(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031553
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3577 20140101AFI20240229BHJP
G01N 21/33 20060101ALI20240229BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20240229BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240229BHJP
G01N 31/00 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
G01N21/3577
G01N21/33
G01N21/03 Z
G01N1/00 101G
G01N31/00 F
G01N31/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135194
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】西澤 隆志
【テーマコード(参考)】
2G042
2G052
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA05
2G042BA09
2G042CA02
2G042CB03
2G042DA03
2G042DA08
2G042FA04
2G042FA11
2G042HA02
2G052DA22
2G052GA11
2G052HC09
2G052HC22
2G052JA13
2G057AA01
2G057AB02
2G057AB03
2G057AB06
2G057AC01
2G057AD13
2G057BA01
2G057BB01
2G057BD08
2G057EA01
2G057EA06
2G059AA01
2G059BB06
2G059CC03
2G059DD05
2G059DD12
2G059DD16
2G059EE01
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH03
2G059HH06
2G059KK02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加熱分解時の試料液の配管内への浸入を防止する新たな構造を備えた測定装置を得る。
【解決手段】測定対象となる試料液と、試料液に対応する試薬と、が混合された混合試料液が一時的に貯留される容器10,60と、容器を加熱するヒータ20,70と、容器を回転可能に構成されるモータ40,90と、容器から加熱後の混合試料液を送液する送液管L1,L8,L11,L18と、を有してなる。容器は、筒体部11,61と、筒体部の上端に配置される蓋部13,63と、筒体部の下端に配置される底部12,62と、を備える。蓋部は、蓋部の内面に開口し、蓋部を貫通する貫通孔を備える。送液管の一端L1a,L11aは、貫通孔に挿入される。モータは、加熱後の混合試料液が送液管に送液されるとき、蓋部が筒体部に対して下方に位置するように、容器を回転させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる試料液と、前記試料液に対応する試薬と、が混合された混合試料液が一時的に貯留される容器と、
前記容器を加熱するヒータと、
前記容器を回転可能に構成されるモータと、
前記容器から加熱後の前記混合試料液を送液する送液管と、
を有してなり、
前記容器は、
筒状の筒体部と、
前記筒体部の上端に配置される蓋部と、
前記筒体部の下端に配置される底部と、
を備え、
前記蓋部は、
前記蓋部の内面に開口し、前記蓋部を貫通する貫通孔、
を備え、
前記送液管の一端は、前記貫通孔に挿入され、
前記モータは、加熱後の前記混合試料液が前記送液管に送液されるとき、前記蓋部が前記筒体部に対して下方に位置するように、前記容器を回転させる、
ことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記モータが、前記蓋部が前記筒体部に対して下方に位置するように前記容器を回転させたとき、前記貫通孔は、前記容器内において最も低くなる位置に開口する、
請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記試料液を前記容器に送液する試料液送液管と、
前記試薬を前記容器に送液する試薬送液管と、
を有してなり、
前記試料液と前記試薬とは、前記容器において混合される、
請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
前記試料液送液管と前記試薬送液管それぞれの一端は、前記蓋部に接続され、
前記試料液送液管の一部は、前記送液管として機能し、
前記モータが前記容器を回転させるとき、前記試薬送液管にはガスが導入される、
請求項3記載の測定装置。
【請求項5】
前記容器に貯留されている加熱後の前記混合試料液の吸光度を測定する吸光度測定部、
を有してなる、
請求項1乃至4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記筒体部は、サファイアガラスで構成される、
請求項5記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場および事業所からの排水に含まれる窒素およびリンは、河川、湖沼および海において植物プランクトン増殖による水質悪化の要因となる。そのため、排水の監視および水質の規制が行われており、その手段として、全窒素濃度と全リン濃度とを測定する測定装置が用いられている。
【0003】
全窒素濃度は、例えば、「120℃ペルオキソ二硫酸カリウム分解法-紫外線吸光光度法による全窒素測定」により測定されている。また、全リン濃度は、例えば、「120℃ペルオキソ二硫酸カリウム分解法-モリブデン青吸光光度法」により測定されている。
【0004】
これらの方法が採用されている測定装置では、排水から取得された試料液は、所定の試薬(ペルオキソ二硫酸カリウムなど)と混合された後、加圧下において120℃に加熱される。その結果、試料液に含まれる測定対象の化合物(窒素化合物、リン化合物)は、分解されて、イオン(硝酸イオン、リン酸イオン)化される。その後、分解後の試料液に所定の調整が行われた後、調整後の試料液の吸光度が測定されることにより試料液中の全窒素・全リン濃度が測定される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
試料液の加熱分解は、所定の容器内で行われる。加熱分解後の試料液は、容器に接続されている送液経路を介して、送液される。通常、送液経路は、容器の底部に接続されている配管とその配管を開閉する電磁弁とを備える経路と、容器の蓋部から底面まで延出される配管とその配管を介して試料液を吸い出すポンプとを備える経路と、に大別される。
【0006】
両経路は、いずれも加熱中の試料液に接液している。したがって、容器内の空気および試料液の熱膨張により、試料液の一部が配管内に浸入し得る。配管内に浸入した試料液において、化合物および試薬の分解が不十分となる。その結果、試料液の配管内への浸入は、全窒素・全リン濃度の測定誤差の要因となる。また、ペルオキソ二硫酸カリウムは、硝酸イオンの吸光度測定に用いられる波長(220nm)の光を吸収する。そのため、配管内に浸入した試料液においてペルオキソ二硫酸カリウムが完全に分解せずに残留すると、全窒素濃度の測定誤差の要因となる。特に、近年の試料液および使用試薬の省液化により、この測定誤差は、増大傾向にある。このような測定誤差を防止する技術として、配管内にエアギャップを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-77151号公報
【特許文献2】特開2021-21699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、加熱分解時の試料液の配管内への浸入を防止する新たな構造を備えた測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る測定装置は、測定対象となる試料液と、試料液に対応する試薬と、が混合された混合試料液が一時的に貯留される容器と、容器を加熱するヒータと、容器を回転可能に構成されるモータと、容器から加熱後の混合試料液を送液する送液管と、を有してなり、容器は、筒状の筒体部と、筒体部の上端に配置される蓋部と、筒体部の下端に配置される底部と、を備え、蓋部は、蓋部の内面に開口し、蓋部を貫通する貫通孔、を備え、送液管の一端は、貫通孔に挿入され、モータは、加熱後の混合試料液が送液管に送液されるとき、蓋部が筒体部に対して下方に位置するように、容器を回転させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱分解時の試料液の配管内への浸入を防止する新たな構造を備えた測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る測定装置の実施の形態を示す模式構成図である。
【
図2】(a)
図1の測定装置が備える第1容器の蓋部の模式上面図であり、(b)(a)の蓋部のAA線における模式断面図である。
【
図3】(a)
図1の測定装置が備える第2容器の蓋部の模式上面図であり、(b)(a)の蓋部のBB線における模式断面図である。
【
図4】(a)
図1の測定装置が備える第1容器部分を拡大した模式拡大正面図であり、(b)(a)の第1容器部分のC矢視における模式拡大側面図である。
【
図5】(a)
図1の測定装置が備える第2容器部分を拡大した模式拡大正面図であり、(b)(a)の第2容器部分のD矢視における模式拡大側面図である。
【
図6】(a)
図1の測定装置が実行する第1排液動作において、正位置に位置している第1容器の模式断面図であり、(b)回転途中の第1容器の模式断面図であり、(c)(b)よりも回転した第1容器の模式断面図であり、(d)逆位置に位置している第1容器の模式断面図である。
【
図7】(a)
図1の測定装置が実行する第2排液動作において、正位置に位置している第2容器の模式断面図であり、(b)回転途中の第2容器の模式断面図であり、(c)(b)よりも回転した第2容器の模式断面図であり、(d)逆位置に位置している第2容器の模式断面図である。
【
図8】
図1の測定装置の変形例を示す模式拡大構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
●測定装置●
以下、図面を参照しながら、本発明に係る測定装置(以下「本装置」という。)の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材および要素については同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、各図において、各部材の構成を明確かつ簡潔に示すため、各部材の形状、大きさは、実寸法よりも意図的に変更して図示されている。
【0013】
「測定装置」は、後述する各処理後の試料液(測定対象液)の吸光度を測定することにより、測定対象液に含まれる測定対象成分(分析対象成分)の濃度を算出(測定)する装置である。本実施の形態において、測定装置は、例えば、全窒素・全リン濃度測定装置である。
【0014】
「試料液」は、測定装置の測定対象成分の化合物(窒素化合物、リン化合物)を含む液体であり、例えば、工場、事業所からの排水である。
【0015】
なお、本発明において、試料液は、排水に限定されない。すなわち、例えば、試料液は、河川、湖沼、海などの環境水でもよい。
【0016】
「測定対象成分」は、試料液に含まれる成分のうち、本装置の測定の対象となる成分であり、本実施の形態では、窒素、リンである。
【0017】
●測定装置の構成
図1は、本装置の実施の形態を示す模式構成図である。
【0018】
本装置1は、筐体(不図示。以下同じ。)と、第1容器10と、第1ヒータ20と、第1測定部30と、第1モータ40と、第1ホルダ50と、第2容器60と、第2ヒータ70と、第2測定部80と、第2モータ90と、第2ホルダ100と、導入装置110と、制御部120と、各種の配管と、各種のバルブと、各種のポンプと、各種のタンクと、を有してなる。
【0019】
筐体は、第1容器10と、第1ヒータ20と、第1測定部30と、第1モータ40と、第1ホルダ50と、第2容器60と、第2ヒータ70と、第2測定部80と、第2モータ90と、第2ホルダ100と、導入装置110と、制御部120と、各種の配管と、各種のバルブと、各種のポンプと、各種のタンクと、を収容する。
【0020】
第1容器10は、全窒素濃度測定用の試料液(後述する混合試料液、加熱分解液、測定対象液)を一時的に貯留する。第1容器10は、円筒状の筒体部11と、底部12と、蓋部13と、を備える。
【0021】
底部12は、筒体部11の下端に配置され、筒体部11と一体に構成されている。すなわち、筒体部11と底部12とは、有底円筒状である。筒体部11と底部12とは、例えば、透明なサファイアガラス製である。
【0022】
なお、本発明において、第1容器の筒体部と底部とは一体に構成されていなくてもよい。すなわち、例えば、合成樹脂(フッ素系樹脂など)製の底部が、筒体部の下端の開口を塞ぐように、同下端に取り付けられていてもよい。
【0023】
図2(a)は蓋部13の模式下面図であり、(b)は(a)の蓋部13のAA線における模式断面図である。
【0024】
蓋部13は、筒体部11の上端に取り付けられ、同上端の開口を塞ぐ。蓋部13は、例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)などの合成樹脂製である。蓋部13は、第1孔13aと、第2孔13bと、第3孔13cと、第4孔13dと、凹部13eと、頂部13fと、嵌入部13gと、を備える。蓋部13の下面13hは、ほぼ円錐状に凹んでいて、凹部13eを構成している。すなわち、凹部13eの内面は、ほぼ円錐面である。凹部13eの下端部は、上下方向に沿う筒状で、筒体部11が嵌入されている嵌入部13gを構成している。
【0025】
第1~第4孔13a~13dは、蓋部63を上下方向に貫通している。下方視において、第1孔13aは、蓋部13の中央に配置されていて、凹部13eの頂部(円錐状の内面の頂点部分)13fに開口している。第2~第4孔13b~13dは、第1孔13aよりも前方(
図2(a)の紙面下方向)に配置されていて、凹部13eに開口している。第2~第4孔13b~13dは、左右方向(
図2(a)の紙面左右方向)に並んで配置されている。第1孔13aは、本発明における貫通孔の一例である。
【0026】
図1に戻る。
第1ヒータ20は、第1容器10の筒体部11を加熱することにより、第1容器10に貯留されている試料液(後述する混合試料液)を加熱する。第1ヒータ20は、例えば、コード状ヒータであり、筒体部11の下半部の外周面に巻き回されている(取り付けられている)。
【0027】
第1測定部30は、第1容器10に貯留されている試料液(後述する測定対象液)の吸光度を測定する。第1測定部30は、本発明における吸光度測定部の一例である。第1測定部30は、発光部31と受光部32と複数の光学レンズ系(不図示)とを備える。
【0028】
発光部31は、全窒素濃度測定用の光(波長:220nm)を照射可能なランプ(例えば、キセノンランプや重水素ランプ)を備える光源である。
【0029】
受光部32は、発光部31から照射された光を受光可能な受光素子(例えば、フォトダイオード)やイメージセンサを使用した分光器である。
【0030】
発光部31と受光部32とは、光学レンズ系を介して、第1容器10に貯留されている試料液(後述する測定対象液)の吸光度が測定可能に筐体内に配置されている。
【0031】
第1モータ40は、加熱分解後の試料液(後述する測定対象液)が後述する送液管に送液されるとき、第1ホルダ50を介して第1容器10を回転させる。第1モータ40の具体的な構成と動作とは、後述する。
【0032】
第1ホルダ50は、第1容器10と、後述する第1常閉弁V1と第2常閉弁V2と第3常閉弁V3と第4常閉弁V4と、を保持する。第1ホルダ50の具体的な構成と動作とは、後述する。
【0033】
第2容器60は、全リン濃度測定用の試料液(後述する混合試料液、加熱分解液、測定対象液)を一時的に貯留する。第2容器60は、円筒状の筒体部61と、底部62と、蓋部63と、を備える。
【0034】
なお、本発明において、第2容器の筒体部と底部とは一体に構成されていなくてもよい。すなわち、例えば、合成樹脂(フッ素系樹脂など)製の底部が、筒体部の下端の開口を塞ぐように、同下端に取り付けられていてもよい。
【0035】
底部62は、筒体部61の下端に配置され、筒体部61と一体に構成されている。すなわち、筒体部61と底部62とは、有底円筒状である。筒体部61と底部62とは、例えば、透明なサファイアガラス製である。
【0036】
図3(a)は蓋部13の模式上面図であり、(b)は(a)の蓋部13のBB線における模式断面図である。
【0037】
蓋部63は、筒体部61の上端に取り付けられ、同上端の開口を塞ぐ。蓋部63は、例えば、PFAなどの合成樹脂製である。蓋部63は、第1孔63aと、第2孔63bと、第3孔63cと、第4孔63dと、凹部63eと、頂部63fと、嵌入部63gと、を備える。蓋部63の下面63hは、ほぼ円錐状に凹んでいて、凹部63eを構成している。すなわち、凹部63eの内面は、ほぼ円錐面である。凹部63eの下端部は、上下方向に沿う筒状で、筒体部61が嵌入されている嵌入部63gを構成している。
【0038】
第1~第4孔63a~63dは、蓋部63を上下方向に貫通している。下方視において、第1孔63aは、蓋部63の中央に配置されていて、凹部63eの頂部63fに開口している。第2~第4孔63b~63dは、第1孔63aよりも前方(
図3(a)の紙面下方向)に配置されていて、凹部63eに開口している。第2~第4孔63b~63dは、左右方向(
図3(a)の紙面左右方向)に並んで配置されている。第1孔63aは、本発明における貫通孔の一例である。
【0039】
図1に戻る。
第2ヒータ70は、第2容器60の筒体部61を加熱することにより、第2容器60に貯留されている試料液(後述する混合試料液)を加熱する。第2ヒータ70は、例えば、コード状ヒータであり、筒体部61の下半部の外周面に巻き回されている(取り付けられている)。
【0040】
第2測定部80は、第2容器60に貯留されている試料液(後述する測定対象液)の吸光度を測定する。第2測定部80は、本発明における吸光度測定部の一例である。第2測定部80は、発光部81と受光部82と複数の光学レンズ系(不図示)とを備える。
【0041】
発光部81は、全リン濃度測定用の光(波長:880nm)を照射可能な発光素子(例えば、LED(Light Emission Diode))を備える光源である。
【0042】
なお、本発明において、全リン濃度測定用の光の波長は、880nmに限定されない。すなわち、例えば、本装置1が中華人民共和国で用いられる場合、全リン濃度測定用の光の波長は、700nmでもよい。また、発光部は、700nmと880nmとの両波長を有する光を照射する光源(例えば、タングステンランプ)でもよい。この場合、受光部は、分光して各波長の光を受光する。
【0043】
受光部82は、発光部81から照射された光を受光可能な受光素子(例えば、フォトダイオード)やイメージセンサを使用した分光器である。
【0044】
発光部81と受光部82とは、光学レンズ系を介して、第2容器60に貯留されている試料液(後述する測定対象液)の吸光度が測定可能に筐体内に配置されている。
【0045】
第2モータ90は、加熱分解後の試料液(後述する測定対象液)が後述する送液管に送液されるとき、第2ホルダ100を介して第2容器60を回転させる。第2モータ90の具体的な構成と動作とは、後述する。
【0046】
第2ホルダ100は、第2容器60と、後述する第1常閉弁V11と第2常閉弁V12と第3常閉弁V13と第4常閉弁V14と、を保持する。第2ホルダ100の具体的な構成と動作とは、後述する。
【0047】
導入装置110は、試料液または純水を第1容器10と第2容器60とに導入する。導入装置110は、受水槽などの試料液の供給源(不図示)に接続される配管111と、純水製造装置や純水タンクなどの純水の供給源(不図示)に接続される配管112と、試料液または純水を送液するポンプ(不図示)と、を備える。
【0048】
なお、本発明において、導入装置は、純水により所定の濃度に希釈された試料液を導入するように構成されていてもよい。
【0049】
制御部120は、本装置1全体の動作を制御する。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)と、各プログラムなどの各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)と、により構成されている。
【0050】
配管は、例えば、PFAなどの可撓性および耐薬品性を有する合成樹脂製のチューブで構成されている。配管は、全窒素濃度測定用の配管(第1送液管L1、第2送液管L2、第3送液管L3、第1試薬管L4、第2試薬管L5、第3試薬管L6、大気開放管L7、排液管L8、加圧管L9)と、全リン濃度測定用の配管(第1送液管L11、第2送液管L12、第3送液管L13、第1試薬管L14、第2試薬管L15、第3試薬管L16、大気開放管L17、排液管L18、加圧管L19)と、を備える。
【0051】
バルブは、例えば、制御部120により動作が制御される電磁弁である。バルブは、全窒素濃度測定用の配管に接続されているバルブ(第1常閉弁V1、第2常閉弁V2、第3常閉弁V3、第4常閉弁V4、第5常閉弁V5、第6常閉弁V6、第1三方弁V7、第2三方弁V8)と、全リン濃度測定用の配管に接続されているバルブ(第1常閉弁V11、第2常閉弁V12、第3常閉弁V13、第4常閉弁V14、第5常閉弁V15、第6常閉弁V16、第1三方弁V17、第2三方弁V18)と、を備える。
【0052】
ポンプは、全窒素濃度測定用の配管に接続されているポンプ(第1試薬ポンプP1、第2試薬ポンプP2、第3試薬ポンプP3、エアポンプP4)と、全リン濃度測定用の配管に接続されているポンプ(第1試薬ポンプP11、第2試薬ポンプP12、第3試薬ポンプP13、エアポンプP14)と、を備える。第1~第3試薬ポンプP1~P3,P11~P13は、例えば、逆止弁を有するシリンジポンプである。
【0053】
タンクは、全窒素濃度測定用の配管に接続されているタンク(第1試薬タンクT1、第2試薬タンクT2、第3試薬タンクT3、廃液タンクT4)と、全リン濃度測定用の配管に接続されているタンク(第1試薬タンクT11、第2試薬タンクT12、第3試薬タンクT13、廃液タンクT14)と、を備える。
【0054】
以下の説明において、配管の「上流」および「下流」は、原則として、第1容器10(第2容器60)に対する流体(試料液、試薬、エア、大気など)の導入または排出時において配管内を流れる流体の方向に沿う。すなわち、例えば、第1容器10(第2容器60)に流体を導入するとき、流体の導入側が上流側であり、第1容器10(第2容器60)側が下流側である。
【0055】
第1送液管L1は、全窒素濃度測定用の試料液または純水が送液される経路である。第1送液管L1の上流端は、導入装置110に接続されている。第1送液管L1の下流端L1aは、第1容器10に接続されている。第1送液管L1の途中には、第1三方弁V7が接続されている。第1送液管L1の下流端L1aの近傍部には、第1常閉弁V1が接続されている。第1送液管L1は、本発明における試料液送液管の一例である。
【0056】
第2送液管L2は、全窒素濃度測定用の第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)が送液される経路である。第2送液管L2の上流端は、第5常閉弁V5に接続されている。第2送液管L2の下流端L2aは、第1容器10に接続されている。第2送液管L2の下流端L2aの近傍部には、第2常閉弁V2が接続されている。第2送液管L2は、本発明における試薬送液管の一例である。
【0057】
第3送液管L3は、全窒素濃度測定用の第2、第3試薬(水酸化ナトリウム溶液、塩酸)が送液される経路である。第3送液管L3の上流端は、第6常閉弁V6に接続されている。第3送液管L3の下流端L3aは、第1容器10に接続されている。第3送液管L3の下流端L3aの近傍部には、第3常閉弁V3が接続されている。第3送液管L3は、本発明における試薬送液管の一例である。
【0058】
第1試薬管L4は、第1試薬タンクT1に貯留されている第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)が第2送液管L2に送液される経路である。第1試薬管L4の上流端は第1試薬タンクT1に接続され、下流端は第2送液管L2に接続されている。第1試薬管L4の途中には、第1試薬ポンプP1が接続されている。第1試薬タンクT1内の第1試薬は、第1試薬ポンプP1の動作により、第1試薬管L4を介して第2送液管L2に導入される。
【0059】
第2試薬管L5は、第2試薬タンクT2に貯留されている第2試薬(水酸化ナトリウム溶液)が第3送液管L3に送液される経路である。第2試薬管L5の上流端は第2試薬タンクT2に接続され、下流端は第3送液管L3に接続されている。第2試薬管L5の途中には、第2試薬ポンプP2が接続されている。第2試薬タンクT2内の第2試薬は、第2試薬ポンプP2の動作により、第2試薬管L5を介して第3送液管L3に導入される。
【0060】
第3試薬管L6は、第3試薬タンクT3に貯留されている第3試薬(塩酸)を第3送液管L3に送液される経路である。第3試薬管L6の上流端は第3試薬タンクT3に接続され、下流端は第3送液管L3に接続されている。第3試薬管L6の途中には、第3試薬ポンプP3が接続されている。第3試薬タンクT3内の第3試薬は、第3試薬ポンプP3の動作により、第3試薬管L6を介して第3送液管L3に導入される。
【0061】
大気開放管L7は、第1容器10内を大気開放する経路(大気が第1容器10内に導入される経路)である。大気開放管L7の上流端は、廃液タンクT4に接続されている。大気開放管L7の下流端L7aは、第1容器10に接続されている。大気開放管L7の下流端L7aの近傍部には、第4常閉弁V4が接続されている。
【0062】
排液管L8は、第1送液管L1を介して、第1容器10内に一時的に貯留されている液体(後述する測定対象液、洗浄液など)が排出される経路である。排液管L8の上流端は、第1三方弁V7に接続されている。排液管L8の下流部側は第2三方弁V8を介して2つに分岐して、それぞれの下流端は排水経路と廃液タンクT4とに接続されている。
【0063】
加圧管L9は、エアが第2送液管L2と第3送液管L3と第1容器10とに導入される経路である。加圧管L9の上流端は、エアポンプP4に接続されている。加圧管L9の下流部側は2つに分岐して、それぞれの下流端は第5常閉弁V5と第6常閉弁V6とに接続されている。エアは、エアポンプP4の動作により、第2送液管L2と第3送液管L3と第1容器10とに導入される。エアポンプP4は停止時に加圧管L9を閉塞しない構造を有し、エアポンプP4の停止時には、加圧管L9の上流端は大気開放されている。
【0064】
第1送液管L11は、全リン濃度測定用の試料液または純水が送液される経路である。第1送液管L11の上流端は、導入装置110に接続されている。第1送液管L11の下流端L11aは、第2容器60に接続されている。第1送液管L11の途中には、第1三方弁V17が接続されている。第1送液管L11の下流端L11aの近傍部には、第1常閉弁V11が接続されている。第1送液管L11は、本発明における試料液送液管の一例である。
【0065】
第2送液管L12は、全リン濃度測定用の第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)が送液される経路である。第2送液管L12の上流端は、第5常閉弁V15に接続されている。第2送液管L12の下流端L12aは、第2容器60に接続されている。第2送液管L12の下流端L12aの近傍部には、第2常閉弁V12が接続されている。第2送液管L12は、本発明における試薬送液管の一例である。
【0066】
第3送液管L13は、全リン濃度測定用の第2、第3試薬(L-アスコルビン酸溶液、モリブデン酸アンモニウム溶液)が送液される経路である。第3送液管L13の上流端は、第6常閉弁V16に接続されている。第3送液管L13の下流端L13aは、第2容器60に接続されている。第3送液管L13の下流端L13aの近傍部には、第3常閉弁V13が接続されている。第3送液管L13は、本発明における試薬送液管の一例である。
【0067】
第1試薬管L14は、第1試薬タンクT11に貯留されている第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)を第2送液管L12に送液する。第1試薬管L14の上流端は第1試薬タンクT11に接続され、下流端は第2送液管L12に接続されている。第1試薬管L14の途中には、第1試薬ポンプP11が接続されている。第1試薬タンクT11内の第1試薬は、第1試薬ポンプP11の動作により、第1試薬管L14を介して第2送液管L12に導入される。
【0068】
第2試薬管L15は、第2試薬タンクT12に貯留されている第2試薬(L-アスコルビン酸溶液)が第3送液管L13に送液される経路である。第2試薬管L15の上流端は第2試薬タンクT12に接続され、下流端は第3送液管L13に接続されている。第2試薬管L15の途中には、第2試薬ポンプP12が接続されている。第2試薬タンクT12内の第2試薬は、第2試薬ポンプP12の動作により、第2試薬管L15を介して第3送液管L13に導入される。
【0069】
第3試薬管L16は、第3試薬タンクT13に貯留されている第3試薬(モリブデン酸アンモニウム溶液)が第3送液管L13に送液される経路である。第3試薬管L16の上流端は第3試薬タンクT13に接続され、下流端は第3送液管L13に接続されている。第3試薬管L16の途中には、第3試薬ポンプP13が接続されている。第3試薬タンクT13内の試薬は、第3試薬ポンプP13の動作により、第3試薬管L16を介して第3送液管L13に導入される。
【0070】
大気開放管L17は、第2容器60内を大気開放する経路(大気が第2容器60内に導入される経路)である。大気開放管L17の上流端は、廃液タンクT14に接続されている。大気開放管L17の下流端L17aは、第2容器60に接続されている。大気開放管L17の下流端L17aの近傍部には、第4常閉弁V14が接続されている。
【0071】
排液管L18は、第1送液管L11を介して、第2容器60内に一時的に貯留されている液体(後述する測定対象液、洗浄液など)が排出される経路である。排液管L18の上流端は、第1三方弁V17に接続されている。排液管L18の下流部側は第2三方弁V18を介して2つに分岐して、それぞれの下流端は排水経路と廃液タンクT14とに接続されている。
【0072】
加圧管L19は、エアが第2送液管L12と第3送液管L13と第2容器60とに導入される経路である。加圧管L19の上流端は、エアポンプP14に接続されている。加圧管L19の下流部側は2つに分岐して、それぞれの下流端は第5常閉弁V15と第6常閉弁V16とに接続されている。エアは、エアポンプP14の動作により、第2送液管L12と第3送液管L13と第2容器60とに導入される。エアポンプP14は停止時に加圧管L19を閉塞しない構造を有し、エアポンプP14の停止時には、加圧管L19の上流端は大気開放されている。
【0073】
●第1容器に対する各部材の配置
次に、第1容器10に対する各部材の配置・接続の詳細の一例が、以下に説明される。以下の説明において、
図1と
図3とは、適宜参照される。
【0074】
以下の説明において、「正位置」は、蓋部13,63が筒体部11,61の真上に位置している状態を示す。また、「逆位置」は、蓋部13,63が筒体部11,61の真下に位置している状態を示す。
【0075】
図4(a)は第1容器10部分を拡大した模式拡大正面図であり、(b)は(a)の第1容器10部分のC矢視における模式拡大側面図である。
【0076】
第1ホルダ50は、例えば、上下左右方向に平行な平面に沿い、上下方向に長い矩形板状である。第1ホルダ50は、左右方向に平行な回転軸50xを中心に180°の範囲で往復回転可能となるように、筐体内に配置されている。第1モータ40は、第1モータ40の往復回転に応じて第1ホルダ50が回転軸50xを中心に往復回転されるように、筐体内に配置されている。
【0077】
第1容器10は、筒体部11が上下方向に沿うように、第1ホルダ50の前面に保持されている。第1~第4常閉弁V1~V4は、第1ホルダ50の前面において、第1容器10の外側に保持されている。
【0078】
第1送液管L1の下流端L1aは、蓋部13の第1孔13aに挿入されている。その結果、第1送液管L1は、第1孔13aを介して、筒体部11に連通している。
【0079】
第2送液管L2の下流端L2aは、蓋部13の第2孔13bに挿通され、蓋部13よりも下方の筒体部11内に延設されている。第3送液管L3の下流端L3aは、蓋部13の第3孔13cに挿通され、蓋部13よりも下方の筒体部11内に延設されている。大気開放管L7の下流端L7aは、蓋部13の第4孔13dに挿通され、蓋部13よりも下方の筒体部11内に延設されている。その結果、各下流端L2a,L3a,L7aは、下流端L1aよりも前方に、左右方向に並んで配置されている。また、各下流端L2a,L3a,L7aは、第1容器10内に試料液(後述する混合試料液、加熱分解液、測定対象液)が貯留されているとき、試料液の液面よりも上方の接液しない位置に配置されている。
【0080】
ここで、第1測定部30は、第1容器10が正位置に位置しているとき、筒体部11の外周面のうち、第1ヒータ20に覆われていない部分(例えば、上半部)に光を照射可能となるように、筐体内に配置されている。本実施の形態において、第1測定部30は、第1ホルダ50に保持されておらず、第1ホルダ50が回転しても回転しない。
【0081】
第1モータ40は、第1ホルダ50を介して、第1容器10を正位置から逆位置へ回転させる。第1容器10(第1ホルダ50)が正位置から逆位置へ回転されるとき、第1モータ40は、蓋部13が後方に移動し、底部12が前方に移動するように、第1容器10(第1ホルダ50)を回転させる。第1容器10が逆位置に位置しているとき、底部12は筒体部11に対して上方(真上)に位置し、蓋部13は筒体部11に対して下方(真下)に位置している。
【0082】
一方、第1モータ40は、第1ホルダ50を介して、第1容器10を逆位置から正位置へ回転させる。第1容器10(第1ホルダ50)が逆位置から正位置へ回転されるとき、第1モータ40は、蓋部13が前方に移動し、底部12が後方に移動するように、第1容器10(第1ホルダ50)を回転させる。
【0083】
このように、第1ホルダ50が回転すると、配管には捩れに伴う負荷が生じ得る。そのため、配管(第1~第3送液管L1~L3、大気開放管L7)は、過剰な負荷を受けない程度に弛んだ状態で第1~第4常閉弁V1~V4に接続されている。
【0084】
●第2容器に対する各部材の配置
次に、第2容器60に対する各部材の配置の詳細の一例が、以下に説明される。以下の説明において、
図1と
図2とは、適宜参照される。
【0085】
図5(a)は第2容器60部分を拡大した模式拡大正面図であり、(b)は(a)の第2容器60部分のD矢視における模式拡大側面図である。
【0086】
第2ホルダ100は、例えば、上下左右方向に平行な平面に沿い、上下方向に長い矩形板状である。第2ホルダ100は、左右方向に平行な回転軸100xを中心に180°の範囲で往復回転可能となるように、筐体内に配置されている。第2モータ90は、第2モータ90の往復回転に応じて第2ホルダ100が回転軸100xを中心に往復回転されるように、筐体内に配置されている。
【0087】
第2容器60は、筒体部61が上下方向に沿うように、第2ホルダ100の前面に保持されている。第1~第4常閉弁V11~V14は、第2ホルダ100の前面において、第2容器60の外側に保持されている。
【0088】
第1送液管L11の下流端L11aは、蓋部63の第1孔63aに挿入されている。その結果、第1送液管L11は、第1孔63aを介して、筒体部61に連通している。
【0089】
第2送液管L12の下流端L12aは、蓋部63の第2孔63bに挿通され、蓋部63よりも下方の筒体部61内に延設されている。第3送液管L13の下流端L13aは、蓋部63の第3孔63cに挿通され、蓋部63よりも下方の筒体部61内に延設されている。大気開放管L17の下流端L17aは、蓋部63の第4孔63dに挿通され、蓋部63よりも下方の筒体部61内に延設されている。その結果、各下流端L12a,L13a,L17aは、下流端L11aよりも前方に、左右方向に並んで配置されている。また、各下流端L12a,L13a,L17aは、第2容器60内に試料液(後述する混合試料液、加熱分解液、測定対象液)が貯留されているとき、試料液の液面よりも上方の接液しない位置に配置されている。
【0090】
ここで、第2測定部80は、第2容器60が正位置に位置しているとき、筒体部61の外周面のうち、第2ヒータ70に覆われていない部分(例えば、上半部)に光を照射可能となるように、筐体内に配置されている。本実施の形態において、第2測定部80は、第2ホルダ100に保持されておらず、第2ホルダ100が回転しても回転しない。
【0091】
第2モータ90は、第2ホルダ100を介して、第2容器60を正位置から逆位置へ回転させる。第2容器60(第2ホルダ100)が正位置から逆位置へ回転されるとき、第2モータ90は、蓋部63が後方に移動し、底部62が前方に移動するように、第2容器60(第2ホルダ100)を回転させる。第2容器60が逆位置に位置しているとき、底部62は筒体部61に対して上方(真上)に位置し、蓋部63は筒体部61に対して下方(真下)に位置している。
【0092】
一方、第2モータ90は、第2ホルダ100を介して、第2容器60を逆位置から正位置へ回転させる。第2容器60(第2ホルダ100)が逆位置から正位置へ回転されるとき、第2モータ90は、蓋部63が前方に移動し、底部62が後方に移動するように、第2容器60(第2ホルダ100)を回転させる。
【0093】
このように、第2ホルダ100が回転すると、配管には捩れに伴う負荷が生じ得る。そのため、配管(第1~第3送液管L11~L13、大気開放管L17)は、過剰な負荷を受けない程度に弛んだ状態で第1~第4常閉弁V11~V14に接続されている。
【0094】
●本装置の動作
次に、本装置1の動作(全窒素濃度測定、全リン濃度測定)について、説明する。以下の説明において、
図1~
図5は、適宜参照される。
【0095】
●全窒素濃度測定
先ず、第1送液管L1の上流側と下流側とが接続されるように、第1三方弁V7が切り替えられる。次いで、第4常閉弁V4が開けられて、第1容器10が大気開放される。次いで、第1常閉弁V1が開けられて、所定量の試料液が、導入装置110から第1送液管L1を介して第1容器10に導入される。また、必要に応じて、所定量の純水が、導入装置110から第1送液管L1を介して第1容器10に導入され、試料液が希釈される。その後、第1常閉弁V1は、閉じられる。
【0096】
次いで、第2常閉弁V2が開けられて、第1試薬ポンプP1が所定時間動作することにより、所定量の第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)が第1試薬管L4と第2送液管L2とを介して第1容器10に導入される。また、第3常閉弁V3が開けられて、第2試薬ポンプP2が所定時間動作することにより、所定量の第2試薬(水酸化ナトリウム溶液)が第2試薬管L5と第3送液管L3とを介して第1容器10に導入される。このとき、例えば、第5常閉弁V5と第6常閉弁V6とが開けられて、エアポンプP4が動作することにより、エアが加圧管L9を介して第2送液管L2と第3送液管L3とに導入される。その結果、第2送液管L2と第3送液管L3それぞれの第1、第2試薬の全量が第1容器10に導入されると共に、第1容器10内の試料液と第1、第2試薬とが混合され、混合試料液が生成される。このとき、第1容器10は、いわゆる反応槽として機能している。
【0097】
次いで、第4常閉弁V4が閉じられて、第1容器10内の圧力が所定圧力(例えば、2気圧)まで加圧される。次いで、第2、第3、第5、第6常閉弁V2,V3,V5,V6が閉じられると共に、エアポンプP4の動作が停止される。次いで、第1ヒータ20により第1容器10が120℃、30分間、加熱され、第1容器10に貯蔵されている混合試料液が加熱分解され、加熱分解液が生成される。その結果、混合試料液に含まれる窒素化合物は、全て酸化されて硝酸イオンとなる。このとき、第1容器10は、いわゆる加熱分解槽として機能している。加熱分解液は、本発明における加熱後の混合試料液の一例である。
【0098】
ここで、混合試料液と加熱分解液とは、共にアルカリ性である。そのため、仮に、第1容器10がガラス製であると、第1容器10はこれらの液(特に加熱分解液)により溶解し得る。しかしながら、本実施形態において、第1容器10は、耐アルカリ性を有するサファイアガラス製である。そのため、第1容器10は、これらの液により溶解しない。
【0099】
前述のとおり、第1~第3送液管L1~L3と大気開放管L7との下流端L1a~L3a,L7aは、第1容器10内の混合試料液とに接液していない。そのため、第1容器10の加熱中、混合試料液は、第1~第3送液管L1~L3と大気開放管L7内に浸入しない。したがって、第1容器10内の混合試料液の全量が加熱分解される。
【0100】
次いで、第4常閉弁V4が開けられて、第1容器10が圧抜きされる。次いで、第3常閉弁V3が開けられて、第3試薬ポンプP3が所定時間動作することにより、所定量の第3試薬(塩酸)が第3試薬管L6と第3送液管L3とを介して第1容器10に導入される。このとき、例えば、第6常閉弁V6が開けられて、エアポンプP4が動作することにより、エアが加圧管L9を介して第3送液管L3に導入される。その結果、第3送液管L3内の第3試薬の全量が第1容器10に導入されると共に、加熱分解液のpHが2~3に調整され、測定対象液が生成される。測定対象液は、本発明における加熱後の混合試料液の一例である。
【0101】
次いで、第3、第6常閉弁V3,V6が閉じられて、エアポンプP4の動作が停止される。次いで、第1測定部30は、第1容器10内の測定対象液に光を照射して、測定対象液の吸光度を測定する。
【0102】
次いで、第1送液管L1の下流側と排液管L8とが接続されるように、第1三方弁V7が切り替えられる。また、第1三方弁V7と廃液タンクT4とが接続されるように、第2三方弁V8が切り替えられる。次いで、第1排液動作が実行される。
【0103】
「第1排液動作」は、第1モータ40が、第1容器10を正位置から逆位置へ回転させて、第1容器10内の測定対象液を蓋部13の第1孔13aから排出させる動作である。
【0104】
図6(a)は第1排液動作において、正位置に位置している第1容器10の模式断面図であり、(b)は回転途中の第1容器10の模式断面図であり、(c)は(b)よりも回転した第1容器10の模式断面図であり、(d)は逆位置に位置している第1容器10の模式断面図である。同図は、
図4のC矢視と同じ方向から見た第1容器10を示す。
【0105】
先ず、第1モータ40が動作して第1容器10の回転を開始する。前述のとおり、第1容器10は、蓋部13が後方へ移動するように回転する。このとき、測定対象液は、液面が第2送液管L2と第3送液管L3と大気開放管L7それぞれの下流端L2a,L3a,L7aを避けるように、第1容器10内を移動する。
【0106】
そして、液面が第1孔13aに到達すると、測定対象液は、第1孔13aを介して第1送液管L1の下流側に浸入する。次いで、第1容器10がさらに回転すると、その回転に応じて、筒体部11に対する第1孔13aおよび第1送液管L1の下流側の位置が下がり、測定対象液は第1送液管L1と排液管L8とを介して、廃液タンクT4に排出され始める(
図6の黒塗り矢印)。次いで、第1容器10が逆位置に位置するまで回転すると、さらに測定対象液が廃液タンクT4に排出される。このとき、第1孔13aは、第1容器10内において、最も低い位置に位置している。次いで、第4常閉弁V4が閉じられて、第2、第3、第5、第6常閉弁V2,V3,V5,V6が開けられて、エアポンプP4が動作することにより、第1容器10内にエアが導入される(
図6の白抜き矢印)。エアは、本発明におけるガスの一例である。その結果、第1容器10内の測定対象液の全量が、廃液タンクT4に排出される。ここで、第1モータ40の回転速度は、液面が下流端L2a,L3a,L7aに触れない程度の速度に調整されている。
【0107】
なお、本発明において、大気開放管は廃液タンクに接続されているため、エア導入中、第4常閉弁は開けられていてもよい。
【0108】
このように、本装置1では、第1容器10が回転することにより、加熱後の混合試料液(測定対象液)は、第1送液管L1と排液管L8とに送液される。すなわち、第1送液管L1のうち第1三方弁V7よりも下流側の部分と、排液管L8とは、本発明における送液管として機能する。
【0109】
次いで、エアポンプP4の動作が停止されると共に、第1~第3、第5、第6常閉弁V1~V3,V5,V6が閉じられる。次いで、第1モータ40が、第1容器10を逆位置から正位置に回転させる。
【0110】
次いで、洗浄用の純水と試料液とが、順次、導入装置110から第1容器10に導入される。純水と試料液の導入および排出は、前述した試料液の導入および第1排液動作と共通するため、詳細な説明は、省略される。
【0111】
●全リン濃度測定
次いで、全リン濃度測定について説明する。以下の説明において、全窒素濃度測定と共通する動作の説明は、省略または簡略化される。
【0112】
先ず、全窒素濃度測定と同様に、所定量の試料液と、必要に応じて所定量の純水とが、導入装置110から第1送液管L11を介して第2容器60に導入される。
【0113】
次いで、全窒素濃度測定と同様に、所定量の第1試薬(ペルオキソ二硫酸カリウム溶液)が第1試薬管L14と第2送液管L12とを介して第2容器60に導入される。その結果、第2容器60内の試料液と第1試薬とが混合され、混合試料液が生成される。このとき、第2容器60は、いわゆる反応槽として機能している。
【0114】
次いで、全窒素濃度測定と同様に、第2容器60に貯蔵されている混合試料液が加熱分解され、加熱分解液が生成される。その結果、混合試料液に含まれるリン化合物は、全て酸化されてリン酸イオンとなる。このとき、第2容器60は、いわゆる加熱分解槽として機能している。加熱分解液は、本発明における加熱後の混合試料液の一例である。
【0115】
前述のとおり、第1~第3送液管L11~L13と大気開放管L17の下流端L11a~L13a,L17aは、第2容器60内の混合試料液に接液していない。そのため、第2容器60の加熱中、混合試料液は、第1~第3送液管L11~L13と大気開放管L17内に浸入しない。したがって、第2容器60内の混合試料液の全量が加熱分解される。
【0116】
次いで、第4常閉弁V14が開けられて、第2容器60が圧抜きされる。次いで、全窒素濃度測定と同様に、所定量の第2試薬(L-アスコルビン酸溶液)が第2試薬管L15と第3送液管L13とを介して第2容器60に導入される。その結果、加熱分解液とL-アスコルビン酸溶液とが混合されたブランク液が、測定対象液として生成される。測定対象液は、本発明における加熱後の混合試料液の一例である。
【0117】
次いで、第3、第6常閉弁V13,V16が閉じられて、エアポンプP14の動作が停止される。次いで、第2測定部80は、第2容器60内の測定対象液に光を照射して、リン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長(例えば、880nm)における吸光度を測定する。
【0118】
次いで、全窒素濃度測定と同様に、所定量の第3試薬(モリブデン酸アンモニウム溶液)が第3試薬管L16と第3送液管L13とを介して第2容器60に導入される。その結果、モリブデン青が生成されたブランク液(発色液)が、測定対象液として生成される。測定対象液は、本発明における加熱後の混合試料液の一例である。
【0119】
次いで、第3、第6常閉弁V13,V16が閉じられて、エアポンプP14の動作が停止される。次いで、第2測定部80は、第2容器60内の測定対象液に光を照射して、リン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長(例えば、880nm)における吸光度を測定する。全リン濃度の具体的な測定方法は公知であるため、詳細な説明は省略される。
【0120】
なお、本発明において、周囲温度によりブランク液の温度が低いとき、ブランク液は、モリブデン酸アンモニウム溶液が導入される前に、第2ヒータ70により再加熱されていてもよい。この場合、モリブデン青が生成される反応が、促進される。
【0121】
次いで、第1送液管L11の下流側と排液管L18とが接続されるように、第1三方弁V17が切り替えられる。また、第1三方弁V17と廃液タンクT14とが接続されるように、第2三方弁V18が切り替えられる。次いで、第2排液動作が実行される。
【0122】
「第2排液動作」は、第2モータ90が、第2容器60を正位置から逆位置へ回転させて、第2容器60内の測定対象液を蓋部63の第1孔63aから排出させる動作である。第2排液動作は第1排液動作と共通するため、以下の第2排液動作の説明は図示のみとし、詳細な説明は省略される。
【0123】
図7(a)は第2排液動作において、正位置に位置している第2容器60の模式断面図であり、(b)は回転途中の第2容器60の模式断面図であり、(c)は(b)よりも回転した第2容器60の模式断面図であり、(d)は逆位置に位置している第2容器60の模式断面図である。同図は、
図5のD矢視と同じ方向から見た第2容器60を示す。
【0124】
図7に示されるとおり、本装置1では、第2容器60が回転することにより、加熱後の混合試料液(測定対象液)の全量は、第1送液管L11と排液管L18とに送液される。すなわち、第1送液管L11のうち、第1三方弁V17よりも下流側の部分と、排液管L18とは、本発明における送液管として機能する。
【0125】
次いで、全窒素濃度測定と同様に、第2モータ90が、第2容器60を逆位置から正位置に回転させる。
【0126】
次いで、全窒素濃度測定と同様に洗浄用の純水と試料液とが、導入装置110から第2容器60に導入される。
【0127】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、第1容器10と、第1ヒータ20と、第1モータ40と、送液管(第1送液管L1の一部および排液管L8)と、を有してなる。第1容器10には、試料液(混合試料液、加熱分解液、測定対象液)が一時的に貯留されている。第1ヒータ20は第1容器10を加熱し、第1モータ40は第1容器10を回転可能に構成されている。加熱後の混合試料液(測定対象液)は、送液管に送液(排出)される。第1容器10は、筒状の筒体部11と、筒体部11の上端に配置されている蓋部13と、筒体部11の下端に配置されている底部12と、を備える。蓋部13は、蓋部13の内面に開口し、蓋部13を上下方向に貫通する第1孔13aを備える。送液管(第1送液管L1)の下流端L1aは、第1孔13aに挿入されている。第1モータ40は、測定対象液が送液管に送液(排出)されるとき、蓋部13が筒体部11に対して下方に位置するように、第1容器10を回転させる。この構成によれば、送液管の下流端L1aは接液されないため、第1容器10の加熱時において、混合試料液は、送液管に浸入しない。すなわち、本装置1において、加熱分解時の混合試料液の配管への浸入は、防止される。また、第1容器10を回転させることにより測定試料液が送液管に送液(排出)されるため、測定試料液の全量は容易に排出可能である。
【0128】
また、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、第2容器60と、第2ヒータ70と、第2モータ90と、送液管(第1送液管L11の一部および排液管L18)と、を有してなる。第2容器60には、試料液(混合試料液、加熱分解液、測定対象液)が一時的に貯留されている。第2ヒータ70は第2容器60を加熱し、第2モータ90は第2容器60を回転可能に構成されている。加熱後の混合試料液(測定対象液)は、送液管に送液(排出)される。第2容器60は、筒状の筒体部61と、筒体部61の上端に配置されている蓋部63と、筒体部61の下端に配置されている底部62と、を備える。蓋部63は、蓋部63の内面に開口し、蓋部63を上下方向に貫通する第1孔63aを備える。送液管(第1送液管L11)の下流端L11aは、第1孔63aに挿入されている。第2モータ90は、測定対象液が送液管に送液(排出)されるとき、蓋部63が筒体部61に対して下方に位置するように、第2容器60を回転させる。この構成によれば、送液管の下流端L11aは接液されないため、第2容器60の加熱時において、混合試料液は、送液管に浸入しない。すなわち、本装置1において、加熱分解時の混合試料液の配管への浸入は、防止される。また、第2容器60を回転させることにより測定試料液が送液管に送液(排出)されるため、測定試料液の全量は容易に排出可能である。
【0129】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、第1モータ40が、蓋部13が筒体部11に対して下方に位置するように第1容器10を回転させたとき、第1孔13aは、第1容器10内において最も低くなる位置に開口している。この構成によれば、測定試料液の全量は、第1孔13aから容易に排出可能である。
【0130】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2モータ90が、蓋部63が筒体部61に対して下方に位置するように第2容器60を回転させたとき、第1孔63aは、第2容器60内において最も低くなる位置に開口している。この構成によれば、測定試料液の全量は、第1孔63aから容易に排出可能である。
【0131】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、試料液を第1容器10に送液する第1送液管L1と、第1~第3試薬を第1容器10に送液する第2、第3送液管L2,L3と、を有してなる。試料液(混合試料液、加熱分解液)と第1~第3試薬とは、第1容器10において混合される。この構成によれば、第1容器10は、いわゆる反応槽と加熱分解槽とを兼用している。その結果、本装置1では、反応槽と加熱分解槽とを個別に備える従来の測定装置よりも、部品点数および製造コストが減少し、小型化が可能となる。
【0132】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、試料液を第2容器60に送液する第1送液管L11と、第1~第3試薬を第2容器60に送液する第2、第3送液管L12,L13と、を有してなる。試料液(加熱分解液、ブランク液)と第1~第3試薬とは、第2容器60において混合される。この構成によれば、第2容器60は、いわゆる反応槽と加熱分解槽とを兼用している。その結果、本装置1では、反応槽と加熱分解槽とを個別に備える従来の測定装置よりも、部品点数および製造コストが減少し、小型化が可能となる。
【0133】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1~第3送液管L1~L3の下流端L1a~L3aは、蓋部13に接続されている。第1送液管L1の一部は、本発明における送液管として機能している。第1モータ40が第1容器10を回転させるとき、第2、第3送液管L2,L3には、エアが導入されている。この構成によれば、測定対象液が第1送液管L1に送液(排出)されるとき、測定対象液の第2、第3送液管L2,L3への浸入は、防止される。
【0134】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第1~第3送液管L11~L13の下流端L11a~L13aは、蓋部63に接続されている。第1送液管L11の一部は、本発明における送液管として機能している。第2モータ90が第2容器60を回転させるとき、第2、第3送液管L12,L13には、エアが導入されている。この構成によれば、測定対象液が第1送液管L11に送液(排出)されるとき、測定対象液の第2、第3送液管L12,L13への浸入は、防止される。
【0135】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、第1容器10に貯留されている測定試料液の吸光度を測定する第1測定部30を有してなる。この構成によれば、第1容器10は、いわゆる加熱分解槽と吸光度測定用の測定セルとを兼用している。その結果、本装置1では、加熱分解槽と測定セルとを個別に備える従来の測定装置よりも、部品点数および製造コストが減少し、小型化が可能となる。
【0136】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、第2容器60に貯留されている測定試料液の吸光度を測定する第2測定部80を有してなる。この構成によれば、第2容器60は、いわゆる加熱分解槽と吸光度測定用の測定セルとを兼用している。その結果、本装置1では、加熱分解槽と測定セルとを個別に備える従来の測定装置よりも、部品点数および製造コストが減少し、小型化が可能となる。
【0137】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、筒体部11と底部12とは、一体のサファイアガラスで構成されている。この構成によれば、全窒素濃度測定において水酸化ナトリウム溶液によりアルカリ性となっている混合試料液が加熱されても、第1容器10は、混合試料液により溶解しない。
【0138】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、筒体部61と底部62とは、一体のサファイアガラスで構成されている。この構成によれば、第2容器60においてアルカリ性の試薬が用いられても、第2容器60は溶解しない。
【0139】
●その他の実施形態
なお、本発明において、本装置は、全窒素濃度または全リン濃度のいずれか一方のみを測定する測定装置でもよく、あるいは、全窒素濃度と全リン濃度に加えて、COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)を測定する測定装置でもよい。後者の場合、第1測定部(第2測定部)は、COD測定に必要な波長の光も照射/受光可能に構成されている。
【0140】
また、本発明において、第1容器は第2容器を兼用していてもよく、あるいは、第2容器は第1容器を兼用していてもよい。すなわち、例えば、本装置は、全窒素濃度測定および全リン濃度測定に用いられる1つの容器を備えていてもよい。この場合、蓋部には、全窒素濃度測定に対応する第1~第3試薬を送液する第2、第3送液管と、全リン濃度測定に対応する第1~第3試薬を送液する第2、第3送液管と、が接続されていてもよい。
【0141】
さらに、本発明において、筒体部と底部とは、別体で構成されていてもよい。すなわち、例えば、筒体部は円筒状のサファイアガラスで構成され、底部は筒体部の下端に取り付けられ、同下端の開口を塞ぐように構成されていてもよい。
【0142】
さらにまた、本発明において、第1容器(第2容器)の蓋部が備える凹部の形状は、第1容器(第2容器)が逆位置に位置しているとき、第1孔が第1容器(第2容器)内において最も低くなる位置に開口可能な形状であればよく、円錐状に限定されない。
【0143】
さらにまた、本発明において、第1ヒータ(第2ヒータ)は、筒体部の外周面のうち、一部の領域を除き、ほぼ全周を覆うように配置されていてもよい。この場合、発光部と受光部とは、筒体部の外周面のうち、第1ヒータ(第2ヒータ)に覆われていない一部の領域を光が透過するように配置されている。
【0144】
さらにまた、本発明において、第1測定部(第2測定部)は、第1ホルダ(第2ホルダ)に保持されていてもよい。この構成では、第1ホルダ(第2ホルダ)の回転に伴い、第1測定部(第2測定部)も回転する。
【0145】
さらにまた、本発明において、第1~第4常閉弁は、第1ホルダ(第2ホルダ)に保持されていなくてもよい。
【0146】
さらにまた、本発明において、本装置は、第1ホルダ(第2ホルダ)を備えていなくてもよい。この場合、第1モータ(第2モータ)は、第1容器(第2容器)のみを直接回転させるように構成されていてもよい。
【0147】
さらにまた、本発明において、配管の材質は、必要な耐薬品性と、第1容器(第2容器)の回転による捩れへの耐性(可撓性)と、を有していればよく、PFAに限定されない。
【0148】
さらにまた、本発明において、1つの廃液タンクが、全窒素濃度測定と全リン濃度測定とに共通して用いられていてもよい。
【0149】
さらにまた、本発明において、第1試薬タンクと第1試薬管と第1試薬ポンプとは、全窒素濃度測定と全リン濃度測定とに共通して用いられていてもよい。
【0150】
さらにまた、本発明において、本装置の動作は、全窒素濃度および全リン濃度測定が可能、かつ、第1容器(第2容器)の回転により測定対象液が排出されればよく、以上説明した実施の形態に限定されない。
【0151】
さらにまた、本発明の第1排液動作において、第1モータが第1容器を正位置から逆位置へ回転させるとき、測定対象液は、各下流端に接液していてもよい。この場合、第4常閉弁が開けられていて、測定対象液は、大気導入管からも廃液タンクに排出されていてもよい。また、第2、第3送液管からはエアが導入されているため、第2、第3送液管に測定対象液は浸入しない。第2排液動作についても、同様である。
【0152】
さらにまた、本発明において、第1モータ(第2モータ)により回転する第1ホルダ(第2ホルダ)の回転軸の位置は、本装置の構成により定められればよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、回転に伴う第1ホルダ(第2ホルダ)の移動代(第1ホルダ(第2ホルダ)の回転に必要な空間)を小さくするのであれば、回転軸の位置は、上下方向において、第1ホルダ(第2ホルダ)の中央部に位置していてもよい。また、回転のための配管の弛みを最小限にするため、回転軸の位置は、第1~第4常閉弁の近傍に位置していてもよい。
【0153】
さらにまた、本発明の第1排液動作(第2排液動作)において、エアの導入の有無およびタイミングは本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、本発明の第1排液動作(第2排液動作)において、第1容器(第2容器)内にエアが導入されていなくてもよく、あるいは、第1排液動作の開始時にエアが第1容器(第2容器)に導入されていてもよい。
【0154】
さらにまた、本発明において、試料液と試薬とは、第1モータ(第2モータ)により第1容器(第2容器)が揺動されることにより、混合されていてもよい。
【0155】
さらにまた、本発明において、蓋部に対する第1~第3送液管と大気導入管の下流端の接続態様は、第1容器(第2容器)の回転方向に対応していればよく、本実施の形態に限定されない。
【0156】
さらにまた、以上説明した実施の形態では、第1容器10は、反応槽と加熱分解槽と測定セルとを兼用していた。これに代えて、第1容器は、
図8に示されるとおり、測定セルを兼用していなくてもよい。第2容器についても同様である。
【0157】
図8は、変形例に係る本装置1Aを示す模式拡大構成図である。
同図は、説明の便宜上、全窒素濃度測定用の系統の一部のみを拡大して示す。また、同図は、本装置1Aが第1容器10と第1測定部30と排液管L8(共に
図1参照)とに代えて、第1容器10Aと第1測定部30Aと測定管L10とを備えることを示す。本変形例と先に説明した実施の形態との相違点が、以下に説明される。以下の説明において、
図1も、適宜参照される。
【0158】
本変形例において、本装置1Aは、第1容器10Aと、第1測定部30Aと、測定管L10と、を備える(
図8に示されていない他の構成は、本装置1Aが第1三方弁V7と第2三方弁V8と排液管L8とを備えていない点を除き、先に説明した実施の形態と共通する。)。第1容器10Aの蓋部13Aは、第5孔13iを備える。第1送液管L1の下流端L1aは、蓋部13Aの第5孔13iに挿通されて、蓋部13Aよりも下方の筒体部11内に延設されている。測定管L10の上流端L10aは蓋部13の第1孔13aに挿入されている。測定管L10の下流端は、廃液タンクT4に接続されている。測定管L10には、上流側から順に、第1測定部30Aが備えるフローセル33、バッファータンク130、測定用ポンプP5、が接続されている。フローセル33とバッファータンク130と測定用ポンプP5の構成は公知の構成であるため、その詳細な説明は、省略される。この構成では、第1モータ40が第1容器10Aを正位置から逆位置へ回転させることにより、測定対象液は、測定管L10を介してフローセル33に送液され、フローセル33において吸光度が測定され、廃液タンクT4に排出される。すなわち、測定管L10は、本発明における送液管として機能する。
【0159】
なお、変形例において、測定管から廃液タンクまでの経路の構成は、
図8に示される経路の構成に限定されない。
【0160】
さらにまた、本発明において、第1容器は、加熱分解槽としてのみ機能し、反応槽および測定セルを兼用していなくてもよい。この場合、例えば、加熱分解液は送液管を介して反応槽へ戻され、反応槽において測定試料液が生成される。第2容器も同様である。
【符号の説明】
【0161】
1 測定装置
10 第1容器(容器)
11 筒体部
12 底部
13 蓋部
13a 第1孔(貫通孔)
20 第1ヒータ(ヒータ)
30 第1測定部(吸光度測定部)
40 第1モータ(モータ)
60 第2容器(容器)
61 筒体部
62 底部
63 蓋部
63a 第1孔(貫通孔)
70 第2ヒータ(ヒータ)
80 第2測定部(吸光度測定部)
90 第2モータ(モータ)
L1 第1送液管(試料液送液管、送液管)
L2 第2送液管(試薬送液管)
L3 第3送液管(試薬送液管)
L8 排液管(送液管)
L11 第1送液管(試料液送液管、送液管)
L12 第2送液管(試薬送液管)
L13 第3送液管(試薬送液管)
L18 排液管(送液管)
1A 測定装置
10A 第1容器(容器)
L10 測定管(送液管)