(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031655
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】すき鋏用安全具
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20240229BHJP
A01K 14/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A01K13/00 Z
A01K14/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135339
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】315017719
【氏名又は名称】ワンズアップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀輔
(57)【要約】
【課題】既存のすき鋏に加工を施すことなく簡単に後付けできるすき鋏用安全具を提供すること。
【解決手段】すき鋏Bの交差軸着部7に被嵌可能な被嵌部8と、この被嵌部8から突設されすき鋏Bの柄部9に係止させる柄係止部10と、この柄係止部10の反対側に向けて被嵌部8から突設されすき鋏Bの刃縁2若しくはすき刃縁4に沿設させる櫛部11とから成り、被嵌部8は、すき鋏Bの交差軸着部7の枢着軸6の一端部の外側に配設する一側覆部12と、枢着軸6の他端部の外側に配設する他側覆部13とを備え、一側覆部12には、枢着軸6の一端部を支持する軸支持部14が設けられていると共に、他側覆部13には、螺動操作により枢着軸6の他端部に圧接する締付ネジ15が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に指入れ穴を有し他端側に刃縁を有する第一鋏体と、一端側に指入れ穴を有し他端側にすき刃縁を有する第二鋏体とが枢着軸により交差軸着されて成るすき鋏に取付け可能なすき鋏用安全具であって、
前記すき鋏の交差軸着部に被嵌可能な被嵌部と、この被嵌部から突設され前記第一鋏体若しくは前記第二鋏体の柄部に係止させる柄係止部と、この柄係止部の反対側に向けて前記被嵌部から突設され前記第一鋏体の刃縁若しくは前記第二鋏体のすき刃縁に沿設させる櫛部とから成り、
前記被嵌部は、前記すき鋏の交差軸着部の枢着軸の一端部の外側に配設する一側覆部と、前記枢着軸の他端部の外側に配設する他側覆部とを備え、前記一側覆部には、前記枢着軸の一端部を支持可能な軸支持部が設けられていると共に、前記他側覆部には、螺動操作により前記枢着軸の他端部に圧接する締付ネジが設けられていて、
前記柄係止部を前記すき鋏の第一鋏体若しくは第二鋏体の柄部に係止しつつ前記被嵌部を前記交差軸着部に被嵌し、前記軸支持部に前記枢着軸の一端部を支持すると共に、前記締付ネジを螺動操作して枢着軸の他端部に圧接させることで前記すき鋏に取付けられるように構成されていることを特徴とするすき鋏用安全具。
【請求項2】
前記柄係止部を前記すき鋏の第一鋏体の柄部に係止しつつ前記被嵌部を前記交差軸着部に被嵌し、前記軸支持部に前記枢着軸の一端部を支持すると共に、前記締付ネジを螺動操作して枢着軸の他端部に圧接させることで、前記櫛部が前記第一鋏体の刃縁に沿設状態で取付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具。
【請求項3】
前記締付ネジは、手動で螺動操作可能な摘み部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具。
【請求項4】
前記柄係止部は、前記第一鋏体若しくは前記第二鋏体の柄部を挟むようにして係止可能なU字状係止部に構成されていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、すき鋏に取付けて使用するものであって、特に犬や猫などの動物の毛をすく際に有用なすき鋏用安全具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なすき鋏は、一端側に指入れ穴を有し他端側に直線状あるいはなだらかな曲線状の刃縁を有する第一鋏体と、一端側に指入れ穴を有し他端側に櫛歯状のすき刃縁を有する第二鋏体とが枢着軸により交差軸着されて構成されている。
【0003】
このすき鋏は、従来から犬や猫などのペット動物の毛をすく目的でも使用されているが、犬や猫などは人間よりも皮膚が弱いために刃縁とすき刃縁との間に皮膚が挟まりやすい上、ペット動物はカット作業中に静止し続けてくれないので、ペット動物の皮膚を傷付けないように作業者(トリマー)は多大な注意を払いながらこのカット作業を行う必要があり、容易な作業ではなかった。
【0004】
そこで本発明者は、このようなすき鋏を用いた動物の毛のカット作業をどうにか容易に且つ安全に行えないかと商品開発を行い、すき刃縁に皮膚が挟まることを防止しながら毛をすくことができる登録実用新案第3227299号(特許文献1)を提案している。
【0005】
この特許文献1の動物用すき鋏について簡単に説明すると、前記すき刃縁に対向する前記刃縁側に櫛歯を有する櫛部材が設けられていて、この櫛部材を動物の身体(皮膚)側に配しながら毛をカットすることにより、動物の皮膚が刃縁とすき刃縁の間に入ることが抑制されて動物の皮膚を傷つけにくくなるように構成されているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記特許文献1と共通の目的のもとに開発されたもので、既存のすき鋏に加工を施すことなく簡単に安全性付与用の櫛部を後付けできる実用性に優れたすき鋏用安全具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
一端側に指入れ穴1を有し他端側に刃縁2を有する第一鋏体3と、一端側に指入れ穴1を有し他端側にすき刃縁4を有する第二鋏体5とが枢着軸6により交差軸着されて成るすき鋏Bに取付け可能なすき鋏用安全具Aであって、
前記すき鋏Bの交差軸着部7に被嵌可能な被嵌部8と、この被嵌部8から突設され前記第一鋏体3若しくは前記第二鋏体5の柄部9に係止させる柄係止部10と、この柄係止部10の反対側に向けて前記被嵌部8から突設され前記第一鋏体3の刃縁2若しくは前記第二鋏体5のすき刃縁4に沿設させる櫛部11とから成り、
前記被嵌部8は、前記すき鋏Bの交差軸着部7の枢着軸6の一端部の外側に配設する一側覆部12と、前記枢着軸6の他端部の外側に配設する他側覆部13とを備え、前記一側覆部12には、前記枢着軸6の一端部を支持可能な軸支持部14が設けられていると共に、前記他側覆部13には、螺動操作により前記枢着軸6の他端部に圧接する締付ネジ15が設けられていて、
前記柄係止部10を前記すき鋏Bの第一鋏体3若しくは第二鋏体5の柄部9に係止しつつ前記被嵌部8を前記交差軸着部7に被嵌し、前記軸支持部14に前記枢着軸6の一端部を支持すると共に、前記締付ネジ15を螺動操作して枢着軸6の他端部に圧接させることで前記すき鋏Bに取付けられるように構成されていることを特徴とするすき鋏用安全具に係るものである。
【0010】
また、前記柄係止部10を前記すき鋏Bの第一鋏体3の柄部9に係止しつつ前記被嵌部8を前記交差軸着部7に被嵌し、前記軸支持部14に前記枢着軸6の一端部を支持すると共に、前記締付ネジ15を螺動操作して枢着軸6の他端部に圧接させることで、前記櫛部11が前記第一鋏体3の刃縁2に沿設状態で取付けられるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具に係るものである。
【0011】
また、前記締付ネジ15は、手動で螺動操作可能な摘み部16が設けられていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具に係るものである。
【0012】
また、前記柄係止部10は、前記第一鋏体3若しくは前記第二鋏体5の柄部9を挟むようにして係止可能なU字状係止部に構成されていることを特徴とする請求項1記載のすき鋏用安全具に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、既存のすき鋏に何ら加工を施すことなく簡易に取付け(後付け)でき、本すき鋏用安全具が取付けられたすき鋏でペット動物の毛をカットすると、動物の皮膚が櫛部に遮られて刃縁とすき刃縁の間に入り込むことが防止されてペット動物の皮膚を傷つけることがない極めて実用性に優れたすき鋏用安全具となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、既存のすき鋏に対して確実に取付け(後付け)できて安全性を付与できる一層実用性に優れた構成のすき鋏用安全具となる。
【0015】
また、請求項3記載の発明においては、工具を使用せずとも簡単な手動操作で既存のすき鋏に取付け(後付け)可能となる一層実用性に優れた構成のすき鋏用安全具となる。
【0016】
また、請求項4記載の発明においては、既存のすき鋏の柄部に対して簡易に且つ位置ズレしにくい状態で係止できる柄係止部を、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のすき鋏用安全具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本実施例の、すき鋏への取付構造を示す一部を切り欠いた説明拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0019】
本発明のすき鋏用安全具Aは、すき鋏Bの交差軸着部7に被嵌可能な被嵌部8と、この被嵌部8から突設されすき鋏B(の第一鋏体3若しくは第二鋏体5)の柄部9に係止させる柄係止部10と、この柄係止部10の反対側に向けて前記被嵌部8から突設されすき鋏Bの第一鋏体3の刃縁2若しくは第二鋏体5のすき刃縁4に沿設させる櫛部11とから構成されており、また前記被嵌部8は、前記すき鋏Bの交差軸着部7の枢着軸6の一端部の外側に配設する一側覆部12と、前記枢着軸6の他端部の外側に配設する他側覆部13とを備えていて、前記一側覆部12には、前記枢着軸6の一端部を支持する軸支持部14が設けられていると共に、前記他側覆部13には、螺動操作により前記枢着軸6の他端部に圧接する締付ネジ15が設けられている。
【0020】
このすき鋏用安全具Aは、前記柄係止部10をすき鋏B(の第一鋏体3若しくは第二鋏体5)の柄部9に係止しつつ前記被嵌部8をすき鋏Bの交差軸着部7に被嵌し、前記軸支持部14に前記枢着軸6の一端部を支持すると共に、前記締付ネジ15を螺動操作してこの締付ネジ15を枢着軸6の他端部に圧接することですき鋏Bに取付けら(後付けさ)れ、この取付状態では、前記櫛部11が第一鋏体3の刃縁2若しくは第二鋏体5のすき刃縁4に沿設する。
【0021】
即ち、すき鋏Bには何ら加工を施す必要はなく、すき鋏Bの柄部9に柄係止部10を係止させた上で、すき鋏Bの交差軸着部7の枢着軸6に被嵌部8を被嵌し締付けるだけの簡易操作で、本発明のすき鋏用安全具Aはすき鋏Bに取付け(後付け)できる。
【0022】
そして、本すき鋏用安全具Aが取付けられたすき鋏Bの指入れ孔1に指を入れてカット操作を行うと、前記柄係止部10がすき鋏Bの第一鋏体3若しくは第二鋏体5の柄部9に係止していることによって本すき鋏用安全具Aは第一鋏体3若しくは第二鋏体5の柄部9と一緒に可動し、この柄係止部10の反対側に向けて突設されている前記櫛部11も前記第一鋏体3の刃縁2若しくは前記第二鋏体5のすき刃縁4に沿設状態のままこの刃縁2若しくはすき刃縁4と一緒に可動する。
【0023】
本すき鋏用安全具Aが取付けられたすき鋏Bを例えばペット動物の毛のカットに使用できるが、この際に前記櫛部11をペット動物の身体(皮膚)側に配して毛のカット作業を行うと、カット時に動物の皮膚が櫛部11に遮られて刃縁2とすき刃縁4の間に入り込むことが防止され、ペット動物の皮膚を傷つけることなくペット動物の毛をすくことができる。
【実施例0024】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0025】
先ず、図示したすき鋏Bについて説明すると、
図2に示すように、一端側に指入れ穴1を有し他端側に刃縁2を有する金属製の第一鋏体3と、一端側に指入れ穴1を有し他端側にすき刃縁4を有する金属製の第二鋏体5とが枢着軸6により交差軸着されて構成されている。また、この第一鋏体3と第二鋏体5とは、一側に細い棒状の柄部9を有しこの柄部9の先端部に前記指入れ穴1が連設されている一方、他側には帯板状の刃板部24を有する形状に一体成形されていて、第一鋏体3の前記刃板部24の内縁部(第二鋏体5の刃板部24と対向する縁部)には前記刃縁2が形成され、第二鋏体5の刃板部24の内縁部(第一鋏体3の刃板部24と対向する縁部)には前記すき刃縁4が形成されている。
【0026】
次に、本実施例のすき鋏用安全具Aについて説明すると、
図1に示すように、前記すき鋏Bの交差軸着部7に被嵌可能な被嵌部8と、この被嵌部8から突設され前記第一鋏体3の柄部9に係止させる柄係止部10と、この柄係止部10の反対側に向けて前記被嵌部8から突設され前記第一鋏体3の刃縁2に沿設させる櫛部11とから構成されている。
【0027】
具体的には、前記被嵌部8は、前記すき鋏Bの交差軸着部7の枢着軸6の一端部の外側に配設する一側覆部12と、この一側覆部12と間隔を置いて略平行に配設され前記枢着軸6の他端部の外側に配設する他側覆部13と、この一側覆部12と他側覆部13との間に配設され一側覆部12と他側覆部13に対し略直角に連設する中板部17とを備えている。
【0028】
さらに詳しくは、前記被嵌部8は、例えば金属製の板材が略コ字状に折曲されることによって構成されており、この被嵌部8の中間の板部分が、この被嵌部8を前記すき鋏Bの交差軸着部7に被嵌した際に前記枢着軸6の軸方向と平行な板面を有する前記中板部17として構成され、この中板部17の一側端部から略直角に折曲突出する板部分が前記一側覆部12として構成され、中板部17の他側端部から略直角に折曲突出する板部分が前記他側覆部13として構成されている。
【0029】
また、前記一側覆部12には、前記枢着軸6の一端部を支持可能な軸支持部14が設けられていると共に、前記他側覆部13には、螺動操作により前記枢着軸6の他端部に圧接する締付ネジ15が設けられている。
【0030】
前記軸支持部14について説明すると、前記すき鋏Bの枢着軸6の一端部を挿入して支持可能な貫通穴で構成されている。また、ここで、前記すき鋏Bについてさらに詳しく説明すると、前記交差軸着部7の枢着軸6は、その両端部がいずれも半球形を呈する軸部品が採用されて構成されており、この枢着軸6の半球形一端部が前記軸支持部14に挿入されて支持されるように構成されている(
図3参照)。
【0031】
前記締付ネジ15について説明すると、前記他側覆部13に貫通形成されているネジ孔(雌ネジ)18に螺着されている(
図3(b)参照)。
【0032】
また、この締付ネジ15は、一端部にこの締付ネジ15を手動で螺動操作可能な円板状の摘み部16が被嵌固定されて構成されており、この締付ネジ15の先端部(摘み部16の反対側に存する端部)が、前記ネジ孔18に前記他側覆部13の外側から螺着されていて、摘み部16の正・逆回動(螺動)操作によりこの締付ネジ15の先端部が前記一側覆部13(前記軸支持部14)に対し接近・離反移動するように構成されている(
図3参照)。
【0033】
また、この締付ネジ15の先端部には、円板状の合成樹脂製の軸当部31が設けられていて、この軸当部31が前記枢着軸6の半球形他端部を傷付けることなくこの枢着軸6他端部に圧接するように構成されている。
【0034】
即ち、前記柄係止部10を前記すき鋏Bの第一鋏体3の柄部9に係止しつつ前記被嵌部8を前記交差軸着部7に被嵌し、前記軸支持部14に前記枢着軸6の一端部を支持する(
図3(a)参照)と共に、前記摘み部16を締め方向(
図3(b)中の矢印方向)に螺動操作して締付ネジ15先端部の軸当部31を枢着軸6の他端部に圧接させることで被嵌部8が前記すき鋏Bの交差軸着部7(枢着軸6)に挟着して(
図3(b)参照)すき鋏Bに本すき鋏用安全具Aが取付けられるように構成されており、またこの取付状態から摘み部16を緩め方向に螺動操作すると、被嵌部8の交差軸着部7への挟着状態が解除されてすき鋏Bから本すき鋏用安全具Aを分離できるように構成されている。
【0035】
本実施例の前記柄係止部10について説明すると、前記被嵌部8の一側覆部12を構成する板材には、前記中板部17と隣接する一方の端部から外方に向けて帯板部19が一体的に突設され、この帯板部19の突出先端部が、他側覆部13側に向かって突出する二股U字枠状に形成されていて、このU字枠状先端部が前記第一鋏体3の柄部9を挟むようにして柄部9に係止可能な前記柄係止部10として構成されている。そして、本すき鋏用安全具Aを、前記すき鋏Bに枢着軸6の軸方向外側から接近させた際に、この柄係止部10が第一鋏体3の柄部9を挟むようにして係止可能となるように構成されている(
図2参照)。
【0036】
尚、図示していないが、柄係止部10を第二鋏体5の柄部9に係止させて本すき鋏用安全具Aをすき鋏Bに取付けることも可能である。
【0037】
本実施例の前記櫛部11について説明すると、棒状基体20にこの棒状基体20の長さ方向と直交する方向に向けて細棒状の櫛歯21が棒状基体20の長さ方向に沿って多数並設状態に突設された形状に構成されている。
【0038】
また、この櫛部11は、前記棒状基体20の一側端部から中ほど付近にかけてに前記櫛歯21が多数並設状態に設けられていて、この櫛歯21のない棒状基体20の他端側が前記被嵌部8の一側覆部12に取付けられている。
【0039】
この櫛部11の一側覆部12への取付構造についてさらに詳しく説明すると、前記一側覆部12の前記帯板部19とは反対側の端部(一側覆部12の前記中板部17と隣接する他方の端部)から外方に向けて延長板部22が一体的に突設され、この延長板部22には、前記柄係止部10を前記すき鋏Bの第一鋏体3の柄部9に係止しつつ前記すき鋏Bに被嵌部8を被嵌した際に第一鋏体3の刃縁2の刃板部24の外側にこの刃板部24と略平行に配設される取付筒部23が設けられており、この取付筒部23に前記櫛部11の棒状基体20の他端側が挿入装着されることにより、櫛部11が一側覆部12に取付けられている。
【0040】
また、この取付筒部23は、その筒長さ方向が本すき鋏用安全具Aの長さ方向と合致するようにして設けられていて、この取付筒部23に(棒状基体20が)挿入装着される前記櫛部11は、その棒状基体20が第一鋏体3の刃板部24の外側にこの刃板部24と略平行に配設されていると共に、その櫛歯21が第二鋏体5のすき刃縁4と対向状態となるようにして取付筒部23に装着されている。
【0041】
また、この櫛部11の各櫛歯21は、その先端が前記第一鋏体3と前記第二鋏体5(の刃板部24)を閉じた際に第二鋏体5の刃板部24の外縁部より外方へ突出配設する長さ寸法に設定構成されている(
図4参照)。
【0042】
また、本実施例のすき鋏用安全具Aは、前記櫛部11(の棒状基体20の他端側)が、前記被嵌部8(の一側覆部12の延長板部22に設けられている取付筒部23)に対して着脱(挿脱)自在に設けられている。
【0043】
具体的には、前記延長板部22は、前記一側覆部12との連設部が屈曲されてこの一側覆部12よりも前記他側覆部13から離れた外方位置に配設されていると共に、この延設板部22の他側覆部13側の板面には金属製薄板で構成された取付基板25が溶接等の適宜な固定手段によって重合状態に固定され、さらにこの取付基板25の下部には、断面コ字状の金属製薄板材で構成され延長板部22の延長方向長さと同等の長さ寸法を有する筒構成板26が溶接等の適宜な固定手段によって重合固定されていて、この取付基板25の下部と筒構成板26とによって断面四角形の筒状部が形成されており、この四角筒部が前記取付筒部23として構成されている。
【0044】
また、前記延長板部22は、延長方向の中ほどが切欠かれて下部開放形の切欠窓27が形成されている(
図5参照)一方、前記取付基板25の前記切欠窓27に相当する部位が縦長帯板状に切り出し形成されていると共に、この切り出し片28の切り出し先端が前記筒構成板26を囲うような断面コ字板状に折曲されており、この切り出し片28の折曲先端部が押動操作片部29として構成されている。
【0045】
また、この切り出し片28の前記取付筒部23を構成する部位(前記筒構成板26との対向面)には、筒構成板26の内方に向かって小さく突出する圧接突起30が形成され、常態ではこの圧接突起30が取付筒部23内に挿入された前記櫛部11の棒状基体20の外周面に圧接するように構成されていて、この圧接突起30の圧接により取付筒部23に対し棒状基体20(櫛部11)がスライド移動不能状態に位置決められるように構成されている。そして、この圧接突起30の圧接による櫛部11の位置決め状態で、前記押動操作片部29を指で
図3(a)中の矢印方向へ押動操作すると、切り出し片28が弾性変形して前記圧接突起30が棒状基体20の外周面から離間し、これにより棒状基体20の圧接位置決め状態が解除されて櫛部11を取付筒部23に対し
図4中の矢印方向へスライド位置変更して被嵌部8に対する位置調整(例えば図示したように、第一鋏体3の刃板部24の先端位置に櫛部11の最も先端側の櫛歯21の位置を合わせるように櫛部11の位置を調整して使用する。)が可能であったり、櫛部11を取付筒部23(被嵌部8)から取り外してメンテナンスすることや交換することも可能に構成されている。
【0046】
このように構成した本実施例は、前記柄係止部10を前記すき鋏Bの第一鋏体3の柄部9に係止しつつ前記被嵌部8を前記交差軸着部7に被嵌し、前記軸支持部14に前記枢着軸6の一端部を支持すると共に、前記締付ネジ15を螺動操作してこの締付ネジ15先端部の前記軸当部31を枢着軸6の他端部に圧接させることで、前記櫛部11が前記第一鋏体3の刃縁2(刃板部24)に沿設状態で且つ櫛部11の櫛歯21が第二鋏体5のすき刃縁4と対向状態となってすき鋏Bに取付けられる。
【0047】
本すき鋏用安全具Aが取付けられたすき鋏Bは、指入れ孔1に指を入れてカット操作を行うと、前記柄係止部10がすき鋏Bの第一鋏体3の柄部9に係止していることによって本すき鋏用安全具Aが第一鋏体3の柄部9と一緒に可動し、この柄係止部10の反対側に向けて突設されている前記櫛部11も前記第一鋏体3の刃縁2に沿設状態のままこの刃縁2と一緒に可動する。
【0048】
この本すき鋏用安全具Aが取付けられたすき鋏Bをペット動物の毛のカットに使用できるが、この際に前記櫛部11をペット動物の身体(皮膚)側に配して毛のカット作業を行うことにより、動物の皮膚が櫛部11に遮られて刃縁2とすき刃縁4の間に入り込むことが防止されて、ペット動物の皮膚を傷つけることなくペット動物の毛をすくことができる。
【0049】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。