(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031647
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】麹菌の固体培養物から得られる食肉様麹菌体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/14 20060101AFI20240229BHJP
A23L 31/00 20160101ALI20240229BHJP
C12R 1/66 20060101ALN20240229BHJP
【FI】
C12N1/14
A23L31/00
C12R1:66
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135322
(22)【出願日】2022-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】522341908
【氏名又は名称】Agro Ludens株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 清崇
(72)【発明者】
【氏名】河端 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ラフォン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018MD80
4B018MD81
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF13
4B065AA57X
4B065AA60X
4B065AA63X
4B065AA72X
4B065BB23
4B065BD05
4B065BD14
4B065CA41
4B065CA43
(57)【要約】
【課題】物性と食感を肉類に類似させた食肉様麹菌体とその製造方法を提供する。
【解決手段】蒸煮穀物を用いて麹菌を固体培養し、その固体培養物に対して加水混合すると、麹菌体が水中で懸濁し、または凝集して水中を浮上する。その麹菌体を回収して、洗浄、脱水することにより、ペレット状またはパルプ状の食肉様麹菌体を製造する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)蒸煮穀物に種麹を植菌して麹菌を固体培養して、麹菌菌糸を伸長させた固体培養物を得る工程、
(2)固体培養物に加水混合する工程、および
(3)加水混合した固体培養物から麹菌体を回収する工程、を含む、食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項2】
前記(2)の工程で酵母を添加する、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項3】
前記麹菌がアスペルギルス属の麹菌である、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項4】
前記蒸煮穀物の含水率が40~60重量%である、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項5】
前記(3)の工程が、加水混合した水中に存在する麹菌体を固液分離する工程である、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項6】
前記(3)の工程が、加水混合により浮上した麹菌体塊を回収する工程である、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項7】
前記(3)の工程が、加水混合により残存する穀物を液化・発酵させて、固液分離する工程である、請求項2に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【請求項8】
固体培養された麹菌の固体培養物の加水混合物から固液分離して得られる、ペレット状、パルプ状、またはペレット状とパルプ状の混合物である食肉様麹菌体。
【請求項9】
請求項8に記載の食肉様麹菌体を含有する、食肉代替用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麹菌体を食肉代替用素材とする食肉様麹菌体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まり、およびタンパク質資源の枯渇や価格の高騰、食肉生産による環境負荷低減という持続可能な開発目標の観点から、代替タンパク質素材の研究開発が進められている。このような代替タンパク質の一つとして、糸状菌を原料とするマイコプロテインが知られている。例えば、糸状菌である麹菌を液体培養し、培養により増殖した麹菌自体を回収して、代替タンパク質の主原料とすることが報告されている(特許文献1)。麹菌の液体培養では、水分活性の高い培地が酵母や細菌のコンタミネーションを受けやすく、大量の酸素を必要とするのでエアレーションの動力が必要であり、また液体培地あたりの菌体収率が小さく大量の廃水が発生する、という実施における課題がある等、労力及びコストを低減し、安価にかつ多量に生産することには技術的な面、経済的な面で解決するべき課題が多いのが現状である。
【0003】
一方、代替タパンク質を製品として提供するためには、肉粒を感じられるヘテロ感(不均一さやコントラストを感じる感覚)が重要である。例えば、挽肉と挽肉以外の食品素材とトランスグルタミナーゼとを混合し、良好な肉粒感、弾力が賦与された挽肉加工食品が報告されている(特許文献2)。しかしながら、麹菌体の細胞壁はキチンとグルカンで構成されていることから、トランスグルタミナーゼを添加しても結合させることが困難であり、物性的に肉類に類似させて利用するためには、未だ解決するべき課題が多い。
【0004】
また、麹菌を液体培養すると、固体培養と比較して、麹菌のアミラーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ等の酵素の生産性が全般的に著しく低下するために、麹菌の難分解性糖質である難消化性デキストリンまたはポリデキストロースを含有する液体培地で麹菌を培養して、培養物中にグルコアミラーゼを生成、蓄積させる方法が報告されている(特許文献3)。また、特許文献3には、液体培養における糸状菌が示す形態の一種であるペレット状について、1個ずつが独立した肉眼で容易に認められる大きさの菌糸塊であって、球状または球状に近似した形状を示す菌形態であり、一方、パルプ状とは、繊維状の菌糸群が液中にほぼ均一に分散している菌形態であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-23172号公報
【特許文献2】特許第2765134号公報
【特許文献3】特許第4087624号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本醸造協会誌(1992)Vol.87, No.8, p.558-565
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、工業的大量生産が可能であることはもとより、物性、食感を肉類に類似させて利用するための食肉様麹菌体とその製造方法を提供することを目的とする。より具体的には、醸造食品製造に用いる麹の固体培養により得られる麹菌の固体培養物から、不均一さやコントラストを感じる感覚(へテロ感)を有する食肉様麹菌体を製造する方法とその食肉様麹菌体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究した結果、蒸煮穀物を用いて麹菌を固体培養した固体培養物に対して加水混合することにより、麹菌から産生されたアミラーゼ、プロテアーゼ等によって残存している基質(糖化されていないた穀物)を溶解することが可能となる。その結果、麹菌体は加水混合した水中で懸濁してパルプ状態になったり、あるいは凝集して水中を浮上する。その麹菌体は容易に回収されるので、その回収物を洗浄、脱水することにより食肉様麹菌体を容易に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、固体培養に用いる蒸煮穀物の含水率を、醸造用の蒸煮穀物のものより高めに調整して種麹を植菌すると、麹菌の菌糸をより伸長させることが可能となり、その固体培養物に加水混合すると、ペレット状の凝集した麹菌塊を浮上させることができ、その凝集塊から得られる麹菌体塊は、よりヘテロ感のある食肉様麹菌体塊となることを見出した。
【0009】
本発明は、以下(1)~(7)の食肉様麹菌体の製造方法に関する。
(1)[1]蒸煮穀物に種麹を植菌して麹菌を固体培養して、麹菌菌糸を伸長させた固体培養物を得る工程、[2]固体培養物に加水混合する工程、および[3]加水混合した固体培養物から麹菌体を回収する工程、を含む、食肉様麹菌体の製造方法。
(2)前記[2]の工程で酵母を添加する、上記(1)に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
(3)前記麹菌がアスペルギルス属の麹菌である、上記(1)に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
(4)前記蒸煮穀物の含水率が40~60重量%である、上記(1)に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
(5)前記[3]の工程が、加水混合した水中に存在する麹菌体を固液分離する工程である、請求項1に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
(6)前記[3]の工程が、加水混合により浮上した麹菌体塊を回収する工程である、上記(1)に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
(7)前記[3]の工程が、加水混合により残存する穀物を液化・発酵させて、固液分離する工程である、上記(2)に記載の食肉様麹菌体の製造方法。
【0010】
また本発明は、以下(8)の食肉様麹菌体、および(9)の食肉代替用食品に関する。
(8)固体培養された麹菌の固体培養物の加水混合物から固液分離して得られる、ペレット状、パルプ状、またはペレット状とパルプ状の混合物である食肉様麹菌体。
(9)上記(8)に記載の食肉様麹菌体を含有する、食肉代替用食品。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、物性と食感を肉類に類似させて利用するための食肉様麹菌体を、価格競争力を有する規模で大量生産が可能となる。
より具体的には、麹菌の固体培養物から得られる麹菌体は、液体培養で得られる麹菌体とその組成が異なるものであり、食味および食感がより食肉に近いものになる。
また、味噌醤油蔵、酒蔵、焼酎蔵で一般的に導入されている固体培養設備をそのまま利用して、麹菌からマイコプロテインである食肉様麹菌体を生産できるという利点がある。
【0012】
液体培養では、麹菌のアミラーゼ、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ等の酵素の生産性が、固体培養と比較して全般的に著しく低下し、麹菌の酵素生産は、液体培養よりも固体培養の方が高い生産能を示す(非特許文献1)。このように、固体培養された麹菌は、これら酵素の量が多く活性が高いことから、固体培養から得られる麹菌体には、麹の自己消化物や酵素や酵素分解物が含まれており、食味が良好でヘテロ感のある食肉様麹菌体となると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で製造したペレット状の麹菌体塊の写真を示す。
【
図2】実施例2で製造したパルプ状の麹菌体の写真を示す。
【
図3】実施例1と実施例2で製造した麹菌体を、それぞれ100gずつ成型してフライパンで焼成した食品の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、麹菌を固体培養した固体培養物から得られる、ペレット状またはパルプ状の食肉様麹菌体とその製造方法に係るものである。
【0015】
本発明で用いる麹菌は、味噌や醤油、清酒、焼酎、泡盛などの醸造食品の製造において使用されている麹菌が好ましく、アスペルギルス属やモナスカス属の、例えばアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・ルチュエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・グラウカス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamari)、モナスカス・ピローサス(Monascus pilosus)、モナスカス・プルプレウス(Monascus purpureus)、モナスカス・アンカ(Monascus anka)等が用いられる。
【0016】
味噌、醤油、清酒、焼酎などの醸造食品の製造においては、蒸煮した穀類、穀物などの固体原料(固体培地)へ種麹である麹菌の胞子を散布し、その表面で麹菌を増殖させる固体培養法で固体麹(固体培養物)を製麹する。
本発明で固体培地に用いる穀物は、麹の生産に用いることのできる穀物であればいずれも使用できる。たとえば、本発明の穀物は、米、麦、大豆、トウモロコシ等の穀物が挙げられ、その他に穀物由来の小麦フスマ等の胚芽やセルロース系バイオマス、デンプン粕等が含まれる。これら穀物は、粉砕物や脱脂物、乾燥物でもよい。
【0017】
まず、穀物を洗浄して水に浸漬して水を吸収させてから、蒸煮機、蒸気殺菌機などにより十分に蒸煮する。たとえば穀物として米を使用する場合、粳米、糯米等の原料米の含水率は通常13~17重量%であり、これを一般的な麹米の含水率である35重量%またはそれ以上とするために、浸水してから蒸煮する。米を蒸煮する場合には、通常蒸煮温度100~120℃、蒸煮時間10~60分で蒸米を得るが、この条件に限定されるものではなく、穀物の種類や形状によって蒸煮条件を適宜変更する。
【0018】
また、蒸煮穀物の含水率を、醸造食品用の蒸煮穀類の一般の含水率よりも高くすることにより、麹菌の菌糸の伸長が促進されて、その結果ペレット状の食肉様麹菌体を製造することができる。この場合米であれば、蒸煮後の蒸米の含水率を40~60重量%にする。蒸煮後加水混合することにより、含水率を調整できる。含水率(%)は、100-(蒸煮前の穀物の重さ/蒸煮・加水混合後の穀物の重さ)×100である。
【0019】
蒸煮した穀類を45℃以下に冷却後、種麹を植菌する。本発明における種麹の形態は、胞子でも菌糸でもよく、種麹の添加量は、固体培地の固形分の0.1~1.5重量%であり1重量%程度が好ましい。
植菌後の培養温度は20~40℃が好ましく、また、培養時間は任意であるが、1~10日程度である。固体麹の麹菌の増殖状態が均一、緻密となるには、米の場合には常温で2、3日程度を要する。
【0020】
麹菌の増殖状態が緻密となったら、固体麹(固体培養物)に加水混合して麹菌体を回収する。加水量は固体培養物に対して等倍重量以上であり、加水混合後、1時間~数日間静置する。加水混合することで、麹菌から産生されたアミラーゼ、プロテアーゼ等が残存している基質を溶解させることが可能となる。また、40~50℃の温水を固体培養物に加水混合すると、酵素反応の至適温度帯となり、残存している基質を短時間で溶解させることが可能になる。残存している基質が溶解されることで、麹菌体が水中に懸濁してパルプ状態になった懸濁液が得られる。この懸濁液を、たとえばフィルターや遠心分離により固液分離し、洗浄および脱水することで、パルプ状の食肉様麹菌体を取得できる。固液分離には、公知の分離方法であるろ過、遠心分離、圧搾分離等のいずれも用いることができる。
【0021】
また、固体培養に用いる蒸煮穀物の含水率を、醸造用の場合より高めに調整して種麹を植菌すると、麹菌の菌糸がより伸長して菌糸の量が増えるので、得られた固体培養物に加水混合すると、ペレット状の凝集した麹菌体塊となり水上に浮上するようになる。これを掬ったり、フィルターにより回収して、洗浄および脱水することにより、ペレット状の食肉様麹菌体塊を取得できる。場合によっては、ペレット状とパルプ状の麹菌体の混合物が得られる。
【0022】
さらに、加水混合時に酵母を添加してアルコール発酵させると、穀物の澱粉→糖→アルコールという平衡反応が右方向に促進され、残存する穀物を液化・発酵させることができるので、麹菌体の回収がより容易になる。この場合の加水量は、濃い酵素液やエタノール液を得るため、酵母を添加しない場合より少量にする。
【0023】
本発明における「ペレット状」の麹菌体とは、1個ずつが独立したことが肉眼で容易に認められる大きさの菌体塊、球状または球状に近似した形状を示す菌体形態であり、「パルプ状」の麹菌体とは、液中では均一に分散し懸濁している線状または繊維状の菌体形態をいう。また、ペレット状とパルプ状の混合物の形態のものも存在する。
本発明の洗浄・脱水後のペレット状またはパルプ状の食肉様麹菌体の含水量は70重量%程度が好ましく、これらの食肉様麹菌体には、酵素や分解物も含まれている。液体培養された麹菌に比べ固体培養された麹菌は、より多量の酵素を産生するため、固体培養された麹菌体は、液体培養された麹菌体に比べ、酵素や麹の自己消化物により美味しくてヘテロ感のある食肉様麹菌体となる。
【0024】
本発明の食肉様麹菌体は、そのまま食肉代替食品として使用することができ、乾燥してからも使用できる。また、本発明の食肉様麹菌体に、他の食肉代替食材、たとえば大豆などの植物性蛋白質素材や卵などの1種以上混合したり、食肉に混合してもよい。特に挽肉に混合すると違和感がない。
本発明の食肉様麹菌体を含む食肉代替食品は特に限定されない。たとえば、ハンバーグ、ミートボール、ギョーザ、シューマイ、肉まんの具、各種肉加工食品が挙げられる。
【0025】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は「重量%」を意味する、
【実施例0026】
[実施例1]
[ペレット状の食肉様麹菌体塊の製造]
(1)麹菌の調製
麹菌は、A.oryzaeの麹菌粉末を固体培養に供試した。
(2)固体培地の調製
インディカ米を洗浄し、1時間浸水した。その後蒸煮処理を行い、その後さらに加水して、蒸米の含水率を50%に調整した。
(3)麹菌の培養
蒸煮前白米2kgに対して、20gの麹菌粉末を加え、均等に混ぜ、室温で3日間培養した。
(4)麹菌の集菌
麹菌の固体培養物に50℃の温水を6L加水混合し、1時間静置した。その後、浮上した菌塊を掬って、1回純水で洗浄し、洗浄した菌塊を絞り袋に入れ手動圧搾器で脱水することで、ペレット状の麹菌体塊を得た。写真を
図1に示す。
【0027】
[実施例2]
[パルプ状の食肉様麹菌体塊の製造]
(1)麹菌の調製
麹菌は、A.oryzaeの麹菌粉末を固体培養に供試した。
(2)固体培地の調製
インディカ米を洗浄し、1時間浸水した。その後、蒸煮処理をして蒸米吸水率35%程度の蒸米を得た。
(3)麹菌の培養
蒸煮前白米2kgに対して、20gの麹菌粉末を加え、均等に混ぜ、室温で3日間培養した。
(4)麹菌の集菌
麹菌の固体培養物に50℃の温水を6L加水混合し、1時間静置した。浮上する菌体はごく僅かで、ほとんどの菌体は液中で懸濁した状態であった。その懸濁液をすべて絞り袋に入れ、手動圧搾器で脱水した。その後、脱水した菌体に加水混合し、再度手動圧搾機で脱水洗浄することで、パルプ状の麹菌体を得た。パルプ状の麹菌体は脱水後シート状になり、その中に菌体塊はほとんど観察されなかった。写真を
図2に示す。
【0028】
[実施例3]
[焼成テスト]
実施例1と実施例2で得られた麹菌体を、100gずつハンバーグ状に成型しフライパンで焼いた。
図3に写真を示す。左がペレット状、右がパルプ状の麹菌体を焼成したものである。実施例1で得られたペレット状の麹菌体には、挽肉様の肉粒感があるのに対して、実施例2で得られたパルプ状のものには、肉粒感はあまり感じられなかった。