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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031676
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20240229BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B66B1/18 Z
B66B1/18 N
B66B3/00 L
B66B3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135368
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】押金 勇人
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】入江 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡田 肇
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303AA05
3F303CB22
3F303CB24
3F303CB29
3F303CB31
3F303CB33
3F303DB27
3F303DC22
3F502HB01
3F502HB02
3F502JA05
3F502JA10
3F502JA25
3F502JA76
3F502KA02
3F502KA05
3F502KA09
3F502KA10
3F502KA18
3F502KA19
3F502MA44
3F502MA49
(57)【要約】
【課題】特定条件下において、乗り場に停止している号機以外の他の号機に対する乗り場呼び登録許可を実施することで、運搬効率を向上させる。
【解決手段】次号機の乗り場呼び時期の制限を緩和するための情報として、特定号機における混雑度を算出し、必要に応じて、乗り場呼び登録を許可するようにした(乗り場呼び操作可否判定制御)。群管理制御装置20において、成人の平均体重を一人として、荷重-人数変換テーブルを予め用意しておき、荷重検出センサ36で検出した荷重から、人数を算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が開閉可能な戸が設置されたかごを備えた複数のエレベーター昇降機を群として連携して管理する群管理制御装置と、
建物の各階床毎に設けられた前記かごへの乗り場に設置され、前記かごの呼び出しを登録する乗り場釦と、
前記複数の前記エレベーター昇降機の昇降動作及び前記戸の開閉動作を含む動作を個別に制御する複数の号機制御装置と、備えたエレベーター装置であって、
前記複数の前記エレベーター昇降機の各々に設置され、前記かごに乗車している人の混雑度を判断するかご混雑度検出装置と、を有し、
前記群管理制御装置は、
停止階で前記かごの開放中は、当該停止階での前記乗り場釦の登録を不許可とすることを前提とし、
特定の階床の前記乗り場において、何れかの前記エレベーター昇降機のかごの戸が閉止動作の開始状態になった場合、又は、前記乗り場に停止している前記かごの混雑度が、予め定めたしきい値以上であると判断した場合に、前記乗り場釦の登録を許可する、
エレベーター装置。
【請求項2】
前記乗り場の混雑度を検出する乗り場混雑度検出装置をさらに有し、
前記群管理制御装置は、
特定のかごの所定の停止階の乗り場で停止して戸が閉止動作の開始状態になった場合、前記乗り場の混雑度が、予め定めたしきい値以上であると、前記乗り場混雑度検出装置が判断した場合に、前記特定のかご以外の前記エレベーター昇降機のかごを、前記所定の停止階へ追加割り当てする追加割り当て制御を実行し、
追加割り当て制御決定後、混雑が解消されたと前記乗り場混雑度検出装置判断した場合、追加割り当て制御をキャンセルする制御を実行する、請求項1記載のエレベーター装置。
【請求項3】
前記かごに設置され、当該かごに乗り込みを促すための報知部をさらに有し、
前記群管理制御装置は、
前記かごの混雑度が、予め定めたしきい値未満である、かつ、乗り場の混雑度が予め定めたしきい値以上であると判断した場合に、前記報知部により、乗り込みを促す報知制御を実行する、請求項2記載のエレベーター装置。
【請求項4】
前記追加割り当て制御が決定し、1台目の前記かごが該当階に着床後、乗り込み率が所定以下、かつ、前記乗り場の混雑が所定以上ある状態で、所定時間経過した場合、追加割り当てのキャンセルを行う、請求項2記載のエレベーター装置。
【請求項5】
前記乗り場混雑度検出装置が同時に複数階の混雑を検出し、相互に優先順位が設定された所定の階及び前記所定の階とは別の階に対して、各々かごの追加割り当てを実行した場合、
前記群管理制御装置は、
時間帯に基づいて、前記所定の階又は前記別の階へ前記かごを優先して割り当て、前記追加割り当てされたかごの内どちらか1台が、優先して割り当てられている階に着床するよりも早く、優先して割り当てられていない階を通過する場合は、当該優先して割り当てられていない階を、追加割り当て制御の優先対象として再割り当てする、請求項2記載のエレベーター装置。
【請求項6】
複数の前記エレベーター昇降機の内、一部が車いす機能を有したかごと、各階に車いす機能付きのかごを呼ぶための乗り場釦を備え、
前記群管理制御装置は、追加割り当て制御決定後、前記車いす用乗り場釦が押された場合、所定条件を満たした場合、車いす機能付き号機を追加割り当て制御の2台目として割り当てし直す、請求項2記載のエレベーター装置。
【請求項7】
前記群管理制御装置は、追加割り当て制御決定後、追加割り当て制御としての2台目が所定時間経過しても該当階へ到着しない場合、追加割り当て制御としての追加割り当て制御の2台目を他の号機へ再度割り当てる、請求項2記載のエレベーター装置。
【請求項8】
前記群管理制御装置は、乗り場呼びの登録許可が行われた場合、戸開完了から戸閉完了でも乗り場呼びの混雑の有無を検知する、請求項2記載のエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のかごの昇降運行を管理するエレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーター装置の複数のかごを一群として、その昇降のための運行を管理する制御技術が知られている。例えば、特許文献1には、乗り場釦の操作に応じて、かごの混雑度検出装置の運用状態を検出した結果の判定要素に基づいて、戸のリオープン(閉じようとしている状態から再度開こうとする動作)を有効にするか無効にするかを判定する際、号機制御装置経由で得られる、かご内荷重値が所定値以上か否かによる第1の判定要素、及び後発となる号機が所定時間以内に乗り場階における乗り場呼びに該当する階に到着するか否かの第2の判定要素を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-88647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を含む従来のエレベーター管理制御は、特定の号機が乗り場呼び登録階に停止し、かつ、かご混雑度検出装置が所定値以上を検出した場合、戸のリオープン、即ち、乗り場呼び登録を不許可にしている。
【0005】
しかし、これではかごの戸閉が完了するまでエレベーターの利用者は乗り場呼びを登録することができないため、次号機を呼ぶためには停止している号機が出発するまで待たなければならないという課題がある。
【0006】
そこで本発明は、利用者がかごの乗り場呼び登録をする際の利便性と利用者を運搬する際の効率の向上とを両立できるエレベーター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るエレベーター装置は、各々が開閉可能な戸が設置されたかごを備えた複数のエレベーター昇降機を群として連携して管理する群管理制御装置と、建物の各階床毎に設けられた前記かごへの乗り場に設置され、前記かごの呼び出しを登録する乗り場釦と、前記複数の前記エレベーター昇降機の昇降動作及び前記戸の開閉動作を含む動作を個別に制御する複数の号機制御装置と、備えたエレベーター装置において、前記複数の前記エレベーター昇降機の各々に設置され、前記かごに乗車している人の混雑度を判断するかご混雑度検出装置と、を有し、前記群管理制御装置は、停止階で前記かごの開放中は、当該停止階での前記乗り場釦の登録を不許可とすることを前提とし、特定の階床の前記乗り場において、何れかの前記エレベーター昇降機のかごの戸が閉止動作の開始状態になった場合、又は、前記乗り場に停止している前記かごの混雑度が、予め定めたしきい値以上であると判断した場合に、前記乗り場釦の登録を許可することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者がかごの乗り場呼び登録をする際の利便性と利用者を運搬する際の効率の向上とを両立できるエレベーター装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るエレベーター装置のハードウェアブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る、群管理制御装置の機能ブロック図である。
図3】群管理制御装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施の形態に係る、群管理制御装置の機能ブロック図である。
図5】かごの割り当て制御を説明するフローチャートである。
図6】追加割り当て制御の他の実施の形態に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係るエレベーター装置10を示す。以後、図1及び他の図において、数字に付加される“A”は3機あるエレベーターのうち1号機に係る構成を示し、“B”は2号機に係る構成を示し、そして、“C”は3号機に係る構成を示す。
【0011】
エレベーター装置10は、複数のかご12を備えている。エレベーター装置10は、エレベーター制御装置14により、複数のかご12を昇降させる運行を管理している。
【0012】
かご12にはカウントウェイト16がケーブル18を介して取り付けられ、ケーブル18は、巻き上げ機20に巻き付けられている。かご12Aは1号機、かご12Bは2号機、かご12Cは3号機として機能する。
【0013】
3基のかご12は1つの群として、エレベーター制御装置14の群管理制御装置22によって総合的に管理されている。群管理制御装置22には、各号機のかご12の昇降を制御する号機制御装置24が接続されている。
【0014】
号機制御装置24は、巻き上げ機18の駆動を制御すると共に、かご12に設けられた、スピーカ26、並びに、図2に示す、かご内操作パネル28、及び、戸開閉機構部30を制御する。
【0015】
巻き上げ機18は、号機制御装置24からの駆動信号に基づき動作し、かご12を昇降させる。
【0016】
号機制御装置24は、かご12の停止階で、戸の開閉を制御する。かご12の戸の開閉は、各階の夫々の開閉扉32に連動している。
【0017】
群管理制御装置24には、各階に設置されている乗り場釦340、342が接続されている。乗り場釦340、342は、かご12の呼び出しに対応している。
【0018】
なお、乗り場釦340には、通常高さ位置に設置された主操作部と、例えば、車いすからの操作性を考慮した高さ位置の副操作部が併設されている。副操作部は、乗り場釦342に設けられてもよく、乗り場釦340、342の両方に設けられてもよい。
【0019】
かご12の下部に、かご混雑度検出装置としての荷重検出センサ36が取り付けられている。荷重検出センサ36はかご12の床面の荷重を検出し、検出結果を、号機制御装置24を介して、群管理制御装置22に送出する。
【0020】
各階の乗り場には、乗り場カメラ38が設置されている。乗り場カメラ38は、画像解析部40を介して、群管理制御部22に接続されている。
【0021】
画像解析部40は、乗り場カメラ38で撮影した画像に基づいて、リアルタイムに、乗り場にいる人の状況、例えば、人数カウントによる混雑状況を群管理制御装置22に送出する。乗り場に居る利用者は頻繁に増減、移動し、そして、利用者以外の荷物が乗り場に存在する場合もあるため、リアルタイムに利用者の状況、例えば、人数や混雑状況を認識できる画像認識用のカメラ38が最適である。その代替手段として、赤外線カメラや荷重検出センサ等の検出モジュールでもよい。
【0022】
群管理制御装置22は、何れかの号機のかご12が乗り場呼び登録階に停止し、その混雑度が所定以上、例えば、満員に近い状態の場合、乗り場呼び操作がされても閉動作中の戸を開動作ヘの変更すること、即ち、リオープンを許可しない。
【0023】
この場合、戸の閉動作が完了されるまで、利用者が乗り場釦340、342を操作しても、乗り場呼びを新たに登録することができない。
【0024】
言い換えれば、利用者が、停止中の特定号機以外の号機(次号機)を呼ぶには、特定号機が出発するまで待たなければならない。
【0025】
そこで、第1の実施の形態は、次号機の乗り場呼び時期の制限を緩和するための情報として、特定号機における混雑度、例えば、所定以上の乗車人数を算出し、必要に応じて、乗り場呼び操作を許可するようにした(乗り場呼び操作可否判定制御)。
【0026】
第1の実施の形態において、群管理制御装置20は、成人の平均体重を1単位として、荷重-人数変換テーブルを予め用意しておき、荷重検出センサ36で検出した荷重から、人数を算出する。なお、かご混雑度検出装置は、荷重検出センサ36に代えて、かご12内を撮影するカメラであってもよく、この場合は、カメラの撮影情報を解析して乗車人数を算出すればよい。また、カメラは、所謂濃度を電気信号に変換する個体撮像素子(CCD「Charge Coupled Device」センサやCMOS「Complementary Metal Oxide Semiconductor」センサ)に限らず、乗員を識別できれば、赤外線サーモグラフィ等の他のセンサであってもよい。
【0027】
図2は、群管理制御装置20の乗り場呼び操作可否判定制御等の諸機能を機能別に示した機能ブロック図である。なお、各ブロックは群管理制御装置20のハード構成を限定するものではない。
【0028】
号機制御装置24は、当該号機のかご12に設置されたかご内操作パネル28、戸開閉機構30、巻き上げ機20、荷重検出センサ36、及び、スピーカ26に接続されている。
【0029】
かご内操作パネル28は、乗員の操作、例えば、停止階指示、開閉指示に応じて、号機制御装置24に操作信号を送出する。なお、モニタが備わっている場合は、号機制御装置24からモニタに表示する情報を送出する。
【0030】
戸開閉機構部30は、号機制御装置24からの駆動信号に基づいて、かご12が停止階に停止(着床)した場合に、扉32を開閉するための機構である。
【0031】
巻き上げ機20は、号機制御装置24からの駆動信号に基づいて、ケーブル18を巻き取り、又は、巻き出し、かご12を昇降させる。
【0032】
荷重検出センサ36は、かご12の床面にかかる荷重を検出し、検出した荷重情報を号機制御装置24へ送出する。
【0033】
スピーカ26は、号機制御装置24からの出力信号に基づいて、かご12に乗っている利用者に対して、情報を報知する。報知は、音声に限定されず、表示であってもよい。
【0034】
図2に示される如く、群管理制御装置22は情報受付部50を備えており、各階の乗り場釦340、342が接続されている。情報受付部50は、乗り場釦340、342の操作に基づく信号を受け付ける。
【0035】
情報受付部50は、操作状態判定部52に接続されている。操作状態判定部52は、乗り場釦340、342の操作状態に基づき、配車確定部54にかごの配車指示を送出する。
【0036】
配車確定部54では配車するかご12の特定と、特定したかご12の停止階を決定し、運行指示情報を運行制御部56に送出する。運行制御部56は、特定したかご12に対応する号機制御装置24を選択し、運行指示を出力する。
【0037】
運行指示を受けた号機制御部24は、巻き上げ機20の駆動を制御して、かご12を停止階に移動(上昇又は下降)させる。
【0038】
かご12が停止階に停止(着床)した後、戸の開放に連動して停止階の開閉扉32が開放すると、荷重検出センサ36は、床面にかかる荷重を検出する。
【0039】
また、このとき、停止階の乗り場釦340、342の操作をしても、他のかごの呼び出しができない不許可状態となる。重複したかごの呼び出しによる、かごの集中を防止するためである。
【0040】
検出された荷重情報は、号機制御装置24を介して、群管理制御装置22の運行制御部56へ送出される。運行制御部56には、混雑度算出部58が接続されており、荷重情報が混雑度算出部58へ送出される。
【0041】
混雑度算出部58には、荷重-乗車人数換算テーブルメモリ60が接続されている。混雑度算出部58では、荷重-乗車人数換算テーブルメモリ60から荷重-乗車人数換算テーブルを読み出し、運行制御部56から受けた荷重情報に基づいて、乗車人数を算出する。算出した乗車人数は、乗り場釦登録可否決定部62へ送出される。
【0042】
乗り場釦登録可否決定部62は、かご12内の乗車人数が所定数(例えば、定員が15名であれば、その2/3の10名)以上か否かを判断する。
【0043】
乗り場釦登録可否決定部62は、所定数以上の場合は、現在着床中のかご12(特定かご12)には利用者が乗り切れない場合があるため、特定かご12の戸が閉動作中であっても、乗り場釦340、342の操作を許可する。
【0044】
群管理制御装置はコンピュータ、マイコン、LSI等のハードウェア資源から構成される。コントローラがメモリに記録された制御プログラムを実行することにより、既述した各種機能を形成する“部”を実現する。“部”を“手段”“モジュール”等と言い換えてもよい。以下に、群管理制御装置22による、かごの乗り場呼び登録を、コントローラの動作の観点から図3のフローチャートに従い説明する。コントローラは図3のフローチャートを所定時間毎にスタートさせる。
【0045】
ステップ100において、コントローラは、対象階でかご12が停止し、そして、戸が開放されたかを判定する。コントローラはステップ100を否定すると、かごの乗り場呼び登録の可否判定は不要であるのでフローチャートを終了する。
【0046】
コントローラはステップ100を肯定するとステップ102に移行する。ステップ102において、コントローラは対象階の乗り場釦340、342の操作による、かごの乗り場呼び登録を不許可に設定し、ステップ104に移行する。ステップ104において、コントローラはかご12の荷重に基づいてかごの混雑度を算出する。
【0047】
次のステップ106では、コントローラは混雑度がしきい値以上でないことを判定すると、ステップ108に移行して戸が開状態から閉状態へ動作したかを判定する。
【0048】
コントローラはステップ108を否定するとステップ104へ戻り、ステップ106又はステップ108を肯定するまで、ステップ104、ステップ106、及びステップ108を繰り返す。
【0049】
ステップ106又はステップ108が肯定されると、コントローラはステップ110に移行して対象階の乗り場釦340、342の操作によるかごの乗り場呼び登録を許可し、フローチャートを終了する。
【0050】
図3のフローチャートに基づいて、利用者の具体的な動作を説明する。利用者が乗り場釦340、342を操作してこれを登録すると、特定かご12が該当階に移動して停止し扉32を開放する(ステップ100)。この時点で、群管理制御装置22は乗り場呼びの登録を許可しないようにする(ステップ102)。
【0051】
検出センサ36からの荷重情報に基づいて(ステップ104)、かご12の混雑度が、例えば、40%以上の場合(ステップ106:Y)、そのかご12が満員か、満員に近い状態であるため、乗り場で待っていた全ての利用者がかごに乗り込めないか、利用者がかごへの乗り込みを避けたいこともある。
【0052】
そのため、かご12が停止している階数の利用者が早く次号機のかごにアクセスできるように、停止しているかごが出発する前であっても、利用者は乗り場呼びを登録することができる(ステップ106:Y)。既述の従来技術のように、かごが乗り場呼び登録階に停止し、かつ、かご混雑度が所定値以上である場合、リオープンを不許可にする構成になっていると、戸閉が完了されまで乗り場呼びを新たに登録することができないため、次号機を呼ぶにはその階に停止している号機のかごが出発するまで利用者は待たされるという問題があった。
【0053】
乗り場呼び登録階に停止したかごに混雑がない場合(ステップ106:N)、直ちに、利用者はかごの呼び登録をすることができない。制限なくこれができるとすると、呼び登録階に停止しているかごへの乗り込みが進まず利用者を運搬する効率が悪くなる。
【0054】
利用者は、乗り場呼び登録階に停止しているかごの戸が開から閉状態になる以前はかごの呼び登録ができない(ステップ108:N)。
【0055】
しかしながら、少なくとも、かごが出発しようとする時点からは呼び登録は認められてもよいため、利用者はかごの扉が開から閉状態への動きを始めた以降呼び登録をすることができる(ステップ108:Y)。
【0056】
これにより、利用者がかごの乗り場呼び登録をする際の利便性と利用者を運搬する際の効率の向上との両立を達成することができる。
【0057】
以下に、本発明の他の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の説明に関して、第1の実施の形態と同一構成部分については、図において、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態の特徴は、かご12の配車の制御に、乗り場に設置した乗り場カメラ38が撮影した画像情報を利用する点にある。図4は、群管理制御装置20の実現するための機能ブロック図である。なお、図2図4夫々は群管理制御装置22の機能ブロック図の一例であって、群管理制御装置20のハード構成を限定するものではない。
【0059】
画像解析部40は、乗り場に設置された乗り場カメラ38が乗り場を撮影した画像を解析し、解析情報を群管理制御装置20の情報受付部50に送出する。画像解析情報とは、例えば、乗り場の混雑状況(利用者人数)に係るリアルタイム情報である。
【0060】
混雑状況判定部64は情報受付部50から画像解析情報を受け取り、予め規定した閾値に基づいて、現在停止しているかご12が乗り場の利用者を十分に収容できるか否かの判定結果をキャンセル判定部66へ送出する。キャンセル判定部66は混雑度算出部58からかご12内の利用者の混雑度情報を取得する。
【0061】
群管理制御装置22は、乗り場釦340、342の操作に依る呼び登録に対してかごを割り当てる。これを通常割り当てという。一方、群管理制御装置22は、呼び登録がされた階数が多くの利用者で混んでいてかごの通常割り当てだけではかごが不足する場合、追加のかごを割り当てる。これを追加割り当てという。後に詳しく説明するが、乗り場の混雑状況がしきい値未満になった場合は、キャンセル判定部66は、追加割り当てを維持することなくキャンセルする。
【0062】
キャンセル判定部66は情報出力部68に接続されている。キャンセル判定部66は追加割り当ての維持、又は、キャンセルに関連する情報を作成して情報出力部68に送信する。情報出力部68は、号機制御装置24を介して、かご12内のスピーカから関連情報を報知する。
【0063】
次に割り当て制御を図5のフローチャートに基づいて説明する。群管理制御装置22のコントローラは乗り場釦340、342の操作を検知すると図5のフローチャートをスタートする。ステップ200において、コントローラは既述の通常割り当て制御を開始する。ステップ202において、コントローラは乗り場カメラ38の検出情報に基づき乗り場の利用者数を把握し、乗り場人数が所定以上かの混雑判定を行う。
【0064】
コントローラはステップ202を否定すると通常割り当て制御を実行した後フローチャートを終了する。コントローラはステップ202を肯定判定すると、ステップ206に移行して、既述の追加割り当て制御を開始する。
【0065】
ステップ208において、コントローラは通常割り当て制御に従って1台目のかごが目的階に着床したか否かを判断し、肯定するとステップ210に移行して、目的階の乗り場カメラ38の検出情報に基づいて乗り場の利用者数を把握してテップ212に移行する。
【0066】
ステップ212において、コントローラはステップ202と同じように、乗り場の混雑を判定する。コントローラはステップ212を肯定すると、ステップ214に移行して、かごの荷重を測定してかごの混雑度を算出して、ステップ216に移行する。
【0067】
ステップ216では、コントローラは混雑度がしきい値未満かを判断し、肯定判定するとステップ218に移行して、スピーカ26を介して利用者にかご内への乗り込みを促す報知を実行する。その後、コントローラは通常割り当て制御、そして、追加割り当て制御の実行後フローチャートを終了する。コントローラはステップ216を否定すると、ステップ218を実行することなく、通常割り当て制御、そして、追加割り当て制御の実行後フローチャートを終了する。
【0068】
コントローラはステップ212を否定するとステップ220に移行して、追加割り当て制御に伴い2台目のかごが目的階に着床したかを判断する。コントローラはこのステップ220を否定すると、ステップ222に移行して追加割り当て制御を途中でキャンセルし、通常割り当て制御の実行後フローチャートを終了する。
【0069】
コントローラはステップ220を肯定すると追加割り当て制御のキャンセルは間に合わなかったと判定して、通常割り当て制御、そして、追加割り当て制御の完了後フローチャートを終了する。
【0070】
図5のフローチャートを総括して、その効果について説明する。乗り場釦340、342による、かごの呼び登録がされた際、目的階の乗り場が利用者で混雑していると通常割り当て制御による1台のかごでは利用者全員を運搬できないか、そのおそれがある。
【0071】
そこで、群管理制御装置22は、第2の実施の形態では、目的階に追加のかごを割り当てる追加割り当てて制御を行う。追加割り当て制御によって、乗り場の混雑は解消に貢献することができる。
【0072】
ところで、かごの戸閉完了以外のタイミング、即ち、戸開中、戸開完了、又は、戸閉中では、利用者のかごとの乗降によって、乗り場カメラ38は乗り場の待ち人数を正確に検知できない。
【0073】
そこで、群管理制御装置22は、かごの戸閉完了のタイミングで追加割り当て制御をするか否かを判定し、それ以外のタイミングではこれを行わないこととした。
【0074】
しかし、追加割り当てが決定された後目的階の混雑が緩和された場合、通常割り当て制御に於けるかごの割り当てとは別のかごの割り当てが続くと、追加のかごを利用する利用者は少なく追加のかごの割り当ては結果的に不要だったことになる。
【0075】
そこで、群管理制御装置22は、追加割り当ての決定後追加のかごが目的階に到着する迄に追加割り当て制御をキャンセルできることとした。これにより、群管理制御装置22はかごの無駄な配車を控えることができ、その結果、利用者の運搬効率を向上することができる。
【0076】
群管理制御装置22は追加割り当てを実施しても乗り場が混雑しているにも拘わらず、かご内の混雑度が低い、即ち、利用者のかごへの乗り込み率が低いと、乗り場の混雑度を俄かには緩和できず更なる追加割り当てを強いられる懸念がある。そこで、乗り込みを促す報知を実施することとした(ステップ218)。この結果、かご内への利用者の乗り込み率が上昇し、結果として、利用者の運搬効率を向上できる。
【0077】
乗り場カメラ38は、乗り場が多くの人で混雑していても、全てかご12を待っている人なのか、たまたま乗り場にいただけ人なのかを区別できない。群管理制御装置22が、乗り場が混雑しているという情報にしたがって追加割り当て制御を行うと、2台目のかごの配車が結果的に不要になるおそれがある。
【0078】
しかしながら、図5のフローチャートによれば、一旦、追加割り当てが決定されてもこれのキャンセルが可能であるために(ステップ222)、かごの追加割り当てに伴う運搬効率の低下を抑制することができる。
【0079】
次に、追加割り当て制御の他の実施の形態について説明する。追加割り当てが可能なかご12が1台等少ない場合、群管理制御装置22は複数の階にかごの追加割り当て要する事象が生じた場合、その順ではなく、状況に応じた優先度でどの階から優先してかごの追加割り当てを行うかを決定する。
【0080】
例えば、7階建ての建物において、複数の階(例えば、1階及び5階)で、同時に乗り場が混雑し、追加割り当て制御が必要になった事例を想定する。
【0081】
出勤時間帯(例えば、午前7時)であれば、1階の乗り場におけるかご12の需要が高いため、5階にかご12の追加割り当て制御をしてしまうと、1階の混雑状況が悪化してしまい、建物における人の流れを妨げる原因となってしまう。そこで、群管理制御装置22は、図6のフローチャートのように、時間帯によって、優先してかごを追加割り当てる階を決定する。群管理制御装置22のコントローラは所定時間毎にフローチャートをスタートする。
【0082】
ステップ300において、コントローラは複数階同時に混雑を検知したかを判断する。コントローラはステップ300を否定するとフローチャートを終了する。コントローラはステップ300を肯定すると、混雑している複数の階夫々への追加割り当てに優先度を設定し、優先度に従って階毎にかごの追加割り当てを行う。優先度のためのパラメータとして時間がある。コントローラはステップ302に移行し、出勤時間帯か否か(例えば、午前7時から午前9時)を判断する。
【0083】
コントローラはステップ302を肯定すると、ステップ304に移行して、出勤時利用者が集中する階(例、1階)を優先して追加割り当てを実行してステップ306に移行する。コントローラはステップ302を否定するとステップ304をスキップしてステップ306に移行する。ステップ306では、コントローラは退勤時間帯か否か(例えば、午後4時から午後6時)を判断する。
【0084】
コントローラはステップ306を肯定すると、ステップ308に移行して、退勤時利用者が集中する階(例、5階)を優先して追加割り当てを実行してステップ310に移行する。コントローラはステップ306を否定するとステップ308をスキップしてステップ310に移行する。
【0085】
コントローラはステップ310において、優先度を変更すべき事情があるか否かを判定する。例えば、追加割り当てをしようとする1台目のかごが優先して割り当てられている階に着床するよりも早く、優先されないものの他の混雑階を通過するか否かを判断する。この場合、他の混雑階に先にかごを先に停止させた方が利用者の運搬効率の観点から好ましい。
【0086】
コントローラはステップ310を肯定すると、ステップ312に移行して、ステップ304又はステップ308では優先されていない他の混雑階を優先して、追加割り当てを実行し、フローチャートを終了する。コントローラはステップ310を否定判定すると、ステップ312をスキップしてフローチャートを終了する。コントローラはステップ310を否定すると、複数の階夫々に対するかごの追加割り当てを優先度によらず、均等、平等に行ってよい。
【0087】
図6のフローチャートによれば、時間、時間帯というパラメータに基づいて、優先度を付けて、同時に混雑している複数の階夫々に対するかごの追加割り当てを行ったので、建物における人の流れを円滑にさせながら、利用者の運搬効率を向上することができる。なお、パラメータ時間に限らず、階毎の利用者の数等特に限定されるものではない。
【0088】
そして、例えば、7階床の建物において出勤時間帯中に1階と5階で同時に乗り場の混雑が発生し、かご12が全て5階より上の階に停止していた場合、1台目の号機のかごが混雑している5階を通り過ぎて1階へ移動してしまうと利用者の運搬効率を低下させることになる。そこで、群管理制御装置22は、一旦、1階を優先することを決めても(ステップ304)、5階を優先するように変更できることとした。これにより、かごの追加割り当てのための稼働率が上がり利用者の運搬効率が向上する。
【0089】
以上説明した実施形態は本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。既述の実施形態の一部を変更し、削除し、差し替え、或いは、他の構成、機能を付加した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下、さらに説明する。
【0090】
3台のかご12のうち1号機のかご12Aが車いす機能付きの場合、既述の追加割り当て制御が決定された後に、当該かごの呼びが登録されると、追加割り当て制御のための2台のかごに加えて、車いす機能付きのかご12Aが3台目として目的階に対する利用者サービスに供される。これでは同じ階に3台のかご12A、12B、12Cが集中し、他階に対するサービスが滞ってしまう。
【0091】
そこで、群管理制御装置22は追加割り当てが決定後に、車いすのためのかごの呼びが登録された場合、所定条件、例えば、追加割り当てのかごの目的階に到着する必要時間が20秒以上であれば、追加割り当て制御の2台目を3号機(かご12C)から1号機(かご12A)へ変更することができる。これにより、エレベーター装置は、かごの追加割り当てにおいて、利用者の運搬効率を損なわずに車いす利用者に対応することができる。
【0092】
一方、複数のかごが追加割り当てされた後で、1台目のかごが目的階に到着後利用者サービスを完了したものの、所定時間を経過しても、次号機のかごが目的階に到達できない場合、その階の混雑が解消されず、建物における人の流れが妨げられる。
【0093】
そこで、群管理制御装置22は、追加割り当てを決定した後でも、他階のホール呼び、かご呼びの状況に応じて、追加割り当ての1台目として出発したかご12を含め、かごの割り当てを変更することができる。これにより目的階に複数号機分のかごを配車できるため、乗り場呼びの混雑解消が可能である。
【0094】
次に、乗り場呼び登録が許可がされた場合(図1:ステップ110)、その時点でその階の乗り場呼びの需要があるといえる。戸閉完了状態以外では乗り場の混雑が検知されないと(図5:ステップ202)、乗り場呼びが操作されたとしても群管理制御装置22は追加割り当て制御を設定できない。
【0095】
そこで、乗り場呼びの登が許可された場合、群管理制御装置22は戸開完了から戸閉完了の間でも乗り場の混雑を検知することができる。これにより乗り場の混雑に対して早い段階で追加割り当てを開始することができ、目的階にかごを追加配車することができる。
【0096】
なお、本明細書は、以下の付記に記載の構成の発明を含む。
(付記)
各々が開閉可能な戸が設置されたかごを備えた複数のエレベーター昇降機を群として連携して管理する群管理制御装置と、
建物の各階床毎に設けられた前記かごへの乗り場に設置され、前記かごの呼び出しを登録する乗り場釦と、
前記複数の前記エレベーター昇降機の昇降動作及び前記戸の開閉動作を含む動作を個別に制御する複数の号機制御装置と、備えたエレベーター装置において、
前記乗り場の混雑度を検出する乗り場混雑度検出装置を有し、
前記乗り場混雑度検出装置が同時に複数階の混雑を検出し、相互に優先順位が設定された所定の階及び前記所定の階とは別の階に対して、各々かごの追加割り当てを実行した場合、
前記群管理制御装置は、
時間帯に基づいて、前記所定の階又は前記別の階へ前記かごを優先して割り当て、前記追加割り当てされたかごの内どちらか1台が、優先して割り当てられている階に着床するよりも早く、優先して割り当てられていない階を通過する場合は、当該優先して割り当てられていない階を、追加割り当て制御の優先対象として再割り当てする、エレベーター装置。
【符号の説明】
【0097】
10・・・・・・エレベーター装置、12(12A、12B、12C)・・・・・・かご、14・・・・・・エレベーター制御装置、16(16A、16B、16C)・・・・・・カウントウェイト、18(18A、18B、18C)・・・・・・ケーブル、20(20A、20B、20C)・・・・・・巻き上げ機、22・・・・・・群管理制御装置、24(24A、24B、24C)・・・・・・号機制御装置、26(26A、26B、26C)・・・・・・スピーカ、28(28A、28B、28C)・・・・・・かご内操作パネル、30(30A、30B、30C)・・・・・・戸開閉機構部、32(32A、32B、32C)・・・・・・開閉扉、34A、34B・・・・・・乗り場釦、36(36A、36B、36C)・・・・・・荷重検出センサ、38・・・・・・乗り場カメラ、40・・・・・・画像解析部、50・・・・・・情報受付部、52・・・・・・操作状態判定部、54・・・・・・配車確定部、56・・・・・・運行制御部、58・・・・・・混雑度算出部、60・・・・・・荷重-乗車人数換算テーブルメモリ、62・・・・・・乗り場釦登録可否決定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6