(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031608
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両用路面描画装置および車両用路面描画方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/00 20060101AFI20240229BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240229BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240229BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240229BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240229BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240229BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240229BHJP
【FI】
B60Q1/00 G
F21V7/00 590
F21V9/40 400
F21W103:60
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:20
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135265
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】綿野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴丈
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田辺 浩一
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA22
3K339AA25
3K339AA28
3K339AA29
3K339AA34
3K339AA43
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3K339BA21
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA30
3K339CA11
3K339CA12
3K339CA13
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3K339CA25
3K339CA30
3K339DA01
3K339DA05
3K339EA09
3K339EA10
3K339GB21
3K339GB26
3K339HA01
3K339HA03
3K339HA12
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA11
3K339KA27
3K339KA37
3K339LA03
3K339LA06
3K339MA01
3K339MA10
3K339MC35
3K339MC48
3K339MC65
3K339MC68
(57)【要約】
【課題】車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することが可能な車両用路面描画装置および車両用路面描画方法を提供する。
【解決手段】描画パターンを点灯する路面描画部(11)と、路面に投影された投影描画パターンを撮像するカメラ(50)と、投影描画パターンを基本描画パターンと比較する比較部(15)と、投影描画パターンと基本描画パターンとに差異がある場合、路面描画部(11)の点灯状態を変えるECU(13)と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画パターンに基づく画像を路面に投影する車両用路面描画装置であって、
前記描画パターンを点灯する路面描画部と、
前記路面に投影された投影描画パターンを撮像する撮像部と、
前記投影描画パターンを基本描画パターンと比較する比較部と、
前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとに差異がある場合、前記路面描画部の点灯状態を変える制御部と、を備えることを特徴とする車両用路面描画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用路面描画装置であって、
前記路面描画部は複数の光源を含み、
前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとの差異が予め定められた差異である場合に、前記制御部は点灯している前記光源を点滅させることを特徴とする車両用路面描画装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用路面描画装置であって、
前記基本描画パターンは前記複数の光源の各々に対応する複数のマークを含み、
前記制御部は、前記差異を生じさせる前記マークが前記車両に近い場合に、前記点灯している前記光源を点滅させることを特徴とする車両用路面描画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用路面描画装置であって、
前記制御部は、前記車両に近い前記マークが複数ある場合、前記車両との近さに応じて点滅の態様を変えることを特徴とする車両用路面描画装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用路面描画装置であって、
前記差異の原因が前記路面上に存在する異物である場合に、前記異物が車両の進行の障害となる障害物であるか否か判定する判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記異物が前記障害物と判定された場合に、前記差異があると判断することを特徴とする車両用路面描画装置。
【請求項6】
描画パターンに基づく画像を路面に投影する車両用路面描画方法であって、
前記描画パターンを点灯する路面描画工程と、
前記路面に投影された投影描画パターンを撮像する撮像工程と、
前記投影描画パターンを基本描画パターンと比較する比較工程と、
前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとに差異がある場合、前記路面描画部の点灯状態を変える点灯状態変更工程とを有することを特徴とする車両用路面描画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用路面描画装置および車両用路面描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両あるいは他車両の安全性の向上、あるいは運転者と歩行者の意思疎通の向上等を目的とし、必要な情報を示す画像を路面に投影することが可能な車両用灯具の開発が進められている。特許文献1には、車速に応じた制動距離を算出し、車両から車両の制動距離分前方の停止可能位置まで伸びる路面表示を車両前方の走行車線の路面に描画し、停止可能位置の手前に存在する前走車や歩行者等の路上障害物に対する衝突の危険性を運転者に認識させる車両の路面描画装置(車両用路面描画装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る車両用路面描画装置では、障害物に対する危険性を運転者に認識させることを目的としているが、障害物の認識はあくまで運転者の目視による。従って、路面への画像投影のみならず、障害物の認識、運転者への警告等も自ら行うことができる車両用路面描画装置が実現できれば、安全性の向上により資すると考えられる。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することが可能な車両用路面描画装置および車両用路面描画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用路面描画装置は、描画パターンに基づく画像を路面に投影する車両用路面描画装置であって、前記描画パターンを点灯する路面描画部と、前記路面に投影された投影描画パターンを撮像する撮像部と、前記投影描画パターンを基本描画パターンと比較する比較部と、前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとに差異がある場合、前記路面描画部の点灯状態を変える制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような本発明の車両用路面描画装置では、描画パターンを点灯する路面描画部と、路面に投影された投影描画パターンを撮像する撮像部とを備え、投影描画パターンを基本描画パターンと比較し、制御部は投影描画パターンと基本描画パターンとに差異がある場合、路面描画部の点灯状態を変える。このことにより、車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することができる。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記路面描画部は複数の光源を含み、前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとの差異が予め定められた差異である場合に、前記制御部は点灯している前記光源を点滅させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記基本描画パターンは前記複数の光源の各々に対応する複数のマークを含み、前記制御部は、前記差異を生じさせる前記マークが前記車両に近い場合に、前記点灯している前記光源を点滅させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記制御部は、前記車両に近い前記マークが複数ある場合、前記車両との近さに応じて点滅の態様を変えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記差異の原因が前記路面上に存在する異物である場合に、前記異物が車両の進行の障害となる障害物であるか否か判定する判定部をさらに備え、前記制御部は、前記異物が前記障害物と判定された場合に、前記差異があると判断することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の車両用路面描画方法は、描画パターンに基づく画像を路面に投影する車両用路面描画方法であって、前記描画パターンを点灯する路面描画工程と、前記路面に投影された投影描画パターンを撮像する撮像工程と、前記投影描画パターンを基本描画パターンと比較する比較工程と、前記投影描画パターンと前記基本描画パターンとに差異がある場合、前記路面描画部の点灯状態を変える点灯状態変更工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することが可能な車両用路面描画装置および車両用路面描画方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る車両用路面描画装置の配置の一例を示す、(a)は上面図、(b)は背面図である。
【
図2】実施形態に係る車両用路面描画装置による描画パターンを示す、(a)は上面図、(b)はカメラによる撮像画面の一例を示す模式図である。
【
図3】実施形態に係る車両用路面描画装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る路面描画部の構成の一例を示す断面図である。
【
図5】実施形態に係る車両用路面描画装置が実行する路面描画処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る車両用路面描画装置が実行する路面描画処理の不一致制御を示す図である。
【
図7】(a)から(c)は、第1実施形態に係る車両用路面描画装置の、車両の駐車時における動作を説明する上面図である。
【
図8】第2実施形態に係る車両用路面描画装置の異物の判断について説明する、(a)は上面図、(b)はカメラによる撮像画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。以下の実施形態では、本実施形態に係る車両用路面描画装置の路面描画部を、車両のリアコンビネーションランプ(テール/ストップランプ、バックアップランプ、ターンシグナルランプ等を含む)内に配置する形態を例示して説明する。しかしながら、これに限らず、路面描画部を前照灯(ヘッドライト)内に配置する形態、あるいは単独で配置する形態としてもよい。また、以下の実施形態では、車両を駐車させる際の車両用路面描画装置の動作を例示して説明するが、これに限らず前進させる際の動作等に適用してもよい。
【0016】
(第1実施形態)
図1から
図7を参照して、本実施形態に係る車両用路面描画装置、および車両用路面描画方法について説明する。
図1は本実施形態に係る車両用路面描画装置10の一部である路面描画部11、カメラ50、およびモニタ51の車両100における配置の一例を示している。
【0017】
路面描画部11は、車両用路面描画装置10において実際に画像を路面に投影する部位であり、後述するように光源および投影用の光学系を含む。
図1(a)に示すように、路面描画部11はリアコンビネーションランプ60内に配置されている。カメラ50は車両100の後方を撮像する撮像装置であり、
図1(b)に示すように、一例として車両100のライセンスプレート120の上部に配置されている。しかしながらこれに限らず、例えばカメラ50を車両のエンブレムに内蔵させてもよい。モニタ51は、カメラ50が撮像した画像を映し出すための、例えば液晶画面による表示装置である。モニタ51は、
図1(a)に示すように、例えば運転席近傍の、運転者により視認可能な位置に配置されている。運転者は路面に投影された画像を直接視認することによっても障害物への接近を認識することができるので、モニタ51は本実施形態に係る車両用路面描画装置10において必須の構成ではない。車両用路面描画装置10は他に、ECU13等を備えているが、ECU13等の詳細については後述する。
【0018】
図2を参照して、本実施形態に係る車両用路面描画装置10が路面に投影する描画パターンについて説明する。
図2(a)に示すように、車両用路面描画装置10は車両100の後部の路面RS上に、路面描画部11による描画パターンP1を投影する。本実施形態では路面描画部11を車両の左右に2系統備えているので、2つの描画パターンP1が投影される。描画パターンP1は、略長方形のマークM1、M2、およびM3から構成されている。後述するように、マークM1、M2、およびM3は、各々のマークに対応する光源によって形成される。本実施形態では描画パターンP1が3つのマークによって形成される形態を例示しているが、2つ以下のマークによって形成してもよいし、4つ以上のマークによって形成してもよい。また、本実施形態では隣接するマークとマークとの間に隙間を設ける形態を例示しているが、マークとマークを重ねて1本のラインとしてもよい。
【0019】
図2(b)は、カメラ50によって撮像され、モニタ51に映し出された撮像画面DSPの一例を示している。
図2(b)に示すように、モニタ51には、車両100の後方の路面RS上に投影された描画パターンP1のペアが映し出され、運転者によって視認可能となっている。
【0020】
図3を参照して、車両用路面描画装置10の構成の一例について説明する。
図3に示すように、車両用路面描画装置10は、路面描画部11、カメラ50、モニタ51、インジケータ30、スイブルアクチュエータ35、およびECU(Electronic Control Unit)13を含む。
図3に示すように、路面描画部11、カメラ50、モニタ51、インジケータ30、およびスイブルアクチュエータ35の各々は、ECU13に接続されている。
【0021】
また、ECU13には車両情報111が入力される。本実施形態における車両情報111は、一例として駐車することが判別可能な情報であり、車両100のシフト情報(パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ)、車速または車輪速、自動パーキングステータス情報、その他駐車開始を判別可能な信号等である。車両情報111は、例えば車両100を電子制御する車両ECU(図示省略)から受け取る。本実施形態において車両情報111は、一例として本実施形態に係る車両用路面描画装置10の描画の開始の指示に用いられる。たとえば、リバース信号と連動して路面描画が点灯される。
図3に示す構成の少なくとも一部、例えばカメラ50、モニタ51、およびインジケータ30は、車両ECUに接続されていてもよい。
【0022】
インジケータ30は、一例として描画パターンP1を示すアイコンとしてメーターパネル内、あるいはモニタ51の表面に設けられ、実際のマークM1、M2、M3の点灯、消灯動作に合わせて点灯、消灯する。すなわち運転者は、インジケータ30によっても路面RS上に投影されている描画パターンの点灯態様を確認することができる。スイブルアクチュエータ35は、路面描画部11の投影方向を変え、描画パターンの描画角度を変える部位である。スイブルアクチュエータ35は、路面描画部11とともに、リアコンビネーションランプ60内に設けられている。
【0023】
ECU13は、路面描画部11、カメラ50、モニタ51、インジケータ30、およびスイブルアクチュエータ35を制御する制御部である。ECU13は、例えば図示しないCPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータである。ECU13は、画像認識部14、比較部15、判定部16、記憶部17、および制御信号生成部18を備えている。
【0024】
画像認識部14は、カメラ50から取得した画像を用いて、パターンマッチングやAI(人工知能)等の画像認識制御を介し、駐車位置の推定、人や車両などの物体の推定を行う。ECU13は、カメラ50からの取得画像に認識結果を重畳させ、モニタ51に出力する。本実施形態に係る画像認識部14は、カメラ50によって撮像された画像データを受け取り、画像処理を施して、主として当該画像に含まれる描画パターン、路面RS上の異物等を抽出する。以下では、画像認識部14によって抽出された描画パターンを「投影描画パターン」という。
【0025】
記憶部17は、基本となる描画パターン(例えば
図2に示す描画パターンP1)のデータを記憶する記憶手段であり、例えばHDD、ROM等が用いられている。以下では、記憶部17に記憶された描画パターンを「基本描画パターン」という。
【0026】
比較部15は、投影描画パターンと基本描画パターンとを比較し、投影描画パターンと基本描画パターンとの差分を出力する。判定部16は、比較部16における比較結果に基づいて、投影描画パターンと基本描画パターンとに差異があるか判定する。また、差異の原因となったマークの特定、あるいは路面RS上の障害物の判定等を行う。マークにおける差異の判定は、一例として、マークの長さ、幅、マークとマークの間隔等を比較して行う。
【0027】
制御信号生成部18は、投影すべき描画パターンのデータに基づいて、路面描画部11を制御する制御信号を生成する。なお、本実施形態において、画像認識部14、比較部15、判定部16、および制御信号生成部18の各々はソフトウエアによって実現されているが、これに限らず、ASIC等のハードウエアによって実現してもよい。
【0028】
図4を参照して、路面描画部11の詳細について説明する。上述したように、本実施形態に係る路面描画部11は、リアコンビネーションランプ60内に設けられている。
図4に示すように、路面描画部11は、基板21に搭載された光源12a、12b、12c、および投影レンズ20を備えている。光源12a、12b、12cは車両の高さ方向(上方)に沿って配置されている。以下では、光源12a、12b、12cを総称する場合は、「光源12」という。光源12は通電することにより発光する発光素子であり、一例として、白色LEDが用いられている。しかしながら、これに限らずレーザ発光素子をアクチュエータで走査する形態、あるいは液晶、DMD(Digital Micromirror Device)等を用いて走査する形態としてもよい。本実施形態においては、3個の光源12を配置する形態を例示して説明するが、光源12の個数はマーク(M1等)の個数に対応させて必要な個数を配置させてよい。
【0029】
投影レンズ20は、一例として入射面、反射面の少なくとも一方が非球面形状であるレンズであり、光源12a、12b、12cから出射された光を、各マークを投影するマーク光L1、L2、L3に変換する。光源12a、12b、12cは、すべて光軸Axよりも上方に配置されているため、投影レンズ20から出射したマーク光L1、L2、L3は、光軸Axを含む水平面よりも下方に向かって出射され、後方の路面RS上に投影される。すなわち、マーク光L1がマークM1を、マーク光L2がマークM2を、マーク光L3がマークM3を各々投影する。マーク光L1、L2、L3をまとめて描画光Lという。
【0030】
図5から
図7を参照して、本実施形態に係る車両用路面描画装置10が実行する路面描画処理について説明する。
図5は、本路面描画処理を記述する路面描画プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本路面描画プログラムは、一例として図示しないROM等の記憶手段に記憶されており、CPUによって読み出され、RAM等に展開されて実行される。
【0031】
以下の説明では、車両用路面描画装置10に対して、すでに路面描画プログラムの実行開始の指示がなされているとする。実行開始の指示は、例えばECU13が車両100のエンジンの始動を受信したタイミングとすることができる。また、ECU13はカメラ50からの画像を連続して、または間欠的に取得し、適切なタイミングで画像認識部14に送り、さらにモニタ51に表示している。
【0032】
図5を参照して、ECU13は車両100において駐車動作があるまで待機する。すなわち、駐車動作があったか判定し、当該判定が否定判定の場合は、ステップS11で点灯していた場合の路面描画を消灯し、ステップS10に戻る。一方、当該判定が肯定判定の場合は、ステップS12に移行する。駐車動作があったかの判定は、例えば上述のECU13に入力される車両情報111に基づいて行う。
【0033】
ステップS12で、ECU13は路面描画部11を制御して、基本描画パターンを点灯させる。
【0034】
ステップS13で、ECU13は画像認識部14から投影描画パターンを取得する。
【0035】
ステップS14で、比較部15はステップS13で取得した投影描画パターンを記憶部17に記憶されている基本描画パターンと比較する。
【0036】
ステップS15で、判定部16は、比較部15の比較結果に基づいて、投影描画パターンが基本描画パターンに一致するか判定する。当該判定は、例えば投影描画パターンに含まれるマークの各々と、当該マークの各々に対応する基本描画パターンのマークとの間に差異があるか否かに基づいて判定する。当該判定が否定判定の場合はステップS16に移行し、肯定判定の場合はステップS17に移行する。
【0037】
ステップS16で、ECU13は不一致制御を行う。不一致制御とは、投影描画パターンと基本描画パターンとの間に差異があった場合に、差異の内容に応じて描画パターンの点灯形態を変えることをいう。当該処理は、一例として、
図6に基づいて行う。
図6に示す不一致制御は、差異がいずれのマークにおいて生じたかに応じて、各マークの点灯状態をどのよう変えるかを示す図である。
図6に示す不一致制御では、不一致となったマークから消灯し、最後のマーク(車両100に最も近いマーク)となった場合は当該マークを点滅させることを基本とする。また、最初の差異検出時において最後のマークが不一致となった場合は、当該最後のマークを点滅させる。
【0038】
図6を参照して、例えば、制御パターン4ではマークM3,M2に差異が生じた場合、マークM3に対応する光源12cを消灯し、マークM2に対応する光源12bを消灯し、マークM1に対応する光源12aを点滅させることを示している。本実施形態では、点滅に2種類のパターンを設けており、一例として点滅Aは2Hzで、点滅Bは1Hzで点滅させる。これは、障害物への接近の程度にグレードを設けたものであり、点滅Aの方が点滅Bより、より障害物へ近づいていることを示している。本実施形態では、さらにインジケータ30に不一致制御の結果を表示する。すなわち、描画パターンの点滅の態様(周波数)に対応させて、インジケータ30も点滅させる。しかしながら、本実施形態においてインジケータ30への表示は任意であり、必須ではない。
【0039】
ステップS17で、本路面描画プログラムの終了指示があったか判定する。当該判定が否定判定の場合はステップS13に戻り、投影描画パターンの取得を継続する。一方、当該判定が肯定判定となった場合は、本路面描画プログラムを終了する。終了指示の判定は、例えば運転者により車両100のP(パーキング)レンジが入れられたタイミングとしてもよい。
【0040】
図7を参照して、上記路面描画プログラムの動作について、より詳細に説明する。
図7は、車両100が後退しつつ駐車する際の路面RS上の描画パターンの変化を示している。
図7では駐車スペースの後方に、障害物としての壁70が存在する場合を例示している。
図7(a)は、車両100の後退が開始された時点で、完全な形の描画パターンP1が路面RSに投影されている状態を示している。
図7(b)は、車両100が後退し、マークM3の一部が欠けたマークM3’を含む描画パターンP3が路面RS上に投影された状態を示している。
図7(c)は、車両100の後退がさらにすすみ、マークM1のみの描画パターンP4が路面に投影された状態を示している。
【0041】
図5に示すステップS10で、車両100が駐車すると判定され、ステップS12で基本描画パターンである描画パターンP1を点灯する。
図7(a)は、この状態を示している。この状態は
図6に示す制御パターンに該当するものは無いので、全部の光源12の点灯が維持される。
【0042】
ステップS13で投影描画パターンを取得し、ステップS14で投影描画パターンを基本描画パターンと比較するが、ステップS15で両パターンは一致していると判定される。ステップS17で終了指示は受け取っていないのでステップS13に戻る。
【0043】
車両100の後退がすすむと、
図7(b)に示す状態になる。
図7(b)では、マークM3の一部が壁70と重なって欠けマークM3’となり、描画パターンP3となっている。従って、ステップS14でのパターン比較の結果を受けて、ステップS15で不一致と判定され、ステップS16に移行し、
図6に基づいて不一致制御が実行される。
【0044】
現在の描画パターンP3では、マークM3に差異があるので、制御パターン1による光源12の制御が行われる。すなわち、マークM3に対応する光源12cを消灯し、マークM2に対応する光源12bを点灯し、マークM1に対応する光源12aを点滅Bで点滅させる。このことにより、運転者には第1段階の警告がなされる。その後、ステップS17で、ステップS13に戻る。
【0045】
車両100の後退がさらにすすむと、
図7(c)に示す状態になる。
図7(c)では、マークM2、M3を欠き、マークM1のみの描画パターンP4となっている。従って、ステップS14でのパターン比較の結果を受けて、ステップS15で不一致と判定され、ステップS16に移行し、
図6に基づいて不一致処理が実行される。
【0046】
現在の描画パターンP4では、マークM2、M3に差異があるので、制御パターン4による光源12の制御が行われる。すなわち、マークM3に対応する光源12cを消灯し、マークM2に対応する光源12bを消灯し、マークM1に対応する光源12aを点滅Bで点滅させる。このことにより、運転者には継続して第1段階の警告がなされる。その後、ステップS17で、ステップS13に戻る。
【0047】
図示は省略するが、その後車両の後退がさらにすすみ、
図7(c)におけるマークM1が壁70に重なった場合、マークM1、M2、M3に差異があるので、制御パターン7による光源12の制御が行われる。すなわち、マークM3に対応する光源12cを消灯し、マークM2に対応する光源12bを消灯し、マークM1に対応する光源12aを点滅Aで点滅させる。このことにより、運転者には第1段階よりさらにレベルの高い第2段階の警告がなされる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法では、描画パターンに含まれるマークの変形または欠損に応じて一部の光源12を消灯するとともに、障害物への接近を検知して、点灯していた光源の少なくとも一部を点滅させる。このことにより、運転者に迅速に障害物への接近を警告することができる。さらに本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法では、車両100に近いマークが複数あった場合、近さに応じて警告のレベルを変えている。より具体的には、
図6に示すように、マークM1が一致しマークM2に不一致があった場合には、よりレベルの低い点滅Bが割り振られ、より車両に近いマークM1に不一致があった場合には、よりレベルの高い点滅Aが割り振られている。このことにより、運転者に段階的に障害物への接近を警告することができる。なお、警告に際しては光源の点滅のみならず、車両100に搭載されたスピーカを介して、運転者に対し音声による報知を行ってもよい。
【0049】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法によれば、車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することが可能な車両用路面描画装置および車両用路面描画方法を提供することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
図8を参照して、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法について説明する。上記実施形態では、障害物が壁70である形態を例示して説明したが、本形態は、障害物が路面RS上に存在する異物である形態である。路面RS上には、石やごみなどの様々な異物が存在する可能性があり、異物は車両100の進行上問題とならない、つまり車両100が乗り越えられる異物と、車両100の進行上問題となり、避けなければならない異物とに分けられる。本実施形態では、この避けなければならない異物を障害物と判断し、当該障害物に対して上記実施形態と同様の不一致制御を実行する。
【0051】
図8は、路面RS上に存在する異物OBが縁石である場合を例示している。
図8(a)は、駐車において車両100の後方に異物OBが存在する場合の上面図を示し、
図8(b)はその状態を映し出したモニタ51の撮像画面DSPを示している。
図8(a)、(b)に示すように、異物OBは右方のマークM2の位置と重なる位置にある。そのためマークM2がマークM2’に変形し、描画パターンはP1からP5に変化している。これに対し左方の描画パターンは、P1のままである。
【0052】
図8に示す状態における路面描画処理の動作について、
図5に示すフローチャート、
図6に示す不一致制御に即して説明する。
【0053】
ステップS14における投影描画パターンと基本描画パターンとの比較において、マークM2に差異が生じていると結論される。その結果、ステップS15で、両者は不一致と判定され、ステップS16に移行する。本例ではマークM2のみ不一致なので、
図6から制御パターン2による制御が適用されることになる。なお、投影描画パターンと基本描画パターンとの差異の検出に際しては、スイブルアクチュエータ35によって描画パターンを右方、左方に走査し、より広い範囲の検出を行ってもよい。
【0054】
ここで、本実施形態では、ステップS15において、さらに異物OBが障害物であるか否か判定する。本判定は、一例として、画像認識部14による異物OBの高さの計測に基づいて行う。すなわち、
図8(b)に示すように、異物OBがあるとマークM2’は異物OBを覆う状態で認識される。一方
図1(b)に示すように、路面描画部11とカメラ50とは高さ方向の位置が異なるので、両者の間には視差が生じている。そこで本実施形態では、異物OBが存在しない状態を基準とし、異物OBが存在した場合の視差の変化に基づいて異物OBの高さを計測している。この高さが、予め定められた高さ以上の場合に、異物OBを障害物と判定する。この予め定められた高さは、例えば5cmから10cmとすることができる。なお、本実施形態において、異物OBの高さの計測は任意であり、異物OBの検出により制御パターン2による制御を実行してもよい。
【0055】
ステップS15において異物が障害物でないと判定された場合は、投影描画パターンと基本描画パターンは一致していると判定され、ステップS17に移行する。一方、異物が障害物と判定された場合は、差異のあるマークの情報とともに、当該マークの領域内に障害物が存在するとの情報を伴って、ステップS16に移行する。
【0056】
ステップS16においては、マークM2に差異があることから、制御パターン2の不一致制御が実行される。すなわち、マークM3およびM2が消灯となり、マークM1が点滅Bによる点滅となる。これによって、運転者に対し第1段階の警告がなされる。
【0057】
図示は省略するが、車両100の後退がすすむとマークM1が異物OBと重なり、ステップS14において右方のマークM1のみに差異があるとの結論になり、ステップS15で不一致と判定される。
【0058】
さらにステップS15において異物OBが障害物でないと判定された場合は、ステップS17に移行する。一方異物OBが障害物と判定された場合はステップS16に移行し、
図6を参照して制御パターン3が実行され、マークM1が点滅Aによる点滅となる。このことによって、運転者に対し、第2段階の警告がなされる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法によれば、運転者に迅速に障害物への接近を警告することができる。さらに、運転者に段階的に障害物への接近を警告することができる。加えて、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法によれば、路面RS上に存在する異物OBの走行上の障害の程度に応じて、警告の有無を含めた対応上のバリエーションを増やすことができる。なお、警告に際しては光源の点滅のみならず、車両100に搭載したスピーカを介して、運転者に対し音声による報知を行ってもよい。
【0060】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用路面描画装置および車両用路面描画方法
によっても、車両の移動過程において、接近する障害物の存在を迅速に運転者に警告することが可能な車両用路面描画装置および車両用路面描画方法を提供することが可能となる。
【0061】
なお、上記実施形態においては便宜的に、第1実施形態と第2実施形態とに分けて説明したが、むろん両実施形態は統合してもよい。
図5、
図6に示す路面描画処理が両実施形態に適用できることは、上述したとおりである。
【0062】
また、上記実施形態において、光源12の明るさによっては描画パターンの輝度が高すぎ、駐車の際運転者において幻惑が生じたり、画像認識部14おける画像認識の際、誤認識を招いたりする可能性もある。そのような場合は、運転者がモニタ51を見て光源12の明るさを調整可能なようにしてもよい。あるいは、例えば車両後方の輝度を測定するセンサ等を設け、自動的に光源12の輝度を調整可能なようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…車両用路面描画装置
11…路面描画部
12、12a、12b、12c…光源
13…ECU
14…画像認識部
15…比較部
16…判定部
17…記憶部
18…制御信号生成部
20…投影レンズ
21…基板
30…インジケータ
35…スイブルアクチュエータ
50…カメラ
51…モニタ
60…リアコンビネーションランプ
70…壁
100…車両
111…車両情報
120…ライセンスプレート
Ax…光軸
DSP…撮像画面
L…描画光
L1、L2、L3…マーク光
M1、M2’、M3、M3’…マーク
P1、P2、P3、P4、P5…描画パターン
OB…異物
RS…路面