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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031677
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】水素製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/04 20060101AFI20240229BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C01B3/04 B
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135374
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】松山 翔
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】間所 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】島村 遼一
(72)【発明者】
【氏名】玉木 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】江原 達哉
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140FA02
4G140FB06
4G140FC01
4G140FE01
(57)【要約】
【課題】より効率的に、水素を製造できる水素製造装置を提供すること。
【解決手段】水素製造装置1は、アンモニアを貯留するアンモニアタンク2と、アンモニアタンク2から供給されるアンモニアを、窒素および水素に分解するプラズマリアクタ3、4と、プラズマリアクタ3、4から供給される窒素および水素の混合物から水素を分離する分離膜6とを備える。プラズマリアクタ3、4は、アンモニア吸着部材35、36を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを貯留するアンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクから供給されるアンモニアを、窒素および水素に分解するプラズマリアクタと、
前記プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物から水素を分離する分離膜とを備え、
前記プラズマリアクタは、アンモニア吸着部材を備える、水素製造装置。
【請求項2】
さらに、制御部を備え、
前記プラズマリアクタは、第1プラズマリアクタおよび第2プラズマリアクタを備え、
前記第1プラズマリアクタは、第1アンモニア吸着部材を備え、
前記第2プラズマリアクタは、第2アンモニア吸着部材を備え、
前記制御部は、第1モードまたは第2モードを選択的に制御し、
前記第1モードは、前記アンモニアタンクから、前記第1プラズマリアクタに、アンモニアを供給することによって、前記第1アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させるとともに、前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2アンモニア吸着部材に吸着されるアンモニアを、窒素および水素に分解し、
前記第2モードは、前記アンモニアタンクから、前記第2プラズマリアクタに、アンモニアを供給することによって、前記第2アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させるとともに、前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1アンモニア吸着部材に吸着されるアンモニアを、窒素および水素に分解する、請求項1に記載の水素製造装置。
【請求項3】
さらに、窒素を貯留する窒素タンクを備え、
前記第1モードは、前記第1アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収するとともに、前記窒素タンクから、前記第2プラズマリアクタに、窒素を供給して、前記第2アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させ、
前記第2モードは、前記第2アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収するとともに、前記窒素タンクから、前記第1プラズマリアクタに、窒素を供給して、前記第1アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させる、請求項2に記載の水素製造装置。
【請求項4】
前記アンモニアタンクから、前記第1プラズマリアクタに、アンモニアを供給するための第1アンモニア供給ラインと、
前記アンモニアタンクから、前記第2プラズマリアクタに、アンモニアを供給するための第2アンモニア供給ラインと、
前記第1アンモニア供給ラインおよび前記第2アンモニア供給ラインを切り替える第1切替手段と、
前記窒素タンクから、前記第1プラズマリアクタに、窒素を供給するための第1窒素供給ラインと、
前記窒素タンクから、前記第2プラズマリアクタに、窒素を供給するための第2窒素供給ラインと、
前記第1窒素供給ラインおよび前記第2窒素供給ラインを切り替える第2切替手段と、
前記第1プラズマリアクタから、前記分離膜に、前記第1プラズマリアクタによって分解された窒素および水素を供給する第1窒素水素供給ラインと、
前記第2プラズマリアクタから、前記分離膜に、前記第2プラズマリアクタによって分解された窒素および水素を供給する第2窒素水素供給ラインと、
前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収する第1アンモニア回収ラインと、
前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収する第2アンモニア回収ラインと、
前記第1窒素水素供給ラインおよび前記第1アンモニア回収ラインを切り替える第3切替手段と、
前記第2窒素水素供給ラインおよび前記第2アンモニア回収ラインを切り替える第4切替手段とを備える、請求項3に記載の水素製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、水素燃料が注目されている。このような水素燃料は、例えば、燃料改質装置によって製造される。燃料改質装置では、アンモニアを、窒素および水素に分解し、分解された水素を抽出する。
【0003】
このような燃料改質装置として、例えば、アンモニアを、プラズマにより改質して、高濃度水素ガスを生成する改質器を備える燃料改質装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-180592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、より効果的に、水素を製造することが要求される。
【0006】
本発明は、より効率的に、水素を製造できる水素製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、アンモニアを貯留するアンモニアタンクと、前記アンモニアタンクから供給されるアンモニアを、窒素および水素に分解するプラズマリアクタと、前記プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物から水素を分離する分離膜とを備え、前記プラズマリアクタは、アンモニア吸着部材を備える、水素製造装置である。このような構成によると、アンモニアは、一旦、プラズマリアクタにおけるアンモニア吸着部材に吸着し、アンモニアが、十分に吸着した後に、アンモニアを、窒素および水素に分解する。そのため、より効率的に、水素を製造できる。
【0008】
本発明[2]は、さらに、制御部を備え、前記プラズマリアクタは、第1プラズマリアクタおよび第2プラズマリアクタを備え、前記第1プラズマリアクタは、第1アンモニア吸着部材を備え、前記第2プラズマリアクタは、第2アンモニア吸着部材を備え、前記制御部は、第1モードまたは第2モードを選択的に制御し、前記第1モードは、前記アンモニアタンクから、前記第1プラズマリアクタに、アンモニアを供給することによって、前記第1アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させるとともに、前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2アンモニア吸着部材に吸着されるアンモニアを、窒素および水素に分解し、前記第2モードは、前記アンモニアタンクから、前記第2プラズマリアクタに、アンモニアを供給することによって、前記第2アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させるとともに、前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1アンモニア吸着部材に吸着されるアンモニアを、窒素および水素に分解する、上記[1]に記載の水素製造装置を含んでいる。このような構成によると、第1モードまたは第2モードを選択的に制御することによって、第1プラズマリアクタにおいて、アンモニアの吸着を実施するときには、第2プラズマリアクタにおいて、アンモニアの分解を実施できる。一方、第2プラズマリアクタにおいて、アンモニアの吸着を実施するときには、第1プラズマリアクタにおいて、アンモニアの分解を実施できる。そのため、より一層効率的に、水素を製造できる。
【0009】
本発明[3]は、さらに、窒素を貯留する窒素タンクを備え、前記第1モードは、前記第1アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収するとともに、前記窒素タンクから、前記第2プラズマリアクタに、窒素を供給して、前記第2アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させ、前記第2モードは、前記第2アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収するとともに、前記窒素タンクから、前記第1プラズマリアクタに、窒素を供給して、前記第1アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させる、上記[2]に記載の水素製造装置を含んでいる。このような構成によると、まず、窒素を供給し、アンモニア吸着部材に吸着したアンモニアを脱離させた後、その脱離させたアンモニアを分解する。そのため、より一層効率的に、水素を製造できる。また、アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンクに回収する。そのため、アンモニアの有効利用を図ることができる。
【0010】
本発明[4]は、前記アンモニアタンクから、前記第1プラズマリアクタに、アンモニアを供給するための第1アンモニア供給ラインと、前記アンモニアタンクから、前記第2プラズマリアクタに、アンモニアを供給するための第2アンモニア供給ラインと、前記第1アンモニア供給ラインおよび前記第2アンモニア供給ラインを切り替える第1切替手段と、前記窒素タンクから、前記第1プラズマリアクタに、窒素を供給するための第1窒素供給ラインと、前記窒素タンクから、前記第2プラズマリアクタに、窒素を供給するための第2窒素供給ラインと、前記第1窒素供給ラインおよび前記第2窒素供給ラインを切り替える第2切替手段と、前記第1プラズマリアクタから、前記分離膜に、前記第1プラズマリアクタによって分解された窒素および水素を供給する第1窒素水素供給ラインと、前記第2プラズマリアクタから、前記分離膜に、前記第2プラズマリアクタによって分解された窒素および水素を供給する第2窒素水素供給ラインと、前記第1プラズマリアクタにおいて、前記第1アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収する第1アンモニア回収ラインと、前記第2プラズマリアクタにおいて、前記第2アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニアを、前記アンモニアタンクに回収する第2アンモニア回収ラインと、前記第1窒素水素供給ラインおよび前記第1アンモニア回収ラインを切り替える第3切替手段と、前記第2窒素水素供給ラインおよび前記第2アンモニア回収ラインを切り替える第4切替手段とを備える、上記[3]に記載の水素製造装置を含んでいる。このような構成によると、確実に、第1モードまたは第2モードを選択的に制御することができる。詳しくは、第1モードでは、第1切替手段の切り替えによって、第1アンモニア供給ラインを開放し、第2アンモニア供給ラインを閉鎖する。これにより、第1アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させる。併せて、第3切替手段の切り替えによって、第1アンモニア回収ラインを開放し、第1窒素水素供給ラインを閉鎖する。これにより、第1アンモニア吸着部材に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、アンモニアタンクに回収する。また、第2切替手段の切り替えによって、第2窒素供給ラインを開放し、第1窒素供給ラインを閉鎖する。これにより、窒素タンクから、第2プラズマリアクタに、窒素を供給して、第2アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、第2プラズマリアクタを起動する(第2プラズマリアクタにおいて、プラズマを発生させる)。これにより、第2プラズマリアクタにおいて、第2アンモニア吸着部材に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第2アンモニア吸着部材から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。そして、第4切替手段の切り替えによって、第2窒素水素供給ラインを開放し、第2アンモニア回収ラインを閉鎖する。これにより、第2プラズマリアクタによって分解された窒素および水素の混合物を、分離膜に供給する。
【0011】
一方、第2モードでは、第1切替手段の切り替えによって、第2アンモニア供給ラインを開放し、第1アンモニア供給ラインを閉鎖する。これにより、第2アンモニア吸着部材に、アンモニアを吸着させる。併せて、第4切替手段の切り替えによって、第2アンモニア回収ラインを開放し、第2窒素水素供給ラインを閉鎖する。これにより、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、アンモニアタンク2に回収する。また、第2切替手段の制御によって、第1窒素供給ラインを開放し、第2窒素供給ラインを閉鎖する。これにより、窒素タンクから、第1プラズマリアクタに、窒素を供給して、第1アンモニア吸着部材に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、第1プラズマリアクタを起動する(第1プラズマリアクタにおいて、プラズマを発生させる)。これにより、第1プラズマリアクタにおいて、第1アンモニア吸着部材に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第1アンモニア吸着部材から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。そして、第3切替手段の制御によって、第1窒素水素供給ラインを開放し、第1アンモニア回収ラインを閉鎖する。これにより、第1プラズマリアクタによって分解された窒素および水素の混合物を、分離膜に供給する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水素製造装置によれば、より効率的に、水素を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の水素製造装置の一実施形態を示す概略図である。
図2図2は、第1プラズマリアクタまたは第2プラズマリアクタの内部を示す概略図である。
図3図3は、図1に示す水素製造装置の動作のフローチャートを示す。
図4図4Aおよび図4Bは、本発明の水素製造装置の変形例を示す概略図である。図4Aは、第1モードを示す。図4Bは、第2モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水素製造装置は、アンモニアを貯留するアンモニアタンクと、アンモニアタンクから供給されるアンモニアを、窒素および水素に分解するプラズマリアクタと、プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物から水素を分離する分離膜とを備える。また、プラズマリアクタは、アンモニア吸着部材を備える。以下の説明では、2つのプラズマリアクタ(第1プラズマリアクタおよび第2プラズマリアクタ)を備える水素製造装置について詳述する。また、第1プラズマリアクタおよび第2プラズマリアクタは、それぞれ、第1アンモニア吸着部材および第2アンモニア吸着部材を備える。
【0015】
<水素製造装置>
図1を参照して、本発明の水素製造装置の一実施形態を詳述する。
【0016】
水素製造装置1は、例えば、燃料電池100(図1破線参照)に接続される燃料供給装置である。燃料電池100としては、例えば、燃料電池自動車、および、家庭用燃料電池が挙げられる。また、水素製造装置1と燃料電池100とで、燃料電池システムを構成する。つまり、燃料電池システムは、水素製造装置1と燃料電池100とを備える。水素製造装置1は、アンモニアタンク2と、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ4と、第1アンモニア供給ライン10と、第2アンモニア供給ライン11と、第1切替手段としての第1三方弁12と、窒素タンク5と、第1窒素供給ライン13と、第2窒素供給ライン14と、第2切替手段としての第2三方弁15と、分離膜6と、第1窒素水素供給ライン16と、第1窒素水素供給ライン17と、第1アンモニア回収ライン18と、第2アンモニア回収ライン19と、第3切替手段としての第3三方弁20と、第4切替手段としての第4三方弁21と、窒素回収ライン22と、水素供給ライン23と、制御部7とを備える。また、水素製造装置1は、図示しないポンプを、適宜の位置に備える。そして、ポンプの駆動により、後述するアンモンア、水素、および、窒素を供給可能としている。
【0017】
<アンモニアタンク>
アンモニアタンク2は、アンモニア(気体)を貯留するタンクである。
【0018】
<第1プラズマリアクタ、第2プラズマリアクタ>
第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4は、アンモニアタンク2から供給されるアンモニアを、窒素および水素に分解する。第1プラズマリアクタ3は、図2に示すように、ケーシング30と、複数の電極31と、アンモニアの吸着量を測定するセンサー32Aとを備える。第2プラズマリアクタ4は、ケーシング30と、複数の電極31と、センサー32Aと同様の構成を有するセンサー32Bとを備える。
【0019】
ケーシング30は、中空の筒形状を有し、その長手方向が、アンモニアの流れ方向に沿うように、配置されている。複数の電極31は、ケーシング30内において、ケーシング30の長手方向に沿って、配置されている。また、複数の電極31は、ケーシング30の長手方向に直交する方向に沿って、互いに間隔を隔てて配置されている。
【0020】
第1プラズマリアクタ3において、電極31は、導体33と、導体33を被覆する誘電体34と、誘電体34を被覆する第1アンモニア吸着部材35とを備える。第2プラズマリアクタ4において、電極31は、導体33と、導体33を被覆する誘電体34と、誘電体34を被覆し、第1アンモニア吸着部材35と同様の構成を有する第2アンモニア吸着部材36とを備える。つまり、第1プラズマリアクタ3は、第1アンモニア吸着部材35を備え、第2プラズマリアクタ4は、第2アンモニア吸着部材36を備える。
【0021】
導体33の材料として、例えば、タングステンが挙げられる。誘電体34の材料として、例えば、アルミナが挙げられる。
【0022】
第1アンモニア吸着部材35および第2アンモニア吸着部材36は、誘電体34の表面に、アンモニア吸着剤を塗布して形成される層である。アンモニア吸着剤として、例えば、ゼオライトが挙げられる。
【0023】
センサー32Aおよびセンサー32Bは、ケーシング30の内壁において、アンモニアの流れ方向下流側に設けられ、アンモニアの吸着量を測定する公知のセンサーである。
【0024】
<第1アンモニア供給ライン、第2アンモニア供給ライン>
第1アンモニア供給ライン10および第2アンモニア供給ライン11は、アンモニアタンク2から、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給する。
【0025】
第1アンモニア供給ライン10および第2アンモニア供給ライン11のアンモニア供給方向における上流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。第1アンモニア供給ライン10および第2アンモニア供給ライン11のアンモニア供給方向における下流側端部は、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4に接続されている。第1アンモニア供給ライン10は、第1管41と、第2管42と、第3管43とを備える。第2アンモニア供給ライン11は、第1管41と、第4管44と、第5管45とを備える。
【0026】
第1管41のアンモニア供給方向における上流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。第1管41のアンモニア供給方向における下流側端部は、第2管42のアンモニア供給方向における上流側端部に接続されている。第2管42のアンモニア供給方向における下流側端部は、第3管43のアンモニア供給方向における上流側端部に接続されている。第3管43のアンモニア供給方向における下流側端部は、第1プラズマリアクタ3に接続されている。第4管44のアンモニア供給方向における上流側端部は、第1管41のアンモニア供給方向における下流側端部および第2管42のアンモニア供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。第4管44のアンモニア供給方向における下流側端部は、第5管45のアンモニア供給方向における上流側端部に接続されている。第5管45のアンモニア供給方向における下流側端部は、第2プラズマリアクタ4に接続されている。
【0027】
<第1三方弁>
第1三方弁12は、第1アンモニア供給ライン10および第2アンモニア供給ライン11を切り替える。第1三方弁12は、第1管41のアンモニア供給方向における下流側端部と、第2管42のアンモニア供給方向における上流側端部と、第4管44のアンモニア供給方向における上流側端部との接続部分に介在する。
【0028】
第1三方弁12の切り替えにより、アンモニアタンク2から、第1アンモニア供給ライン10を介して、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給するか、または、アンモニアタンク2から、第2アンモニア供給ライン11を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給するかを切り替える。詳しくは、第1三方弁12は、第4管44のアンモニア供給方向における上流側端部を閉鎖し、第2管42のアンモニア供給方向における上流側端部を開放する第1位置(第2アンモニア供給ライン11を閉鎖して、第1アンモニア供給ライン10を開放する第1位置)と、第2管42のアンモニア供給方向における上流側端部を閉鎖し、第4管44のアンモニア供給方向における上流側端部を開放する第2位置(第1アンモニア供給ライン10を閉鎖して、第2アンモニア供給ライン11を開放する第2位置)とに切り替え可能である。
【0029】
<窒素タンク>
窒素タンク5は、窒素を貯留するタンクである。窒素は、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニア、および、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニアを脱離させるためのパージガスである。また、窒素タンク5は、圧力弁(図示せず)を備える。余剰の窒素ガスは、所定圧力以上になると、圧力弁の開放により放出される。
【0030】
<第1窒素供給ライン、第2窒素供給ライン>
第1窒素供給ライン13および第2窒素供給ライン14は、窒素タンク5から、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4に、窒素を供給する。
【0031】
第1窒素供給ライン13および第2窒素供給ライン14の窒素供給方向における上流側端部は、窒素タンク5に接続されている。第1窒素供給ライン13および第2窒素供給ライン14の窒素供給方向における下流側端部は、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4に接続されている。第1窒素供給ライン13は、第6管46と、第7管47と、第3管43とを備える。第2窒素供給ライン14は、第6管46と、第8管48と、第5管45とを備える。
【0032】
第6管46の窒素供給方向における上流側端部は、窒素タンク5に接続されている。第6管46の窒素供給方向における下流側端部は、第7管47の窒素供給方向における上流側端部に接続されている。第7管47の窒素供給方向における下流側端部は、第2管42のアンモニア供給方向における下流側端部および第3管43のアンモニア供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。第8管48の窒素供給方向における上流側端部は、第6管46の窒素供給方向における下流側端部および第7管47の窒素供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。第8管48の窒素供給方向における下流側端部は、第4管44のアンモニア供給方向における下流側端部および第5管45のアンモニア供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。
【0033】
<第2三方弁>
第2三方弁15は、第1窒素供給ライン13および第2窒素供給ライン14を切り替える。第2三方弁15は、第6管46の窒素供給方向における下流側端部と、第7管47の窒素供給方向における上流側端部と、第8管48の窒素供給方向における上流側端部との接続部分に介在する。
【0034】
第2三方弁15の切り替えにより、窒素タンク5から、第1窒素供給ライン13を介して、第1プラズマリアクタ3に、窒素を供給するか、または、窒素タンク5から、第2窒素供給ライン14を介して、第2プラズマリアクタ4に、窒素を供給するかを切り替えることができる。詳しくは、第2三方弁15は、第8管48の窒素供給方向における上流側端部を閉鎖し、第7管47の窒素供給方向における上流側端部を開放する第3位置(第2窒素供給ライン14を閉鎖して、第1窒素供給ライン13を開放する第3位置)と、第7管47の窒素供給方向における上流側端部を閉鎖し、第8管48の窒素供給方向における上流側端部を開放する第4位置(第1窒素供給ライン13を閉鎖して、第2窒素供給ライン14を開放する第4位置)とに切り替え可能である。
【0035】
<分離膜>
分離膜6は、プラズマリアクタ(第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4)から供給される窒素および水素の混合物から水素を分離する。分離膜6として、窒素および水素を分離できる膜であれば、特に限定されず、例えば、パラジウム膜が挙げられる。
【0036】
<第1窒素水素供給ライン、第2窒素水素供給ライン>
第1窒素水素供給ライン16および第2窒素水素供給ライン17は、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4から、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4によって分解された窒素および水素を分離膜6に供給する。
【0037】
第1窒素水素供給ライン16および第2窒素水素供給ライン17の窒素および水素の供給方向における上流側端部は、それぞれ、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4に接続されている。第1窒素水素供給ライン16および第2窒素水素供給ライン17の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、分離膜6に接続されている。第1窒素水素供給ライン16は、第9管49と、第10管50と、第11管51とを備える。第2窒素水素供給ライン17は、第12管52と、第13管53と、第11管51とを備える。
【0038】
第9管49の窒素および水素の供給方向における上流側端部は、第1プラズマリアクタ3に接続されている。第9管49の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、第10管50の窒素および水素の供給方向における上流側端部に接続されている。第10管50の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、第11管51の、窒素および水素の供給方向における上流側端部に接続されている。第11管51の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、分離膜6に接続されている。第12管52の窒素および水素の供給方向における上流側端部は、第2プラズマリアクタ4に接続されている。第12管52の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、第13管53の窒素および水素の供給方向における上流側端部に接続されている。第13管53の窒素および水素の供給方向における下流側端部は、第10管50の窒素および水素の供給方向における下流側端部および第11管51の窒素および水素の供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。
【0039】
<第1アンモニア回収ライン、第2アンモニア回収ライン>
第1アンモニア回収ライン18は、第1プラズマリアクタ3において、第1アンモニア吸着部材35に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンク2に回収(供給)する。第2アンモニア回収ライン19は、第2プラズマリアクタ4において、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンク2に回収(供給)する。
【0040】
第1アンモニア回収ライン18および第2アンモニア回収ライン19のアンモニア供給方向における上流側端部は、第1プラズマリアクタ3に接続されている。第1アンモニア回収ライン18および第2アンモニア回収ライン19のアンモニア供給方向における下流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。第1アンモニア回収ライン18は、第9管49と、第14管54とを備える。第2アンモニア回収ライン19は、第12管52と、第15管55とを備える。
【0041】
第14管54のアンモニア供給方向における上流側端部は、第9管49の窒素および水素の供給方向における下流側端部および第10管50の窒素および水素の供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。第14管54のアンモニア供給方向における下流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。第15管55のアンモニア供給方向における上流側端部は、第12管52の窒素および水素の供給方向における下流側端部および第13管53の窒素および水素の供給方向における上流側端部の接続部分に接続されている。第15管55のアンモニア供給方向における下流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。
【0042】
<第3三方弁>
第3三方弁20は、第1窒素水素供給ライン16および第1アンモニア回収ライン18を切り替える。第3三方弁20は、第9管49の窒素および水素の供給方向における下流側端部と、第10管50の窒素および水素の供給方向における上流側端部と、第14管54のアンモニア供給方向における上流側端部との接続部分に介在する。
【0043】
第3三方弁20の切り替えにより、第1プラズマリアクタ3から、第1窒素水素供給ライン16を介して、分離膜6に、第1プラズマリアクタ3によって分解された窒素および水素を供給するか、または、第1プラズマリアクタ3から、第1アンモニア回収ライン18を介して、アンモニアタンク2に、第1アンモニア吸着部材35に吸着しないアンモニアを供給するかを切り替えることができる。詳しくは、第3三方弁20は、第14管54のアンモニア供給方向における上流側端部を閉鎖し、第10管50の窒素および水素の供給方向における上流側端部を開放する第5位置(第1アンモニア回収ライン18を閉鎖して、第1窒素水素供給ライン16を開放する第5位置)と、第10管50の窒素および水素の供給方向における上流側端部を閉鎖し、第14管54のアンモニア供給方向における上流側端部を開放する第6位置(第1窒素水素供給ライン16を閉鎖して、第1アンモニア回収ライン18を開放する第6位置)とに切り替え可能である。
【0044】
<第4三方弁>
第4三方弁21は、第2窒素水素供給ライン17および第2アンモニア回収ライン19を切り替える。第4三方弁21は、第12管52の窒素および水素の供給方向における下流側端部と、第13管53の窒素および水素の供給方向における上流側端部と、第15管55のアンモニア供給方向における上流側端部との接続部分に介在する。
【0045】
第4三方弁21の切り替えにより、第2プラズマリアクタ4から、第2窒素水素供給ライン17を介して、分離膜6に、第2プラズマリアクタ4によって分解された窒素および水素を供給するか、または、第2プラズマリアクタ4から、第2アンモニア回収ライン19を介して、アンモニアタンク2に、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニアを供給するかを切り替えることができる。詳しくは、第4三方弁21は、第15管55のアンモニア供給方向における上流側端部を閉鎖し、第13管53の窒素および水素の供給方向における上流側端部を開放する第7位置(第2アンモニア回収ライン19を閉鎖して、第2窒素水素供給ライン17を開放する第7位置)と、第13管53の窒素および水素の供給方向における上流側端部を閉鎖し、第15管55のアンモニア供給方向における上流側端部を開放する第8位置(第2窒素水素供給ライン17を閉鎖して、第2アンモニア回収ライン19を開放する第8位置)とに切り替え可能である。
【0046】
<窒素回収ライン>
窒素回収ライン22は、分離膜6において、分離された窒素を、窒素タンク5に回収(供給)する。窒素回収ライン22の窒素供給方向における上流側端部は、分離膜6に接続されている。窒素回収ライン22の窒素供給方向における下流側端部は、窒素タンク5に接続されている。
【0047】
<水素供給ライン>
水素供給ライン23は、分離膜6から、燃料電池100に、分離膜6によって分解された水素を供給する。水素供給ライン23の水素供給方向における上流側端部は、分離膜6に接続されている。窒素回収ライン22の水素供給方向における下流側端部は、燃料電池100に接続されている。
【0048】
<制御部>
制御部7は、水素製造装置1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、演算処理部およびメモリなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。制御部7は、図1において破線で示すように、第1三方弁12と、第2三方弁15と、第3三方弁20と、第4三方弁21と、第1プラズマリアクタ3におけるセンサー32Aと、第2プラズマリアクタ4におけるセンサー32Bとに接続されている。これにより、詳しくは後述するが、制御部7は、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量、および、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量に基づいて、第1三方弁12と、第2三方弁15と、第3三方弁20と、第4三方弁21とを作動可能としている。また、制御部7は、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ4と、ポンプ(図示せず)に接続されている。これにより、制御部7は、第1プラズマリアクタ3と第2プラズマリアクタ4と、ポンプ(図示せず)とを適宜制御している。
【0049】
<水素製造装置の動作>
図3を参照して、水素製造装置1の動作について、詳述する。
【0050】
水素製造装置1の動作は、制御部7によって制御される。制御部7は、詳しくは後述するが、準備モード、第1モードまたは第2モードを選択的に制御するプログラムをメモリに備えており、そのプログラムが、演算処理部によって実行されることにより、水素製造装置1が、以下のように、駆動される。
【0051】
すなわち、水素製造装置1では、まず、準備モードを実施する(S1)。詳しくは、第1プラズマリアクタ3における第1アンモニア吸着部材35、または、第2プラズマリアクタ4における第2アンモニア吸着部材36のうち、いずれか一方に、アンモニアを吸着させる。以下の説明では、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる場合について、詳述する。
【0052】
第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる場合には、制御部7は、第1三方弁12を第2位置に切り替える。具体的には、第2アンモニア供給ライン11を開放し、第1アンモニア供給ライン10を閉鎖する。これにより、アンモニアタンク2から、第2アンモニア供給ライン11(具体的には、第1管41、第4管44および第5管45)を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給して、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる。併せて、制御部7は、第4三方弁21を第8位置に切り替える。具体的には、第2アンモニア回収ライン19を開放し、第2窒素水素供給ライン17を閉鎖する。これにより、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、第2アンモニア回収ライン19(具体的には、第12管52および第15管55)を介して、アンモニアタンク2に回収する。以上により、準備モードを実施する。
【0053】
次いで、制御部7は、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S2)。閾値は、例えば、1L/分である。センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S2のNo)には、S1に戻って、準備モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S2のYes)には、第1モードを実施する(S3)。
【0054】
第1モードでは、制御部7は、第1三方弁12を第1位置に切り替える。具体的には、第1アンモニア供給ライン10を開放し、第2アンモニア供給ライン11を閉鎖する。これにより、アンモニアタンク2から、第1アンモニア供給ライン10(具体的には、第1管41、第2管42および第3管43)を介して、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給して、第1アンモニア吸着部材35に、アンモニアを吸着させる。併せて、制御部7は、第3三方弁20を第6位置に切り替える。具体的には、第1アンモニア回収ライン18を開放し、第1窒素水素供給ライン16を閉鎖する。これにより、第1アンモニア吸着部材35に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、第1アンモニア回収ライン18(具体的には、第9管49および第14管54)を介して、アンモニアタンク2に回収する。併せて、制御部7は、第2三方弁15を第4位置に切り替える。具体的には、第2窒素供給ライン14を開放し、第1窒素供給ライン13を閉鎖する。これにより、窒素タンク5から、第2窒素供給ライン14(具体的には、第6管46、第8管48および第5管45)を介して、第2プラズマリアクタ4に、窒素を供給して、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、制御部7は、第1モードの間において、第2プラズマリアクタ4を起動する(第2プラズマリアクタ4において、プラズマを発生させる)。これにより、第2プラズマリアクタ4において、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第2アンモニア吸着部材36から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。
【0055】
そして、制御部7は、第4三方弁21を第7位置に切り替える。具体的には、第2窒素水素供給ライン17を開放し、第2アンモニア回収ライン19を閉鎖する。これにより、第2プラズマリアクタ4によって分解された窒素および水素の混合物を、第2窒素水素供給ライン17(具体的には、第12管52、第13管53および第11管51)を介して、分離膜6に供給する。
【0056】
分離膜6では、上記混合物から、窒素および水素を分離する。分離された窒素は、窒素回収ライン22を介して、窒素タンク5に回収される。これにより、窒素の有効利用を図ることができる。一方、分離された水素は、水素供給ライン23を介して、燃料電池100に供給される。
【0057】
次いで、制御部7は、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S4)。センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S4のNo)には、S3に戻って、第1モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S4のYes)には、第1モードを終了し、第2モードを実施する(S5)。
【0058】
以上、第1モードでは、アンモニアタンク2から、第1アンモニア供給ライン10(具体的には、第1管41、第2管42および第3管43)を介して、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給することによって、第1アンモニア吸着部材35に、アンモニアを吸着させるとともに、第2プラズマリアクタ4において、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニアを、窒素および水素に分解する。つまり、第1モードでは、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアの吸着を実施し、第2プラズマリアクタ4において、アンモニアの分解を実施する。
【0059】
第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアを吸着する時間は、例えば、アンモニア吸着剤、アンモニアの流量によって、適宜設定され、また、第2プラズマリアクタ4におけるアンモニアを分解する時間は、例えば、第2プラズマリアクタ4の電力、窒素タンク5からの窒素の流量によって、適宜設定されるが、好ましくは、第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアを吸着する時間と、第2プラズマリアクタ4におけるアンモニアを分解する時間とが同じになるように、設定する。
【0060】
次いで、第2モードでは、制御部7は、第1三方弁12を第2位置に切り替える。具体的には、第2アンモニア供給ライン11を開放し、第1アンモニア供給ライン10を閉鎖する。これにより、アンモニアタンク2から、第2アンモニア供給ライン11(具体的には、第1管41、第4管44および第5管45)を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給して、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる。併せて、制御部7は、第4三方弁21を第8位置に切り替える。具体的には、第2アンモニア回収ライン19を開放し、第2窒素水素供給ライン17を閉鎖する。これにより、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、第2アンモニア回収ライン19(具体的には、第12管52および第15管55)を介して、アンモニアタンク2に回収する。併せて、制御部7は、第2三方弁15を第3位置に切り替える。具体的には、第1窒素供給ライン13を開放し、第2窒素供給ライン14を閉鎖する。これにより、窒素タンク5から、第1窒素供給ライン13(具体的には、第6管46、第7管47および第3管43)を介して、第1プラズマリアクタ3に、窒素を供給して、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、制御部7は、第2モードの間において、第1プラズマリアクタ3を起動する(第1プラズマリアクタ3において、プラズマを発生させる)。これにより、第1プラズマリアクタ3において、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第1アンモニア吸着部材35から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。
【0061】
そして、制御部7は、第3三方弁20を第5位置に切り替える。具体的には、第1窒素水素供給ライン16を開放し、第1アンモニア回収ライン18を閉鎖する。これにより、第1プラズマリアクタ3によって分解された窒素および水素の混合物を、第1窒素水素供給ライン16(具体的には、第9管49、第10管50および第11管51)を介して、分離膜6に供給する。
【0062】
分離膜6では、上記混合物から、窒素および水素を分離する。分離された窒素は、窒素回収ライン22を介して、窒素タンク5に回収される。これにより、窒素の有効利用を図ることができる。一方、分離された水素は、水素供給ライン23を介して、燃料電池100に供給される。
【0063】
次いで、制御部7は、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S6)。センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S6のNo)には、S5に戻って、第2モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S6のYes)には、第2モードを終了する(S3)。
【0064】
以上、第2モードでは、アンモニアタンク2から、第2アンモニア供給ライン11(具体的には、第1管41、第4管44および第5管45)を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給することによって、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させるとともに、第1プラズマリアクタ3において、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニアを、窒素および水素に分解する。つまり、第2モードでは、第2プラズマリアクタ4において、アンモニアの吸着を実施し、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアの分解を実施する)。好ましくは、第2プラズマリアクタ4におけるアンモニアを吸着する時間と、第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアを分解する時間とが同じになるように、設定する。
【0065】
その後、制御部7は、水素製造装置1の停止信号が入力されていない場合(S7のNo)には、S3に戻って、第1モードを実施する。このような水素製造装置1は、停止信号が入力されるまで(S7のYes)、上記した動作を繰り返す。
【0066】
<作用効果>
水素製造装置1によれば、より効率的に、水素を製造できる。詳しくは、水素製造装置1では、一旦、プラズマリアクタ(第1プラズマリアクタおよび第2プラズマリアクタ4)におけるアンモニア吸着部材(第1アンモニア吸着部材35および第2アンモニア吸着部材36)に、アンモニアが十分に吸着した後に、アンモニアを、窒素および水素に分解する。そのため、とりわけ、単に、アンモニアをプラズマにより分解する特許文献1の燃料改質装置よりも、より効率的に、水素を製造できる。
【0067】
また、水素製造装置1によれば、第1モードまたは第2モードを選択的に制御することによって、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアの吸着を実施するときには、第2プラズマリアクタ4において、アンモニアの分解を実施する。一方、第2プラズマリアクタ4において、アンモニアの吸着を実施するときには、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアの分解を実施する。そのため、より一層効率的に、水素を製造できる。
【0068】
また、水素製造装置1によれば、まず、窒素タンク5から、窒素を供給し、アンモニア吸着部材(第1アンモニア吸着部材35および第2アンモニア吸着部材36)に吸着したアンモニアを脱離させた後、その脱離させたアンモニアを分解する。そのため、より一層効率的に、水素を製造できる。
【0069】
また、水素製造装置1によれば、アンモニア吸着部材(第1アンモニア吸着部材35および第2アンモニア吸着部材36)に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンク2に回収する。そのため、アンモニアの有効利用を図ることができる。
【0070】
<変形例>
変形例において、一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0071】
一実施形態では、水素製造装置1は、燃料電池100に対して、水素を供給するが、供給先は、限定されない。水素製造装置1は、例えば、水素発電の燃料として、水素を供給することもできる。
【0072】
また、一実施形態では、プラズマリアクタの数は、複数(2つ)であるが、プラズマリアクタの数は、特に限定されず、例えば、1つでもよい。プラズマリアクタの数が1つである場合には、プラズマリアクタにおいて、アンモニアの吸着を実施した後、アンモニアの分解を実施し、これを繰り返す。プラズマリアクタの数は、より一層効率的に、水素を製造する観点から、好ましくは、複数(2以上)である。また、プラズマリアクタの数が複数である場合には、その数は、3つ以上でもよい。
【0073】
また、一実施形態では、制御部7は、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量およびセンサー32Bにより測定されるアンモニアの吸着量に基づいて、第1モードおよび第2モードを制御するが、例えば、予め設定された時間に基づいて、第1モードおよび第2モードを制御することもできる。また、流量センサーにより測定されるアンモニアに対する吸着後の流量変化、および、濃度センサーにより測定されるアンモニアの量に基づいて、第1モードおよび第2モードを制御することもできる。
【0074】
また、一実施形態では、第1三方弁12と、第2三方弁15と、第3三方弁20と、第4三方弁21とによって、第1モードまたは第2モードを選択的に制御するが、第1モードまたは第2モードを選択的に制御する方法は、これに限定されず、例えば、二方弁を用いて、第1モードまたは第2モードを選択的に制御することもできる。また、第1モードまたは第2モードを選択的に制御する方法としては、例えば、第1プラズマリアクタ3と第2プラズマリアクタ4との位置を入れ替える位置移動部材を用いる方法も挙げられる。
【0075】
以下の説明では、位置移動部材として、回転部材34(後述)を用いた変形例について、図4Aおよび図4Bを参照して、詳述する。なお、詳しくは後述するが、第1プラズマリアクタ3の位置と第2プラズマリアクタ4の位置とは、第1モードまたは第2モードの制御に応じて、入れ替え可能である。図4Aは、第1モードを示し、図4Bは、第2モードを示す。
【0076】
水素製造装置1は、アンモニアタンク2と、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ4と、アンモニア供給ライン30と、アンモニア回収ライン31と、窒素タンク5と、窒素供給ライン32と、分離膜6と、窒素水素供給ライン33と、窒素回収ライン22と、水素供給ライン23と、位置移動部材としての回転部材34と、制御部7とを備える。
【0077】
[アンモニアタンク、第1プラズマリアクタ、第2プラズマリアクタ、窒素タンク、分離膜、窒素回収ラインおよび水素供給ライン]
アンモニアタンク2、第1プラズマリアクタ3、第2プラズマリアクタ4、窒素タンク5、分離膜6、窒素回収ライン22、および、水素供給ライン23は、一実施形態と同様である。
【0078】
[アンモニア供給ライン]
アンモニア供給ライン30は、第1モードでは、アンモニアタンク2から、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給する。また、第2モードでは、アンモニア供給ライン30は、アンモニアタンク2から、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給する。アンモニア供給ライン30のアンモニア供給方向における上流側端部は、第1モードおよび第2モードともに、アンモニアタンク2に接続されている。アンモニア供給ライン30のアンモニア供給方向における下流側端部は、第1モードでは、第1プラズマリアクタ3に接続されており、第2モードでは、第2プラズマリアクタ4に接続されている。
【0079】
[アンモニア回収ライン]
アンモニア回収ライン31は、第1モードでは、第1プラズマリアクタ3における第1アンモニア吸着部材35に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンク2に回収(供給)する。また、第2モードでは、アンモニア回収ライン31は、第2プラズマリアクタ4における第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニアを、アンモニアタンク2に回収(供給)する。アンモニア回収ライン31のアンモニア供給方向における上流側端部は、第1モードでは、第1プラズマリアクタ3に接続されており、第2モードでは、第2プラズマリアクタ4に接続されている。アンモニア回収ライン31のアンモニア供給方向における下流側端部は、第1モードおよび第2モードともに、アンモニアタンク2に接続されている。
【0080】
[窒素供給ライン]
窒素供給ライン32は、第1モードでは、窒素タンク5から、第2プラズマリアクタ4に、窒素を供給する。また、第2モードでは、窒素供給ライン32は、窒素タンク5から、第1プラズマリアクタ3に、窒素を供給する。窒素供給ライン32の窒素供給方向における上流側端部は、第1モードおよび第2モードともに、窒素タンク5に接続されている。窒素供給ライン32の窒素供給方向における下流側端部は、第1モードでは、第2プラズマリアクタ4に接続されており、第2モードでは、第1プラズマリアクタ3に接続されている。
【0081】
[窒素水素供給ライン]
窒素水素供給ライン33は、第1モードでは、第2プラズマリアクタ4から、分離膜6に、第2プラズマリアクタ4によって分解された窒素および水素を供給する。また、第2モードでは、窒素水素供給ライン33は、第1プラズマリアクタ3から、分離膜6に、第1プラズマリアクタ3によって分解された窒素および水素を供給する。窒素水素供給ライン33の、窒素および水素の供給方向における上流側端部は、第1モードでは、第2プラズマリアクタ4に接続されており、第2モードでは、第1プラズマリアクタ3に接続されている。窒素水素供給ライン33の、窒素および水素の供給方向における下流側端部は、第1モードおよび第2モードともに、分離膜6に接続されている。
【0082】
[回転部材]
回転部材34は、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4を収容する部材であって、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4の位置を、入れ替える部材である。回転部材34は、それ自体が回転することにより、第1プラズマリアクタ3および第2プラズマリアクタ4の位置を、入れ替える。
【0083】
[制御部]
制御部7は、一実施形態と同様のマイクロコンピュータから構成されている。制御部7は、図4Aおよび図4Bにおいて破線で示すように、第1プラズマリアクタ3におけるセンサー32Aと、第2プラズマリアクタ4におけるセンサー32Bと、回転部材34とに接続されている。これにより、詳しくは後述するが、制御部7は、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量、および、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量に基づいて、回転部材34を作動可能としている。また、制御部7は、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ4と、ポンプ(図示せず)に接続されている。これにより、制御部7は、第1プラズマリアクタ3と第2プラズマリアクタ4と、ポンプ(図示せず)とを適宜制御している。
【0084】
[水素製造装置の動作]
図3を参照して、水素製造装置1の動作について、詳述する。
【0085】
水素製造装置1では、まず、準備モードを実施する(S1)。以下の説明では、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる場合について、詳述する。
【0086】
第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる場合には、図4Bに示すように、制御部7は、回転部材34の制御によって、第2プラズマリアクタ4を、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31と接続できる位置に移動するとともに、第1プラズマリアクタ3を、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33と接続できる位置に移動する。これにより、アンモニアタンク2から、アンモニア供給ライン30を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給して、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる。また、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、アンモニア回収ライン31を介して、アンモニアタンク2に回収する。以上により、準備モードを実施する。
【0087】
次いで、制御部7は、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S2)。センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S2のNo)には、S1に戻って、準備モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S2のYes)には、第1モードを実施する(S3)。
【0088】
第1モードでは、図4Aに示すように、制御部7は、回転部材34の制御によって、第1プラズマリアクタ3を、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31と接続できる位置に移動するとともに、第2プラズマリアクタ4を、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33と接続できる位置に移動する。これにより、アンモニアタンク2から、アンモニア供給ライン30を介して、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給して、第1アンモニア吸着部材35に、アンモニアを吸着させる。また、第1アンモニア吸着部材35に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、アンモニア回収ライン31を介して、アンモニアタンク2に回収する。
【0089】
また、窒素タンク5から、窒素供給ライン32を介して、第2プラズマリアクタ4に、窒素を供給して、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、制御部7は、第2プラズマリアクタ4を起動する(第2プラズマリアクタ4において、プラズマを発生させる)。これにより、第2プラズマリアクタ4において、第2アンモニア吸着部材36に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第2アンモニア吸着部材36から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。そして、第2プラズマリアクタ4によって分解された窒素および水素の混合物を、窒素水素供給ライン33を介して、分離膜6に供給する。
【0090】
分離膜6では、上記混合物から、窒素および水素を分離する。分離された窒素は、窒素回収ライン22を介して、窒素タンク5に回収される。これにより、窒素の有効利用を図ることができる。
【0091】
また、分離された水素は水素供給ライン23を介して、燃料電池100に供給される。
【0092】
次いで、制御部7は、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S4)。センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S4のNo)には、S3に戻って、第1モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Aより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S4のYes)には、第1モードを終了し、第2モードを実施する(S5)。
【0093】
次いで、第2モードでは、図4Bに示すように、回転部材34の制御によって、第2プラズマリアクタ4を、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31と接続できる位置に移動するとともに、第1プラズマリアクタ3を、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33と接続できる位置に移動する。これにより、アンモニアタンク2から、アンモニア供給ライン30を介して、第2プラズマリアクタ4に、アンモニアを供給して、第2アンモニア吸着部材36に、アンモニアを吸着させる。また、第2アンモニア吸着部材36に吸着しないアンモニア(余剰のアンモニア)を、アンモニア回収ライン31を介して、アンモニアタンク2に回収する。
【0094】
また、窒素タンク5から、窒素供給ライン32を介して、第1プラズマリアクタ3に、窒素を供給して、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニアを脱離させる。併せて、制御部7は、第1プラズマリアクタ3を起動する(第1プラズマリアクタ3において、プラズマを発生させる)。これにより、第1プラズマリアクタ3において、第1アンモニア吸着部材35に吸着するアンモニア(具体的には、上記窒素の供給によって、第1アンモニア吸着部材35から脱離したアンモニア)を、窒素および水素に分解する。そして、第1プラズマリアクタ3によって分解された窒素および水素の混合物を、窒素水素供給ライン33を介して、分離膜6に供給する。
【0095】
分離膜6では、上記混合物から、窒素および水素を分離する。分離された窒素は、窒素回収ライン22を介して、窒素タンク5に回収される。これにより、窒素の有効利用を図ることができる。また、分離された水素は水素供給ライン23を介して、燃料電池100に供給される。
【0096】
次いで、制御部7は、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、予めメモリに設定された閾値を超えるか否かを判断する(S6)。センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超えていない場合(S6のNo)には、S5に戻って、第2モードを実施する(継続する)。一方、センサー32Bより測定されるアンモニアの吸着量が、閾値を超える場合(S6のYes)には、第2モードを終了する。
【0097】
その後、制御部7は、水素製造装置1の停止信号が入力されていない場合(S7のNo)には、S3に戻って、第1モードを実施する。このような水素製造装置1は、停止信号が入力されるまで(S7のYes)、上記した動作を繰り返す。
【0098】
また、第1モードまたは第2モードを選択的に制御する方法としては、例えば、図4Aおよび図4Bにおいて、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31の位置と、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33の位置とを入れ替えることもできる。具体的には、第1モードでは、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31を、第1プラズマリアクタ3と接続できる位置に移動するとともに、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33を、第2プラズマリアクタ4と接続できる位置に移動する。一方、第2モードでは、窒素供給ライン32および窒素水素供給ライン33を、第1プラズマリアクタ3と接続できる位置に移動するとともに、アンモニア供給ライン30およびアンモニア回収ライン31を、第2プラズマリアクタ4と接続できる位置に移動する。
【符号の説明】
【0099】
1 水素製造装置
2 アンモニアタンク
3 第1プラズマリアクタ
4 第2プラズマリアクタ
5 窒素タンク
6 分離膜
7 制御部
10 第1アンモニア供給ライン
11 第2アンモニア供給ライン
12 第1三方弁
13 第1窒素供給ライン
14 第2窒素供給ライン14
15 第2三方弁
16 第1窒素水素供給ライン
17 第2窒素水素供給ライン
18 第1アンモニア回収ライン
19 第2アンモニア回収ライン
20 第3三方弁
21 第4三方弁
図1
図2
図3
図4