(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031603
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/20 20220101AFI20240229BHJP
【FI】
F24H9/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135258
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】田島 拓明
(57)【要約】
【課題】燃焼室のケーシングの周囲に樹脂シートを容易に巻回することができる上、樹脂シートが不用意に傷つきにくい給湯器を提供する。
【解決手段】下流端が湯出口10に接続される出湯管42の上流端が、燃焼室16の中ケーシング18に設けられた給湯側伝熱管30の上段の下流端に接続され、出湯管42に、下ケーシング17及び中ケーシング18の左前方において上下方向へ直線状に延びる直線部43が設けられており、樹脂シート50は、出湯管42の外側に位置しているとともに、直線部43の表面に沿って下ケーシング17及び中ケーシング18の側面側から前面側へ折り曲げられるようにして巻き付けられているため、燃焼室16を構成する下ケーシング17及び中ケーシング18の周囲に樹脂シート50を容易に巻回することができ、製造しやすい給湯器1とすることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを備えた燃焼室のケーシング周囲に、導電パターンが形成された樹脂シートを巻回してなる過熱防止装置が搭載された給湯器であって、
下流端が湯出口に接続される出湯管の上流端が、前記ケーシングに接続され、
前記出湯管に、前記ケーシングの左前方又は右前方において上下方向へ直線状に延びる直線部が設けられており、
前記樹脂シートは、前記出湯管の外側に位置しているとともに、前記直線部の表面に沿って前記ケーシングの側面側から前面側へ巻き付けられていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記出湯管における前記直線部よりも上流側は、前記直線部よりも上方において前記ケーシングの前面を左右に横切っており、当該横切る部分において、前記ケーシングに接続される側と前記直線部側とがクリップにより連結されているとともに、
前記樹脂シートは、前記クリップよりも下方において、前記ケーシング周囲に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナを備えた燃焼室のケーシング周囲に、導電パターンが形成された樹脂シートを巻回してなる過熱防止装置が搭載された給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の給湯器では、たとえば特許文献1に記載されているように、燃焼室のケーシングの異常過熱によるひび割れ等の発生を検知するため、ケーシングの周囲に樹脂シートを巻回していた。また、樹脂シートに、管同士を連結状態で保持するクリップを備え、クリップをケーシング表面側に配設されている管(たとえば給水管)に取り付けることによって、樹脂シートがケーシングに直接接触することを防いでいた。なお、樹脂シートには、所定の導電パターンが印刷されており、その導電パターンは、バーナの燃焼を制御するコントローラに電気的接続されている。そして、樹脂シートの溶断等に伴う導電パターンの破断を検知することにより、ケーシングの異常過熱を検知、ひいてはバーナへの燃料ガスの供給を停止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の給湯器では、燃焼室のケーシングに樹脂シートを巻回しづらいという作業性に係る問題があった。また、特に製造時において、クリップが樹脂シートを不用意に傷つけてしまいやすいという問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、燃焼室のケーシングの周囲に樹脂シートを容易に巻回することができる上、樹脂シートが不用意に傷つきにくい給湯器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、バーナを備えた燃焼室のケーシング周囲に、導電パターンが形成された樹脂シートを巻回してなる過熱防止装置が搭載された給湯器であって、下流端が湯出口に接続される出湯管の上流端が、ケーシングに接続され、出湯管に、ケーシングの左前方又は右前方において上下方向へ直線状に延びる直線部が設けられており、樹脂シートは、出湯管の外側に位置しているとともに、直線部の表面に沿ってケーシングの側面側から前面側へ巻き付けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、出湯管における直線部よりも上流側は、直線部よりも上方においてケーシングの前面を左右に横切っており、当該横切る部分において、ケーシングに接続される側と直線部側とがクリップにより連結されているとともに、樹脂シートは、クリップよりも下方において、ケーシング周囲に巻回されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、下流端が湯出口に接続される出湯管の上流端が、ケーシングに接続され、出湯管に、ケーシングの左前方又は右前方において上下方向へ直線状に延びる直線部が設けられており、樹脂シートは、出湯管の外側に位置しているとともに、直線部の表面に沿ってケーシングの側面側から前面側へ巻き付けられているため、燃焼室のケーシングの周囲に樹脂シートを容易に巻回することができ、製造しやすい給湯器とすることができる。
また、出湯管における直線部よりも上流側は、直線部よりも上方においてケーシングの前面を左右に横切っており、当該横切る部分において、ケーシングに接続される側と直線部側とがクリップにより連結されているとともに、樹脂シートは、クリップよりも下方において、ケーシング周囲に巻回されているため、クリップと樹脂シートとが干渉しない。したがって、特に製造時において、樹脂シートが不用意に傷つきにくい給湯器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】フロントカバーを取り外した状態の給湯器を正面側から示した説明図である。
【
図3】
図1中のA-A線断面を示した説明図である。
【
図4】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を左後方から見た斜視図である。
【
図5】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右後方から見た斜視図である。
【
図6】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右前方から見た斜視図である。
【
図7】中和器を省略して筐体内部を左後方から見た斜視図である。
【
図8】中和器を省略して筐体内部を右前方から見た斜視図である。
【
図9】樹脂シートの背板へのネジ止めを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる給湯器について、図面にもとづき詳細に説明する。
(給湯器の全体構成の説明)
図1は、給湯器1を正面側から示した説明図である。
図2は、フロントカバー4を取り外した状態の給湯器1を正面側から示した説明図である。
図3は、
図1中のA-A線断面を示した説明図である。
図4は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を左後方から見た斜視図である。
図5は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右後方から見た斜視図である。
図6は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右前方から見た斜視図である。
図7は、中和器55を省略して筐体2内部を左後方から見た斜視図である。
図8は、中和器55を省略して筐体2内部を右前方から見た斜視図である。
図9は、樹脂シート50の背板8へのネジ止めを示した説明図である。
【0010】
給湯器1は、縦長箱状の筐体2を有する。筐体2は、箱本体3とフロントカバー4とを備えている。箱本体3は、前面を開口して前後に深底となっている。フロントカバー4は、箱本体3に前方からネジ止めされて前面を閉塞する。フロントカバー4の上部には、後述する上ケーシング19の前側に設けられた円筒状の排気口37が貫通している。
【0011】
箱本体3は、天板5、底板6、左右の側板7A、7B、及び背板8を備えている。底板6には、外部の水道管に接続するための水入口9と、外部の給湯栓に接続するための湯出口10と、外部の浴槽に接続するための風呂戻り口11と風呂往き口12とが設けられている。底板6の中央部には、外部のガス配管に接続するためのガス入口13と、後述する中和器55に接続される排水口14とが設けられている。背板8の上下には、壁面等へ設置するための取付板15、15が設けられている。
【0012】
箱本体3内の奥側には、燃焼室16が設けられている。燃焼室16は、上下方向に連通する下ケーシング17と中ケーシング18と上ケーシング19とを備えている。
下ケーシング17には、複数のバーナユニット20、20・・が収容されている。各バーナユニット20は、前後方向に延びる扁平なバーナ21を左右方向に複数並設してなる。バーナ21の数は、バーナユニット20毎に異なっている。下ケーシング17の下面には、
図4に示すように、燃焼ファン22が連結されている。燃焼ファン22は、後面側に設けたファンモータ23により、前後方向を軸として回転する。燃焼ファン22は、バーナユニット20に燃焼用空気を供給する。下ケーシング17の前側には、ガス分配ユニット25が設けられている。ガス分配ユニット25は、複数の電磁弁を備えて、各電磁弁の開閉により燃焼させるバーナユニット20を切替可能となっている。バーナユニット20の上流端には、元弁及び比例弁を備えたガス配管26が接続されている。ガス配管26は、ガス入口13に接続されている。
【0013】
中ケーシング18には、給湯一次熱交換器27及び風呂熱交換器28が収容されている。給湯一次熱交換器27は、左右方向に所定間隔をおいて配設される複数のフィン29、29・・と、各フィン29を蛇行状に上下二段で貫通する給湯側伝熱管30とを備えている。風呂熱交換器28は、各フィン29と、上下段の給湯側伝熱管30の間で各フィン29を蛇行状に貫通する風呂側伝熱管31とを備えている。すなわち、給湯器1は、1つの中ケーシング18内に経路が異なる給湯一次熱交換器27と風呂熱交換器28とが併設されて共通のバーナユニット20によって加熱される1缶2水路型となっている。
【0014】
上ケーシング19には、給湯二次熱交換器32が収容されている。給湯二次熱交換器32は、蛇行状に形成される複数の吸熱管33、33・・を収容している。各吸熱管33は、
図4に示すように、両端が上ケーシング19の左側面へ前後に設けた入側ヘッダ34と出側ヘッダ35とに接続されて、入側端部同士と出側端部同士とが互いに連通している。上ケーシング19は、中ケーシング18と後部同士で連通している。上ケーシング19は、前下がり傾斜姿勢で支持されて、前側には、前後に扁平なドレン受け36が設けられている。ドレン受け36の前側に排気口37が前向きに連結されている。
【0015】
水入口9には、給水管40が接続されている。給水管40は、燃焼室16の左側で上方に引き回され、上ケーシング19の入側ヘッダ34に接続されている。
出側ヘッダ35には、中継管41が接続されている。中継管41は、
図5にも示すように、燃焼室16の左側から中ケーシング18の後方を通って中ケーシング18の右側へ回り込んでいる。そして、中継管41は、中ケーシング18の右側で前方へ引き回されて、給湯一次熱交換器27の給湯側伝熱管30の下段の上流端に接続されている。
【0016】
給湯側伝熱管30の上段の下流端には、出湯管42が接続されている。出湯管42は、
図6にも示すように、中ケーシング18の右側面から中ケーシング18の前方へ回り込み、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側へ移動する。そして、出湯管42は、
図4に示すように、中ケーシング18の左前方で下方向に屈曲し、下方へ直線状に引き回された後、湯出口10に接続されている。出湯管42の直線部43は、バイパス管44を介して給水管40に接続されている。
【0017】
風呂戻り口11には、風呂戻り管45が接続されている。風呂戻り管45は、
図4~6に示すように、ポンプ46を介して燃焼室16の右側を上方へ引き回される。そして、風呂戻り管45は、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側に回り込み、風呂熱交換器28の風呂側伝熱管31の上流端に接続される。風呂戻り管45は、落とし込み管47を介して出湯管42と接続されている。
風呂往き口12には、風呂往き管48が接続されている。風呂往き管48は、燃焼室16の右側を上方へ引き回された後、中ケーシング18の右側で風呂側伝熱管31の下流端に接続されている。
【0018】
燃焼室16の周囲には、樹脂シート50が巻回されている。樹脂シート50には、幅方向に往復して蛇行しながら長手方向に延びる連続状の導電パターン51が、長手方向の全長に亘って印刷されている。導電パターン51の両端は、後述する電装基板66へ電気的に接続されて、過熱防止装置を形成している。この過熱防止装置は、下ケーシング17又は中ケーシング18の異常過熱によってひび割れや穴あき等が生じて燃焼排気が噴出すると、樹脂シート50の溶融と共に導電パターン51が破断して抵抗値が急増又は無限大となることで、その抵抗値の変化を検知した電装基板66が燃料ガスの供給を停止してバーナユニット20を消火させるものである。
【0019】
燃焼室16の前側には、中和器55が配置されている。中和器55は、正面視が矩形状の箱体で、内部には図示しない中和剤が充填されている。中和器55の上面には、上ケーシング19の前側底面及びドレン受け36に接続されるドレン排出管56、56が接続されている。中和器55の下面には、排水口14と接続される排水管57が接続されている。
【0020】
中和器55の上部は、
図3に示すように、中ケーシング18及び上ケーシング19から下向きに固定されたブラケット金具58に、側面視L字状の取付金具59を介して固定されている。中和器55の下部は、ガス分配ユニット25の前側で下ケーシング17に固定されて左右方向に延びる固定バー60に固定されている。
中和器55の下方には、コントローラ65が配置されている。コントローラ65は、電装基板66と、収納ケース67と、カバー68とを含んでなる。
【0021】
(給湯器の動作説明)
給湯器1において、通常の給湯は以下の如くなされる。
湯出口10に接続された外部配管の給湯栓が開栓されて器具内に通水され、その通水を給水管40に設けた給湯水量センサで検知すると、コントローラ65は、燃焼ファン22を所定時間駆動させて、燃焼室16内に貯留している燃焼排気を排出させる(プリパージ)。その後、ガス配管26の元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を開弁させ、比例弁を所定開度で開弁させて、バーナユニット20へガスを供給すると共に、イグナイタを作動させてバーナユニット20に点火する。
【0022】
これにより、給水管40から供給される水は、給湯二次熱交換器32の吸熱管33を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して潜熱を回収する。このとき発生したドレンは、ドレン排出管56を介して中和器55に回収され、中和剤で中和された後、排水管57から器具外部へ排出される。
そして、給湯二次熱交換器32を通過した湯水は、中継管41を介して給湯一次熱交換器32に流れ、給湯側伝熱管30を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して顕熱を回収する。こうして加熱された湯は、出湯管42及び外部配管を通って給湯栓から出湯される。
【0023】
コントローラ65の電装基板66は、出湯管42に設けた出口温度サーミスタによって、給湯一次熱交換器27直後から出湯される湯の温度である出口温度を監視し、バイパス管44に設けた分配弁を駆動させて、出口温度が、給湯一次熱交換器27でのドレンの発生や過熱を防止できる温度範囲内に維持されるようにバイパス管44への流量(バイパス率)を制御する。
また、電装基板66は、出湯管42に設けた出湯温度サーミスタによって出湯温度を監視し、出湯温度が外部の給湯リモコン又は風呂リモコンによって指示された設定温度となるように、ガス分配ユニット25の各電磁弁の開閉制御と比例弁の開度調整とを行うと共に、燃焼ファン22の動作制御によって空気量を連続的に変化させる。
給湯栓を閉じると、給湯水量センサからの信号停止を確認した電装基板66は、元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を閉じてバーナユニット20を消火させ、所定時間燃焼ファン22を駆動させる(ポストパージ)。
【0024】
一方、給湯リモコン又は風呂リモコンの自動スイッチを押すと、電装基板66は、落とし込み管47に設けた落とし込み水電磁弁を開弁して給湯一次熱交換器27及び給湯二次熱交換器32に通水させてバーナユニット20を燃焼させる。出湯管42からの湯は、落とし込み管47及び風呂戻り管45を通って外部の浴槽に供給される。落とし込み管47に設けた風呂水量センサで検出した水量が設定水量に達すると、電装基板66は、落とし込み水電磁弁を閉じて通水を停止し、バーナユニット20を消火させる。
次に、電装基板66は、ポンプ46を作動させて、風呂熱交換器28と浴槽との間で湯を循環させる。このとき、電装基板66は、風呂戻り管45及び風呂往き管48に設けたサーミスタで循環する湯の温度を監視し、設定温度からの低下を確認すると、給湯時と同様にバーナユニット20を点火すると共に、燃焼ファン22によって燃焼用空気を供給する。よって、風呂熱交換器28と浴槽との間を循環する風呂循環水は、風呂側伝熱管31を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換されて設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、電装基板66は、バーナユニット20の燃焼を停止させ、ポンプ46を停止させる。
【0025】
(樹脂シートの巻回構造の説明)
樹脂シート50は、左右方向へ延びる帯状体であり、
図2及び
図3等に示すように、下ケーシング17と中ケーシング18とに跨がって燃焼室16の周囲に巻回される。また、樹脂シート50の左右方向において略中央で、導電パターン51の上側及び下側となる箇所には、自身を背板8にネジ止めするための取付孔70、70・・が穿設されている。一方、出湯管42における中ケーシング18の前方を横切る部分には、管同士を連結するためのクリップ72が設けられている。また、出湯管42には、上述したように中ケーシング18の左前方で下方へ直線状に延びる直線部43が設けられている。なお、背板8の内面側には、樹脂シート50をネジ止めするためのネジ止め部71、71・・が設けられている。
【0026】
そして、樹脂シート50を筐体2内に設置するにあたっては、まず
図9に示すように樹脂シート50を背板8へネジ止めする。次に、樹脂シート50におけるネジ止め箇所の前方に燃焼室16を設置する。さらに、中ケーシング18から外方へ突出する各配管の外側において、樹脂シート50の右部が下ケーシング17及び中ケーシング18の右側面に、樹脂シート50の左部が下ケーシング17及び中ケーシング18の左側面に夫々沿うように、樹脂シート50の左右両側を前方へ折り曲げる。それから、樹脂シート50の左右両側のうち、下ケーシング17及び中ケーシング18よりも前方へ突き出す部分を下ケーシング17及び中ケーシング18の前面側へと折り曲げる。このとき、特に樹脂シート50の左部においては、直線部43の表面に沿って樹脂シート50を折り曲げる。最後に、下ケーシング17及び中ケーシング18の前方において、樹脂シート50の左右両端を貼着する等して一体化すればよい。すると、樹脂シート50は、燃焼室16の周囲に巻回された格好で、筐体2内に設置されることになる。なお、樹脂シート50の設置状態においては、上述したように樹脂シート50と下ケーシング17及び中ケーシング18との間に各配管が位置しており、樹脂シート50と燃焼室16とは非接触となっている。また、出湯管42における中ケーシング18の前方を横切る箇所は、直線部43及び樹脂シート50よりも上方に位置しており、中ケーシング18の前方において管同士を連結するクリップ72も、樹脂シート50よりも上方に位置している。
【0027】
(樹脂シートの巻回構造に係る発明の効果)
以上のような構成を有する給湯器1によれば、下流端が湯出口10に接続される出湯管42の上流端が、燃焼室16の中ケーシング18に設けられた給湯側伝熱管30の上段の下流端に接続され、出湯管42に、下ケーシング17及び中ケーシング18の左前方において上下方向へ直線状に延びる直線部43が設けられており、樹脂シート50は、出湯管42の外側に位置しているとともに、直線部43の表面に沿って下ケーシング17及び中ケーシング18の側面側から前面側へ折り曲げられるようにして巻き付けられているため、燃焼室16を構成する下ケーシング17及び中ケーシング18の周囲に樹脂シート50を容易に巻回することができ、製造しやすい給湯器1とすることができる。
【0028】
また、出湯管42における直線部43よりも上流側は、直線部43よりも上方において中ケーシング18の前面を左右に横切っており、当該横切る部分において、中ケーシング18に接続される側と直線部43側とがクリップ72により連結されているとともに、樹脂シート50は、クリップ72よりも下方において、下ケーシング17及び中ケーシング18の周囲に巻回されているため、クリップ72と樹脂シート50とが干渉しない。したがって、特に製造時において、樹脂シート50が不用意に傷つきにくい給湯器1とすることができる。
【0029】
なお、本発明に係る給湯器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯器の全体的な構成(たとえば湯出口の位置や各配管の引き回し態様等)は勿論、樹脂シートの巻回構造に係る構成についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0030】
たとえば、上記実施形態では、燃焼室の左前方に出湯管の直線部を設けているが、右前方に出湯管の直線部を設ける等してもよく、出湯管を具体的にどのように引き回すかについては適宜設計変更可能である。
また、上記実施形態では、燃焼室が下ケーシング、中ケーシング、及び上ケーシングを備えてなり、下ケーシング及び中ケーシングに跨がるように樹脂シートを巻回させるとしているが、燃焼室の具体的な構造や樹脂シートの巻回位置についても適宜設計変更することができる。
さらに、樹脂シートを筐体の側板にネジ止めする等してもよいし、燃焼室の側面側において樹脂シートの両端部を一体化する等してもよく、燃焼室に対して樹脂シートを具体的にどのように巻回させるかについても設計変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・箱本体、10・・湯出口、16・・燃焼室、17・・下ケーシング、18・・中ケーシング、19・・上ケーシング、20・・バーナユニット、42・・出湯管、43・・直線部、50・・樹脂シート、51・・導電パターン、72・・クリップ。