IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図1
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図2
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図3
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図4
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図5
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図6
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図7
  • 特開-清掃制御装置及び清掃制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031586
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】清掃制御装置及び清掃制御方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 65/06 20060101AFI20240229BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20240229BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240229BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20240229BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B01D65/06
B01D53/92 240
B01D53/96 ZAB
B01D53/22
B01D65/02 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135235
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥原 誠
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】本城 匠
(72)【発明者】
【氏名】上出 英行
【テーマコード(参考)】
4D002
4D006
【Fターム(参考)】
4D002AA08
4D002AA09
4D002AA12
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA05
4D002BA06
4D002BA20
4D002CA13
4D002EA02
4D002FA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB04
4D002GB20
4D002HA06
4D006GA41
4D006HA41
4D006JA08A
4D006KA87
4D006KB12
4D006KB30
4D006KC02
4D006KC14
4D006KC16
4D006KD30
4D006KE06P
4D006KE22Q
4D006KE28Q
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA04
4D006PA02
4D006PB64
4D006PC80
(57)【要約】
【課題】CO2分離膜の性能が低下することを抑止すること。
【解決手段】実施形態に係るCO2回収機構は、清掃装置と、CO2分離ECUと、を有する。清掃装置は、車両の排気ガスに含まれるCO2を分離するCO2分離膜を清掃する。CO2分離ECUは、車両のエンジンが停止している間に、清掃装置にCO2分離膜を清掃させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の排気ガスに含まれるCO2を分離するCO2分離膜を清掃する清掃部と、
前記車両のエンジンが停止している間に、前記清掃部に前記CO2分離膜を清掃させる清掃制御部と、
を有する清掃制御装置。
【請求項2】
前記清掃部は、前記清掃部と前記CO2分離膜との間に設けられた第1の弁と、前記清掃部と前記エンジンとの間に設けられた第2の弁と、を有する
請求項1に記載の清掃制御装置。
【請求項3】
前記第1の弁及び前記第2の弁は、前記エンジンの動作中に生じる前記排気ガスの圧力に応じて開閉する
請求項2に記載の清掃制御装置。
【請求項4】
前記清掃制御部は、前記エンジンの動作状態を認識可能なECUの制御により前記第1の弁及び前記第2の弁を開閉する
請求項2に記載の清掃制御装置。
【請求項5】
前記清掃部は、前記CO2分離膜に液体を噴射すること、又は前記CO2分離膜に空気を吹き込むことにより前記CO2分離膜を清掃する
請求項1に記載の清掃制御装置。
【請求項6】
前記清掃部は、前記車両に搭載された機器からの排水を前記CO2分離膜に噴射することにより前記CO2分離膜を清掃する
請求項5に記載の清掃制御装置。
【請求項7】
前記清掃部は、前記CO2分離膜に空気を吹き込んだ後、前記CO2分離膜に液体を噴射することにより前記CO2分離膜を清掃する
請求項5に記載の清掃制御装置。
【請求項8】
前記清掃部による清掃の効果が低下したことを通知する通知部をさらに有する
請求項1に記載の清掃制御装置。
【請求項9】
車両のエンジンが停止している間に、前記車両の排気ガスに含まれるCO2を分離するCO2分離膜を清掃する清掃部に、前記CO2分離膜を清掃させる
処理をコンピュータに実行させる清掃制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃制御装置及び清掃制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2(二酸化炭素)を回収し蓄積するCO2回収装置が搭載された車両が知られている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、エンジン等からの排気ガスを、CO2回収装置に通すことで、排気ガスに含まれるCO2が回収される。
【0003】
また、車両に搭載されるCO2回収装置におけるCO2の回収方法としては、重量及びコストの面で膜分離法が採用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-65807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両に搭載されたCO2回収装置において膜分離法を実施する場合、CO2分離膜の性能がすぐに低下するという問題がある。
【0006】
これは、車両の排気ガスに含まれるSOx(硫黄酸化物)等の被毒物質により、CO2回収装置に備えられたCO2分離膜が汚染されるためである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る清掃制御装置は、清掃部と、清掃制御部と、を有する。清掃部は、車両の排気ガスに含まれるCO2を分離するCO2分離膜を清掃する。清掃制御部は、車両のエンジンが停止している間に、清掃部にCO2分離膜を清掃させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、CO2分離膜の性能が低下することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態の排気システムの構成例を示す図である。
図2図2は、CO2分離膜をバイパス可能な排気システムの構成例を示す図である。
図3図3は、液体の噴射による清掃方法を説明する図である。
図4図4は、空気の吹き込みによる清掃方法を説明する図である。
図5図5は、弁の開閉方法を説明する図である。
図6図6は、弁の開閉方法を説明する図である。
図7図7は、清掃処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、清掃処理の流れを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する清掃制御装置及び清掃制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
まず、図1を用いて、第1の実施形態の排気システムの構成を説明する。図1は、第1の実施形態の排気システムの構成例を示す図である。第1の実施形態に係る清掃制御装置(例えばCO2回収機構2)は、清掃部(例えば清掃装置22)と、清掃制御部(例えばCO2分離ECU21)と、を有する。
【0012】
図1に示す排気システム1は、車両の排気ガスからCO2を回収し、回収したCO2を貯蔵する。また、排気システム1は、CO2を回収した後の排気を大気に排出する。
【0013】
これにより、排気システム1によれば、車両から大気に排出されるCO2を削減することができる。なお、貯蔵されたCO2は、燃料の生成等に利用可能である。
【0014】
ここで、第1の実施形態とは別の方法として、車両の排気ガスに、CO2を分離する部材(後述のCO2分離膜)をバイパスさせる方法が考えられる。
【0015】
例えば、図2に示す排気システム1aは、切り替え弁16により、排気ガスをCO2分離膜に送るか、排気ガスにCO2分離膜をバイパスさせるかを切り替えることができる。図2は、CO2分離膜をバイパス可能な排気システムの構成例を示す図である。なお、図2に示す切り替え弁16以外の部分については、図1と共通しているため、ここでは説明を省略する。
【0016】
しかしながら、図2に示す排気システム1aでは、排気ガス中のCO2を確実に回収することができない場合がある。また、排気システム1aにおいて排気ガス中のCO2を確実に回収するために、CO2回収機構2をマフラー15の後ろ(大気側)に搭載することも考えられるが、その場合システムが大型化・高コスト化してしまう。
【0017】
これに対し、第1の実施形態によれば、排気システム1aにおいて生じる上記の課題が解決される。
【0018】
図1に戻り、排気システム1は、エンジン11、エンジンECU(Electronic Control Unit)12、エキゾーストマニホールド13、触媒14、マフラー15及びCO2回収機構2を有する。
【0019】
エンジンECU12は、エンジン11を制御する。エンジンECU12は、エンジン11が動作しているか停止しているかをCO2回収機構2に通知することができる。
【0020】
エキゾーストマニホールド13は、エンジン11からの排気ガスを集合させる。また、触媒14は、排気ガスに含まれるCO(一酸化炭素)及びNOx(窒素酸化物)等を分解する。
【0021】
CO2回収機構2は、触媒14を通過した排気ガスからCO2を回収し、CO2を回収した後の排気ガスをマフラー15へ排出する。
【0022】
CO2回収機構2は、CO2分離ECU21、清掃装置22、CO2分離装置23及びCO2貯蔵装置24を有する。
【0023】
CO2分離ECU21は、CO2回収機構2の各装置を制御する。なお、CO2分離ECU21の代わりにエンジンECU12がCO2回収機構2の各装置を制御してもよい。
【0024】
CO2分離ECU21は、コンピュータのCPUがコントローラとして機能し、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。
【0025】
また、コントローラは、ECUではなく、マイコン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、SoC(System on a Chip)等であってもよい。
【0026】
また、コントローラは、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、コントローラは、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有するマルチコア構成であってもよい。
【0027】
清掃装置22は、CO2分離装置23に備えられたCO2分離膜231を清掃する。これは、CO2分離膜231が、排気ガス中のNOx及びSOx等の被毒物質により汚染されるためである。CO2分離膜231は、汚染によりCO2の回収効率が低下する。なお、清掃装置22によるCO2分離膜231の清掃方法については後述する。
【0028】
CO2分離装置23は、CO2分離膜231により排気ガス中のCO2を回収する。CO2分離膜231には、平膜タイプ、中空糸膜タイプ、管状膜タイプ、袋状膜タイプといった既知の分離膜モジュールを適用することができる。例えば、CO2分離膜231は、促進輸送膜である。
【0029】
CO2貯蔵装置24は、回収されたCO2を貯蔵する。例えば、CO2貯蔵装置24は、活性炭等の多孔質物質にCO2を吸着させて貯蔵する。
【0030】
なお、図1の例では、CO2回収機構2は触媒14とマフラー15の間に搭載されている。一方で、CO2回収機構2はマフラー15の後ろ(大気側)に搭載されてもよい。この場合、高温な排気ガスによるCO2分離膜231への損傷を抑止できる。
【0031】
なお、清掃制御装置は、清掃装置22のみによって実現されてもよいし、CO2回収機構2に含まれる清掃装置22、CO2分離装置23、CO2分離ECU21等を組み合わせることによって実現されてもよい。
【0032】
(清掃方法)
清掃装置22によるCO2分離膜231の清掃方法を説明する。本実施形態では、清掃装置22は、CO2分離膜231に液体を噴射すること、又はCO2分離膜231に空気を吹き込むことによりCO2分離膜231を清掃する。これにより、CO2分離膜231に付着した被毒物質に対する効果的な洗浄を行うことができる。
【0033】
図3は、液体の噴射による清掃方法を説明する図である。図3に示すように、清掃装置22は、インジェクタ223を備える。インジェクタ223は、CO2分離膜231に向けて洗浄用の液体を噴射する。これにより、CO2分離膜231に付着した被毒物質が洗い流される。
【0034】
CO2分離膜231に向けて噴射される洗浄用の液体は水である。なお、洗浄用の液体は洗剤、尿素、尿素水であってもよい。なお、洗浄用の液体が、洗剤、尿素、又は尿素水である場合、貯水装置33の代わりに、又は貯水装置33とは別に、当該洗浄用の液体専用のタンクが車両に搭載される。
【0035】
インジェクタ223は、貯水装置33から取得した水を噴射する。貯水装置33は、車両のエアコンによる空気冷却の際にエバポレーター32で生じた水を貯えておく。また、貯水装置33は、触媒作用によりマフラー15に貯まる水を取得し、貯えてもよい。
【0036】
このように、清掃装置22は、車両に搭載された機器からの排水をCO2分離膜231に噴射することによりCO2分離膜231を清掃することができる。これにより、清掃装置22は、簡単な構成により水を得ることができる。
【0037】
また、貯水装置33は、貯められた水の温度をエンジン11の排熱、エアコン、ラジエータの冷却作用等を利用して調節する。これにより、被毒物質の洗浄に適した温度の水が清掃装置22に提供される。
【0038】
図4は、空気の吹き込みによる清掃方法を説明する図である。図4に示すように、清掃装置22が、ファン224を備える。ファン224は、CO2分離膜231に向けて空気を吹き込む。これにより、CO2分離膜231に付着した被毒物質が吹き飛ばされる。
【0039】
なお、清掃装置22は、ファン224により空気を吹き込む代わりに、ボンベに貯蔵されたガスを吹き込むようにしてもよい。
【0040】
清掃装置22は、インジェクタ223及びファン224のいずれかを備えていればよい。また、清掃装置22は、インジェクタ223及びファン224の両方を備えていてもよい。
【0041】
清掃装置22がインジェクタ223及びファン224の両方を備えている場合、液体の噴射による清掃方法を及び空気の吹き込みによる清掃方法の両方を実行することができる。
【0042】
この場合、清掃装置22は、液体の噴射による清掃方法を及び空気の吹き込みによる清掃方法を同時に実施してもよいし、一定時間ごとに、あらかじめ決められた使用時間だけそれぞれの方法を実施してもよい。
【0043】
また、清掃装置22は、貯水装置33に水が貯まっている場合に液体の噴射による清掃方法を実施し、貯水装置33に水が貯まっていない場合に空気の吹き込みによる清掃方法を実施してもよい。
【0044】
また、被毒物質は水と反応する場合がある。例えば、SOx及びNOx等は、水と反応し、それぞれ硫酸及び硝酸に変化する。その際、硫酸及び硝酸によって、CO2分離膜231が損傷を受けることが考えられる。
【0045】
そこで、清掃装置22は、清掃装置22は、CO2分離膜231に空気を吹き込んだ後、CO2分離膜231に液体を噴射することにより清掃を行ってもよい。これにより、先に被毒物質が大まかに除去された後、水が噴射されるので、水と反応する被毒物質を減らすことができ、CO2分離膜231の劣化を抑止することができる。
【0046】
なお、図3及び図4の例では、清掃装置22は、CO2分離膜231の1次側(触媒14側)を清掃するように配置されているが、CO2分離膜231の2次側(CO2貯蔵装置24側)を清掃するように配置されてもよい。
【0047】
(エンジンと連動した清掃制御)
清掃装置22によるCO2分離膜231の清掃は、エンジン11が停止している間に行われる。その際、清掃中に水又は被毒物質がエンジン11側に逆流しないことが望ましい。
【0048】
そこで、清掃装置22は、清掃装置22とCO2分離膜231との間に設けられた弁221と、清掃装置22とエンジンとの間に設けられた弁222と、を有する。これにより、CO2分離装置23の内部から気体又は液体がエンジン11側に逆流することによる悪影響を防止できる。なお、弁221は第1の弁の一例である。弁222は第2の弁の一例である。
【0049】
図5は、弁の開閉方法を説明する図である。図5に示すように、清掃装置22は、清掃装置22の本体とCO2分離装置23との間に備えられた弁221、及びエンジン11から排気ガスが送られてくる排気口に備えられた弁222を有する。
【0050】
清掃装置22の本体は、図3のインジェクタ223又は図4のファン224が収められた部分である。弁221が閉じている間は、インジェクタ223又はファン224による清掃を行うことができない。一方、弁221が開いている間は、インジェクタ223又はファン224による清掃を行うことができる。
【0051】
また、弁222が閉じている間は、エンジン11からの排気ガスのCO2分離装置23への流入、及びCO2分離装置23からエンジン11側への液体及び気体の流入が防止される。一方、弁222が開いている間は、エンジン11からの排気ガスがCO2分離装置23へ流入し、また、CO2分離装置23からエンジン11側への液体及び気体の流入が起こり得る。
【0052】
なお、CO2分離装置23からエンジン11側へ流入する液体は、例えばインジェクタ223から噴射された後、CO2分離膜231に付着した被毒物質を含んだ水である。また、CO2分離装置23からエンジン11側へ流入する気体は、例えばファン224から吹き込まれた後、CO2分離膜231に付着した被毒物質を含んだ空気である。
【0053】
図5の例では、エンジン11が動作している間は、エンジン11からの排気ガスの圧力により、弁222が開く。その際、弁222と弁221を接続する棒状の部材に押され、弁221は閉じる。
【0054】
一方で、エンジン11が動作していない間は、エンジン11からの排気ガスの圧力がないため、弁222は閉じる。その際、弁222と弁221を接続する棒状の部材に引っ張られ、弁221は開く。このように、弁221及び弁222は、エンジンの動作中に生じる排気ガスの圧力に応じて開閉する。これにより、簡単な構成で弁を開閉できる。
【0055】
さらに、図6に示すように、CO2分離ECU21が弁221及び弁222の開閉を制御してもよい。この場合、弁221及び弁222は、CO2分離ECU21が制御可能なアクチュエータによって開閉動作を行う。
【0056】
CO2分離ECU21は、エンジンECU12からエンジン11が動作しているか停止しているかを示す信号を受け取る。そして、エンジン11が停止している場合、CO2分離ECU21は、弁221を開き、弁222を閉じる。一方、エンジン11が動作している場合、CO2分離ECU21は、弁221を閉じ、弁222を開く。
【0057】
このように、清掃装置22は、エンジンの動作状態を認識可能なCO2分離ECU21の制御により弁221及び弁222を開閉する。これにより、エンジン11の動作状態に合わせて精度良く弁の開閉を制御できる。
【0058】
(清掃処理の流れ)
図7を用いて、清掃装置22による清掃処理の流れを説明する。図7は、清掃処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、清掃装置22を制御するCO2分離ECU21を処理の主体として説明する。清掃装置22は、エンジンECU12によって制御されてもよい。
【0059】
まず、CO2分離ECU21は、エンジンECU12によってエンジン11が停止したと判定されてから(ステップS101)、X時間が経過するまで待機する(ステップS102、No)。例えば、X時間は、1分(1/60時間)である。
【0060】
X時間が経過すると(ステップS102、Yes)、CO2分離ECU21は、清掃装置22に清掃駆動指示を送る(ステップS103)。清掃装置22は、清掃駆動指示に応じて、CO2分離膜231の清掃(液体の噴射又は空気の吹き込み)を開始する。
【0061】
そして、CO2分離ECU21は、清掃駆動指示の送信を開始した後、Y時間が経過するまで待機する(ステップS104、No)。例えば、Y時間は、3分(3/60時間)である。
【0062】
Y時間が経過すると(ステップS104、Yes)、CO2分離ECU21は処理を終了する。このとき、CO2分離ECU21は、清掃装置22に清掃駆動を停止する指示を送ること、又は駆動指示の送信を中止することで、清掃装置22に清掃を終了させる。
【0063】
図8は、清掃処理の流れを示すタイムチャートである。図8に示すように、車両状態がアイドリング中からエンジン停止に変化した後、CO2分離ECU21は、X時間待機し、清掃駆動指示を送り始める。
【0064】
その後、CO2分離ECU21は、Y時間待機し、清掃駆動指示をOFFにする。これにより、清掃装置22は清掃を終了する。
【0065】
車両がアイドリングストップに対応している場合、エンジンECU12は、アイドリングストップのための処理が行われている間も、エンジン11が停止していると判断する場合がある。そこで、アイドリングストップのための処理と清掃装置22及びCO2分離装置23の処理との干渉を防ぐために、X時間の待機時間が設けられている。
【0066】
また、CO2分離ECU21は、エンジン11が停止している場合に清掃装置22が清掃を行うか否かを、清掃の頻度を基に判断してもよい。
【0067】
例えば、清掃装置22が清掃を行ってから一定時間(例えば2時間)が経過していない場合、エンジン11が停止していたとしても清掃装置22は清掃を行わないようにしてもよい。
【0068】
また、CO2分離ECU21は、エンジン11が停止している場合に清掃装置22が清掃を行うか否かを、CO2分離膜231の汚染度合いの検出結果を基に判断してもよい。
【0069】
例えば、エンジン11が停止中で、かつCO2分離膜231の汚染度合いが閾値以上である場合に、清掃装置22は清掃を行う。例えば、CO2分離ECU21は、CO2分離膜231に備えられたカメラによって撮影された画像、又は単位時間あたりのCO2の回収量により検知することができる。
【0070】
また、清掃装置22による清掃が行われた後も、CO2分離膜231の汚れが取れず、汚染度合いが低下しない場合がある。この場合、CO2分離ECU21は、車両に搭載された出力装置(スピーカ、ディスプレイ等)を介して、対応(例えば、CO2分離膜231の交換)が必要であることを運転者に警告してもよい。
【0071】
このように、CO2分離ECU21は、清掃装置22による清掃の効果が低下したことを通知する。これにより、交換によるCO2分離膜231の性能の向上を図ることができる。
【0072】
上述してきたように、清掃部は、車両の排気ガスに含まれるCO2を分離するCO2分離膜を清掃する。清掃制御部は、車両のエンジンが停止している間に、清掃部にCO2分離膜を清掃させる。
【0073】
清掃制御部は、図5で説明したような、弁221による機械的な制御で実現されてもよいし、CO2分離ECU21と弁221による電子的な制御による実現されてもよい。
【0074】
弁221が閉じている間は、清掃装置22は清掃ができないように制御された状態である。弁221が開いている間は、清掃装置22は清掃ができるように制御された状態である。
【0075】
また、清掃制御部は、CO2分離ECU21が清掃装置22に清掃駆動指示を送ることによって実現されてもよい。
【0076】
例えば、CO2分離ECU21は、車両のエンジン11が停止しているか否かを判定し、エンジン11が停止していると判定した場合、清掃装置22に、CO2分離膜231を清掃させる処理を実行する。
【0077】
以上により、第1の実施形態によれば、CO2分離膜の性能が低下することを抑止できる。
【0078】
また、CO2分離膜の交換は、多くの費用及び工数を生じさせ、高コストである。第1の実施形態によれば、CO2分離膜の交換頻度を低下させ、コストを削減することができる。
【0079】
また、CO2分離膜の交換頻度の低下、及びコストの削減により、既存の車両への第1の実施形態の排気システム1の導入が容易になる。
【0080】
[その他の実施形態]
これまで、CO2回収機構2が車両に搭載される場合の例を説明してきた。一方で、CO2回収機構2は、病院、工場、住宅等の建物に設置されてもよい。
【0081】
その場合、例えば、CO2回収機構2は、燃料を燃焼させて発電を行う発電機からの排気ガスのCO2を回収する。
【0082】
また、CO2回収機構2が建物に設置される場合、インジェクタ223には、洗浄専用の水、専用の洗剤、尿素、又は、尿素水が供給される。
【0083】
また、CO2回収機構2が車両に搭載される場合であっても、建物に設置される場合であっても、清掃装置22による清掃により、CO2分離膜231を取り外さない運用が可能になる。
【0084】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1、1a 排気システム
2 CO2回収機構
11 エンジン
12 エンジンECU
13 エキゾーストマニホールド
14 触媒
15 マフラー
16 切り替え弁
21 CO2分離ECU
22 清掃装置
23 CO2分離装置
32 エバポレーター
33 貯水装置
221、222 弁
223 インジェクタ
224 ファン
231 CO2分離膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8