(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031601
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20240229BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
E02F9/00 N
E02F9/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135255
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平原 篤
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓則
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 昌志
(72)【発明者】
【氏名】陸田 優一
(72)【発明者】
【氏名】岡 秀和
(72)【発明者】
【氏名】寺内 謙一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA03
(57)【要約】
【課題】交換可能な内部搭載物がケーシングに格納されている建設機械において、内部搭載物を所望の位置に容易に設置できるようにする。
【解決手段】建設機械10は、下部走行体1と、旋回フレーム3と、カウンターウエイト7と、ケーシング20に格納された着脱可能な燃料タンクユニット51とを備える。ケーシング20は、上面に燃料タンクユニット51を出し入れ可能な開口8が形成された燃料タンクユニット51を格納する本体部21を有している。建設機械10は、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の外形に接する位置に設けられ、上下方向に延び、燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容する誘導部を有する位置決め部材70を備えている。位置決め部材70は、本体部21より上方に位置する外側部分71を有している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
上記下部走行体上に旋回可能に設けられた旋回フレームと、
上記旋回フレーム上の後部に設けられた後部搭載物と、
上記旋回フレーム上の上記後部搭載物の前側に設けられたケーシングに格納された着脱可能な内部搭載物とを備えた建設機械であって、
上記ケーシングは、上面に上記内部搭載物を出し入れ可能な開口が形成された上記内部搭載物を格納する本体部を有し、
平面視において所定の設置位置にある上記内部搭載物の外形に接する位置に設けられ、上下方向に延び、上記内部搭載物の上下方向の摺動を許容する誘導部を有する位置決め部材を備え、
上記位置決め部材は、上記本体部より上方に位置する外側部分を有している
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
上記外側部分は、少なくとも上端部が上記後部搭載物の上端よりも上方に位置する
ことを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
上記内部搭載物は、上下方向に延びる凹部を有し、
上記誘導部は、上記内部搭載物の上記凹部に嵌合する上下方向に延びる凸部であり、該凸部を上記内部搭載物の上記凹部に嵌合させた状態で上記内部搭載物を上記開口上方から下降させることにより、上記内部搭載物を上記所定の設置位置に導くものである
ことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械において、
上記内部搭載物は、上下方向に延びる凸部を有し、
上記誘導部は、上記内部搭載物の上記凸部が嵌合する上下方向に延びる凹部であり、上記内部搭載物の上記凸部を該凹部に嵌合させた状態で上記内部搭載物を上記開口上方から下降させることにより、上記内部搭載物を上記所定の設置位置に導くものである
ことを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項3に記載の建設機械において、
上記凹部の下端部は、上側から下側に向かう程、幅が広くなる下側拡幅部に構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項4に記載の建設機械において、
上記凹部の上端部は、下側から上側に向かう程、幅が広くなる上側拡幅部に構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記位置決め部材は、複数設けられている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記位置決め部材は、上記外側部分の下端に連続して下方に延びる内側部分を有し、
上記誘導部は、上記外側部分から上記内側部分に亘るように形成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記位置決め部材は、上記外側部分が上記本体部より上方に位置する上側位置と、上記外側部分が上記本体部より上方に位置しない下側位置との間において、移動可能に構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1つに記載の建設機械において、
上記本体部の上記開口を挟んだ上記位置決め部材に対向する位置に、上下方向に延びる第2の位置決め部材が設けられ、
上記第2の位置決め部材は、少なくとも上端部が、下側から上側に向かう程、上記開口から離れるように鉛直方向に対して傾いている傾斜部に構成されている
ことを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレーンや油圧ショベル等の建設機械は、自動車に比べて多大な動力を要するため、燃料や電力を十分に蓄えられる大型の燃料タンクやバッテリ等を搭載している。また、燃料や電力を補給する供給設備が建設現場にない又は手配が困難であることに備え、燃料タンクやバッテリを交換可能なカートリッジ式に構成することがある。
【0003】
下記の特許文献1には、バッテリを交換可能に構成することにより、作業現場にバッテリ充電設備を設置しなくても電力補給を可能にした建設機械が提案されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載の建設機械では、使用済みのバッテリが収納されたバッテリ筐体をクレーンで吊り上げて取り外し、充電済みのバッテリが収納されたバッテリ筐体をクレーン等で設置することで、作業現場にバッテリ充電設備を設置しなくても電力を補給できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の建設機械では、バッテリ筐体は、機械室に収容され、他の搭載物と共にケーシングで覆われている。そのため、バッテリ筐体を設置する際に、設置位置を目視できないまま、クレーンで吊り上げたバッテリ筐体を降ろさなければならず、設置位置がずれるおそれがあり、また、機体や他の構成機器に衝突してこれらを損傷するおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、交換可能な搭載物がケーシングに格納されている建設機械において、搭載物を所望の位置に容易に設置できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、交換可能な搭載物がケーシングに格納されている建設機械に、ケーシングの本体部より上方に位置する外側部分を有し、搭載物設置時に搭載物と当接することによって搭載物をケーシング内の所定の設置位置に導く位置決め部材を設けることとした。
【0009】
具体的には、第1の発明は、下部走行体と、上記下部走行体上に旋回可能に設けられた旋回フレームと、上記旋回フレーム上の後部に設けられた後部搭載物と、上記旋回フレーム上の上記後部搭載物の前側に設けられたケーシングに格納された着脱可能な内部搭載物とを備えた建設機械であって、上記ケーシングは、上面に上記内部搭載物を出し入れ可能な開口が形成された上記内部搭載物を格納する本体部を有し、平面視において所定の設置位置にある上記内部搭載物の外形に接する位置に設けられ、上下方向に延び、上記内部搭載物の上下方向の摺動を許容する誘導部を有する位置決め部材を備え、上記位置決め部材は、上記本体部より上方に位置する外側部分を有していることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、搭載物設置時に搭載物と当接することで搭載物を所定の設置位置に導く位置決め部材を設けることとしている。また、位置決め部材には、上下方向に延び、内部搭載物の上下方向の摺動を許容する誘導部があり、誘導部は、平面視において所定の設置位置にある内部搭載物の外形に接する位置に設けられている。さらに、位置決め部材は、本体部より上方に位置する外側部分を有している。そのため、離れた位置からでも視認できる位置決め部材の外側部分に向かってクレーン等で内部搭載物を移動させ、内部搭載物を位置決め部材の誘導部に当接させることにより、内部搭載物を容易に所定の設置位置の上方位置に配置する(位置決めする)ことができる。そして、内部搭載物を誘導部に当接させた位置で内部搭載物を誘導部に摺動させながら下降させれば、容易に内部搭載物を所定の設置位置に設置することができる。つまり、第1の発明によれば、位置決め部材を設けたことにより、内部搭載物を所定の設置位置の上方位置に容易に配置することができ、内部搭載物を機体や他の構成機器に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記外側部分は、少なくとも上端部が上記後部搭載物の上端よりも上方に位置することを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明では、位置決め部材の外側部分の少なくとも上端部が、後部搭載物の上端よりも上方に位置しているので、クレーン等を操作する作業者が建設機械の後方側にいる場合であっても、位置決め部材の外側部分の少なくとも上端部を視認することができる。従って、後部搭載物が嵩の高いものであっても、内部搭載物を所定の設置位置の上方位置に容易に配置することができる。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、上記内部搭載物は、上下方向に延びる凹部を有し、上記誘導部は、上記内部搭載物の上記凹部に嵌合する上下方向に延びる凸部であり、該凸部を上記内部搭載物の上記凹部に嵌合させた状態で上記内部搭載物を上記開口上方から下降させることにより、上記内部搭載物を上記所定の設置位置に導くものであることを特徴とするものである。
【0014】
第3の発明では、内部搭載物に上下方向に延びる凹部を形成し、位置決め部材の誘導部を内部搭載物の上記凹部に嵌合する上下方向に延びる凸部で構成し、誘導部(凸部)を内部搭載物の凹部に嵌合させた状態で内部搭載物を下降させることにより、内部搭載物を所定の設置位置に導くこととしている。このような構成により、内部搭載物を下降させる際に、内部搭載物の水平方向への位置ずれが規制される。従って、第3の発明によれば、内部搭載物を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0015】
第4の発明は、第1の発明において、上記内部搭載物は、上下方向に延びる凸部を有し、上記誘導部は、上記内部搭載物の上記凸部が嵌合する上下方向に延びる凹部であり、上記内部搭載物の上記凸部を該凹部に嵌合させた状態で上記内部搭載物を上記開口上方から下降させることにより、上記内部搭載物を上記所定の設置位置に導くものであることを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明では、内部搭載物に上下方向に延びる凸部を形成し、位置決め部材の誘導部を内部搭載物の凸部が嵌合する上下方向に延びる凹部で構成し、内部搭載物の凸部を誘導部(凹部)に嵌合させた状態で内部搭載物を下降させることにより、内部搭載物を所定の設置位置に導くこととしている。このような構成により、内部搭載物を下降させる際に、内部搭載物の水平方向への位置ずれが規制される。従って、第4の発明によれば、内部搭載物を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0017】
第5の発明は、第3の発明において、上記凹部の下端部は、上側から下側に向かう程、幅が広くなる下側拡幅部に構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
第5の発明では、内部搭載物に形成された凹部の下端部を、上側から下側に向かう程、幅が広くなる下側拡幅部に構成することとしている。このような構成により、開口上方でクレーン等に吊り上げられた内部搭載物の凹部が位置決め部材の凸部(誘導部)に対応するように内部搭載物の位置合わせをする際に、凹部の下端部の幅が広いため、内部搭載物の位置が凹部の幅方向に多少ずれていても、位置決め部材の凸部に対して凹部の下端部を嵌合させることができる。そして、位置決め部材の凸部を凹部に嵌合させた状態で内部搭載物を下降させると、内部搭載物の位置が修正される。従って、第5の発明によれば、内部搭載物を所望の位置により容易に設置することができる。
【0019】
第6の発明は、第4の発明において、上記凹部の上端部は、下側から上側に向かう程、幅が広くなる上側拡幅部に構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
第6の発明では、位置決め部材の凹部(誘導部)の上端部を、下側から上側に向かう程、幅が広くなる上側拡幅部に構成することとしている。このような構成により、位置決め部材の上方で凹部が凸部と対応するように内部搭載物の位置合わせをする際に、凹部の上端部の幅が広いため、位置合わせが容易になり、凹部と凸部を嵌合させ易くなる。従って、第6の発明によれば、内部搭載物を所望の位置により容易に設置することができる。
【0021】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、上記位置決め部材は、複数設けられていることを特徴とするものである。
【0022】
第7の発明では、位置決め部材を複数設けたため、内部搭載物を複数の位置決め部材の誘導部に当接させて下降させることができる。そのため、内部搭載物設置時に、クレーン等で吊り下げられた内部搭載物を水平面内で回動させて複数の位置決め部材の誘導部に当接させることにより、内部搭載物を所定の設置位置の上方位置において所望の向きに配置する(位置決めする)ことができる。また、内部搭載物を複数の位置決め部材の誘導部に摺動させながら下降させることにより、内部搭載物を所望の向きのまま下降させることができるため、内部搭載物を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0023】
第8の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、上記位置決め部材は、上記外側部分の下端に連続して下方に延びる内側部分を有し、上記誘導部は、上記外側部分から上記内側部分に亘るように形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
第8の発明では、内部搭載物設置時に、内部搭載物が開口上方にあるときだけでなく開口上方からケーシングの本体部内に侵入して所定の設置位置に至るまで、内部搭載物を位置決め部材の誘導部に当接させたまま下降させることができる。つまり、第8の発明によれば、開口上方から本体部の内部の所定の設置位置に至るまで内部搭載物を所望の経路で位置ずれさせることなく下降させることができる。従って、第8の発明によれば、内部搭載物が本体部の上方にあるときだけでなく、内部に侵入した後も、内部搭載物を誘導部に当接させたまま下降させることができるので、内部搭載物をケーシングの本体部内において他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく精度良く所望の位置に設置することができる。
【0025】
第9の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、上記位置決め部材は、上記外側部分が上記本体部より上方に位置する上側位置と、上記外側部分が上記本体部より上方に位置しない下側位置との間において、移動可能に構成されている
ことを特徴とするものである。
【0026】
第9の発明では、位置決め部材を上側位置と下側位置とで移動可能に構成することにより、必要な際(内部搭載物設置時)にのみ位置決め部材の外側部分を本体部より上方に位置させて内部搭載物を設置する際の目印とし、目印が不要な際には、外側部分を本体部の内部に収容することで不要な突起物をなくすことができる。また、位置決め部材を離れた位置からでも視認できる高さ位置に位置させるのに際して、位置決め部材を上側位置に移動させる操作をすればよく、位置決め部材の上下方向の長さを長く構成する必要がない。
【0027】
第10の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、上記本体部の上記開口を挟んだ上記位置決め部材に対向する位置に、上下方向に延びる第2の位置決め部材が設けられ、上記第2の位置決め部材は、少なくとも上端部が、下側から上側に向かう程、上記開口から離れるように鉛直方向に対して傾いている傾斜部に構成されていることを特徴とするものである。
【0028】
第10の発明では、本体部の開口を挟んだ位置決め部材に対向する位置に、少なくとも上端部が下側から上側に向かう程開口から離れるように鉛直方向に対して傾いている傾斜部に構成された第2の位置決め部材が設けられている。そのため、クレーン等で吊り上げられた内部搭載物が開口上方において所望の位置よりも第2の位置決め部材寄りに配置された場合であっても、内部搭載物を下降させる際に、内部搭載物が第2の位置決め部材の傾斜部と当接することにより、内部搭載物の位置が位置決め部材側に修正される。従って、第10の発明によれば、開口上方において内部搭載物の位置合わせを精度よく行わなくても、内部搭載物を円滑に下降させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、交換可能な搭載物がケーシングに格納されている建設機械に、ケーシングの本体部より上方に位置する外側部分を有し、搭載物設置時に搭載物と当接することによって搭載物をケーシング内の所定の設置位置に導く位置決め部材を設けることとしたため、内部搭載物を所望の位置に容易に設置できる建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る建設機械の全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る建設機械の上部旋回体の機器配置の概要を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2において機械室のケーシングを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る建設機械の駆動系統図である。
【
図6】
図6は、使用済みの燃料タンクユニットを取り外す手順を示す説明図である。
【
図7】
図7は、充填済みの燃料タンクユニットを設置する手順を示す説明図である。
【
図8】
図8は、ユニット設置時の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る建設機械の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態2の変形例1に係る建設機械の位置決め部材を拡大して示す横断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る建設機械の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態4に係る建設機械の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態5に係る建設機械の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態6に係る建設機械の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態7に係る建設機械の概略構成を示す側面図である。
【
図16】
図16は、実施形態7に係る建設機械の第2の位置決め部材付近を拡大して示す斜視図である。
【
図17】
図17は、その他の実施形態に係る建設機械のガードフレームとは別体に構成された位置決め部材の概略構成を示す縦断面図である。
【
図18】
図18は、その他の実施形態に係る建設機械の昇降可能に構成された位置決め部材の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0032】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、実施形態1では、本発明に係る建設機械10の一例として油圧ショベルについて説明する。なお、以下の説明では、
図1~
図4に示すように、建設機械10の前後、左右、上下方向を、それぞれ前後、左右、上下方向と言う。
【0033】
図1に示すように、建設機械10は、クローラ式の下部走行体1と、下部走行体1上に旋回自在に搭載された上部旋回体2とを備えている。
【0034】
下部走行体1は、走行油圧モータ11aと走行油圧モータ11aによって駆動されるクローラ11bとを左右に有するのクローラ機構11を有している。左右のクローラ11bの走行油圧モータ11aを同方向に回転させると、建設機械10が前進又は後退し、左右のクローラ11bの走行油圧モータ11aを逆方向に回転させる又は一方のみを回転させると、建設機械10が回転する。また、下部走行体1は、クローラ機構11の上部略中央に、上部旋回体2を旋回自在に支持する旋回ベアリング12を有している。なお、上部旋回体2は、後述する油圧回路40の油圧旋回モータ45が油圧ポンプ41から作動油の供給を受けることにより下部走行体1に対して旋回する。
【0035】
下部走行体1の走行油圧モータ11aは、上部旋回体2に設けられる後述する油圧回路40のコントロールバルブ43と油圧配管14を介して接続されるが、上部旋回体2の旋回によって油圧配管14がねじれないように、スイベルジョイント13を介して接続されている。スイベルジョイント13は、旋回ベアリング12の略中央(旋回中心)に設けられている。
【0036】
上部旋回体2は、旋回フレーム3と、該旋回フレーム3の前端部に起伏可能に取り付けられて土砂等の掘削作業を行うアタッチメント4と、キャブ5と、機械室6と、カウンターウエイト7とを備えている。
【0037】
図2~
図4に示すように、旋回フレーム3は、上部旋回体2の底面を構成する台状の支持部材である。旋回フレーム3の左右方向の中程には、一対の縦板3a,3aが立設されている。一対の縦板3a,3aは、左右に間隔を空けて平行に配置され、旋回フレーム3の上に固定されている。一対の縦板3a,3aは、旋回フレーム3の前端部から後端部に亘る長さに形成されている。このような一対の縦板3a,3aが左右方向の中程に設けられることにより、旋回フレーム3の剛性が高められる。一対の縦板3a,3aの前端部には、アタッチメント4の基端部が揺動可能に取り付けられている。
【0038】
図1に示すように、アタッチメント4は、ブーム4aと、アーム4bと、バケット4cと、油圧シリンダ4d~4fとを備えている。ブーム4aは、基端部が一対の縦板3a,3aの前端部に揺動可能に取り付けられ、油圧ポンプ41から作動油が供給されて伸縮する油圧シリンダ4dの伸縮に応じて一対の縦板3a,3aに対して揺動する。アーム4bは、基端部がブーム4aの先端部に揺動可能に取り付けられ、油圧ポンプ41から作動油が供給されて伸縮する油圧シリンダ4eの伸縮に応じてブーム4aに対して揺動する。バケット4cは、アーム4bの先端部に揺動可能に取り付けられ、油圧ポンプ41から作動油が供給されて伸縮する油圧シリンダ4fの伸縮に応じてアーム4bに対して揺動する。なお、アタッチメント4の構成はこれに限定されない。
【0039】
キャブ5は、運転シートや各種制御機器、操作機器等が装備された箱形の運転室である。
図4に示すように、キャブ5は、アタッチメント4の左側に隣接して位置するように旋回フレーム3上の前部左側に配設されている。
【0040】
機械室6は、発電機器室6Aと油圧機器室6Bとを有している。発電機器室6Aは、旋回フレーム3上の後部であってカウンターウエイト7の直前において左端部から右端部に亘る後部6A1と、該後部とキャブ5との間において後部から前側に突出する前部6A2とを有し、平面視略L字形状に形成されている。油圧機器室6Bは、旋回フレーム3上の右側の縦板3aよりも右側において、発電機器室6Aの前側に連続し、前後方向の中程から前端部に亘る平面視略I字形状に形成されている。発電機器室6Aには、発電機器と電動モータ53とが収容され、油圧機器室6Bには、電動モータ53によって駆動され、各種油圧アクチュエータ44に作動油を供給する油圧ポンプ41等の油圧機器が収容されている。発電機器室6Aと油圧機器室6Bとは、収容される各構成機器が露出しないようにケーシング20で覆われている。
【0041】
[ケーシング]
ケーシング20は、後述する燃料タンクユニット(着脱可能な搭載物)51を出し入れするための開口8が上面に形成された本体部21と、該本体部21の上方に設けられて開口8を開閉するボンネット(蓋部)22とを有している。
【0042】
(本体部)
本体部21は、ガードフレーム23と、ガードカバー24と、ポンプカバー25と、タンクカバー26と、バルブカバー27とを有している。ガードフレーム23とガードカバー24とによって発電機器室6Aが区画され、ポンプカバー25とタンクカバー26とバルブカバー27とによって油圧機器室6Bが区画されている。
【0043】
ガードフレーム23は、複数の支柱28と複数の梁29とで構成されている。支柱28や梁29は、断面L字状やU字状の鋼材で形成されている。各支柱28の下端部は、旋回フレーム3に設けられたブラケット等にボルトで固定されている。各梁29は、ボルトで複数の支柱28の同じ高さ位置に固定され、所定の箱形の枠構造に組み付けられている。
【0044】
支柱28は、旋回フレーム3上の第1~第8位置にそれぞれ立設されている。旋回フレーム3上の左端部でキャブ5の直ぐ後ろの第1位置には第1支柱28aが立設され、左側の縦板3aの直ぐ左側で第1位置の右側方の第2位置には第2支柱28bが立設され、第1位置の後方の第3位置には第3支柱28cが立設され、旋回フレーム3の右端部で第3位置の右側方の第4位置には第4支柱28dが立設され、第3位置の後方でカウンターウエイト7の直前の第5位置には第5支柱28eが立設され、第4位置の後方で第5位置の右側方の第6位置には第6支柱28fが立設され、第2位置の後方で第3位置の右側方の第7位置には第7支柱28gが立設され、第6位置と第7位置との略中間の第8位置には第8支柱28hが立設されている。第7支柱28g及び第8支柱28hは、第1~第6支柱28a~25fよりも長く形成され、後述する位置決め部材70を構成する。
【0045】
梁29は、第1及び第2位置の支柱28間、第1及び第3位置の支柱28間、第2及び第7位置の支柱28間、第3及び第7位置の支柱28間、第7及び第8位置の支柱28間、第8及び第4位置の支柱28間、第3及び第5位置の支柱28間、第4及び第6位置の支柱28間、第5及び第6位置の支柱28間をそれぞれ連結するように複数設けられている。複数の梁29は、それぞれ同じ高さ位置で支柱28を連結している。なお、各梁29は、第1~第6支柱28a~25fの上端部の高さ位置に設けられる。そのため、後述する位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、各梁29の上面よりも上方に突出している。
【0046】
ガードカバー24は、ガードフレーム23の支柱28及び梁29に取り付けられた複数の鋼板からなるパネルで構成されている。本実施形態1では、ガードカバー24は、発電機器室6Aの後部6A1の上面と左右側面と背面と前面の露出部分の上部(後述する足場部材30の上面よりも上方)とがガードカバー24で覆われ、発電機器室6Aの前部6A2の上面と左右側面と前面とがガードカバー24で覆われている。上述の開口8は、本体部21の上面を構成するガードカバー24の上面に形成されている。具体的には、開口8は、ガードカバー24を構成するパネルのうち、燃料タンクユニット51が収容される発電機器室6Aの後部6A1の上面を構成するパネルに形成されている。
【0047】
なお、開口8が形成された発電機器室6Aの後部6A1の上面を構成するパネル(ガードカバー24の一部)は、第1~第6支柱28a~25f及び各梁29の上面に取り付けられている。そのため、後述する位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、開口8が形成された発電機器室6Aの後部6A1の上面を構成するパネル(ガードカバー24の一部)の上面(本体部21の上面)よりも上方に突出している。つまり、第7支柱28g及び第8支柱28hは、本体部21から上方に食み出ることとなる。なお、第7支柱28g及び第8支柱28hは、本体部21から上方に食み出るが、後述するボンネット22を閉めると、ボンネット22の内部、即ち、発電機器室6A(機械室)の内部に収まるように設けられている。なお、ボンネット22は、開口8を開閉することのできるものであればよく、第7支柱28g及び第8支柱28hの本体部21から上方にはみ出した部分(後述する位置決め部材70の外側部分71)についてはボンネット22により覆われていなくてもよい。
【0048】
また、上述したように、開口8は、燃料タンクユニット(着脱可能な搭載物)51を交換する際に、燃料タンクユニット51の出入口となる。そのため、開口8は、燃料タンクユニット51の出し入れが可能な大きさに形成されている。本実施形態1では、開口8は、平面視において前後の長さよりも左右の長さが長い長方形状に形成されている。また、開口8は、後述する位置決め部材70となる第7支柱28g及び第8支柱28hが開口8の周縁部(本実施形態1では、前縁部)に配置されるように形成されている。
【0049】
ガードカバー24を構成するパネルのうち、燃料タンクユニット51が収容される発電機器室6Aの左右側面を構成するパネルは、開閉可能に形成されている。発電機器室6Aの左右側面を構成するパネルのいずれか一方を開けることにより、後述する燃料タンクユニット51の交換時に、燃料タンクユニット51に接続される配管を着脱し、燃料タンクユニット51を設置位置において固定する又は固定を解除することができる。また、発電機器室6Aの左右側面を構成するパネルのいずれか一方を開けることにより、発電機器室6A内に収容された各種発電機器のメンテナンスを行うことができる。
【0050】
以上のような構成のガードフレーム23とガードカバー24とによって発電機器室6Aが区画され、発電機器室6Aには、燃料タンクユニット(内部搭載物)51と、発電ユニット52と、電動モータ53と、ラジエータ54とが収容されている。
【0051】
発電機器室6A内の左右方向の中央部分に燃料タンクユニット51と発電ユニット52とが配置されている。旋回フレーム3上に発電ユニット52が固定され、燃料タンクユニット51は、発電ユニット52の上(所定の設置位置)に設置され、図示しない固定具で位置ずれしないように設置位置に固定されている。例えば、発電機器室6A内に設置台が設置され、設置台の上面には燃料タンクユニット51が搭載され、設置台の下方には発電ユニット52が収容される。設置台の上面に搭載された燃料タンクユニット51と設置台とはボルト締め等により固定される。燃料タンクユニット51及び発電ユニット52には、燃料タンクユニット51内の燃料を発電ユニット52に導くための配管等が接続される。
【0052】
本実施形態1では、燃料タンクユニット51は、設置位置において上端が本体部21の上面よりも上方に位置するように設けられる。なお、燃料タンクユニット51の上端部は、本体部21から上方に食み出るが、ボンネット22を閉めると、ボンネット22の内部、即ち、発電機器室6A(機械室)の内部に収まるように設けられている。本実施形態1では、燃料タンクユニット51は、ケーシング20内において上方に他の構成機器が配置されない最上部に配置されるものである。なお、燃料タンクユニット51の設置位置は、燃料タンクユニット51がケーシング20に格納されるものであればよく、上述の位置に限られない。燃料タンクユニット51の設置位置は、燃料タンクユニット51が本体部21から上方に食み出さず、全体が本体部21の内部に収容される位置であってもよい。また、燃料タンクユニット51は、設置台を用いることなく、旋回フレーム3上に搭載されるものであってもよい。
【0053】
発電機器室6A内の発電ユニット52の右側には電動モータ53が配置され、左側にはラジエータ54が収容されている。発電機器室6Aの前面の油圧機器室6Bが連続する部分はガードカバー24で覆われておらず、油圧機器室6Bと連通している。電動モータ53は、油圧機器室6B内に配置される油圧ポンプ41に接続され、油圧ポンプ41を駆動する。
【0054】
油圧機器室6Bを区画するポンプカバー25とタンクカバー26とバルブカバー27とは、ガードカバー24と同様に、複数の鋼板からなるパネルで構成されている。油圧機器室6Bには、油圧ポンプ41と作動油タンク42とコントロールバルブ43とが収容されている。油圧ポンプ41と作動油タンク42とコントロールバルブ43は、旋回フレーム3上において後方から前方へこの順に設置されている。そして、ポンプカバー25とタンクカバー26とバルブカバー27とは、旋回フレーム3上において後方から前方へこの順に連続して設けられている。
【0055】
ポンプカバー25は、油圧ポンプ41の左右側面と上面とを覆い、タンクカバー26は、作動油タンク42の左右側面と上面とを覆い、バルブカバー27は、コントロールバルブ43の左右側面と上面と前面とを覆う。本実施形態1では、ポンプカバー25及びタンクカバー26は、上面が、開口8が形成された発電機器室6Aの後部6A1の上面を構成するパネルの上面よりも低くなるように構成されている。バルブカバー27は、上面が、ポンプカバー25及びタンクカバー26の上面よりも低く、階段状に形成されている。
【0056】
(ボンネット)
ボンネット22は、本体部21の上方に設けられて開口8を開閉する蓋体である。ボンネット22は、開口8を開放又は閉塞することができるように、図示しない蝶番を介して本体部21の上面部に取り付けられている。ボンネット22は、開口8を閉塞する閉位置で、上方に膨出する容器状に形成されている。そのため、ボンネット22が閉位置にあるとき、発電機器室6A内の一部の領域(燃料タンクユニット51の搭載領域)の物品収容スペースが上方に拡張されることとなる。ボンネット22を開けて開口8を露出させることにより、後述する燃料タンクユニット51の出し入れ及び発電機器室6A内に収容された各種発電機器のメンテナンスを行うことができる。
【0057】
本実施形態1では、ボンネット22は、右端部に取り付けられた蝶番の回動軸を中心に回動することによって開閉する。そのため、本実施形態1では、ボンネット22を開閉する作業者がボンネット22の直ぐ前方の位置に立てるように、一対の縦板3a,3a間であって発電機器室6Aの前側に足場部材30が設けられている。足場部材30は、平面視矩形状の鋼板からなるパネルによって構成されている。足場部材30は、上面がポンプカバー25の上面と同じ高さとなるように設けられている。
【0058】
機械室6は、以上のように構成される。なお、油圧回路40に接続される油圧機器のうち、油圧旋回モータ45は、旋回フレーム3上に設置されるが、油圧機器室6Bの外部に配置されている。油圧旋回モータ45は、旋回フレーム3上の一対の縦板3a,3aの間のスイベルジョイント13の右後方に設置されている。
【0059】
カウンターウエイト7は、機械室6(発電機器室6A)の後方に設けられている。具体的には、カウンターウエイト7は、旋回フレーム3の一対の縦板3a,3aの後端部に取り付けられている。カウンターウエイト7は、前端部にアタッチメント4が取り付けられる一対の縦板3a,3aの後端部に取り付けられることにより、アタッチメント4との重量バランスを取る。
【0060】
[駆動系統]
図5に示すように、建設機械10は、各油圧アクチュエータ44(下部走行体1の左右のクローラの走行油圧モータ11a、上部旋回体2の油圧旋回モータ45、及びアタッチメント4の油圧シリンダ4d~4f)を作動させるための油圧回路40と、油圧回路40の油圧ポンプ41を駆動する駆動装置50とを備えている。
【0061】
油圧回路40には、油圧ポンプ41と、作動油タンク42と、コントロールバルブ43と、各油圧アクチュエータ44とが接続されている。
【0062】
油圧ポンプ41には、作動油タンク42とコントロールバルブ43とが接続されている。油圧ポンプ41は、電動モータ53によって駆動され、作動油タンク42から作動油を吸入し、コントロールバルブ43に向かって吐出する。コントロールバルブ43は、油圧ポンプ41から吐出された作動油を各油圧アクチュエータ44に分配し、各油圧アクチュエータ44を作動させる。コントロールバルブ43は、各油圧アクチュエータ44に供給される作動油の供給方向及び供給量を制御することにより、下部走行体1を走行させ、上部旋回体2を旋回させ、アタッチメント4のブーム4a,アーム4b及びバケット4cを動作させる。
【0063】
本実施形態1では、駆動装置50は、水素を動力源として油圧ポンプ41を駆動するように構成されている。具体的には、駆動装置50は、燃料タンクユニット51と、発電ユニット52と、電動モータ53とを備えている。
【0064】
燃料タンクユニット51は、複数の燃料タンク55と、複数の燃料タンク55を保持する保持部材56とを有している。燃料タンク55は、水素ガスが充填された略円筒形状の水素タンクであり、本実施形態1では、4本設けられている。保持部材56は、4本の燃料タンク55が内蔵される筐体で構成されている。保持部材56は、例えば、鋼板等で形成され、内部において4本の燃料タンク55を保持するように構成されている。
【0065】
発電ユニット52は、燃料電池ユニット57と、電力変換装置58と、バッテリ59と、これらを保持する保持部材60とを有している。燃料電池ユニット57は、燃料タンクユニット51と電力変換装置58とに接続され、燃料タンク55から供給された水素と酸素との化学反応によって発電し、発電した直流電力を電力変換装置58に供給する。また、燃料電池ユニット57は、バッテリ59にも接続され、例えば、低負荷時の余剰電力をバッテリ59に蓄積し、高負荷時に利用する。電力変換装置58は、燃料電池ユニット57と電動モータ53に接続され、燃料電池ユニット57から供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータ53に供給する。保持部材60は、燃料電池ユニット57と電力変換装置58とバッテリ59とが内蔵される筐体で構成されている。保持部材60は、例えば、鋼板等で形成されている。
【0066】
電動モータ53は、電力変換装置58と電気的に接続されると共に、油圧ポンプ41を回転駆動するように油圧ポンプ41の回転軸に連結されている。電動モータ53は、電力変換装置58から供給される交流電流によって駆動され、油圧ポンプ41を回転駆動する。油圧ポンプ41の回転駆動により、油圧回路40の作動油が各油圧アクチュエータに供給され、下部走行体1が走行し、上部旋回体2が旋回し、又はアタッチメント4のブーム4a,アーム4b及びバケット4cが動作する。
【0067】
[位置決め部材]
建設機械10では、燃料タンクユニット51は、発電機器室6A内の発電ユニット52の上(所定の設置位置)において固定解除可能な固定具で固定されることにより、所定の設置位置に着脱可能に設置されている。建設機械10では、このように燃料タンクユニット51を着脱可能に搭載することにより、使用済みの燃料タンクユニット51と燃料充填済みの燃料タンクユニット51とを交換することで燃料を補給できるようにしている。このような構成により、建設機械10に4本の燃料タンク55を搭載した状態で各燃料タンク55に燃料を補給する場合と比較して、建設機械10への燃料補給に要する時間を短縮することができる。
【0068】
ところで、複数の燃料タンク55が内蔵された燃料タンクユニット(内部搭載物)51は、大型であるため、取り外し及び設置にクレーン61が用いられる。燃料タンクユニット51は、建設機械10の外方からは視認できない機械室6(本実施形態1では、発電機器室6A)のケーシング20内に収容されるものであるため、設置時に、クレーン61の操作者が燃料タンクユニット(内部搭載物)51の設置位置を視認できず、燃料タンクユニット(内部搭載物)51の位置合わせが困難なものとなる。
【0069】
そこで、本実施形態1では、発電機器室(機械室)6Aのケーシング20のボンネット(蓋部)22を開けて燃料タンクユニット(内部搭載物)51を開口8の上方から下降させてケーシング20の本体部21内に設置するユニット設置時(搭載物設置時)に、容易に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に設置することができるように、目印となる位置決め部材70が設けられている。位置決め部材70は、ユニット設置時に燃料タンクユニット51と当接させた状態で燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容することにより、燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く誘導部を有している。また、位置決め部材70は、本体部21の上面より上方に位置する外側部分71を有するように構成されている。
【0070】
具体的には、本実施形態1では、本体部21のガードフレーム23を構成する2本の上下方向に延びる支柱(第7支柱28g及び第8支柱28h)が位置決め部材70となる。本実施形態1では、第7支柱28g及び第8支柱28hは、開口8の前縁部に設けられ、凹凸のない滑らかな面として形成された後面が、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の前面(外形)に接する位置に配置されるように設けられている。第7支柱28g及び第8支柱28hの後面は、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の外形に接する位置に設けられ、上下方向に延び、燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容する誘導部を構成する。
【0071】
なお、本実施形態1では、燃料タンクユニット51は、平面視において前面が開口8の前縁と重なる前後方向位置に設置されるため、第7支柱28g及び第8支柱28hが、開口8の内側に出っ張らないが、燃料タンクユニット51が、開口8の前縁よりも後方の位置に設置される場合、第7支柱28g及び第8支柱28hは、開口8の内側に出っ張るように設ければよい。このように第7支柱28g及び第8支柱28h(位置決め部材70)を配置することにより、平面視において位置決め部材70の誘導部(第7支柱28g及び第8支柱28hの後面)が所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の外形(前面)に接する位置に配置される。
【0072】
また、第7支柱28g及び第8支柱28hは、本体部21の上面(ガードカバー24の上面)を構成するパネルよりも上方に突出している。つまり、位置決め部材70となる第7支柱28g及び第8支柱28hは、本体部21の上面より上方に突出する外側部分71を有している。なお、位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、ユニット設置時に、クレーン61を操作する作業者が外側部分71を視認できる長さ(上端の高さ)に形成されている。また、位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、外側部分71の少なくとも上端部が、カウンターウエイト(後部搭載物)7の上端よりも上方に位置するように設けられている。
【0073】
このような構成により、ユニット設置時には、離れた位置からでも視認できる位置決め部材70(第7支柱28g及び第8支柱28h)の外側部分71に向かってクレーン61で燃料タンクユニット51を移動させ、該燃料タンクユニット51の前面(筐体からなる保持部材56の前面)を位置決め部材70の後面(誘導部)に当接させることにより、開口8の上方において燃料タンクユニット51を、所定の設置位置の上方位置(下降させるだけで燃料タンクユニット51を所定の設置位置に搭載できる位置)に容易に且つ前後方向に関して正確に配置すること(位置決め)ができる。また、例えば、第7支柱28g及び第8支柱28hが開口8の左右方向における中間の位置から等距離の位置に設置されている場合には、2つの位置決め部材70(第7支柱28g及び第8支柱28h)の外側部分71から開口8の左右方向の中間の位置を認識することができるため、開口8の上方において燃料タンクユニット51を、所定の設置位置の上方位置に左右方向に関しても正確に配置することができる。
【0074】
そして、燃料タンクユニット51の前面を位置決め部材70の後面(誘導部)と摺動させながら燃料タンクユニット51を下降させると、該燃料タンクユニット51は、所定の設置位置に導かれる。
【0075】
また、本実施形態1では、第7支柱28g及び第8支柱28hは、本体部21の上面より上方の位置から下方へ延び、旋回フレーム3の上面まで延びている。これにより、凹凸のない滑らかな面として形成された第7支柱28g及び第8支柱28hの後面(位置決め部材70の誘導部)も、本体部21の上面より上方の位置から旋回フレーム3の上面まで延びている。そのため、ユニット設置時に、燃料タンクユニット51の前面を位置決め部材70の外側部分71の後面(誘導部)に摺動させて下降させると、本体部21の内部においても位置決め部材70の後面(誘導部)が燃料タンクユニット51の前面に摺動して燃料タンクユニット51を所定の設置位置まで位置ずれさせることなく導くこととなる。つまり、本実施形態1では、位置決め部材70となる第7支柱28g及び第8支柱28hは、外側部分71の下端に連続して下方に延び、本体部21の内部において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51に接する内側部分79を有している。従って、燃料タンクユニット51を設置台の上面に設置した際に、上端が本体部21の上面よりも下方に位置するような高さの低い燃料タンクユニット51を搭載する場合においても、燃料タンクユニット51を第7支柱28g及び第8支柱28hの後面(位置決め部材70の誘導部)に摺動させることで、燃料タンクユニット51の上端が開口8から本体部21内に侵入した状態であっても、燃料タンクユニット51を所定の設置位置まで導くことができる。
【0076】
なお、燃料タンクユニット51が、所定の設置位置において、本体部21の前側の内壁面に当接する場合、内側部分79は、本体部21の前側の内壁面によって構成されていてもよい。
【0077】
[燃料タンクユニットの交換方法]
次に、燃料タンクユニット51の交換方法について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、使用済みの燃料タンクユニット51aを取り外す手順(取り外し方法)を示し、
図7は、充填済みの燃料タンクユニット51bを設置する手順(設置方法)を示している。
【0078】
(取り外し方法)
まず、
図6(a)に示すように、発電機器室6Aの左右側面を構成するパネル(ガードカバー24の一部)を開け、使用済みの燃料タンクユニット51aに接続されている配管を取り外すと共に、使用済みの燃料タンクユニット51aを設置位置に固定する固定具を操作することにより、使用済みの燃料タンクユニット51aの固定を解除する。
【0079】
次に、
図6(b)に示すように、充填済みの燃料タンクユニット51bが積載されたクレーン車60を建設機械10に近づけ、ボンネット22を開けて開口8を露出させる。そして、使用済みの燃料タンクユニット51aをクレーン61のフックに引っ掛ける玉掛け作業を行う。
【0080】
玉掛け作業が終了すると、
図6(c)に示すように、クレーン61を操作することにより、使用済みの燃料タンクユニット51aを真上に引き上げ、開口8から機械室6の外部へ取り出す。そして、クレーン61を回動させて使用済みの燃料タンクユニット51aをクレーン車60の荷台上方に移動させた後、荷台に降ろし、クレーン61のフックから使用済みの燃料タンクユニット51aを取り外す玉掛け作業を行う。
【0081】
以上の手順により、使用済みの燃料タンクユニット51aが取り外される。
【0082】
(設置方法)
まず、クレーン車60の荷台に積載された充填済みの燃料タンクユニット51bをクレーン61のフックに引っ掛ける玉掛け作業を行う。玉掛け作業が終了すると、
図7(a)に示すように、クレーン61で充填済みの燃料タンクユニット51bを引き上げ、クレーン61を回動させることにより、充填済みの燃料タンクユニット51bを開口8の真上に移動させる。このとき、
図9に示すように、位置決め部材70(第7支柱28g及び第8支柱28h)の本体部21の上面より上方に位置する外側部分71を目印にして、充填済みの燃料タンクユニット51bの筐体からなる保持部材56の前面が、位置決め部材70の後面(誘導部)に当接するように位置合わせを行い、充填済みの燃料タンクユニット51bを所定の設置位置の上方位置に配置する。そして、充填済みの燃料タンクユニット51bを、前面を位置決め部材70の後面(誘導部)に摺動させながら下降させる。これにより、充填済みの燃料タンクユニット51bが、位置決め部材70に沿って下降し、所定の設置位置に導かれる。
【0083】
充填済みの燃料タンクユニット51bを所定の設置位置に配置した後、
図7(a)に示すように、クレーン61のフックから充填済みの燃料タンクユニット51bを取り外す玉掛け作業を行う。玉掛け作業が終了すると、
図7(c)に示すように、固定具を操作して充填済みの燃料タンクユニット51bを設置位置に固定し、充填済みの燃料タンクユニット51bに発電ユニット52(燃料電池ユニット57)と接続する配管を接続する。
【0084】
以上の手順により、充填済みの燃料タンクユニット51bが設置(搭載)される。
【0085】
-実施形態1の効果-
本実施形態1の建設機械10では、ケーシング20のボンネット22を開けて燃料タンクユニット51(内部搭載物)を開口8上方から下降させて本体部21内に設置するユニット設置時(搭載物設置時)に、燃料タンクユニット51と当接することで燃料タンクユニット51を所定の設置位置に導く位置決め部材70を設けることとしている。位置決め部材70には、上下方向に延び、燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容する誘導部(後面)があり、誘導部(後面)は、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の外形に接する位置に設けられている。さらに、位置決め部材70は、ユニット設置時に本体部21より上方に位置する外側部分71を有している。そのため、離れた位置からでも視認できる位置決め部材70の外側部分71に向かってクレーン61で燃料タンクユニット51を移動させ、燃料タンクユニット51を位置決め部材70の誘導部(後面)に当接させることにより、燃料タンクユニット51を容易に所定の設置位置の上方位置に配置する(位置決めする)ことができる。そして、燃料タンクユニット51を位置決め部材70の誘導部(後面)に当接させた位置で燃料タンクユニット51を位置決め部材70の誘導部(後面)に摺動させながら下降させれば、容易に燃料タンクユニット51を所定の設置位置に設置することができる。つまり、本実施形態1によれば、位置決め部材70を設けたことにより、燃料タンクユニット51を所定の設置位置の上方位置に容易に配置することができ、燃料タンクユニット51を機体や他の構成機器に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0086】
また、本実施形態1の建設機械10では、位置決め部材70の外側部分71の少なくとも上端部が、カウンターウエイト(後部搭載物)7の上端よりも上方に位置しているので、クレーン61を操作する作業者が建設機械10の後方側にいる場合であっても、位置決め部材70の外側部分71の少なくとも上端部を視認することができる。従って、カウンターウエイト7が嵩の高いものであっても、燃料タンクユニット51を所定の設置位置の上方位置に容易に配置することができる。
【0087】
また、本実施形態1の建設機械10では、燃料タンクユニット51は、ケーシング20内において上方には開閉可能なボンネット22のみが配置されるものであるため、交換時に他の構成機器を取り外す必要がなく、容易に交換できる。
【0088】
また、本実施形態1の建設機械10では、位置決め部材70を2つ(複数)設けたため、燃料タンクユニット51を2つの位置決め部材70の後面(誘導部)に当接させて下降させることができる。そのため、ユニット設置時に、クレーン61で吊り下げられた燃料タンクユニット51を水平面内で回動させて前面を2つの位置決め部材70の後面(誘導部)に当接させることにより、燃料タンクユニット51を所定の設置位置の上方位置において所望の向きに配置する(位置決めする)ことができる。また、燃料タンクユニット51の前面を2つの位置決め部材70の後面(誘導部)に摺動させながら下降させることにより、燃料タンクユニット51を所望の向きのまま下降させることができるため、燃料タンクユニット51を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0089】
また、本実施形態1の建設機械10では、位置決め部材70を、外側部分71の下端に連続して下方に延びる内側部分79を有するように構成し、位置決め部材70の後面(誘導部)を、外側部分71から内側部分79に亘って凹凸のない滑らかな面となるように形成している。そのため、ユニット設置時に、燃料タンクユニット51が開口上方にあるときだけでなく開口8の上方からケーシング20の本体部21内に侵入して所定の設置位置に至るまで、燃料タンクユニット51を位置決め部材70の後面(誘導部)に当接させたまま下降させることができる。つまり、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51の高さに関わらず、開口8上方から本体部21の内部の所定の設置位置に至るまで燃料タンクユニット51を所望の経路で位置ずれさせることなく下降させることができる。従って、本実施形態1の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51が本体部21の上方にあるときだけでなく、内部に侵入した後も、燃料タンクユニット51を位置決め部材70の後面(誘導部)に当接させたまま下降させることができるので、燃料タンクユニット51をケーシング20の本体部21内において他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく精度良く所望の位置に設置することができる。
【0090】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の建設機械10の一部の構成を変更し、位置決め部材70と燃料タンクユニット51とが嵌合するように構成したものである。
【0091】
具体的には、
図9に示すように、実施形態2では、燃料タンクユニット(内部搭載物)51が、後述する位置決め部材70の凸部(
図9では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)がスライド自在に嵌合する上下方向に延びる凹部72を有している。具体的には、燃料タンクユニット51の箱状の保持部材56の前面に2本の溝を形成することによって保持部材56の前面に2本の凹部72を形成している。凹部72は、断面矩形状の第7支柱28g及び第8支柱28hの少なくとも後端部(
図9では全体)がスライド自在に嵌合するように、断面コ字状に形成されている。実施形態2では、凹部72は、保持部材56の上端から下端に亘る溝部として形成されている。
【0092】
なお、凹部72は、保持部材56と一体形成されていてもよく、別体に形成されて保持部材56の前面に固定されていてもよい。また、別体に形成されて保持部材56の前面に固定される場合、凹部72は、保持部材56の上端から下端に亘るように形成される必要はなく、燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至るまで位置決め部材70の凸部が嵌合する長さ及び位置に設けられていればよい。
【0093】
一方、位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、実施形態2では、第3及び第4支柱28c,28dの上端部を連結する梁29の後面に固定され、平面視において開口8内に配置されている。このように開口8内に配置された第7支柱28g及び第8支柱28hの少なくとも後端部(
図9では全体)は、燃料タンクユニット51の凹部72にスライド自在に嵌合する上下方向に延びる凸部を構成し、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の凹部72に嵌まる(外形に接する)位置に設けられている。実施形態2では、この位置決め部材70の凸部(
図9では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)が、ユニット設置時に、燃料タンクユニット51の凹部72に嵌合(当接)させた状態で燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容することにより、燃料タンクユニット51を本体部21内の所定の設置位置に導く誘導部となる。なお、第7支柱28g及び第8支柱28hの後端部のみが燃料タンクユニット51の凹部72に嵌まる(位置決め部材70の凸部となる)ように構成されていてもよい。
【0094】
以上のような構成により、
図8に示すように、ユニット設置時には、燃料タンクユニット51を、離れた位置からでも視認できる位置決め部材70の外側部分71に向かってクレーン61で移動させ、開口8上方において、2本の位置決め部材70の凸部(
図9では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)が2本の凹部72のそれぞれに嵌合するように配置する。このように、位置決め部材70の凸部を凹部72に嵌合させることにより、開口8上方において、燃料タンクユニット51の前後方向の位置決めと左右方向の位置決めとを容易に行うことができる。つまり、開口8上方において、燃料タンクユニット51を所定の設置位置の上方位置に容易に配置する(位置決めする)ことができる。そして、燃料タンクユニット51を下降させると、燃料タンクユニット51は、前方及び左右側方に位置ずれすることなく所定の設置位置に導かれることとなる。
【0095】
具体的には、凹部72の溝底面(前面)が位置決め部材70の凸部の後面に当接することにより、燃料タンクユニット51の前方への位置ずれが抑制される。また、凹部72の右内側面及び左内側面が位置決め部材70の凸部の左側面及び右側面にそれぞれ当接することにより、燃料タンクユニット51の左右側方への位置ずれがそれぞれ抑制される。よって、実施形態2の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を下降させる際に、燃料タンクユニット51の水平方向への位置ずれを規制することができるため、燃料タンクユニット51を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0096】
-実施形態2の変形例1-
変形例1は、実施形態2の建設機械10において、位置決め部材70の凸部と、凸部が嵌合される凹部72の断面形状を変更したものである。
【0097】
具体的には、
図10に示すように、位置決め部材70の凸部(
図10では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)は、横断面の外形状が、前側から後側へ向かう程、幅が狭くなる台形形状に形成されている。一方、凹部72は、横断面形状が、位置決め部材70の凸部の横断面形状(台形形状)が嵌まる溝底に向かって幅が狭くなる台形形状に形成されている。凸部と凹部72をこのような横断面形状に形成することにより、凸部を凹部72に嵌合させ易くなる。
【0098】
また、変形例1では、位置決め部材70の凸部には、凹部72の内面と対面する面(後面及び左右側面)を覆うカバー部材73が設けられている。カバー部材73は、凸部及び凹部72の摺動面の滑りを向上させることができる樹脂等で構成されている。このように、凸部にカバー部材73を設けることにより、凹部72の内面との対面時に、凸部に傷が付くのを抑制することができる。また、凸部と凹部72の摺動時に、滑りが向上することにより、摺動面の摩耗を抑制することができる。
【0099】
なお、位置決め部材70の凸部及び凹部72の横断面形状は、コ字状(凸部は矩形状)や台形形状に限られない。U字状やV字状等、凸部と凹部72とが嵌合することにより、燃料タンクユニット51を下降させる際に、前方及び左右側方への位置ずれが規制される形状であれば他の形状であってもよい。
【0100】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の建設機械10の一部の構成を変更し、位置決め部材70と燃料タンクユニット51とが嵌合するように構成したものである。
【0101】
具体的には、
図11に示すように、実施形態3では、燃料タンクユニット(内部搭載物)51が、後述する位置決め部材70の凹部(
図11では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)にスライド自在に嵌合する上下方向に延びる凸部74を有している。具体的には、凸部74は、燃料タンクユニット51の箱状の保持部材56の前面から前方に突出し、保持部材56の下端から上端に亘って延びている。実施形態3では、凸部74は、第7支柱28g及び第8支柱28hに対応する位置に2本形成されている。
【0102】
なお、凸部74は、保持部材56と一体形成されていてもよく、別体に形成されて保持部材56の前面に固定されていてもよい。また、別体に形成されて保持部材56の前面に固定される場合、凸部74は、保持部材56の上端から下端に亘るように形成される必要はなく、燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至るまで位置決め部材70の凹部に嵌合する長さ及び位置に設けられていればよい。
【0103】
一方、位置決め部材70を構成する第7支柱28g及び第8支柱28hは、実施形態3では、実施形態2と同様に、第3及び第4支柱28c,28dの上端部を連結する梁29の後面に固定され、平面視において開口8内に配置されている。実施形態3では、第7支柱28g及び第8支柱28hは、燃料タンクユニット51の凸部74がスライド自在に嵌合する断面形状がコ字状の鋼材によって構成され、燃料タンクユニット51の凸部74が嵌合可能なように、後方に向かって開口する向きで梁29に固定され、燃料タンクユニット51の凸部74がスライド自在に嵌合する上下方向に延びる位置決め部材70の凹部を構成する。このように開口8内に配置された位置決め部材70の凹部(
図11では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)は、平面視において所定の設置位置にある燃料タンクユニット51の凸部74が嵌まる(外形に接する)位置に設けられている。実施形態3では、この位置決め部材70の凹部が、ユニット設置時に、燃料タンクユニット51の凸部74を嵌合(当接)させた状態で燃料タンクユニット51の上下方向の摺動を許容することにより、燃料タンクユニット51を本体部21内の所定の設置位置に導く誘導部となる。なお、第7支柱28g及び第8支柱28hの後端部のみが燃料タンクユニット51の凸部74が嵌まる位置決め部材70の凹部を構成するものであってもよい。
【0104】
以上のような構成により、
図11に示すように、ユニット設置時には、燃料タンクユニット51を、離れた位置からでも視認できる位置決め部材70の外側部分71に向かってクレーン61で移動させ、開口8上方において、2本の位置決め部材70によって構成される2本の凹部に2本の凸部74が嵌合するように配置する。このように、燃料タンクユニット51の凸部74を位置決め部材70の凹部に嵌合させることにより、開口8上方において、燃料タンクユニット51の前後方向の位置決めと左右方向の位置決めとを容易に行うことができる。つまり、開口8上方において、燃料タンクユニット51を所定の設置位置の上方位置に容易に配置する(位置決めする)ことができる。そして、燃料タンクユニット51を下降させると、燃料タンクユニット51は、前方及び左右に位置ずれすることなく所定の設置位置に導かれることとなる。
【0105】
具体的には、凹部の溝底面が燃料タンクユニット51の凸部74の前面に当接することにより、燃料タンクユニット51の前方への位置ずれが抑制される。また、凹部の右内側面及び左内側面が凸部74の左側面及び右側面にそれぞれ当接することにより、燃料タンクユニット51の左右方向への位置ずれがそれぞれ抑制される。よって、実施形態3の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を下降させる際に、燃料タンクユニット51の水平方向への位置ずれを規制することができるため、燃料タンクユニット51を他の部品や機体に衝突させて損傷させることなく所望の位置に容易に設置することができる。
【0106】
なお、実施形態3においても、実施形態2の変形例1と同様に、位置決め部材70の凹部と、凹部に嵌合される凸部74の断面形状を変更することができ、その形状は、燃料タンクユニット51を下降させる際に、前方及び左右側方への位置ずれが規制される形状であれば他の形状であってもよい。
【0107】
また、実施形態3においても、実施形態2の変形例1と同様に、凸部74に、位置決め部材70の凹部(
図11では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)の内面と対面する面(前面及び左右側面)を覆うカバー部材を設けてもよい。カバー部材を設けることにより、凹部の内面との対面時に、凸部74に傷が付くのを抑制することができ、また、凸部74と凹部の摺動時に、滑りが向上することにより、摺動面の摩耗を抑制することができる。
【0108】
《発明の実施形態4》
実施形態4は、実施形態2の建設機械10において、凹部72の構成を一部変更したものである。
【0109】
具体的には、
図12に示すように、実施形態4では、凹部72の下端部が、上側から下側に向かう程、左右の幅が広くなる下側拡幅部75に構成されている。下側拡幅部75では、左右の内側面の距離が上側から下側に向かう程、大きくなる。
【0110】
このような構成により、実施形態4の建設機械10によれば、開口8の上方でクレーン61に吊り上げられた燃料タンクユニット51の凹部72が位置決め部材70の凸部(第7支柱28g及び第8支柱28h)に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、凹部72の下端部の左右の幅が広いため、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が多少ずれていても、位置決め部材70の凸部に対して凹部72の下端部を嵌合させることができる。そして、位置決め部材70の凸部を凹部72に嵌合させた状態で燃料タンクユニット51を下降させると、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が修正される。従って、実施形態4の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を所望の位置により容易に設置することができる。
【0111】
なお、本実施形態4においても、凹部72は、保持部材56と一体形成されていてもよく、別体に形成されて保持部材56の前面に固定されていてもよい。また、別体に形成されて保持部材56の前面に固定される場合、凹部72は、保持部材56の上端から下端に亘るように形成される必要はなく、燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至るまで位置決め部材70の凸部が嵌合する長さ及び位置に設けられていればよい。
【0112】
また、本実施形態4においても、第7支柱28g及び第8支柱28hの後端部のみが燃料タンクユニット51の凹部72に嵌まる(位置決め部材70の凸部となる)ように構成されていてもよい。
【0113】
また、実施形態4においても、実施形態2の変形例1と同様に、凸部となる位置決め部材70と、凸部が嵌合される凹部72の断面形状を変更することができ、その形状は、燃料タンクユニット51を下降させる際に、前方及び左右側方への位置ずれが規制される形状であれば他の形状であってもよい。
【0114】
また、実施形態4においても、実施形態2の変形例1と同様に、位置決め部材70の凸部には、凹部72の内面と対面する面(前面及び左右側面)を覆うカバー部材73を設けてもよい。カバー部材73を設けることにより、凹部72の内面との対面時に、位置決め部材70の凸部に傷が付くのを抑制することができ、また、位置決め部材70の凸部と凹部72の摺動時に、滑りが向上することにより、摺動面の摩耗を抑制することができる。
【0115】
《発明の実施形態5》
実施形態5は、実施形態4の建設機械10において、位置決め部材70の凸部の構成を一部変更したものである。
【0116】
具体的には、
図13に示すように、実施形態5では、位置決め部材70の凸部(
図13では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)が、凹部72の下側拡幅部75と係合する凸部拡幅部76を有している。凸部拡幅部76は、上側から下側に向かう程、左右の幅が大きくなるように形成されている。凸部拡幅部76は、凸部を凹部72に嵌合させた状態で燃料タンクユニット51を開口8の上方から所定の設置位置まで下降させると、外側面(左右側面)と凹部72の下側拡幅部75の内側面(左右の内側面)の隙間がなくなる高さ位置に設けられている。実施形態5では、位置決め部材70の凸部の略下側半分を凸部拡幅部76に形成することで、凸部拡幅部76を上記高さ位置に設けることとしている。
【0117】
なお、凸部拡幅部76を上記高さ位置に設ける手段は上記の手段に限られない。例えば、位置決め部材70の凸部の上下方向の中途部分であって、燃料タンクユニット51が設置位置にあるときに凹部72の下側拡幅部75と対面する部分のみを凸部拡幅部76に形成してもよい。
【0118】
このような構成により、実施形態5の建設機械10によれば、実施形態4と同様に、開口8の上方でクレーン61に吊り上げられた燃料タンクユニット51の凹部72が位置決め部材70の凸部に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、凹部72の下端部の左右の幅が広いため、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が多少ずれていても、位置決め部材70の凸部に対して凹部72の下端部を嵌合させることができる。そして、位置決め部材70の凸部を凹部72に嵌合させた状態で燃料タンクユニット51を下降させると、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が修正される。従って、実施形態5の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を所望の位置により容易に設置することができる。
【0119】
なお、本実施形態5においても、凹部72は、保持部材56と一体形成されていてもよく、別体に形成されて保持部材56の前面に固定されていてもよい。また、別体に形成されて保持部材56の前面に固定される場合、凹部72は、保持部材56の上端から下端に亘るように形成される必要はなく、燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至るまで位置決め部材70の凸部が嵌合する長さ及び位置に設けられていればよい。
【0120】
また、本実施形態5においても、第7支柱28g及び第8支柱28hの後端部のみが燃料タンクユニット51の凹部72に嵌まる(位置決め部材70の凸部となる)ように構成されていてもよい。
【0121】
また、実施形態5においても、実施形態2の変形例1と同様に、凸部となる位置決め部材70と、凸部が嵌合される凹部72の断面形状を変更することができ、その形状は、燃料タンクユニット51を下降させる際に、前方及び左右側方への位置ずれが規制される形状であれば他の形状であってもよい。
【0122】
また、実施形態5においても、実施形態2の変形例1と同様に、位置決め部材70の凸部には、凹部72の内面との対面する面(前面及び左右側面)を覆うカバー部材73を設けてもよい。カバー部材73を設けることにより、凹部72の内面との対面時に、位置決め部材70の凸部に傷が付くのを抑制することができ、また、位置決め部材70の凸部と凹部72の摺動時に、滑りが向上することにより、摺動面の摩耗を抑制することができる。
【0123】
《発明の実施形態6》
実施形態6は、実施形態3の建設機械10において、位置決め部材70の凹部と凸部74の構成を一部変更したものである。
【0124】
具体的には、
図14に示すように、実施形態6では、位置決め部材70の凹部(
図14では第7支柱28g及び第8支柱28hの全体)の上端部が、下側から上側に向かう程、左右の幅が広くなる上側拡幅部77に構成されている。上側拡幅部77では、左右の内側面の距離が下側から上側に向かう程、大きくなる。
【0125】
また、実施形態6では、凸部74が、位置決め部材70の凹部の上側拡幅部77と係合する凸部拡幅部78を有している。凸部拡幅部78は、下側から上側に向かう程、左右の幅が大きくなるように形成されている。凸部拡幅部78は、凸部74を位置決め部材70の凹部に嵌合させた状態で燃料タンクユニット51を開口8の上方から所定の設置位置まで下降させると、外側面(左右側面)に位置決め部材70の凹部の上側拡幅部77の内側面(左右の内側面)の隙間がなくなる高さ位置に設けられている。
【0126】
以上のような構成により、実施形態6の建設機械10によれば、開口8の上方でクレーン61に吊り上げられた燃料タンクユニット51の凸部74が位置決め部材70の凹部に対応するように燃料タンクユニット51の位置合わせをする際に、位置決め部材70の凹部の上端部の左右の幅が広いため、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が多少ずれていても、位置決め部材70の凹部に凸部74の下端部を嵌合させることができる。そして、凸部74を位置決め部材70の凹部に嵌合させた状態で燃料タンクユニット51を下降させると、燃料タンクユニット51の左右方向の位置が修正される。従って、実施形態6の建設機械10によれば、燃料タンクユニット51を所望の位置により容易に設置することができる。
【0127】
なお、本実施形態6においても、凸部74は、保持部材56と一体形成されていてもよく、別体に形成されて保持部材56の前面に固定されていてもよい。また、別体に形成されて保持部材56の前面に固定される場合、凸部74は、保持部材56の上端から下端に亘るように形成される必要はなく、燃料タンクユニット51が所定の設置位置に至るまで位置決め部材70の凹部に嵌合する長さ及び位置に設けられていればよい。
【0128】
また、本実施形態6においても、第7支柱28g及び第8支柱28hの後端部のみが燃料タンクユニット51の凸部74が嵌まる位置決め部材70の凹部を構成するものであってもよい。
【0129】
また、本実施形態6においても、実施形態2の変形例1と同様に、凹部となる位置決め部材70と、凹部に嵌合される凸部74の断面形状を変更することができ、その形状は、燃料タンクユニット51を下降させる際に、前方及び左右側方への位置ずれが規制される形状であれば他の形状であってもよい。
【0130】
また、実施形態6においても、実施形態2の変形例1と同様に、凸部74には、位置決め部材70の凹部の内面と対面する面(前面及び左右側面)を覆うカバー部材を設けてもよい。カバー部材を設けることにより、凹部の内面との対面時に、凸部74に傷が付くのを抑制することができ、また、凸部74と凹部の摺動時に、滑りが向上することにより、摺動面の摩耗を抑制することができる。
【0131】
なお、実施形態6において、位置決め部材70の凹部のみが上側拡幅部77を有し、凸部74は凸部拡幅部78を有しないように構成してもよい。
【0132】
《発明の実施形態7》
実施形態7は、実施形態1の建設機械10に、第2の位置決め部材80を追加したものである。
【0133】
具体的には、
図15及び
図16に示すように、第2の位置決め部材80は、本体部21の開口8を挟んだ位置決め部材70に対向する位置に設けられている。具体的には、第2の位置決め部材80は、本体部21の開口8の周縁部であって、位置決め部材70が設けられた前縁部(一辺部)と対向する後縁部(対向辺部)に設けられている。第2の位置決め部材80は、本体部21の上端部から上方に延びる板状部材であり、例えば鋼板等によって構成されている。第2の位置決め部材80は、鉛直部81と傾斜部82とを有している。鉛直部81は、鉛直方向に延びる部分であり、傾斜部82は、鉛直方向に対して傾いた部分である。具体的には、鉛直部81は、本体部21の上端部から鉛直上方に延び、傾斜部82は、鉛直部81の上端に連続し、下側から上側に向かう程、後方に位置する(開口8から離れる)ように鉛直方向に対して傾いている。
【0134】
第2の位置決め部材80は、位置決め部材70と同様に、ボンネット22を閉めると、ボンネット22の内部、即ち、発電機器室6A(機械室)の内部に収まる高さに形成されている。なお、第2の位置決め部材80は、位置決め部材70の外側部分71と同様に、ボンネット22により覆われないものであってもよい。
【0135】
以上のような構成により、
図15及び
図16に示すように、本体部21の開口8を挟んだ位置決め部材70に対向する位置に傾斜部82を有している第2の位置決め部材80が設けられているので、ユニット設置時には、位置決め部材70の外側部分71と第2の位置決め部材80の傾斜部82を目印にして、燃料タンクユニット51を、開口8の上方において、位置決め部材70の外側部分71と第2の位置決め部材80の傾斜部82との間に配置し、位置決め部材70に当接させて燃料タンクユニット51を下降させる。このとき、開口8の上方において、燃料タンクユニット51が、所望の位置(設置位置の真上の位置)よりも後方寄りの位置に配置されたとしても、燃料タンクユニット51は、第2の位置決め部材80の傾斜部82に当接し、傾斜部82に沿って下降することで、前方へ導かれ、やがて前面が位置決め部材70に当接し、後面が第2の位置決め部材80の鉛直部81に当接する適切な位置(設置位置の真上の位置)に導かれる。そして、そのまま燃料タンクユニット51を下降させることにより、燃料タンクユニット51は、前後方向に位置ずれすることなく所定の設置位置に導かれることとなる。従って、実施形態7の建設機械10によれば、開口8上方において燃料タンクユニット(内部搭載物)51の位置合わせを精度よく行わなくても、燃料タンクユニット51を円滑に下降させることができる。
【0136】
《その他の実施形態》
上記各実施形態及び各変形例では、本発明に係る搭載物が燃料タンクユニット51である場合について説明したが、搭載物は、クレーン61等に吊り下げられて機械室6内に設置される構成機器であれば、他のものであってもよい。例えば、建設機械10が、大型のバッテリを機械室6内に備えるものであれば、バッテリを搭載物とし、使用済みのバッテリを取り外し、充電済みのバッテリを設置する際に、バッテリと当接することによってバッテリを機械室6の内部の設置位置に導く位置決め部材70等を設けることとしてもよい。また、燃料タンクユニット51の燃料タンク55は、水素タンクに限られず、LPガス等の気体燃料が充填されたガスタンクの他、軽油等の液体燃料が充填された液体タンクであってもよい。
【0137】
また、上記各実施形態及び各変形例では、位置決め部材70を、ガードフレーム23の第7支柱28g及び第8支柱28hで構成していた。しかしながら、位置決め部材70は、ガードフレーム23とは別体の部材で構成されるものであってもよい。例えば、位置決め部材70は、外側部分71のみで構成され、本体部21の上面を構成するガードカバー24に固定されるものであってもよく、
図17に示すように、ガードフレーム23(第7支柱28g、第8支柱28h又は梁29)の後面に取り付けられるものであってもよい。
【0138】
また、
図17に示すように、位置決め部材70をガードフレーム23とは別体の部材で構成してボルト90でガードフレーム23に取り付けるようにすることにより、位置決め部材70を交換可能に構成してもよい。位置決め部材70は、ユニット設置時(搭載物設置時)に、燃料タンクユニット(内部搭載物)51を当接させるため、繰り返し燃料タンクユニット51を着脱することで傷がつくおそれがある。そのため、上述のように、位置決め部材70をガードフレーム23とは別体に構成して交換可能に構成することにより、ガードフレーム23を解体することなく、位置決め部材70のみを交換することができる。さらに、ガードフレーム23を位置決め部材70よりも剛性が高くなるように構成してもよい。このような構成によれば、誤って燃料タンクユニット(内部搭載物)51を位置決め部材70にぶつけてしまった場合に、位置決め部材70が変形することにより、衝撃が吸収されてガードフレーム23に作用しなくなるため、ガードフレーム23を保護することもできる。
【0139】
また、位置決め部材70は、
図18に示すように、ガードフレーム23とは別体の部材で構成され、外側部分71が本体部21より上方に位置する上側位置(
図18の右側の図を参照)と、外側部分71が本体部21より上方に位置しない下側位置(
図18の左側の図を参照)との間において、移動可能(昇降可能)に構成されるものであってもよい。位置決め部材70を昇降させる昇降機構は、他のものであってもよく、油圧シリンダやギアモータ及びラック等を用いることができる。このような構成によれば、必要な際(ユニット設置時)にのみ位置決め部材70の外側部分71を本体部21より上方に位置させて燃料タンクユニット51を設置する際の目印とし、目印が不要な際には、外側部分71を本体部21の内部に収容することで不要な突起物をなくすことができる。また、位置決め部材70を離れた位置からでも視認できる高さ位置に位置させるのに際して、位置決め部材70を上側位置に移動させる操作をすればよく、位置決め部材70の上下方向の長さを長く構成する必要がない。さらに、外側部分71を本体部21の内部に収容できるため、外側部分71の突出高さがボンネット22により覆われる高さに制限されず、クレーン61の操作者が視認し易い高さにすることができる。
【0140】
また、上記各実施形態及び各変形例では、位置決め部材70は、本体部21の開口8を縁取る前縁部に設けられていたが、位置決め部材70の設置位置は、開口8を縁取る前縁部に限られない。位置決め部材70は、平面視において誘導部が燃料タンクユニット51の外形に接する位置に設けられていればよく、開口8の後縁部に設けられていてもよく、開口8の左右の側縁部に設けられていてもよい。また、燃料タンクユニット51が開口8の周縁部から離れた開口8の中央部にある場合には、位置決め部材70は、開口8の中央部に設けられていてもよい。
【0141】
また、上記各実施形態及び各変形例では、位置決め部材70は、上下方向に延びる棒状部材(支柱28)によって構成されていたが、実施形態1,7においては、棒状部材でなくてもよく、板状部材で構成されていてもよい。また、実施形態2~6においても、板状部材の一部を折り曲げて凹部又は凸部を形成し、板状部材の一部(凹部又は凸部)を位置決め部材70としてもよい。
【0142】
また、上記各実施形態及び各変形例では、本体部21の開口8を縁取る一辺部に位置決め部材70を2つ設ける例について説明したが、位置決め部材70の個数は2つに限られず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、複数の位置決め部材70は、全て開口8を縁取る一辺部に設けられている必要はなく、別々の位置(例えば、開口8の前後の側縁部のいずれかと左右の側縁部のいずれか)に設けられていてもよい。
【0143】
また、上記各実施形態及び各変形例では、保持部材56を鋼板等からなる筐体で構成していたが、燃料タンク55を保持することができるものであれば他の形状のものであってもよく、例えば、網籠状であってもよい。
【0144】
また、実施形態7の建設機械10において追加した第2の位置決め部材80は、実施形態2~6の建設機械10にも適用可能である。実施形態2~6に第2の位置決め部材80を適用した場合、ユニット設置時に、位置決め部材70及び燃料タンクユニット(内部搭載物)51のいずれか一方に形成された凹部に他方の凸部が嵌合することにより、燃料タンクユニット51の左右方向の位置ずれが抑制され、位置決め部材70と第2の位置決め部材80により、燃料タンクユニット51の前後方向の位置ずれが抑制される。よって、より精度良く燃料タンクユニット51を設置位置に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
以上説明したように、本発明は、建設機械について有用である。
【符号の説明】
【0146】
1 下部走行体
3 旋回フレーム
7 カウンターウエイト(後部搭載物)
8 開口
10 建設機械
20 ケーシング
21 本体部
51 燃料タンクユニット(内部搭載物)
70 位置決め部材
71 外側部分
72 凹部
74 凸部
75 下側拡幅部
77 上側拡幅部
79 内側部分
80 第2の位置決め部材