(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031606
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20240229BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H05K1/14 G
H05K3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135263
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA12
5E344AA23
5E344BB02
5E344BB06
5E344CC03
5E344CC13
5E344CC23
5E344CD12
5E344EE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配線基板における良好な伝送特性を有する微細な信号伝送路を提供する。
【解決手段】実施形態の配線基板1は、第1面10f及びその反対面である第2面10sを有する第1配線基板10と、第3面20f及びその反対面である第4面20sを有する第2配線基板20と、を含む。第2配線基板20は、第4面20sに支持体を有し、第4面20sが第1面10fに向くように、第1配線基板10に貼付される。第2配線基板20の複数の導体層のうちの第3面20f側の最も外側の導体層は、第1部品E1が接続されるべき第1導体パッド及び第2部品E2が接続されるべき第2導体パッドを含んでいる。第2配線基板20の複数の導体層は、第1導体パッドと第2導体パッドとを接続する第1配線パターンを有する第1導体層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有する第1配線基板と、
第3面及び前記第3面の反対面である第4面を有する第2配線基板と、
を含む配線基板であって、
前記第2配線基板は、交互に積層される複数の導体層及び複数の樹脂絶縁層を含んでおり、
前記第2配線基板は、前記第4面に支持体を有し、前記第4面が前記第1面に向くように、前記第1配線基板に貼付されており、
前記複数の導体層のうちの前記第3面側の最も外側の導体層は、第1部品が接続されるべき第1導体パッド、及び、第2部品が接続されるべき第2導体パッドを含んでおり、
前記複数の導体層は、前記第1導体パッドと前記第2導体パッドとを接続する第1配線パターンを含む第1導体層を含んでおり、
前記第1導体層における前記第3面側の表面は研磨面であり、
前記第1導体層に含まれる配線パターンの最小の配線幅は、3μm以下であり、
前記第1導体層に含まれる配線パターン同士の最小の間隔は、3μm以下であり、
前記第1配線パターンのアスペクト比は、2.0以上、4.0以下である。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1配線パターンの配線幅は、3μm以下であり、
前記第1配線パターン同士の間隔は、3μm以下である。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、
前記支持体は、無機材料を含んでいる。
【請求項4】
請求項2記載の配線基板であって、
前記第1配線パターンの厚さは、7μm以下である。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第2配線基板は、前記複数の樹脂絶縁層のいずれかを貫いて前記複数の導体層の各導体層同士を接続するビア導体をさらに含み、
前記ビア導体のアスペクト比は、0.5以上、1.0以下である。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、
前記複数の導体層は、スパッタ膜からなる第1層と、前記第1層上に形成される金属膜からなる第2層と、を含む導体層を含んでいる。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、
前記複数の樹脂絶縁層は、前記第3面側の表面に凹部を有する樹脂絶縁層を含み、
前記複数の導体層は、前記凹部内を充填する導電体によって構成されていて、研磨面である前記第3面側の表面を前記複数の樹脂絶縁層それぞれの前記表面に露出させている。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、
前記第1配線基板は、前記第1面からそれぞれ突出する第1金属ポスト及び第2金属ポストを有し、
前記第2配線基板は、前記第1導体パッド上に形成されている第3金属ポスト、及び、前記第2導体パッド上に形成されている第4金属ポストを有し、
前記第1金属ポスト及び前記第3金属ポストの上面は、前記第1部品が搭載されるべき第1部品搭載面を構成しており、
前記第2金属ポスト及び前記第4金属ポストの上面は、前記第2部品が搭載されるべき第2部品搭載面を構成している。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板であって、
前記第2配線基板の面積は、平面視において、前記第1部品が搭載されるべき第1部品搭載領域の面積と、前記第2部品が搭載されるべき第2部品搭載領域の面積との合計面積よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1配線基板と、第1配線基板上に搭載され、配線層を有する第2配線基板とを含む半導体パッケージ用の配線基板が開示されている。第2配線基板の第1配線基板との対向面と反対側の表面には、複数の半導体チップを実装可能であるように、配線層と接続される複数のパッドが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のプリント配線板では、プリント配線板に接続されるICチップのような電子部品の電極に応じた微細な配線や、電子部品同士の間で伝送される高周波信号に対して十分な伝送特性を有する信号線路を提供できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有する第1配線基板と、第3面及び前記第3面の反対面である第4面を有する第2配線基板と、を含んでいる。前記第2配線基板は、交互に積層される複数の導体層及び複数の樹脂絶縁層を含んでいる。前記第2配線基板は、前記第4面に支持体を有し、前記第4面が前記第1面に向くように、前記第1配線基板に貼付されている。前記複数の導体層のうちの前記第3面側の最も外側の導体層は、第1部品が接続されるべき第1導体パッド、及び、第2部品が接続されるべき第2導体パッドを含んでおり、前記複数の導体層は、前記第1導体パッドと前記第2導体パッドとを接続する第1配線パターンを含む第1導体層を含んでいる。前記第1導体層における前記第3面側の表面は研磨面であり、前記第1導体層に含まれる配線パターンの最小の配線幅は、3μm以下であり、前記第1導体層に含まれる配線パターン同士の最小の間隔は、3μm以下であり、前記第1配線パターンのアスペクト比は、2.0以上、4.0以下である。
【0006】
本発明の実施形態によれば、部品と接続される配線基板において優れた信号伝送特性を有する微細な伝送路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図3】一実施形態の配線基板に含まれる第2配線基板の一例を示す断面図。
【
図5A】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5B】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5C】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5D】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5E】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5F】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5G】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5H】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5I】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5J】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図5K】一実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図6】一実施形態の配線基板を用いた電子部品の製法の一例を示す断面図。
【
図7】本発明の他の実施形態の配線基板に含まれる第2配線基板の一例を示す断面図。
【
図9A】他の実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9B】他の実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9C】他の実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【
図9D】他の実施形態の配線基板の製造工程の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態の配線基板の一例が、図面を参照しながら説明される。
図1には、配線基板1の断面図が示され、
図2には、配線基板1の上面図が示されている。
図1は、
図2のI-I線に沿った断面を示している。なお、配線基板1は、実施形態の配線基板の一例に過ぎない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0009】
図1に示されるように、配線基板1は、複数の部品を搭載可能に構成されている。
図1及び
図2に示されるように、配線基板1は、第1部品E1が搭載されるべき第1部品搭載領域A1と、第1部品E1とは別部品である第2部品E2が搭載されるべき第2部品搭載領域A2と、を備えている。なお、「別の部品」は、単に第1部品E1と第2部品E2とが別個の部品であることを意味し、必ずしも異種の部品であることを意味しない。第1部品E1と第2部品E2とは、同種の部品であってもよく、互いに異なる機能を有する部品であってもよい。配線基板1に搭載される第1部品E1及び第2部品E2は、例えば、マイコンやメモリなどの半導体集積回路装置のような電子部品である。なお、配線基板1に搭載される部品の数は、3つ以上であってもよい。
【0010】
図1及び
図2に示されるように、配線基板1は、第1配線基板10と、第1配線基板10に貼付されている第2配線基板20と、を含んでいる。第1配線基板10は、第2配線基板20を貼付するための貼付領域A0を設けるために、平面視において、第2配線基板20より大きい面積を有している。配線基板1は、第1部品E1が第1配線基板10と接続可能であるとともに、第2配線基板20とも接続可能であるように構成されている。そのために、第1部品E1が搭載されるべき第1部品搭載領域A1は、平面視において、第2配線基板20、及び、第1配線基板10のうちの第2配線基板20に覆われない部分の両方と重なるように設けられている。なお、「平面視」は、配線基板1の厚さ方向に沿う視線で対象物を見ることを意味している。また、配線基板1は、第2部品E2が第1配線基板10と接続可能であるとともに、第2配線基板20とも接続可能であるように構成されている。そのために、第2部品E2が搭載されるべき第2部品搭載領域A2は、平面視において、第2配線基板20、及び、第1配線基板10のうちの第2配線基板20に覆われない部分の両方と重なるように設けられている。
【0011】
実施形態の配線基板では、平面視において、第2配線基板20の面積は、第1部品搭載領域A1の面積と第2部品搭載領域A2の面積との合計面積よりも小さい。従って、実施形態の配線基板では、第1部品E1及び第2部品E2と同等であるか、又はこれらより小さい面積の第2配線基板20を用いることによって、小型に形成され得ると考えられる。第2配線基板20の面積は、第1部品搭載領域A1のみの面積より小さくてもよく、第2部品搭載領域A2のみの面積より小さくてもよい。
【0012】
1つの第1配線基板10に貼付されている第2配線基板20の数は、2つ以上であってもよい。また、配線基板1に搭載される部品の数が3つ以上である場合、3つ以上の部品のうちの少なくとも2つが1つの第2配線基板20に接続されればよい。例えば、3つ以上の部品の全てが、1つの第2配線基板20に接続されてもよく、3つ以上の部品のうちの2つが、1つの第2配線基板20に接続され、他の部品は、第1配線基板10のみに接続されていてもよい。
【0013】
図1に示されるように、第1配線基板10は、その厚さ方向と直交する2つの表面(主面)のうちの一方である第1面10f、及び、第1面10fの反対面である第2面10sを有している。第2配線基板20は、その厚さ方向と直交する2つの表面(主面)のうちの一方である第3面20f、及び、第3面20fの反対面である第4面20sを有している。第2配線基板20は、第4面20sが第1面10fに向くように、第1配線基板10に貼付されている。
【0014】
なお、実施形態の説明では、配線基板1の厚さ方向(積層方向)において、第2配線基板20の第3面20f側は、「上側」若しくは「上方」、又は、単に「上」とも称され、第1配線基板10の第2面10s側は、「下側」若しくは「下方」、又は、単に「下」とも称される。さらに、第1配線基板10及び第2配線基板20の各導体層及び各絶縁層において、第2配線基板20の第3面20f側を向く表面は「上面」とも称され、第1配線基板10の第2面10s側を向く表面は「下面」とも称される。なお、実施形態の配線基板の厚さ方向は、「Z方向」とも称される。
【0015】
実施形態の配線基板において、第1配線基板10は、少なくとも、配線基板1に搭載される部品(
図1の例では、第1部品E1及び第2部品E2)以外の配線基板1の外部と、配線基板1と、を接続し得る。第1配線基板10は、配線基板1に搭載される部品のうちの少なくとも2つの部品(
図1の例では、第1部品E1及び第2部品E2)それぞれと接続可能である任意の配線基板から選択され得る。
図1の例では、第1配線基板10は、交互に積層されている複数の導体層122~127及び複数の絶縁層131~136を含んでいる。
図1に示される第1配線基板10は、コア基板11を含んでおり、コア基板11の第1面10f側及び第2面10s側の表面上に、複数の導体層122~127及び複数の絶縁層131~136を逐次形成することによって製造される、所謂ビルドアップ配線基板である。しかし、第1配線基板の積層構造、及び、第1配線基板に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数は、
図1の第1配線基板10の積層構造、及び、第1配線基板10に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。第1配線基板10は、例えば、コア基板11のみから構成されている、所謂、両面配線基板であってもよい。
【0016】
図1の例において、第1配線基板10のコア基板11は、コア絶縁層113と、コア絶縁層113における第1面10f側及び第2面10s側それぞれの表面上に、コア導体層112と、を含んでいる。第1面10f側及び第2面10s側それぞれの表面上のコア導体層112は、スルーホール導体110によって互いに接続されている。また、スルーホール導体110の内部は、エポキシ樹脂などを含む樹脂体111で充填されている。
【0017】
図1の例において、第1配線基板10は、絶縁層131~136のいずれかを貫いて、コア導体層112及び導体層122~127の各導体層同士を接続するビア導体14を含んでいる。第1配線基板10の第1面10f側及び第2面10s側の最も外側の絶縁層である絶縁層137は、ソルダーレジスト層であり得る。
【0018】
図1の例において、第1配線基板10の導体層122~127は、それぞれ、所定の導体パターンを含むようにパターニングされている。第1面10f側の最も外側の導体層である導体層127は、配線基板1の使用時に配線基板1に搭載される部品(
図1の例では、第1部品E1及び第2部品E2)と接続される1つ以上の導体パッド171及び1つ以上の導体パッド172を含んでいる。導体パッド171は、第1部品E1と接続されるべき導体パッド(第1導体パッド)であり、導体パッド172は、第2部品E2と接続されるべき導体パッド(第2導体パッド)である(
図2も参照)。導体パッド171は、第1部品搭載領域A1に設けられており、導体パッド172は、第2部品搭載領域A2に設けられている(
図2参照)。
【0019】
図1の例において、第1配線基板10はさらに、導体パッド171、172の表面上にそれぞれ形成されている1つ以上の金属ポスト151及び1つ以上の金属ポスト152を含んでいる。金属ポスト151は、配線基板1に搭載されるべき複数の部品のうちの一部品(
図1の例では、第1部品E1)を搭載するための金属ポスト(第1金属ポスト)であり、金属ポスト151の上面は、当該一部品を搭載するための部品搭載面(第1部品搭載面F1)を構成する。金属ポスト152は、配線基板1に搭載されるべき複数の部品のうちの別の一部品(
図1の例では、第2部品E2)を搭載するための金属ポスト(第2金属ポスト)であり、金属ポスト152の上面は、当該別の一部品を搭載するための部品搭載面(第2部品搭載面F2)を構成する。絶縁層137の上面には、導体層は形成されておらず、金属ポスト151、152以外の導電体は存在しない。配線基板1の使用時には、金属ポスト151によって、配線基板1に搭載されるべき部品のうちの一部品の電極パッド(
図1の例では、第1部品E1の電極パッドE10)の少なくとも一部と、第1配線基板10の導体パッド171とが、それぞれ接続される。他方、金属ポスト152によって、配線基板1に搭載されるべき部品のうちの別の一部品の電極パッド(
図1の例では、第2部品E2の電極パッドE20)の少なくとも一部と、第1配線基板10の導体パッド172とが、それぞれ接続される。
【0020】
絶縁層137の上面に対する金属ポスト151、152の高さは、第2配線基板20の厚さ(絶縁層137の上面に対する第2配線基板20の金属ポスト251、252(詳細は後述される)の高さ)と略同じとなるように調整されている。金属ポスト151、152の高さの調整によって、配線基板1に搭載されるべき部品の部品搭載面(
図1の例では、第1部品搭載面F1及び第2部品搭載面F2)は、配線基板1の下面(第1配線基板10の第2面10s)に対して略平行となり得るので、例えば、チップ搭載機などに配線基板1を搭載して、配線基板1に部品(
図1の例では、第1部品E1及び第2部品E2)を搭載するときに、部品が配線基板1に安定して搭載されると考えられる。
【0021】
図1の例において、金属ポスト151、152は、それぞれ、導体パッド171、172上に形成されているポスト本体15aと、ポスト本体15a上に形成されている機能層15bと、を含んでいる。ポスト本体15aは、金属ポスト151、152の高さを調整するために形成され得る。ポスト本体15aは、例えば、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成されている。機能層15bは、ポスト本体15aの端面の保護層として、及び/又は、第1部品E1若しくは第2部品E2とポスト本体15aとの接合層として機能し得る。機能層15bは、例えば、ニッケル、すず、パラジウム、又は金などのめっき膜によって形成されている。
【0022】
図1の例では、ポスト本体15a及び機能層15bは、それぞれ、1つの層だけを有するように描かれている。しかし、ポスト本体15a及び機能層15bは、それぞれめっき若しくはスパッタリングなどで形成される2つ以上の金属膜を含む多層構造を有していてもよい。
【0023】
実施形態の配線基板において、第2配線基板20は、配線基板1に搭載されるべき部品のうちの少なくとも2つの部品(
図1の例では、第1部品E1及び第2部品E2)を接続し得る。
図2の例では、第2配線基板20は、第1部品E1と第2部品E2とを接続する配線パターン211、213(詳細は後述される)を含んでいる。
【0024】
図3には、
図1に示される配線基板1のうち、第2配線基板20のみが示されている。
図4には、
図3のIV部の拡大図が示されている。
図3に示されるように、第2配線基板20は、第4面20s側に設けられ、第1配線基板10に貼付されている支持体21と、支持体21の第3面20f側に設けられ、交互に積層されている複数の導体層221~225及び複数の絶縁層231~235を含む積層体22と、を含んでいる。第2配線基板20は、複数の導体層221~225及び複数の絶縁層231~235を逐次形成することによって製造される、所謂ビルドアップ配線基板である。
【0025】
図3に示されるように、支持体21は、第2配線基板20の第4面20s側に付着している。換言すると、支持体21の一面上に積層体22が形成されている。
図3に示される支持体21は、接着層23によって積層体22に付着している。接着層23は、例えば、エポキシ樹脂などの任意の絶縁性材料を含んで構成されている。支持体21は、積層体22よりも高い剛性を有している。そのため、支持体21によって積層体22が支持される。従って、
図3に示される第2配線基板20には、安定して、第1部品E1及び第2部品E2(
図1参照)のような部品が実装され得ると考えられる。支持体21は、適切な剛性を有するように、シリコン、ガラスなどの無機材料を含んで構成されることが好ましく、シリコンを含んで構成されることがより好ましい。しかし、支持体21は、ガラス繊維などの補強材に含侵されたエポキシ樹脂などの有機材料を含んで構成されてもよい。接着層23が高い絶縁性を有する場合、又は、積層体22の第4面20s側の表面に導体層が存在しない場合(
図3の例では、導体層221が存在しない場合)、支持体21は、例えば、銅などの金属材料を含んで構成されてもよい。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、導体層221~225は、それぞれ、所定の導体パターンを含むようにパターニングされている。第3面20f側の最も外側の導体層である導体層225は、配線基板1の使用時に配線基板1に搭載される部品(
図1の第1部品E1及び第2部品E2参照)と接続されるべき1つ以上の導体パッド271及び1つ以上の導体パッド272を含んでいる。
図3及び
図4の例では、導体パッド271は、第1部品E1が接続されるべき導体パッド(第1導体パッド)であり、導体パッド272は、第2部品E2が接続されるべき導体パッド(第2導体パッド)である(
図2も参照)。導体パッド271は、第1部品搭載領域A1に設けられており、導体パッド272は、第2部品搭載領域A2に設けられている(
図2参照)。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、導体層221~225は、導体パッド271及び導体パッド272以外にも、配線パターン211~215を含んでいる。配線パターン211~212それぞれは、後述されるように、配線パターン213~215それぞれよりも、微細な配線幅W1(
図4参照)を有している。隣接する配線パターン211同士の間隔は、配線パターン213同士の間隔及び配線パターン214同士の間隔よりも微細な間隔G(
図4参照)で配置されている。隣接する配線パターン212同士の間隔についても同様である。配線パターン211~212それぞれは、例えば、導体層221~225のいずれかが含む任意の導体パッド同士を接続して、比較的に高周波である電気信号を伝播させる信号線路として機能する。図示される例では、配線パターン211~212のうちの配線パターン211それぞれは、前述したように、導体パッド271と導体パッド272とを接続する(
図2参照)。配線パターン213~214それぞれは、例えば、導体層221~225のいずれかが含む任意の導体パッド同士を接続して、電気信号を伝播させる信号線路として機能する。図示される例では、配線パターン213~214のうちの配線パターン213は、前述したように、導体パッド271と導体パッド272とを接続する(
図2参照)。配線パターン214は、所謂ベタパターンであり、例えば、比較的に大電流を通電させる電源プレーン又はグランドプレーンとして機能する。
【0028】
このように、実施形態の配線基板に含まれる第2配線基板20において、複数の導体層(図示される例では、導体層221~225)は、配線基板に搭載されるべき複数の部品のうち、1つの部品が接続されるべき導体パッド(例えば、第1部品E1が接続される導体パッド271)と、他の1つの部品が接続されるべき導体パッド(例えば、第2部品E2が接続される導体パッド272)と、を接続する配線パターンを含む導体層(図示される例では、配線パターン211を含む導体層224及び配線パターン213を含む導体層225)を含んでいる。なお、実施形態の説明では、第1部品E1が接続されるべき導体パッド271のような第1導体パッドと、第2部品E2が接続されるべき導体パッド272のような第2導体パッドと、を接続する、配線パターン211、213のような配線パターンのうち、微細な配線幅W1及び間隔Gを有する配線パターン211のような配線パターンは、他の配線パターンとの区別のために、適宜「第1配線パターン」とも称される。また、「第1配線パターン」を含む導体層224のような導体層は、他の導体層との区別のために、適宜「第1導体層」とも称される。
【0029】
図3に示されるように、導体層221~225のうちで導体層221が、積層体22の第3面20fと反対側において、最も外側に形成されている。導体層221における第3面20fと反対側の表面以外の表面は絶縁層231に覆われている。そして、絶縁層231における第3面20f側の表面上に、第3面20fに向かって順に、導体層222、絶縁層232、導体層223、絶縁層233、導体層224、絶縁層234、導体層225、及び絶縁層235が形成されている。導体層225は、第2配線基板20における第3面20f側の最も外側の導体層である。第2配線基板20の第3面20fは、主に、導体層225を覆っている絶縁層235における導体層225と反対方向を向く表面によって構成されている。一方、積層体22の第4面20s側の表面は、導体層221及び絶縁層231それぞれにおける導体層222と反対方向を向く表面によって構成されている。
【0030】
第2配線基板20は、さらに、絶縁層231~234のいずれかを貫いて、導体層221~225の各導体層同士を接続するビア導体24を含んでいる。第2配線基板20は、絶縁層231~234それぞれを貫く複数のビア導体24を含んでいる。絶縁層231を貫くビア導体24は、導体層221と導体層222とを接続し、絶縁層232を貫くビア導体24は、導体層222と導体層223とを接続し、絶縁層233を貫くビア導体24は、導体層223と導体層224とを接続し、絶縁層234を貫くビア導体24は、導体層224と導体層225とを接続している。各ビア導体24は、自身の上側に形成される導体層と一体的に形成されている。各ビア導体24は、第2配線基板20の第3面20f側から第4面20s側に向かって幅が細くなるテーパー形状を有している。なお、ビア導体24の「幅」は、ビア導体24におけるZ方向と直交する断面(又は端面)の外周上の2点間の最長距離である。
【0031】
図3の例では、導体層225の導体パッド271と導体層221の導体パッド273とが、平面視において、同じ位置で積層されている複数のビア導体24(所謂スタックビア導体)を介して接続されている。そのため、第2配線基板20を小さい面積で形成し易くなると考えられる。また、
図3の例と異なり、ビア導体24が信号線路としての配線パターン211同士を接続する場合には、配線パターン211同士が短い経路で接続し易くなるので、意図通りの電気的特性が得られ易いと考えられる。
【0032】
図3の例では、第2配線基板20はさらに、導体パッド271及び導体パッド272の表面上にそれぞれ形成されている1つ以上の金属ポスト251及び1つ以上の金属ポスト252を含んでいる。金属ポスト251は、配線基板1に搭載されるべき複数の部品のうちの一部品(
図1の例では、第1部品E1)を搭載するための金属ポスト(第3金属ポスト)であり、金属ポスト251の上面は、当該一部品を搭載するための部品搭載面(第1部品搭載面F1)を構成する。金属ポスト252は、配線基板1に搭載されるべき複数の部品のうちの別の一部品(
図1の例では、第2部品E2)を搭載するための金属ポスト(第4金属ポスト)であり、金属ポスト252の上面は、当該別の一部品を搭載するための部品搭載面(第2部品搭載面F2)を構成する。金属ポスト251、252は、それぞれ、絶縁層235を貫通して、第2配線基板20の第3面20fを構成する絶縁層235の上面から突出している。絶縁層235の上面には、導体層は形成されておらず、金属ポスト251、252以外の導電体は存在しない。配線基板1の使用時には、金属ポスト251によって、配線基板1に搭載されるべき部品のうちの一部品の電極パッド(
図1の例では、第1部品E1の電極パッドE10)の少なくとも一部と、第2配線基板20の導体パッド271とが、それぞれ接続される。他方、金属ポスト252によって、配線基板1に搭載されるべき部品のうちの別の一部品の電極パッド(
図1の例では、第2部品E2の電極パッドE20)の少なくとも一部と、第2配線基板20の導体パッド272とが、それぞれ接続される。金属ポスト251、252を介して第1部品E1及び第2部品E2が第2配線基板20に接続されるので、各部品の搭載が容易になることや、導体パッド271同士の短絡や導体パッド272同士の短絡が防がれることがある。
【0033】
図3では、金属ポスト251、252の絶縁層235の上面からの突出量は、導体層221~225の絶縁層231~235それぞれの上面からの突出量より大きいように描かれている。しかし、金属ポスト251、252の絶縁層235の上面からの突出量は、配線基板1に搭載されるべき部品の電極パッド(例えば、
図1の第1部品E1の電極パッドE10及び第2部品E2の電極パッドE20参照)と金属ポスト251、252とが接続可能であれば、導体層221~225の絶縁層231~235それぞれの上面からの突出量と同等であるか、又は小さくてもよい。
【0034】
図3の例では、金属ポスト251、252は、それぞれ、導体パッド271、272上に形成されているポスト本体25aと、ポスト本体25a上に形成されている機能層25bと、を含んでいる。ポスト本体25aは、金属ポスト251、252の高さを調整するために形成され得る。機能層15bは、ポスト本体15aの端面の保護層として、及び/又は、第1部品E1若しくは第2部品E2とポスト本体15aとの接合層として機能し得る。
【0035】
前述した導体層221~225、ビア導体24、及びポスト本体25aは、例えば、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成されている。導体層221~225、ビア導体24、及びポスト本体25aは、
図3では、簡略化されて1つの層だけを有するように描かれているが、拡大図である
図4に示されるように、それぞれめっき若しくはスパッタリングなどで形成される2つ以上の金属膜を含む多層構造を有していてもよい。
【0036】
図4に示されるように、導体層221は、電解めっき膜からなる1層の金属膜で形成され得る。導体層221は、絶縁層231に埋め込まれて、第4面20s(
図3参照)側の表面だけを露出させている。一方、導体層222~225及びポスト本体25aは、それぞれ、第1層220aと、第1層220a上に形成されている第2層220bと、を含んでおり、これら2層の金属膜によって構成される2層構造を有し得る。第2層220bは、全面的に、第1層220aの上に、すなわち、第2配線基板20の第3面20f側に形成されている。
【0037】
第1層220aは、例えば、無電解めっき膜又はスパッタ膜のような金属膜からなる。第2層220bは、例えば、めっきなどによって形成される金属膜からなる。第2層220bは、第1層220aを給電層として用いる電解めっきによって形成された金属膜であってもよい。第1層220aは、第2層220bと、各導体層の下側の各絶縁層との間に介在している。第1層220aがスパッタ膜からなる場合、導体層222~225及び金属ポスト251、252それぞれと絶縁層231~235それぞれとの強固な密着性が得られていることがある。また、導体層222~225及び金属ポスト251、252それぞれの上面の平坦性が高いことがある。
【0038】
図4に示されるように、金属ポスト251、252の機能層25bも多層構造を有し得る。
図4の例において、機能層25bは、ポスト本体25a上に形成されている下層25baと、下層25ba上に形成されている上層25bbと、を有している。上層25bbは、例えば、すず、パラジウム、金、又はこれらの合金によって形成されている。上層25bbは、ポスト本体25aの保護膜、及び/又は、ポスト本体25aと第1部品E1又は第2部品E2(
図1参照)との接合材として機能する。下層25baは、例えば、ニッケルなどの適切な性状を有する金属で形成されており、上層25bbと金属ポスト251、252との間のバリア膜及び/又は両者の密着性の強化膜として機能し得る。
【0039】
実施形態の配線基板において、第2配線基板20の導体層224のような「第1導体層」における第3面20f側の表面224aは、研磨で仕上げられた状態を有する研磨面であり得る。そのため、表面224aは、例えば、金属の析出によって形成されたままのめっき膜の面粗度よりも低い面粗度を有し得る。そのため、導体層224が含む配線パターン211などでは、高周波信号の伝送において見られる表皮効果による実質的な導体抵抗の増大による信号伝送特性の低下や電圧降下の増大が生じ難いと考えられる。例えば、導体層224のような「第1導体層」が第3面20f側の表面として有する研磨面は、0.3μm以下の算術平均粗さを有している。そのような面粗度が得られていると、上記のような伝送特性に関する好ましい効果が得られることがある。
【0040】
また、研磨面である表面224aは、導体層224全体に渡って均一な高さ(例えば、第4面20s(
図3参照)からの距離)を有し易い。そのため、導体層224上に形成されるビア導体24の高さも揃いやすく、さらにその上に形成される金属ポスト251、252の高さも揃い易い。結果として、第1部品E1及び/又は第2部品E2(
図1及び
図2参照)が安定して第2配線基板20に搭載されると考えられる。また、表面224aが研磨面であると、配線パターン211などの厚さが、その全長に渡って略一定になり易く、よって、配線パターン211の特性インピーダンスに変動が生じ難い。そのため、配線パターン211における反射損失が抑制されることがある。
【0041】
また、第2配線基板20の導体層224が含む配線パターン211は、配線幅W1、及び隣接する配線パターン211との間に間隔Gを有している。実施形態の配線基板では、配線パターン211のような、導体パッド271と導体パッド272とを接続する「第1配線パターン」を含む、導体層224のような「第1導体層」は、実施形態の配線基板が含む配線パターンの中で、比較的に微細なピッチで配置される配線パターンを含んでいる。実施形態の配線基板において「第1導体層」が含む配線パターンの配線幅W1の最小値は、1μm以上、3μm以下であり、その配線パターン同士の間隔Gの最小値は、1μm以上、3μm以下である。すなわち、「第1導体層」は、3μm以下の配線幅を有し、且つ、隣接する配線パターンとの間に3μm以下の間隔を有する配線パターンを含んでいる。
図4の例では、第1配線パターンである配線パターン211の配線幅W1は、1μm以上、3μm以下であり、配線パターン211同士の間隔Gは、1μm以上、3μm以下である。
【0042】
実施形態の配線基板では、導体層224のような「第1導体層」は、このように微細な最小配線幅及び微細な最小配線間隔を有する配線パターンを含み、特に、配線パターン211のような「第1配線パターン」は、微細な最小配線幅及び微細な最小配線間隔を有している。そのため、第1部品E1及び第2部品E2(
図1及び
図2参照)が、占有面積の小さい複数の信号線路で接続されると考えられる。従って、実施形態の配線基板において、第2配線基板20は、従来の配線基板と比べて小さく実現され得ることがある。また、部品と接続される導体パッド間に、このように微細な配線幅及び配線間隔の配線パターンを有する実施形態の配線基板の設計では、2つの部品の配置に関する自由度が高いことがある。
【0043】
加えて、本実施形態では、このように微細な配線幅を有し得る配線パターン211のような「第1配線パターン」は、配線幅W1よりも大きな配線厚さTを有している。そのため、本実施形態において、第1配線パターンは、比較的大きなアスペクト比(第1配線パターンの配線厚さT/第1配線パターンの配線幅W1)を有している。具体的には、配線パターン211のような「第1配線パターン」のアスペクト比は、2.0以上、4.0以下である。このようなアスペクト比を有する第1配線パターンは、小さな配線幅の割に低い導体抵抗を有し得る。そのため、導体パッド271と導体パッド272とを接続する配線パターン211の挿入損失が低いと考えられる。そのため、第1部品E1と第2部品E2(
図1及び
図2参照)との間で、少ない伝送損失で信号を伝播させることができ、すなわち良好な伝送効率が得られることがある。また、第1部品E1と第2部品E2とを接続する信号線路において、所望の特性インピーダンスが得られ易く、さらに挿入損失を低減し得ることがある。
【0044】
図4の例において、第1配線パターンである配線パターン211の配線厚さT、すなわち、第1導体層である導体層224の厚さは、4μm以上、7μm以下であり得る。このような厚さが得られていると、実施形態の配線基板の厚さを顕著に増大させずに、前述したような挿入損失の低減などの効果が得られることがある。
【0045】
実施形態の配線基板において、第2配線基板20の導体層221~225のいずれもが、比較的微細なピッチで配置される配線パターン211のような配線パターンを含んでいてもよい。この場合、小さなピッチで並ぶビア導体24、すなわち、小さな幅を有するビア導体24が好ましいことがあり、その観点から、大きなアスペクト比を有するビア導体24が好ましいことがある。第2配線基板20において、ビア導体24のアスペクト比は、例えば、0.5以上、1.0以下であり得る。微細なピッチで並ぶ配線パターン211のような配線パターンは、その配線パターンを含む導体層と異なる導体層の配線パターンと、導体層間の接続部においても比較的微細なピッチを保って接続され得ることがある。なお、ビア導体24のアスペクト比は、
図4に示される、(ビア導体24によって接続される2つの導体層のZ方向における間隔D)/(第3面20f側の導体層との界面におけるビア導体24の幅W2)である。
【0046】
実施形態の配線基板において、第2配線基板20の導体層222、223、225もまた、「第1導体層」であり得る。従って、第2配線基板20が含む複数の導体層のうち、第4面20s(
図3参照)側における最も外側の導体層(
図4の例における導体層221)を除く全ての導体層において、第3面20f側の表面が研磨面であってもよい。各導体層において、前述したような良好な伝送特性などの効果が得られることがある。また、前述したように、導体層222、223、225もまた、導体層224の配線パターン211のような「第1配線パターン」を含み得る。従って、第2配線基板20が含む複数の導体層のうち、第4面20s側における最も外側の導体層を除く全ての導体層が、1μm以上、3μm以下の配線幅及び2.0以上、4.0以下のアスペクト比を有する配線パターンを含んでいてもよい。さらに、第4面20s側における最も外側の導体層を除く全ての導体層が、隣接する配線パターンとの間に1μm以上、3μm以下の間隔を有する配線パターンを含んでいてもよい。各導体層において挿入損失の小さい配線パターンが得られ、加えて、実施形態の配線基板が、一層高い自由度の下で設計され、そして従来の配線基板と比べて一層小さく実現され得ることがある。
【0047】
絶縁層231~234は、2つの導体層の間に介在する層間絶縁層であり、それぞれ、絶縁性樹脂を用いて形成されている。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、又はフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、及び、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、及び変性ポリイミド(MPI)樹脂のような熱可塑性樹脂が例示される。絶縁層231~234は、シリカ、アルミナなどの無機フィラー(図示せず)を含み得る。絶縁層231~234は、図示されないガラス繊維などの補強材(芯材)を含んでいてもよい。しかし、補強材を含まない方が、微細なピッチで並ぶ配線パターンの形成の容易性の面で、好ましいことがある。
【0048】
絶縁層231~234が無機フィラーを含む場合、含まれる無機フィラーとしては、粒径(無機フィラーの表面上の2点間の最長距離)の小さな無機フィラーが好ましいと考えられる。例えば、絶縁層231~234は、最大でも1μm以下の粒径を有する複数の無機フィラーを含み得る。各絶縁層に含まれる無機フィラーの粒径が小さいと、例えば、配線パターン211のように、微細なピッチで並ぶ配線パターン間においても、無機フィラーに沿ったリーク経路などによる短絡不良が生じ難いことがある。また、微小なビア導体24の形成や、後に参照される
図7などに例示の形態の配線パターンの形成が容易なことがある。
【0049】
また、第2配線基板20に含まれる導体層221~225それぞれが含む配線パターンにおいて良好な高周波信号の伝送特性を得るべく、低い誘電率及び誘電損失を有している絶縁層231~234が好ましい。例えば、5.8GHzの周波数において絶縁層231~234それぞれの比誘電率は、3.0以上、4.0以下程度であり、誘電正接は、0.001以上、0.005以下程度である。
【0050】
導体層225を覆う絶縁層235も、絶縁層231~234と同様の絶縁性樹脂を用いて形成され得る。しかし、第2配線基板20の第3面20fを構成する絶縁層235は、ソルダーレジストとして機能する絶縁層であってもよい。その場合、絶縁層235は、絶縁層231~234と主成分又は添加剤が異なる材料で形成されていてもよい。例えば、絶縁層235は、感光剤を含むエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いて形成されていてもよい。
【0051】
つぎに、
図1に例示される配線基板1が製造される場合を例に、本実施形態の配線基板を製造する方法の一例が説明される。なお、先に為された配線基板1の各構成要素の材料の説明と異なる説明がない限り、各構成要素は、各構成要素について先に説明された材料のいずれかを用いて形成され得る。
【0052】
まず、配線基板1のうち、第1配線基板10が用意される(
図1参照)。第1配線基板10の導体パッド171、172の表面上には、複数の金属ポスト151、152が形成される。例えば、第1配線基板10は、一般的なビルドアップ配線基板の製造方法を用いて、コア基板の両側に、絶縁層と導体層とを積層することによって用意される。複数の金属ポスト151、152は、例えば、電解めっきを用いるパターンめっきによって形成される。
【0053】
第1配線基板10とは別に、
図5A~
図5Kに示されるように、第2配線基板20が用意される。
図5Aに示されるように、前述の第2配線基板20の積層体22(
図3及び
図4参照)を形成するための支持体28が用意され、その一面28aに導体層221が形成される。
図5Aの例では、支持体28は、その上に形成されるべき第2配線基板20の積層体22よりも高い剛性を有する部材から選択されている。そのため、支持体28によって、第2配線基板20の積層体22が支持され得る。
図5Aに示される例では、支持体28は、基材281と、基材281の両面それぞれに積層されている第1金属膜層282と、第1金属膜層282上に形成されている剥離層283と、剥離層283上に積層されている第2金属膜層284と、を含んでいる。
【0054】
基材281は、例えば、適切な剛性を有するガラス、シリコンなどの無機素材、又は、ガラス繊維などの補強材に含侵されたエポキシ樹脂などの有機素材からなる。第1金属膜層282及び第2金属膜層284は、それぞれ、例えば、銅、又は銅/チタン合金、などの任意の金属で構成され得る。剥離層283は、第1金属膜層282及び第2金属膜層284同士を、所定の状況下で付着させることができ、そして、特定の処理を受けることによって、付着している第1金属膜層282と第2金属膜層284とを分離させることが可能な任意の材料で形成されている。例えば、特定の処理によって、軟化又は脆弱化したり、粘着性を喪失したりする材料が、剥離層283に用いられる。剥離層283は、例えば、加熱によって軟化する熱可塑性の接着剤や、紫外線の照射によって変質する感光性の接着剤などで形成され得る。
【0055】
導体層221は、例えば、電解めっきを用いるパターンめっきによって形成される。支持体28の一面28aを構成する第2金属膜層284上に、導体層221に含まれるべき導体パッド273などの導体パターンの形成位置に応じた開口を有するめっきレジスト(図示せず)が設けられる。そして、第2金属膜層284を給電層として用いる電解めっきによって、めっきレジストの開口内に銅などの金属が析出され、その析出される金属からなる導体パターンを含む導体層221が形成される。その後めっきレジストが除去される。なお、めっきレジストの除去の前に導体層221の上面(支持体28と反対側の表面)が、例えば、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)などの任意の方法により研磨されてもよい。導体層221においても、前述したように良好な伝送特性が得られることがある。この研磨の際には、除去される前のめっきレジストの上面付近が、導体層221の上面と共に研磨されてもよい。
【0056】
図5Bに示されるように、導体層221を覆う絶縁層231が、第2金属膜層284上に形成される。絶縁層231は、例えば、フィルム状のエポキシ樹脂を第2金属膜層284及び導体層221上に積層し、熱圧着することによって形成される。前述したように、絶縁層231(及び後工程で形成される絶縁層232~234(
図5F参照))は、エポキシ樹脂以外にも、BT樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、又はフッ素樹脂やLCPなどの熱可塑性樹脂を用いて形成され得る。なお、
図5B、及び、以下で参照される
図5C~
図5Kでは、支持体28の一面28a側と反対側の描写は省略されている。しかし、支持体28の一面28a側と反対側においても、
図5Aに示される工程で導体層221が形成され、さらに、
図5B~
図5Kを参照して説明される処理や各構成要素の形成が行われてもよい。
【0057】
絶縁層231には、ビア導体24(
図3参照)の形成位置に、炭酸ガスレーザー光などの照射によって貫通孔24aが形成される。貫通孔24aの形成後、好ましくは、貫通孔24a内に残る樹脂屑(スミア)を除去するデスミア処理が行われる。デスミア処理は、過マンガン酸塩溶液などの薬液への浸漬を含むウェット処理であってもよいが、例えば、アルゴン、四フッ化メタン、四フッ化メタンと酸素との混合気、又は、六フッ化硫黄などのプラズマガスを用いるプラズマ処理のようなドライ処理であってもよい。例えば、プラズマ処理によるデスミア処理では、ウェット処理と比べて絶縁層231の表面の浸食が抑制されることがある。
【0058】
そして、貫通孔24a内及び絶縁層231の表面の全面に、例えば、スパッタリングや無電解めっきによって、例えば、銅やニッケルなどからなる金属膜220aaが形成される。スパッタリングで金属膜220aaが形成されると、絶縁層231と高い密着性を示す金属膜220aaが形成されることがある。金属膜220aaの一部は、絶縁層231上に形成される導体層222の第1層220a(
図4参照)となり得る。
【0059】
図5Cに示されるように、金属膜220aa上に、開口R11を有するめっきレジストR1が設けられる。めっきレジストR1は、例えば、金属膜220aa上へのドライフィルムレジストのラミネートにより形成され、開口R11は、例えば、フォトリソグラフィ技術により形成される。開口R11は、絶縁層231上に形成される導体層222(
図3及び
図4参照)が含むべき導体パターンに対応するパターンで形成される。
【0060】
導体層222に含まれる配線パターン212(
図3及び
図4参照)などの導体パターンは、前述したように、3μm以下の配線幅を有することがある。各開口R11は、各開口R11内に形成される配線パターン212などの各導体パターンが有するべき配線幅に応じた開口幅で形成される。また、前述したように、導体層222の配線パターン212は、2.0以上、4.0以下のアスペクト比を有することがある。従って、
図5Cに例示の方法では、好ましくは、形成される配線パターンが有するべきアスペクト比を満たす配線パターンの厚さ(高さ)以上の厚さ(高さ)を有するめっきレジストR1が形成される。
【0061】
金属膜220aaを給電層として用いる電解めっきによって、例えば、銅やニッケルなどからなる金属膜220baがめっきレジストR1の開口R11内に形成される。金属膜220baの一部は、絶縁層231上に形成される導体層222の第2層220b(
図4参照)となり得る。絶縁層231の貫通孔24a内にはビア導体24が形成される。金属膜220baは、
図5Cの例のように、開口R11内を全て充填し、さらにめっきレジストR1の上面よりも上側に向かって突出する湾曲した上面を有するように形成されてもよい。所望の厚さ及びアスペクト比を有する導体パターンが、より確実に形成され得ることがある。
【0062】
図5Dに示されるように、金属膜220baの上面側の一部が研磨によって除去される。少なくともめっきレジストR1の上面からの金属膜220baの突出部分は除去される。金属膜220baは、金属膜220aaとの合計の厚さが、絶縁層231上に形成される導体層222(
図5E参照)に求められる厚さに達するまで、例えば、7μm以下となるように研磨される。
図5Dの例のように、めっきレジストR1の上面側の一部もまた、金属膜220baの一部と共に除去されてもよい。金属膜220baの研磨は、例えば、CMPなどの任意の方法により行われる。研磨の結果、金属膜220baの上面は、0.3μm以下の算術平均粗さを有し得る。
【0063】
金属膜220baの研磨後、めっきレジストR1が除去される。さらに、金属膜220aaのうちの金属膜220baに覆われていない部分が、例えば、クイックエッチングなどによって除去される。
【0064】
その結果、
図5Eに示されるように、配線パターン212、214などの互いに分離された所定の導体パターンを含む導体層222が得られる。
図5Eでは、
図3と同様に、導体層222が1つの層だけを有するように示されているが、導体層222は、
図5Dに示される金属膜220ba、及び、前述したように
図5Dの状態から一部が除去された後の金属膜220aaによって構成されている。
【0065】
図5Fに示されるように、絶縁層231及び導体層222の上に、絶縁層232~234及び導体層223~225が交互に形成される。絶縁層232~234は、例えば、絶縁層231の形成方法と同様の方法で形成され得る。また、導体層223~225は、例えば、導体層222の形成方法と同様の方法で形成され得る。導体層223~225は、それぞれ、導体層222に対するめっきレジストR1(
図5C参照)のような、配線パターン211、213、215などの各導体層が含むべき導体パターンに対応する開口を有するめっきレジストを用いて形成される。
【0066】
図5G~
図5Iに示されるように、金属ポスト251、252(
図5I参照)が形成される。金属ポスト251、252は、例えば、セミアディティブ法などの一般的な導体層の形成方法によって形成され得るが、
図5G~
図5Iには、先に説明された導体層222の形成方法と同様の研磨を含む方法が示されている。すなわち、まず、
図5Gに示されるように、導体層225及び絶縁層234の上に絶縁層235が形成される。絶縁層235は、例えば、絶縁層231の形成と同様にフィルム状のエポキシ樹脂の熱圧着によって形成される。絶縁層235は、前述したように、ソルダーレジストとして機能する絶縁層である場合、絶縁層231~234とは異なる方法で、例えば、感光剤を含むエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを用いたスプレーイングやカーテンコーティングなどの方法で形成されてもよい。
【0067】
形成された絶縁層235に、例えば、炭酸ガスレーザー光の照射や、フォトリソグラフィによって貫通孔25aが形成される。貫通孔25aは、金属ポスト251、252(
図5I参照)が形成されるべき位置に形成される。貫通孔25aの形成後、プラズマ処理などによるデスミア処理が行われてもよい。そして、貫通孔25a内、及び絶縁層235の表面の全面に、例えば、銅やニッケルなどからなる金属膜220abがスパッタリングや無電解めっきによって形成される。
【0068】
図5Hに示されるように、金属膜220ab上にめっきレジストR2が、例えば、ドライフィルムレジストのラミネートなどによって形成される。めっきレジストR2には、金属ポスト251、252に対応する開口R21がフォトリソグラフィなどによって形成される。そして、開口R21内、及び開口R21内に露出する貫通孔25a内に、金属膜220abを給電層として用いる電解めっきによって銅やニッケルなどの金属が析出され、析出される金属からなる金属膜220bbが形成される。開口R21及び貫通孔25aの内部が金属膜220bbで充填される。金属膜220bbは、
図5Hの例のように、めっきレジストR2の上面よりも上側に向かって突出する湾曲した上面を有するように形成されてもよい。
【0069】
図5Iに示されるように、金属膜220bbの上面側の一部が、例えば、CMPによって除去される。めっきレジストR2の上面側の一部もまた、金属膜220bbの一部と共に除去されてもよい。金属膜220bbは、導体層225の上面から金属膜220bbの上面までの高さが、金属ポスト251、252に求められる所定の高さになるまで研磨される。その結果、金属膜220abの一部と研磨後の金属膜220bbとで構成され、所定の高さを有する金属ポスト251、252のポスト本体25aが形成される。金属膜220ab、220bbは、それぞれ、ポスト本体25aを構成する第1層220a、第2層220b(
図4参照)となり得る。
【0070】
図5Jに示されるように、金属ポスト251、252の機能層25bが、例えば、金属膜220abを給電層として用いる電解めっきによって金属ポスト251、252の上に形成される。例えば、ニッケル、すず、パラジウム、又は金などからなる1層又は2層以上の金属膜が、機能層25bとして形成される。その後、めっきレジストR2が除去され、さらに、金属膜220abのうちの金属膜220bbに覆われていない部分が、例えば、クイックエッチングによって除去される。その結果、電気的に分離された個々の金属ポスト251、252が得られる。
【0071】
図5Kに示されるように、支持体28が除去される。例えば、加熱や紫外線の照射などによって、支持体28に備えられている剥離層283の粘着性が喪失されたり、剥離層283自体が軟化したりしている状態で、基材281及び第1金属膜層282が、第2金属膜層284から引き離される。その後、第2金属膜層284が、エッチングなどによって除去され、導体層221及び絶縁層231における導体層222と反対側の表面が露出する。その結果、
図3及び
図4の例の第2配線基板20の積層体22が得られる。
【0072】
その後、支持体28(
図5K参照)が除去された積層体22の一面側に、支持体28とは異なる支持体21が接着層23を介して貼付される(
図3参照)。その結果、
図3の例の第2配線基板20が得られる。このようにして得られた第2配線基板20では、接着層23が絶縁性を有しているため、接着層23と接触する積層体22の導体層221の導体パターン間の短絡が防止されると考えられる。
【0073】
さらに、第2配線基板20の第4面20sが第1配線基板10の第1面10fに向くように、任意の接着剤(図示せず)によって、前述の貼付領域A0において、第2配線基板20が第1配線基板10に貼付される(
図1参照)。以上の工程を経ることによって、
図1の例の配線基板1が完成する。
【0074】
図6には、
図1に例示の配線基板1を用いた電子部品(マルチチップパッケージデバイス)の一例が示されている。
図6に示されるように、マルチチップパッケージデバイスEMでは、配線基板1に、例えば、マイコンやメモリなどである第1部品E1及び第2部品E2が、リフロー処理やフリップチップボンディングなどによって実装されている。そして、エポキシ樹脂などを含むモールド樹脂Mによって、第2配線基板20及び金属ポスト151、152、並びに、第1部品E1及び第2部品E2が封止されている。前述したように、第1部品E1及び第2部品E2は、配線パターン211のような第2配線基板20の第1配線パターンによって互いに接続されている。従って、第1部品E1と第2部品E2と配線基板1との間の接続において、良好な伝送特性が得られ易いと考えられる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照して、第2実施形態の配線基板が説明される。なお、第2実施形態の配線基板は、第2配線基板の構造に関して、
図1などに例示の第1実施形態の配線基板1と異なっている。そのため、
図7及び
図8では、第2配線基板のみが示されている。
図7には、第2実施形態の配線基板の第2配線基板の一例である第2配線基板200の断面図が示されており、
図8には、
図7のVIII部の拡大図が示されている。以下では、第2配線基板200における第2配線基板20との相違点が主に説明され、第2配線基板20と同様の構造や使用材料についての説明は省略される。
【0076】
図7に示されるように、第2配線基板200では、導体層222~225は、いずれも、下側(すなわち、第2配線基板200の第4面200s側)で接している絶縁層231~234内に埋設されている。導体層222は、絶縁層231の上面(第2配線基板200の第3面200f側の表面)付近に埋め込まれていて、その上面に導体層222の上面(第3面200f側の表面)を露出させている。同様に、導体層223~225は、それぞれ、絶縁層232~234それぞれの上面(第3面200f側の表面)付近に埋め込まれており、その上面に各導体層の上面(第3面200f側の表面)を露出させている。
【0077】
本実施形態の配線基板の第2配線基板200においても、
図1~
図4に示される第2配線基板20と同様に、第3面200f側の最も外側の導体層である導体層225は、第1部品E1及び第2部品E2(
図1参照)がそれぞれ接続されるべき導体パッド271及び導体パッド272を含んでいる。図示されていないが、第2配線基板200においても、
図1~
図4に示される第2配線基板20と同様に、導体層224が含む配線パターン211は、導体パッド271と導体パッド272とをビア導体24を介して接続している。すなわち、第2配線基板200においても、配線パターン211は、前述した「第1配線パターン」であり、導体層224は、前述した「第1導体層」である。同様に、第2配線基板200においても、配線パターン213は、導体パッド271と導体パッド272とを接続している。
【0078】
そして、第2配線基板200においても、「第1導体層」である導体層224に含まれる配線パターンの最小の配線幅(例えば、「第1配線パターン」である配線パターン211の配線幅)は1μm以上、3μm以下である。また、導体層224に含まれる配線パターン同士の最小の間隔(例えば、配線パターン211同士の間隔)は、1μm以上、3μm以下であり、配線パターン211のアスペクト比は2.0以上、4.0以下である。さらに、本実施形態では、導体層224の表面224a(
図8参照)を含めて、導体層222~225全てにおける第2配線基板200の第3面200f側の表面は研磨面である。なお、第2配線基板200において、導体層222~225それぞれが含む配線パターンが、導体パッド271と導体パッド272とを接続していてもよい。従って、導体層222~225それぞれが「第1導体層」であってもよく、導体層222~225それぞれが含む配線パターンが「第1配線パターン」であってもよい。
【0079】
図8に示されるように、絶縁層231~234は、それぞれ、第2配線基板200の第3面200f側の表面に凹部230rを有している。例えば、絶縁層231は、表面231aに凹部230rを有し、絶縁層233は、表面233aに凹部230rを有している。ビア導体24は、各絶縁層を貫いて凹部230と連通する貫通孔24b内に形成されている。一方、導体層222~225は、それぞれ、各絶縁層が有する凹部230r内を充填する導電体によって構成されている。すなわち、導体層222は、絶縁層231の凹部230r内に形成されており、同様に、導体層223~225は、それぞれ、絶縁層232~234の凹部230r内に形成されている。このような構造を有する各導体層では、配線パターン211のような各導体パターン間に導電体の残渣が存在し難く、そのため短絡不良が生じ難いと考えられる。そして、一層微細なピッチで並ぶ配線パターンの実現が可能なことがある。
【0080】
図1~
図3の配線基板1と同様に、導体層222~225は、例えば、スパッタ膜である第1層220aと、第1層220a上に形成されている、例えば、電解めっき膜である第2層220bとによって構成されている。そして、第2配線基板200において、第1層220aは、凹部230rの底面及び壁面に沿って形成されている。すなわち、導体層222~225それぞれが有する、例えば、配線パターン211のような導体パターンにおいて、第1層220aは、第2層220bの下面及び側面を覆っている。第1層220aは、第2層220bと、各導体層が埋設されている絶縁層との間に介在している。
【0081】
前述したように、導体層222~225における第2配線基板200の第3面200f側の表面(上面)は、研磨面である。絶縁層231~234の第3面200f側の表面も研磨面であってもよい。導体層222~225は、それぞれ、研磨面である第3面200f側の表面を絶縁層231~234における第3面200f側の表面に露出させている。また、導体層222~225における第3面200f側の表面は、それぞれ、絶縁層231~234における第3面200f側の表面と略面一である。例えば、導体層222は、その表面222aを絶縁層231の表面231aに露出させていて、表面222aと表面231aとは略面一であり、導体層224は、その表面224aを絶縁層233の表面233aに露出に露出させていて、表面224aと表面233aとは略面一である。このように、導体層222~225それぞれの露出面(研磨面)が、各導体層が埋設されている絶縁層の表面と面一なので、これら導体層と絶縁層との積層体である第2配線基板200の第3面200fにおいて高い平坦性が得られると考えられる。第2配線基板200に安定して第1部品E1及び第2部品E2(
図1参照)などの部品が搭載され得ると考えられる。
【0082】
図7では省略されているが、本実施形態において、絶縁層231~234は、
図8に示されるように、バリア層230aを含むことがある。バリア層230aにおける第2配線基板200の第3面200f側の表面は、凹部230rの底面、すなわち、導体層222~225それぞれにおける第2配線基板200の第3面200fと反対側の表面(第4面200s(
図7参照)側の表面)に接している。
図8の例の絶縁層231~234は、バリア層230aと、バリア層230aよりも上側及び下側の部分を構成する本体層230bとによって構成されている。本体層230bは、
図1~
図4に示される第2配線基板20の各絶縁層の材料として例示されたエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や各種の熱可塑性樹脂によって形成されている。
【0083】
一方、バリア層230aは、各絶縁層への凹部230rの形成に用いられる加工手段への耐性が本体層230bの構成材料よりも高い材料で形成される。例えば、エキシマレーザー光が照射されるレーザー加工で凹部230rが形成される場合、バリア層230aは、シリコン酸化物、又は、シリコン窒化物で形成され得る。そのようなバリア層230aを絶縁層231~234が含んでいると、所望の深さを有する凹部230rの形成が容易なことがある。なお、バリア層230aは、本実施形態において各絶縁層に含まれていなくてもよい。例えば、凹部230rの形成における加工条件、例えば、レーザー光のパワーなどを調整することによって、所望の深さの凹部230rが形成され得る。
【0084】
なお、
図8に例示のバリア層230aを含む絶縁層231~234が形成される場合は、先に説明された絶縁層231などの形成において、フィルム状の樹脂の積層及び熱圧着が2回行われ、その間にバリア層230aが形成される。すなわち、1回目のフィルム状樹脂の積層及び熱圧着によって、絶縁層231~234におけるバリア層230aよりも下側の本体層230bが形成される。その後、その本体層230b上に、例えば、スパッタリングによって、バリア層230aとしてシリコン酸化膜やシリコン窒化膜が形成される。そのバリア層230a上に2回目のフィルム状樹脂の積層及び熱圧着を行うことによって、バリア層230aよりも上側の本体層230bが形成される。
【0085】
図9A~
図9Dを参照して、
図7及び
図8の第2配線基板200が製造される場合を例に、第2実施形態の配線基板を製造する方法が説明される。なお、前述したように、第2実施形態の配線基板に含まれる第2配線基板200は、主に導体層222~225の構造だけが
図1などに例示の第1実施形態の配線基板1と異なるので、第2配線基板200の導体層222~225の形成方法(それらを代表して導体層222の形成方法)が主に説明される。
【0086】
図9Aに示されるように、先に参照された
図5Aに示される状態から、絶縁層231が形成され、絶縁層231に貫通孔24bが形成され、さらに凹部230rが形成される。
図9Aに示される段階では、絶縁層231は、第2配線基板200の完成時に絶縁層231が有すべき厚さよりも厚く形成されていてもよい。絶縁層231の形成において、前述したような方法で、バリア層230a(
図8参照)が形成されてもよい。貫通孔24bは、例えば、炭酸ガスレーザー光の照射などによって、ビア導体24(
図7参照)の形成位置に形成される。貫通孔24bは、バリア層230aが形成されている場合には、バリア層230aを貫いて導体層221に達するように形成される。
【0087】
貫通孔24bの形成後、導体層222(
図7参照)の各導体パターンの形成位置に、凹部230rが形成される。例えば、エキシマレーザー光の照射によって、所定の深さの凹部230rが形成される。
図8に例示のバリア層230aが形成されている場合は、バリア層230aでレーザー光の透過が防がれるため、容易に、所望の深さの凹部230rを形成し得ることがある。バリア層230aが形成されていなくても、前述したように、例えば、エキシマレーザー光の条件の調整などにより、所望の深さの凹部230rを形成することができる。凹部230rの形成後、好ましくはプラズマ処理などによるデスミア処理が行われる。
【0088】
図9Bに示されるように、金属膜220aaが、貫通孔24b及び凹部230rの内部を含む絶縁層231の露出する表面の全面に形成される。
図9Bは、金属膜220aaの形成後の
図9Aに示されるIXB部の拡大図である。バリア層230aが形成されている場合は、バリア層230aの露出面上にも、金属膜220aaが形成される。金属膜220aaは、例えば、スパッタリングや無電解めっきによって形成される。
【0089】
図9Cに示されるように、貫通孔24bの内部、凹部230rの内部、及び絶縁層231における導体層221と反対側の表面(上面)の全面に、金属膜220baが形成される。金属膜220baは、好ましくは、絶縁層231の上面における凹部230rが形成されていない領域の上に所望の厚みを有するように形成される。金属膜220baは、例えば、金属膜220aa(
図9B参照)を給電層として用いる電解めっきによって形成される。凹部230rが金属膜220baで充填される。貫通孔24b内も金属膜220baで充填されてビア導体24が形成される。
【0090】
図9Dに示されるように、絶縁層231の上面上の金属膜220ba及び金属膜220aa(
図9B参照)が、例えば、CMPなどの任意の方法を用いる研磨によって除去される。金属膜220baは、凹部230rの底面上の金属膜220aaとの合計の厚さが、導体層222に求められる厚さに達するまで研磨される。金属膜220baの研磨の際、絶縁層231の上面付近も金属膜220baと共に研磨によって除去されてもよい。導体層222の表面222aと面一な絶縁層231の表面231aが得られる。
【0091】
絶縁層231の上面上の金属膜220ba及び金属膜220aa(
図9B参照)の除去により、導体層222の各導体パターン同士が分離される。所望の導体パターンを含み、そして所望の厚さを有する導体層222が得られる。
図9A~
図9Dを参照して説明された方法では、導体層222に含まれる各導体パターンの間に形成されていた金属膜220aaのような導電体は、エッチングなどではなく研磨によってより確実に除去される。そのため、導体パターン間での短絡不良が生じ難いと考えられる。また、そのように短絡不良が生じ難いので、配線パターン同士が一層微細なピッチで配置され得ることがある。
【0092】
その後、
図9A~
図9Dを参照して説明された方法と同様の方法で、絶縁層232~234及び導体層223~225(
図7参照)が交互に形成される。その後、先に
図5G~
図5Jを参照して説明された方法で、絶縁層235、金属ポスト251、252が形成される。さらに、
図5Kを参照して説明された方法で、支持板28及び第2金属膜層284が除去され、支持体28が除去された側に、支持体28とは異なる支持体21が接着層23を介して貼付される(
図7参照)。これにより、
図7の例の第2配線基板200が得られる。
【0093】
その後、第2配線基板200の第4面200sが第1配線基板10の第1面10fに向くように、任意の接着剤(図示せず)によって、前述の貼付領域A0において、第2配線基板200が第1配線基板10に貼付される(
図1参照)。以上の工程を経ることによって、第2実施形態に係る配線基板が完成する。
【0094】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。実装部品が接続されるべき導体パッド同士を接続する配線パターン(第1配線パターン)は、1以上の任意の数の導体層に形成され得る。
図3及び
図4に例示の第2配線基板20、又は
図7及び
図8に例示の第2配線基板200が備える金属ポスト251、252は、実装部品の電極と第2配線基板の導体パッドとを直接接続することが可能である場合、必ずしも備えられない。
【符号の説明】
【0095】
1 配線基板
10 第1配線基板
10f 第1面
10s 第2面
151 金属ポスト(第1金属ポスト)
152 金属ポスト(第2金属ポスト)
20、200 第2配線基板
20f、200f 第3面
20s、200s 第4面
21 支持体
211 配線パターン(第1配線パターン)
212~215 配線パターン
220a 第1層
220b 第2層
224 導体層(第1導体層)
224a 導体層(第1導体層)の表面
221~223、225 導体層
230r 凹部
231~235 絶縁層
24 ビア導体
251 金属ポスト(第3金属ポスト)
252 金属ポスト(第4金属ポスト)
271 導体パッド(第1導体パッド)
272 導体パッド(第2導体パッド)
A1 第1部品搭載領域
A2 第2部品搭載領域
E1 第1部品
E2 第2部品
F1 第1部品搭載面
F2 第2部品搭載面
G 配線パターン(第1配線パターン)同士の間隔
W1 配線パターン(第1配線パターン)の配線幅
T 配線パターン(第1配線パターン)の配線厚さ
D ビア導体の厚さ
W2 ビア導体の幅
Z 配線基板の厚さ方向