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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031697
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】室内機および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0068 20190101AFI20240229BHJP
   F28F 19/00 20060101ALI20240229BHJP
   F28F 19/04 20060101ALI20240229BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F24F1/0068
F28F19/00 511Z
F28F19/04
C23C26/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135418
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
【テーマコード(参考)】
3L051
4K044
【Fターム(参考)】
3L051BF02
3L051BF10
4K044AA06
4K044AB03
4K044BA21
4K044BB01
4K044BC02
4K044BC14
4K044CA53
(57)【要約】
【課題】冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる室内機およびその室内機を備えた空気調和機を提案する。
【解決手段】室内機(1)は、ケーシング(21)と、ケーシング(21)内のスペース(21a)に収容された熱交換器(15)と、熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31)とを備える。接続配管(31)は、一端が熱交換器(15)に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管(311)と、第1冷媒配管(311)の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管(312)とを備える。第2冷媒配管(312)の一端は、第1冷媒配管(311)の他端にケーシング(21)内で接続されている。ケーシング(21)内のスペース(21a)において、第2冷媒配管(312)の外周面が筒部材(61)で覆われるように、第2冷媒配管(312)は筒部材内(61)に配置される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(21)と、
上記ケーシング(21)内のスペース(21a)に収容された熱交換器(15)と、
上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)と
筒部材(61)と
を備え、
上記接続配管(31,32)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、金属で形成された第1冷媒配管(311,321)と、
上記第1冷媒配管(311,321)の金属に対して電位的に貴な金属で形成された第2冷媒配管(312,322)と
を備え、
上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内の上記スペース(21a)で接続され、
上記ケーシング(21)内の上記スペース(21a)において、上記第2冷媒配管(312,322)の外周面が筒部材(61)で覆われるように、上記第2冷媒配管(312,322)は上記筒部材(61)内に配置される、室内機(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の室内機(1)において、
上記第1冷媒配管(311,321)の外周面が上記筒部材(61)で覆われないように、上記第1冷媒配管(311,321)は上記筒部材(61)外に配置される、室内機(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端と上記第2冷媒配管(312,322)の一端とを連結する第3冷媒配管(313,323)を備え、
上記第3冷媒配管(313,323)の外周面が上記筒部材(61)で覆われるように、上記第3冷媒配管(313,323)は上記筒部材(61)内に配置される、室内機(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の室内機(1)において、
上記第3冷媒配管(313,323)はステンレス鋼で形成されている、室内機(1)。
【請求項5】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記第2冷媒配管(312,322)は、上記ケーシング(21)内の上記スペース(21a)に配置され、下方に突出するように屈曲する屈曲部(312e)を備える、室内機(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の室内機(1)において、
上記屈曲部(312e)は、
上記熱交換器(15)側に向かって斜め上方に延びる第1勾配部(312e-1)と、
上記熱交換器(15)とは反対側に向かって斜め上方に延びる第2勾配部(312e-2)と
を備え、
上記筒部材(61)は、上記第1勾配部(312e-1)の外周面から上記第2勾配部(312e-2)の外周面まで覆う、室内機(1)。
【請求項7】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)に上記筒部材(61)を固定する固定部材(71)を備え、
上記筒部材(61)が上記接続配管(31,32)の外周面に押し付けられるように、上記固定部材(71)が上記筒部材(61)の外周面に巻き付けられる、室内機(1)。
【請求項8】
請求項7に記載の室内機(1)において、
上記筒部材(61)が上記第2冷媒配管(312,322)の外周面に押し付けられるように、上記固定部材(71)が上記筒部材(61)の外周面に巻き付けられる、室内機(1)。
【請求項9】
請求項3に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)に上記筒部材(61)を固定する固定部材(71)を備え、
上記筒部材(61)が第3冷媒配管(313,323)の外周面に押し付けられるように、上記固定部材(71)は上記筒部材(61)の外周面に巻き付けられる、室内機(1)。
【請求項10】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)は、第1接続配管(31)と第2接続配管(32)とを備え、
上記第1接続配管(31)と上記第2接続配管(32)とは、それぞれ、上記第1冷媒配管(311,321)と上記第2冷媒配管(312,322)とを備え、
上記第1接続配管(31)は液管である一方、上記第2接続配管(32)はガス管であり、
上記第1接続配管(31)の上記第1冷媒配管(311)と上記第2接続配管(32)の上記第1冷媒配管(321)とは、水平方向において互いに隣り合う、または、上記第1接続配管(31)の上記第1冷媒配管(311)は上記第2接続配管(32)の上記第1冷媒配管(321)よりも上方に位置する、室内機(1)。
【請求項11】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)は、第1接続配管(31)と第2接続配管(32)とを備え、
上記第1接続配管(31)と上記第2接続配管(32)とは、それぞれ、上記第1冷媒配管(311,321)と上記第2冷媒配管(312,322)とを備え、
上記第1接続配管(31)の上記第1冷媒配管(311)は、水平方向に対して第1角度で傾斜する液管である一方、上記第2接続配管(32)の上記第1冷媒配管(321)は、水平方向に対して第1角度とは異なる第2角度で傾斜するガス管である、室内機(1)。
【請求項12】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)に上記筒部材(61)を固定する固定部材(71)を備え、
上記接続配管(31,32)は、第1接続配管(31)と第2接続配管(32)とを備え、
上記筒部材(61)が上記第1接続配管(31)の外周面と上記第2接続配管(32)の外周面とに押し付けられるように、上記固定部材(71)が上記筒部材(61)の外周面に巻き付けられ、
上記固定部材(71)は、上記第1接続配管(31)と上記第2接続配管(32)とが立体交差する箇所の周囲に配置される、室内機(1)。
【請求項13】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記第1冷媒配管(311,321)と上記第2冷媒配管(312,322)との接続部に密着すると共に、上記接続部を覆う被覆部材(51)またはコーティング膜を備え、
上記被覆部材(51)またはコーティング膜が上記筒部材(61)で覆われるように、上記被覆部材(51)またはコーティング膜は上記筒部材(61)内に配置される、室内機(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)に上記筒部材(61)を固定する固定部材(71)を備え、
上記筒部材(61)が上記被覆部材(51)またはコーティング膜の外周面に押し付けられるように、上記固定部材(71)が上記筒部材(61)の外周面に巻き付けられる、室内機(1)。
【請求項15】
請求項1または2に記載の室内機(1)を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機および空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内機としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成された第1の冷媒配管と銅または銅合金で形成された第2の冷媒配管との接続部が、第1の冷媒配管の立ち下がり部に配置され、防食処理が第1の冷媒配管に施されたものがある(例えば、特開2013-155892号公報(特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-155892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記室内機では、第1,第2の冷媒配管の異種金属同士がケーシング外で接続されているので、室内空気に曝されて第1,第2の冷媒配管に結露が生じやすいため、第1,第2の冷媒配管を覆う防露筒が設けられる。この防露筒内は乾燥しにくいため、第1,第2の冷媒配管の接続部が長時間濡れた状態となって電蝕が発生するという問題がある。
【0005】
本開示では、冷媒配管における電蝕の発生を抑制できる室内機およびその室内機を備えた空気調和機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る室内機は
ケーシングと、
上記ケーシング内のスペースに収容された熱交換器と、
上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管と
筒部材と
を備え、
上記接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、金属で形成された第1冷媒配管と、
上記第1冷媒配管の金属に対して電位的に貴な金属で形成された第2冷媒配管と
を備え、
上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に上記ケーシング内の上記スペースで接続され、
上記ケーシング内の上記スペースにおいて、上記第2冷媒配管の外周面が筒部材で覆われるように、上記第2冷媒配管は上記筒部材内に配置される。
【0007】
上記構成によれば、ケーシング内において熱交換器を収容するスペースに、第1冷媒配管と第2冷媒配管との接続箇所を配置し、第2冷媒配管の外周面を筒部材で覆うことにより、冷媒配管における電蝕の発生を抑制することができる。
【0008】
本開示の第2態様に係る室内機は、
上記第1態様の室内機において、
上記第1冷媒配管の外周面が上記筒部材で覆われないように、上記第1冷媒配管は上記筒部材外に配置される。
【0009】
上記構成によれば、第1冷媒配管の外周面が筒部材で覆われないようにすることにより、第1冷媒配管が乾き易くなる。したがって、第1冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0010】
本開示の第3態様に係る室内機は、
上記第1態様または第2態様の室内機において、
上記接続配管は、上記第1冷媒配管の他端と上記第2冷媒配管の一端とを連結する第3冷媒配管を備え、
上記第3冷媒配管の外周面が上記筒部材で覆われるように、上記第3冷媒配管は上記筒部材内に配置される。
【0011】
上記構成によれば、第1冷媒配管に、第3冷媒配管を介して第2冷媒配管を接続し、第3冷媒配管の外周面まで筒部材で覆うことにより、第1冷媒配管の外周面上から第2冷媒配管の外周面上にかけて結露水が連続するのを抑制することができる。
【0012】
本開示の第4態様に係る室内機は、
上記第3態様の室内機において、
上記第3冷媒配管はステンレス鋼で形成されている。
【0013】
上記構成によれば、第3冷媒配管はステンレス鋼で形成されているので、第1液冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0014】
本開示の第5態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第4態様までのいずれか一つの室内機において、
上記第2冷媒配管は、上記ケーシング内の上記スペースに配置され、下方に突出するように屈曲する屈曲部を備える。
【0015】
上記構成によれば、ケーシング内のスペースに、第2冷媒配管において下方に突出するように屈曲する屈曲部を配置することにより、屈曲部およびその周辺部で生じた結露水が、重力で屈曲部の下端部に集まって、滴下する。その結果、ケーシング内のスペースにおいて、結露水が第2冷媒配管を伝って第1冷媒配管に流れるのを抑制することができる。
【0016】
本開示の第6態様に係る室内機は、
上記第5態様の室内機において、
上記屈曲部は、
上記熱交換器側に向かって斜め上方に延びる第1勾配部と、
上記熱交換器とは反対側に向かって斜め上方に延びる第2勾配部と
を備え、
上記筒部材は、上記第1勾配部の外周面から上記第2勾配部の外周面まで覆う。
【0017】
上記構成によれば、第1勾配部の外周面から第2勾配部の外周面までを筒部材で覆うことにより、第1勾配部および第2勾配部の外周面上の結露水が、第1勾配部および第2勾配部から離れても、第1冷媒配管に付着するのを抑制することができる。
【0018】
本開示の第7態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第6態様までのいずれか一つの室内機において、
上記接続配管に上記筒部材を固定する固定部材を備え、
上記筒部材が上記接続配管の外周面に押し付けられるように、上記固定部材が上記筒部材の外周面に巻き付けられる。
【0019】
上記構成によれば、固定部材が接続配管に筒部材を固定するので、接続配管に対する筒部材の位置ずれを抑制することができる。
【0020】
本開示の第8態様に係る室内機は、
上記第7態様の室内機において、
上記筒部材が上記第2冷媒配管の外周面に押し付けられるように、上記固定部材が上記筒部材の外周面に巻き付けられる。
【0021】
上記構成によれば、筒部材の外周面に固定部材を巻き付けることにより、筒部材が第2冷媒配管の外周面に押し付けられるので、第2冷媒配管に沿った結露水の移動を筒部材で抑制することができる。
【0022】
本開示の第9態様に係る室内機は、
上記第3態様の室内機において、
上記接続配管に上記筒部材を固定する固定部材を備え、
上記筒部材が第3冷媒配管の外周面に押し付けられるように、上記固定部材は上記筒部材の外周面に巻き付けられる。
【0023】
上記構成によれば、固定部材が接続配管に筒部材を固定するので、接続配管に対する筒部材の位置ずれを抑制することができる。
【0024】
本開示の第10態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第9態様までのいずれか一つの室内機において、
上記接続配管は、第1接続配管と第2接続配管とを備え、
上記第1接続配管と上記第2接続配管とは、それぞれ、上記第1冷媒配管と上記第2冷媒配管とを備え、
上記第1接続配管は液管である一方、上記第2接続配管はガス管であり、
上記第1接続配管の上記第1冷媒配管と上記第2接続配管の上記第1冷媒配管とは、水平方向において互いに隣り合う、または、上記第1接続配管の上記第1冷媒配管は上記第2接続配管の上記第1冷媒配管よりも上方に位置する。
【0025】
ここで、上記液管とは、蒸発器(冷房運転時または除湿運転時の熱交換器)の入口に接続される冷媒配管である。また、上記ガス管とは、蒸発器(冷房運転時または除湿運転時の熱交換器)の出口に接続される冷媒配管である。
【0026】
上記構成によれば、第1接続配管は液管である一方、第2接続配管はガス管であるので、第2接続配管で生じるは、第1接続配管で生じる結露水よりも多くなる。この場合、第1接続配管の第1冷媒配管と第2接続配管の第1冷媒配管とは、水平方向において互いに隣り合うとき、第2接続配管の第1冷媒配管から滴下した結露水が第1接続配管の第1冷媒配管に付着する可能性を低減することができる。
【0027】
また、第1接続配管の第1冷媒配管は第2接続配管の第1冷媒配管よりも上方に位置するときも、第2接続配管の第1冷媒配管から滴下した結露水が第1接続配管の第1冷媒配管に付着する可能性を低減することができる。
【0028】
本開示の第11態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第9態様までのいずれか一つの室内機において、
上記接続配管は、第1接続配管と第2接続配管とを備え、
上記第1接続配管と上記第2接続配管とは、それぞれ、上記第1冷媒配管と上記第2冷媒配管とを備え、
上記第1接続配管の上記第1冷媒配管は、水平方向に対して第1角度で傾斜する液管である一方、上記第2接続配管の上記第1冷媒配管は、水平方向に対して第1角度とは異なる第2角度で傾斜するガス管である。
【0029】
ここで、上記液管とは、蒸発器(冷房運転時または除湿運転時の熱交換器)の入口に接続される冷媒配管である。また、上記ガス管とは、蒸発器(冷房運転時または除湿運転時の熱交換器)の出口に接続される冷媒配管である。
【0030】
上記構成によれば、第1接続配管の第1冷媒配管の水平方向に対する傾斜角(第1角度)は、第2接続配管の第1冷媒配管の水平方向に対する傾斜角(第2角度)とは異なるので、第1接続配管の第1冷媒配管と第2接続配管の第1冷媒配管とで結露水が保持される可能性を低減することができる。
【0031】
本開示の第12態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第6態様までのいずれか一つの室内機において、
上記接続配管に上記筒部材を固定する固定部材を備え、
上記接続配管は、第1接続配管と第2接続配管とを備え、
上記筒部材が上記第1接続配管の外周面と上記第2接続配管の外周面とに押し付けられるように、上記固定部材が上記筒部材の外周面に巻き付けられ、
上記固定部材は、上記第1接続配管と上記第2接続配管とが立体交差する箇所の周囲に配置される。
【0032】
上記構成によれば、固定部材が接続配管に筒部材を固定するので、接続配管に対する筒部材の位置ずれを抑制することができる。
【0033】
本開示の第13態様に係る室内機は、
上記第1態様から上記第5態様までのいずれか一つの室内機において、
上記第1冷媒配管と上記第2冷媒配管との接続部の外周面に密着すると共に、上記接続部の外周面を覆う被覆部材またはコーティング膜を備え、
上記被覆部材またはコーティング膜が上記筒部材で覆われるように、上記被覆部材またはコーティング膜は上記筒部材内に配置される。
【0034】
上記構成によれば、被覆部材またはコーティング膜が第1冷媒配管と第2冷媒配管との接続部の外周面を覆うので、第1液冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0035】
本開示の第14態様に係る室内機は、
上記第13態様の室内機において
上記接続配管に上記筒部材を固定する固定部材を備え、
上記筒部材が上記被覆部材またはコーティング膜の外周面に押し付けられるように、上記固定部材が上記筒部材の外周面に巻き付けられる。
【0036】
上記構成によれば、固定部材が接続配管に筒部材を固定するので、接続配管に対する筒部材の位置ずれを抑制することができる。
【0037】
本開示の第15態様の空気調和機は、
上記第1態様から上記第14態様までのいずれか一つの室内機を備える。
【0038】
上記構成によれば、室内機を備えるので、冷媒配管における電蝕の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本開示の第1実施形態の室内機を備えた空気調和機の冷媒回路図である。
図2】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の斜視図である。
図3】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の正面図である。
図4】上記第1実施形態の空気調和機の室内機の裏面斜視図である。
図5図3のV-V線から見た断面図である。
図6】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器と液冷媒用接続配管およびガス冷媒用接続配管を前側から見た図である。
図7】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器の要部を前側から見た模式図である。
図8】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器の要部を前側から見た模式図である。
図9】上記第1実施形態の室内機の室内熱交換器と液冷媒用接続配管およびガス冷媒用接続配管を右側方から見た側面図である。
図10】本開示の第2実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
図11】本開示の第2実施形態の室内機の変形例の要部を前側から見た模式図である。
図12】本開示の第3実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
図13】本開示の第4実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
図14】本開示の第5実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
図15】本開示の第5実施形態の室内機の変形例の要部を前側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本開示の室内機および空気調和機を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、説明中の上下左右は、室内機を室内に設置した状態での上下左右に対応する。
【0041】
〔第1実施形態〕
図1は、本開示の第1実施形態の室内機1を備えた空気調和機が備える冷媒回路RCを示す。この第1実施形態の空気調和機は、室内機1と、この室内機1に冷媒回路RCを介して接続された室外機2とを備えている。上記空気調和機は、室内機1と室外機2とが一対一のペア型の空気調和機である。
【0042】
冷媒回路RCは、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、電動膨張弁14と、室内熱交換器15と、アキュムレータ16とを有する。この圧縮機11の駆動に伴い、冷媒(例えば、R410A、R32などのHFC冷媒)が冷媒回路RCを循環する。室内熱交換器15は、熱交換器の一例である。
【0043】
より詳しく説明すると、圧縮機11の吐出側の部分には四路切換弁12の一端が接続されている。四路切換弁12の他端には室外熱交換器13の一端が接続されている。室外熱交換器13の他端には電動膨張弁14の一端が接続されている。電動膨張弁14の他端には、閉鎖弁V1および連絡配管L1を介して室内熱交換器15の一端が接続されている。室内熱交換器15の他端には、連絡配管L2,閉鎖弁V2および四路切換弁12を介してアキュムレータ16の一端が接続されている。アキュムレータ16の他端には圧縮機11の吸入側の部分が接続されている。
【0044】
また、室内熱交換器15および室内ファン18は、室内機1に搭載されている。この室内ファン18は、例えばクロスフローファンであり、室内熱交換器15を介して室内空気を吸い込む。
【0045】
また、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、電動膨張弁14、アキュムレータ16および室外ファン17は、室外機2に搭載されている。
【0046】
上記空気調和機は、冷房運転時および除湿運転時、四路切換弁12を実線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する一方、暖房運転時、四路切換弁12を点線の切換え位置に切り換えて、圧縮機11を起動する。なお、図1中の実線矢印の方向は、冷房運転時および除湿運転時に冷媒が流れる方向を示す。また、図1中の点線矢印の方向は、暖房運転時に冷媒が流れる方向を示す。
【0047】
図2は、室内機1を斜め上方から見た図であり、図3は、室内機1を前側から見た図である。
【0048】
室内機1は、図2,図3に示すように、ケーシング21を備え、室内熱交換器15(図1に示す)、室内ファン18(図1に示す)などがケーシング21内に収容されている。
【0049】
ケーシング21の上部には、室内空気を吸い込む吸込口22が設けられている。室内ファン18の駆動時、室内空気が吸込口22からケーシング21内に入って室内ファン18(クロスフローファン)に向かう。このとき、室内空気と共に埃などがケーシング21内に入らないようにするため、フィルタ(図示せず)が吸込口22に取り付けられている。
【0050】
ケーシング21の下部には、室内ファン18からの空気(室内熱交換器15と熱交換した室内空気)を吹き出す吹出口23が設けられている。この吹出口23の周縁部には、水平フラップ24が回動可能に取り付けられている。
【0051】
水平フラップ24は、冷房運転などが開始すると、吹出口23を塞ぐような停止姿勢から、吹出口23を開くような運転姿勢に移行して、吹出口23から吹き出される空気の上下方向の風向を調整する。
【0052】
図4は、室内機1の裏面斜視図であり、図5は、図3のV-V線から見た断面図である。図5において、28は電装品部である。
【0053】
室内機1のケーシング21は、図4,図5に示すように、底フレーム25と、底フレーム25に取り付けられ、前面に略長方形状の開口部(図示せず)を有する前面グリル26と、前面グリル26の開口部を覆うように取り付けられた前面パネル27とを備えている。前面グリル26は、底フレーム25の前面,上面,下面および両側面を囲んでいる。底フレーム25の後面側が取付板(図示せず)を介して室内の壁面に取り付けられる。
【0054】
ケーシング内とは、室内機における底フレーム25の前面側の空間であって、底フレーム25と前面グリル26と前面パネル27とで囲まれた空間である。ケーシング外とは、室内機における底フレーム25の背面側の空間である。底フレームによって、ケーシング21内とケーシング21外とが仕切られる。
【0055】
ケーシング21内には、底フレーム25と前面グリル26と前面パネル27とで囲まれた第1スペース21aが形成されている。第1スペース21aは、ケーシング21内の主たる領域である。第1スペース21aに、液冷媒用接続配管31の機内部分とガス冷媒用接続配管32の機内部分とが収容されている。第1スペース21aは、スペースの一例である。
【0056】
また、底フレーム25の右側方に、第2スペース30a(配管立ち上げ部)が上下方向に沿って形成されている。底フレーム25の下部の後方に、第2スペース30aの下端に連なる第3スペース30bが左右方向に沿って形成されている。
【0057】
液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32は、第1スペース21aに収容された室内熱交換器15から第2スペース30aおよび第3スペース30bに沿って延びるように配置されている。第2スペース30aに、液冷媒用接続配管31の垂直部分とガス冷媒用接続配管32の垂直部分とが収容されている。第3スペース30bに、液冷媒用接続配管31の水平部分とガス冷媒用接続配管32の水平部分とが収容されている。液冷媒用接続配管31とガス冷媒用接続配管32とは、底フレーム25の一部に設けられた開口に挿通され、底フレーム25に設けられたドレンパン29(図7,図8に示す)上からケーシング21外に導出されている。
【0058】
第2スペース30aは、ケーシング21内ではなく、底フレーム25の右側方の外側にある。また、第3スペース30bは、ケーシング21内ではなく、底フレーム25の後方の外側にある。すなわち、第2スペース30aおよび第3スペース30bは、ケーシング21の外側にある。
【0059】
図6は、室内熱交換器15と液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32を前側から見た図である。
【0060】
室内熱交換器15は、図6に示すように熱交換部151と、この熱交換部151を左右方向に貫通する複数の伝熱管152とを備えている。この熱交換部151および各伝熱管152は、それぞれ、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。
【0061】
また、室内機1は、室内熱交換器15の伝熱管152に流体的に接続された液冷媒用接続配管31と、室内熱交換器15の他の伝熱管152に流体的に接続されたガス冷媒用接続配管32とを備えている。液冷媒用接続配管31は、第1接続配管の一例であり、連絡配管L1(図1に示す)の一部を構成する。ガス冷媒用接続配管32は、第2接続配管の一例であり、連絡配管L2(図1に示す)の一部を構成する。液冷媒用接続配管31は、冷房運転時および除湿運転時、電動膨張弁14からの液冷媒を室内熱交換器15へ案内する。一方、ガス冷媒用接続配管32は、冷房運転時および除湿運転時、室内熱交換器15からのガス冷媒を圧縮機11へ案内する。
【0062】
図7は、室内熱交換器15の要部を前側から見た模式図であり、図8は、室内熱交換器15の要部を前側から見た模式図であり、図9は、室内熱交換器15と液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32を右側方から見た側面図である。図7,図8において、29は、ケーシング21内かつ室内熱交換器15の下側に配置されたドレンパンである。
【0063】
<液冷媒用接続配管31の構成>
図7図9に示すように、液冷媒用接続配管31は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて一端が室内熱交換器15に接続された第1液冷媒配管311と、銅または銅合金で形成された第2液冷媒配管312と、ステンレス鋼で形成されて第1液冷媒配管311の他端と第2液冷媒配管312の一端とを連結する連結管313とを備えている。第1液冷媒配管311は、第1冷媒配管の一例である。第2液冷媒配管312は、第2冷媒配管の一例である。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、それぞれ、第1の金属の一例である。銅および銅合金は、それぞれ、第2の金属の一例である。連結管313は、第3冷媒配管の一例である。
【0064】
第2液冷媒配管312の一端は、連結管313の一端(室内熱交換器15とは反対側の端)に例えばろう付けで固定されると共に、ケーシング21内の第1スペース21aに配置される。連結管313の他端(室内熱交換器15側の端)は、第1液冷媒配管311の他端に例えばろう付けで固定される。このとき、第1液冷媒配管311の他端も、第2液冷媒配管312の一端と同様に、ケーシング21内の第1スペース21aに配置される。
【0065】
一方、第2液冷媒配管312の他端は、液冷媒用フレアユニオン41にロウ付けで固定されると共に、ケーシング21内の第1スペース21a外に配置されている。
【0066】
<ガス冷媒用接続配管32の構成>
ガス冷媒用接続配管32は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて一端が室内熱交換器15に接続された第1ガス冷媒配管321と、銅または銅合金で形成された第2ガス冷媒配管322と、ステンレス鋼で形成されて第1ガス冷媒配管321の他端と第2ガス冷媒配管322の一端とを連結する連結管323とを備えている。簡単に言うと、ガス冷媒用接続配管32は、液冷媒用接続配管31と同様に構成されている。第1ガス冷媒配管321は、第1冷媒配管の一例である。第2ガス冷媒配管322は、第2冷媒配管の一例である。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、それぞれ、第1の金属の一例である。銅および銅合金は、それぞれ、第2の金属の一例である。連結管323は、第3冷媒配管の一例である。
【0067】
第2ガス冷媒配管322の一端は連結管323の一端(室内熱交換器15とは反対側の端)に例えばろう付けで固定されると共に、ケーシング21内の第1スペース21aに配置される。連結管323の他端(室内熱交換器15側の端)は、第1ガス冷媒配管321の他端に例えばろう付けで固定される。このとき、第1ガス冷媒配管321の他端も、第2ガス冷媒配管322の一端と同様に、ケーシング21内の第1スペース21aに配置される。
【0068】
一方、第2ガス冷媒配管322の他端は、ガス冷媒用フレアユニオン42にロウ付けで固定されると共に、ケーシング21内の第1スペース21a外に配置されている。
【0069】
<第2液冷媒配管312の室内熱交換器15とは反対側の構成>
図7に示すように、第2液冷媒配管312は、略鉛直方向に沿って延びる第1部分312aを有する。上記略鉛直方向とは、鉛直方向、または、鉛直方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。また、第2液冷媒配管312は、第1部分312aよりも液冷媒用フレアユニオン41側に、第2部分312bを有する。この第2部分312bは、第1部分312aの下端部(第1液冷媒配管311とは反対側の端部)に連なると共に、その下端部から液冷媒用フレアユニオン41側に向かうように屈曲している。
【0070】
また、第2液冷媒配管312は、第2部分312bよりも液冷媒用フレアユニオン41側に、第3部分312cを有する。この第3部分312cは、略水平方向に沿って延びている。上記略水平方向とは、水平方向、または、水平方向に対して例えば20度以下の角度で傾斜する方向を意味する。
【0071】
<第2液冷媒配管312の室内熱交換器15側の構成>
第2液冷媒配管312は、第1部分312aよりも室内熱交換器15側に、第4部分312dを有する。この第4部分312dは、第1部分312aの上端部(第1液冷媒配管311とは反対側の端部)からUターンして下方に向かうように屈曲している。
【0072】
また、第2液冷媒配管312は、第4部分312dよりも室内熱交換器15側に第5部分312eを有する。第5部分312eは、屈曲部の一例であって、ケーシング21内の第1スペース21aに配置されている。また、第5部分312eは、第4部分312dの室内熱交換器15側の端部から下方に延びてからUターンして上方に向かうように屈曲している。別の言い方をすると、第5部分312eは、ケーシング21内の第1スペース21aで、下方に突出するように屈曲する。これにより、第5部分312eは、熱交換器側15に向かって斜め上方に延びる第1勾配部312e-1と、熱交換器15とは反対側に向かって斜め上方に延びる第2勾配部312e-2とを持っている。第1勾配部312e-1の室内熱交換器15側の端は、連結管313の一端に接続される。
【0073】
なお、本第1実施形態では、図8図9に示すように、ガス冷媒用接続配管32においても、液冷媒用接続配管31と同様の形状を呈する。別の言い方をすると、ガス冷媒用接続配管32も、液冷媒用接続配管31の第1部分312aから第5部分312eまでの部分に相当する部分を有する。これにより、ガス冷媒用接続配管32は、ケーシング21内の第1スペース21aに配置され、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有している。
【0074】
また、図7に示すように、ケーシング21内の第1スペース21aでは、第2液冷媒配管312の外周面が筒部材61で覆われるように、第2液冷媒配管312が筒部材61内に配置されている。別の言い方をすると、第2液冷媒配管312において第1スペース21aに配置される部分は、筒部材61の径方向内側の空間に挿入されている。このとき、上記部分の外周面は、筒部材61の内周面に対向する。筒部材61は、断熱材(例えば発泡ポリエチレンフォーム)で形成されている。
【0075】
また、ケーシング21内の第1スペース21aでは、第1冷媒配管311は筒部材61外に配置されるが、連結管313は筒部材61内に配置される。これにより、筒部材61は、第1冷媒配管311の外周面を覆わないが、連結管313の外周面を覆っている。
【0076】
また、筒部材61は、第1勾配部312e-1の外周面から第2勾配部312e-2の外周面までを覆っている。
【0077】
また、ケーシング21内の第1スペース21a外においても、筒部材61は、第3部分312cの液冷媒用フレアユニオン41側の端部の外周面を除いて、第2液冷媒配管312の各部の全ての外周面を覆っている。
【0078】
なお、本第1実施形態では、図8図9に示すように、ガス冷媒用接続配管32においても、液冷媒用接続配管31と同様に、外周面が筒部材61で覆われている。別の言い方をすると、筒部材61の径方向内側の空間には、ガス冷媒用接続配管32の大部分が、液冷媒用接続配管31の大部分と共に挿入されている。これにより、ケーシング21内の第1スペース21aでは、第2ガス冷媒配管322の外周面が筒部材61で覆われるように、第2ガス冷媒配管322が筒部材61内に配置されている。
【0079】
また、筒部材61の内径は、液冷媒用接続配管31の外径とガス冷媒用接続配管32の外径との和よりも大きくなるように内径が設定されている。
【0080】
また、ケーシング21内の第1スペース21aでは、液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311は、ガス冷媒用接続配管32の第1ガス冷媒配管321よりも上方に配置されている。別の言い方をすれば、ガス冷媒用接続配管32の第1ガス冷媒配管321は、液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311よりも下方に配置されている。
【0081】
上記構成の室内機1では、図7図9に示すように、室内熱交換器15は、ケーシング21内の第1スペース21aに収容されている。この室内熱交換器15は、冷房運転時または除湿運転時、蒸発器として機能するので、高湿度の室内空気が、ケーシング21内の第1スペース21aに充満するのを抑制することができる。
【0082】
ケーシング21内の第1スペース21aでは、比較的貴な金属(この実施形態では銅または銅合金)で形成された第2液冷媒配管312(第2冷媒配管)の一端が、比較的卑な金属(この実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金)で形成された第1液冷媒配管311(第1冷媒配管)の他端に接続されている。これにより、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との接続箇所が、ケーシング21内の第1スペース21aに位置するので、その接続箇所において結露が発生する可能性が下がる。したがって、第1液冷媒配管311で電蝕が発生するのを抑制することができる。
【0083】
ケーシング21内の第1スペース21aでは、比較的貴な金属(この実施形態では銅または銅合金)で形成された第2ガス冷媒配管322(第2冷媒配管)の一端が、比較的卑な金属(この実施形態ではアルミニウムまたはアルミニウム合金)で形成された第1ガス冷媒配管321(第1冷媒配管)の他端に接続されている。これにより、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322との接続箇所が、ケーシング21内の第1スペース21aに位置するので、その接続箇所において結露が発生する可能性が下がる。したがって、第1ガス冷媒配管321で電蝕が発生するのを抑制することができる。
【0084】
ケーシング21内の第1スペース21aでは、筒部材61は、比較的貴な金属で形成された第2液冷媒配管312の外周面を覆う。これにより、比較的卑な金属で形成された第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321に第2液冷媒配管312が接触するのは困難となる。したがって、第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321における電蝕発生の抑制効果を高めることができる。
【0085】
ケーシング21内の第1スペース21aでは、筒部材61は、比較的貴な金属で形成された第2ガス冷媒配管322の外周面を覆う。これにより、比較的卑な金属で形成された第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321に第2ガス冷媒配管322が接触するのは困難となる。したがって、第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321における電蝕発生の抑制効果を高めることができる。
【0086】
また、筒部材61が第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321の外周面を覆わないので、第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321が乾き易くなる。したがって、第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0087】
また、液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311は、連結管313(第3冷媒配管)を介して第2液冷媒配管312に連結されるので、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との間の距離を長くすることができる。したがって、第1液冷媒配管311の外周面上から第2液冷媒配管312の外周面上にかけて結露水が連続するのを抑制することができる。
【0088】
筒部材61が連結管313の外周面を覆うので、筒部材61内の第2液冷媒配管312で結露水が生じても、その結露水が筒部材61外へ出るのを抑制することができる。
【0089】
また、仮に、第1液冷媒配管311の外周面上から連結管313の外周面上にかけて結露水が連続しても、連結管313はステンレス鋼で形成されているので、第1液冷媒配管311で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0090】
ガス冷媒用接続配管32も、連結管323(第3冷媒配管)を有するので、液冷媒用接続配管31と同様の作用効果を奏する。
【0091】
また、ケーシング21内の第1スペース21aでは、第2液冷媒配管312において下方に突出するように屈曲する第5部分312e(屈曲部)を配置するので、第5部分312eおよびその周辺部で生じた結露水が、重力で第5部分312eの下端部に集って、滴下する。その結果、ケーシング21内の第1スペース21aにおいて、結露水が第2液冷媒配管312を伝って第1液冷媒配管311に流れるのを抑制することができる。
【0092】
第2ガス冷媒配管322も、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有するので、第2液冷媒配管312と同様の作用効果を奏する。
【0093】
また、第5部分312eの第1勾配部312e-1は室内熱交換器15側に向かって斜め上方に延びるので、第2液冷媒配管312において第2勾配部312e-2側の部分で生じた結露水が第2液冷媒配管312を伝って第1液冷媒配管311に結露水が移動するのを確実に抑制することができる。
【0094】
また、第5部分312eの第2勾配部312e-2は室内熱交換器15とは反対側に向かって斜め上方に延びるので、第2液冷媒配管312において第2勾配部312e-2側の部分で生じた結露水を第5部分312eに集め易くなる。
【0095】
第2ガス冷媒配管322の第5部分312eも、室内熱交換器15側に向かって斜め上方に延びる第1傾斜部と、室内熱交換器15とは反対側に向かって斜め上方に延びる第2傾斜部とを有するので、第2液冷媒配管312と同様の作用効果を奏する。
【0096】
第1勾配部312e-1の外周面から第2勾配部312e-2の外周面までが筒部材61で覆われるので、第1勾配部312e-1および第2勾配部312e-2の外周面上の結露水が、第1勾配部312e-1および第2勾配部312e-2から離れても、第1液冷媒配管311および第1ガス冷媒配管321に付着するのを抑制することができる。
【0097】
第2ガス冷媒配管322の第1傾斜部および第2傾斜部も筒部材61で覆われるので、第1勾配部312e-1および第2勾配部312e-2と同様の作用効果を奏する。
【0098】
また、第1液冷媒配管311よりも、第1ガス冷媒配管321の方が、多量の結露水を生じさせる。このとき、第1液冷媒配管311は第1ガス冷媒配管321よりも上方に位置するので、第1ガス冷媒配管321から滴下した結露水が第1液冷媒配管311に付着する可能性を低減することができる。
【0099】
上記第1実施形態では、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312とは、連結管313を介して互いに流体的に接続されていたが、直接互いに流体的に接続されるようにしてもよい。別の言い方をすると、連結管313を用いずに、第1液冷媒配管311の他端に第2液冷媒配管312の一端を流体的に接続するようにしてもよい。
【0100】
上記第1実施形態では、筒部材61は、連結管313,323の外周面を覆っていが、連結管連結管313,323の外周面を覆わず、第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面のみを覆うようにしてもよい。このようにする場合、第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面の全部を筒部材61で覆うようにしてもよいし、第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面の一部だけを筒部材61で覆うようにしてもよい。
【0101】
上記第1実施形態では、第2液冷媒配管312の第5部分312eは、筒部材61内に配置されていたが、筒部材61外に配置して、第2液冷媒配管312の第5部分312eを筒部材61で覆わないようにしてもよい。これと同様の変更を第2ガス冷媒配管322に行ってもよい。
【0102】
また、第2液冷媒配管312の第5部分312eを筒部材61で覆わないようにした場合、その第5部分312eから滴下した結露水をドレンパン29で受け止めて、ドレン配管33を介してドレン水と一緒に排水するようにしてもよい。
【0103】
上記第1実施形態では、液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311を、ガス冷媒用接続配管32の第1ガス冷媒配管321よりも上方に配置していたが、液冷媒用接続配管31の第1液冷媒配管311とガス冷媒用接続配管32の第1ガス冷媒配管321とを、水平方向において互いに隣り合うように配置してもよい。
【0104】
〔第2実施形態〕
図10は、本開示の第2実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【0105】
上記室内機は、液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32に筒部材61を固定する樹脂製の固定バンド71を備えている点を除いて、上記第1実施形態の室内機1と同様に構成されている。
【0106】
固定バンド71は、固定部材の一例であり、ケーブルを束ねる結束バンドと同様の構成を有する。この固定バンド71は、筒部材61が第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面に押し付けられるように、筒部材61の外周面に巻き付けられている。固定バンド71は、室内熱交換器15と同様に、ケーシング21内の第1スペース21aに収容されている(図7図8を参照)。
【0107】
上記構成の室内機では、上記第1実施形態の室内機1と同様の作用効果を奏する。
【0108】
また、筒部材61が液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32に固定バンド71で固定されるので、筒部材61が冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32に対する筒部材61の位置ずれを抑制することができる。
【0109】
また、固定バンド71が筒部材61の外周面に巻き付けられることによって、筒部材61が第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面に押し付けられるので、第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322に沿った結露水の移動を筒部材61で抑制することができる。
【0110】
また、固定バンド71が筒部材61の外周面に巻き付けられることによって、筒部材61が第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面に押し付けられるので、筒部材61の室内熱交換器15側の開口から筒部材61内へ空気の流入を阻害することができる。したがって、筒部材61内での結露の発生を抑制することができる。
【0111】
上記第2実施形態では、固定バンド71は、筒部材61が第2液冷媒配管312および第2ガス冷媒配管322の外周面に押し付けられるように、筒部材61の外周面に巻き付けられていたが、図11に示すように、筒部材61が連結管313,323の外周面に押し付けられるように、筒部材61の外周面に巻き付けられようにしてもよい。この場合も、上記第2実施形態の室内機と同様の作用効果を奏する。
【0112】
筒部材61が連結管313,323の外周面に押し付けられるように、固定バンド71が筒部材61の外周面に巻き付けられた場合、連結管313,323の外周面において筒部材61が接触する部分近傍では結露水が溜まり易くなる。このとき、連結管313,323はステンレス鋼で形成されているので、その部分近傍で電蝕が発生する可能性は低くなる。
【0113】
また、その場合、固定バンド71が筒部材61の外周面に巻き付けられることによって、筒部材61が連結管313,323の外周面の外周面に押し付けられるので、連結管313,323の外周面に沿った結露水の移動を筒部材61で抑制することができる。
【0114】
上記第2実施形態では、樹脂製の固定バンド71は、樹脂で形成されていたが、他の材料(例えば金属)で形成されるようにしてもよい。
【0115】
〔第3実施形態〕
図12は、本開示の第3実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【0116】
上記室内機は、第1液冷媒配管311が水平方向に対して傾斜する角度と、第1ガス冷媒配管321水平方向に対して傾斜する角度とが、互いに異なっている点を除いて、上記第2実施形態の室内機と同様に構成されている。
【0117】
例えば、第1液冷媒配管311が水平方向に対して傾斜する角度が50度であるとき、第1ガス冷媒配管321が水平方向に対して傾斜する角度70度となる。
【0118】
上記構成の室内機は、上記第2実施形態の室内機と同様の作用効果を奏する。
【0119】
また、第1液冷媒配管311が水平方向に対して傾斜する角度は、第1ガス冷媒配管321が水平方向に対して傾斜する角度と異なるので、第1液冷媒配管311に第1ガス冷媒配管321を接近させる配置が採用されても、第1液冷媒配管311と第1ガス冷媒配管321とで結露水が保持される可能性を低減することができる。
【0120】
〔第4実施形態〕
図13は、本開示の第4実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【0121】
上記室内機は、連結管313に連結管323が立体交差するようにガス冷媒用接続配管32が形成されている点と、固定バンド71が連結管313,323の周囲に配置されている点とを除いて、上記第3実施形態の室内機と同様に構成されている。
【0122】
固定バンド71は、筒部材61が連結管313,323の外周面に押し付けられるように、筒部材61の外周面に巻き付けられている。
【0123】
上記構成の室内機は、上記第3実施形態の室内機と同様の作用効果を奏する。
【0124】
また、液冷媒用接続配管31とガス冷媒用接続配管32とが立体交差する箇所である連結管313,323の周囲に固定バンド71を配置することにより、液冷媒用接続配管31およびガス冷媒用接続配管32に筒部材61を強固に固定することができる。
【0125】
上記第4実施形態では、連結管313と連結管323とを互いに立体交差させると共に、その立体交差する部分の周囲に固定バンド71を配置していたが、第2液冷媒配管312と第2ガス冷媒配管322とを互いに立体交差させると共に、その立体交差する部分の周囲に固定バンド71を配置してもよい。
〔第5実施形態〕
図14は、本開示の第5実施形態の室内機の要部を前側から見た模式図である。
【0126】
上記室内機は、連結管313,323を備えていない点と、防水チューブ81,82を備える点とを除いて、上記第2実施形態の室内機と同様に構成されている。
【0127】
第1液冷媒配管311の他端(室内熱交換器15とは反対側の端)は、第2液冷媒配管312の一端(室内熱交換器15側の端)に例えばろう付けで直接接続されている。防水チューブ81は、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との接続部に密着すると共に、その接続部を覆う。この接続部は、第1液冷媒配管311の他端部(第2液冷媒配管312側の端部)と、第2液冷媒配管312の一端部(第1液冷媒配管311側の端部)とを含む。防水チューブ81は、被覆部材の一例である。
【0128】
第1ガス冷媒配管321の他端(室内熱交換器15とは反対側の端)は、第2ガス冷媒配管322の一端(室内熱交換器15側の端)に例えばろう付けで直接接続されている。防水チューブ82は、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322との接続部の外周面に密着すると共に、その接続部の外周面を覆う。この接続部は、第1ガス冷媒配管321の他端部(第2ガス冷媒配管322側の端部)と、第2ガス冷媒配管322の一端部(第1ガス冷媒配管321側の端部)とを含む。防水チューブ82は、被覆部材の一例である。
【0129】
防水チューブ81,82は、筒部材61で覆われるように筒部材内61に配置されている。この防水チューブ81,82は、防水性を有する材料(例えば、塩化ビニール、シリコンゴム、フッ素系ポリマーなど)からなるチューブを加熱して収縮させて形成されてもよい。
【0130】
上記構成の室内機は、上記第2実施形態の室内機と同様の作用効果を奏する。
【0131】
また、防水チューブ81が第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との接続部の外周面を覆うので、第1液冷媒配管311で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0132】
防水チューブ82が第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322との接続部の外周面を覆うので、第1ガス冷媒配管321で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0133】
上記第5実施形態では、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との接続部の外周面を、防水チューブ81で覆っていたが、その接続部の外周面を、コーティング膜で覆うようにしてもよい。このコーティング膜は、防水性を有する材料(例えば、フッ素樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)、アクリルゴムなど)からなっている。また、上記材料は、耐熱性または弾性を有してもよい。
【0134】
また、第1液冷媒配管311と第2液冷媒配管312との接続部の外周面と同様に、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒配管322との接続部の外周面を、コーティング膜で覆うようにしてもよい。
【0135】
上記第5実施形態では、第2~第4実施形態で説明した固定バンド71を用いていなかったが、固定バンド71を用いてもよい。このようにする場合、固定バンド71は、図15に示すように、筒部材61が防水チューブ81,82の外周面に押し付けられるように、筒部材61の外周面に巻き付けられてもよい。
筒部材61の外周面に巻き付けることにより、防水チューブ81の外周面に筒部材61を押し付けた場合、図11の変形例と同様の作用効果を奏する。
防水チューブ81の外周面に筒部材61を押し付けた場合、防水チューブ81,82の外周面において筒部材61が接触する部分近傍では結露水が溜まり易くなる。このとき、防水チューブ81,82が防水性を有するので、第1冷媒配管で電蝕が発生する可能性を下げることができる。
【0136】
上記第1~第4実施形態の空気調和機では、1つの室外機2に対して、室内機1を1つ接続していたが、室内機1を複数接続するようにしてもよい。別の言い方をすれば、上記空気調和機は、ペア型であったが、マルチ型にしてもよい。
【0137】
上記第1~第4実施形態では、第1冷媒配管としての第1液冷媒配管311,第1ガス冷媒配管321は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていたが、アルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属で形成されるようにしてもよい。
【0138】
上記第1~第4実施形態では、第2冷媒配管としての第2液冷媒配管312,第2ガス冷媒配管322は、銅または銅合金で形成されていたが、銅または銅合金以外の金属であって、かつ、第1冷媒配管の金属に対して電位的に貴な金属で形成されていればよい。
【0139】
上記第1~第4実施形態では、連結管313,323は、ステンレス鋼で形成されていたが、例えば、ステンレス鋼以外の高耐食性材料で形成されるようにしてもよい。
【0140】
上記第1~第4実施形態において、連結管313,323およびその周辺部の外周面に密着する防水チューブまたはコーティング膜を用いてもよい。この防水チューブは、防水性を有する材料(例えば、塩化ビニール、シリコンゴム、フッ素系ポリマーなど)からなるチューブを、加熱して収縮させて形成されてもよい。また、上記コーティング膜は、防水性を有する材料(例えば、フッ素樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)、アクリルゴムなど)からなっている。また、上記材料は、耐熱性または弾性を有してもよい。
【0141】
上記第1~第4実施形態では、液冷媒用接続配管31において、室内熱交換器15と第1液冷媒配管311とを接続したが、室内熱交換器15と第1液冷媒配管311との間に分流器を介在させて、室内熱交換器15に複数の第1液冷媒配管311を接続してもよい
上記第1~第4実施形態では、ガス冷媒用接続配管32において、室内熱交換器15と第1ガス冷媒配管321とを接続したが、室内熱交換器15と第1ガス冷媒配管321との間に分流器を介在させて、室内熱交換器15に複数の第1ガス冷媒配管311を接続してもよい。
【0142】
本開示の具体的な実施の形態について説明したが、本開示は上記第1~第4実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、第1実施異形態の変形例を第2~第4実施形態に適用したものを、本開示の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 室内機
15 室内熱交換器 21 ケーシング
21a 第1スペース
22 吸込口
23 吹出口
24 水平フラップ
25 底フレーム
26 前面グリル
27 前面パネル
28 電装品部
29 ドレンパン
30a 第2スペース
30b 第3スペース
31 液冷媒用接続配管(第1接続配管)
32 ガス冷媒用接続配管(第2接続配管)
33 ドレン配管
41 液冷媒用フレアユニオン
42 ガス冷媒用フレアユニオン
61 筒部材
71 固定バンド
81 防水チューブ
82 防水チューブ
151 熱交換部
152 伝熱管
311 第1液冷媒配管(第1冷媒配管)
312 第2液冷媒配管(第2冷媒配管)
312a 第1部分
312b 第2部分
312c 第3部分
312d 第4部分
312e 第5部分
313 連結管(第3冷媒配管)
321 第1ガス冷媒配管(第1冷媒配管)
322 第2ガス冷媒配管(第2冷媒配管)
323 連結管(第3冷媒配管)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15