(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031658
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240229BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240229BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 203
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
G06F3/12 360
G06F3/12 312
G06F3/12 391
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135344
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】西村 啓
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA14
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AE15
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】多数のユーザ者が印刷物を円滑に取得し得るようにする。
【解決手段】画像形成システム1では、グループ印刷モードにおいて、各生徒の端末装置2から生徒IDが関連付けられた印刷データを受信して逐次蓄積し、全メンバーの印刷データが揃ったグループから、グループ単位で当該印刷データの印刷処理を行う。これにより画像形成システム1では、グループごとに異なるタイミングで、各グループに所属する生徒の数ごとに印刷処理を行うことができ、その結果として、各生徒に対しそれぞれの印刷データに基づく印刷物を速やかに且つ円滑に入手させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成装置の画像形成部において印刷処理を行う画像形成システムであって、
複数の前記ユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記端末装置により準備され、前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを蓄積する蓄積部と、
複数の前記グループのうち少なくとも1つの前記グループにおいて、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた前記印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを、前記蓄積部から前記画像形成部へそれぞれ供給させ前記印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する制御部と
を具えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像形成装置の印刷モードを、前記グループ印刷を実行するグループ印刷モードと、前記印刷データに基づいた前記印刷処理を逐次行わせる通常印刷モードとに切り替えさせる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、所定のグループ印刷終了条件が満たされた場合、前記印刷モードを前記グループ印刷モードから前記通常印刷モードに切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記グループ印刷終了条件は、全ての前記グループにおいて前記印刷処理が行われたことである
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記グループ印刷終了条件は、前記印刷モードを前記通常印刷モードから前記グループ印刷モードに切り替えた時点から所定の管理期間が経過したことである
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記ユーザを管理する管理者又は前記ユーザを代表する代表者の操作に基づき、複数の前記ユーザにそれぞれ付与された前記ユーザ識別情報を複数の前記グループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を前記記憶部に記憶させると共に、前記管理期間を設定するグループ印刷設定部
をさらに具えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記管理期間が経過した時点において前記印刷処理が行われていない前記グループがあった場合、当該グループに所属する前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データであり、且つ前記蓄積部に蓄積されたものについて、前記蓄積部から前記画像形成部へそれぞれ供給させ前記印刷処理を行わせる
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記端末装置は、前記ユーザの操作に基づき、前記グループを一意に表すグループ識別情報を前記印刷データに関連付けるか否かを切り替え、
前記制御部は、前記グループ印刷モードにおいて前記グループ識別情報が関連付けられていない前記印刷データである非グループ印刷データが前記蓄積部に蓄積された場合、前記印刷モードが前記通常印刷モードに切り替わってから、当該非グループ印刷データに基づいた前記印刷処理を行わせるよう制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記端末装置に対し、当該端末装置を使用する前記ユーザの前記ユーザ識別情報が所属する前記グループを一意に表すグループ識別情報を通知するグループ識別情報通知部
をさらに具え、
前記端末装置は、前記ユーザから指示された場合に前記印刷データに前記グループ識別情報を関連付け、
前記制御部は、前記グループ識別情報が関連付けられた前記印刷データを対象として、当該印刷データに関連付けられた前記ユーザ識別情報を基に、前記グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報に関連付けられた当該印刷データがそれぞれ準備されたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記蓄積部は、前記画像形成装置以外に設けられ、
前記制御部は、所属する全ての前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを準備できた前記グループについて前記グループ印刷を実行する際に、前記蓄積部に対し、当該グループの前記印刷データを、前記蓄積部から前記画像形成装置へ供給させ前記印刷処理を実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記蓄積部は、前記端末装置に設けられている
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記蓄積部は、前記グループごとに、当該グループに所属する何れかの前記ユーザ識別情報が付与された前記ユーザにより使用される前記端末装置に設けられ、当該グループに所属する前記ユーザ識別情報が関連付けられた前記印刷データを蓄積する
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成装置の画像形成部において印刷処理を行う画像形成方法であって、
複数の前記ユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を所定の記憶部に記憶させるグループ設定ステップと、
前記端末装置により準備され、前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを蓄積部に蓄積する蓄積ステップと、
複数の前記グループのうち少なくとも1つの前記グループにおいて、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた前記印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを、前記蓄積部から前記画像形成部へそれぞれ供給させ前記印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する印刷実行ステップと
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成部において印刷処理を行う画像形成装置であって、
複数の前記ユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を記憶する記憶部と、
前記端末装置により準備され、前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを蓄積する蓄積部と、
複数の前記グループのうち少なくとも1つの前記グループにおいて、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた前記印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全ての前記ユーザ識別情報に関連付けられた前記印刷データを、前記蓄積部から前記画像形成部へそれぞれ供給させ前記印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する制御部と
を具えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成システム、画像形成方法及び画像形成装置に関し、例えば学校の教室等において画像形成装置を使用する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、学校の教室等においては、例えば教師及び各生徒(以下、ユーザとも呼ぶ)がそれぞれ使用する複数の端末装置と、1台の画像形成装置とがネットワークを介して接続された画像形成システムが構成される場合がある。この画像形成システムでは、例えば授業中に、教師から指示があった場合などに、生徒それぞれが操作する端末装置から画像形成装置に対し、それぞれ印刷データが送信されることがある。
【0003】
このとき画像形成装置は、多数の印刷データに基づき順次印刷処理を順次行い、当該印刷データに基づいた画像を用紙に印刷した印刷物(出力物とも呼ばれる)を順次生成し、蓄積していく。このとき画像形成装置の周囲では、多数の生徒が集まり、順不同に蓄積された印刷物の中から、各自の印刷物を探し出して持って行くため、混乱が生じやすく、また時間を要することになる。
【0004】
そこで、画像形成システム(印刷制御装置)として、出席番号順等の順序に基づき予め設定された「ソート抽出条件」に従い、各印刷データ(印刷ジョブ)の印刷順を変更して印刷するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-280843号公報(
図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる構成の画像形成システムでは、全員の印刷データが蓄積されるまで印刷処理を開始できないため、待ち時間が比較的長くなる、といった問題や、全員分の印刷データがまとめて印刷されるために、全員がプリンタの周囲に到来して混雑を招く、といった問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、多数のユーザが印刷物を円滑に取得し得る画像形成システム、画像形成方法及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成システムにおいては、複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成装置の画像形成部において印刷処理を行う画像形成システムであって、複数のユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を記憶する記憶部と、端末装置により準備され、ユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを蓄積する蓄積部と、複数のグループのうち少なくとも1つのグループにおいて、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを、蓄積部から画像形成部へそれぞれ供給させ印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する制御部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の画像形成方法においては、複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成装置の画像形成部において印刷処理を行う画像形成方法であって、複数のユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を所定の記憶部に記憶させるグループ設定ステップと、端末装置により準備され、ユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを蓄積部に蓄積する蓄積ステップと、複数のグループのうち少なくとも1つのグループにおいて、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを、蓄積部から画像形成部へそれぞれ供給させ印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する印刷実行ステップとを有するようにした。
【0010】
さらに本発明の画像形成装置においては、複数のユーザによりそれぞれ使用される複数の端末装置からそれぞれ供給される複数の印刷データに基づき、画像形成部において印刷処理を行う画像形成装置であって、複数のユーザをそれぞれ表す複数のユーザ識別情報を、複数のグループのうち何れかに分けて所属させ、当該ユーザ識別情報と当該グループとの対応関係を記憶する記憶部と、端末装置により準備され、ユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを蓄積する蓄積部と、複数のグループのうち少なくとも1つのグループにおいて、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報にそれぞれ関連付けられた印刷データが準備された場合、当該グループに所属する全てのユーザ識別情報に関連付けられた印刷データを、蓄積部から画像形成部へそれぞれ供給させ印刷処理を行わせるグループ印刷を実行する制御部とを設けるようにした。
【0011】
本発明は、複数のユーザを複数のグループに分けて所属させ、何れかのグループにおいて全メンバーの印刷データが揃った段階で、これらの印刷データの印刷処理を実行する。このため本発明は、画像形成装置において全てのユーザの印刷データが揃ってからまとめて印刷処理を行う場合と比較して、一度に印刷処理を実行する印刷データの数を削減でき、プリンタの周囲に同時に集まるユーザの数を減少させることにより、混乱を軽減させてそれぞれの印刷物を円滑に受け取らせることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多数のユーザが印刷物を円滑に取得し得る画像形成システム、画像形成方法及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態による画像形成システムの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態によるグループ印刷設定シーケンスを示すシーケンスチャートである。
【
図3】第1の実施の形態によるグループ印刷設定画面の構成を示す略線図である。
【
図4】印刷データ受信管理テーブル及びグループ管理テーブルの構成を示す略線図である。
【
図5】グループ印刷実行処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態による画像形成システムの構成を示す略線的ブロック図である。
【
図7】第2の実施の形態によるグループ印刷設定シーケンスを示すシーケンスチャートである。
【
図8】第2の実施の形態によるグループ印刷設定画面の構成を示す略線図である。
【
図10】印刷データ送信処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】印刷オプション設定画面の構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0015】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成システムの構成]
図1に模式的なブロック図を示すように、第1の実施の形態による画像形成システム1は、複数の端末装置2、管理装置3、及びプリンタ5がネットワーク8を介して相互に接続された構成となっている。なお
図1では、作図の都合上、複数の端末装置2のうち1台のみを表している。
【0016】
この画像形成システム1は、例えば学校の教室内に設置されており、各端末装置2が各生徒により使用され、管理装置3が教師(管理者とも呼ぶ)により使用されている。また本実施の形態では、各生徒に対し、当該生徒を表す一意の生徒ID(IDentifier)が割り当てられているものとする。以下では、教師を管理者とも呼び、生徒をユーザとも呼び、生徒IDをユーザ識別情報とも呼ぶ。
【0017】
端末装置2は、例えばタブレット型端末装置やノート型コンピュータ装置のような情報処理装置であり、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14及び操作部15がバス10を介して相互に接続された構成となっている。
【0018】
制御部11は、端末装置2を統括的に制御する部分であり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有している。この制御部11は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部12等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0019】
また制御部11は、所定のプログラムを実行することにより、印刷データ生成部21及び情報付与部22といった複数の機能ブロックを内部に形成する。印刷データ生成部21は、生徒の操作指示に基づき、文書や画像等をプリンタ5により印刷するための印刷データを生成する。情報付与部22は、印刷データに対し、当該端末装置2を使用している生徒の生徒IDを付与する。
【0020】
記憶部12は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)のような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。この記憶部12には、送信者情報記憶部31が設けられている。端末装置2は、生徒により使用を開始される際に、所定のログオンプログラムが実行されており、ログオン操作として当該生徒に生徒ID及びパスワードを入力させている。このとき入力された生徒IDは、送信者情報記憶部31に記憶され、ログオフされる際に消去されるようになっている。
【0021】
通信部13は、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)のインタフェース等を有している。この通信部13は、ネットワーク8を介して管理装置3やプリンタ5との間で種々の情報を送受信する。
【0022】
表示部14は、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部11の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部15は、例えば表示部14を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや、キーボード、マウス又はタッチパッド等であり、使用者による操作指示を受け付ける。
【0023】
管理装置3は、端末装置2と同様、例えばタブレット型端末装置やノート型コンピュータ装置のような情報処理装置であり、制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44及び操作部45がバス40を介して相互に接続された構成となっている。
【0024】
グループ印刷設定部としての制御部41は、制御部11と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部41は、やはり制御部11と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部42等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0025】
記憶部42は、記憶部12と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。通信部43は、通信部13と同様、例えばIEEE802.11等の規格に準拠した無線LANのインタフェース等を有しており、ネットワーク8を介して各端末装置2やプリンタ5との間で種々の情報を送受信する。表示部44及び操作部45は、それぞれ表示部14及び操作部15と同様に構成されている。
【0026】
画像形成装置としてのプリンタ5は、例えば電子写真式の印刷装置であり、制御部51、記憶部52、通信部53、表示部54、操作部55及び画像形成部56がバス50を介して相互に接続された構成となっている。因みにプリンタ5は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0027】
制御部51は、制御部11等と同様、図示しないCPU、RAM及びROM等を有している。この制御部51は、やはり制御部11等と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部52等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。また制御部51は、図示しない計時回路により、現在時刻の取得や経過時間の計測等、時間に関する処理を行うこともできる。
【0028】
さらに制御部51は、所定のプログラムを実行することにより、装置設定管理部61、ジョブ管理部62及び期間管理部63といった複数の機能ブロックを内部に形成する。装置設定管理部61は、操作部55を介したユーザ(例えば教師等)の操作入力に従い、例えば印刷濃度や用紙の種類等のようなプリンタ5における種々の設定項目について設定し、設定内容を記憶部52に記憶させる。また装置設定管理部61は、ウェブサーバ等の機能も有しており、ネットワーク8を介した管理装置3等からの接続により、当該管理装置3において実行されるウェブブラウザ上での操作入力に基づき、各設定項目について設定させることもできる。
【0029】
ジョブ管理部62は、各端末装置2からそれぞれ送信される印刷データ(以下これをジョブ又は印刷ジョブとも呼ぶ)について、印刷すべきタイミングや順序等を管理する(詳しくは後述する)。期間管理部63は、図示しない計時回路を有しており、時間や期間に関する処理を行う。
【0030】
記憶部52は、記憶部12等と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。この記憶部52には、グループ記憶部71、ジョブ蓄積部72及び状況記憶部73が設けられている。グループ記憶部71は、グループ印刷(詳しくは後述する)におけるグループに関する情報を記憶する。ジョブ蓄積部72は、各端末装置2からそれぞれ送信される印刷データ(すなわちジョブ)を蓄積する。状況記憶部73は、各端末装置2からの印刷データの蓄積状況等、種々の状況を表す情報を記憶する。
【0031】
通信部53は、例えばIEEE802.3(IEEE802.3u/ab/an/ae)等の規格に準拠した有線LANや、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN等のインタフェース等を有しており、ネットワーク8を介して各端末装置2や管理装置3との間で種々の情報を送受信する。表示部54は、例えば液晶パネルのような表示デバイスであり、制御部51の制御に基づき種々の情報を表示する。操作部55は、例えば表示部54を構成する液晶パネルの表面に設けられたタッチセンサや、押下可能な操作ボタン等であり、使用者による操作指示を受け付ける。
【0032】
画像形成部56は、例えば媒体としての用紙を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送機構、或いは各色のトナーを使用してトナー画像を形成する画像形成部や該トナー画像を用紙に定着させる定着部、及び印刷済の用紙を集積する排出トレイ等を有している。
【0033】
このプリンタ5は、例えば端末装置2から印刷データ(すなわち印刷ジョブ)を受信すると、制御部51の制御に基づき、画像形成部56において印刷処理(画像形成処理とも呼ばれる)を行い、当該印刷ジョブに基づいた画像を用紙に形成する(すなわち印刷する)。具体的に画像形成部56は、この印刷処理において、用紙トレイから用紙を1枚ずつ引き出して搬送し、当該印刷データに基づいたトナー画像を形成して当該用紙に転写させると共に定着させ、当該画像が定着された(すなわち印刷済の)用紙を排出トレイに集積させる。以下、このようにして画像が形成された(すなわち印刷された)用紙を印刷物又は出力物と呼ぶ。
【0034】
ネットワーク8は、図示しないルータやハブ、或いは無線基地局等によって構成されており、IEEE802.3やIEEE802.11等に準拠した有線LAN及び無線LANとして構成されている。
【0035】
[1-2.印刷モード]
ところでプリンタ5では、「通常印刷モード」及び「グループ印刷モード」といった複数の印刷モードが用意されており、その何れかに切り替え得るようになっている。このうち通常印刷モードは、各端末装置2又は管理装置3からプリンタ5へ印刷データが送信されると、この印刷データに基づいた印刷処理を直ちに実行する印刷モードである。すなわち、通常印刷モードは、一般的なプリンタと同様に印刷処理を行う動作モードとなっている。
【0036】
一方、グループ印刷モードは、生徒を複数のグループに分け、グループ単位で印刷データの印刷処理を行う動作モードである。詳細には、このグループ印刷モードにおいて、各生徒が使用する端末装置2からプリンタ5へ印刷データをそれぞれ送信させ、何れかのグループにおいて全メンバーの印刷データが揃った時点で、当該グループに所属する全メンバーの印刷データの印刷処理を行うようになっている。
【0037】
またこの第1の実施の形態では、教師により使用される管理装置3からウェブブラウザ等を介してプリンタ5に接続させ、後述するグループ設定処理を行わせることにより、印刷モードの切替や各グループのメンバー構成等を設定させるようになっている。
【0038】
[1-3.グループ印刷設定処理]
次に、画像形成システム1においてプリンタ5の印刷モードを通常印刷モードからグループ印刷モードに切り替える際に行われるグループ印刷設定処理について、
図2のシーケンスチャートを参照しながら説明する。
【0039】
まず管理装置3の制御部41(
図1)は、電源が投入されて所定のオペレーティングシステムが起動した状態で、教師から所定の操作指示を受け付けると、管理装置側グループ設定処理手順RT1を開始し、最初のステップSP11に移る。ステップSP11において制御部41は、表示部44(
図1)に所定のウェブブラウザを表示させると共に、当該ウェブブラウザによりプリンタ5にアクセスする。
【0040】
一方、プリンタ5の制御部51(
図1)は、予め電源が投入されており、所定の初期化処理を実行した上でプリンタ側グループ印刷設定処理手順RT2を開始している。この制御部51は、管理装置3からアクセスを受けると、ステップSP21に移り、装置設定管理部61(
図1)により、グループ印刷設定ページを表示させるためのデータを記憶部52から読み出し、管理装置3へ送信する。
【0041】
これに応じて管理装置3の制御部41は、次のステップSP12に移り、表示部44(
図1)に表示しているウェブブラウザ内に、
図3に示すグループ印刷設定画面D1を表示させ、次のステップSP13に移る。このグループ印刷設定画面D1には、各生徒に対するグループの割当を設定するためのグループ割当リストL1、メンバー追加ボタンB1及びメンバー削除ボタンB2、管理期間設定欄P1、並びに開始ボタンB3が適宜配置されると共に、それぞれの近傍に簡単な説明が表示されている。
【0042】
グループ割当リストL1には、グループに割り当てられる各メンバーとなる生徒の生徒IDがそれぞれ表示される生徒ID欄C1と、グループ名が表示されるグループ割当欄C2とが設けられている。生徒ID欄C1には生徒IDを表す数字が入力可能となっている。またグループ割当欄C2には、グループ名を表す英文字が入力可能となっている。メンバー追加ボタンB1は、グループ割当リストL1に新たな行を追加することができる。メンバー削除ボタンB2は、グループ割当リストL1から末尾の行を削除することができる。
【0043】
管理期間設定欄P1は、管理期間として1分乃至60分の時間を分単位で設定することができる。この管理期間とは、プリンタ5においてグループ印刷モードを継続する場合の上限となる期間である。すなわちプリンタ5は、グループ印刷モードの開始後にこの管理期間が経過すると、印刷データが未だ印刷されていないグループが残っていたとしても、グループ印刷モードを終了して通常印刷モードに移行するようになっている。この管理期間設定欄P1には、管理期間の初期値として20分が予め設定されている。開始ボタンB3は、押下操作されることにより、グループ割当リストL1及び管理期間設定欄P1に設定された内容で、グループ印刷モードを開始することを指示する。
【0044】
ステップSP13(
図2)において制御部41は、操作部45(
図1)を介して、グループ割当リストL1の各欄及び管理期間設定欄P1に対する入力操作を受け付け、次のステップSP14に移る。因みに制御部41は、ここでメンバー追加ボタンB1又はメンバー削除ボタンB2が押下操作された場合、グループ割当リストL1に対する行の追加又は削除を行う。
【0045】
ステップSP14において制御部41は、引き続き操作部45を介して、開始ボタンB3に対する押下操作を受け付け、次のステップSP15に移る。ステップSP15において制御部41は、グループ印刷に関する情報、具体的には各生徒IDと各グループとの対応関係を表す情報や、管理期間を表す情報等をグループ印刷情報として、プリンタ5へ送信する。その後、制御部41は次のステップSP16に移って管理装置側グループ設定処理手順RT1を終了する。
【0046】
一方、プリンタ5の制御部51は、管理装置3からグループ印刷情報を受信すると、次のステップSP22に移り、受信したグループ印刷情報を記憶部52のグループ記憶部71(
図1)に記憶させ、次のステップSP23に移る。ステップSP23において制御部51は、グループ情報に含まれている管理期間及び現在時刻を基に、グループ印刷モードを終了すべき時刻である終了時刻を設定し、次のステップSP24に移る。
【0047】
ステップSP24において制御部51は、記憶部52の状況記憶部73(
図1)内に、グループ印刷モードにおける種々の状況を管理するための複数のテーブルを生成する。具体的に制御部51は、
図4(A)及び(B)に示す印刷データ受信管理テーブルT1及びグループ管理テーブルT2といった複数の管理テーブルを生成すると共に初期化し、次のステップSP25に移る。
【0048】
このうち印刷データ受信管理テーブルT1は、生徒ID欄、グループID欄及びジョブ受信欄が設けられている。生徒ID欄には、受信したグループ印刷情報に含まれている各生徒IDがそれぞれ格納される。グループID欄には、各生徒IDと対応付けられたグループを一意に表すグループID(以下これをグループ識別情報とも呼ぶ)がそれぞれ格納される。因みに第1の実施の形態では、グループIDとしてグループ名と同一の英文字が割り当てられている。ジョブ受信欄は、各生徒IDと関連付けられた印刷データ(すなわちジョブ)が未受信であることを表す論理値「0」又は受信済であることを表す論理値「1」が格納される。各ジョブ受信欄には、初期値として、未受信であることを表す論理値「0」がそれぞれ格納される。
【0049】
またグループ管理テーブルT2には、グループID欄及びジョブ出力欄がそれぞれ設けられている。グループID欄には、グループ印刷情報に含まれる各グループのグループIDがそれぞれ格納される。ジョブ出力欄には、印刷データ(すなわちジョブ)の出力(すなわち印刷)が未完了であることを表す論理値「0」又は完了したことを表す論理値「1」が格納される。各ジョブ出力欄には、初期値として、出力が未完了であることを表す論理値「0」がそれぞれ格納される。
【0050】
ステップSP25において制御部51は、プリンタ5の動作モードを通常印刷モードからグループ印刷モードに切り替えることにより、各生徒が使用する端末装置2から印刷データの待ち受けを開始する。その後、制御部51は次のステップSP26に移り、プリンタ側グループ印刷設定処理手順RT2を終了する。
【0051】
ここで画像形成システム1では、例えば管理装置3を操作する教師からの指示に基づき、各端末装置2を使用する各生徒が、所定のアプリケーション等を実行することにより、文書や画像等をプリンタ5により印刷させるための操作をそれぞれ行う。
【0052】
このとき端末装置2の制御部11(
図1)は、生徒の操作に基づき、印刷データ生成部21により、文書や画像等を印刷するための印刷データを生成する。また制御部11は、情報付与部22により、当該印刷データに当該生徒の生徒IDを関連付けた上で、通信部13によりプリンタ5へ送信する。
【0053】
続いてプリンタ5の制御部51は、
図5に示すグループ印刷実行処理手順RT3を開始し、最初のステップSP31に移る。ステップSP31において制御部51は、何れかの端末装置2から印刷データを受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部51は次のステップSP32に移り、現在時刻が終了時刻であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは未だ終了時刻になっていないことを表している。このとき制御部51は、再度ステップSP31に戻ることにより、新たな印刷データの受信を待ち受ける。
【0054】
一方、ステップSP31において肯定結果が得られると、このことは受信した印刷データに関する種々の処理を行う必要があることを表している。このとき制御部51は、次のステップSP33に移る。
【0055】
ステップSP33において制御部51は、ジョブ管理部62(
図1)により、受信した印刷データ(すなわち印刷ジョブ)をジョブ蓄積部72に蓄積させる。また制御部51は、印刷データ受信管理テーブルT1(
図4(A))において、当該印刷データに関連付けられている生徒IDのジョブ受信欄を値「1」として、次のステップSP34に移る。
【0056】
因みにプリンタ5は、グループに所属していない生徒からも印刷データ(以下これを非グループ印刷データと呼ぶ)を受信する可能性がある。制御部51は、この非グループ印刷データを受信した場合、これをジョブ蓄積部72に蓄積させるものの、印刷データ受信管理テーブルT1については更新しない。
【0057】
ステップSP34において制御部51は、印刷データ受信管理テーブルT1及びグループ管理テーブルT2を参照し、出力が未完了である何れかのグループにおいて、全てのメンバーから印刷データの受信及び蓄積を完了したか否かを判定する。具体的に制御部51は、グループ管理テーブルT2においてジョブ出力欄の値が「0」である各グループについて、印刷データ受信管理テーブルT1において全てのメンバーにおけるジョブ受信欄の値が「1」となったグループがあるか否かを判定する。
【0058】
ここで否定結果が得られると、このことは、今回の印刷データの受信に伴い、何れのグループにおいても全メンバーの印刷データが揃っていないため、再び印刷データを待ち受ける必要があることを表している。このとき制御部51は、再度ステップSP31に戻り、一連の処理を繰り返す。
【0059】
一方、ステップSP34において肯定結果が得られると、このことは、今回の印刷データの受信に伴い、何れかのグループにおいて、全メンバーの印刷データが揃い、蓄積が完了したため、当該グループ(以下これを蓄積完了グループと呼ぶ)の印刷データに基づいた印刷処理を実行すべきであることを表している。このとき制御部51は、次のステップSP35に移る。
【0060】
ステップSP35において制御部51は、蓄積完了グループに所属する各生徒の各印刷データに基づいた印刷処理を、各印刷データを受信した順序に従って、画像形成部56において順次実行させる。また制御部51は、グループ管理テーブルT2(
図4(B))において、蓄積完了グループのジョブ出力欄を、印刷データの出力(印刷)が完了したことを表す値である「1」に変更し、次のステップSP36に移る。このとき画像形成部56は、各印刷データに基づいた画像が印刷された用紙(すなわち出力物又は印刷物)を順次生成し、排出トレイに全て集積させる。
【0061】
このときプリンタ5の排出トレイに集積された印刷物は、例えば蓄積完了グループに所属する何れかの生徒が当該プリンタ5の近傍に赴くことによりまとめて受け取られ、当該生徒により当該蓄積完了グループに属する各生徒に配布される。
【0062】
ステップSP36において制御部51は、全てのグループにおいて印刷データの出力が完了したか否か、具体的にはグループ管理テーブルT2(
図4(B))における全てのグループについて、ジョブ出力欄の値が「1」であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは未だジョブの出力、すなわち印刷データに基づいた印刷処理を行っていないグループが残っているため、再び印刷データを待ち受ける必要があることを表している。このとき制御部51は、再度ステップSP31に戻って一連の処理を繰り返す。
【0063】
一方、ステップSP36において肯定結果が得られると、このことは全てのグループにおいてジョブの出力(印刷データに基づいた印刷処理)が完了したため、グループ印刷モードを終了すべきであることを表している。このとき制御部51は、次のステップSP37に移る。
【0064】
また、ステップSP32において肯定結果が得られると、このことは、少なくとも1つのグループにおいて印刷データが揃っていないものの、終了時刻となったため、グループ印刷モードを終了すべきであることを表している。このとき制御部51は、次のステップSP37に移る。
【0065】
ステップSP37において制御部51は、ジョブ管理部62により、ジョブ蓄積部72に蓄積されており未だに出力(印刷)されていない印刷データについて、画像形成部56により順次印刷(すなわち出力)させ、次のステップSP38に移る。このときジョブ蓄積部72には、各グループのメンバーである生徒の生徒IDが関連付けられた印刷データの他に、何れのグループにも属さない生徒の生徒IDが関連付けられた印刷データや、生徒IDが関連付けられていない印刷データも蓄積されている可能性がある。このため制御部51は、蓄積されている全ての印刷データについて、関連付けられている生徒IDに関わらず、その全てを出力させることになる。
【0066】
ステップSP38において制御部51は、装置設定管理部61により、印刷モードをグループ印刷モードから通常印刷モードに切り替えさせ、次のステップSP39に移ってグループ印刷実行処理手順RT3を終了する。すなわちグループ印刷実行処理手順RT3では、グループ印刷モードを終了して通常印刷モードに切り替えるための条件(以下これをグループ印刷終了条件とも呼ぶ)が、全てのグループにおいて印刷データの出力が完了したこと、又は管理期間が経過して終了時刻となること、に設定されている。
【0067】
[1-4.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による画像形成システム1では、教師により管理装置3を介してプリンタ5に対しグループ印刷の設定処理が行われると、該プリンタ5がグループ印刷モードに切り替わる。このときプリンタ5は、グループ印刷として、各生徒の端末装置2から生徒IDが関連付けられた印刷データを受信して逐次蓄積し、全メンバーの印刷データが揃ったグループから、グループ単位で当該印刷データの印刷処理を行う。
【0068】
このため画像形成システム1では、グループごとに異なるタイミングで、各グループに所属する生徒の数ごとに、すなわち全ての生徒の数よりも十分に少ない数ごとに、プリンタ5において各印刷データに基づいた印刷物を出力できる。これにより画像形成システム1では、全生徒を同時にプリンタ5の周辺に集めさせることや、全生徒の印刷データが揃うまで待たせることを回避しながら、各生徒に対し、それぞれの印刷データに基づく印刷物(出力物)をすみやかに且つ円滑に入手させることができる。
【0069】
特に画像形成システム1では、プリンタ5により印刷データに基づいた印刷処理を行うタイミングを、グループごとに相違させることができる。これにより画像形成システム1では、全生徒がプリンタ5の周囲に集まる場合と比較して、当該プリンタ5の周囲に同時に集まる生徒の数を抑えることができ、混雑の度合いを軽減して印刷物を円滑に受け取らせることができる。さらに画像形成システム1では、例えばグループに所属する何れか1名のみが、プリンタ5の近傍に赴いてグループの全メンバーの印刷物を回収し、各メンバーにそれぞれの印刷物を配布することも可能である。これにより、プリンタ5の周囲に集まる生徒の数を格段に削減でき、より円滑に印刷物を各生徒に受け取らせることができる。
【0070】
また画像形成システム1では、グループごとの印刷順序を事前に決定しておくのでは無く、所属する全メンバー(すなわち生徒)の印刷データが揃ったグループから、順次印刷処理を行うようにした。このため画像形成システム1では、他のグループの印刷データが揃うまで待機する、といった無駄な時間が発生することを未然に回避できる。
【0071】
さらに画像形成システム1では、グループ印刷を開始する際に、各グループに対する各生徒(すなわちメンバー)の割当を、管理装置3を介してプリンタ5に設定するようにした(
図2等)。このため画像形成システム1では、グループ印刷を行う度に、その時点の状況に応じて、グループの数や各グループに属するメンバー(すなわち生徒)の構成や人数等を、それぞれ適切に設定させることができる。
【0072】
さらに画像形成システム1では、グループ印刷の開始時に、管理期間を設定させるようにした(
図2、ステップSP13等)。このため画像形成システム1では、仮に印刷データの準備に時間を要するメンバー(生徒)がいたとしても、当該管理期間が経過した時点で、当該メンバーが所属するグループの印刷データを印刷することができる。また画像形成システム1では、例えば管理装置3を操作する教師がグループの設定を誤り、当日不在の生徒をグループのメンバーに加えていたとしても、この管理期間が経過した時点で、やはり当該グループに所属する他のメンバーの印刷データを印刷することができる。
【0073】
また画像形成システム1では、グループ印刷モードにおいて、グループのメンバー以外から送信された印刷データ、すなわち生徒IDが関連付けられていない印刷データ等がプリンタ5に送信された場合、当該印刷データを蓄積しておき、グループ印刷モードの終了時に当該印刷データを印刷するようにした。このため画像形成システム1では、グループのメンバーによる印刷データが印刷されるタイミングと、他のユーザ等による印刷データが印刷されるタイミングとを分けることができ、互いの印刷物が混在することを容易に回避できる。
【0074】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による画像形成システム1では、グループ印刷モードにおいて、各生徒の端末装置2から生徒IDが関連付けられた印刷データを受信して逐次蓄積し、全メンバーの印刷データが揃ったグループから、グループ単位で当該印刷データの印刷処理を行う。これにより画像形成システム1では、グループごとに異なるタイミングで、各グループに所属する生徒の数ごとに印刷処理を行うことができ、その結果として、各生徒に対しそれぞれの印刷データに基づく印刷物を速やかに且つ円滑に入手させることができる。
【0075】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.画像形成システムの構成]
図1と対応する
図6に示すように、第2の実施の形態による画像形成システム201は、第1の実施の形態による画像形成システム1と比較して、端末装置2及びプリンタ5に代わる端末装置202及びプリンタ205を有している点、並びに管理装置3が省略されている点において相違している。
【0076】
端末装置202は、第1の実施の形態による端末装置2(
図1)と比較して、制御部11及び記憶部12に代わる制御部211及び記憶部212を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。制御部211は、第1の実施の形態と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有しており、ROMや記憶部212等から読み出したプログラムをCPUによって実行することにより、種々の処理を行うことができる。
【0077】
また制御部211は、所定のプログラムを実行することにより、その内部に複数の機能ブロックを形成する。具体的に制御部211は、機能ブロックとして、第1の実施の形態と同様の印刷データ生成部21を有すると共に、情報付与部22と一部機能が異なる情報付与部222を有しており、さらにグループ設定処理部223を有している。情報付与部222は、印刷データに対し、生徒IDに加えて、グループを一意に表すグループID(グループ識別情報とも呼ぶ)等の複数の情報を付与する。グループ設定処理部223は、プリンタ205と連携しながら、グループ印刷の設定に関する処理を行う。
【0078】
記憶部212は、第1の実施の形態と同様、例えばSSDやHDDのような不揮発性の記憶媒体であり、各種プログラムや各種情報等を記憶する。この記憶部212には、第1の実施の形態と同様の送信者情報記憶部31に加えて、メンバー情報記憶部232が設けられている。メンバー情報記憶部232では、グループを構成する各メンバー(すなわち各生徒)に関する情報として、各生徒の名前の一部をアカウント名とするメールアドレスと生徒IDとが対応付けられている。
【0079】
プリンタ205は、第1の実施の形態によるプリンタ5(
図1)と比較して、制御部51に代わる制御部251を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。制御部251は、第1の実施の形態による制御部51と同様、図示しないCPU、RAM及びROM、並びに計時回路等を有している。この制御部251は、やはり制御部51等と同様、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMや記憶部252等から読み出した各種プログラムをCPUによって実行することにより、様々な処理を行う。
【0080】
さらに制御部251は、所定のプログラムを実行することにより、機能ブロックとして、第1の実施の形態と同様の装置設定管理部61、ジョブ管理部62及び期間管理部63に加えて、グループ通知処理部264を内部に形成する。グループ識別情報通知部としてのグループ通知処理部264は、グループが設定された際に、当該グループのグループIDを当該グループの各メンバーに対して通知する。またプリンタ205は、第1の実施の形態と同様に、通常印刷モード及びグループ印刷モードといった複数の印刷モードが用意され、その何れかに切り替え得るようになっている。
【0081】
因みに画像形成システム201は、第1の実施の形態と同様の管理装置3(
図1)がネットワーク8に接続されていても良い。しかし、この第2の実施の形態では、後述するグループ印刷処理について管理装置3は特に関与しないようになっている。
【0082】
[2-2.グループ印刷設定処理]
次に、画像形成システム201においてプリンタ205の印刷モードを通常印刷モードからグループ印刷モードに切り替える際に行われるグループ印刷設定処理について、
図2と対応する
図7のシーケンスチャートを参照しながら説明する。
【0083】
第2の実施の形態では、管理装置3(
図1)を操作する教師ではなく、一部の端末装置202を操作する生徒が代表者となり、自らが所属するグループのメンバー等を設定するようになっている。以下では、この生徒を代表生徒と呼び、当該代表生徒が使用する端末装置202を代表端末装置202Sと呼ぶ。
【0084】
まず代表端末装置202Sの制御部211(
図6)は、電源が投入されて所定のオペレーティングシステムが起動した状態で、代表生徒から所定の操作指示を受け付けると、代表端末装置側グループ設定処理手順RT21を開始し、最初のステップSP211に移る。ステップSP211において制御部211は、代表生徒による操作部15を介した操作により、所定のグループ印刷設定アプリケーションを開始する指示を受け付け、次のステップSP212に移る。
【0085】
ステップSP212において制御部211は、表示部14(
図6)に対し、
図8に示すグループ印刷設定画面D2を表示させ、次のステップSP213に移る。このグループ印刷設定画面D2は、第1の実施の形態におけるグループ印刷設定画面D1(
図3)と対応するものである。
【0086】
具体的にグループ印刷設定画面D2には、生徒リストL2、代表者表示欄R2、メンバー入力欄N2、管理期間設定欄P2、並びに開始ボタンB21及びキャンセルボタンB22が適宜配置されると共に、その一部の近傍に簡単な説明が表示されている。
【0087】
生徒リストL2は、メンバー情報記憶部232(
図6)に格納されている各メンバー(すなわち各生徒)に関する情報を基に生成されており、各生徒の生徒ID及びメールアドレスが一覧形式で表示される。代表者表示欄R2には、今回設定するグループの代表者の生徒ID、すなわち当該代表端末装置202Sを操作する代表生徒の生徒IDが、送信者情報記憶部31(
図6)から読み出されて表示される。
【0088】
メンバー入力欄N2には、グループのメンバーとなる各生徒の生徒IDがそれぞれ入力される。例えば代表生徒は、生徒リストL2に表示されたメールアドレスのアカウント部分を参照しながら、グループのメンバーとすべき生徒を選定し、当該生徒の生徒IDを認識して入力する。管理期間設定欄P2は、第1の実施の形態における管理期間設定欄P1(
図3)と同様、管理期間として1分乃至60分の時間を分単位で入力することが可能であり、初期値として20分が予め設定されている。
【0089】
開始ボタンB21は、押下操作されることにより、代表者表示欄R2、メンバー入力欄N2及び管理期間設定欄P2に表示されている内容で、グループ印刷モードを開始することを指示する。キャンセルボタンB22は、押下操作されることにより、グループ印刷を開始せずにグループ印刷設定アプリケーションを終了することを指示する。
【0090】
ステップSP213において制御部211は、操作部15(
図6)を介して、メンバー入力欄N2及び管理期間設定欄P2に対する入力操作を受け付け、次のステップSP214に移る。ステップSP214において制御部211は、引き続き操作部15を介して、開始ボタンB21に対する押下操作を受け付け、次のステップSP215に移る。
【0091】
ステップSP215において制御部211は、グループ設定処理部223により、新たに設定するグループのグループIDを生成し、次のステップSP216に移る。具体的にグループ設定処理部223は、当該代表端末装置202Sを操作している代表生徒の生徒IDと、その時点の年月日及び時分を表す数字とを組み合わせることにより、一意のグループIDを生成する。例えばグループ設定処理部223は、代表生徒の生徒IDが「1」であり、開始ボタンB21(
図8)が2022年3月17日の10時34分に操作された場合、グループIDを「01-202203171034」とする。
【0092】
ステップSP216において制御部211は、グループ印刷を開始する指示と、グループ印刷情報とをプリンタ205へ送信する。このうちグループ印刷情報は、今回設定するグループ印刷に関する情報をまとめたものであり、グループID、代表生徒の生徒ID、メンバーとなる各生徒の生徒ID等を表す情報、並びに管理期間を表す情報等が含まれる。その後、制御部211は、次のステップSP217に移り、代表端末装置側グループ設定処理手順RT21を終了する。
【0093】
一方、プリンタ205の制御部251(
図1)は、予め電源が投入されており、所定の初期化処理を実行した上でプリンタ側グループ印刷設定処理手順RT22を開始している。制御部251は、代表端末装置202Sからグループ印刷情報を受信すると、最初のステップSP221に移り、受信したグループ印刷情報を記憶部52のグループ記憶部71(
図6)に記憶させ、次のステップSP222に移る。ステップSP222において制御部251は、グループ情報に含まれている管理期間及び現在時刻を基に、グループ印刷モードを終了すべき時刻である終了時刻を設定し、次のステップSP223に移る。
【0094】
ステップSP223において制御部251は、記憶部52の状況記憶部73(
図6)内に、印刷データ受信管理テーブルT1及びグループ管理テーブルT2(
図4)を生成すると共に初期化し、次のステップSP224に移る。
【0095】
このとき制御部251は、この時点で1つのグループ情報のみを受信していれば、当該1つのグループに対応する印刷データ受信管理テーブルT1及びグループ管理テーブルT2を生成及び初期化する。また制御部251は、他のグループ情報も受信していた場合、受信した全てのグループ情報の内容を統合し、1つの印刷データ受信管理テーブルT1及び1つのグループ管理テーブルT2をそれぞれ生成及び初期化する。さらに制御部251は、既に他のグループ印刷を開始していた場合、既存の印刷データ受信管理テーブルT1及びグループ管理テーブルT2に対し、新たに開始するグループ印刷に関する項目を追加し、追加した部分のみ初期化する。
【0096】
ステップSP224において制御部251は、グループ通知処理部264(
図6)により、グループ情報に含まれていた各メンバーのメールアドレスに対し、
図9に示すような通知メールを送信して、次のステップSP225に移る。この通知メールには、代表生徒のアカウント名及び生徒IDや、当該通知メールの受信者がグループのメンバーに設定されておりグループ印刷を開始する旨の説明等が記載されている。またこの通知メールには、グループIDが記載されると共に、印刷指定時に当該グループIDを入力する必要がある旨の説明も記載されている。
【0097】
これに応じて、当該通知メールが送信された生徒の端末装置202では、操作部15を介した生徒の操作に基づき、所定のメールアプリケーションが実行されることにより、通知メールの内容を表示部14に表示する。これにより当該生徒は、グループ印刷が開始されたことや時間の制限があること、及びグループIDの入力が必要であることやそのグループIDの文字列等を把握できる。
【0098】
ステップSP225において制御部251は、プリンタ205の動作モードを通常印刷モードからグループ印刷モードに切り替えることにより、各生徒が使用する端末装置202及び代表生徒が使用する代表端末装置202Sから印刷データの待ち受けを開始する。その後、制御部251は次のステップSP226に移り、プリンタ側グループ印刷設定処理手順RT22を終了する。
【0099】
次に、各生徒(代表生徒を含む。以下同じ。)が操作する各端末装置202(代表端末装置202Sを含む。以下同じ)により印刷データをプリンタ205へ送信する印刷データ送信処理について説明する。ここでは、第1の実施の形態と同様に、例えば教師からの指示に基づき、各端末装置202を使用する各生徒が所定のアプリケーション等を実行することにより、文書や画像等をプリンタ205により印刷させる場合を想定する。
【0100】
端末装置202の制御部211は、操作部15を介した生徒の操作により、文書や画像等を取り扱う所定のアプリケーションを実行している状態において、当該文書や画像等を印刷する操作指示を受け付けると、
図10に示す印刷データ送信処理手順RT23を開始し、最初のステップSP231に移る。
【0101】
ステップSP231において制御部211は、
図11(A)に示す印刷オプション設定画面D3を表示部14に表示させ、次のステップSP232に移る。この印刷オプション設定画面D3には、印刷品位設定欄C31、印刷形式設定欄C32及び印刷の向き設定欄C33等が設けられており、それぞれ選択可能な項目や設定値の入力欄等が適宜表示されている。このうち印刷形式設定欄C32には、選択可能な項目として、「グループ印刷」の項目が設けられている。また印刷オプション設定画面D3の下端近傍には、設定された内容で印刷処理の実行を指示するOKボタンB31、印刷処理を中止するキャンセルボタンB32、及び説明の表示を指示するヘルプボタンB33が設けられている。
【0102】
ステップSP232において制御部211は、操作部15を介した生徒の操作により、印刷オプション設定画面D3(
図11(A))における各項目の設定操作、すなわち各選択項目を選択する操作や各設定値を入力する操作等を受け付け、次のステップSP233に移る。このとき生徒は、通知メール(
図9)の内容に従い、印刷形式設定欄C32において「グループ印刷」の項目を選択する。ステップSP233において制御部211は、印刷処理の実行を指示する操作として、OKボタンB31の押下操作を受け付けると、次のステップSP234に移る。
【0103】
ステップSP234において制御部211は、表示部14にグループ指定画面D4を表示し、次のステップSP235に移る。このグループ指定画面D4には、グループIDを入力させるためのグループID入力欄G4、印刷処理の実行を指示するためのOKボタンB41、及び印刷オプション設定画面D3に戻るためのキャンセルボタンB42が設けられている。
【0104】
ステップSP235において制御部211は、操作部15を介した生徒の操作により、グループID入力欄D41にグループIDが入力されると共にOKボタンB41が押下操作されると、次のステップSP236に移る。このとき生徒は、例えば端末装置202のオペレーションシステムに備わっているコピー機能及びペースト(貼付)機能を利用する等して、通知メールに記載されていたグループIDをコピーし、次にグループID入力欄D41において貼り付けることにより、当該グループIDを正確に入力することができる。
【0105】
ステップSP236において制御部211は、印刷データ生成部21(
図6)により、文書や画像等を印刷するための印刷データを生成する。また制御部211は、情報付与部222により、当該印刷データに当該生徒の生徒IDと入力されたグループIDとを関連付けた上で、通信部13によりプリンタ205へ送信する。その後、制御部211は、次のステップSP237に移って印刷データ送信処理手順RT23を終了する。
【0106】
その後、プリンタ205の制御部251は、第1の実施の形態と同様に、グループ印刷実行処理手順RT3(
図5)を実行する。ただし制御部251は、ステップSP33において印刷データをジョブ蓄積部72に蓄積させる際、当該印刷データにグループIDが関連付けられていれば、印刷データ受信管理テーブルT1(
図4(A))において、当該印刷データに付与されている生徒IDのジョブ受信欄を値「1」とする。その一方で制御部251は、当該印刷データにグループIDが関連付けられていなければ、生徒IDに関わらず、当該印刷データをグループ印刷の対象外と見なし、印刷データ受信管理テーブルT1(
図4(A))を更新しない。
【0107】
このようにしてプリンタ205は、各端末装置202から送信される印刷データを順次蓄積し、全メンバーのグループIDが付与された印刷データが揃ったグループがあれば、当該グループの全メンバーの当該印刷データに基づいた印刷処理を実行する。
【0108】
[2-3.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による画像形成システム201では、代表生徒により代表端末装置202Sを介してプリンタ205に対しグループ印刷の設定処理が行われると、該プリンタ205がグループ印刷モードに切り替わる。このときプリンタ205は、第1の実施の形態と同様に、グループ印刷として、各生徒の端末装置202から生徒IDが関連付けられ印刷データを受信して逐次蓄積し、全メンバーの印刷データが揃ったグループから、グループ単位で当該印刷データの印刷処理を行う。
【0109】
このため画像形成システム201では、第1の実施の形態と同様に、グループごとに異なるタイミングで、各グループに属する生徒の数ごとに、すなわち全ての生徒の数よりも十分に少ない数ごとに、プリンタ205において各印刷データに基づいた印刷物を出力できる。これにより画像形成システム201では、やはり第1の実施の形態と同様に、全生徒を同時にプリンタ205の周辺に集めさせることや、全生徒の印刷データが揃うまで待たせることを回避しながら、各生徒に対し、それぞれの印刷データに基づく印刷物(出力物)をすみやかに且つ円滑に入手させることができる。
【0110】
特に画像形成システム201では、第1の実施の形態と異なり、代表生徒の操作に基づき代表端末装置202Sによりグループ印刷に関する設定処理を行うようにした。このため画像形成システム201では、例えば授業中の教師にグループ印刷の設定をさせる必要が無く、第1の実施の形態よりも当該教師の負担を軽減させることができる。また画像形成システム201では、例えば生徒自らの判断に基づき、自発的にグループ印刷を行わせることもできる。
【0111】
また画像形成システム201では、各生徒の操作に基づき各端末装置202から印刷データを送信する際、各生徒に対し、印刷オプション設定画面D3(
図11(A))において、グループ印刷を行うか否かを設定させるようにした。このため画像形成システム201では、グループのメンバーに設定された生徒であっても、プリンタ205がグループ印刷モードから通常印刷モードに切り替わってから印刷処理を実行させたい印刷データについては、当該生徒の操作により、グループ印刷を選択しないこともできる。
【0112】
さらに画像形成システム201では、代表生徒の操作により新たなグループが設定される場合、当該代表生徒の生徒IDと年月日及び時分を組み合わせた一意のグループIDを生成するようにした。また端末装置202を操作する生徒がグループ印刷を行いたい場合、当該生徒に対し、グループ指定画面D4(
図11(B))において、グループID入力欄D41にグループIDを入力させるようにした。
【0113】
このため画像形成システム201では、例えばある生徒が複数のグループのメンバーにそれぞれ割り当てられていた場合であっても、当該生徒に対し印刷時にグループIDを入力させることにより、印刷を行うべきグループを明示させることができる。
【0114】
その他の点においても、第2の実施の形態による画像形成システム201では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0115】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による画像形成システム201では、グループ印刷モードにおいて、各生徒の端末装置202から生徒ID及びグループIDが関連付けられた印刷データを受信して逐次蓄積し、全メンバーの印刷データが揃ったグループから、グループ単位で当該印刷データの印刷処理を行う。これにより画像形成システム201では、グループごとに異なるタイミングで、各グループに所属する生徒の数ごとに印刷処理を行うことができ、その結果として、各生徒に対しそれぞれの印刷データに基づく印刷物をすみやかに且つ円滑に入手させることができる。
【0116】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、プリンタ5の制御部51により、当該プリンタ5の動作モードを通常印刷モード又はグループ印刷モードに切り替える場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該プリンタ5を常時グループ印刷モードで動作するようにしても良い。この場合、グループのメンバー以外の生徒から送信される非グループ印刷データについては、逐次印刷処理を実行することが可能である。第2の実施の形態についても同様である。
【0117】
また上述した第1の実施の形態においては、プリンタ5がグループ印刷に関する種々の処理、すなわちプリンタ側グループ印刷設定処理手順RT2(
図2)やグループ印刷実行処理手順RT3(
図5)を実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば図示しない蓄積サーバをネットワーク8に接続しておき、プリンタ5が有するグループ印刷に関する機能の一部を当該蓄積サーバに持たせ、プリンタ側グループ印刷設定処理手順RT2やグループ印刷実行処理手順RT3における一部の処理を当該蓄積サーバにより実行しても良い。この場合、例えば端末装置2において印刷データを生成した際、当該印刷データを当該蓄積サーバへ送信して蓄積させ、その後、何れかのグループにおいて所属する全てのメンバー(生徒)からの印刷データを蓄積サーバが受信した段階で、これらの印刷データをプリンタ5へ送信して印刷させることができる。これにより、プリンタ5の処理負担を軽減でき、制御部51の処理能力や記憶部52の記憶容量等に関して、構成を簡略化することができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0118】
さらに上述した第1の実施の形態においては、端末装置2において印刷データを生成した際、当該印刷データに生徒IDを付与してプリンタ5へ送信し、該プリンタ5のジョブ蓄積部72(
図1)に蓄積しておく場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば端末装置2において印刷データを生成した際、当該印刷データの準備が完了したことを表す準備完了情報に生徒IDを付与してプリンタ5へ送信し、印刷データそのものは当該端末装置202に蓄積させておいても良い。その後、何れかのグループに所属する全てのメンバー(生徒)から準備完了情報を受信した段階で、当該全てのメンバーが使用するそれぞれの端末装置2からプリンタ5へ印刷データを送信すれば良い。これらの場合、プリンタ5における記憶部52のジョブ蓄積部72を比較的小さい容量に抑え、構成を簡略化することができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0119】
さらに上述した第2の実施の形態においては、端末装置202において印刷データを生成した際、当該印刷データをプリンタ205へ送信し、該プリンタ205のジョブ蓄積部72(
図6)に蓄積しておく場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば端末装置202において印刷データを生成した際、当該端末装置202を操作する生徒が所属するグループの代表生徒が使用する代表端末装置202Sへ印刷データを送信して蓄積させても良い。この場合、当該グループの全メンバーの印刷データが揃った段階で、代表端末装置202Sからプリンタ205へ全メンバー分の印刷データを送信して印刷させれば良い。この場合も、プリンタ205における記憶部52のジョブ蓄積部72(
図6)を比較的小さい容量に抑えることができる。
【0120】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷モードにおいて、グループに所属する全メンバーの印刷データをプリンタ5が受信するまで当該グループの印刷処理を行わない場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば管理装置3や当該グループに所属するメンバー(すなわち生徒)が使用する端末装置2から所定の強制印刷指示が送信された場合に、プリンタ5において当該グループの印刷処理を行うようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0121】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷モードにおいて、プリンタ5が各生徒の端末装置2から印刷データをそれぞれ1回ずつ受信する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばグループ印刷モードにおいて1台の端末装置2から印刷データを2回以上受信しても良い。この場合、プリンタ5は、受信した全ての印刷データを印刷しても良く、或いは最後に受信した印刷データのみを印刷しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0122】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷モードにおいて、全てのグループにおいて印刷処理を完了した時点、又は管理期間が経過した時点で、当該グループ印刷モードを終了する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばグループ印刷モードにおいて、一部のグループにおいて全メンバーの印刷データが揃わないために印刷処理が行われていない状況において、同一のグループ設定による新たなグループ印刷を開始できるようにしても良い。この場合、以前のグループ印刷において印刷処理が未完了のグループについては、蓄積されている印刷データを新たなグループ印刷に引き継ぐことにより、再度の印刷データの送信を省略させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0123】
さらに上述した第2の実施の形態においては、代表端末装置202Sにおいて代表生徒の生徒IDとその時点の年月日及び時分を表す数字とを基にグループIDを生成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば代表生徒の生徒IDと代表端末装置202Sにおいてグループ印刷を設定した回数を表す数値とを組み合わせる等、任意の数字、文字や記号、或いはこれらの組み合わせをグループIDとしても良い。この場合、他のグループIDと重複しないものであれば良い。また、グループIDについては、代表端末装置202Sにより生成する以外にも、例えばプリンタ205により生成しても良い。
【0124】
さらに上述した第2の実施の形態においては、代表端末装置202Sの記憶部212に設けたメンバー情報記憶部232(
図6)に各生徒の生徒ID及びメールアドレスを対応付けて記憶させておく場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばメンバー情報記憶部232に各生徒の生徒IDのみを記憶させておくと共にプリンタ205の記憶部52に各生徒の生徒ID及びメールアドレスを記憶させておき、代表端末装置202Sからプリンタ205へ送信するグループ印刷情報にメールアドレスを含めないようにしても良い。或いは、例えばメンバー情報記憶部232をプリンタ205に設けておき、代表端末装置202Sがネットワーク8を介して該プリンタ205から各生徒の生徒IDのみを、又は生徒ID及びメールアドレスを取得しても良い。
【0125】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷を開始する際に各端末装置2に対して何ら通知を行わない場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばグループ印刷を開始する際に、管理装置3又はプリンタ5から各端末装置2に対して、グループ印刷を開始することやグループのメンバー構成、或いは管理期間等、グループ印刷に関する種々の情報を表すメッセージを通知しても良い。またこの場合、例えば予め定めた代表者や、最後に印刷データを送信した生徒に対し、代表してプリンタ5の印刷物を回収するように促しても良い。この場合、メッセージを通知する手段としては、第2の実施の形態と同様の電子メールや、周知のチャットシステム等を利用しても良い。
【0126】
さらに上述した第1の実施の形態においては、プリンタ5において何れかのグループに属する全てのメンバーからの印刷データを受信した場合、単にこれらの印刷処理を実行する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば印刷処理を開始する時点や終了した時点で、当該グループのメンバーが使用する端末装置2に対し、印刷処理を開始する旨や印刷処理を終了した旨を表すメッセージを通知しても良い。またこの場合、例えば予め定めた代表者や、最後に印刷データを送信した生徒に対し、代表してプリンタ5の印刷物を回収するように促しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0127】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷モードにおいて、何れのグループにも属さない生徒からの非グループ印刷データを受信した場合、これを蓄積しておき、通常印刷モードに切り替わってから当該非グループ印刷データを印刷する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばグループ印刷モードにおいて、非グループ印刷データを受信した際に、直ちに印刷処理を行うようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0128】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷モードにおいて何れかのグループに属する全てのメンバーからの印刷データを受信した時点で、これらの印刷データを受信した順序に従って順次印刷する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば生徒IDの順序等、種々の順序に従って印刷処理を行っても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0129】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷を開始する場合、教師により使用される管理装置3において、グループ印刷設定画面D1(
図3)のグループ割当リストL1におけるグループ割当欄C2に各生徒のグループをそれぞれ入力させると共に、管理期間設定欄P1に管理時間を入力させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばグループ印刷の設定を行う際に、各生徒のグループの割当及び管理時間を管理装置3の記憶部42(
図1)等に記憶させておき、次にグループ印刷の設定を行う際に、これらの情報を記憶部42から読み出してグループ印刷設定画面D1の各欄に適用できるようにしても良い。これにより、グループ印刷の設定に要する手間や時間を大幅に削減することができ、また毎回同一のグループ構成とする場合の設定ミスを防ぐこともできる。第2の実施の形態についても同様である。
【0130】
さらに上述した第1の実施の形態においては、グループ印刷設定画面D1(
図3)において、管理装置3を操作する教師の意思に基づき管理期間を設定させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば管理期間を予め固定値としておき、グループ印刷の設定時にこれを変更できないようにしても良い。或いは、管理期間を設けないようにしても良い。この場合、グループ印刷モードを終了して通常印刷モードに切り替えるためのグループ印刷終了条件として、例えば全てのグループにおいて所属する全メンバーの印刷データが揃って印刷処理を完了することとしても良い。或いは、例えば管理装置3から任意のタイミングでグループ印刷モードを終了するための指示を受け付け、これに応じて通常印刷モードに切り替えるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0131】
さらに上述した第1の実施の形態においては、プリンタ5の制御部51(
図1)が所定のプログラムを実行することにより、装置設定管理部61等の各機能ブロックをソフトウェアによって実現する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、装置設定管理部61等の各機能ブロックをハードウェアにより、或いはハードウェア及びソフトウェアの協働により実現しても良い。端末装置2の制御部11についても同様であり、また第2の実施の形態についても同様である。
【0132】
さらに上述した第1の実施の形態においては、プリンタ5の制御部51がROM(図示せず)や記憶部52から各種プログラムを読み出して実行することにより、各種処理を行う場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えばプリンタ5の制御部51がネットワーク8上に設けられた所定のサーバ装置(図示せず)から各種プログラムを取得して実行することにより、各種処理を行っても良い。端末装置2の制御部11についても同様であり、また第2の実施の形態についても同様である。
【0133】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成システム1において印刷処理を行うプリンタ5を、単機能のSFPとして構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば当該プリンタ5を、複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置としても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0134】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0135】
さらに上述した実施の形態においては、記憶部としてのグループ記憶部71と、蓄積部としてのジョブ蓄積部72と、制御部としての制御部51とによって画像形成システムとしての画像形成システム1を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる記憶部と、蓄積部と、制御部とによって画像形成システムを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、例えば学校の教室に設置されたプリンタ及び各生徒が使用する端末装置等により構成される画像形成システムで利用できる。
【符号の説明】
【0137】
1、201……画像形成システム、2、202……端末装置、202S……代表端末装置、3……管理装置、5、205……プリンタ、8……ネットワーク、11、211……制御部、12、212……記憶部、13……通信部、14……表示部、15……操作部、21……印刷データ生成部、22、222……情報付与部、31……送信者情報記憶部、41……制御部、42……記憶部、43……通信部、44……表示部、45……操作部、51、251……制御部、52、252……記憶部、53……通信部、54……表示部、55……操作部、56……画像形成部、61……装置設定管理部、62……ジョブ管理部、63……期間管理部、71……グループ記憶部、72……ジョブ蓄積部、73……状況記憶部、223……グループ設定処理部、232……メンバー情報記憶部、264……グループ通知処理部、T1……印刷データ受信管理テーブル、T2……グループ管理テーブル。