。第1造形物M1および第2造形物M2の大きさは、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0062】
第1吐出部10aから吐出された造形材料の可塑化温度と、第2吐出部10bから吐出された造形材料の可塑化温度とは、異なる。第1造形物M1を構成する造形材料の可塑化温度と、第1造形物M1を構成する造形材料の可塑化温度とは、異なってもよい。
【0063】
第1吐出部10aから吐出された造形材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂である。第2吐出部10bから吐出された造形材料は、例えば、ポリスチレン(PS)である。なお、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化温度とは、ガラス転移点のことである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑温度化とは、融点である。
【0064】
1.3. 動作
図7は、三次元造形システム100の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、図7は、制御部60の処理を説明するためのフローチャートである。
【0065】
ユーザーは、例えば、図示せぬ操作部を操作して、制御部60に処理を開始するための
処理開始信号を出力する。操作部は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどによって構成されている。制御部60は、処理開始信号を受けると処理を開始する。
【0066】
まず、制御部60は、図7に示すように、ステップS1として、第1造形物M1および第2造形物M2を造形するための造形データを取得する造形データ取得処理を行う。
【0067】
造形データは、例えば、材料供給部110に供給される材料の種類、ステージ20に対する吐出部10a,10bの移動経路、吐出部10a,10bから吐出される造形材料の量などに関する情報を含む。
【0068】
造形データは、例えば、三次元造形システム100が含むコンピューターにインストールされたスライサーソフトに、形状データを読み込ませることによって作成される。形状データは、三次元CAD(Computer Aided Design)ソフトや三次元CG(Computer Graphics)ソフトなどを用いて作成された三次元造形物の目標形状を表すデータである。形状データとしては、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式やAMF(Additive Manufacturing File Format)などのデータを用いる。スライサーソフトは、三次元造形物の目標形状を所定の厚さの層に分割して、層ごとに造形データを作成する。造形データは、GコードやMコードなどによって表される。制御部60は、三次元造形システム100に接続されたコンピューターや、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの記録媒体から造形データを取得する。
【0069】
次に、制御部60は、ステップS2として、加熱部50を制御して、造形面22の第1領域22aおよび第2領域22bを、互いに異なる温度で加熱する加熱処理を行う。
【0070】
具体的には、制御部60は、第1加熱部170のヒーター176および第2加熱部180のヒーター184を駆動させて、第1領域22aの温度を第1温度とし、第2領域22bの温度を第1温度と異なる第2温度とする。第1温度は、第2温度より高くてもよいし、第2温度より低くてもよい。制御部60は、後述するステップS4の判定処理が終了し、ステップS5の加熱停止処理を行うまで、加熱処理を続ける。
【0071】
次に、制御部60は、ステップS3として、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bから造形材料を吐出させて、ステージ20の造形面22に、造形層を形成する造形層形成処理を行う。
【0072】
具体的には、制御部60は、駆動モーター124およびヒーター150を駆動させ、フラットスクリュー130とバレル140との間に供給された材料を可塑化して造形材料を生成させる。そして、制御部60は、吐出部10a,10bのノズル160から造形材料を吐出させる。制御部60は、例えば、造形層形成処理が終了するまで造形材料を生成させ続ける。ここで、図8は、造形層形成処理を説明するための断面図である。
【0073】
制御部60は、図8に示すように、取得した造形データに基づいて、移動部30を制御してノズル160とステージ20との相対的な位置を変化させつつ、吐出部10a,10bを制御してノズル160からステージ20に向けて造形材料を吐出させる。
【0074】
具体的には、造形層形成処理が開始されると、図8に示すように、制御部60は、移動部30を制御することによって、例えば、ステージ20に対してノズル160を+X軸方向に相対移動させる。ノズル160がステージ20上の所定の位置を通過する際、ノズル160から造形材料が吐出される。これにより、造形層L1が形成される。図8では、nを任意の自然数として、第n層目の造形層Lnまでを図示している。
【0075】
ステップS3の処理において、第1吐出部10aのノズル160からの吐出のタイミングと、第2吐出部10bのノズル160からの吐出のタイミングとは、同じであってもよい。ステップS3の処理において、第1吐出部10aのノズル160からの吐出のタイミングと、第2吐出部10bのノズル160からの吐出のタイミングとは、異なってもよい。
【0076】
制御部60は、ステップS3の処理において、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bを同じタイミングで吐出すると、第1吐出部10aからの造形材料および第2吐出部10bからの造形材料がともに、造形面22の第1領域22aに堆積される場合、第1吐出部10aと第2吐出部10bとの吐出部のタイミングを異ならせてもよい。
【0077】
制御部60は、ステップS3の処理において、第1吐出部10aまたは第2吐出部10bのエラーを検知した場合、エラーが検知された吐出部による造形を停止し、エラーが検知されていない吐出部による造形を行ってもよい。例えば、制御部60は、ステップS3の処理において、第2吐出部10bのエラーを検知した場合、エラーが検知された第2吐出部10bによる造形を停止し、エラーが検知されていない第1吐出部10aによる造形を継続して第2造形物M2を造形せずに第1造形物M1を造形してもよいし、エラーが検知されていない第1吐出部10aによって第1造形物M1および第2造形物M2の両方を造形してもよい。制御部60は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bの各々に設けられた温度センサー、圧力センサー、材料の枯渇を検知する材料センサーなどに基づいて、エラーを検知してもよい。
【0078】
次に、制御部60は、図7に示すように、ステップS4として、造形データに基づいて、全ての造形層の形成が完了したか否か判定する判定処理を行う。
【0079】
全ての造形層の形成が完了していないと判定した場合(ステップS4で「NO」)、制御部60は、処理をステップS3に戻す。制御部60は、ステップS4において、全ての造形層の形成が完了したと判定するまで、ステップS3とステップS4とを繰り返す。
【0080】
一方、全ての造形層の形成が完了したと判定した場合(ステップS4で「YES」)、制御部60は、ステップS5の処理に移行する。
【0081】
上述したステップS3およびステップS4のように、制御部60は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bを制御して、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bから可塑化温度が互いに異なる造形材料を吐出させることにより、造形面22に、第1造形物M1および第2造形物M2を造形させる造形処理を行う。
【0082】
造形処理は、第1吐出部10aから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間と、第2吐出部10bから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間とが、重複するように行われる。
【0083】
ステップS3およびステップS4の処理中に、ヒーター176,184を駆動させていることにより、制御部60は、第1吐出部10aから吐出された造形材料および第2吐出部10bから吐出された造形材料を、互いに異なる温度で加熱する。制御部60は、ヒーター176,184を駆動させて、第1造形物M1および第2造形物M2を、互いに異なる温度で加熱する。
【0084】
制御部60は、ステップS5として、加熱部50を制御して、ヒーター176,184の駆動を停止させて、加熱を停止させる加熱停止処理を行う。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0085】
なお、第1吐出部10aから吐出された造形材料および第2吐出部10bから吐出された造形材料を、互いに異なる温度で加熱できれば、ステップS3の処理の終了後や、ステップS4の処理の終了後に、ヒーター176,184を駆動させ始めて加熱処理を開始してもよい。ただし、吐出部10a,10bから吐出された造形材料と、造形面22と、の密着性、および造形物M1,M2の反りを考慮すると、図7に示すように、ステップS3の処理の前に加熱処理を開始し、ステップS4の処理の後に加熱停止処理を行うことが好ましい。
【0086】
また、造形処理において、第1吐出部10aから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間の一部が、第2吐出部10bから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間と重複すれば、第1吐出部10aから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間と、第2吐出部10bから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間とは、完全に重複していなくてもよい。
【0087】
1.4. 作用効果
三次元造形システム100では、制御部60は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bを制御して、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bから可塑化温度が互いに異なる造形材料を吐出させて、造形面22に、第1造形物M1および第2造形物M2を造形させる造形処理を行う。さらに、制御部60は、加熱部50を制御して、第1吐出部10aから吐出された造形材料および第2吐出部10bから吐出された造形材料を、互いに異なる温度で加熱させる加熱処理を行う。
【0088】
そのため、三次元造形システム100では、第1吐出部10aから吐出された造形材料の可塑化温度、および第2吐出部10bから吐出された造形材料の可塑化温度に合わせて、第1吐出部10aから吐出された造形材料、および第2吐出部10bから吐出された造形材料を加熱できる。これにより、造形面22と、吐出部10a,10bから吐出された造形材料と、の界面の強度を大きくできる。さらに、第1造形物M1および第2造形物M2の反りを低減できる。
【0089】
さらに、三次元造形システム100では、造形処理は、第1吐出部10aから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間と、第2吐出部10bから吐出された造形材料が造形面22に堆積される期間とが、重複するように行われる。そのため、三次元造形システム100では、造形時間を短縮できる。
【0090】
三次元造形システム100では、加熱部50は、ノズル160のノズル開口164よりも下方に位置し、ステージ20を加熱する第1加熱部170を有する。造形面22は、Z軸方向からみて、第1造形物M1が造形される第1領域22aと、第2造形物M2が造形される第2領域22bと、を有する。第1加熱部170は、第1領域22aおよび第2領域22bを、互いに異なる温度で加熱する。そのため、三次元造形システム100では、第1加熱部170によって、第1造形物M1および第2造形物M2を、互いに異なる温度で加熱できる。
【0091】
三次元造形システム100では、加熱部50は、造形時にノズル160のノズル開口164よりも上方に位置する、プレート状の第2加熱部180を有する。第2加熱部180は、ノズル160に連動して移動する。第2加熱部180は、Z軸方向からみて、個別に温度制御可能な第1部分184aおよび第2部分184bを有する。そのため、三次元造形システム100では、第2加熱部180によって、第1吐出部10aから吐出された造形材料および第2吐出部10bから吐出された造形材料を、互いに異なる温度で加熱できる。
【0092】
三次元造形システム100では、制御部60は、造形処理において、第1吐出部10aまたは第2吐出部10bのエラーを検知した場合、エラーが検知された吐出部による造形を停止し、エラーが検知されていない吐出部による造形を行う。そのため、三次元造形システム100では、エラーを検知したとしても、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち一方を用いて造形可能である。
【0093】
三次元造形システム100では、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bは、それぞれのノズル160のノズル開口164の中心間の距離Dを所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成されている。所定の距離は、第1吐出部10aのノズル開口164の中心と第2吐出部10bのノズル開口164の中心とを通る仮想直線Bの方向における造形面22の長さLを2で除した長さ以下である。そのため、三次元造形システム100では、第1吐出部10aのノズル開口164および第2吐出部10bのノズル開口164が、造形中に、Z軸方向からみてステージ20の外に位置しないようにすることができる。これにより、ノズル開口164がステージ20の外に位置するために吐出部10a,10bからの吐出を停止させる処理を行う必要がなく、制御が容易になる。
【0094】
2. 三次元造形システムの変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システム200を模式的に示す断面図である。図10は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システム200の動作を説明するためのフローチャートである。
【0095】
以下、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形システム200において、上述した本実施形態に係る三次元造形システム100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第2~第6変形例に係る三次元造形システムおいて、同様である。
【0096】
上述した三次元造形システム100では、図2に示すように、第1造形物M1および第2造形物M2は、ステージ20の造形面22に直接、造形された。
【0097】
これに対し、三次元造形システム200では、図9に示すように、第1造形物M1および第2造形物M2は、剥離層Eを介して、造形面22に造形される。第1造形物M1および第2造形物M2は、剥離層E上に造形される。
【0098】
剥離層Eを構成する造形材料の可塑化温度は、第1造形物M1を構成する造形材料の可塑化温度、および第2造形物M2を構成する造形材料の可塑化温度よりも低くてもよい。第1造形物M1を構成する造形材料がABS樹脂で、第2造形物M2を構成する造形材料がポリスチレンである場合、剥離層Eを構成する造形材料は、例えば、アクリル(PMMA)である。
【0099】
剥離層Eを構成する造形材料の可塑化温度は、第1造形物M1を構成する前記造形材料の可塑化温度、および第2造形物M2を構成する前記造形材料の可塑化温度よりも高くてもよい。第1造形物M1を構成する造形材料がABS樹脂で、第2造形物M2を構成する造形材料がポリスチレンである場合、剥離層Eを構成する造形材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)である。
【0100】
制御部60は、図10に示すように、ステップS12の加熱処理の後であって、ステップS14の造形層形成処理の前に、ステップS13として、第1吐出部10aおよび第2
吐出部10bのうち一方の吐出部を制御して、一方の吐出部から造形材料を吐出させて、造形面22に剥離層Eを形成する剥離層形成処理を行う。一方の吐出部は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度の低い造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。または、一方の吐出部は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度の高い造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。例えば、制御部60は、第1吐出部10aを制御して、第1吐出部10aから造形材料を吐出させて、造形面22に剥離層Eを形成する。
【0101】
具体的には、制御部60は、駆動モーター124およびヒーター150を駆動させ、フラットスクリュー130とバレル140との間に供給された材料を可塑化して造形材料を生成させる。そして、制御部60は、第1吐出部10aから造形材料を吐出させて、剥離層Eを形成する。剥離層Eの形状は、造形データに基づく。
【0102】
なお、制御部60は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bの両方を制御して、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bの両方から造形材料を吐出させて、造形面22に剥離層Eを形成してもよい。
【0103】
制御部60は、ステップS14の造形層形成処理およびステップS15の判定処理において、剥離層E上に第1造形物M1および第2造形物M2を造形する。
【0104】
なお、図10に示すステップS11の造形データ取得処理、ステップS12の加熱処理、ステップS14の造形層形成処理、ステップS15の判定処理、ステップS16の加熱停止処理は、それぞれ、図7に示すステップS1の造形データ取得処理、ステップS2の加熱処理、ステップS3の造形層形成処理、ステップS4の判定処理、ステップS5の加熱停止処理と、基本的に同じ処理である。
【0105】
ユーザーは、制御部60が処理を終了した後、ステージ20の造形面22から、剥離層Eを剥がして、剥離層Eおよび造形物M1,M2からなる構造体を得る。次に、ユーザーは、剥離層Eを造形物M1,M2から剥がして、第1造形物M1および第2造形物M2を得る。
【0106】
三次元造形システム200では、制御部60は、造形処理の前に、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち一方の吐出部を制御して、一方の吐出部から造形材料を吐出させて、造形面22に剥離層Eを形成する剥離層形成処理を行う。制御部60は、第1造形物M1および第2造形物M2を剥離層E上に造形する。一方の吐出部は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度の低い造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。一方の吐出部が第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち可塑化温度の低い造形材料を吐出する方の吐出部であれば、剥離層Eを、造形面22から容易に剥がすことができる。さらに、剥離層Eを1層剥がすと2つの造形物M1,M2が付いてくるため、造形物M1,M2ごとに専用の剥離層を形成する場合に比べて、ユーザーの手間が省ける。
【0107】
三次元造形システム200では、一方の吐出部は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度の高い造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。一方の吐出部が第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち可塑化温度の高い造形材料を吐出する方の吐出部であれば、剥離層Eを、第1造形物M1および第2造形物M2から容易に剥がすことができる。
【0108】
なお上述では、造形物M1,M2に共通の剥離層Eを形成する例を示したが、造形物M1,M2のそれぞれに剥離層を形成してもよい。具体的には、制御部60は、第1吐出部
10aから造形材料を吐出させて造形面22に第1剥離層を形成し、第2吐出部10bから造形材料を吐出させて造形面22に第2剥離層を形成し、第1造形物M1を第2剥離層の上に造形し、第2造形物M2を第1剥離層の上に造形してもよい。これにより造形物M1,M2と可塑化温度の異なる材料で構成された剥離層Eを造形でき、剥離層Eを、造形物M1,M2から容易に剥がすことができる。
【0109】
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図11は、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形システム300を模式的に示す断面図である。図12は、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形システム300の動作を説明するためのフローチャートである。
【0110】
三次元造形システム300は、図11に示すように、クリーニング機構70を含む点において、上述した三次元造形システム100と異なる。
【0111】
クリーニング機構70は、ノズル160をクリーニングする。クリーニング機構70は、例えば、第1クリーニング部72と、第2クリーニング部74と、を有している。第1クリーニング部72は、第1吐出部10aのノズル160をクリーニングする。第2クリーニング部74は、第2吐出部10bのノズル160をクリーニングする。具体的には、クリーニング部72,74は、ノズル160のノズル開口164における造形材料の詰まりを解消する。クリーニング部72,74は、例えば、ノズル160と接触するブラシ、およびブラシによって除去された造形材料を収容する収容部などを含んで構成されている。
【0112】
第1クリーニング部72および第2クリーニング部74は、例えば、図示せぬクリーニング移動部によって、Y軸方向に移動可能である。ノズル160をクリーニングする場合、クリーニング部72,74は、クリーニング移動部によって、Z軸方向からみてノズル開口164と重なる位置に移動される。クリーニング移動部は、例えば、レール、モーターなどを含んで構成されている。クリーニング移動部は、制御部60によって制御される。
【0113】
制御部60は、図12に示すように、例えば、ステップS25の加熱停止処理を行った後、ステップS26として、クリーニング機構70を制御して、第1吐出部10aのノズル160および第2吐出部10bのノズル160をクリーニングさせるクリーニング処理を行う。
【0114】
具体的には、制御部60は、ステップS23の造形層形成処理の開始から所定時間が経過した場合に、移動部30を制御して、第2加熱部180に対して、吐出部10a,10bを上方に移動させる。これにより、図11に示すように、ノズル160は、貫通孔182a,182bの上方に位置する。次に、制御部60は、クリーニング機構70のクリーニング移動部を制御して、Z軸方向からみて、第1吐出部10aのノズル開口164と重なる位置に第1クリーニング部72を移動させ、第2吐出部10bのノズル開口164と重なる位置に第2クリーニング部74を移動させる。これにより、第1クリーニング部72と第1吐出部10aのノズル160とが接触し、かつ、第2クリーニング部74と第2吐出部10bのノズル160とが接触して、ノズル160がクリーニングされる。
【0115】
ステップS26の処理における所定時間は、例えば、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度が低い造形材料を吐出する方の吐出部におけるクリーニングのタイミングに基づいて決定される。例えば第1吐出部10aの方が第2吐出部10bよりも可塑化温度が低い造形材料を吐出する場合、ステップS26の処理における所定時間
は、第1吐出部10aにおけるクリーニングのタイミングに基づいて決定される。当該所定時間に関する情報は、造形データに含まれる。一般的に、可塑化温度が低い造形材料は、炭化し易く、ノズル160が汚れ易い。
【0116】
なお、図12に示すステップS21の造形データ取得処理、ステップS22の加熱処理、ステップS23の造形層形成処理、ステップS24の判定処理、ステップS25の加熱停止処理は、それぞれ、図7に示すステップS1の造形データ取得処理、ステップS2の加熱処理、ステップS3の造形層形成処理、ステップS4の判定処理、ステップS5の加熱停止処理と、基本的に同じ処理である。
【0117】
三次元造形システム300では、制御部60は、造形処理の開始から所定時間が経過した場合に、クリーニング機構70を制御して、第1吐出部10aのノズル160および第2吐出部10bのノズル160をクリーニングさせるクリーニング処理を行う。所定時間は、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうち、可塑化温度が低い造形材料を吐出する方の吐出部におけるクリーニングのタイミングに基づいて決定される。そのため、三次元造形システム300では、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうちクリーニング回数が多い吐出部のクリーニングに合わせて、クリーニング回数が少ない吐出部のクリーニングを同時に行うことができる。これにより、クリーニング回数が少ない吐出部だけのクリーニングを行う必要がない。
【0118】
2.3. 第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図13は、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形システム400を模式的に示す平面図である。なお、便宜上、図13では、ステージ20および第2加熱部180以外の部材の図示を省略している。
【0119】
上述した三次元造形システム100では、図6に示すように、Z軸方向からみて、第1吐出部10aのノズル開口164と、第2吐出部10bのノズル開口164と、の間の距離Dは、仮想直線Bの方向における造形面22の長さLを2で除した長さ以下であった。
【0120】
これに対し、三次元造形システム400では、図13に示すように、Z軸方向からみて、距離Dは、仮想直線Bの方向における造形面22の長さLを2で除した長さ以上である。そのため、三次元造形システム400では、第1吐出部10aのノズル開口164が、造形中に、Z軸方向からみて造形面22の第2領域22bと重ならないようにすることができる。これにより、例えば第1吐出部10aのノズル開口164が第2領域22bと重なることによる第1吐出部10aからの吐出を停止させる処理を行う必要がなく、制御が容易になる。さらに、第2吐出部10bのノズル開口164が、造形中に、Z軸方向からみて造形面22の第1領域22aと重ならないようにすることができる。
【0121】
2.4. 第4変形例
次に、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図14は、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システム500を模式的に示す平面図である。図15は、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システム500の動作を説明するためのフローチャートである。なお、便宜上、図14では、ステージ20、制御部60、回転機構80、および第2加熱部180以外の部材の図示を省略している。
【0122】
三次元造形システム500は、図14に示すように、回転機構80を含む点において、上述した三次元造形システム100と異なる。
【0123】
回転機構80は、Z軸方向を中心に、ステージ20と、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bと、を相対的に回転させる。回転機構80は、ステージ20を回転させることによって、ステージ20と、吐出部10a,10bと、を相対的に回転させてもよい。または、回転機構80は、吐出部10a,10bを回転させることによって、ステージ20と、吐出部10a,10bと、を相対的に回転させてもよい。回転機構80は、支持部材40を回転させることによって、吐出部10a,10bを回転させてもよい。回転機構80は、例えば、モーターを含んで構成されている。回転機構80は、制御部60によって制御される。
【0124】
図示の例では、回転機構80は、Z軸方向からみて、ステージ20を回転させる。ステージ20は、例えば、ステージ20の中心を回転軸として回転する。回転軸は、例えば、Z軸と平行である。仮想直線Bは、例えば、造形面22の長辺23に対して、角度θ傾いている。角度θは、回転機構80による回転角度である。図示の例では、造形面22の形状は、長方形である。Z軸方向からみて、造形面22の一方の対角線24は、仮想直線Bと平行である。
【0125】
制御部60は、図15に示すように、例えば、ステップS31の造形データ取得処理を行った後、ステップS32として、回転機構80を制御して、ステージ20を回転させる回転処理を行う。
【0126】
具体的には、制御部60は、造形データに含まれる造形物M1,M2の形状に関するデータに基づいて、回転機構80による回転角度θを決定する。そして、制御部60は、角度θだけ、ステージ20を回転させる。例えば、Z軸方向からみて、所定方向の長さが大きい造形物M1,M2を造形する場合、所定方向の長さが、造形面22の対角線24と平行となるように、ステージ20を回転させる。これにより、造形物M1,M2がステージ20からはみ出る可能性を小さくすることができる。
【0127】
なお、制御部60は、ステップS34の造形層形成処理を行っているときに、回転処理を行ってもよい。これにより、第1吐出部10aから吐出される造形材料の造形面22における位置、および第2吐出部10bから吐出される造形材料の造形面22における位置の自由度を向上できる。第1吐出部10aから吐出される造形材料と、第2吐出部10bから吐出される造形材料と、を含む第1造形物M1および第2造形物M2が造形されてもよい。
【0128】
また、図15に示すステップS31の造形データ取得処理、ステップS33の加熱処理、ステップS34の造形層形成処理、ステップS35の判定処理、ステップS36の加熱停止処理は、それぞれ、図7に示すステップS1の造形データ取得処理、ステップS2の加熱処理、ステップS3の造形層形成処理、ステップS4の判定処理、ステップS5の加熱停止処理と、基本的に同じ処理である。
【0129】
三次元造形システム500では、Z軸方向を中心に、ステージ20と、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bと、を相対的に回転させる回転機構80を含む。そのため、三次元造形システム500では、第1吐出部10aから吐出される造形材料の造形面22における位置、および第2吐出部10bから吐出される造形材料の造形面22における位置の自由度を向上できる。
【0130】
三次元造形システム500では、制御部60は、第1造形物M1および第2造形物M2の形状に基づいて、回転機構80による回転角度θを決定する。そのため、三次元造形システム500では、第1造形物M1および第2造形物M2の形状に合わせて、回転角度θを決定できる。これにより、例えば、第1造形物M1および第2造形物M2がステージ2
0からはみ出る可能性を小さくすることができる。
【0131】
2.5. 第5変形例
次に、本実施形態の第5変形例に係る三次元造形システムについて、図面を参照しながら説明する。図16は、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形システム600を模式的に示す平面図である。なお、便宜上、図16では、第2加熱部180以外の部材の図示を省略している。
【0132】
上述した三次元造形システム100では、図6に示すように、第2加熱部180のヒーター184は、第1部分184aと、第2部分184bと、を有していた。
【0133】
これに対し、三次元造形システム600では、図16に示すように、第1部分184aと、第2部分184bと、第3部分184cと、を有している。
【0134】
Z軸方向からみて、第1部分184aおよび第2部分184bは、第3部分184cを囲むような形状を有している。図示の例では、第3部分184cは、正方形である。貫通孔182a,182bは、第3部分184cに形成されている。第1部分184a、第2部分184b、および第3部分184cは、造形時において、互いに温度が異なる。
【0135】
三次元造形システム600では、例えば、三次元造形システム100に比べて、造形面22の温度制御をより精密に行うことができる。
【0136】
2.6. 第6変形例
次に、本実施形態の第6変形例に係る三次元造形システムについて説明する。
【0137】
上述した三次元造形システム100では、第1吐出部10aから吐出される造形材料は、ABS樹脂であり、第2吐出部10bから吐出される造形材料は、ポリスチレンであった。
【0138】
これに対し、本実施形態の第6変形例に係る三次元造形システムでは、第1吐出部10aから吐出される造形材料、および第2吐出部10bから吐出される造形材料は、可塑化温度が異なれば、特に限定されない。第1吐出部10aから吐出される造形材料、および第2吐出部10bから吐出される造形材料は、難燃性のグレードが異なる材労であってもよいし、色違いの材料であってもよいし、所定の材料と、所定の材料にガラスやカーボン繊維が添加されたものと、であってもよい。以下、より具体的に説明する。
【0139】
吐出部10a,10bから吐出される造形材料としては、熱可塑性を有する材料、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料とした材料を挙げることができる。ここで、「主材料」とは、造形物M1,M2の形状を形作っている中心となる材料を意味し、造形物M1,M2において50質量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0140】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0141】
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM )、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボ
ネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0142】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0143】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、可塑化部120において、フラットスクリュー130の回転と、ヒーター150の加熱と、によって可塑化されて溶融した状態に転化される。また、そのように生成された造形材料は、ノズル160から堆積された後、温度の低下によって硬化する。熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル160から吐出されることが望ましい。
【0144】
可塑化部120では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、可塑化部120に投入されることが望ましい。
【0145】
金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム (Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金、また、マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金が挙げられる。
【0146】
可塑化部120においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックなどが挙げられる。
【0147】
吐出部10a,10bから吐出される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上述の熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、可塑化部120において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0148】
吐出部10a,10bから吐出される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤としては、例えば、水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウ
ムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等が挙げられる。
【0149】
その他に、吐出部10a,10bから吐出される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーが添加されていてもよい。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂またはPLA、PA、PPS、PEEK、あるいはその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0150】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0151】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成できる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0152】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0153】
三次元造形システムの一態様は、
材料を可塑化して造形材料を生成する可塑化部と、前記造形材料を吐出するノズルと、を有する第1吐出部および第2吐出部と、
造形面を有し、前記造形面に前記造形材料が堆積されるステージと、
前記ステージに堆積された前記造形材料を加熱する加熱部と、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記第1吐出部および前記第2吐出部を制御して、前記第1吐出部および前記第2吐出部から可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出させて、前記造形面に、第1造形物および第2造形物を造形させる造形処理と、
前記加熱部を制御して、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱させる加熱処理と、
を行い、
前記造形処理は、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行われる。
【0154】
この三次元造形システムによれば、造形面と、第1吐出部および第2吐出部から吐出された造形材料と、の界面の強度を大きくでき、かつ第1造形物および第2造形物の反りを低減できる。
【0155】
三次元造形システムの一態様において、
前記加熱部は、前記ノズルのノズル開口よりも下方に位置し、前記ステージを加熱する第1加熱部を有し、
前記造形面は、前記造形面に垂直な方向からみて、
前記第1造形物が造形される第1領域と、
前記第2造形物が造形される第2領域と、
を有し、
前記第1加熱部は、前記第1領域および前記第2領域を、互いに異なる温度で加熱して
もよい。
【0156】
この三次元造形システムによれば、第1加熱部によって、第1造形物および第2造形物を、互いに異なる温度で加熱できる。
【0157】
三次元造形システムの一態様において、
前記加熱部は、造形時に前記ノズルのノズル開口よりも上方に位置する、プレート状の第2加熱部を有し、
前記第2加熱部は、前記ノズルに連動して移動し、
前記第2加熱部は、前記造形面に垂直な方向からみて、個別に温度制御可能な第1部分および第2部分を有してもよい。
【0158】
この三次元造形システムによれば、第2加熱部によって、第1吐出部から吐出された造形材料および第2吐出部から吐出された造形材料を、互いに異なる温度で加熱できる。
【0159】
三次元造形システムの一態様において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち一方の吐出部を制御して、前記一方の吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に剥離層を形成する剥離層形成処理を行い、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物を前記剥離層上に造形し、
前記一方の吐出部は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度の低い前記造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。
【0160】
この三次元造形システムによれば、剥離層を、造形面から容易に剥がすことができる。
【0161】
三次元造形システムの一態様において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち一方の吐出部を制御して、前記一方の吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に剥離層を形成する剥離層形成処理を行い、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物を前記剥離層上に造形し、
前記一方の吐出部は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度の高い前記造形材料を吐出する方の吐出部であってもよい。
【0162】
この三次元造形システムによれば、剥離層を、第1造形物および第2造形物から容易に剥がすことができる。
【0163】
三次元造形システムの一態様において、
前記制御部は、前記造形処理の前に、前記第1吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に第1剥離層を形成する処理と、前記第2吐出部から前記造形材料を吐出させて、前記造形面に第2剥離層を形成する処理と、を行い、
前記制御部は、前記第1造形物を前記第2剥離層上に造形し、前記第2造形物を前記第1剥離層上に造形してもよい。
この三次元造形システムによれば、第1造形物および第2造形物と可塑化温度の異なる材料で構成された剥離層を造形できる。
【0164】
三次元造形システムの一態様において、
前記制御部は、前記造形処理において、前記第1吐出部または前記第2吐出部のエラーを検知した場合、エラーが検知された吐出部による造形を停止し、エラーが検知されていない吐出部による造形を行ってもよい。
【0165】
この三次元造形システムによれば、エラーを検知したとしても、第1吐出部および第2吐出部のうち一方を用いて造形可能である。
【0166】
三次元造形システムの一態様において、
前記ノズルをクリーニングするクリーニング機構を含み、
前記制御部は、前記造形処理の開始から所定時間が経過した場合に、前記クリーニング機構を制御して、前記第1吐出部の前記ノズルおよび前記第2吐出部の前記ノズルをクリーニングさせるクリーニング処理を行い、
前記所定時間は、前記第1吐出部および前記第2吐出部のうち、可塑化温度が低い前記造形材料を吐出する方の吐出部におけるクリーニングのタイミングに基づいて決定されてもよい。
【0167】
この三次元造形システムによれば、第1吐出部および第2吐出部のうちクリーニング回数が多い吐出部のクリーニングに合わせて、クリーニング回数が少ない吐出部のクリーニングを同時に行うことができる。
【0168】
三次元造形システムの一態様において、
前記第1吐出部および前記第2吐出部は、それぞれの前記ノズルのノズル開口の中心間の距離を所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成され、
前記所定の距離は、前記第1吐出部の前記ノズル開口の中心と前記第2吐出部の前記ノズル開口の中心とを通る仮想直線の方向における前記造形面の長さを2で除した長さ以上であってもよい。
【0169】
この三次元造形システムによれば、第1吐出部のノズル開口が、造形中に、造形面の第2領域と重ならないようにすることができる。
【0170】
三次元造形システムの一態様において、
前記第1吐出部および前記第2吐出部は、それぞれの前記ノズルのノズル開口の中心間の距離を所定の距離に維持した状態で連動して移動するように構成され、
前記所定の距離は、前記第1吐出部の前記ノズル開口の中心と前記第2吐出部の前記ノズル開口の中心とを通る仮想直線の方向における前記造形面の長さを2で除した長さ以下であってもよい。
【0171】
この三次元造形システムによれば、第1吐出部のノズル開口および第2吐出部のノズル開口が、造形中に、造形面に垂直な方向からみて、ステージの外に位置しないようにすることができる。
【0172】
三次元造形システムの一態様において、
前記造形面に垂直な方向を中心に、前記ステージと、前記第1吐出部および前記第2吐出部と、を相対的に回転させる回転機構を含んでもよい。
【0173】
この三次元造形システムによれば、第1吐出部から吐出される造形材料の造形面における位置、および第2吐出部から吐出される造形材料の造形面における位置の自由度を向上できる。
【0174】
三次元造形システムの一態様において、
前記制御部は、前記第1造形物および前記第2造形物の形状に基づいて、前記回転機構による回転角度を決定してもよい。
【0175】
この三次元造形システムによれば、第1造形物および第2造形物の形状に合わせて、回
転角度を決定できる。
【0176】
三次元造形物の製造方法の一態様は、
材料を可塑化して造形材料を生成し前記造形材料を吐出する第1吐出部および第2吐出部から、可塑化温度が互いに異なる前記造形材料を吐出して、ステージの造形面に、第1造形物および第2造形物を造形する造形工程と、
前記第1吐出部から吐出された前記造形材料および前記第2吐出部から吐出された前記造形材料を、互いに異なる温度で加熱する加熱工程と、
を行い、
前記造形工程を、前記第1吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間と、前記第2吐出部から吐出された前記造形材料が前記造形面に堆積される期間とが、重複するように行う。
【0177】
この三次元造形物の製造方法によれば、造形面と、第1吐出部および第2吐出部から吐出された造形材料と、の界面の強度を大きくでき、かつ第1造形物および第2造形物の反りを低減できる。
【符号の説明】
【0178】
10…吐出部、10a…第1吐出部、10b…第2吐出部、20…ステージ、22…造形面、22a…第1領域、22b…第2領域、23…長辺、24…対角線、30…移動部、32…第1電動アクチュエーター、34…第2電動アクチュエーター、36…第3電動アクチュエーター、40…支持部材、50…加熱部、60…制御部、70…クリーニング機構、72…第1クリーニング部、74…第2クリーニング部、80…回転機構、100…三次元造形システム、110…材料供給部、120…可塑化部、122…スクリューケース、124…駆動モーター、126…シャフト、130…フラットスクリュー、131…上面、132…溝形成面、133…側面、134…第1溝、135…中央部、136…接続部、137…材料導入部、140…バレル、142…対向面、144…第2溝、146…連通孔、148…外周、150…ヒーター、160…ノズル、162…ノズル流路、164…ノズル開口、170…第1加熱部、172…断熱部材、174…下部プレート、176…ヒーター、176a…第1部分、176b…第2部分、178…上部プレート、180…第2加熱部、182a…第1貫通孔、182b…第2貫通孔、184…ヒーター、184a…第1部分、184b…第2部分、184c…第3部分、186…断熱部材、200,300,400,500,600…三次元造形システム
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