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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031693
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】センターシール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B65B51/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135407
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光太
(72)【発明者】
【氏名】安西 紀浩
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健二
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA13
3E094BA11
3E094CA06
3E094DA08
3E094DA10
3E094EA04
3E094GA13
3E094GA30
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】 安定したセンターシールを施すことができ、生産性を高めること。
【解決手段】 センターシール装置22は、開閉可能な一対のヒータバー25と、サーボモータ28と、その回転動力をヒータバー25の開閉運動に変換する動力変換機構27と、ヒータバー25の開閉動作を制御する制御手段60とを備える。装置22は、ヒータバーの隙間量を測定する変位測定手段50を備え、制御手段60は、サーボアンプ61と、目標隙間量にヒータバー25を駆動させるように指令する駆動指令部63と、上記隙間量情報に基づいてヒータバー25の現在の隙間量を算出する隙間量算出部65と、現在の隙間量と目標隙間量との誤差が許容範囲か判定する判定部64を備え、駆動指令部63は、許容範囲にないと、サーボアンプ61に補正駆動を指令する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される帯状包装材の重ね合わされた両側端縁部を挟み込むように隙間をおいて対向配置された開閉可能な一対のヒータバーと、回転動力を出力するサーボモータと、前記回転動力を前記一対のヒータバーの開閉運動に変換する動力変換機構と、前記一対のヒータバー間を通過する際に加熱された前記両側端縁部を圧着する圧着手段と、前記サーボモータを介して前記一対のヒータバーの開閉動作を制御する制御手段と、を備えるセンターシール装置であって、
前記一対のヒータバーの隙間量を測定する変位測定手段を備え、
前記制御手段は、
前記サーボモータの回転動作を制御するサーボアンプと、
予め設定された目標隙間量となる位置に前記一対のヒータバーを駆動させるように前記サーボアンプを指令する駆動指令部と、
前記変位測定手段から出力される隙間量情報に基づいて前記一対のヒータバーの現在の隙間量を算出する隙間量算出部と、
前記現在の隙間量と前記目標隙間量との誤差が予め設定された許容範囲内にあるか判定する判定部と、を備え、
前記駆動指令部は、前記誤差が予め設定された許容範囲にないと前記判定部が判定すると、前記サーボアンプに対して補正駆動を追加で指令することを特徴とする、センターシール装置。
【請求項2】
前記駆動指令部は、閉じ動作時に、前記一対のヒータバーが前記目標隙間量の前記許容範囲内に入るまで、前記サーボアンプに前記補正駆動を繰り返し指令することを特徴とする、請求項1に記載のセンターシール装置。
【請求項3】
前記駆動指令部は、運転中に、前記誤差が前記許容範囲を超えると、前記一対のヒータバーが前記目標隙間量の前記許容範囲内に入るまで、前記サーボアンプに前記補正駆動を繰り返し指令することを特徴とする、請求項1に記載のセンターシール装置。
【請求項4】
前記変位測定手段を前記一対のヒータバーに対して備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンターシール装置。
【請求項5】
前記一対のヒータバーは、前記一対のヒータバーをそれぞれ別々に支持する一対のヒータバー基部を有し、
前記変位測定手段は、前記一対のヒータバー基部のうちの一方のヒータバー基部に設けられた変位センサと、前記変位センサに対応して他方のヒータバー基部に対向配置された被測定領域とを備え、前記変位センサは、前記前記変位センサと前記被測定領域との間の相対変位を測定することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンターシール装置。
【請求項6】
前記変位センサは、前記一方のヒータバー基部の下面側に配設され、前記被測定領域も、前記他方のヒータバー基部の下面側に形成されていることを特徴とする、請求項5に記載のセンターシール装置。
【請求項7】
前記前記変位センサ及び前記被測定領域は、前記一対のヒータバー基部の中心領域に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載のセンターシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機用のシール装置に関し、より詳細には、横型製袋充填包装機用のセンターシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される帯状包装材の重ね合わされた包装材両側端縁部にセンターシールを施して筒状包装材を形成し、この中に製品を送り込んでこの製品の前後でエンドシールを施し、切断を行って袋包装体を製造する包装機は、一般に、横型製袋充填包装機として知られており、このセンターシールを施す装置についても、センターシール装置として知られている。
【0003】
図13には、このようなセンターシール装置を備えた横型製袋充填包装機(以下、単に「包装機」ともいう)の一例が示されている。この一例の包装機100は、原反ロールFrから帯状包装材Fwを引き出して搬送する搬送手段101と、搬送される帯状包装材Fwの両側端縁部を下向きに湾曲させて包装材Fwの下方側で合掌状に重ね合わせる製袋器102と、湾曲した包装材の内部に製品Pを送り込む製品供給装置103と、製袋器102の出口側に配置され、当該両側端縁部に対してヒートシールを施して筒状包装材Ftを形成するセンターシール装置104と、筒状包装材Ftにエンドシールを施した上でこれを切断するカッター機構付きのエンドシール装置105と、これらの各構成要素の動作を制御する制御手段(図示せず)とを備えて構成されている。このように構成された包装機100を用いることで、製品Pが個別に包装されている袋包装体Bpを生産することができる。
【0004】
次に、上記構成のうち、センターシール装置104について説明する。センターシール装置104は、包装材加熱用のヒータ(図示せず)をそれぞれ内蔵した一対のヒータバー112備えている。また、センターシール装置104には、ヒータバー112の入口側に配置され、一対のヒータバー112の隙間に筒状包装材Ftの両側端縁部を所定の搬送速度で連続的に送り込む一対の紙引きローラ(第2の包装材搬送手段)111と、一対のヒータバー112の出口側に配置され、ヒータバー112により加熱された両側端縁部を両面側から挟んで圧着する一対の圧着ローラ115とが備えられている。
【0005】
上述したヒータバー112を用いて、筒状包装材Ftの両側端縁部にセンターシールを施すためには、一対の圧着ローラ115により圧着する前に、各ヒータバーから包装材の両側端縁部に十分な熱が伝達されている必要がある。このためには、前記両側端縁部が、適切な隙間量で一対のヒータバー112により挟まれている必要がある。
【0006】
そこで、一対のヒータバー112は、外部から駆動力により包装材搬送方向に直交する向き、すなわち包装材横断方向に開閉可能となるように支持されている。また、センターシール装置104には、サーボモータ113と、このサーボモータ113からの回転動力を一対のヒータバー112を開閉させる開閉運動に変換する動力変換機構114とが備えられている。したがって、サーボモータ113を回転駆動すると、その動力が動力伝達機構114を介して一対のヒータバー112へそれぞれ伝達され、一対のヒータバー112を開閉させることができる。
【0007】
このような横型充填包装機のセンターシール装置104は、特許文献1に例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-250756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、ユーザのニーズに応じて様々な包装用フィルムを用いて包装を実施する機会が増えている。例えば、プラスチック使用量の削減やコストダウンの観点から、従来から使用している包装材よりも薄い材料を使用して包装を行う場合がある。さらに、包装材の搬送速度設定や包装材を加熱するためのヒータバーの温度設定などについてユーザから詳細な条件が指定される場合もある。その一方で、包装した製品の美観、密封性のへの要求の高まりもあり、高いシール性が求められている。その上で、難しい包装条件の下であっても、生産性の向上が一般的に求められる。
【0010】
このような状況下において、従来の包装機(例えば、包装機100)を用いて従来の包装材を通常の包装条件で使用している限りは生じることがなかった新たなシール不良の問題が生じるようになっている。例えば、上述したような薄い包装材に対するセンターシールでは、センターシール装置のヒータバーの隙間量がミクロン単位(例えば、約20ミクロンほど)ずれるだけで、包装材のシール箇所は波打つなどのシール不良が発生する場合がある。このような場合、生産された袋包装体は外観とシール性能の両方の点においても劣ったものとなり、不良品として廃棄されることになる。
【0011】
こうしたシール不良については、包装材の搬送速度、包装材に対する加熱条件、包装材の材料変更、包装材の厚さの変更などにより改善できる可能性があるが、上述したように、様々な条件に対する要求があり、これらの条件を変更することが難しい場合もある。そこで、本出願人は、包装材にセンターシールを施すヒータバーの隙間量をより精密に制御することで包装材の加熱状況を改善し、シール不良を減少させる可能性を考えた。
【0012】
従来技術におけるヒータバー112の隙間量の制御に関しては、以下のように行われていた。まず、ヒータバー112の開閉のために回転動力を出力するサーボモータ113からのフィードバック信号を用いて、サーボモータ113の出力軸の回転変位量からヒータバー112の隙間量を推定し、次いで、この推定された隙間量と予め設定された目標隙間量との差である誤差を算出する。算出した誤差に相当する量だけヒータバーを補正駆動させることで、ヒータバー112の隙間量を目標隙間量に近づけることができる。
【0013】
なお、このようなサーボモータからのフィードバック信号を用いる制御を、従来のセンターシール装置で利用していた背景には、サーボモータのフィードバック信号を利用した制御は、それ自体が高い精度の手法であり、構成部品数を少なくしてコストを下げることにもなり、しかも、従来技術の開発時点では、このような構成でも、ユーザが求めるシール性を確保できていたということがあった。
【0014】
しかしながら、特許文献1に示される従来の包装機100に備えられたセンターシール装置104の場合、ヒータバー112とこれを駆動するサーボモータ113との間に、サーボモータ113の回転動作をヒータバー112の直線運動に変換する動力変換機構114が設けられている。この動力変換機構114は、カム機構、リンク機構などの機械部品の組合せにより構成されており、各機械部品の嵌め合いや接触箇所には、機械公差が存在する。このことから、動力変換機構114へ入力されるサーボモータ113の回転動作を正確に制御することができていても、動力変換機構114から得られる出力には、機械公差に起因する累積的な誤差が生じ、そのため、意図した通りにヒータバー112の変位量を得ることができず、結果的にミクロン単位の誤差を解消できず、シール不良を解消することができないという不都合があった。
【0015】
また、このような場合、サービス員がユーザのもとへ赴いて、経験と勘に頼った手動調整を行うことで問題の解決を図ろうとしていた。しかしながら、時間をかけて手動調整を行っても、シール不良を完全に解消することはできず、さらに、手動調整による時間ロスの点でも、シール不良による廃棄処理が必要な点でも、生産性を下げるという不都合を生じていた。
【0016】
〔発明の目的〕
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、ヒータバー駆動系機械部品の機械公差よりも小さいスケールでヒータバーの隙間量を調整することが要求されるような包装条件下でも、安定したセンターシールを施すことができ、生産性を高めることできるセンターシール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るセンターシール装置は、搬送される帯状包装材の重ね合わされた両側端縁部を挟み込むように隙間をおいて対向配置された開閉可能な一対のヒータバーと、回転動力を出力するサーボモータと、前記回転動力を前記一対のヒータバーの開閉運動に変換する動力変換機構と、前記一対のヒータバー間を通過する際に加熱された前記両側端縁部を圧着する圧着手段と、前記サーボモータを介して前記一対のヒータバーの開閉動作を制御する制御手段と、を備えるセンターシール装置であって、前記一対のヒータバーの隙間量を測定する変位測定手段を備え、前記制御手段は、前記一対のヒータバーを予め設定された目標隙間量となる位置に向けて移動させるように前記サーボモータの回転動作を制御するサーボアンプと、前記変位測定手段から出力される隙間量情報及び予め設定された目標隙間量に基づいて前記一対のヒータバーの現在の隙間量を算出する隙間量算出部と、前記現在の隙間量と前記目標隙間量との差が予め設定された許容範囲にあるか判定する判定部と、前記差が予め設定された許容範囲にない場合に、前記サーボアンプに対して補正駆動を指令する駆動指令部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、一対のヒータバーの隙間量を測定する変位測定手段を備え、変位測定手段から出力される隙間量情報及び予め設定された目標隙間量に基づいて一対のヒータバーの現在の隙間量を算出し、算出した現在の隙間量と目標隙間量との差が予め設定された許容範囲にあるか判定し、差が予め設定された許容範囲にない場合に、サーボアンプに対して補正駆動を指令するので、従来のセンターシール装置のように、動力変換機構を経由する前のサーボモータから出力するフィードバック信号を利用して現在の隙間量を推定する手法とは異なり、実際に現在の隙間量を測定し、この測定した現在の隙間量と目標隙間量を比較するので、動力変換機構の機械公差の影響を受けることがなく、機械公差よりも小さい精度を必要とするヒータバーの隙間量の微調整も可能になる。
【0019】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記駆動指令部は、閉じ動作時に、前記一対のヒータバーが前記目標隙間量の前記許容範囲内に入るまで、前記補正駆動を繰り返し指令することを特徴とする。
したがって、閉じ動作時に、一対のヒータバーの隙間量が目標隙間量の許容範囲内となる位置へ一対のヒータバーを自動位置決めすることができ、特に、従来はできなかった機械公差よりも小さい精度で、そのようなヒータバーの自動位置決めを可能にする。
【0020】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記駆動指令部は、運転中に、前記誤差が前記許容範囲内にあるか継続的に監視する監視機能を備え、前記誤差が前記許容範囲を超えたときに、前記一対のヒータバーが前記許容範囲内に戻るまで前記サーボアンプに対して補正駆動を繰り返し指令することを特徴とする。
したがって、運転中に上記現在の隙間量が許容範囲を超えると、一対のヒータバーが前記許容範囲内に自動的に戻される。このため、シール不良を引き起こしやすい状態で運転し続けることを未然に防ぐことができ、シール不良の発生を抑えることができる。
【0021】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記変位測定手段を前記一対のヒータバーに対して備えることを特徴としてもよい。
ここで、「変位測定手段を前記一対のヒータバーに対して備え」は、変位測定手段をータバーに直接的に備えることには限定されず、ヒータバーに固定されて一体になって変位する構成要素、例えば、ヒータバー基部又は取付具を介して変位測定手段を一対のヒータバーに備えることも含むものである。
したがって、変位測定手段が一対のヒータバーの変位を一対のヒータバーのすぐ近くで測定することができるので、より正確なヒータバーの変位量を測定することができ、よって、ヒータバーの隙間量をより正確に算出することができる。
【0022】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記一対のヒータバーは、前記一対のヒータバーをそれぞれ別々に支持する一対のヒータバー基部を有し、前記変位測定手段は、前記一対のヒータバー基部のうちの一方のヒータバー基部に設けられた変位センサと、前記変位センサに対応して他方のヒータバー基部に対向配置された被測定領域とを備え、前記変位センサは、前記前記変位センサと前記被測定領域との間の相対変位を測定することを特徴とする。
したがって、一対のヒータバーの隙間量を測定する変位測定手段を一対のヒータバーに対して備えることを具体的に実施することができ、このように設けた変位センサが出力する変位情報に基づいて、上述した現在の隙間量を算出することができる。
【0023】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記変位センサは、前記一方のヒータバー基部の下面側に配設され、前記被測定領域も、前記他方のヒータバー基部の下面側に形成されていることを特徴とする。
したがって、ヒータバー基部の下面は、通常、包装材の重ね合わされた部分の下端よりも低い高さに位置すると考えられ、このため、包装材の干渉を受けずに正確に変位を測定することができる。
【0024】
本発明に係るセンターシール装置の一態様によれば、前記変位センサ及び前記被測定領域は、前記一対のヒータバー基部の中心領域に配置されていることを特徴とする。
ここで、「一対のヒータバー基部の中心領域」は、個々のヒータバー基部の中心領域を意味するのではなく、実質的に平行に並んだ一対のヒータバー基部を集合体としてみたときのその集合体の中心領域を指している。
したがって、ミクロンのスケールで考えたときに一対のヒータバーが完全には平行でない場合となっていても、中央領域でヒータバーの隙間量を測定するため、ヒータバーの隙間量の平均値に近い値を測定することができ、例えば、ヒータバーの端部で測定を行う場合よりもヒータバーの全体的な隙間量を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るセンターシール装置によれば、上述したような構成を採用したので、ヒータバー駆動系機械部品の機械公差よりも小さいスケールでヒータバーの隙間量を調整することが要求されるような包装条件下でも、安定したセンターシールを施すことができ、生産性を高めることできるセンターシール装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態によるセンターシール装置を備えた横型製袋充填包装機の概略正面図である。
図2図1の横型製袋充填包装機の概略平面図である。
図3】本実施形態によるセンターシール装置の一部及び変位測定手段を示す概略斜視図である。
図4】本実施形態によるヒータバー駆動用のサーボモータ及びこれに接続された運動変換機構の概略斜視図である。
図5】本実施形態によるセンターシール装置及び測定手段の配置を示す平面図である。
図6】本実施形態によるセンターシール装置及び測定手段の配置を示す側面図である。
図7図5における線A-Aに沿ったセンターシール装置の断面図である。
図8】本実施形態によるセンターシール装置の動作をフィードバック制御により制御する制御手段と、フィードバックループ上に存在する各構成要素を示すブロック図である。
図9】本実施形態よる一対のヒータバーの隙間を設定するための例示的な設定画面を示す図である。
図10】本実施形態による制御システムにより実行される閉じ動作時の閉じ動作処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本実施形態による制御システムにより実行される運転中の補正処理の流れを示すフローチャートである。
図12】別の実施形態による横型製袋充填包装機に備えられたセンターシール装置の一部及び変位測定手段の配置を示す概略斜視図である。
図13】従来のセンターシール装置を備えた横型製袋充填包装機の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔横型製袋充填包装機の概要〕
まず、本発明の一実施形態によるセンターシール装置を説明する前に、図1から図4を参照して、当該センターシール装置を備えた横型製袋充填包装機について概略的に説明する。
【0028】
図1及び図2に示されるように、本実施形態によるセンターシール装置22を備えた横型製袋充填包装機1は、帯状フィルムFwが巻き回された原反ロールFrを支持するロール支持バー10と、この原反ロールFrから帯状フィルムFwを引き出して搬送するフィルム搬送装置(包装機側の包装材搬送手段)11と、搬送される帯状フィルムFwの両側端縁部を下側に湾曲させてほぼ筒状のフィルムに変形させる製袋器(フォーマ)20と、上記のほぼ筒状のフィルムの内部に物品Pを一定間隔で順次供給する物品供給装置15とを備える。
【0029】
フィルム搬送装置11は、フィルム搬送経路に沿って、ガイドローラ13a、フィルム送りローラ12、ガイドローラ13b、13cを含んで構成されている。フィルム送りローラ12は、帯状フィルムFwを上下から挟んで下流側に送る上側送りローラ12a及び下側送りローラ12bと、これらに回転動力を出力する送りローラ用サーボモータ(図示せず)とを含んで構成されている。
【0030】
物品供給装置15(物品供給手段)は、駆動ローラ16及び従動ローラ17と、これらの2つのローラに巻き回されたローラチェーン18とを備える。駆動ローラ16には、サーボモータが取り付けられている。ローラチェーン18には、物品を搬送するためのプッシャ19が一定間隔で備えられている。
【0031】
製袋器20は、帯状フィルムFwをその外形でガイドし、両側端縁部を下側に湾曲させて筒状フィルムFtを形成するように構成されている。この製袋器については、当業界で、フォーマ、製筒器などとしても知られているものであり、ここではその構造の詳細な説明は行わない。
【0032】
さらに、包装機1は、図3及び図4に示される本発明の主要部であるセンターシール装置22を備える。このセンターシール装置22は、両側端縁部を挟み込んで加熱する開閉可能な一対のヒータバー25(25a、25b)と、この一対のヒータバー25a、25bの開閉動作に動力を供給するサーボモータ28と、サーボモータ28の回転動力を一対のヒータバー25a、25bの開閉運動に変換する動力変換機構27と、この一対のヒータバー25a、25bに包装材を送り込む紙引きローラ23(23a、23b)及び紙引きローラ用サーボモータ24と、加熱された両側端縁部を圧着する圧着ローラ34(34a、34b)及び圧着ローラ用サーボモータ35と、ヒートシールされた重ね合わされた部分に目付を行う目付ローラ36(36a、36b)及びその目付ローラ用サーボモータ37とを備える。これにより、搬送されるフィルムの両側端縁部に連続的にヒートシールを行って筒状フィルムFtを形成することができる。
【0033】
さらに、本実施形態によるセンターシール装置22を備えた包装機1は、筒状フィルムFt内部に送り込まれた物品Pと物品Pの中間位置で筒状フィルムFtをフィルム横断方向にエンドシールして切断する切断機構付きのエンドシール装置45を備えている。
【0034】
また、本実施形態によるセンターシール装置22における、上記の一対のヒータバー25a、25bの開閉動作の制御は、図1図4には図示されていない制御手段によるフィードバック制御で行われる。詳しくは後で説明するが、一対のヒータバー25a、25bにはヒータバー25a、25bの相対変位測定用の変位測定手段50(51、52)が備えられ(図3参照)、この変位測定手段50(51、52)から出力される変位情報に基づいて、一対のヒータバー25a、25bの実際の隙間量を目標隙間量に近づける制御が行われる。
【0035】
ここで、本明細書における「フィルム搬送方向」は、上流に位置する原反ロールFrから下流に位置するエンドシール装置45に向けて送られる包装フィルムFw,Ftの流れに沿った向きを指す。また、「フィルム横断方向」とは、フィルム搬送方向に対して直交する方向を指す。
【0036】
本実施形態では、「包装材」として包装フィルムを例示するが、これに限定されない。包装材は、当業界で知られている他の材質の包装材であってもよい。包装フィルムは一般的には、シーラント層(熱圧着層)をなすポリプロピレン材と、袋表面となるポリプロピレン材とが貼り合わされた構造を有するが、この構造は、包装材質の湿っけやすさ、硬さなどの条件により、構造に中間層(アルミ蒸着層)が設けられたり、多層化(例えば、4層、5層)されたりしてもよい。包装フィルムの厚みは、例えば、20μm~100μmであり得る。
【0037】
包装機1を運転する際の運転パラメータには、フィルム搬送速度、フィルムFwを加熱するヒータバー25a、25bの温度、後で詳しく説明されるヒータバー25a、25bの隙間量などがあるが、これらのパラメータは、フィルムの材料(材質)、フィルムの構造、フィルムの厚さ、用途やユーザの希望に応じた個別の事情などによって適切な値又は値の範囲が決まるものである。
【0038】
なお、前提として、フィルム搬送速度については、遅くすると熱の伝達性が良くなるためシール性を高めることができるが、生産性の観点からいえば、シール性を損なわない範囲でより速く設定することがより好ましい。また、ヒータバー25a、25bの温度については、高く設定することでシール性を高めることができるが、設定温度が高すぎるとフィルムを溶かすことになるため、フィルムを溶かすことない許容温度範囲内でできるだけ高くすることが好ましい。
【0039】
また、ヒータバー25a、25bの隙間量についても、隙間量が広すぎるとフィルムに十分な熱を伝えることができない。そこで、シールを安定させることができるまで、隙間量を狭くすることが必要となるが、隙間量を狭くし過ぎるとフィルムに過剰な熱を与えてフィルムを溶かすことになる。したがって、ヒータバー25a、25bの適切な隙間量には、上限値と下限値があると考えてよく、言い換えれば、隙間量には許容範囲があるということが分かる。
【0040】
こうした運転パラメータは、上述した通り、包装材(フィルム)の材料、構造、厚さ等により適正な値及び適正な範囲が決まる。
【0041】
フィルムの隙間量に関して言えば、従来は、適正な値の許容範囲は、動力変換機構27の機械公差よりも大きい場合が多く、本発明のように変位測定手段50(51、52)をヒータバー25a、25bに対して取り付けることなどしなくても、従来技術として説明したサーボモータ28からのフィードバック信号に基づいてヒータバー25a、25bの隙間量を推定する手法でヒータバー25a、25bの開閉動作の制御が十分可能であった。
【0042】
しかしながら、特定の材料、構造、厚さ、及びそれらに基づくフィルム搬送速度、ヒータバーの温度、ヒータバー25a、25bの隙間量など、又はそれらのある特定の組合せの下では、例えば、隙間量の許容範囲が、μオーダーになるほど狭くなってしまい、ヒータバー25a、25bの隙間量の調整がわずかにずれただけでシール不良が生じる場合が生じていた。
【0043】
こうした事情に鑑みて開発された(図1図4に示された)本実施形態のセンターシール装置22を備えた包装機1は、ヒータバー25a、25bに変位測定手段50(51、52)を直に設けてヒータバー25a、25bの変位を測定する構成を採っているため、動力変換機構27の機械公差の影響を受けることなく、機械公差よりも小さいμオーダーでヒータバー25a、25bの隙間量を調整することが可能になっている。
【0044】
〔センターシール装置〕
次に、上で概略を説明した本実施形態によるセンターシール装置22について、図1図9を参照して、より詳しく説明する。
【0045】
図3から図7に示されるように、本実施形態によるセンターシール装置22は、略直方体形状を有する一対の対向するヒータバー25a、25bと、やはり略直方体形状を有し、ヒータバーをそれぞれ別々に支持し、対応するヒータバーと一体となって開閉移動可能な2つのヒータバー基部26a、26bとを備える。言い換えれば、各ヒータバー25a、25bは、対応するヒータバー基部26a、26bを有する。特に図7に示されるように、ヒータバー25a、25bとヒータバー基部26a、26bは、包装材横断方向に相対的にずらされた二段重ね構造であり、互いに固定され、一体になって移動するようになっている。
【0046】
また、特に図5に示されるように、一対のヒータバー25a、25bは、その長手方向が包装材搬送方向に一致するように、かつ、ヒータバー25aとヒータバー25bとの間に距離dの隙間(図5及び図7参照)が保たれるように配置される。この隙間の距離dを定めるヒータバー25a、25bの直方体形状同士の対向面であるヒータ面25A、25Bは、互いに対して実質的に平行であり、隙間も包装材搬送方向に実質的に一定の距離を保っている(しかしながら、厳密には、動力変換機構27とヒータバー基部26a、26bに機械公差が存在することにより、ヒータ面25A、25Bが完全な平行にあるとまでは言えず、距離dも完全に一定であるとまでは言えない)。
【0047】
ヒータバー25a、25bの各ヒータ面25A、25B付近の内部には、フィルム加熱用のヒータ(例えば、電熱線)が内蔵されている。ヒータ面25A、25Bは、外部のフィルムに向けて熱を放射することが可能である。
【0048】
基部26a、26bには、包装材横断方向に同じ直径の2つの貫通穴が、平行かつ同じ高さで設けられている。これらの貫通穴には、センターシール装置22のフレーム構造(図示せず)によって両端が固定されたスライドシャフト30、31が延びている。また、基部26a、26bの貫通穴内部には、スライドシャフトを支持するリニアブッシュ(リニアボールベアリング)が設けられている。このため、ヒータバー基部26a、26bは、リニアシャフトに対してほとんど摩擦なく摺動することが可能である。
【0049】
ヒータバー基部26a、26bの下面には、次に説明する動力変換機構27のピン状連結部材43a、43bを受け入れる穴(図示せず)が形成されている。このため、この穴にピン状連結部材43a、43bを連結することで、サーボモータ28の回転動力を動力変換機構27を介してヒータバー基部26a、26bをスライドシャフトが延びる方向に移動する直線運動に変換することができる。
【0050】
次に、一対のヒータバー25a、25b(及び一対のヒータバー基部26a、26b)を開閉させるための機械的構成について説明する。
まず、全体的な説明をすると、センターシール装置22は、一対のヒータバー25a、25b(及び一対のヒータバー基部26a、26b)を開閉させるために、回転動力を出力する出力軸28aを備えたサーボモータ28と、出力軸28aの先端と共に回転するように中心で結合された細長い板状の第1のリンク部材40と、40の両端領域にそれぞれピン状連結部材を介して一端領域で回転可能に連結され、反対側の他端領域でヒータバー基部25a、26bにピン状連結部材を介して回転可能に連結された第2のリンク部材42a、42bと、を備える。
【0051】
センターシール装置22には、一対のヒータバー25a、25bを包装材横断方向に移動させるための動力を供給するために1個のサーボモータ28が備えられている。このサーボモータ28は、当業界で知られている市販のサーボモータであってよい。サーボモータ28は、後述するサーボアンプ61(図8)から供給される駆動信号に応じて出力軸28aを回転するものである。
【0052】
ちなみに、本実施形態では、サーボモータを採用しているが、駆動信号に応じて出力される変位量を調整できる他のアクチュエータ、例えば、ステッピングモータが採用されてもよい。しかし、サーボモータは、センターシール装置22の可動構造を移動させるのに十分なトルクを有するとともに開閉を高速に行うことができる性能特性を有し、後述する運転開始時や一時的に運転を停止した後の再開時における閉じ動作においていち早く目標隙間量へ移動することができるので、閉じ動作にかかる時間を短縮することができ、これにより生産性を高めることができるので、本実施形態によるセンターシール装置22のアクチュエータとして特に適している。
【0053】
上述したように、サーボモータ28の出力軸28aの先端には、1本の細長い板状の第1のリンク部材40が、その板状部材の中心で結合されている。これにより、サーボモータ28の出力軸28aが回転すると、それに応じて第1のリンク部材40もサーボモータの出力軸28aと同じ回転方向に同じ角度(又は回転数)だけ回転するようになっている。
【0054】
〔動力変換機構〕
図5に示されるように、第1のリンク部材40の両端付近の領域には、一対の細長い板状の第2のリンク部材42a、42bが、それぞれ別々にその一端領域で第1の連結部材41a、41bを介して回転可能に連結されている。この連結は、当業界で知られている種々の方法で行うことができる。例えば、限定するものではないが、第1のリンク部材40から上向きに突出する第1のピン状連結部材41a、41bと、第2のリンク部材42a、42bに形成された第1のピン状連結部材41a、41bにそれぞれ対応する穴(図示しせず)とを嵌め合うことによって行うことができる。また、このように連結することで、第1のリンク部材40と第2のリンク部材42a、42bとは、相対的に駆動可能になっている。
【0055】
第2のリンク部材42a、42bは、それぞれ、その他端領域でヒータバー基部26b、26aの下面に第2の連結部材43a、43bを介して回転可能に連結されている。この連結は、当業界で知られている種々の方法で行うことができる。例えば、限定するものではないが、第2のリンク部材42a、42bから上向きに突出する第2のピン状連結部材43a、43bと、ヒータバー基部26b、26aの下面に形成された当該ピン状連結部材43a、43bに対応する穴(図示せず)とをそれぞれ嵌め合うことによって行うことができる。また、このように連結することで、第2のリンク部材42a、42bとヒータバー基部26b、26aとは、それぞれ相対的に駆動可能になっている。
【0056】
以上にように、ヒータバー25a、25bを保持するヒータバー基部26a、26bが、上述したリンク機構(動力変換機構)27を介してサーボモータ28の出力軸28aに連結される構成とされているので、サーボアンプ61からの駆動信号(駆動信号に関する内容は、後で述べる)に応じてサーボモータ28の出力軸28aが回転変位させられ、この出力軸28aの先端に設けられた第1のリンク部材40も同じ回転方向に同一の量だけ回転変位する。
【0057】
さらに、これに応じて、第1のピン状連結部材41a、41bを介して連結されている第1のリンク部材40と第2のリンク部材42a、42bの第1の連結箇所が、サーボモータ28の出力軸28aを中心として、出力軸28aの回転変位(回転角度)に等しい変位(回転)量だけ、それぞれ別々(反対)の円周方向に弧状に移動する。またさらに、このように、第2のリンク部材42a、42bの第1の連結箇所が移動すると、この移動量に応じた量だけ、第1の連結箇所とは反対側の(第2のピン状連結部材43a、43bを介して第2のリンク部材42a、42bとヒータバー基部26b、26aが回転可能に連結されている)第2の連結箇所もそれぞれ反対方向に移動する。このとき、ヒータバー基部26b、26aの移動は、2本のスライドシャフト30、31をレールとしてその軸方向の直線移動に規制されるので、第2の連結箇所も、スライドシャフト30、31に沿った方向に直線運動する。
【0058】
上記のリンク機構における第1の連結箇所及び第2の連結箇所については、図5を見ると明らかであるように、本リンク機構がサーボモータ28の出力軸28aを中心とした点対称の位置にそれぞれ配置されているので、第1の連結箇所及び第2の連結箇所の移動は、幾何学的には、互いに反対方向で同じ量の移動になる。このため、第2の連結箇所において、第2のリンク部材42a、42bに第2のピン状連結部材43a、43bを介してそれぞれ連結されたヒータバー基部26b、26aも、幾何学的には、スライドシャフト30、31に沿って互いに反対方向で同じ量の移動になる(ただし、次に述べるように、各機械部品の機械公差に起因する変位誤差が生じることにより必ずしも移動量は完全に同じというわけにはならない)。
【0059】
本実施形態による上記構成を採用した動力変換機構27では、各リンク部材40、42a、42bなどの連結箇所が、ピン状連結部材41a~b、43a~bとこれに対応した寸法の穴(図示せず)との嵌合によって回転可能に連結されるように構成されている。そして、機械部品同士の接触箇所では、(接触する機械部品をどんなに精度よく製造したとしても)各機械部品の機械公差に起因する所謂「ガタ」が生じ得る。このため、この動力変換機構27に所望の変位を入力すると、動力変換機構27内の機械公差の累積的な影響により、出力される機械的変位量と目標とする変位量との間に誤差が生じ得る。これが、本発明が解決しようとしている課題の根底に存在する動力変換機構27の機械部品の機械公差の影響である。
【0060】
上述した連結のやり方は、一例であって、必ずしもこれに限定されない。当業界で用いられている他の連結手法で連結されてもよい。さらに言えば、本実施形態による動力変換機構27は、上記リンク機構でなくても、1つの回転入力を2つの同じ大きさで反対方向の直線運動に変換することが可能である他のリンク機構、カム機構、ボールねじを利用した機構などで構成されてもよい。
【0061】
〔変位測定手段〕
図3図5、及び図7に示されるように、上記一対のヒータバー基部26a、26bには、ヒータバー25a、25bの隙間量測定用の変位測定手段50が備えられている。この変位測定手段50は、渦電流式変位センサ51(センサヘッド)と、これに対応する金属製の探知板52とを含んで構成されている。探知板52は、被測定領域として機能する。なお、被測定領域として機能するのであれば、探知板52に限られず、他の構造体または構造部分であってもよい。
渦電流式変位センサ51には測定用コイルが設けられており、このコイルに高周波電流を流すことで高周波磁界を発生させ、これにより対向する探知板52に渦電流を誘起させる。次に、渦電流の誘起によるインピーダンスの変化に基づいて、コイルと探知板52との相対変位に関する情報を含む信号を出力することができる。
【0062】
本実施形態による変位測定手段50の場合、渦電流式変位センサ(センサヘッド)51は、センサヘッド取付け板(図示せず)を介してヒータバー基部26aの下面から突出するように下面側に設けられることが好ましい。また、探知板52は、ヒータバー基部26bの下面から突出するように下面側に設けられることが好ましい。
【0063】
このような位置に設けることで、通常、変位センサ51の位置がフィルムFtの重ね合わせた両側端縁部の下端よりも下方の高さに設けられることになり、フィルムFtの干渉を受けにくく、変位を正確に測定することができる。
【0064】
しかしながら、渦電流式変位センサ51及び探知板52の取り付け位置は、これらに限定されない。例えば、ヒータバー基部26a、26bの前後端面または対向側面に装備されてもよい。
【0065】
また、本実施形態による変位測定手段50は、好ましくは、図3及び図5に示されるように、ヒータバー基部26aの下面の包装材搬送方向中央領域に配置され、一方、探知板52は、ヒータバー基部26aに対向したヒータバー基部26bの下面の対応する包装材搬送方向中央領域に配置されることも好ましい。
【0066】
前述したように、動力変換機構27では、機構内の機械部品の組み合わせにおいて累積的な機械公差が存在し、当該機構を通じて出力される機械的出力(この場合は、直線変位)には、目標の出力結果(目標変位)に対して誤差が生じ得る。動力変換機構27の場合、ヒータバー基部26aとヒータバー基部26bに伝達される変位は、別々のルート(40→41a→42a→43a→26bと伝わる第1のルートと、40→41b→42b→43b→26aと伝わる第2のルート)を通って伝達されるため、累積される機械公差による変位誤差も別々の量になり得る。
【0067】
また、各ヒータバー基部26a、26bの貫通穴とこれを貫くスライドシャフト30、31の間にも公差によるガタが存在し得る。したがって、ヒータバー25aとヒータバー25bの変位(移動)量は、必ずしも完全に等しくなるとは限らず、例えば、ミクロンの単位のズレが生じる可能性がある。同様に、ヒータ面25Aと25Bも完全に平行になるとは限らない。
【0068】
こうした累積的な機械公差は、高度な製造手段を用いても、例えば、10ミクロン以下となるように抑えるのは困難であり、今までの常識的な組付け精度で部品組付けを行った場合には、必ず生じ得ると考えられる。一方、前述した特定の運転条件下では、数ミクロン単位の誤差でシール性に影響が出てしまう状況である。
このため、ヒータバー25a、25b及びヒータバー基部26a、26bが完全な平行ではなく、ヒータバー25a、25bにミクロン単位の変位誤差が生じるような場合に備えて、変位測定に対する影響が少ないバーヒーター25(25a、25b)の包装材搬送方向中央領域に変位センサ51を配置することが好ましい。このように中央領域でヒータバーの隙間量を測定することで、ヒータバーの隙間量の平均値に近い値を測定することができる。
【0069】
また、変位センサ51、サーボモータの出力軸28a、探知板52が中央領域で一列に並ぶ配置であることも好ましい。しかしながら、変位センサ51と探知板52の取付け位置は、これらに限定されず、変位センサ51が正しく機能する限り、バーヒーター25a、25b及びバーヒーター基部26a、26bのいずれの場所であってもよく、場合によっては、変位センサ51が正しく機能する限り、それら以外の場所、例えば、それら以外のセンターシール装置22の他のいずれかの構成要素に設けられてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、変位測定手段は、渦電流式変位センサ51と探知板52のセットで構成しているが、これに限定されるものではない。バーヒーター25a、25bの隙間量に関連した変位情報をリアルタイムで取得できる他の手段であってもよい。
【0071】
〔制御手段〕
次に、本実施形態によるセンターシール装置22が備える制御手段60を説明する。図8は、本実施形態によるセンターシール装置の動作をフィードバック制御を用いて制御する制御手段60と、フィードバックループ上に存在する各構成要素を示すブロック図である。
【0072】
本実施形態によるセンターシール装置22の制御手段60は、センターシール装置用のサーボモータ28の回転動作を駆動制御するサーボアンプ61と、以下に説明する種々の機能を実行することでサーボアンプ61にサーボモータ28を駆動させるための指令を送る制御部62とを備える。
このうち、制御部62は、後述するように、駆動指令部63と、判定部64と、隙間量算出部65とを備えて構成されている。
【0073】
さらに、センターシール装置22は、ユーザが運転パラメータの数値などを入力設定するための設定表示部70を備える。設定表示部70は、各種運転パラメータを表示する表示画面を備える。設定表示部70は、制御部62に接続されており、制御部により表示動作が制御されている。また、表示画面上に表示される運転パラメータは、ユーザが表示画面上の値を直接操作することで変更することができるようになっている。変更された値は、制御部62へ出力される。表示画面の一例は、図9に示されている。
【0074】
制御部62は、運転に先立って、設定表示部70を介してユーザから、例えば、ヒータバー25の目標隙間量と、この目標隙間量に対しての許容範囲(上限側許容値、および下限側許容値)といった目標値の入力を受け付ける機能を有する。
また、制御部62は、図示されていない入力手段により、ユーザから閉じ動作開始の指示、運転開始の指示を受けるように構成されてもよい。
【0075】
駆動指令部63は、閉じ動作を開始することについてユーザから制御部62が指示を受けた場合に稼働し、サーボアンプ61に対して、ヒータバー25a、25bの目標隙間量を指定してサーボアンプにサーボモータ28の駆動を指令する機能を有する。
また、サーボアンプ61は、この駆動指令に基づいて、目標隙間量に対応する駆動信号(制御パルス信号)をサーボモータ28に出力する機能を有する。
【0076】
隙間量算出部65は、本実施形態によれば、変位測定手段である変位センサ51からヒータバー25a、25bの相対変位に関する情報を含む信号、詳細には、ヒータバー25a、25bと共に変位する変位センサ51と探知板52との間の変位に関する情報を隙間量情報として受信し、この隙間量情報に基づいて通常の距離測定で用いられる演算手法で一対のヒータバーの「現在の隙間量」を算出する機能を有する。この現在の隙間量は、上述したように、動力変換機構27の機械公差の影響を受けていないので、ミクロン単位の精度で決定することができる。
【0077】
判定部64は、算出した現在の隙間量とユーザにより予め設定された目標隙間量との誤差がユーザにより予め設定された許容範囲にあるか判定する機能を有する。この判定は、閉じ動作の指示を受けてから閉じ動作を終了するまで継続的に実行される。また、運転中も、継続的に判定が行われる。
【0078】
駆動指令部63は、現在の隙間量と目標隙間量との誤差が許容範囲内にないと判定部64が判定した場合にも稼働し、サーボアンプに対してこの誤差をなくすための補正量を指定して補正駆動を追加で指令する機能を有する。補正量は、例えば、上記誤差とすることができる。したがって、ミクロン単位で特定可能な現在の隙間量を使用して誤差をなくす補正駆動を指令するので、ヒータバーの隙間量をより精度よく制御することができる。
【0079】
また、駆動指令部63は、一対のヒータバー25a、25bが目標隙間量の許容範囲内に入るまで、サーボアンプ61に補正駆動を繰り返し指令する機能を有する。したがって、精度のよい現在の隙間量に基づく補正駆動によって、一対のヒータバー25a、25bを目標隙間量となる位置に自動制御で素早く位置決めすることができ、生産性の向上につながる。
【0080】
さらに、駆動指令部63は、運転中に、誤差が許容範囲を超えると、一対のヒータバー25a、25bが目標隙間量の許容範囲内に戻るまで、サーボアンプ61に補正駆動を繰り返し指令する機能を有する。したがって、一対のヒータバー25a、25bを目標隙間量の許容範囲内に自動制御で素早く戻すことができ、不良シールの発生を未然に防ぐことができ、生産性の向上につながる。
【0081】
〔制御処理の流れ〕
次に、図10および図11を参照して、本実施形態による制御手段60により実行される制御処理の流れを説明する。制御手段60による処理については、(1)ヒータバー25が開いた位置から閉じた位置へ移行する閉じ動作時の処理モードと、(2)すでに閉じられ、かつフィルムFw、Ftにセンターシールを実行している運転中の処理モードとに分けて説明する。
【0082】
(1)閉じ動作処理モード
閉じ動作処理モードは、センターシール装置22を起動させたときに起動する。また、センターシール装置22が空袋防止、噛み込み防止などのために一時的にヒータバー25a、25bを開いた位置に退避された後にヒータバー25a、25bを再び閉じるときにも起動する。このモードは、ヒータバー25a、25bを、開いた位置(フィルムに加熱作用を及ぼさない位置)から目標隙間量で示される閉じた位置(フィルムを安定的に加熱できる位置)へその許容範囲内となるように移動させるためのものである。
【0083】
ステップS11において、設定表示部70を介してユーザから閉じ指令が入力されるまで、本処理モードは待機状態になる。ステップS11で、制御部62がユーザから閉じ指令を受信すると、駆動指令部63が、サーボアンプ61へ目標隙間量を指令する指令信号を出力し、ステップS12へ進む。
【0084】
ステップS12において、サーボアンプ61は、受信した指令信号に基づいて、誤差をなくすように目標隙間量に対応してサーボモータ28を駆動する。これにより、サーボモータ28の出力軸28aが回転し、これに対応する回転変位が動力変換機構27に入力され、この入力に応じつつも機械公差による誤差を伴った直線運動出力が、ヒータバー基部26a、26bに伝達され、ヒータバー25a、25bが目標隙間量にそれぞれ接近する(ただし、微小であるが、誤差の分、目標隙間量から僅かにずれる)。
【0085】
次に、ステップS13において、隙間量算出部65は、ヒータバー基部26aに取り付けられた変位センサ51からバーヒーター25a、25bの隙間量に関連した変位情報を受信し、この変位情報に基づいてヒータバー25a、25bの実際の隙間量を算出する。
【0086】
さらに、ステップS14において、判定部64は、算出した実際の隙間量と目標隙間量を比較してその誤差を演算し、この誤差が、ユーザにより入力された許容範囲内に含まれているか判断する。許容範囲内の場合は、ヒータバー25a、25bが目標隙間量の許容範囲内に到達したと判断し、処理を終了する。一方、誤差が許容範囲内に含まれていない場合、ステップS15へ進む。
【0087】
ステップS15において、判定の結果を受けて駆動指令部63が稼働し、サーボアンプ61に、誤差に相当する量を変位量として指定して補正駆動をサーボアンプ61に指令する。指令を受けたサーボアンプ61は、受信した指令に基づいて、誤差をなくすように誤差に対応してサーボモータ28を駆動する。これにより、上述したのと同様に、サーボモータ28の回転動力がヒータバー25a、25bの直線運動に変換され、ヒータバー25a、25bが目標隙間量により接近する。続いて、ステップS13に戻り、以降、ステップS14で許容範囲内に入るまでこの処理がループされる。許容範囲内に入った場合は、処理を終了する。
【0088】
(2)運転時処理モード
運転時処理モードは、(1)センターシール装置22を起動させたときに待機状態となり、包装機1が運転(包装作業)を開始し、かつヒータバー25a、25bが閉じられた状態になると、機能を開始する。この運転時処理モードは、例えば、運転中に、フィルムの継ぎ目(一時的にフィルムの厚みが増す)などがヒータバー25a、25bを通過する際にこれに衝突等してヒータバー25a、25bの隙間が変化してしまったり、周囲環境の振動によりヒータバー25a、25bの隙間量が変わってしまったり、ヒータバーが熱により膨張して隙間量が変化してしまった場合に、早期にこれを検出し、ヒータバー25a、25bの隙間量をすぐに許容範囲内に戻すことで、安定したシールを継続させることができるというものである。
【0089】
ステップS21において、制御部62は、包装機1の動作(運転)が開始されていると判定されるまで、本処理モードは待機状態になる。運転中であるか否かの判断は、例えば、ユーザから運転開始の指示を受信したこと、またはフィルムの搬送が行われていることをトリガとすることにしてもよい。
【0090】
次に、ステップS22において、制御部62は、ヒータバー25a、25bが閉じ中であるか判定する。閉じ中であるかどうかの判定には、例えば、制御部62がユーザから閉じ動作開始の指示を受信したことを利用したり、または変位測定手段60からの測定値信号を利用したりすることが考えられる。ヒータバー25a、25bが閉じ中である場合は、S23へ進む。閉じ中でない場合、S21に戻る。
【0091】
ステップS23において、隙間量算出部65は、ヒータバー基部26aに取り付けられた変位センサ51からバーヒーター25a、25bの隙間量に関連した変位情報を受信し、この変位情報に基づいてヒータバー25a、25bの実際の隙間量を算出する。
【0092】
ステップS24において、判定部64は、算出した実際の隙間量と目標隙間量を比較してその誤差を演算し、この誤差が、ユーザにより入力された許容範囲内に含まれているか判断する。許容範囲内の場合は、ヒータバー25a、25bが目標隙間量の許容範囲内で維持されていることになるので、本モードの処理はS21に戻り、処理を続ける。一方、誤差が許容範囲内に含まれていない場合、ステップS25へ進む。
【0093】
ステップS25において、判定の結果を受けて駆動指令部63が稼働し、サーボアンプ61に、誤差に相当する量を変位量として指定して補正駆動をサーボアンプ61に指令する。指令を受けたサーボアンプ61は、受信した指令に基づいて、誤差をなくすように誤差に対応してサーボモータ28を駆動する。これにより、上述したのと同様に、指令に対応したサーボモータ28の回転動力がヒータバー25a、25bの直線運動に変換され、ヒータバー25a、25bが目標隙間量により接近する。続いて、ステップS23に戻り、処理がループされる。
【0094】
〔本実施形態による効果〕
本実施形態によれは、以上に説明した構成を採ったので、ヒータバー25a、25bの現在の隙間量を、動力変換機構27の機械公差の影響を受けずに、ミクロン単位の精度で決定することができる。また、この現在の隙間量を利用することで、閉じ動作時に、ヒータバー25a、25bを目標隙間量の許容範囲が動力変換機構27の機械公差よりも小さい場合でも、ヒータバー25a、25bを目標隙間量となる位置へ自動制御で迅速に位置決めすることができ、生産性の向上を図ることもできる。また、運転中も、現在の隙間量が目標隙間量の許容範囲外になると補正駆動が行われるので、シール不良を未然に防ぐことができ、生産性の向上を図ることもできる。
【0095】
上述した効果は、変位センサ51とその探知板52をヒータバー基部26a、26bにそれぞれ設置したので、動力変換機構27の機械公差の影響を受けずに、ヒータバー25a、25bの変位量をミクロンの精度で、直接的に測定することができる。しかも、ヒータバー基部26a、26bの下面側の中央領域に設けたので、包装材が測定を妨げたり、ヒータバー25a、25bが完全な平行ではない場合であったりしても、ヒータバー基部26a、26bの変位を正確に測定することができる。これらのことは、ヒータバー25a、25bを目標隙間量となる位置への自動制御による迅速な位置決め、および運転中に目標隙間量の許容範囲外になったときの自動補正に大いに役立つ。
【0096】
〔他の実施形態〕
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、本発明の趣旨から逸脱しない限り、当業者が理解し得るさまざまな修正及び変更を加えることができる。
【0097】
例えば、他の実施形態によれば、制御手段60は、運転時処理モード中にヒータバー22a、22bの隙間量が許容範囲内にないときに行われる補正駆動に代えて、フィルムの搬送を停止させるとともに、ヒータバー25a、25bを開くように指令する機能を備えることもできる。
【0098】
制御手段60は、センターシール装置22に備えるものとして説明したが、本発明によるセンターシール装置22が横型製袋充填包装機1に装備される場合、制御手段60は、包装機1側に存在してもよい。さらには、制御手段60の全部または一部の機能は、エンドシール装置22に通信ネットワークを介して接続されたネットワーク上の他のコンピュータ等により処理されてもよい。
【0099】
変位測定手段50の取り付けは、ヒータバー25a、25bの下面中央領域に限らず、例えば、図12に示されるように、変位センサ51、および探知板52は、それぞれヒータバー25a’、25b’に固定されたヒータバー基部26a’26b’の下流端に設けられてもよく、或いはその上流端に設けられてもよい。
さらに、変位測定手段50の取り付けは、ヒータバー25a、25bおよびヒータバー基部26a、26bではなく、サーボモータ28および動力変換機構27以外のセンターシール装置22の構造であって、取り付けたときに変位測定手段50がヒータバー25a、25bに近接される位置に設けられるのであってもよい。これによっても、安定したセンターシールを施すことができ、生産性を高めることできる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、一対のヒータバーを備える様々なタイプの包装機におけるシール装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 横型製袋充填包装機
11 フィルム搬送装置(包装機側の包装材搬送手段)
15 物品供給装置(物品供給手段)
20 製袋器
22 センターシール装置
23a、23b 紙引きローラ(センターシール装置側の包装材搬送手段)
24 紙引きローラ用サーボモータ
25a、25b ヒータバー
25A、25B ヒータ面
26a、26b ヒータバー基部
27 動力変換機構
28 ヒータバー開閉用のサーボモータ
28a 出力軸
30 上流側スライドシャフト
31 下流側スライドシャフト
34a、34b 圧着ローラ
35 圧着ローラ用サーボモータ
36a、36b 目付ローラ
37 目付ローラ用サーボモータ
40 第1のリンク部材
41a、41b 第1のピン状連結部材
42a 上流側の第2のリンク部材
42b 下流側の第2のリンク部材
43a、43b 第2のピン状連結部材
45 エンドシール装置
50 変位センサ手段
51 渦電流式変位センサ(センサヘッド)
52 探知板(金属板)
60 制御手段
61 サーボアンプ
62 制御部
63 駆動指令部
64 判定部
65 隙間量算出部
70 設定表示部
100 従来の横型製袋充填包装機
Fw 帯状フィルム
Ft 筒状フィルム
Fr 原反ロール
P 製品
Bp 袋包装体
図1
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