(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031694
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H01P 5/18 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
H01P5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135410
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金 良守
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雄太
(72)【発明者】
【氏名】明石 直也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の検波信号を同時に出力することが可能な方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置を提供する。
【解決手段】方向性結合器10は、第1主線路11と、第2主線路21と、第1副線路12、13と、第2副線路22,23と、第1出力端子312と、第2出力端子313と、第1インダクタL2と、第2インダクタL3と、を備える。第1出力端子は、第1副線路12,13に接続されており、第1主線路11を伝送する第1高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための端子である。第2出力端子は、第2副線路22、23に接続されており、第2主線路21を伝送する第2高周波信号に対応する第2検波信号を出力するための端子である。第1インダクタは、第1出力端子を含む第1信号経路R2上に設けられている。第2インダクタは、第2出力端子を含む第2信号経路R3上に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主線路と、
第2主線路と、
前記第1主線路と電磁気的に結合する第1副線路と、
前記第2主線路と電磁気的に結合する第2副線路と、
前記第1副線路に接続されており、前記第1主線路を伝送する第1高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための第1出力端子と、
前記第2副線路に接続されており、前記第2主線路を伝送する第2高周波信号に対応する第2検波信号を出力するための第2出力端子と、
前記第1出力端子を含む第1信号経路上に設けられている第1インダクタと、
前記第2出力端子を含む第2信号経路上に設けられている第2インダクタと、を備える、
方向性結合器。
【請求項2】
主線路と、
前記主線路と電磁気的に結合する副線路と、
前記副線路に接続されており、前記主線路を伝送する高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための第1出力端子と、
外部からの第2検波信号を出力するための第2出力端子と、
前記第1出力結合端子を含む第1信号経路上に設けられている第1インダクタと、
前記第2出力端子を含む第2信号経路上に設けられている第2インダクタと、を備える、
方向性結合器。
【請求項3】
前記第1信号経路とグランドとの間に接続されている第1キャパシタ又は第1スイッチと、前記第2信号経路とグランドとの間に接続されている第2キャパシタ又は第2スイッチと、の少なくとも一方を更に備える、
請求項1又は2に記載の方向性結合器。
【請求項4】
前記第1主線路、前記第2主線路、前記第1副線路及び前記第2副線路の少なくとも一部を含む半導体チップが配置されている基板と、
前記基板に配置されており、前記第1出力端子に接続されている第1電極と、
前記基板において前記第1電極と隣接して配置されており、前記第2出力端子に接続されている第2電極と、を更に備える、
請求項1に記載の方向性結合器。
【請求項5】
前記主線路及び前記副線路の少なくとも一部を含む半導体チップが配置されている基板と、
前記基板に配置されており、前記第1出力端子に接続されている第1電極と、
前記基板において前記第1電極と隣接して配置されており、前記第2出力端子に接続されている第2電極と、を更に備える、
請求項2に記載の方向性結合器。
【請求項6】
前記第1電極及び前記第2電極は、前記基板に配置されており、
前記第1インダクタと前記第1電極、及び前記第2インダクタと前記第2電極の少なくとも一方は、前記基板の厚さ方向において重なっている、
請求項4又は5に記載の方向性結合器。
【請求項7】
前記基板は、前記第1インダクタ及び前記第2インダクタが内部に設けられている多層基板であり、
前記第1インダクタの少なくとも一部は、前記第2インダクタとは異なる層に設けられている、
請求項4又は5に記載の方向性結合器。
【請求項8】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタの一方は、前記半導体チップに含まれており、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタの他方は、前記基板に設けられている、
請求項4に記載の方向性結合器。
【請求項9】
外部からの検波信号を出力するための第3出力端子と、
前記第3出力端子を含む第3信号経路上に設けられている第3インダクタと、を更に備え、
前記半導体チップは、前記第3インダクタを更に含む、
請求項8に記載の方向性結合器。
【請求項10】
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタの一方は、前記半導体チップに含まれており、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタの他方は、前記基板に設けられている、
請求項5に記載の方向性結合器。
【請求項11】
前記第1出力端子に接続される第1共通端子、前記第2出力端子に接続される第2共通端子、前記第1副線路に接続されている第1選択端子、及び前記第2副線路に接続されている第2選択端子を有するスイッチを更に備え、
前記スイッチは、前記第1共通端子と前記第1選択端子とが接続され、かつ前記第2共通端子と前記第2選択端子とが接続されるモードを有する、
請求項1に記載の方向性結合器。
【請求項12】
前記第1出力端子に接続される第1共通端子、前記外部出力端子に接続される第2共通端子、前記副線路に接続されている第1選択端子、前記検波信号が入力される外部入力端子に接続されている第2選択端子を有するスイッチを更に備え、
前記スイッチは、前記第1共通端子と前記第1選択端子とが接続され、かつ前記第2共通端子と前記第2選択端子とが接続されるモードを有する、
請求項2に記載の方向性結合器。
【請求項13】
前記第1出力端子及び前記第2出力端子に接続されており、前記第1検波信号及び前記第2検波信号の少なくとも一方を減衰させる減衰器を更に備え、
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、前記減衰器における入力側の信号経路に設けられている、
請求項1又は2に記載の方向性結合器。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の方向性結合器と、
前記方向性結合器に接続されており、所定の周波数帯域の高周波信号を通過させるフィルタと、を備える、
高周波モジュール。
【請求項15】
請求項14に記載の高周波モジュールと、
前記高周波モジュールに接続されている信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置に関し、より詳細には、主線路及び副線路を備える方向性結合器、方向性結合器を備える高周波モジュール、及び高周波モジュールを備える通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主線路と、2つの副線路と、3つの結合端子と、を備える方向性結合器が記載されている。2つの副線路の各々は、検出信号の周波数に対応した線路長を有する。特許文献1に記載の方向性結合器では、3つの結合端子からいずれか1つの結合端子を選択し、当該結合端子から1つの検波信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方向性結合器では、複数の検波信号を同時に出力することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、複数の検波信号を同時に出力することが可能な方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る方向性結合器は、第1主線路と、第2主線路と、第1副線路と、第2副線路と、第1出力端子と、第2出力端子と、第1インダクタと、第2インダクタと、を備える。前記第1副線路は、前記第1主線路と電磁気的に結合する。前記第2副線路は、前記第2主線路と電磁気的に結合する。前記第1出力端子は、前記第1副線路に接続されており、前記第1主線路を伝送する第1高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための端子である。前記第2出力端子は、前記第2副線路に接続されており、前記第2主線路を伝送する第2高周波信号に対応する第2検波信号を出力するための端子である。。前記第1インダクタは、前記第1出力端子を含む第1信号経路上に設けられている。前記第2インダクタは、前記第2出力端子を含む第2信号経路上に設けられている。
【0007】
本開示の別の態様に係る方向性結合器は、主線路と、副線路と、第1出力端子と、第2出力端子と、第1インダクタと、第2インダクタと、を備える。前記副線路は、前記主線路と電磁気的に結合する。前記第1出力端子は、前記副線路に接続されており、前記主線路を伝送する高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための端子である。前記第2出力端子は、外部からの第2検波信号を出力するための端子である。前記第1インダクタは、前記第1出力結合端子を含む第1信号経路上に設けられている。前記第2インダクタは、前記第2出力端子を含む第2信号経路上に設けられている。
【0008】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、前記方向性結合器と、フィルタと、を備える。前記フィルタは、前記方向性結合器に接続されており、所定の周波数帯域の高周波信号を通過させる。
【0009】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波モジュールと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波モジュールに接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る方向性結合器の回路図である。
【
図2】
図2は、同上の方向性結合器を備える高周波モジュール及び通信装置の回路図である。
【
図3】
図3は、同上の方向性結合器の一部拡大図である。
【
図4】
図4A~
図4Cは、同上の方向性結合器の出力端子から出力される検波信号の周波数とSパラメータとの関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る方向性結合器の一部拡大図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係る方向性結合器の一部拡大図である。
【
図7】
図7は、実施形態4に係る方向性結合器の断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態5に係る方向性結合器の回路図である。
【
図9】
図9は、実施形態6に係る方向性結合器の回路図である。
【
図10】
図10は、実施形態7に係る方向性結合器の回路図である。
【
図11】
図11は、実施形態8に係る方向性結合器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態等において参照する
図3及び
図5~
図7は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
(実施形態1)
実施形態1に係る方向性結合器10は、
図1に示すように、第1主線路11と、第2主線路21と、複数の第1副線路12,13と、複数の第2副線路22,23と、第1出力端子(
図1の例では出力端子312)と、第2出力端子(
図1の例では出力端子313)と、第1インダクタ(
図1の例ではインダクタL2)と、第2インダクタ(
図1の例ではインダクタL3)と、を備える。また、実施形態1に係る方向性結合器10は、第3出力端子(
図1の例では出力端子311)と、第3インダクタ(
図1の例ではインダクタL1)と、を更に備える。
【0014】
複数の第1副線路12,13の各々は、第1主線路11と電磁気的に結合する。複数の第2副線路22,23の各々は、第2主線路21と電磁気的に結合する。第1出力端子は、複数の第1副線路12,13に接続されており、第1主線路11を伝送する第1高周波信号に対応する第1検波信号を出力することができる端子である。第2出力端子は、複数の第2副線路22,23に接続されており、第2主線路21を伝送する第2高周波信号に対応する第2検波信号を出力することができる端子である。第1インダクタは、第1出力端子を含む第1信号経路(
図1の例では信号経路R2)上に設けられている。第2インダクタは、第2出力端子を含む第2信号経路(
図1の例では信号経路R3)上に設けられている。第3出力端子は、複数の外部入力端子341,342に接続されており、複数の外部入力端子341,342を介して外部(例えば、別の方向性結合器)から入力される検波信号を出力することができる端子である。第3インダクタは、第3出力端子を含む第3信号経路(
図1の例では信号経路R1)上に設けられている。
【0015】
実施形態1に係る方向性結合器10では、第1~第3出力端子を備えているため、第1検波信号と第2検波信号と外部からの検波信号とを同時に出力することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0016】
(1)方向性結合器、高周波モジュール及び通信装置
(1.1)高周波モジュールの構成
まず、実施形態1に係る高周波モジュール100の構成について、
図2を参照して説明する。
【0017】
高周波モジュール100は、
図2に示すように、例えばスマートフォンのような通信装置300に用いられる。なお、通信装置300は、例えば、スマートウォッチのようなウェアラブル端末であってもよい。高周波モジュール100は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格、5G(第5世代移動通信)規格等に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標、Third Generation Partnership Project) LTE(登録商標、Long Term Evolution)規格である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。高周波モジュール100は、例えば、キャリアアグリゲーション及びデュアルコネクティビティに対応可能なモジュールである。一例として、高周波モジュール100は、アップリンクで2つの周波数帯域を同時に用いる2アップリンクキャリアアグリゲーションに対応可能なモジュールである。
【0018】
通信装置300は、複数の通信バンドの送信信号の送信、及び、複数の通信バンドの受信信号の受信を行う。複数の通信バンドの送信信号及び受信信号は、例えば、FDD(Frequency Division Duplex)の信号である。なお、複数の通信バンドの送信信号及び受信信号は、FDDの信号に限定されず、TDD(Time Division Duplex)の信号であってもよい。FDDは、無線通信における送信と受信とに異なる周波数帯域を割り当てて、送信及び受信を行う無線通信技術である。TDDは、無線通信における送信と受信とに同一の周波数帯域を割り当てて、送信と受信とを時間ごとに切り替えて行う無線通信技術である。
【0019】
高周波モジュール100は、
図2に示すように、方向性結合器10と、第1送信フィルタ101と、第2送信フィルタ102と、第1受信フィルタ103と、第2受信フィルタ104と、を備える。また、高周波モジュール100は、第1パワーアンプ133と、第2パワーアンプ134と、第1ローノイズアンプ135と、第2ローノイズアンプ136と、を更に備える。また、高周波モジュール100は、複数の外部接続端子150を更に備える。また、高周波モジュール100は、第1出力整合回路(図示せず)と、第2出力整合回路(図示せず)と、第1入力整合回路(図示せず)と、第2入力整合回路(図示せず)と、を更に備える。なお、方向性結合器10については、「(1.3)方向性結合器の構成」の欄において詳しく説明する。
【0020】
(1.1.1)パワーアンプ
第1パワーアンプ133は、例えば、第1通信バンドの送信信号を増幅する増幅器である。第1パワーアンプ133は、第1送信フィルタ101と後述の第1信号入力端子153との間の信号経路に設けられている。第1パワーアンプ133は、第1入力端子(図示せず)及び第1出力端子(図示せず)を有する。第1パワーアンプ133の第1入力端子は、第1信号入力端子153を介して外部回路(例えば、信号処理回路200)に接続されている。第1パワーアンプ133の第1出力端子は、第1送信フィルタ101に接続されている。第1パワーアンプ133は、例えば、コントローラ(図示せず)によって制御される。なお、第1パワーアンプ133は、直接又は間接的に、第1送信フィルタ101に接続されていればよい。実施形態1では、第1パワーアンプ133は、第1出力整合回路(図示せず)を介して間接的に、第1送信フィルタ101に接続されている。
【0021】
第2パワーアンプ134は、例えば、第1通信バンドとは異なる第2通信バンドの送信信号を増幅する増幅器である。第2通信バンドは、例えば、第1通信バンドよりも周波数の低い通信バンドである。第2パワーアンプ134は、第2送信フィルタ102と後述の第2信号入力端子154との間の信号経路に設けられている。第2パワーアンプ134は、第2入力端子(図示せず)及び第2出力端子(図示せず)を有する。第2パワーアンプ134の第2入力端子は、第2信号入力端子154を介して外部回路(例えば、信号処理回路200)に接続されている。第2パワーアンプ134の第2出力端子は、第2送信フィルタ102に接続されている。第2パワーアンプ134は、例えば、コントローラによって制御される。なお、第2パワーアンプ134は、直接又は間接的に、第2送信フィルタ102に接続されていればよい。実施形態1では、第2パワーアンプ134は、第2出力整合回路(図示せず)を介して間接的に、第2送信フィルタ102に接続されている。
【0022】
(1.1.2)フィルタ
第1送信フィルタ101は、例えば、第1通信バンドの送信帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタである。第1送信フィルタ101は、第1パワーアンプ133の第1出力端子と後述の方向性結合器10の入出力端子321との間の信号経路に設けられている。第2送信フィルタ102は、例えば、第2通信バンドの送信帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタである。第2送信フィルタ102は、第2パワーアンプ134の第2出力端子と後述の方向性結合器10の入出力端子322との間の信号経路に設けられている。
【0023】
第1受信フィルタ103は、例えば、第1通信バンドの受信帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタである。第1受信フィルタ103は、後述の第1ローノイズアンプ135と入出力端子321との間の信号経路に設けられている。第2受信フィルタ104は、例えば、第2通信バンドの受信帯域を通過帯域とするバンドパスフィルタである。第2受信フィルタ104は、後述の第2ローノイズアンプ136と入出力端子322との間の信号経路に設けられている。
【0024】
すなわち、実施形態1に係る高周波モジュール100は、方向性結合器10に接続されており、所定の周波数帯域(第1通信バンド、第2通信バンド)の高周波信号を通過させるフィルタ(第1送信フィルタ101、第2送信フィルタ102、第1受信フィルタ103、第2受信フィルタ104)を備える。
【0025】
(1.1.3)出力整合回路
第1出力整合回路(図示せず)は、第1パワーアンプ133の第1出力端子と第1送信フィルタ101との間の信号経路に設けられている。第1出力整合回路は、第1パワーアンプ133と第1送信フィルタ101とのインピーダンス整合をとるための回路である。第1出力整合回路は、例えば、1つのインダクタを含む構成である。第1出力整合回路のインダクタは、第1パワーアンプ133の出力側に設けられている。なお、第1出力整合回路は、1つのインダクタを含む構成であることに限定されず、例えば、複数のインダクタを含む構成であってもよいし、複数のインダクタ及び複数のキャパシタを含む構成であってもよい。
【0026】
第2出力整合回路(図示せず)は、第2パワーアンプ134の第2出力端子と第2送信フィルタ102との間の信号経路に設けられている。第2出力整合回路は、第2パワーアンプ134と第2送信フィルタ102とのインピーダンス整合をとるための回路である。第2出力整合回路は、例えば、1つのインダクタを含む構成である。第2出力整合回路のインダクタは、第2パワーアンプ134の出力側に設けられている。なお、第2出力整合回路は、1つのインダクタを含む構成であることに限定されず、例えば、複数のインダクタを含む構成であってもよいし、複数のインダクタ及び複数のキャパシタを含む構成であってもよい。
【0027】
(1.1.4)ローノイズアンプ
第1ローノイズアンプ135は、例えば、第1通信バンドの受信信号を低雑音で増幅する増幅器である。第1ローノイズアンプ135は、第1受信フィルタ103と後述の第1信号出力端子155との間の信号経路に設けられている。第1ローノイズアンプ135は、第1入力端子(図示せず)及び第1出力端子(図示せず)を有する。第1ローノイズアンプ135の第1入力端子は、第1入力整合回路(図示せず)に接続されている。第1ローノイズアンプ135の第1出力端子は、第1信号出力端子155を介して外部回路(例えば、信号処理回路200)に接続されている。
【0028】
第2ローノイズアンプ136は、例えば、第2通信バンドの受信信号を低雑音で増幅する増幅器である。第2ローノイズアンプ136は、第2受信フィルタ104と後述の第2信号出力端子156との間の信号経路に設けられている。第2ローノイズアンプ136は、第2入力端子(図示せず)及び第2出力端子(図示せず)を有する。第2ローノイズアンプ136の第2入力端子は、第2入力整合回路(図示せず)に接続されている。第2ローノイズアンプ136の第2出力端子は、第2信号出力端子156を介して外部回路(例えば、信号処理回路200)に接続されている。
【0029】
(1.1.5)入力整合回路
第1入力整合回路(図示せず)は、第1ローノイズアンプ135と第1受信フィルタ103との間の信号経路に設けられている。第1入力整合回路は、第1ローノイズアンプ135と第1受信フィルタ103とのインピーダンス整合をとるための回路である。第1入力整合回路は、例えば、1つのインダクタを含む構成である。第1入力整合回路のインダクタは、第1ローノイズアンプ135の入力側に設けられている。なお、第1入力整合回路は、1つのインダクタを含む構成であることに限定されず、例えば、複数のインダクタを含む構成であってもよいし、複数のインダクタ及び複数のキャパシタを含む構成であってもよい。
【0030】
第2入力整合回路(図示せず)は、第2ローノイズアンプ136と第2受信フィルタ104との間の信号経路に設けられている。第2入力整合回路は、第2ローノイズアンプ136と第2受信フィルタ104とのインピーダンス整合をとるための回路である。第2入力整合回路は、例えば、1つのインダクタを含む構成である。第2入力整合回路のインダクタは、第2ローノイズアンプ136の入力側に設けられている。なお、第2入力整合回路は、1つのインダクタを含む構成であることに限定されず、例えば、複数のインダクタを含む構成であってもよいし、複数のインダクタ及び複数のキャパシタを含む構成であってもよい。
【0031】
(1.1.6)外部接続端子
複数の外部接続端子150は、第1アンテナ端子151と、第2アンテナ端子152と、第1信号入力端子153と、第2信号入力端子154と、第1信号出力端子155と、第2信号出力端子156と、複数のグランド端子(図示せず)と、を含む。複数のグランド端子は、通信装置300の備える後述の回路基板(図示せず)のグランド電極と電気的に接続されてグランド電位が与えられる端子である。
【0032】
第1アンテナ端子151は、第1アンテナ301に接続されている。高周波モジュール100内において、第1アンテナ端子151は、後述の方向性結合器10の入出力端子331に接続されている。また、第1アンテナ端子151は、方向性結合器10の第1主線路11を介して、第1送信フィルタ101及び第1受信フィルタ103に接続されている。
【0033】
第2アンテナ端子152は、第2アンテナ302に接続されている。高周波モジュール100内において、第2アンテナ端子152は、後述の方向性結合器10の入出力端子332に接続されている。また、第2アンテナ端子152は、方向性結合器10の第2主線路21を介して、第2送信フィルタ102及び第2受信フィルタ104に接続されている。
【0034】
第1信号入力端子153及び第2信号入力端子154の各々は、外部回路(例えば、信号処理回路200)からの送信信号を高周波モジュール100に入力するための端子である。高周波モジュール100内において、第1信号入力端子153は、第1パワーアンプ133に接続されている。また、高周波モジュール100内において、第2信号入力端子154は、第2パワーアンプ134に接続されている。
【0035】
第1信号出力端子155は、第1ローノイズアンプ135からの受信信号を外部回路(例えば、信号処理回路200)へ出力するための端子である。高周波モジュール100内において、第1信号出力端子155は、第1ローノイズアンプ135に接続されている。第2信号出力端子156は、第2ローノイズアンプ136からの受信信号を外部回路(例えば、信号処理回路200)へ出力するための端子である。高周波モジュール100内において、第2信号出力端子156は、第2ローノイズアンプ136に接続されている。
【0036】
複数のグランド端子(図示せず)は、通信装置300が備える回路基板(図示せず)のグランド電極と電気的に接続されてグランド電位が与えられる端子である。高周波モジュール100内において、複数のグランド端子は、実装基板(図示せず)のグランド層(図示せず)に接続されている。グランド層は、高周波モジュール100の回路グランドである。
【0037】
(1.2)通信装置の構成
次に、実施形態1に係る通信装置300の構成について、
図2を参照して説明する。
【0038】
通信装置300は、
図2に示すように、上述の高周波モジュール100と、第1アンテナ301と、第2アンテナ302と、信号処理回路200と、を備える。また、通信装置300は、高周波モジュール100が実装される回路基板(図示せず)を更に備える。回路基板は、例えば、プリント配線板である。回路基板は、グランド電位が与えられるグランド電極を有している。
【0039】
(1.2.1)アンテナ
第1アンテナ301は、高周波モジュール100の第1アンテナ端子151に接続されている。第2アンテナ302は、高周波モジュール100の第2アンテナ端子152に接続されている。第1アンテナ301及び第2アンテナ302は、高周波モジュール100から出力された送信信号を電波にて放射する送信機能と、受信信号を電波として外部から受信して高周波モジュール100へ出力する受信機能と、を有する。
【0040】
(1.2.2)信号処理回路
信号処理回路200は、高周波モジュール100に接続されている。信号処理回路200は、高周波モジュール100を通る信号を処理する。より詳細には、信号処理回路200は、送信信号及び受信信号を処理する。信号処理回路200は、RF信号処理回路201と、ベースバンド信号処理回路202と、を含む。
【0041】
RF信号処理回路201は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)である。RF信号処理回路201は、高周波信号に対する信号処理を行う。
【0042】
RF信号処理回路201は、ベースバンド信号処理回路202から出力された信号に対してアップコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号を高周波モジュール100に出力する。また、RF信号処理回路201は、高周波モジュール100から出力された高周波信号に対してダウンコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた信号をベースバンド信号処理回路202に出力する。
【0043】
ベースバンド信号処理回路202は、例えば、BBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路202は、信号処理回路200の外部からの送信信号に対する所定の信号処理を行う。ベースバンド信号処理回路202で処理された受信信号は、例えば、画像信号として画像表示のための画像信号として使用され、又は、通話のための音声信号として使用される。
【0044】
また、RF信号処理回路201は、高周波信号(送信信号、受信信号)の送受に基づいて、後述の方向性結合器10の切替スイッチ5,6及び短絡スイッチ81~83の各々の接続を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RF信号処理回路201は、制御信号(図示せず)によって、方向性結合器10の切替スイッチ5,6及び短絡スイッチ81~83の各々の接続を切り替える。なお、制御部は、RF信号処理回路201の外部に設けられていてもよく、例えば、高周波モジュール100又はベースバンド信号処理回路202に設けられていてもよい。
【0045】
(1.3)方向性結合器の構成
次に、実施形態1に係る方向性結合器10の構成について、
図1を参照して説明する。
【0046】
方向性結合器10は、
図1に示すように、第1主線路11と、複数の第1副線路12,13と、第2主線路21と、複数の第2副線路22,23と、複数の終端回路14~17と、を備える。また、方向性結合器10は、複数の第1接続端子31と、複数の第2接続端子32と、複数の第3接続端子33と、複数の第4接続端子34と、複数の第5接続端子35と、を更に備える。また、方向性結合器10は、複数のインダクタL1~L3と、複数の減衰器41~43と、複数の切替スイッチ5,6と、を更に備える。また、方向性結合器10は、複数のフィルタ71~73と、複数の短絡スイッチ81~83と、RFFE(RF Frond-End)9と、を更に備える。
【0047】
(1.3.1)主線路
第1主線路11は、第1主線路11の長手方向の両端である第1端111及び第2端112を有する。第1主線路11の第1端111は、後述の入出力端子321に接続されている。また、第1主線路11の第1端111は、入出力端子321を介して第1送信フィルタ101及び第1受信フィルタ103(
図2参照)に接続されている。第1主線路11の第2端112は、後述の入出力端子331に接続されている。また、第1主線路11の第2端112は、入出力端子331を介して第1アンテナ端子151(
図2参照)に接続されている。
【0048】
第2主線路21は、第1主線路11とは異なる主線路である。より詳細には、第2主線路21は、第2主線路21を通過する高周波信号の周波数帯域が第1主線路11とは異なる主線路である。具体的には、第1主線路11を通過する高周波信号の周波数帯域は第1通信バンドであり、第2主線路21を通過する高周波信号の周波数帯域は第2通信バンドである。第2主線路21は、第2主線路21の長手方向の両端である第1端211及び第2端212を有する。第2主線路21の第1端211は、後述の入出力端子322に接続されている。また、第2主線路21の第1端211は、入出力端子322を介して第2送信フィルタ102及び第2受信フィルタ104(
図2参照)に接続されている。第2主線路21の第2端212は、後述の入出力端子332に接続されている。また、第2主線路21の第2端212は、入出力端子332を介して第2アンテナ端子152(
図2参照)に接続されている。
【0049】
(1.3.2)副線路
第1副線路12は、第1副線路12の長手方向の両端である第1端121及び第2端122を有する。第1副線路12の第1端121は、終端回路14に接続されている。第1副線路12の第2端122は、図示を省略しているが、後述の切替スイッチ6の選択端子61に接続されている。第1副線路12は、第1主線路11と電磁気的に結合する。第1副線路12は、例えば、第1通信バンドの周波数に対応する線路長を有し、第1主線路11を通過する第1通信バンドの送信信号に対応する検波信号を取得する。
【0050】
第1副線路13は、第1副線路13の長手方向の両端である第1端131及び第2端132を有する。第1副線路13の第1端131は、図示を省略しているが、切替スイッチ6の選択端子62に接続されている。第1副線路13の第2端132は、終端回路15に接続されている。第1副線路13は、第1主線路11と電磁気的に結合する。第1副線路13は、第1通信バンドの周波数とは異なる周波数に対応する線路長を有する。より詳細には、第1副線路13の線路長は、第1副線路12の線路長と異なる長さである。第1副線路13は、例えば、第1主線路11を通過する第1通信バンドとは異なる周波数の送信信号に対応する検波信号を取得する。
【0051】
第2副線路22は、第2副線路22の長手方向の両端である第1端221及び第2端222を有する。第2副線路22の第1端221は、終端回路16に接続されている。第2副線路22の第2端222は、図示を省略しているが、切替スイッチ6の選択端子63に接続されている。第2副線路22は、第2主線路21と電磁気的に結合する。第2副線路22は、例えば、第2通信バンドの周波数に対応する線路長を有し、第2主線路21を通過する第2通信バンドの送信信号に対応する検波信号を取得する。
【0052】
第2副線路23は、第2副線路23の長手方向の両端である第1端231及び第2端232を有する。第2副線路23の第1端231は、図示を省略しているが、切替スイッチ6の選択端子64に接続されている。第2副線路23の第2端232は、終端回路17に接続されている。第2副線路23は、第2主線路21と電磁気的に結合する。第2副線路23は、第2通信バンドの周波数とは異なる周波数に対応する線路長を有する。より詳細には、第2副線路23の線路長は、第2副線路22の線路長と異なる長さである。第2副線路23は、例えば、第2主線路21を通過する第2通信バンドとは異なる周波数の送信信号に対応する検波信号を取得する。
【0053】
実施形態1では、第1主線路11を伝送する高周波信号(送信信号)が第1高周波信号であり、第1副線路12,13のうちの一方が取得する検波信号が第1検波信号である。また、実施形態1では、第2主線路21を伝送する高周波信号(送信信号)が第2高周波信号であり、第2副線路22,23のうちの一方が取得する検波信号が第2検波信号である。
【0054】
(1.3.3)終端回路
終端回路14は、上述の第1副線路12を終端するための回路である。終端回路14は、第1副線路12の第1端121とグランドとの間に接続されている。終端回路15は、上述の第1副線路13を終端するための回路である。終端回路15は、第1副線路13の第2端132とグランドとの間に接続されている。終端回路16は、上述の第2副線路22を終端するための回路である。終端回路16は、第2副線路22の第1端221とグランドとの間に接続されている。終端回路17は、上述の第2副線路23を終端するための回路である。終端回路17は、第2副線路23の第2端232とグランドとの間に接続されている。
【0055】
終端回路14~17の各々は、例えば、可変抵抗器(図示せず)と、可変キャパシタ(図示せず)と、スイッチ(図示せず)と、を有する。スイッチは、可変抵抗器とグランドとの間に接続されている。可変キャパシタは、可変抵抗器に対して並列に接続されている。終端回路14~17の各々のスイッチがオン又はオフにされることによって、各副線路が終端される状態と、各副線路が終端されない状態と、が切り替えられる。
【0056】
(1.3.4)インダクタ
インダクタL1は、後述の出力端子311と切替スイッチ5の第1端子51とを結ぶ信号経路R1上に設けられている。より詳細には、インダクタL1は、信号経路R1のうち、出力端子311と減衰器41との間の信号経路に設けられている。インダクタL1の第1端は出力端子311に接続され、インダクタL1の第2端は減衰器41に接続されている。
【0057】
インダクタL2は、後述の出力端子312と切替スイッチ5の第2端子52とを結ぶ信号経路R2上に設けられている。より詳細には、インダクタL2は、信号経路R2のうち、出力端子312と減衰器42との間の信号経路に設けられている。インダクタL2の第1端は出力端子312に接続され、インダクタL2の第2端は減衰器42に接続されている。
【0058】
インダクタL3は、後述の出力端子313と切替スイッチ5の第3端子53とを結ぶ信号経路R3上に設けられている。より詳細には、インダクタL3は、信号経路R3のうち、出力端子313と減衰器43との間の信号経路に設けられている。インダクタL3の第1端は出力端子313に接続され、インダクタL3の第2端は減衰器43に接続されている。
【0059】
(1.3.5)減衰器
減衰器41は、信号経路R1のうちインダクタL1と切替スイッチ5の第1端子51との間の信号経路に設けられている。減衰器41は、信号経路R1を通過する検波信号を所定の信号レベルに減衰させる。
【0060】
減衰器42は、信号経路R2のうちインダクタL2と切替スイッチ5の第2端子52との間の信号経路に設けられている。減衰器42は、信号経路R2を通過する検波信号を所定の信号レベルに減衰させる。
【0061】
減衰器43は、信号経路R3のうちインダクタL3と切替スイッチ5の第3端子53との間の信号経路に設けられている。減衰器43は、信号経路R3を通過する検波信号を所定の信号レベルに減衰させる。
【0062】
(1.3.6)切替スイッチ
切替スイッチ5は、複数の第1接続端子31の接続先を切り替えるためのスイッチである。切替スイッチ5は、第1~第6端子51~56を有する。第1端子51は、インダクタL1及び減衰器41を介して、後述の出力端子311に接続されている。第2端子52は、インダクタL2及び減衰器42を介して、後述の出力端子312に接続されている。第3端子53は、インダクタL3及び減衰器43を介して、後述の出力端子313に接続されている。第4端子54は、フィルタ71と短絡スイッチ81との第1並列回路に接続されている。第5端子55は、フィルタ72と短絡スイッチ82との第2並列回路に接続されている。第6端子56は、フィルタ73と短絡スイッチ83との第3並列回路に接続されている。
【0063】
切替スイッチ5では、第1端子51は、第4端子54、第5端子55又は第6端子56に接続可能である。また、切替スイッチ5では、第2端子52は、第4端子54、第5端子55又は第6端子56に接続可能である。また、切替スイッチ5では、第3端子53は、第4端子54、第5端子55又は第6端子56に接続可能である。
【0064】
図1の例では、第1端子51は第6端子56に接続されており、第2端子52は第4端子54に接続されており、第3端子53は第5端子55に接続されている。この場合、インダクタL2が第1インダクタであり、出力端子312が第1出力端子であり、信号経路R2が第1信号経路である。また、この場合、インダクタL3が第2インダクタであり、出力端子313が第2出力端子であり、信号経路R3が第2信号経路である。また、この場合、インダクタL1が第3インダクタであり、出力端子311が第3出力端子であり、信号経路R1が第3信号経路である。
【0065】
また、例えば、第1端子51が第4端子54に接続され、第2端子52が第5端子55に接続され、第3端子53が第6端子56に接続されている場合、インダクタL1が第1インダクタであり、出力端子311が第1出力端子であり、信号経路R1が第1信号経路である。また、この場合、インダクタL2が第2インダクタであり、出力端子312が第2出力端子であり、信号経路R2が第2信号経路である。また、この場合、インダクタL3が第3インダクタであり、出力端子313が第3出力端子であり、信号経路R3が第3信号経路である。
【0066】
切替スイッチ6は、第1並列回路の接続先を第1副線路12又は第1副線路13に切り替えることができるスイッチである。また、切替スイッチ6は、第2並列回路の接続先を第2副線路22又は第2副線路23に切り替えることができるスイッチである。また、切替スイッチ6は、第3並列回路の接続先を外部入力端子341又は外部入力端子342に切り替えることができるスイッチである。切替スイッチ6は、複数の共通端子601~603と、複数の選択端子61~66と、を有する。
【0067】
共通端子601は、フィルタ71と短絡スイッチ81との第1並列回路に接続されている。また、共通端子601は、第1並列回路を介して切替スイッチ5の第4端子54に接続されている。共通端子602は、フィルタ72と短絡スイッチ82との第2並列回路に接続されている。また、共通端子602は、第2並列回路を介して切替スイッチ5の第5端子55に接続されている。共通端子603は、フィルタ73と短絡スイッチ83との第3並列回路に接続されている。また、共通端子603は、第3並列回路を介して切替スイッチ5の第6端子56に接続されている。
【0068】
選択端子65は、後述の外部入力端子341に接続されている。選択端子66は、後述の外部入力端子342に接続されている。
【0069】
切替スイッチ6では、共通端子601は、選択端子61又は選択端子62に接続可能である。すなわち、切替スイッチ6では、第1並列回路の接続先として、第1副線路12又は第1副線路13に切り替えられる。また、切替スイッチ6では、共通端子602は、選択端子63又は選択端子64に接続可能である。すなわち、切替スイッチ6では、第2並列回路の接続先として、第2副線路22又は第2副線路23に切り替えられる。また、切替スイッチ6では、共通端子603は、選択端子65又は選択端子66に接続可能である。すなわち、切替スイッチ6では、第3並列回路の接続先として、外部入力端子341又は外部入力端子342に切り替えられる。なお、共通端子601~603は、選択端子61~66のいずれかに接続可能にしても構わない。
【0070】
上述の切替スイッチ5,6は、例えば、後述のRFFE9によって制御される。より詳細には、切替スイッチ5,6は、RFFE9からの制御信号(図示せず)に従って接続状態が切り替えられる。また、切替スイッチ6は、共通端子601と選択端子61,62とが接続され、共通端子602と選択端子63,64とが接続されるモードを有する。実施形態1では、共通端子601が第1共通端子であり、選択端子61,62が第1選択端子である。また、実施形態1では、共通端子602が第2共通端子であり、選択端子63,64が第2選択端子である。
【0071】
(1.3.7)フィルタ
フィルタ71は、例えば、ローパスフィルタである。フィルタ72,73の各々は、例えば、バンドパスフィルタである。フィルタ71は、切替スイッチ5の第4端子54と切替スイッチ6の共通端子601との間の信号経路に設けられている。フィルタ72は、切替スイッチ5の第5端子55と切替スイッチ6の共通端子602との間の信号経路に設けられている。フィルタ73は、切替スイッチ5の第6端子56と切替スイッチ6の共通端子603との間の信号経路に設けられている。フィルタ71~73は、切替スイッチ6の共通端子601~603からの検波信号に含まれる不要な周波数成分の信号を減衰させる機能を有している。
【0072】
(1.3.8)短絡スイッチ
短絡スイッチ81は、フィルタ71の両端を短絡させるためのスイッチである。短絡スイッチ81は、フィルタ71に対して並列に接続されている。すなわち、短絡スイッチ81は、フィルタ71と共に第1並列回路を構成している。切替スイッチ6を介して入力される第1検波信号は、短絡スイッチ81がオフ状態でフィルタ71を通過し、オン状態で短絡スイッチ81を通過する。短絡スイッチ81は、例えば、RFFE9によって制御される。
【0073】
短絡スイッチ82は、フィルタ72の両端を短絡させるためのスイッチである。短絡スイッチ82は、フィルタ72に対して並列に接続されている。すなわち、短絡スイッチ82は、フィルタ72と共に第2並列回路を構成している。切替スイッチ6を介して入力される第2検波信号は、短絡スイッチ82がオフ状態でフィルタ72を通過し、オン状態で短絡スイッチ82を通過する。短絡スイッチ82は、例えば、RFFE9によって制御される。
【0074】
短絡スイッチ83は、フィルタ73の両端を短絡させるためのスイッチである。短絡スイッチ83は、フィルタ73に対して並列に接続されている。すなわち、短絡スイッチ83は、フィルタ73と共に第3並列回路を構成している。切替スイッチ6を介して入力される第3検波信号(外部からの検波信号)は、短絡スイッチ83がオフ状態でフィルタ73を通過し、オン状態で短絡スイッチ83を通過する。短絡スイッチ83は、例えば、RFFE9によって制御される。短絡スイッチ81~83は、切替スイッチ6の共通端子601~603からの検波信号を、フィルタ71~73を通さずに出力端子311~313に出力する際にオンされる。
【0075】
(1.3.9)RFFE
RFFE9は、第1アンテナ301及び第2アンテナ302(
図2参照)と信号処理回路200(
図2参照)との間の高周波信号の処理を制御する制御回路である。RFFE9と信号処理回路200とは、複数の第5接続端子35を介して接続されている。複数の第5接続端子35は、後述するように、複数の制御端子351~353を含む。RFFE9は、複数の制御端子351~353を介して、信号処理回路200から制御信号を取得する。そして、RFFE9は、これらの制御信号に従って、上述の切替スイッチ5,6及び短絡スイッチ81~83を制御する。
【0076】
(1.3.10)接続端子
複数の第1接続端子31は、複数の出力端子311~313を含む。複数の出力端子311~313の各々は、検波信号を出力するための端子である。
図1の例では、外部からの検波信号が出力端子311から出力され、第1検波信号が出力端子312から出力され、第2検波信号が出力端子313から出力される。
【0077】
複数の第2接続端子32は、複数の入出力端子321,322を含む。入出力端子321は、第1送信フィルタ101及び第1受信フィルタ103に接続されている。入出力端子321は、第1送信フィルタ101からの送信信号を方向性結合器10に入力するための入力端子として機能し、かつ第1受信フィルタ103への受信信号を出力するための出力端子として機能する。入出力端子322は、第2送信フィルタ102及び第2受信フィルタ104に接続されている。入出力端子322は、第2送信フィルタ102からの送信信号を方向性結合器10に入力するための入力端子として機能し、かつ第2受信フィルタ104への受信信号を出力するための出力端子として機能する。
【0078】
複数の第3接続端子33は、複数の入出力端子331,332を含む。入出力端子331は、第1アンテナ301に接続されている。入出力端子321は、方向性結合器10からの送信信号を第1アンテナ301に出力するための出力端子として機能し、かつ第1アンテナ301が受信した受信信号を方向性結合器10に入力するための入力端子として機能する。入出力端子332は、第2アンテナ302に接続されている。入出力端子332は、方向性結合器10からの送信信号を第2アンテナ302に出力するための出力端子として機能し、かつ第2アンテナ302が受信した受信信号を方向性結合器10に入力するための入力端子として機能する。
【0079】
複数の第4接続端子34は、複数の外部入力端子341,342を含む。外部入力端子341は、外部回路(例えば、他の第1方向性結合器)に接続されている。外部入力端子341は、他の第1方向性結合器からの検波信号を方向性結合器10に入力するための端子である。外部入力端子342は、外部回路(例えば、他の第2方向性結合器)に接続されている。外部入力端子342は、他の第2方向性結合器からの検波信号を方向性結合器10に入力するための端子である。実施形態1では、外部入力端子341又は外部入力端子342から入力される検波信号が第3検波信号である。
【0080】
複数の第5接続端子35は、複数(
図1の例では3つ)の制御端子351~353を含む。複数の制御端子351~353は、外部回路(例えば、信号処理回路200)からの制御信号を方向性結合器10に入力するための端子である。
【0081】
(2)インダクタのレイアウト
次に、複数のインダクタL1~L3のレイアウトについて、
図3を参照して説明する。
【0082】
実施形態1に係る方向性結合器10は、
図3に示すように、基板50を更に備える。基板50は、第1主面501及び第2主面502を有する。第1主面501と第2主面502とは、第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向(
図3の紙面に垂直な方向)において互いに対向する。
【0083】
実施形態1に係る方向性結合器10では、複数のインダクタL1~L3は、基板50の第1主面501に配置されている。
図3の例では、複数のインダクタL1~L3は、第1方向D1における基板50の一端側(
図3の左側)から、インダクタL1、インダクタL2、インダクタL3の順に並んでいる。
【0084】
ここで、基板50は複数の絶縁層を積層して形成され、複数のインダクタL1~L3の各々は、その絶縁層上に形成された電極を持つ積層構造のインダクタである。すなわち、複数のインダクタL1~L3の各々は、第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向(
図3の紙面に垂直な方向)において互いに異なる絶縁層に配置されている複数のパターン部P1を有する。
図3の例では、複数のインダクタL1~L3の各々は、3つのパターン部P1を有する。本明細書では、第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向からの平面視において、半周よりも短いパターン部を「配線」といい、半周よりも長いパターン部を「インダクタ」という。したがって、上述の複数のインダクタL1~L3の各々は、「配線」ではなく、「インダクタ」である。複数のインダクタL1~L3のインダクタンス値は、同じであることが好ましいが、異なっていてもよい。
【0085】
実施形態1に係る方向性結合器10は、
図3に示すように、複数の電極141~143を更に備える。電極141は、出力端子311(
図1参照)に接続されている。電極142は、出力端子312(
図1参照)に接続されている。電極143は、出力端子313(
図1参照)に接続されている。複数の電極141~143は、基板50の第2主面502に配置されている。複数の電極141~143は、
図3に示すように、第1方向D1における基板50の一端側(
図3の左側)から、電極141、電極142、電極143の順に等間隔に並んでいる。すなわち、複数の電極141~143は、基板50の第2主面502において互いに隣接して配置されている。本明細書において「2つの電極が互いに隣接して配置されている」は、2つの電極の間に他の要素が存在せず、2つの電極が配置されていることをいう。
【0086】
また、実施形態1に係る方向性結合器10では、基板50の厚さ方向(第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向)からの平面視において、インダクタL1と電極141とが重なっており、インダクタL2と電極142とが重なっており、かつインダクタL3と電極143とが重なっている。
図3の例では、上記厚さ方向からの平面視において、インダクタL1の全部と電極141の一部とが重なっており、インダクタL2の全部と電極142の一部とが重なっており、かつインダクタL3の全部と電極143の一部とが重なっている。
【0087】
なお、上記厚さ方向からの平面視において、インダクタL1の全部と電極141の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL1の一部と電極141の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL1の一部と電極141の一部とが重なっていてもよい。また、上記厚さ方向からの平面視において、インダクタL2の全部と電極142の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL2の一部と電極142の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL2の一部と電極142の一部とが重なっていてもよい。また、上記厚さ方向からの平面視において、インダクタL3の全部と電極143の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL3の一部と電極143の全部とが重なっていてもよいし、インダクタL3の一部と電極143の一部とが重なっていてもよい。要するに、「基板の厚さ方向からの平面視において、インダクタと電極とが重なっている」とは、インダクタの少なくとも一部と電極の少なくとも一部とが重なっていることをいう。
【0088】
(3)方向性結合器の特性
次に、方向性結合器10の特性について、
図4A~
図4Cを参照して説明する。
図4A~
図4Cの横軸は周波数を示し、
図4A~
図4Cの縦軸はSパラメータを示す。また、
図4Aは、出力端子311(電極141)から出力される検波信号の特性を示し、
図4Bは、出力端子312(電極142)から出力される検波信号の特性を示し、
図4Cは、出力端子313(電極143)から出力される検波信号の特性を示す。
【0089】
図4Aにおいて、実線a1は、出力端子311に接続されているインダクタL1のインダクタンス値が2nHである場合の波形図であり、実線a2は、出力端子311に接続されているインダクタL1のインダクタンス値が4nHである場合の波形図である。また、
図4Aにおいて、破線a3は、出力端子311にインダクタL1が接続されていない場合(比較例)の波形図であり、一点鎖線a4は、Sパラメータの基準値を示す。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子311から出力される検波信号のSパラメータを一点鎖線a4に示す基準値よりも小さくすることが望まれている。
【0090】
出力端子311にインダクタL1が接続されていない場合(比較例)には、2GHz~3GHzの領域において、Sパラメータが基準値を上回っている領域が存在している。これに対して、出力端子311にインダクタL1が接続されている場合(実施形態1)には、インダクタL1のインダクタンス値が2nHでは、2GHz~3GHzのある周波数においてSパラメータが基準値と重なっているが、出力端子311にインダクタL1が接続されていない場合に比べて、Sパラメータが小さい。また、インダクタL1のインダクタンス値が4nHでは、0.5GHz~8GHzの領域の全体にわたってSパラメータが基準値を下回っている。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子311にインダクタL1を接続することによって、出力端子311にインダクタL1を接続しない場合に比べて、Sパラメータを小さくすることが可能となる。
【0091】
図4Bにおいて、実線b1は、出力端子312に接続されているインダクタL2のインダクタンス値が2nHである場合の波形図であり、実線b2は、出力端子312に接続されているインダクタL2のインダクタンス値が4nHである場合の波形図である。また、
図4Bにおいて、破線b3は、出力端子312にインダクタL2が接続されていない場合(比較例)の波形図であり、一点鎖線b4は、Sパラメータの基準値を示す。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子312から出力される検波信号のSパラメータを一点鎖線b4に示す基準値よりも小さくすることが望まれている。
【0092】
出力端子312にインダクタL2が接続されていない場合(比較例)には、2GHz~3GHzのある周波数において、Sパラメータが基準値と重なっている。これに対して、出力端子312にインダクタL2が接続されている場合(実施形態1)には、インダクタL2のインダクタンス値が2nH及び4nHのいずれでも、0.5GHz~8GHzの領域の全体にわたってSパラメータが基準値を下回っている。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子312にインダクタL2を接続することによって、出力端子312にインダクタL2を接続しない場合に比べて、Sパラメータを小さくすることが可能となる。
【0093】
図4Cにおいて、実線c1は、出力端子313に接続されているインダクタL3のインダクタンス値が2nHである場合の波形図であり、実線c2は、出力端子313に接続されているインダクタL3のインダクタンス値が4nHである場合の波形図である。また、
図4Cにおいて、破線c3は、出力端子313にインダクタL3が接続されていない場合(比較例)の波形図であり、一点鎖線c4は、Sパラメータの基準値を示す。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子313から出力される検波信号のSパラメータを一点鎖線c4に示す基準値よりも小さくすることが望まれている。
【0094】
出力端子313にインダクタL3が接続されていない場合(比較例)には、0.5GHz~5GHzの領域において、Sパラメータが基準値を上回っている領域が存在している。これに対して、出力端子313にインダクタL3が接続されている場合(実施形態1)には、インダクタL3のインダクタンス値が2nHでは、2GHz~3GHzの領域においてSパラメータが基準値を上回っている領域が存在するが、出力端子313にインダクタL3が接続されていない場合に比べて、Sパラメータが小さい。また、インダクタL3のインダクタンス値が4nHでは、0.5GHz~8GHzの領域の全体にわたってSパラメータが基準値を下回っている。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、出力端子313にインダクタL3を接続することによって、出力端子313にインダクタL3を接続しない場合に比べて、Sパラメータを小さくすることが可能となる。
【0095】
(4)効果
(4.1)方向性結合器
実施形態1に係る方向性結合器10は、第1検波信号を出力するための第1出力端子(
図1の例では出力端子312)と、第2検波信号を出力するための第2出力端子(
図1の例では出力端子313)と、を備えている。また、実施形態1に係る方向性結合器10は、第3検波信号(外部からの検波信号)を出力するための第3出力端子(
図1の例では出力端子311)を更に備えている。これにより、実施形態1に係る方向性結合器10では、第1検波信号と第2検波信号と第3検波信号とを同時に出力することが可能となる。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0096】
実施形態1に係る方向性結合器10では、基板50の厚さ方向からの平面視において、インダクタL1と電極141とが重なっており、かつインダクタL2と電極142とが重なっている。また、実施形態1に係る方向性結合器10では、基板50の厚さ方向からの平面視において、インダクタL3と電極143とが重なっている。すなわち、実施形態1に係る方向性結合器10では、電極141と対応するインダクタL1を電極141の近傍に配置し、電極142と対応するインダクタL2を電極142の近傍に配置している。また、実施形態1に係る方向性結合器10では、電極143と対応するインダクタL3を電極143の近傍に配置している。これにより、隣接するインダクタ間の電磁界結合を低減することが可能となり、その結果、方向性結合器10の検波特性を向上させることが可能となる。
【0097】
実施形態1に係る方向性結合器10では、各出力端子にインダクタを接続することにより、各出力端子間のアイソレーションを向上させることが可能となり、その結果、各出力端子間の距離を短くすることが可能となる。これにより、方向性結合器10の小型化を図ることが可能となる。
【0098】
(4.2)高周波モジュール及び通信装置
実施形態1に係る高周波モジュール100及び通信装置300は、上述の方向性結合器10を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0099】
なお、上述の信号処理回路200を構成する複数の電子部品は、例えば、上述の回路基板に実装されていてもよいし、高周波モジュール100が実装された回路基板(第1回路基板)とは別の回路基板(第2回路基板)に実装されていてもよい。つまり、信号処理回路200が実装される回路基板と高周波モジュール100が実装される回路基板とは、異なる回路基板であってもよい。
【0100】
(実施形態2)
実施形態2に係る方向性結合器10aについて、
図5を参照して説明する。実施形態2に係る方向性結合器10aに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
実施形態2に係る方向性結合器10aは、複数のインダクタL1~L3が半導体チップ60に含まれている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0102】
実施形態2に係る方向性結合器10aは、
図5に示すように、半導体チップ60を更に備える。半導体チップ60は、上述の第1主線路11、第2主線路21、複数の第1副線路12,13及び複数の第2副線路22,23の少なくとも一部を含む。実施形態2では、半導体チップ60は、第1主線路11、第2主線路21、複数の第1副線路12,13及び複数の第2副線路22,23のすべてを含む。また、半導体チップ60は、複数のインダクタL1~L3を更に含む。半導体チップ60は、基板50の第1主面501に配置されている。複数のインダクタL1~L3は、半導体チップ60内において、第1方向D1に沿って並んでいる。
【0103】
なお、インダクタL1に接続されている電極141、インダクタL2に接続されている電極142、及びインダクタL3に接続されている電極143は、実施形態1と同様、基板50の第2主面502に配置されている。
【0104】
実施形態2に係る方向性結合器10aにおいても、基板50の厚さ方向(第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向)からの平面視において、インダクタL1と電極141とが重なっており、インダクタL2と電極142とが重なっており、かつインダクタL3と電極143とが重なっている。
【0105】
実施形態2に係る方向性結合器10aにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0106】
また、実施形態2に係る方向性結合器10aにおいても、各出力端子にインダクタを接続することにより、第1出力端子、第2出力端子及び第3出力端子を近接して配置することが可能となる。その結果、検波特性の劣化を低減しながらも方向性結合器10aの小型化を図ることが可能となる。
【0107】
(実施形態3)
実施形態3に係る方向性結合器10bについて、
図6を参照して説明する。実施形態3に係る方向性結合器10bに関し、実施形態2に係る方向性結合器10a(
図5参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
実施形態3に係る方向性結合器10bは、第2インダクタL2が基板50に設けられている点で、実施形態2に係る方向性結合器10aと相違する。
【0109】
実施形態3に係る方向性結合器10bでは、
図6に示すように、インダクタL1及びインダクタL3は、半導体チップ60に含まれている。一方、インダクタL2は、
図6に示すように、基板50の第1主面501に配置されている。複数のインダクタL1~L3は、第1方向D1及び第2方向D2と直交する方向(
図6の紙面に垂直な方向)からの平面視において、第1方向D1に沿って並んでいる。また、インダクタL2は、第1方向D1と直交する第2方向D2において、インダクタL1,L3とは異なる位置に位置している。
図6の例では、インダクタL2は、第2方向D2において、インダクタL1,L3よりも基板50の端縁側(
図6の上側)に位置している。
【0110】
実施形態3に係る方向性結合器10bにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。また、実施形態3に係る方向性結合器10bでは、インダクタL1,L3が半導体チップ60に含まれており、インダクタL2が基板50に設けられている。これにより、インダクタL1,L3とインダクタL2との間の電磁界結合を低減することが可能となり、その結果、方向性結合器10bの検波特性を向上させることが可能となる。さらに、実施形態3に係る方向性結合器10bでは、半導体チップ60に含まれているインダクタL1とインダクタL3とが第2方向D2において離れている。これにより、インダクタL1とインダクタL3との間の電磁界結合も低減することが可能となり、その結果、方向性結合器10bの検波特性を更に向上させることが可能となる。
【0111】
実施形態3では、インダクタL1,L3が半導体チップ60に含まれており、インダクタL2が基板50に設けられているが、例えば、インダクタL1,L3が基板50に設けられており、インダクタL2が半導体チップ60に含まれていてもよい。すなわち、インダクタL1,L3とインダクタL2との一方は半導体チップ60に含まれており、インダクタL1,L3とインダクタL2との他方は基板50に設けられていればよい。
【0112】
(実施形態4)
実施形態4に係る方向性結合器10cについて、
図7を参照して説明する。実施形態4に係る方向性結合器10cに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0113】
実施形態4に係る方向性結合器10cは、インダクタL1及びインダクタL2が基板50内に設けられている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0114】
実施形態4に係る方向性結合器10cでは、
図7に示すように、インダクタL1及びインダクタL2は、基板50内に設けられている。すなわち、基板50は、インダクタL1及びインダクタL2が内部に設けられている多層基板である。基板50は、第1領域R11及び第2領域R12を有する。第1領域R11は、インダクタL1を構成する配線層が配置されている領域である。第2領域R12は、インダクタL2を構成する配線層が配置されている領域である。
図7の例では、第1領域R11と第2領域R12とは、基板50の厚さ方向である第3方向D3において離れている。すなわち、実施形態4に係る方向性結合器10cでは、インダクタL1のすべてがインダクタL2とは異なる層に設けられている。
【0115】
また、
図7の例では、第3方向D3からの平面視において、インダクタL1と電極141とが重なっており、かつインダクタL2と電極142とが重なっている。
【0116】
実施形態4に係る方向性結合器10cにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。また、実施形態4に係る方向性結合器10cでは、インダクタL1とインダクタL2とが基板50の異なる層に設けられており、インダクタL1とインダクタL2との間の電磁界結合を低減することが可能となる。これにより、方向性結合器10cの検波特性を向上させることが可能となる。
【0117】
なお、インダクタL3については、半導体チップ60に含まれていてもよいし、基板50の第1主面501に配置されていてもよいし、基板50内に設けられていてもよい。また、実施形態4では、インダクタL1のすべてがインダクタL2とは異なる層に設けられているが、インダクタL1の一部はインダクタL2と同じ層に設けられていてもよい。すなわち、インダクタL1の少なくとも一部が、インダクタL2とは異なる層に設けられていればよい。
【0118】
(実施形態5)
実施形態5に係る方向性結合器10dについて、
図8を参照して説明する。実施形態5に係る方向性結合器10dに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0119】
実施形態5に係る方向性結合器10dは、信号経路R1とグランドとの間に接続されているキャパシタC1を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態5に係る方向性結合器10dは、信号経路R2とグランドとの間に接続されているキャパシタC2を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態5に係る方向性結合器10dは、信号経路R3とグランドとの間に接続されているキャパシタC3を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0120】
(1)構成
実施形態5に係る方向性結合器10dは、
図8に示すように、第1主線路11と、複数の第1副線路12,13と、第2主線路21と、複数の第2副線路22,23と、複数の終端回路14~17と、を備える。また、方向性結合器10dは、複数の第1接続端子31と、複数の第2接続端子32と、複数の第3接続端子33と、複数の第4接続端子34と、複数の第5接続端子35と、を更に備える。また、方向性結合器10dは、複数のインダクタL1~L3と、複数の減衰器41~43と、複数の切替スイッチ5,6と、を更に備える。また、方向性結合器10dは、複数のフィルタ71~73と、複数の短絡スイッチ81~83と、RFFE9と、を更に備える。また、方向性結合器10dは、複数のキャパシタC1~C3を更に備える。
【0121】
キャパシタC1は、信号経路R1とグランドとの間に接続されている。より詳細には、キャパシタC1は、インダクタL1と減衰器41との接続点と、グランドとの間に接続されている。
【0122】
キャパシタC2は、信号経路R2とグランドとの間に接続されている。より詳細には、キャパシタC2は、インダクタL2と減衰器42との接続点と、グランドとの間に接続されている。
【0123】
キャパシタC3は、信号経路R3とグランドとの間に接続されている。より詳細には、キャパシタC3は、インダクタL3と減衰器43との接続点と、グランドとの間に接続されている。
【0124】
図8の例では、切替スイッチ5において、第1端子51と第6端子56とが接続され、第2端子52と第4端子54とが接続され、第3端子53と第5端子55とが接続されている。この場合、キャパシタC2が第1キャパシタであり、キャパシタC3が第2キャパシタであり、キャパシタC1が第3キャパシタである。
【0125】
また、例えば、切替スイッチ5において、第1端子51と第4端子54とが接続され、第2端子52と第5端子55とが接続され、第3端子53と第6端子56とが接続されている場合、キャパシタC1が第1キャパシタであり、キャパシタC2が第2キャパシタであり、キャパシタC3が第3キャパシタである。
【0126】
(2)効果
実施形態5に係る方向性結合器10dにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。また、実施形態5に係る方向性結合器10dでは、複数のキャパシタC1~C3を更に備えることによって複数の信号経路R1~R3の各々におけるインピーダンス整合をとりやすくなり、その結果、方向性結合器10dの検波特性を向上させることが可能となる。
【0127】
(3)変形例
実施形態5では、キャパシタC1がインダクタL1と減衰器41との接続点と、グランドとの間に接続されているが、キャパシタC1は、例えば、出力端子311とインダクタL1との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。また、キャパシタC2についても同様に、例えば、出力端子312とインダクタL2との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。また、キャパシタC3についても同様に、例えば、出力端子313とインダクタL3との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。
【0128】
実施形態5に係る方向性結合器10dは、3つのキャパシタC1~C3を備えているが、例えば、キャパシタC1のみを備えていてもよいし、キャパシタC2のみを備えていてもよいし、キャパシタC3のみを備えていてもよい。また、方向性結合器10dは、2つのキャパシタC1,C2を備えていてもよいし、2つのキャパシタC2,C3を備えていてもよいし、2つのキャパシタC3,C1を備えていてもよい。
【0129】
(実施形態6)
実施形態6に係る方向性結合器10eについて、
図9を参照して説明する。実施形態6に係る方向性結合器10eに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
実施形態6に係る方向性結合器10eは、信号経路R1とグランドとの間に接続されているスイッチS1を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態6に係る方向性結合器10eは、信号経路R2とグランドとの間に接続されているスイッチS2を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態6に係る方向性結合器10eは、信号経路R3とグランドとの間に接続されているスイッチS3を更に備えている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0131】
(1)構成
実施形態6に係る方向性結合器10eは、
図9に示すように、第1主線路11と、複数の第1副線路12,13と、第2主線路21と、複数の第2副線路22,23と、複数の終端回路14~17と、を備える。また、方向性結合器10eは、複数の第1接続端子31と、複数の第2接続端子32と、複数の第3接続端子33と、複数の第4接続端子34と、複数の第5接続端子35と、を更に備える。また、方向性結合器10eは、複数のインダクタL1~L3と、複数の減衰器41~43と、複数の切替スイッチ5,6と、を更に備える。また、方向性結合器10eは、複数のフィルタ71~73と、複数の短絡スイッチ81~83と、RFFE9と、を更に備える。また、方向性結合器10eは、複数のスイッチS1~S3を更に備える。
【0132】
スイッチS1は、信号経路R1とグランドとの間に接続されている。より詳細には、スイッチS1は、インダクタL1と減衰器41との接続点と、グランドとの間に接続されている。実施形態6に係る方向性結合器10eでは、スイッチS1のオフ状態が保持されることにより、スイッチS1のオフ容量が増加する。
【0133】
スイッチS2は、信号経路R2とグランドとの間に接続されている。より詳細には、スイッチS2は、インダクタL2と減衰器42との接続点と、グランドとの間に接続されている。実施形態6に係る方向性結合器10eでは、スイッチS2のオフ状態が保持されることにより、スイッチS2のオフ容量が増加する。
【0134】
スイッチS3は、信号経路R3とグランドとの間に接続されている。より詳細には、スイッチS3は、インダクタL3と減衰器43との接続点と、グランドとの間に接続されている。実施形態6に係る方向性結合器10eでは、スイッチS3のオフ状態が保持されることにより、スイッチS3のオフ容量が増加する。
【0135】
図9の例では、切替スイッチ5において、第1端子51と第6端子56とが接続され、第2端子52と第4端子54とが接続され、第3端子53と第5端子55とが接続されている。この場合、スイッチS2が第1スイッチであり、スイッチS3が第2スイッチであり、スイッチS1が第3スイッチである。
【0136】
また、例えば、切替スイッチ5において、第1端子51と第4端子54とが接続され、第2端子52と第5端子55とが接続され、第3端子53と第6端子56とが接続されている場合、スイッチS1が第1スイッチであり、スイッチS2が第2スイッチであり、スイッチS3が第3スイッチである。
【0137】
(2)効果
実施形態6に係る方向性結合器10eにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。また、実施形態6に係る方向性結合器10eでは、複数のスイッチS1~S3を更に備えることによって複数の信号経路R1~R3の各々におけるインピーダンス整合をとりやすくなり、その結果、方向性結合器10eの検波特性を向上させることが可能となる。
【0138】
(3)変形例
実施形態6では、スイッチS1がインダクタL1と減衰器41との接続点と、グランドとの間に接続されているが、スイッチS1は、例えば、出力端子311とインダクタL1との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。また、スイッチS2についても同様に、例えば、出力端子312とインダクタL2との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。また、スイッチS3についても同様に、例えば、出力端子313とインダクタL3との接続点と、グランドとの間に接続されていてもよい。
【0139】
実施形態6に係る方向性結合器10eは、3つのスイッチS1~S3を備えているが、例えば、スイッチS1のみを備えていてもよいし、スイッチS2のみを備えていてもよいし、スイッチS3のみを備えていてもよい。また、方向性結合器10eは、2つのスイッチS1,S2を備えていてもよいし、2つのスイッチS2,S3を備えていてもよいし、2つのスイッチS3,S1を備えていてもよい。
【0140】
(実施形態7)
実施形態7に係る方向性結合器10fについて、
図10を参照して説明する。実施形態7に係る方向性結合器10fに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0141】
実施形態7に係る方向性結合器10fは、インダクタL1が減衰器41と切替スイッチ5の第1端子51との間に設けられている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態7に係る方向性結合器10fは、インダクタL2が減衰器42と切替スイッチ5の第2端子52との間に設けられている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態7に係る方向性結合器10fは、インダクタL3が減衰器43と切替スイッチ5の第3端子53との間に設けられている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0142】
(1)構成
実施形態7に係る方向性結合器10fは、
図10に示すように、第1主線路11と、複数の第1副線路12,13と、第2主線路21と、複数の第2副線路22,23と、複数の終端回路14~17と、を備える。また、方向性結合器10fは、複数の第1接続端子31と、複数の第2接続端子32と、複数の第3接続端子33と、複数の第4接続端子34と、複数の第5接続端子35と、を更に備える。また、方向性結合器10fは、複数のインダクタL1~L3と、複数の減衰器41~43と、複数の切替スイッチ5,6と、を更に備える。また、方向性結合器10fは、複数のフィルタ71~73と、複数の短絡スイッチ81~83と、RFFE9と、を更に備える。
【0143】
インダクタL1は、信号経路R1のうち減衰器41と切替スイッチ5の第1端子51との間の信号経路に設けられている。より詳細には、インダクタL1の第1端は減衰器41に接続され、インダクタL1の第2端は切替スイッチ5の第1端子51に接続されている。
【0144】
インダクタL2は、信号経路R2のうち減衰器42と切替スイッチ5の第2端子52との間の信号経路に設けられている。より詳細には、インダクタL2の第1端は減衰器42に接続され、インダクタL2の第2端はスイッチ5の第2端子52に接続されている。
【0145】
インダクタL3は、信号経路R3のうち減衰器43と切替スイッチ5の第3端子53との間の信号経路に設けられている。より詳細には、インダクタL3の第1端は減衰器43に接続され、インダクタL3の第2端はスイッチ5の第3端子53に接続されている。
【0146】
図10の例では、切替スイッチ5において、第1端子51と第6端子56とが接続され、第2端子52と第4端子54とが接続され、第3端子53と第5端子55とが接続されている。この場合、インダクタL2が第1インダクタであり、インダクタL3が第2インダクタであり、インダクタL1が第3インダクタである。
【0147】
また、例えば、切替スイッチ5において、第1端子51と第4端子54とが接続され、第2端子52と第5端子55とが接続され、第3端子53と第6端子56とが接続されている場合、インダクタL1が第1インダクタであり、インダクタL2が第2インダクタであり、インダクタL3が第3インダクタである。
【0148】
(2)効果
実施形態7に係る方向性結合器10fにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子、第2検波信号を出力するための第2出力端子、及び第3検波信号を出力するための第3出力端子を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0149】
(実施形態8)
実施形態8に係る方向性結合器10gについて、
図11を参照して説明する。実施形態8に係る方向性結合器10gに関し、実施形態1に係る方向性結合器10(
図1~
図3参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0150】
実施形態8に係る方向性結合器10gは、第2主線路21、複数の第2副線路22,23、終端回路16,17及び入出力端子322,332が省略されている点で、実施形態1に係る方向性結合器と相違する。また、実施形態8に係る方向性結合器10gは、出力端子312、インダクタL2、減衰器42、フィルタ72及び短絡スイッチ82が省略されている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態8に係る方向性結合器10gは、切替スイッチ5において第2端子52及び第5端子55が省略されている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。また、実施形態8に係る方向性結合器10gは、切替スイッチ6において共通端子602及び選択端子63,64が省略されている点で、実施形態1に係る方向性結合器10と相違する。
【0151】
(1)構成
実施形態8に係る方向性結合器10gは、
図11に示すように、主線路11と、複数の副線路12,13と、複数の終端回路14,15と、を備える。また、方向性結合器10gは、複数の第1接続端子31と、1つの第2接続端子32と、1つの第3接続端子33と、複数の第4接続端子34と、複数の第5接続端子35と、を更に備える。また、方向性結合器10gは、複数のインダクタL1,L3と、複数の減衰器41,43と、複数の切替スイッチ5,6と、を更に備える。また、方向性結合器10gは、複数のフィルタ71,73と、複数の短絡スイッチ81,83と、RFFE9と、を更に備える。
【0152】
切替スイッチ5は、
図11に示すように、第1端子51と、第3端子53と、第4端子54と、第6端子56と、を有する。切替スイッチ5では、第1端子51は、第4端子54又は第6端子56に接続可能である。また、切替スイッチ5では、第3端子53は、第4端子54又は第6端子56に接続可能である。
【0153】
切替スイッチ6は、複数の共通端子601,603と、複数の選択端子61,62,65,66と、を有する。切替スイッチ6では、共通端子601は、選択端子61又は選択端子62に接続可能である。また、切替スイッチ6では、共通端子603は、選択端子65又は選択端子66に接続可能である。実施形態8では、共通端子601が第1共通端子であり、選択端子61,62が第1選択端子である。また、実施形態8では、共通端子603が第2共通端子であり、選択端子65,66が第2選択端子である。すなわち、実施形態8に係る方向性結合器10gでは、切替スイッチ6は、第1共通端子と第1選択端子とが接続され、かつ第2共通端子と第2選択端子とが接続されるモードを有する。
【0154】
図11の例では、切替スイッチ5において、第1端子51は第6端子56に接続され、第3端子53は第4端子54に接続されている。この場合、出力端子313が第1出力端子であり、インダクタL3が第1インダクタであり、信号経路R3が第1信号経路である。また、この場合、出力端子311が第2出力端子であり、インダクタL1が第2インダクタであり、信号経路R1が第2信号経路である。
【0155】
また、例えば、切替スイッチ5において、第1端子51が第4端子54に接続され、第3端子53が第6端子56に接続されている場合、出力端子311が第1出力端子であり、インダクタL1が第1インダクタであり、信号経路R1が第1信号経路である。また、この場合、出力端子313が第2出力端子であり、インダクタL3が第2インダクタであり、信号経路R3が第2信号経路である。
【0156】
(2)効果
実施形態8に係る方向性結合器10gにおいても、第1検波信号を出力するための第1出力端子(
図11の例では出力端子313)、及び第2検波信号(外部からの検波信号)を出力するための第2出力端子(
図11の例では出力端子311)を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0157】
(その他の変形例)
上述の実施形態1~8等は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態1~8等は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能であり、互いに異なる実施形態の互いに異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0158】
実施形態1に係る高周波モジュール100は、方向性結合器10の代わりに、方向性結合器10a~10gを備えてもよい。
【0159】
実施形態1に係る方向性結合器10は、2つの第1副線路12,13を備えているが、1つの第1副線路を備えていてもよいし、3つ以上の第1副線路を備えていてもよい。また、実施形態1に係る方向性結合器10は、2つの第2副線路22,23を備えているが、1つの第2副線路を備えていてもよいし、3つ以上の第2副線路を備えていてもよい。なお、実施形態2~7においても同様である。
【0160】
また、実施形態8に係る方向性結合器10gは、2つの副線路12,13を備えているが、1つの副線路を備えていてもよいし、3つ以上の副線路を備えていてもよい。
【0161】
実施形態1に係る方向性結合器10では、複数のインダクタL1~L3のすべてが、基板50の厚さ方向からの平面視において対応する電極と重なっているが、複数のインダクタL1~L3の少なくとも1つは、上記厚さ方向からの平面視において対応する電極と重なっていなくてもよい。なお、実施形態2~8においても同様である。
【0162】
本明細書において、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に直接実装されている場合だけでなく、基板で隔された第1主面側の空間及び第2主面側の空間のうち、第1主面側の空間に要素が配置されている場合を含む。つまり、「要素は、基板の第1主面に配置されている」は、要素が基板の第1主面上に、他の回路素子又は電極等を介して実装されている場合を含む。要素は、例えば、半導体チップ60であるが、半導体チップ60に限定されない。基板は、例えば、基板50である。基板が基板50である場合、第1主面は第1主面501であり、第2主面は第2主面502である。
【0163】
本明細書において、「要素は、基板の第2主面に配置されている」は、要素が基板の第2主面上に直接実装されている場合だけでなく、基板で隔された第1主面側の空間及び第2主面側の空間のうち、第2主面側の空間に要素が配置されている場合を含む。つまり、「要素は、基板の第2主面に配置されている」は、要素が基板の第2主面上に、他の回路素子又は電極等を介して実装されている場合を含む。要素は、例えば、複数の電極141~143であるが、複数の電極141~143に限定されない。基板は、例えば、基板50である。基板が基板50である場合、第1主面は第1主面501であり、第2主面は第2主面502である。
【0164】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0165】
第1の態様に係る方向性結合器(10;10a~10f)は、第1主線路(11)と、第2主線路(21)と、第1副線路(12,13)と、第2副線路(22,23)と、第1出力端子(312)と、第2出力端子(313)と、第1インダクタ(L2)と、第2インダクタ(L3)と、を備える。第2主線路(21)は、第1主線路(11)とは異なる主線路である。第1副線路(12,13)は、第1主線路(11)と電磁気的に結合する。第2副線路(22,23)は、第2主線路(21)と電磁気的に結合する。第1出力端子(312)は、第1副線路(12,13)に接続されており、第1主線路(11)を伝送する第1高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための端子である。第2出力端子(313)は、第2副線路(22,23)に接続されており、第2主線路(21)を伝送する第2高周波信号に対応する第2検波信号を出力するための端子である。第1インダクタ(L2)は、第1出力端子(312)を含む第1信号経路(R2)上に設けられている。第2インダクタ(L3)は、第2出力端子(313)を含む第2信号経路(R3)上に設けられている。
【0166】
この態様によれば、方向性結合器(10;10a~10f)は、第1検波信号を出力するための第1出力端子(312)と、第2検波信号を出力するための第2出力端子(313)と、を備えている。これにより、第1検波信号と第2検波信号とを同時に出力することが可能となる。すなわち、この態様によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0167】
第2の態様に係る方向性結合器(10g)は、主線路(11)と、副線路(12,13)と、第1出力端子(313)と、第2出力端子(311)と、第1インダクタ(L3)と、第2インダクタ(L1)と、を備える。副線路(12,13)は、主線路(11)と電磁気的に結合する。第1出力端子(313)は、副線路(12,13)に接続されており、主線路(11)を伝送する高周波信号に対応する第1検波信号を出力するための端子である。第2出力端子(311)は、外部からの第2検波信号を出力するための端子である。第1インダクタ(L3)は、第1出力端子(313)を含む第1信号経路(R3)上に設けられている。第2インダクタ(L1)は、第2出力端子(311)を含む第2信号経路(R1)上に設けられている。
【0168】
この態様によれば、方向性結合器(10g)は、第1検波信号を出力するための第1出力端子(313)と、第2検波信号を出力するための第2出力端子(311)と、を備えている。これにより、第1検波信号と第2検波信号とを同時に出力することが可能となる。すなわち、この態様によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0169】
第3の態様に係る方向性結合器(10d;10e)は、第1又は第2の態様において、第1キャパシタ(C2)又は第1スイッチ(S2)と、第2キャパシタ(C3)又は第2スイッチ(S3)と、の少なくとも一方を更に備える。第1キャパシタ(C2)又は第1スイッチ(S2)は、第1信号経路(R2)とグランドとの間に接続されている。第2キャパシタ(C3)又は第2スイッチ(S3)は、第2信号経路(R3)とグランドとの間に接続されている。
【0170】
この態様によれば、インダクタのみを備える場合に比べて、各信号経路におけるインピーダンス整合をとりやすくなり、その結果、方向性結合器(10d;10e)の検波特性を向上させることが可能となる。
【0171】
第4の態様に係る方向性結合器(10;10a~10f)は、第1又は第3の態様において、基板(50)と、第1電極(142)と、第2電極(143)と、を更に備える。基板(50)は、第1主線路(11)、第2主線路(21)、第1副線路(12,13)及び第2副線路(22,23)の少なくとも一部を含む半導体チップ(60)が配置されている。第1電極(142)は、基板(50)に配置されており、第1出力端子(312)に接続されている。第2電極(143)は、基板(50)において第1電極(142)と隣接して配置されており、第2出力端子(313)に接続されている。
【0172】
この態様によれば、第1電極(142)と第2電極(143)とを隣接して配置することができるので、検波特性の劣化を抑制しつつ方向性結合器(10;10a~10f)の小型化を図ることが可能となる。
【0173】
第5の態様に係る方向性結合器(10g)は、第2又は第3の態様において、基板(50)と、第1電極(143)と、第2電極(141)と、を更に備える。基板(50)は、主線路(11)及び副線路(12,13)の少なくとも一部を含む半導体チップ(60)が配置されている。第1電極(143)は、基板(50)に配置されており、第1出力端子(313)に接続されている。第2電極(141)は、基板(50)において第1電極(143)と隣接して配置されており、第2出力端子(311)に接続されている。
【0174】
この態様によれば、第1電極(143)と第2電極(141)とを隣接して配置することができるので、検波特性の劣化を抑制しつつ方向性結合器(10g)の小型化を図ることが可能となる。
【0175】
第6の態様に係る方向性結合器(10;10a~10g)では、第4又は第5の態様において、第1電極(142;143)及び第2電極(143;141)は、基板(50)に配置されている。第1インダクタ(L2;L3)と第1電極(142;143)、及び第2インダクタ(L3;L1)と第2電極(143;141)の少なくとも一方は、基板(50)の厚さ方向において重なっている。
【0176】
この態様によれば、第1インダクタ(L2;L3)は対応する第1電極(142;143)の近傍に配置され、かつ、第2インダクタ(L3;L1)は対応する第2電極(143;141)の近傍に配置されている。これにより、第1インダクタ(L2;L3)と第2インダクタ(L3;L1)との間の電磁界結合を低減することが可能となり、その結果、方向性結合器(10;10a~10g)の検波特性を向上させることが可能となる。
【0177】
第7の態様に係る方向性結合器(10c)では、第4又は第5の態様において、基板(50)は、第1インダクタ(L1)及び第2インダクタ(L2)が内部に設けられている多層基板である。第1インダクタ(L1)の少なくとも一部は、第2インダクタ(L2)とは異なる層に設けられている。
【0178】
この態様によれば、第1インダクタ(L1)と第2インダクタ(L2)との間の電磁界結合を低減することが可能となる。
【0179】
第8の態様に係る方向性結合器(10b)では、第4の態様において、第1インダクタ(L1)及び第2インダクタ(L2)の一方は、半導体チップ(60)に含まれている。第1インダクタ(L1)及び第2インダクタ(L2)の他方は、基板(50)に設けられている。
【0180】
この態様によれば、第1インダクタ(L1)と第2インダクタ(L2)との間の電磁界結合を低減することが可能となる。
【0181】
第9の態様に係る方向性結合器(10;10a~10f)は、第8の態様において、第3出力端子(311)と、第3インダクタ(L1)と、を更に備える。第3出力端子(311)は、外部からの検波信号を出力するための端子である。第3インダクタ(L1)は、第3出力端子(311)を含む第3信号経路(R1)上に設けられている。半導体チップ(60)は、第3インダクタ(L1)を更に含む。
【0182】
この態様によれば、第1インダクタ(L2)又は第2インダクタ(L3)と第3インダクタ(L1)との間の電磁界結合を低減することが可能となる。
【0183】
第10の態様に係る方向性結合器(10g)は、第5の態様において、第1インダクタ(L3)及び第2インダクタ(L1)の一方は、半導体チップ(60)に含まれている。第1インダクタ(L3)及び第2インダクタ(L1)の他方は、基板(50)に設けられている。
【0184】
この態様によれば、第1インダクタ(L3)と第2インダクタ(L1)との間の電磁界結合を低減することが可能となる。
【0185】
第11の態様に係る方向性結合器(10;10a~10f)は、第1、第3、第4、第6、第7、第8又は第9の態様において、スイッチ(6)を更に備える。スイッチ(6)は、第1共通端子(601)、第2共通端子(602)、第1選択端子(61,62)、及び第2選択端子(63,64)を有する。第1共通端子(601)は、第1出力端子(312)に接続される。第2共通端子(602)は、第2出力端子(313)に接続される。第1選択端子(61,62)は、第1副線路(12,13)に接続されている。第2選択端子(63,64)は、第2副線路(22,23)に接続されている。スイッチ(6)は、第1共通端子(601)と第1選択端子(61,62)とが接続され、かつ第2共通端子(602)と第2選択端子(63,64)とが接続されるモードを有する。
【0186】
この態様によれば、方向性結合器(10;10a~10f)をキャリアアグリゲーションに対応させることが可能となる。
【0187】
第12の態様に係る方向性結合器(10g)は、第2、第3、第5、第6、第7又は第10の態様において、スイッチ(6)を更に備える。スイッチ(6)は、第1共通端子(601)、第2共通端子(603)、第1選択端子(61,62)、及び第2選択端子(65,66)を有する。第1共通端子(601)は、第1出力端子(313)に接続される。第2共通端子(603)は、外部出力端子(311)に接続される。第1選択端子(61,62)は、副線路(12,13)に接続されている。第2選択端子(65,66)は、検波信号が入力される外部入力端子(341,342)に接続されている。スイッチ(6)は、第1共通端子(601)と第1選択端子(61,62)とが接続され、かつ第2共通端子(603)と第2選択端子(65,66)とが接続されるモードを有する。
【0188】
この態様によれば、方向性結合器(10g)をキャリアアグリゲーションに対応させることが可能となる。
【0189】
第13の態様に係る方向性結合器(10f)は、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、減衰器(42,43)を更に備える。減衰器(42,43)は、第1出力端子(312)及び第2出力端子(313)に接続されており、第1検波信号及び第2検波信号の少なくとも一方を減衰させる。第1インダクタ(L2)及び第2インダクタ(L3)は、減衰器(42,43)における入力側の信号経路に設けられている。
【0190】
この態様によれば、第1検波信号を出力するための第1出力端子(312)と、第2検波信号を出力するための第2出力端子(313)と、を備えている。これにより、第1検波信号と第2検波信号とを同時に出力することが可能となる。すなわち、この態様によれば、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0191】
第14の態様に係る高周波モジュール(100)は、第1~第13の態様のいずれか1つの方向性結合器(10;10a~10g)と、フィルタ(101~104)と、を備える。フィルタ(101~104)は、方向性結合器(10;10a~10g)に接続されており、所定の周波数帯域の高周波信号を通過させる。
【0192】
この態様によれば、方向性結合器(10;10a~10g)を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【0193】
第15の態様に係る通信装置(300)は、第14の態様の高周波モジュール(100)と、信号処理回路(200)と、を備える。信号処理回路(200)は、高周波モジュール(100)に接続されている。
【0194】
この態様によれば、方向性結合器(10;10a~10g)を備えているので、複数の検波信号を同時に出力することが可能となる。
【符号の説明】
【0195】
5,6 切替スイッチ
9 RFFE
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g 方向性結合器
11 第1主線路(主線路)
12,13 第1副線路(副線路)
14~17 終端回路
21 第2主線路
22,23 第2副線路
31 第1接続端子
32 第2接続端子
33 第3接続端子
34 第4接続端子
35 第5接続端子
41~43 減衰器
50 基板
51 第1端子
52 第2端子
53 第3端子
54 第4端子
55 第5端子
56 第6端子
61~66 選択端子
71~73 フィルタ
81~83 短絡スイッチ
100 高周波モジュール
101 第1送信フィルタ
102 第2送信フィルタ
103 第1受信フィルタ
104 第2受信フィルタ
111,121,131,211,221,231 第1端
112,122,132,212,222,232 第2端
133 第1パワーアンプ
134 第2パワーアンプ
135 第1ローノイズアンプ
136 第2ローノイズアンプ
141~143 電極
150 外部接続端子
151 第1アンテナ端子
152 第2アンテナ端子
153 第1信号入力端子
154 第2信号入力端子
155 第1信号出力端子
156 第2信号出力端子
200 信号処理回路
201 RF信号処理回路
202 ベースバンド信号処理回路
300 通信装置
301 第1アンテナ
302 第2アンテナ
311~313 出力端子
321,322,331,332 入出力端子
341,342 外部入力端子
351~353 制御端子
501 第1主面
502 第2主面
601~603 共通端子
C1~C3 キャパシタ
L1~L3 インダクタ
P1 パターン部
R1~R3 信号経路
R11 第1領域
R12 第2領域
S1~S3 スイッチ