(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031685
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】運搬容器の積み下ろし方法
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B60P1/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135387
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】520039342
【氏名又は名称】株式会社アーク
(74)【代理人】
【識別番号】100174757
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮下 猛至
(57)【要約】
【課題】簡易な構造の運搬容器を用いて、容易にその運搬容器を車両から積み下ろし可能な方法を提供すること。
【解決手段】ベッセル10が荷台52に搭載された状態で、ベッセル10とは別個に用意された後方側支持部材40をベッセル10の後方に取り付けて、そこからベッセル10の前方側を上方に持ち上げ、取り付けた後方側支持部材40を地面60に接地させて、ベッセル10の後方側を支持する。次いで、ベッセル10とは別個に用意された前方側支持部材45をベッセル10の前方に取り付け、そこから一旦持ち上げたベッセル10の前方側を下げ、前方側支持部材45を地面60に設置させて、ベッセル10の前方側を支持する。この状態で、車両50を前進させることで、その車両50からベッセル10を積み下ろす。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、前記運搬容器を積み下ろす方法であって、
前記車両の前進方向を前方側として、
前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態から前記運搬容器の前方側を上方に持ち上げ、前記運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された後方側支持部材にて前記運搬容器の後方側を支持し、
次いで、前記運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された前方側支持部材にて前記運搬容器の前方側が支持されるように、持ち上げた運搬容器の前方側を下げ、
次いで、前記車両を前進させることで、その車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【請求項2】
前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態で前記後方側支持部材を前記運搬容器の後方側に取り付け、
次いで、前記運搬容器の前方側を持ち上げて前記後方側支持部材を地面に接地させることで、地面に接地された前記後方側支持部材にて前記運搬容器の後方側を支持することを特徴とする請求項1記載の前記車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【請求項3】
前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態で前記運搬容器の前方側に前記前方側支持部材を取り付け、
前記運搬容器の前方側を上方に持ち上げて前記運搬容器の後方側を地面に接地された前記後方側支持部材にて支持した後、一旦持ち上げた前記運搬容器の前方側を下すことで、前記前方側支持部材を地面に接地させて、前記運搬容器の前方側を地面に接地された前記前方側支持部材にて支持することを特徴とする請求項1記載の前記車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【請求項4】
前記運搬容器として、前記荷台に積載された状態において前記後方側支持部材と前記前方側支持部材とを収納可能に構成されたものを用いることを特徴とする請求項1記載の前記車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【請求項5】
運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、前記運搬容器を積み下ろす方法であって、
前記車両の前進方向を前方側として、
前記運搬容器の前方側を支持する前方側支持部材と、前記運搬容器の後方側を支持する後方側支持部材とは、予め地面に接地された状態にあり、
前記車両を所定の位置に停車させたうえで、前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態から前記運搬容器の前方側を一旦上方に持ち上げ、その後、持ち上げた前記運搬容器の前方側を下ろすことで、前記運搬容器の後方側を前記後方側支持部材に載せ、前記運搬容器の前方側を前記前方側支持部材に載せて前記運搬容器支持し、
次いで、前記車両を前進させることで、その車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【請求項6】
前記運搬容器の内部の底面に傾斜が生じるように、前記運搬容器を前記後方側支持部材と前記前方側支持部材とで支持することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の前記車両から前記運搬容器を積み下ろす方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートバケット等の建設工事等に用いられる運搬容器を車両から積み下ろす方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設工事現場等では、レディーミクストコンクリート(所謂、生コンクリート)等の資材を運搬容器(ベッセル)に入れ、ダンプカー等の運搬車にて建設工事現場まで運搬する。建設工事現場では、資材を運搬容器に入れたまま工事を進めたい状況も生じ得る。この場合、運搬容器が運搬車から取り外し不能に構成されると、運搬車そのものを建設工事現場に停め置かなければならないため、当該運搬車を用いて他の資材が運べなくなる。このような事態を避けるため、運搬車より運搬容器を積み下ろし可能にした運搬容器が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の運搬容器には、運搬容器を積み下ろしたときに地面に接地させるための伸縮可能な脚が設けられている。この脚は、運搬車に運搬容器が積載されているときには地面と接しない状態に収縮されている。そして、当該脚を伸長して地面に接地させることで運搬容器を地面に固定させるとともに、運搬容器を運搬車から切り離し、その状態で運搬車を移動させることで、運搬容器を運搬車から積み下ろせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運搬車から積み下ろし可能な従来の運搬容器は、上記のような伸縮可能な脚が必要であったため、特殊な構造となり、高価なものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造の運搬容器を用いて、容易にその運搬容器を車両から積み下ろし可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の第1の態様である方法は、運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、前記運搬容器を積み下ろす方法であって、前記車両の前進方向を前方側として、前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態から前記運搬容器の前方側を上方に持ち上げ、前記運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された後方側支持部材にて前記運搬容器の後方側を支持し、次いで、前記運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された前方側支持部材にて前記運搬容器の前方側が支持されるように、持ち上げた運搬容器の前方側を下げ、次いで、前記車両を前進させることで、その車両から前記運搬容器を積み下ろす。
【0008】
第2の態様である方法は、第1の態様の方法において、前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態で前記後方側支持部材を前記運搬容器の後方側に取り付け、次いで、前記運搬容器の前方側を持ち上げて前記後方側支持部材を地面に接地させることで、地面に接地された前記後方側支持部材にて前記運搬容器の後方側を支持する。
【0009】
第3の態様である方法は、第1又は第2の態様の方法において、前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態で前記運搬容器の前方側に前記前方側支持部材を取り付け、前記運搬容器の前方側を上方に持ち上げて前記運搬容器の後方側を地面に接地された前記後方側支持部材にて支持した後、一旦持ち上げた前記運搬容器の前方側を下すことで、前記前方側支持部材を地面に接地させて、前記運搬容器の前方側を地面に接地された前記前方側支持部材にて支持する。
【0010】
第4の態様である方法は、第1から第3のいずれかの態様の方法において、前記運搬容器として、前記荷台に積載された状態において前記後方側支持部材と前記前方側支持部材とを収納可能に構成されたものを用いる。
【0011】
第5の態様である方法は、運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、前記運搬容器を積み下ろす方法であって、前記車両の前進方向を前方側として、前記運搬容器の前方側を支持する前方側支持部材と、前記運搬容器の後方側を支持する後方側支持部材とは、予め地面に接地された状態にあり、前記車両を所定の位置に停車させたうえで、前記運搬容器が前記荷台に搭載された状態から前記運搬容器の前方側を一旦上方に持ち上げ、その後、持ち上げた前記運搬容器の前方側を下ろすことで、前記運搬容器の後方側を前記後方側支持部材に載せ、前記運搬容器の前方側を前記前方側支持部材に載せて前記運搬容器支持し、次いで、前記車両を前進させることで、その車両から前記運搬容器を積み下ろす。
【0012】
第6の態様である方法は、第1から第5のいずれかの態様の方法において、前記運搬容器の内部の底面に傾斜が生じるように、前記運搬容器を前記後方側支持部材と前記前方側支持部材とで支持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様である、運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、その運搬容器を積み下ろす方法によれば、車両の前進方向を前方側として、まず、運搬容器が荷台に搭載された状態から運搬容器の前方側を上方に持ち上げ、運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された後方側支持部材にて、運搬容器の後方側を支持する。次いで、運搬容器とは別個に用意されるものであって地面に接地された前方側支持部材にて運搬容器の前方側が支持されるように、一旦持ち上げた運搬容器の前方側を下げる。この状態で、車両を前進させることで、その車両から運搬容器を積み下ろす。これにより、運搬容器の前方側を上下させることで、地面に接地された、運用容器とは別個に用意される後方側支持部材と前方側支持部材とで、運搬容器を容易に支持し、その状態から車両を前方側に容易に移動させることができる。従って、簡易な構造の運搬容器を用いて、容易にその運搬容器を車両から積み下ろしできるという効果がある。
【0014】
第2の態様の方法によれば、第1の態様の方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、運搬容器が荷台に搭載された状態で後方側支持部材を運搬容器の後方側に取り付け、次いで、運搬容器の前方側を持ち上げて後方側支持部材を地面に接地させることで、地面に接地された後方側支持部材にて運搬容器の後方側を支持する。これにより、運搬容器の後方側に後方側支持部材を取り付け、運搬容器の前方側を持ち上げるだけで、その後方側支持部材を確実に地面に接地させたうえで、その後方側支持部材にて運搬容器の後方側を支持できるという効果がある。
【0015】
第3の態様の方法によれば、第1又は第2の態様の方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、運搬容器の前方側を上方に持ち上げて運搬容器の後方側を地面に接地された後方側支持部材にて支持した状態で、運搬容器の前方側に前方側支持部材を取り付け、次いで、一旦持ち上げた運搬容器の前方側を下すことで、前方側支持部材を地面に接地させて、運搬容器の前方側を地面に接地された前方側支持部材にて支持する。これにより、運搬容器の前方側に前方側支持部材を取り付け、運搬容器の後方側を下ろすだけで、その前方側支持部材を確実に地面に接地させたうえで、その前方側支持部材にて運搬容器の前方側を支持できるという効果がある。
【0016】
第4の態様の方法によれば、第1から3のいずれかの態様の方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、運搬容器が荷台に積載された状態にあっては、後方側支持部材と前方側支持部材とを運搬容器に収納させておくことができる。よって、後方側支持部材及び前方側支持部材を別途運搬したり保管したりすることなく、運搬容器に収納された後方側支持部材と前方側支持部材とを用いて運搬容器を地面に接地させ、容易に運搬容器を積み下ろすことができるという効果がある。
【0017】
第5の態様である、運搬容器を積載可能な荷台を有する車両から、その運搬容器を積み下ろす方法によれば、車両の前進方向を前方側として、運搬容器の前方側を支持する前方側支持部材と、運搬容器の後方側を支持する後方側支持部材とが、予め地面に接地された状態にある。そして、車両を所定の位置に停車させたうえで、運搬容器が荷台に搭載された状態から運搬容器の前方側を一旦上方に持ち上げ、その後、持ち上げた運搬容器の前方側を下ろすことで、運搬容器の後方側を後方側支持部材に載せ、運搬容器の前方側を前方側支持部材に載せて運搬容器支持する。この状態で、車両を前進させることで、その車両から運搬容器を積み下ろす。このように、前方側支持部材と後方側支持部材とを予め地面に接地させておき、運搬容器の前方側を上下させることで、予め接地された後方側支持部材と前方側支持部材とで運搬容器を容易に支持し、その状態から車両を前方側に容易に移動させることができる。従って、簡易な構造の運搬容器を用いて、容易にその運搬容器を車両から積み下ろしできるという効果がある。
【0018】
第6の態様の方法によれば、第1から第5のいずれかの態様の方法が奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、運搬容器の内部の底面に傾斜が生じるように、運搬容器を後方側支持部材と前記前方側支持部材とで支持するので、屋外に保管された運搬容器に雨水が溜まった場合であっても、その傾斜によって容易に運搬容器から雨水を排出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る方法で用いられるベッセルを積載した車両の概略図である。
【
図3】同ベッセルを
図2のIII方向から見た背面図である。
【
図4】(a)は、同ベッセルの開閉板が閉状態にある場合の開閉ゲート部を
図3に示すIVa面で切断した断面図であり、(b)は、同開閉板が閉状態にある場合の開閉レバーを
図2に示すIII方向からみた拡大図であり、(c)は、同開閉板が開状態にある場合の開閉ゲート部を
図3に示すIVa面で切断した断面図であり、(d)は、同開閉板が開状態にある場合の開閉レバーを
図2に示すIII方向からみた拡大図である。
【
図5】(a)は、後方側支持部材の概略構成を示す概略斜視図であり、(b)は、前方側支持部材の概略構成を示す概略斜視図である。
【
図6】(a)は、同ベッセルに後方側支持部材を差し込んだ状態を示した図であり、(b)は、(a)の状態から同ベッセルの前方側を上方に持ち上げて、後方側支持部材を地面に接地させた状態を示した図であり、(c)は、(b)の状態で同ベッセルに前方側支持部材45を差し込んだ状態を示した図である。
【
図7】(a)は、
図6(c)の状態から同ベッセルの前方側を下げ、前方側支持部材を地面に接地させた状態を示した図であり、(b)は、(a)の状態から同ベッセルより車両を前進させる状態を示した図であり、(c)は、車両が同ベッセルから離れ、ベッセルが積み下ろされた状態を示した図である。
【
図8】(a)車両が出入りする側を正面とした場合の、本発明の第2実施形態に係る方法で用いられるベッセル支持部材の右側面図であり、(b)は、同ベッセル支持部材を(a)に示すVIIIb方向(前方側)から見た正面図である。
【
図9】(a)は、ベッセルが積載された車両を同ベッセル支持部材の中に停車させた状態を示した図であり、(b)は、(a)の状態からベッセルの前方側を上方に持ち上げたうえで、後方側吊穴と前方側吊穴とに金属棒を挿入した状態を示した図であり、(c)は、(b)の状態からベッセルの前方側を下方に下げ、ベッセルを同ベッセル支持部材に支持させた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、
図1~
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る方法に用いられる車両50とベッセル(運搬容器)10の概略構成について説明する。
図1は、ベッセル10を積載した車両50の概略図である。
図2は、ベッセル10の概略斜視図である。
図3は、ベッセル10を
図2のIII方向から見た背面図である。
【0022】
車両50は、ベッセル10等の運搬物を積載して運搬可能な運搬車であり、
図1に示す通り、車両50の前進方向である前方側に車両50の運転室51、後方側に荷台52が設けられている。
【0023】
荷台52は、ベッセル10等の運搬容器をはじめとする運搬物を積載可能に構成される。荷台52と車両50との間には、荷台52の前方側を上下させるためのピストンにて構成されるホイスト機構53が取り付けられている。ホイスト機構53は、車両50に設けられた操作ボタン(図示せず)の操作によって伸縮し、ホイスト機構53の伸縮に合わせて、荷台52の前方側を持ち上げたり、下げたりできる。
【0024】
車両50の荷台52に積載されるベッセル10は、レディーミクストコンクリート(生コンクリート)、砂、石、その他の建設資材や、建設によって出された廃棄物等の運搬物を積載するための運搬容器である。ベッセル10は、
図2に示す通り、箱型で上方が開口した凹形状をしており、ベッセル10の内部の底面11が、ベッセル10の外側から見える状態になっている。
【0025】
そして、ベッセル10は、
図2の矢印Fの示す方向が車両50の前方側、即ち、運転室51側となるように、車両50の荷台52に積載される。このベッセル10が車両50の荷台に積載されることで、ベッセル10に積載された運搬物が車両50にて運搬される。
【0026】
また、ベッセル10は、車両50の荷台52から積み下ろしが可能であり、運搬された運搬物は、積み下ろされたベッセル10に積載したまま保管ができる。一方で、車両50は、ベッセル10が積み下ろし可能であるので、一のベッセル10を運搬して、ベッセル10ごと積み下ろせば、その後すぐに他の建設資材等が積載されたベッセル10の運搬にまわることができる。
【0027】
ベッセル10は、
図2に示す通り、その前方上側において、後述の前方側支持部材45(
図5(b)参照)の差込部材48が差し込まれる前方側差込口12が、ベッセル10の右方向と左方向とに向けてそれぞれ左右対称の位置に1か所ずつ、合計2か所設けられている。なお、
図2では、III方向から見た場合のベッセル10の右方向に向けて設けられた前方側差込口12が非図示となっている。
【0028】
詳細は後述するが、これらの前方側差込口12に、それぞれ、前方側支持部材45の差込部材48を差し込むことで、ベッセル10に前方側支持部材45が取り付けられる。そして、ベッセル10に取り付けられた前方側支持部材45の支柱46の下端を地面60(
図7参照)に設置させると、ベッセル10の前方側が支持される。
【0029】
また、ベッセル10は、その後方下側において、後述の後方側支持部材40(
図5(a)参照)の差込部材42が差し込まれる後方側差込口13が、左右対称の位置にそれぞれ1か所ずつ、合計2か所、後方に向いて設けられている。
【0030】
詳細は後述するが、これらの後方側差込口13に、それぞれ、後方側支持部材40の差込部材42を差し込むことで、ベッセル10に後方側支持部材40が取り付けられる。そして、ベッセル10に取り付けられた後方側支持部材40の支柱41の下端を地面60(
図6参照)に接地させると、ベッセル10の後方側が支持される。
【0031】
ベッセル10は、開口された上縁において、右側の縁の後方と左側の縁の後方との左右対称の位置に1か所ずつ、PC鋼線等の吊材を取り付けるための後方側吊穴14aが設けられている。また、ベッセル10は、開口された上縁において、右側の縁の前方と左側の縁の前方との左右対称の位置に1か所ずつ、吊材を取り付けるための前方側吊穴14bが設けられている。
【0032】
これら後方側吊穴14a及び前方側吊穴14bには、それぞれ金属製の棒又は管(以下、まとめて「金属棒」と称す。)を通すことも可能である。後述の第2実施形態では、左右の後方側吊穴14aに通された金属棒を用いて、後方側支持部材72にベッセル10の後方側を支持させ、左右の前方側吊穴14bに通された金属棒を用いて、前方側支持部材71にベッセル10の前方側を支持させる構成となっている。
【0033】
ベッセル10の後方側中央部には、開口部16が設けられ、開口部16にはその開口部16を開閉する開閉ゲート部20が設けられている。即ち、開閉ゲート部20によって開口部16を閉じた状態(閉状態)としたり、開いた状態(開状態)としたりできる。例えば、ベッセル10に水等の液体や生コンクリート等の流動性のある物体が入っている場合、開口部16を開状態とすることで、その開口部16からベッセル10内の物体を外へ排出できる。一方、開口部16が閉状態にある場合は、流動性のある物体をベッセル10内に留めおくことができる。
【0034】
開閉ゲート部20は、
図2及び
図3に示す通り、主として開閉板21と、樋22と、樋壁板23と、回転軸棒支持板24と、回転軸棒25と、接続部材26と、第1開閉アーム27と、第2開閉アーム28と、開閉板支持部材29と、開閉レバー30と、開閉レバー係止板31と、シール材35(
図4参照)と、により構成される。
【0035】
開閉板21は、開口部16を覆うようにして設けられる金属製の板であり、上下方向に可動可能にベッセル10に取り付けられている。開閉ゲート部20は、この開閉板21を上げることで開口部16を開状態とし、開閉板21を下げることで開口部16を閉状態とする。つまり、開閉ゲート部20は、開閉板21を上下させることで開口部16の開状態/閉状態を切り替えることができる。
【0036】
樋22は、開状態の開口部16を介してベッセル10から排出される物体を、後方且つ斜め下方に向けて移動させるための部材である。具体的には、樋22は、物体が流れる底部22aと、その底部22aの左右両端において底部22aから上向きに立設された壁部22bとにより構成される。壁部22bは、ベッセル10から排出された物体が、左右方向から流れ出ることなく、その物体の移動方向が後方且つ斜め下方となるように規制し、また、決定する。
【0037】
樋22は、
図2のIII方向から見た場合の底部22aの奥側(ベッセル10に近い側)に回転軸22cが設けられており、回転軸22cを介して開口部16の下端に回動可能に設置される。また、樋22には、樋22を固定するために、左右の壁部22bそれぞれに、ボルトが挿入可能な第1ボルト挿入孔22b1と第2ボルト挿入孔22b2とが設けられている。
【0038】
樋22は、車両50によるベッセル10の運搬時やベッセル10からの物体の排出を行わない時などの通常時において、後に説明する
図4(a)に示すように、樋22の底部22aの奥側(回転軸22cがある側、即ちベッセル10に設置された側。以下同じ。)よりも、底部22aの手前側(回転軸22cと反対側、即ちベッセル10との設置場所から離れた側。以下同じ。)が上方となるように、立てて収納される。
【0039】
このとき、
図2に示すIII方向から見て、左の壁部22bにある第1ボルト挿入孔22b1は、開閉板21の左側にてベッセル10より突出された回転軸棒支持板24に設けられた第3ボルト挿入孔24aと合わせられ、また、右の壁部22bにある第1ボルト挿入孔22b1は、開閉板21の右側にてベッセル10より突出された回転軸棒支持板24に設けられた第3ボルト挿入孔24aと合わせられる。
【0040】
そして、左右それぞれ、第1ボルト挿入孔22b1と第3ボルト挿入孔24aとを通すようにしてボルトが挿入され、ボルト頭部とナットとで壁部22bと回転軸棒支持板24とを挟むようにしてボルトとナットとが締結される。これにより、樋22は、底部22aの奥側よりも手前側が上方となるように、立った状態で固定される。
【0041】
一方、樋22は、ベッセル10から物体を排出する場合に、底部22aの奥側よりも底部22aの手前側が下方になるように、回転軸22cを回転させながら倒される。このとき、
図2に示すIII方向から見て、左の壁部22bにある第2ボルト挿入孔22b2は、開口部16の左側にてベッセル10より突出された樋壁板23に設けられた第4ボルト挿入孔23aと合わせられ、また、壁部22bにある第2ボルト挿入孔22b2は、開口部16の右側にてベッセル10より突出された樋壁板23に設けられた第4ボルト挿入孔23aと合わせられる。
【0042】
そして、左右それぞれ、第2ボルト挿入孔22b2と第4ボルト挿入孔23aとを通すようにしてボルトが挿入され、ボルト頭部とナットとで壁部22bと樋壁板23とを挟むようにしてボルトとナットとが締結される。これにより、樋22は、底部22aの奥側よりも手前側が下方となった状態で固定される。この底部22aの状態と底部22aの左右において立設された壁部22b及び後述の樋壁板23とによって、樋22は、開口部16から排出される物体を後方且つ斜め下方に向けて移動させることができる。
【0043】
樋壁板23は、樋22が底部22aの奥側よりも手前側が下方となった状態で、樋22の壁部22bと一体になって、ベッセル10から排出された物体の移動方向を規制し、また、決定するための部材である。樋壁板23は、
図2に示すIII方向から見て、開口部16の左右に1つずつ、ベッセル10から後方に向けて突出して設けられる。このとき、
図2に示すIII方向から見て、開口部16の左側の樋壁板23は、樋22の左側の壁部22bの内側(右側面)と接する位置に設けられ、開口部16の右側の樋壁板23は、樋22の右側の壁部22bの内側(左側面)と接する位置に設けられる。また、樋22が立った状態で固定されている場合に、樋壁板23は、樋22の底部22aや壁部22bと干渉せず、底部22a及び壁部22bにより形成される空間に収まる形状となっている。
【0044】
この開口部16の左右にある樋壁板23には、それぞれ第4ボルト挿入孔23aが設けられている。上述の通り、樋22の底部22aの手前側が奥側よりも下方になるように樋22が倒された場合に、左右それぞれにおいて、樋22の壁部22bの第2ボルト挿入孔22b2と樋壁板23の第4ボルト挿入孔23aとを通すようにしてボルトが挿入され、そのボルト頭部とナットとで、壁部22bと樋壁板23とを挟むようにして締結される。
【0045】
これにより、樋22は、底部22aの奥側よりも手前側が下方となった状態で固定される。このとき、樋22の壁部22bと樋壁板23とが一体となって(
図4(c)参照)、ベッセル10から排出された物体の移動方向を規制し、また、決定する。つまり、この樋壁板23の存在によって、開口部16から排出される物体が左右方向から漏れ出すことなく、後方に向けて移動させることができる。
【0046】
特に、樋壁板23は、樋22の奥側においてその役割を発揮する。樋22の壁部22bは、通常時に樋22を立てるために、樋22の奥側においてその高さを低く設定されており、壁部22bでは、開口部16から排出された物体の移動を規制・決定することができない。その壁部22bに成り代わり、樋壁板23が、開口部16から排出された物体の移動を規制・決定する役割を担う。
【0047】
ここで、上述した通り、樋壁板23は、樋22の壁部22bの内側と接するように設けられている。これにより、樋壁板23と樋22の壁部22bとの境界は、開口部16から排出される物体の流れに対して背を向けた位置に形成される。よって、開口部16から排出された物体が、樋壁板23と樋22の壁部22bとの境界において形成される両者の隙間に、その流れによって押し込まれ、詰まりが発生しまうことを抑制できる。従って、物体を排出した後に、その物体の詰まりによって樋22が可動せず、立てた状態で収納できなくなることを抑制できる。
【0048】
回転軸棒支持板24は、後述の回転軸棒25を支持するための部材であり、
図2に示すIII方向から見て、樋壁板23の上方にて開閉板21の左右に1つずつ、ベッセル10から後方に向けて突出して設けられる。このとき、開閉板21の左側の回転軸棒支持板24は、樋22の左側の壁部22bの外側(左側面)と接触可能な位置に設けられ、開閉板21の右側の回転軸棒支持板24は、樋22の右側の壁部22bの外側(右側面)と接触可能な位置に設けられる。
【0049】
左右の回転軸棒支持板24には、回転軸棒25が挿入される孔が貫通されており、その孔に回転軸棒25を挿入することで、回転軸棒25の回転軸が開閉板21と平行且つベッセル10に対して左右方向に延びるように、回転軸棒25が支持される。なお、回転軸棒25と、その回転軸棒25に固着された開閉レバー30とは、回転軸方向(
図2のIII方向からみて左右方向)に所定の範囲(回転軸棒25が、回転軸棒支持板24から外れない範囲)で、移動できるように、回転軸棒支持板24に支持される。
【0050】
また、左右の回転軸棒支持板24には、それぞれ第3ボルト挿入孔24aが設けられている。上述の通り、樋22を収納するために、樋22の底部22aの手前側が奥側よりも上方になるように樋22が立てられた場合に、左右それぞれにおいて、樋22の壁部22bの第1ボルト挿入孔22b1と回転軸棒支持板24の第3ボルト挿入孔24aとを通すようにしてボルトが挿入され、そのボルト頭部とナットとで、壁部22bと回転軸棒支持板24とを挟むようにして締結される。これにより、樋22は、立てられた状態で固定して収納できる。
【0051】
回転軸棒25は、回転軸を軸として回転運動することにより、第1開閉アーム27、第2開閉アーム28と協働して、開閉板21を上下移動させる部材である。回転軸棒25は、
図2のIII方向からみて右側の一端において、接続部材26を介して開閉レバー30と接続されており、後述の通り、使用者が開閉レバー30を操作することによって、回転軸棒25が回転運動する。
【0052】
第1開閉アーム27及び第2開閉アーム28は、回転軸棒25の回転運動を上下方向の力に変換し、その上下方向の力を開閉板21に加えることで開閉板21を上下させる、それぞれアーム状に形成された部材である。第1開閉アーム27の一端は、回転軸棒25に固着される。第2開閉アーム28の一端は、第1開閉アーム27の他端に接続される。第2開閉アーム28は、第1開閉アーム27との接続点が移動すると、その移動にあわせて第2開閉アーム28の一端も移動するとともに、その接続点を支点として、第1開閉アーム27に対して回転可能に取り付けられる。
【0053】
第2開閉アーム28の他端は、開閉板21に固着された開閉板支持部材29と接続される。第2開閉アーム28は、開閉板支持部材29との接続点を支点として、開閉板支持部材29に対して回転可能に取り付けられており、第2開閉アーム28の他端が上下方向に移動するのにあわせて、開閉板支持部材29を介して開閉板21を上下方向に移動させることができる。
【0054】
開閉レバー30は、開閉板21の開閉を行うために使用者により操作されるレバーであり、
図3に示す通り、回転軸部30aと、レバー部30bと、係止部30cとが一体に形成されて構成される。回転軸部30aは、回転軸棒25の回転軸と同一の回転軸にて回転運動する棒状の部材であり、その一端が接続部材26を介して回転軸棒25の一端に固着されている。
【0055】
レバー部30bは、回転軸部30aの途中からその回転軸と垂直に交わる一方向に伸びる棒状のレバーである。使用者がレバー部30bを上げ下げすることで、そのレバー部30bと共に回転軸部30aが回転運動する。そして、回転軸部30aの回転運動は、固着された回転軸棒25にそのまま伝達され、回転軸棒25も併せて回転運動する。回転軸棒25が回転運動すると、第1開閉アーム27及び第2開閉アーム28がその回転運動を上下方向の力に変え、開閉板21を上下させることができる。つまり、レバー部30bを使用者が操作することで、開閉板21による開口部16の開閉を行うことができる。
【0056】
係止部30cは、開閉レバー30の位置を、開閉板21が開状態となる位置に留めておくための部材であり、回転軸部30aの回転軸棒25が固着される一端とは反対側の他端において、その回転軸部30aの回転軸と垂直に交わる一方向に伸びる棒によって構成される。なお、係止部30cが伸びる方向は、レバー部30bが伸びる方向と異なっていてもよいし一致していてもよい。
【0057】
開閉レバー係止板31は、係止部30cを係止するための部材である。ベッセル10には、開閉レバー30の近傍に、後方に向けて開閉レバー係止板31が突出して設けられている。使用者は、レバー部30bを操作し、係止部30cをその開閉レバー係止板31に係止させることで、開閉レバー30の位置を、開閉板21が開状態となる位置に留めておくことができる。
【0058】
ここで、
図4を参照して、開閉ゲート部20の動作について説明する。
図4(a)は、開閉板21が閉状態にある場合の開閉ゲート部20を
図3に示すIVa面で切断した断面図であり、
図4(b)は、開閉板21が閉状態にある場合の開閉レバー30を
図2に示すIII方向からみた拡大図である。また、
図4(c)は、開閉板21が開状態にある場合の開閉ゲート部20を
図3に示すIVa面で切断した断面図であり、
図4(d)は、開閉板21が開状態にある場合の開閉レバー30を
図2に示すIII方向からみた拡大図である。
【0059】
車両50によるベッセル10の運搬時や、ベッセル10からの物体の排出を行わない時などの通常時では、
図4(a)及び(b)に示す通り、樋22は、樋22の底部22aの奥側よりも、底部22aの手前側が上方となるように立ててベッセル10に収納される。また、開閉板21の左右それぞれにおいて、樋22の壁部22bに設けられた第1ボルト挿入孔22b1と、回転軸棒支持板24に設けられた第3ボルト挿入孔24aとを通すようにしてボルトを挿入し、ボルト頭部とナットとで壁部22bと回転軸棒支持板24とを挟むようにしてボルトとナットとを締結することで、樋22が立った状態で固定される。
【0060】
また、この通常時では、自重によって開閉板21が下がり、開口部16が閉じた閉状態となっている。第2開閉アーム28は、自重によって下がった開閉板21により引っ張られ、また、第1開閉アーム27は、開閉板21に引っ張られた第2開閉アーム28により引っ張られた状態で平衡を保っており、その結果、回転軸棒25及びその回転軸棒25に固着された開閉レバー30も回転が止まった状態に保たれている。このとき、開閉レバー30のレバー部30bは、後方に向かって斜め上方向に伸びた状態となっている。また、係止部30cは、開閉レバー係止板31との係止状態が解除されている。
【0061】
一方、ベッセル10から物体を排出する場合、まず、第1ボルト挿入孔22b1と第3ボルト挿入孔24aとに挿入して締結されたボルト及びナットを取り外し、
図4(c)及び(d)に示す通り、底部22aの奥側よりも底部22aの手前側が下方になるように樋22を倒す。そして、開口部16の左右それぞれにおいて、樋22の壁部22bに設けられた第2ボルト挿入孔22b2と、樋壁板23に設けられた第4ボルト挿入孔23aとを通すようにしてボルトを挿入し、ボルト頭部とナットとで壁部22bと回転軸棒支持板24とを挟むようにしてボルトとナットとを締結することで、樋22を固定する。
【0062】
そして、後方に向けて斜め上方向に伸びた状態にあった開閉レバー30のレバー部30bを、使用者が下方向Uに向けて倒すと、回転軸部30aが下方向Uと同じ方向に回転し、あわせて回転軸棒25も同じ方向に回転する。すると、回転軸棒25に固着された第1開閉アーム27が回転軸棒25の回転に合わせて持ち上げられ、更に、第2開閉アーム28が第1開閉アーム27によって持ち上げられる。これにより、開閉板21が第2開閉アーム28によって持ち上げられるので、開口部16が開いた開状態となる。
【0063】
ここで、開閉板21は、その自重によって下がろうとする力が働いており、そのままでは、開口部16を開状態とした開閉板21も開口部16を閉じてしまう。そこで、使用者は、開閉レバー30の係止部30cが、ベッセル10から突出した開閉レバー係止板31よりも高い位置となった段階で、開閉レバー30を
図2のIII方向から見て右方向にずらし、開閉レバー係止板31の上に係止部30cを位置させる。そして、使用者はその段階でレバー部30bを離すと、開閉板21の重みによって開閉レバー30が元に戻ろうとし、係止部30cが開閉レバー係止板31の高さまで下がって、その開閉レバー係止板31に引っかかる。
【0064】
これにより、係止部30cが開閉レバー係止板31に係止され、開閉レバー30がその位置で停止する。開閉レバー30が停止することで、回転軸棒25の回転も停止し、あわせて第1開閉アーム27及び第2開閉アーム28も停止する。よって、開閉板21が開口部16を開状態で保持できる。
【0065】
開口部16が開状態の開閉板21を、開口部16が閉状態となるようにしたい場合は、開閉レバー30を
図2のIII方向から見て左方向にずらし、開閉レバー係止板31の上に係止部30cが位置しないようにする。これにより、開閉板21の自重によって、開閉板21は下がり、
図4(a)に示す閉状態となる。
【0066】
ここで、開口部16の下端には、ベッセル10の底面11から樋22の底部22aにかけて、シール材35が設置されている。このシール材35によって、開閉板21を下げたときに、その開閉板21が開口部16の下端に強い衝撃を与えることを抑制する。これにより、開閉板21の開閉を繰り返すことで、開閉板21や開口部16に歪みが生じて、開口部16を閉状態にしても、ベッセル10に積載した物体が漏れ出すといった事態が生じることを抑制できる。
【0067】
また、開口部16を開状態にして、ベッセル10に積載した物体を排出される場合にも、シール材35の存在によって、その排出される物体がベッセル10と樋22との接続部分に引っかかったり、その接続部分から漏れ出したりすることを抑制でき、スムーズに物体を排出できる。
【0068】
次いで、
図5を参照して、後方側支持部材40及び前方側支持部材45の構成について説明する。
図5(a)は、後方側支持部材40の概略構成を示す概略斜視図であり、
図5(b)は、前方側支持部材45の概略構成を示す概略斜視図である。
【0069】
まず、後方側支持部材40は、ベッセル10と別個に設けられるもので、ベッセル10を車両50から積み下ろすときにベッセル10の後方側を支持する部材である。後方側支持部材40は、
図5(a)に示す通り、支柱41と、差込部材42とを有している。
【0070】
支柱41は、地面60(
図6参照)に対して長手方向が上下方向となるように立てられ、ベッセル10の後方側を地面60に対して支える柱状の部材である。支柱41は、長手方向の一端である下端を地面60と接地させることで、ベッセル10の後方側を地面60に対して支持する。
【0071】
差込部材42は、ベッセル10と支柱41とを接続するための部材であり、差込部42aと、環状部42bとを有している。差込部42aは、ベッセル10の後方側差込口13(
図2参照)に差し込まれることで、ベッセル10と支柱41とを接続する棒状の部位である。差込部42aは、環状部42bの一側面から、支柱41の長手方向に対して垂直方向よりも所定角度上向きに所定の長さで伸びて構成される。
【0072】
差込部42aが所定角度上向きに構成されることで、差込部42aが差し込まれたベッセル10を、前方側が高く後方側が低くなるように支持したとしても、支柱41の長手方向が略鉛直方向となるように立てて、後方側支持部材40にてベッセル10の後方側を支持できる。
【0073】
環状部42bは、支柱41の長手方向を貫通させて外嵌できるように内側が空洞化された部位である。環状部42bを支柱41に外嵌させることで、差込部材42が、支柱41の長手方向に摺動可能に構成される。
【0074】
ここで、支柱41には、少なくとも一側面、好ましくは相対する二つの側面に、複数の孔が長手方向に所定の範囲にわたって並んで設けられている。また、環状部42bにも、支柱41に外嵌した場合に支柱41の複数の孔が設けられた側面と対向する側面において、複数の孔が長手方向に並んで設けられている。
図5(a)に示す例では、環状部42bの孔の間隔は、支柱41の孔の間隔の半分となるように、各々の孔が設けられているが、それぞれの孔の間隔は任意のものであってよい。
【0075】
使用者は、差込部42aが所望の高さの位置となるように、環状部42bを支柱41に外嵌させて長手方向に摺動させる。そして、差込部42aが所望の高さとなったところで、環状部42bに設けられた少なくとも1つの孔と、支柱41に設けられた少なくとも1つの孔とを重ね合わせ、それらの孔にボルト43を嵌め込む。これにより、差込部42aが所望の高さで支柱41に固定させることができ、ベッセル10の後方側をその所望の高さで支持できる。
【0076】
次いで、前方側支持部材45は、ベッセル10と別個に設けられるもので、ベッセル10を車両50から積み下ろすときにベッセル10の前方側を支持する部材である。前方側支持部材45は、
図5(b)に示す通り、支柱46と、差込部材48と、環状部材47と、を有している。
【0077】
支柱46は、地面60(
図7参照)に対して長手方向が上下方向となるように立てられ、ベッセル10の前方側を地面60に対して支える柱状の部材である。支柱46は、長手方向の一端である下端を地面60と接地させることで、ベッセル10の前方側を地面60に対して支持する。
【0078】
差込部材48は、ベッセル10と支柱46とを接続するための棒状且つ直方体の部材である。差込部材48は、ベッセル10の前方側差込口12(
図2参照)に差し込まれることで、ベッセル10と支柱41とを接続する。
【0079】
ここで、差込部材48は、長手方向の一端に差込部材48を環状部材47へ取着するための取着部48aを有している。取着部48aは、差込部材48の外周において外側に向けて突出した環状の板に、複数の孔が環状に並んで設けられている。
【0080】
環状部材47は、内側が支柱46の長手方向を貫通させて外嵌できるように空洞化された部材であり、一側面に差込部材48が脱着される脱着部47aが設けられている。環状部材47は、支柱46に外嵌されることで、脱着部47aに取着された差込部材48を、支柱46の長手方向に摺動可能に構成される。
【0081】
脱着部47aは、差込部材48に設けられた取着部48aと略同一に環状に並んだ孔が設けられた環状の板により構成された部材である。差込部材48の取着部48aと、環状部材47の脱着部47aとがこのような構成であるので、差込部材48を、長手方向を回転軸として所望の角度に回転させて取着できる。よって、ベッセル10を前方側が高く後方側が低くなるように支持するために、前方側差込口12が斜めに開口された状態となっても、差込部材48を所望の角度に回転させて前方側差込口12に差し込むことで、支柱46の長手方向が略鉛直方向となるように立てて、前方側支持部材45にてベッセル10の前方側を支持できる。
【0082】
また、支柱46には、少なくとも一側面、好ましくは相対する二つの側面、更に好ましくは脱着部47aが設けられていない側面に、複数の孔が長手方向に所定の範囲にわたって並んで設けられている。また、環状部材47にも、支柱46に外嵌した場合に支柱46の複数の孔が設けられた側面と対向する側面において、複数の孔が長手方向に並んで設けられている。環状部材47の孔の間隔と、支柱46の孔の間隔とは、後方側支持部材40と同様にそれぞれ任意の間隔であってよい。
【0083】
この構成により、使用者は、後方側支持部材40と同様に、環状部材47を所望の高さで支柱41に固定させることができ、その環状部材47に取着された差込部材48をベッセル10に差し込むことで、ベッセル10の後方側をその所望の高さで支持できる。
【0084】
なお、ベッセル10を支持する2つの後方側支持部材40と2つの前方側支持部材45とは、ベッセル10が車両50にて運搬されるときにはベッセル10から取り外されている。このとき、これら後方側支持部材40及び前方側支持部材45は、ベッセル10が荷台52に積載された状態において、ベッセル10の任意の場所に収納される。例えば、ベッセル10の底面11と荷台52との間に形成される空間に収納されてもよい。
【0085】
これにより、ベッセル10が荷台52に積載された状態にあっては、後方側支持部材40と前方側支持部材45とをベッセル10に収納させておくことができる。よって、後方側支持部材40及び前方側支持部材45を別途運搬したり保管したりすることなく、ベッセル10に収納された後方側支持部材40と前方側支持部材45とを用いてベッセル10を地面60に接地させ、容易にベッセル10を積み下ろすことができる。
【0086】
ここで、後方側支持部材40は、支柱41に差込部材42が取着された状態でベッセル10に収納可能であってもよい。また、前方側支持部材45は、支柱46に環状部材47及び差込部材48が取着された状態でベッセル10に収納可能であってもよい。これにより、ベッセル10から後方側支持部材40又は前方側支持部材45をそのままベッセル10に差し込んで、即座にベッセル10の積み下ろしを行う事ができる。
【0087】
また、後方側支持部材40は、支柱41と差込部材42とが分かれた状態でベッセル10に収納可能であってもよい。また、前方側支持部材45は、支柱46と環状部材47と差込部材48との少なくとも一部が分かれた状態でベッセル10に収納可能であってもよい。これにより、後方側支持部材40又は前方側支持部材45をコンパクトにしてベッセル10に収納できるので、各々の部材を収納するために必要な空間を小さくできる。
【0088】
次いで、
図6及び
図7を参照して、ベッセル10を車両50から積み下ろす方法について説明する。
図6(a)は、ベッセル10に後方側支持部材40を差し込んだ状態を示した図であり、
図6(b)は、
図6(a)の状態からベッセル10の前方側を上方に持ち上げて、後方側支持部材40を地面60に接地させた状態を示した図であり、
図6(c)は、
図6(b)の状態でベッセル10に前方側支持部材45を差し込んだ状態を示した図である。
【0089】
また、
図7(a)は、
図6(c)の状態からベッセル10の前方側を下げ、前方側支持部材45を地面60に接地させた状態を示した図であり、
図7(b)は、
図7(a)の状態からベッセル10より車両50を前進させる状態を示した図であり、
図7(c)は、車両50がベッセル10から離れ、ベッセル10が積み下ろされた状態を示した図である。なお、
図6及び
図7において、車両50の運転室51を省略して図示してあるが、荷台52の前方側(
図6及び
図7の紙面左側)に運転室51が設けられている。
【0090】
車両50の荷台52に積載されたベッセル10を車両50から積み下ろす場合、まず、
図6(a)に示すように、ベッセル10が荷台52に積載された状態で、ベッセル10の後方左下側において後方に向けて設けられた後方側差込口13に、1つの後方側支持部材40の支柱41に対して所定の高さに取り付けられた差込部材42の差込部42aを差し込む。また、図示はされていないが、ベッセル10の後方右下側に、後方に向けて設けられた後方側差込口13に対しても同様に、もう1つの後方側支持部材40の差込部42aを差し込む。これにより、ベッセル10の後方側に、2つの後方側支持部材40が取り付けられる。
【0091】
次に、
図6(b)に示すように、車両50のホイスト機構53を伸ばして荷台52の前方側を持ち上げることで、荷台52に積載されたベッセル10の前方側が上方に持ち上げられる。これにより、後方側支持部材40の支柱41の長手方向の下端が地面60に接地し、その地面60に接地された後方側支持部材40にてベッセル10の後方側が支持される。
【0092】
次いで、
図6(c)に示すように、ベッセル10の前方左上側に、左方向に向けて設けられた前方側差込口12に、1つの前方側支持部材45の支柱46に対して、環状部材47を介して所定の高さに取り付けられた差込部材48を差し込む。このとき、差込部材48は、ベッセル10の底面11の前方側がその底面11の後方側よりも高くなる傾斜を生じさせるように、支柱46に取着される。また、図示はされていないが、ベッセル10の前方右上側に、右方向に向けて設けられた前方側差込口12に対しても同様に、もう1つの前方側支持部材45の差込部材48を差し込む。これにより、ベッセル10の前方側に、2つの前方側支持部材45が取り付けられる。
【0093】
次に、
図7(a)に示すように、車両50のホイスト機構53を縮めて荷台52の前方側を下げることで、荷台52に積載されたベッセル10の前方側が下げられる。これにより、前方側支持部材45の支柱46の長手方向の下端が地面60に接地し、その地面60に接地された前方側支持部材45にてベッセル10の前方側が支持される。つまり、この時点で、ベッセル10が2つの後方側支持部材40と2つの前方側支持部材45とで支持された状態となる。
【0094】
次いで、
図7(b)に示すように、車両50のホイスト機構53を更に縮めて荷台52の前方側を最後まで完全に下ろす。ベッセル10は、後方側支持部材40と前方側支持部材45とで支持されているため、この段階でベッセル10は荷台52から離れた状態となる。そして、
図7(b)の状態で、
図7(c)に示すように、車両50を前進させることで、車両50からベッセル10を積み下ろすことができる。
【0095】
積み下ろしたベッセル10を車両50に再び積載するには、積み下ろす方法とは逆の手順で行えばよい。即ち、車両50を後退させて、後方側支持部材40と前方側支持部材45とで支持されたベッセル10の下方に荷台52を挿入する。そして、ホイスト機構53を伸ばし、ベッセル10の前方側が持ち上がるまで荷台52の前方側を上昇させる。これにより、前方側支持部材45が地面60から浮くので、前方側支持部材45をベッセル10から取り外す。
【0096】
次いで、ホイスト機構53を縮めてベッセル10の前方側を最後まで下ろすと、ベッセル10が荷台52に積載された状態で、後方側支持部材40が地面60から浮く。そこで、後方側支持部材40をベッセル10から取り外す。以上の手順で、ベッセル10を車両50の荷台52に積載することができる。
【0097】
以上説明した第1実施形態に係る車両50からベッセル10を積み下ろす方法は、次の効果を奏する。
【0098】
(1)ベッセル10が荷台52に搭載された状態で、ベッセル10とは別個に用意された後方側支持部材40をベッセル10の後方に取り付けて、そこからベッセル10の前方側を上方に持ち上げ、取り付けた後方側支持部材40を地面60に接地させて、ベッセル10の後方側を支持する。次いで、ベッセル10とは別個に用意された前方側支持部材45をベッセル10の前方に取り付け、そこから一旦持ち上げたベッセル10の前方側を下げ、前方側支持部材45を地面60に設置させて、ベッセル10の前方側を支持する。この状態で、車両50を前進させることで、その車両50からベッセル10を積み下ろすことができる。
【0099】
このように、ベッセル10の前方側を上下させることで、地面60に接地された、ベッセル10とは別個に用意される後方側支持部材40と前方側支持部材45とで、ベッセル10を容易に支持し、その状態から車両50を前方側に容易に移動させることができる。従って、ベッセル10そのものにベッセル10を支持するための複雑な構造を不要とし、簡易な構造のベッセル10を用いて、容易にそのベッセル10を車両50から積み下ろしできる。
【0100】
(2)ベッセル10は積み下ろされた場所で保管されたまま、車両50を移動させることができるので、車両50は、他のベッセル10の運搬を行うことができる。
【0101】
(3)ベッセル10が荷台52に搭載された状態で後方側支持部材40をベッセル10の後方側に取り付け、次いで、ベッセル10の前方側を持ち上げて後方側支持部材40を地面60に接地させることで、地面60に接地された後方側支持部材40にてベッセル10の後方側を支持する。これにより、ベッセル10の後方側に後方側支持部材40を取り付け、ベッセル10の前方側を持ち上げるだけで、その後方側支持部材40を確実に地面60に接地させたうえで、その後方側支持部材40にてベッセル10の後方側を支持できる。
【0102】
(4)ベッセル10の前方側を上方に持ち上げてベッセル10の後方側を地面60に接地された後方側支持部材40にて支持した状態で、ベッセル10の前方側に前方側支持部材45を取り付け、次いで、一旦持ち上げたベッセル10の前方側を下すことで、前方側支持部材45を地面60に接地させて、ベッセル10の前方側を地面60に接地された前方側支持部材45にて支持する。これにより、ベッセル10の前方側に前方側支持部材45を取り付け、ベッセル10の後方側を下ろすだけで、その前方側支持部材45を確実に地面60に接地させたうえで、その前方側支持部材45にてベッセル10の前方側を支持できる。
【0103】
(5)ベッセル10の内部の底面11に傾斜を生じさせるように、ベッセル10を後方側支持部材40と前記前方側支持部材45とで支持するので、屋外に保管されたベッセル10に雨水が溜まった場合であっても、その傾斜によって容易にベッセル10から雨水を排出できる。特に、本実施形態では、底面11の前方側がその底面11の後方側よりも高くなる傾斜が生じるように、ベッセル10が支持されるので、その傾斜によってベッセル10の後方側に集まった雨水は、開口部16を開状態とすることで容易に排出できる。
【0104】
(第2実施形態)
次いで、
図8及び
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る車両50からベッセル10を積み下ろす方法について説明する。第1実施形態に係る方法では、ベッセル10に後方側支持部材40及び前方側支持部材45を取り付けて、ベッセル10を支持した。これに対し、第2実施形態に係る方法は、前方側支持部材71と後方側支持部材72とが一体的に形成されたベッセル支持部材70が、予め地面60に接地された状態にあり、そのベッセル支持部材70にベッセル10を載せることで、ベッセル10を支持する。
【0105】
以下、第2実施形態に係る車両50からベッセル10を積み下ろす方法について、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。第1実施形態と同一構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0106】
まず、
図8を参照して、第2実施形態に係る方法で用いられるベッセル支持部材70について説明する。
図8(a)は、車両50が出入りする側を正面とした場合のベッセル支持部材70の右側面図であり、
図8(b)は、ベッセル支持部材70を
図8(a)に示すVIIIb方向(前方側)から見た正面図である。なお、
図8(a)において、紙面左側が前方側である。
【0107】
ベッセル支持部材70は、正面に対して左右にそれぞれ1つずつ、前方側支持部材71と後方側支持部材72とが一体的に形成されて構成されたものであり、予め地面60に設置されている。正面に対して左側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72と右側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72とは、側面からみた場合にそれぞれ略同一の位置に設置される。
【0108】
また、正面からみた場合に、左側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72と右側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72との間隔は、車両50の幅よりも広く設定される。これにより、左側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72と右側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72との間に、車両50を出し入れすることが可能である。
【0109】
前方側支持部材71は、第1梁71aと、第1柱71bと、第2柱71cと、筋交い71dとにより少なくとも構成される。第1梁71aは、地面60に対して所定の高さで、長手方向が地面60と平行に設置される部材であり、第1梁71aにベッセル10の前方側が載せられる。
【0110】
第1柱71bは、一端が第1梁71aの前方側に接続され、他端が地面60に接地された長手方向が鉛直方向に設置される部材である。第2柱71cは、一端が第1梁71aの後方側に接続され、他端が地面60に接地された長手方向が鉛直方向に設置される部材である。
【0111】
即ち、第1柱71b及び第2柱71cによって、第1梁71aが支持され、これら第1梁71a、第1柱71b及び第2柱71cによって、第1梁71aに載せられたベッセル10の前方側が支持される。また、前方側支持部材71には、筋交い71dが取り付けられており、第1梁71aにベッセル10の前方側が載せられても、前方側支持部材71が倒壊することを抑制する。
【0112】
後方側支持部材72は、第2梁72aと、第3柱72bと、筋交い72cとにより少なくとも構成される。第2梁72aは、地面60に対して所定の高さで、長手方向が地面60と平行に設置される部材であり、第2梁72aにベッセル10の後方側が載せられる。ここで、第2梁72aが設置される高さは、前方側支持部材71の第1梁71aが設置される高さよりも低く設定される。これにより、ベッセル10の底面11の前方側がその底面11の後方側よりも高くなる傾斜を生じさせるように、ベッセル10を支持することができる。
【0113】
第3柱72bは、一端が第2梁72aの後方側に接続され、他端が地面60に接地された長手方向が鉛直方向に設置される部材である。第2梁72aの前方側は、一体的に形成された前方側支持部材71の第2柱71cに接続されている。
【0114】
これにより、第3柱72b及び第2柱71cによって、第2梁72aが支持され、これら第2梁72a、第3柱72b及び第2柱71cによって、第2梁72aに載せられたベッセル10の後方側が支持される。また、後方側支持部材72には、筋交い72cが取り付けられており、第2梁72aにベッセル10の後方側が載せられても、後方側支持部材72が倒壊することを抑制する。
【0115】
また、ベッセル支持部材70の後方側には、車止めとしてのパーキングブロック73が設けられている。車両50に積載されたベッセル10をベッセル支持部材70に積み下ろす場合に、パーキングブロック73を目印として車両50を所定の位置で停車するように後退させることで、ベッセル10と前方側支持部材71及び後方側支持部材72との位置合わせを容易に行うことができる。
【0116】
次いで、
図9を参照して、第2実施形態に係るベッセル10を車両50から積み下ろす方法について説明する。
図9(a)は、ベッセル10が積載された車両50をベッセル支持部材70の中に停車させた状態を示した図であり、
図9(b)は、
図9(a)の状態からベッセル10の前方側を上方に持ち上げたうえで、後方側吊穴14aと前方側吊穴14bとに金属棒を挿入した状態を示した図であり、
図9(c)は、
図9(b)の状態からベッセル10の前方側を下方に下げ、ベッセル10をベッセル支持部材70に支持させた状態を示した図である。
【0117】
車両50の荷台52に積載されたベッセル10を車両50から積み下ろす場合、まず、
図9(a)に示すように、左側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72と右側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72との間に、車両50を後退させ、パーキングブロック73を目印にして所定の位置に車両50を停車させる。なお、ここでいう「停車」は、車両50を所定の位置に止めることを指し、必ずしも道路交通法で規定される「停車」を意味するものではない。
【0118】
次に、
図9(b)に示すように、車両50のホイスト機構53を伸ばして荷台52の前方側を持ち上げることで、ベッセル10の前方側を上方に持ち上げる。そして、後方側吊穴14aが後方側支持部材72の第2梁72aよりも高い位置となり、且つ、前方側吊穴14bが前方側支持部材71の第1梁71aよりも高い位置となった段階で、荷台52の前方側の上昇を停止し、左右にある後方側吊穴14aに金属棒81を挿入し、また、左右にある前方側吊穴14bに金属棒82を挿入する。
【0119】
次いで、
図9(c)に示すように、車両50のホイスト機構53を縮めて荷台52の前方側を下げることで、荷台52に積載されたベッセル10の前方側を下げる。これにより、左右の後方側吊穴14aに挿入された金属棒81が後方側支持部材72の第2梁72aに載り、また、左右の前方側吊穴14bに挿入された金属棒82が前方側支持部材71の第1梁71aに載ることで、ベッセル10がベッセル支持部材70にて支持され、また、車両50の荷台52から離れた状態となる。その後、車両50を前進させることで、車両50からベッセル10を積み下ろすことができる。
【0120】
積み下ろしたベッセル10を車両50に再び積載するには、積み下ろす方法とは逆の手順で行えばよい。即ち、左側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72と右側に設置される前方側支持部材71及び後方側支持部材72との間に、車両50を後退させ、パーキングブロック73を目印にして所定の位置に車両50を停車させる。そして、ホイスト機構53を伸ばして荷台52の前方側を上方に持ち上げる。すると、ベッセル支持部材70に支持されていたベッセル10が荷台52に載り、上昇する荷台52にあわせて、ベッセル10も上昇する。
【0121】
その後、左右の後方側吊穴14aに挿入された金属棒81が後方側支持部材72の第2梁72aから離れ、左右の前方側吊穴14bに挿入された金属棒82が前方側支持部材71の第1梁71aから離れるので、金属棒81,82を取り外し、次いで、車両50のホイスト機構53を縮めて荷台52の前方側を下げて、荷台52に積載されたベッセル10の前方側を下げる。これにより、
図9(a)に示すように、ベッセル10が車両50の荷台52に積載された状態となる。
【0122】
以上説明した第2実施形態に係る車両50からベッセル10を積み下ろす方法は、次の効果を奏する。
【0123】
(5)車両50を所定の位置に停車させたうえで、ベッセル10が荷台52に搭載された状態からベッセル10の前方側を一旦上方に持ち上げ、その後、持ち上げたベッセル10の前方側を下ろすことで、ベッセル10の後方側を、予め地面60に接地された後方側支持部材72に載せ、ベッセル10の前方側を予め地面60に接地された前方側支持部材71に載せてベッセル10を支持する。この状態で、車両50を前進させることで、その車両50からベッセル10を積み下ろす。このように、前方側支持部材71と後方側支持部材72とを予め地面60に接地させておき、ベッセル10の前方側を上下させることで、予め接地された前方側支持部材71と後方側支持部材72とでベッセル10を容易に支持し、その状態から車両50を前方側に容易に移動させることができる。従って、簡易な構造のベッセル10を用いて、容易にそのベッセル10を車両50から積み下ろしできる。
【0124】
その他、第1実施形態に係る方法と同様の構成又は工程若しくはステップにより、同様の作用効果を奏する。
【0125】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0126】
上記実施形態では、前方側に運転室51が設けられ、後方側に荷台52が設けられた車両50を用いる場合について説明したが、車両50として、ベッセル10が積載される荷台52があれば、運転室51がなく無人運転可能なものであってもよいし、荷台52の前後に運転室51が設けられたものであってもよい。この場合、車両50が前進する方向が規定できるものについては、その前進方向を前方向として本発明を捉えることができる。一方、車両50の前進方向が規定できないもの(いずれの方向も前進と捉えられる車両)については、一の方向を前進方向と定めて本発明を捉えることができる。
【符号の説明】
【0127】
10 ベッセル(運搬容器)
11 床面
40 後方側支持部材
45 前方側支持部材
50 車両
52 荷台
60 地面
71 前方側支持部材
72 後方側支持部材
F 前方側