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特開2024-31584情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031584
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20240229BHJP
   G01B 11/28 20060101ALI20240229BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   G06T 7/579 20170101ALI20240229BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G01B11/28 H
G06T1/00 315
G06T7/579
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135233
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】515253083
【氏名又は名称】株式会社CLUE
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柴山 裕樹
【テーマコード(参考)】
2F065
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA22
2F065AA58
2F065BB15
2F065CC14
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ03
2F065MM06
2F065MM26
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065RR09
2F065UU06
5B057BA02
5B057BA23
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB13
5B057CB17
5B057CD14
5B057DA07
5B057DA16
5B057DC04
5B057DC09
5B057DC33
5B057DC40
5L096CA04
5L096FA09
5L096FA12
5L096FA66
5L096FA69
5L096HA02
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】画像から容易に対象物の形状寸法を検出することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、対象物の頂点の位置の指定を受け付ける頂点取得部と、頂点の位置及び複数の画像に基づいて頂点及び頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するモデル作成部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付ける頂点取得部と、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するモデル作成部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記画像取得部は、異なる高度から前記対象物を撮影した複数の前記画像を取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記3次元モデルに基づいて前記対象物の面積及び前記対象物の部位の長さの少なくともいずれかを計算する計算部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記対象物は屋根であり、
前記3次元モデルに基づいて屋根伏せ図を作成する図面作成部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記頂点取得部は、前記対象物に含まれる面部分に含まれる3つ以上の頂点を取得し、
前記3次元モデルにおける前記頂点のそれぞれからの距離が最小となる平面を特定し、前記距離に応じて前記面部分のねじれ度合を評価するねじれ評価部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記ねじれ度合が閾値以上であるか否かに応じて前記3次元モデルの作成が失敗したか否かを判定する判定部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記頂点の位置を、前記頂点から直近の前記平面上の位置に補正する補正部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項5に記載の情報処理システムであって、
前記頂点の位置を、前記頂点間の距離が所定単位となるように補正する補正部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得するステップと、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付けるステップと、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するステップと、
を情報処理装置が実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得するステップと、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付けるステップと、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するステップと、
を情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行体に搭載したカメラで対象物を撮像した画像から対象物である屋根の形状寸法を測定し、かかる形状寸法から屋根の面積を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-162552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像から屋根の形状を測定するためには様々な角度から対象物を撮像する必要がある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、画像から容易に対象物の形状寸法を検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付ける頂点取得部と、前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するモデル作成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像から容易に対象物の形状寸法を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の概要を説明する図である。
図2】本実施形態に係る情報処理システム1の概略を示す図である。
図3】情報処理端末10のハードウェア構成例を示す図である。
図4】情報処理端末10のソフトウェア構成例を示す図である。
図5】画像情報121の表示例を示す図である。
図6】頂点情報および線分情報の生成の一例を示す図である。
図7】ねじれ度合の評価の一例を説明する図である。
図8】情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】他の実施形態に係る情報処理システム1’の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<概要>
【0012】
図1は、本実施形態の概要を説明する図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、対象物である建造物100の屋根101を撮像した画像から、屋根101の構造を解析しようとするものであり、例えば、平面部の面積や部位(軒や棟など)の長さを求め、屋根伏せ図を作成する。
【0013】
本実施形態の情報処理システム1では、屋根101の上空に飛行する飛行体30に付随するカメラ31が、屋根101を対象物として撮像する。
【0014】
建造物100の近傍にはGCP(地上基準点)110が配置される。GCP110は、地上で上空より視認可能な位置に配置される。GCP110のサイズは予め与えられ、GCP110を撮像画像から検出することにより、屋根101の計測を行うことができる。
【0015】
本実施形態の情報処理システム1では、飛行体30は、異なる複数の高度(図1の例では高度H1及びH2の2つの高度を示すが、3つ以上の高度であってもよい。)から屋根101を撮像する。複数の高度から屋根101を撮像することにより、屋根101の3次元構造を計算する。
【0016】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理システム1の概略を示す図である。図示のように、情報処理システム1は、情報処理端末10を備える。
【0017】
本実施形態に係る情報処理端末10は、いわゆるタブレット状の小型のコンピュータによって実装される。他の実施形態においては、情報処理端末10は、スマートフォンまたはゲーム機等の携帯型の情報処理端末により実現されてもよいし、パーソナルコンピュータ等の据え置き型の情報処理端末により実現されてもよい。また、情報処理端末10は、複数のハードウェアにより実現され、それらに機能が分散された構成を有してもよい。
【0018】
図3は、情報処理端末10のハードウェア構成例を示す図である。図示のように、情報処理端末10は、制御部11及び表示部であるタッチパネル部12を備える。
【0019】
制御部11は、プロセッサ11a、メモリ11b、ストレージ11c、送受信部11d、及び入出力部11eを主要構成として備え、これらが互いにバス11fを介して電気的に接続される。
【0020】
プロセッサ11aは、制御部11の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、プログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0021】
このプロセッサ11aは、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ11cに格納されてメモリ11bに展開されたプログラムを実行して各処理を行う。
【0022】
メモリ11bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0023】
このメモリ11bは、プロセッサ11aの作業領域として使用される一方、制御部11の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0024】
ストレージ11cは、プログラムや各種の処理に用いられる情報等が格納されている。例えば、屋根101の画像情報を撮像するための飛行体を、情報処理端末10を介してユーザが操作する場合、ストレージ11cには、かかる飛行体の飛行を制御するプログラムが格納されていてもよい。
【0025】
送受信部11dは、制御部11をインターネット網等のネットワークに接続するものであって、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0026】
本実施形態では、例えば、飛行体10の飛行を制御する制御信号が、この送受信部11dを介して飛行体10に送信されてもよい。
【0027】
入出力部11eは、入出力機器が接続されるインターフェースであって、本実施形態では、タッチパネル部12が接続される。
【0028】
バス11fは、接続したプロセッサ11a、メモリ11b、ストレージ11c、送受信部11d及び入出力部11eの間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0029】
タッチパネル部12は、表示部の一例であり、取得した映像や画像が表示される表示面12aを備える。この表示面12aは、本実施形態では、表示面12aへの接触によって情報の入力を受け付けるものであって、抵抗膜方式や静電容量方式といった各種の技術によって実装される。
【0030】
例えば、ユーザは、表示面12aに表示された画像に対して、タッチパネル部12を介して、線分情報やノード情報を入力し得る。また、表示面12aには、制御部11により出力される表示情報が表示される。
【0031】
図4は、情報処理端末10のソフトウェア構成例を示す図である。プロセッサ11aは、画像取得部111と、モデル作成部112と、計算部113と、頂点取得部114と、ねじれ評価部115と、判定部116と、補正部117と、図面作成部118と、を備える。また、ストレージ11cは、入力情報データベース120を備える。
【0032】
入力情報データベース120は、画像情報121、頂点情報123、線分情報125を記憶する。
【0033】
画像情報121は、対象物を撮影した画像である。本実施形態で画像情報121は飛行体30のカメラ31が撮影した屋根101の画像である。画像情報121の撮影画像には、屋根101及びGCP110が撮影される。複数の異なる高度から対象物を撮影した複数の画像に係る画像情報121が登録される。複数の画像は、同じ位置における異なる高度で撮影した画像であってよい。なお、カメラ31の画角は同じであってよい。
【0034】
頂点情報123および線分情報125は、例えば、屋根101に対応する多角形(領域)を区画するための頂点102および線分103に関する情報である。線分103は、対象物を区画する多角形の外側および内側の境界の一部であり、対象物の構成部位に対応する。例えば、対象物が屋根101である場合、線分103に対応する構成部位とは、軒や棟等である。頂点102は、かかる複数の線分103を接続する頂点を意味する。なお、対象物が屋根101である場合、頂点102に対応する構成部位とは、軒や棟等の端部(頂部)である。
【0035】
画像取得部111は、飛行体30が撮影した画像を取得する。画像取得部111は、異なる高度から撮影した複数の画像を取得する。画像取得部111は、飛行体30が第1の高度(例えば図1のH1)で対象物(屋根101)を撮影した第1の画像を取得することができる。また、画像取得部111は、飛行体30が第2の高度(例えば図1のH2)で対象物(屋根101)を撮影した第2の画像を取得することもできる。
【0036】
画像取得部111は、飛行体30と通信を行い、カメラ31から画像を取得するようにしてもよいし、予め入力情報データベース120に登録されている画像情報を読み出すようにしてもよい。
【0037】
また、画像取得部111は、入力情報データベース120から各種情報を取得することもできる。例えば、画像取得部111は、入力情報データベース120に含まれる画像情報121、頂点情報123及び線分情報125を取得することができる。
【0038】
頂点取得部114は、対象物の撮像画像上における対象物を画定する多角形の頂点の位置の指定を受け付ける。頂点取得部114は、建造物100に含まれる面部分(屋根101)に含まれる3つ以上の頂点を取得することができる。頂点取得部114は、例えば、ユーザから画像上の頂点の位置の指定を受け付けるようにしてもよいし、画像から画像認識処理により多角形を検出し、多角形の頂点を取得するようにしてもよい。かかる画像認識処理は、例えば、ディープラーニング等の公知の機械学習による手法が用いられてもよい。画像認識処理は、情報処理端末10のプロセッサ11aにおいて行われることができる。頂点取得部114は、例えば、第1の画像(高度H1)と第2の画像(高度H2)との両方について頂点を取得することができる。頂点取得部114は、一方の画像について頂点を取得し、高度及びカメラ31の画角に応じて頂点の位置を修正して他の画像における頂点を推定するようにしてもよいし、画像間の特徴点マッピングによって一方の画像の頂点を他方の画像上にマッピングしてもよい。
【0039】
図5は、画像情報121の表示例を示す図である。表示面12aには、取得された画像情報121をもとに、建造物100の屋根101を含む画像が表示される。情報処理端末10を操作するユーザは、表示面12aに表示される画像から、屋根101の構造を視認することができる。
【0040】
頂点情報123および線分情報125は、例えば、情報処理端末10を操作するユーザが表示面12aに対する操作により生成されてもよい。具体的には、表示面12aに屋根101が映る画像が表示されている場合に、ユーザは、タッチパネル部12に対して、屋根101の構成部位に対応する線分103および頂点102を設定する操作を行ってもよい。
【0041】
図6は、頂点情報および線分情報の生成の一例を示す図である。例えばユーザのタッチパネル部12に対する操作により、頂点102a~102lおよび線分103a~103oが設定される。このとき、表示されている屋根101の画像に対して、頂点102および線分103が重畳されるようにユーザが入力することで、頂点102a~102lおよび線分103a~103oが設定されてもよい。このとき、対象物を区画する多角形とは、各線分103a~103oにより構成される多角形を指す。
【0042】
設定された頂点102a~102lおよび線分103a~103oはそれぞれ頂点情報および線分情報として生成され、ストレージ11cの入力情報データベース117に格納される。
【0043】
なお、図6に示した例では、ユーザのタッチパネル部12に対する操作により頂点情報123および線分情報125が生成されるとしたが、かかる例に限定されない。例えば、頂点情報および線分情報は、屋根101が映る画像に対する画像認識処理により、頂点102および線分103に相当する部分を抽出することで生成されてもよい。かかる画像認識処理は、例えば、ディープラーニング等の公知の機械学習による手法が用いられてもよい。この場合、例えば、屋根101が映る画像と屋根101の構成部位とに関する学習モデルを用いることで、画像認識処理が実現され得る。画像認識処理は、情報処理端末10のプロセッサ11aにおいて行われることができる。
【0044】
モデル作成部112は、撮影高度の異なる複数の画像に基づいて対象物の3次元モデルを作成する。モデル作成部112は、頂点取得部114が取得した第1及び第2の画像上での頂点の位置と、第1及び第2の画像とに基づいて3次元モデルを作成することができる。モデル作成部112は、例えば、第1及び第2の画像上でのGCP110の位置及び大きさに基づいて、第1及び第2の画像上における頂点の位置から、各頂点の現実空間上での相対的な位置関係と距離を計算することができる。モデル作成部112は、例えば、カメラ31の画角と、GCP110からの相対的な距離と、GCP110の実寸に対するGCP110のピクセル単位での大きさの比率とに応じて、頂点の相対的な3次元座標値(x、y、z)を計算することができる。モデル作成部112は、例えば、5点アルゴリズムやSfM(Structure from Motion)などの既存のアルゴリズムを用いて各頂点の3次元空間内での3次元座標値を計算することができる。
【0045】
また、モデル作成部112は、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)の技術(とくにVisual SLAM)を用いて、撮影画像上の特徴点をマッピングし、この特徴点と、頂点102とを用いて3次元モデルを作成するようにしてもよい。例えば、モデル作成部112は、頂点102と、特徴点とを含めた各点をSfMなどのアルゴリズムに与えて3次元モデルを作成することができる。また、モデル作成部112は、上述のようにして頂点102に基づいて作成した3次元モデルを、特徴点を用いて補正するようにしてもよい。また、モデル作成部112は、例えば、Visual SLAMにより得られた特徴点に基づいて3次元モデルを作成し、作成した3次元モデルを構成するノード(頂点)のうち、頂点102に最も近いものを特定し、特定したノードの位置を、頂点102の位置と一致するように補正するようにしてもよい。
【0046】
また、モデル作成部112は、頂点の位置は、画像上の位置として計算してもよいし、所定の位置(例えば、ある頂点の位置)を基準とした相対的な位置として計算してもよいし、例えば、第1及び第2の画像上でのGCP110の位置及び大きさに基づいて、第1及び第2の画像上における頂点の位置から、頂点の3次元空間上での位置を計算するようにしてもよい。
【0047】
計算部113は、3次元モデルに基づいて対象物(本実施形態では屋根101)の面積及び対象物の部位の長さの少なくともいずれかを計算する。計算部113は、各頂点の位置を用いて、頂点間の部位の長さを計算することができる。計算部113は、例えば屋根面などの面部分を構成する多角形の拡張点の3次元座標値に基づいて、対象物の面部分の面積を計算することができる。
【0048】
ねじれ評価部115は、頂点102により画定される多角形のねじれ度合を評価する。図7は、ねじれ度合の評価の一例を説明する図である。ねじれ評価部115は、例えば、3次元モデルにおける頂点102のそれぞれからの距離Dの合計が最小となる平面Pを特定し、これらの距離Dの合計に応じて面部分のねじれ度合を評価することができる。平面Pの特定は、例えば、最小二乗法などにより行うことができる。ねじれ評価部115は、例えば、距離Dの合計が長いほど高くなるようにねじれ度合を評価することができる。
【0049】
判定部116は、ねじれ度合が閾値以上であるか否かに応じて3次元モデルの作成が失敗したか否かを判定することができる。
【0050】
補正部117は、頂点102の位置(3次元座標値)を補正する。補正部117は、上述した平面P上の頂点102から直近の位置(頂点102から平面Pに直角に延ばした直線と平面Pとの交点)を頂点102の位置(3次元座標値)として設定することができる。
【0051】
また、補正部117は、複数の面部分が存在するような場合には、各面についてのねじれ度合(例えば、頂点102から平面Pへの最短距離Dの合計値)の総計が最小となるように、頂点102の位置を補正してもよい。補正部117は、例えば、最急降下法などにより3次元座標値の位置補正を行う。
【0052】
また、補正部117は、頂点102の位置を、頂点102間の傾きが所定単位となるように補正することができる。所定単位は、例えば、1寸、あるいは0.5寸などの傾きとすることができる。屋根のように勾配が規格により定まるような場合には、屋根等を画定する多角形の頂点間の傾きが所定規格のキリのよい単位となることが多いため、当該単位の傾きとなるように頂点102の座標値を補正することにより、頂点102の誤差が修正されることが期待される。
【0053】
図面作成部118は、3次元モデルに基づいて屋根伏せ図を作成する。
【0054】
<動作>
次に、本実施形態に係る情報処理システム1における処理の流れについて説明する。図8は、情報処理システム1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0055】
情報処理端末10は、異なる複数の高度から対象物を撮影した複数の画像情報を取得し(S101)、各画像情報において対象物を画定する多角形の各頂点102を取得する(S102)。
【0056】
情報処理端末10は、画像情報からGCP110を検出し(S103)、検出したGCP110の画像上の位置とサイズと、各画像上の頂点102の画像上の位置とに応じて、5点アルゴリズムやSfMなどにより頂点102の3次元座標値を計算して対象物の3次元モデルを作成する(S104)。
【0057】
情報処理端末10は、頂点102の3次元座標値を補正する(S105)。上述したように、情報処理端末10は、面部分を示す多角形の各頂点102から最小距離となる平面Pを特定し、平面Pから頂点102までの距離Dの総計が最小となるように頂点102の3次元座標値を補正することができる。また、情報処理端末10は、頂点102の間の部位の傾きが、所定単位(例えば、1寸や0.5寸など)となるように3次元座標値を補正することもできる。
【0058】
情報処理端末10は、頂点102間の部位の長さ、頂点102を含む多角形が示す面部分の面積を計算し(S106)、3次元モデルに基づいて伏せ図を作成する(S107)。
【0059】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、複数の高度から撮影した画像に映る対象物の形状寸法を容易かつ正確に求めることができる。飛行体30は、水平位置を移動せずに高度のみを変更して対象物を撮影してもよい。したがって、対象物の周囲に障害物などがある場合にも、容易に対象物の形状を求めることができる。
【0060】
また、本実施形態では、撮影した画像に対象物の頂点102をプロットしたうえでマッピングを行うことができる。通常のSfMでは画像から抽出可能な数多くの特徴点をマッピングすることになるために対象物の各部位の位置の復元精度には誤差が出うるところ、本実施形態ではプロットした頂点102についてのみ3次元の位置を復元すればよいため、誤差を低減することができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
上記の実施形態では、情報処理システム1は、情報処理端末10のみにより実現されていたが、本発明はかかる例に限定されない。図9は、他の実施形態に係る情報処理システム1’の概略を示す図である。他の実施形態では、情報処理システム1’は、情報処理端末10およびサーバ20を備える。この場合、例えば、上記の実施形態に係る情報処理端末10のプロセッサ11aおよびストレージ11cが有していた機能の一部または全部が、サーバ20の備えるプロセッサやストレージにより実現されてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、対象物が建造物100の屋根101である場合を説明したが、樹木や任意の地表面であってもよく、更には、一時的に停止している自動車や動物といった物体であってもよい。対象物の構成部位は、その対象物の種類や対象物が有する特定の構造に応じて適宜設定される。
【0064】
また、上記実施形態では、2枚の画像(第1及び第2の画像)を用いて対象物の3次元モデルを作成するものとしたが、当然3枚以上の画像に基づいて3次元モデルを作成することも可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、飛行体10が撮影した画像に基づいて屋根101の構造を解析するものとしたが、例えば近傍の高層建物の異なる階から撮影するなど、飛行体ではない手法を用いて異なる高度から撮影した画像を用いて解析を行うこともできる。
【0066】
また、異なる高度からの画像でもよいし、水平移動や撮影向きの異なる画像でもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、異なる高度から同一対象物を撮影した複数の画像に基づいて対象物の3次元構造を推定するものとしたが、水平移動や高度変更による異なる位置から同一の対象物を撮影した複数の画像に基づいて対象物の3次元構造を推定するようにしてもよい。この場合にも、GCP110が撮影されるようにすることで、上記実施形態と同様の処理により対象物(例えば屋根101)の3次元モデルを作成することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、対象物が建造物100の屋根101である場合を説明したが、樹木や任意の地表面であってもよく、更には、一時的に停止している自動車や動物といった物体であってもよい。対象物の構成部位は、その対象物の種類や対象物が有する特定の構造に応じて適宜設定される。
【0069】
また、上記実施形態では、撮影高度の異なる画像を取得するものとしたが、これに限らず、撮影位置の異なる画像であればよい。
【0070】
また、上記実施形態における各ステップは、必ずしもフローチャート図として記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。例えば、上記実施形態の処理における各ステップは、フローチャート図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0071】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0072】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得する画像取得部と、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付ける頂点取得部と、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するモデル作成部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記画像取得部は、異なる高度から前記対象物を撮影した複数の前記画像を取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記3次元モデルに基づいて前記対象物の面積及び前記対象物の部位の長さの少なくともいずれかを計算する計算部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記対象物は屋根であり、
前記3次元モデルに基づいて屋根伏せ図を作成する図面作成部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記頂点取得部は、前記対象物に含まれる面部分に含まれる3つ以上の頂点を取得し、
前記3次元モデルにおける前記頂点のそれぞれからの距離が最小となる平面を特定し、前記距離に応じて前記面部分のねじれ度合を評価するねじれ評価部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目6]
項目5に記載の情報処理システムであって、
前記ねじれ度合が閾値以上であるか否かに応じて前記3次元モデルの作成が失敗したか否かを判定する判定部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目7]
項目5に記載の情報処理システムであって、
前記頂点の位置を、前記頂点から直近の前記平面上の位置に補正する補正部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目8]
項目5に記載の情報処理システムであって、
前記頂点の位置を、前記頂点間の距離が所定単位となるように補正する補正部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目9]
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得するステップと、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付けるステップと、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するステップと、
を情報処理装置が実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目10]
複数の位置から対象物を撮影した複数の画像を取得するステップと、
前記複数の画像のうちの少なくとも1つにおいて、前記対象物の頂点の位置の指定を受け付けるステップと、
前記頂点の位置及び前記複数の画像に基づいて前記頂点及び前記頂点を結ぶ辺により構成される3次元モデルを作成するステップと、
を情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0073】
1 情報処理システム
10 情報処理端末
11 制御部
102 頂点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9