(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031707
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】データセンタ及びデータセンタモジュール
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20240229BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240229BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20240229BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240229BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240229BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240229BHJP
E04F 15/024 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 B
G06F1/20 C
F24F7/007 B
F24F7/00 C
F24F7/06 B
F24F11/74
F24F11/89
E04F15/024 606Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135439
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】519018130
【氏名又は名称】株式会社ゼロフィールド
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】タン マーク
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 遥介
(72)【発明者】
【氏名】米澤 潤
(72)【発明者】
【氏名】小島 淑
【テーマコード(参考)】
2E220
3L056
3L058
3L260
【Fターム(参考)】
2E220AA09
2E220AA35
2E220AB10
2E220AC03
2E220EA02
2E220EA03
2E220EA04
3L056BA03
3L056BA05
3L056BB01
3L056BD02
3L056BF06
3L058BD06
3L058BE08
3L058BG04
3L260AA11
3L260AB15
3L260BA04
3L260BA07
3L260BA13
3L260BA38
3L260BA41
3L260FA03
3L260FA07
3L260FC02
3L260FC03
3L260HA02
(57)【要約】
【課題】運用コストを削減可能なデータセンタを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、データセンタが提供される。このデータセンタは、データセンタの壁面に位置する、吸気扇及び排気扇と、データセンタの屋内を床下部と床上部とに隔てる床と、床下部に配置された第1の温度センサと、床上部に配置された第2の温度センサと、第1の温度センサ及び第2の温度センサの検出温度に基づいて、吸気扇及び排気扇の回転速度を制御する制御部とを備える。床は、その少なくとも一部に、床下部と床上部とを連通させる開口部を備える。床の上には、電子機器を収納可能に構成された複数のラックが設置される。吸気扇は床下部の壁面に、排気扇は床上部の壁面に位置する。吸気扇によって吸気された外気が、開口部を介して床下部から床上部へと通流した後、排気扇によって屋外へ排出されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンタであって、
前記データセンタの壁面に位置する、吸気扇及び排気扇と、
前記データセンタの屋内を床下部と床上部とに隔てる床と、
前記床下部に配置された第1の温度センサと、
前記床上部に配置された第2の温度センサと、
前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサの検出温度に基づいて、前記吸気扇及び前記排気扇の回転速度を制御する制御部とを備え、
前記床は、その少なくとも一部に、前記床下部と前記床上部とを連通させる開口部を備え、
前記床の上には、電子機器を収納可能に構成された複数のラックが設置され、
前記吸気扇は前記床下部の壁面に、前記排気扇は前記床上部の壁面に位置し、
前記吸気扇によって吸気された外気が、前記開口部を介して前記床下部から前記床上部へと通流した後、前記排気扇によって屋外へ排出されるように構成される、もの。
【請求項2】
請求項1に記載のデータセンタにおいて、
前記吸気扇と前記排気扇とを備える壁面は、互いに並行して位置する壁面であり、
複数の前記ラックは、これらの壁面に沿った方向に並べて設置される、もの。
【請求項3】
請求項1に記載のデータセンタにおいて、
前記データセンタは、その屋内にダクトを有しない、もの。
【請求項4】
請求項1に記載のデータセンタにおいて、
さらに、前記床上部に位置する仕切り板を備え、
前記仕切り板は、
前記データセンタの天井及び壁と、前記ラックとの間に位置し、
前記床上部を、前記ラックの吸気面側通路と、前記ラックの排気面側通路とに隔て、
前記第2の温度センサは、前記排気面側通路に配置される、もの。
【請求項5】
データセンタモジュールであって、
前記データセンタモジュールは、
請求項1~請求項4の何れか1つに記載のデータセンタを複数備え、
前記吸気扇の上部に位置し、複数の前記データセンタを連結する屋根をさらに備え、
複数の前記データセンタは、前記吸気扇を備える壁面が向い合せとなるように構成される、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンタ及びデータセンタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数のサーバ等の電子機器を収納するデータセンタにおいて、これらの電子機器を冷却する冷房設備を備えるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、データセンタに求められる要件が緩和される傾向がみられ、従来の高品質なデータセンタに代わり、運用コストのより安いデータセンタが求められている。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、運用コストを削減可能なデータセンタを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、データセンタが提供される。このデータセンタは、データセンタの壁面に位置する、吸気扇及び排気扇と、データセンタの屋内を床下部と床上部とに隔てる床と、床下部に配置された第1の温度センサと、床上部に配置された第2の温度センサと、第1の温度センサ及び第2の温度センサの検出温度に基づいて、吸気扇及び排気扇の回転速度を制御する制御部とを備える。床は、その少なくとも一部に、床下部と床上部とを連通させる開口部を備える。床の上には、電子機器を収納可能に構成された複数のラックが設置される。吸気扇は床下部の壁面に、排気扇は床上部の壁面に位置する。吸気扇によって吸気された外気が、開口部を介して床下部から床上部へと通流した後、排気扇によって屋外へ排出されるように構成される。
【0007】
このような態様によれば、データセンタの運用コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】データセンタ1の一例を示すA-A断面図である。
【
図3】データセンタ1の一例を示すA-A断面図である。
【
図4】情報処理装置15のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】情報処理装置15によって実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の変形例である、データセンタモジュール2の一例を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.データセンタ1の構成
第1節では、本開示に係るデータセンタ1の構成の一例について説明する。
【0014】
<データセンタ1>
図1は、データセンタ1の一例を示す平面図である。
図2及び
図3は、データセンタ1の一例を示すA-A断面図である。データセンタ1は、床14と、壁と、天井とを備える、高床式の略直方体形状の建物である。床14は、データセンタ1の屋内を床下部10と床上部11とに隔てる。別の観点によると、データセンタ1は、床下を備える建物である。データセンタ1は、さらに、作業員が通行するためのドア16と階段17とを備える。
【0015】
<吸気扇101及び排気扇131>
データセンタ1の壁には、複数の吸気口100及び複数の排気口130が設けられている。各吸気口100には、吸気扇101と、吸気扇フード102とが備えられる。また、各排気口130には、排気扇131と、排気扇フード132とが備えられる。別の観点によると、吸気扇101及び排気扇131は、データセンタ1の壁面に位置する。吸気扇101は床下部10の壁面に、排気扇131は床上部11の壁面に位置する。
【0016】
好ましい例において、吸気扇101と排気扇131とを備える壁面は、互いに並行して位置する壁面である。このような態様により、データセンタ1の中に空気の流れを発生させ、データセンタ1の内部をより効率的に冷却することができる。
【0017】
吸気扇101及び排気扇131の設置数に特に制限はなく、データセンタ1の大きさによって適宜決定されてよい。また、吸気口100及び排気口130の大きさ、吸気扇101及び排気扇131の大きさ若しくは送風性能等に特に制限はなく、データセンタ1の容積によって適宜決定されてよい。例えば、データセンタ1全体における吸気量を排気量よりも多くすることで、ドア16の開閉がしづらくなることを防ぐことができる。また、排気扇131が本来の性能どおりに排気できなくなることを防ぐことができる。
【0018】
別の観点によると、データセンタ1は、その屋内にダクトを有しない。好ましい例において、データセンタ1は、その屋内外にダクトを有しない構成である。これにより、データセンタ1の導入コスト及び運用コストを低減させることができる。特に、ダクトのメンテナンスが不要となるため、ダクトを備えるデータセンタと比較して、整備コストを抑制することができる。
【0019】
<床14>
床14は、その少なくとも一部に、床下部10と床上部11とを連通させる開口部140を備える。開口部140の面積に特に制限はなく、データセンタ1の面積にあわせて適宜決定されてよい。開口部140には、作業員が通行するためのグレーチング141が設置される。作業員は、清掃又は排気扇131の整備等の作業のため、床下部10に入ることができる。グレーチング141の開口率に特に制限はない。具体的には例えば、耐久性及び通気性の両立の観点から、開口率は、30,35,40,45,50,55,60,65,70,75,80%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0020】
<ラック112>
床14の上には、電子機器を収納可能に構成された複数のラック112が設置される。例えば、ラック112に収納される電子機器は、サーバ、ストレージシステム、ネットワーク機器等の各種IT(Information Technology)機器である。具体的には例えば、ラック112は、19インチラック等のサーバラックであってよい。ラック112の設置数に特に制限はなく、データセンタ1の大きさによって適宜決定されてよい。具体的には例えば、ラック112の設置数は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50個であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、ラック112の上下に、配線ケーブルを収納するための収納スペースが設けられてもよい。
【0021】
好ましい例において、複数のラック112は、吸気扇101及び排気扇131が設置された壁面に沿った方向に並べて設置される。さらに好ましい例において、複数のラック112は、一列に並べて設置される。別の観点において、複数のラック112は、空気の流れ方向に対して、垂直方向に一列に並べて設置される。このような態様により、ラック112に積載された電子機器を、より効率的に冷却することができる。また、吸気扇101から排気扇131までの経路を短くすることができ、データセンタ1自体の大きさを小さくすることができる。これにより、データセンタ1の省スペース化が可能となり、設置場所の確保をより容易にすることができる。
【0022】
図3において示される矢印は、データセンタ1内の空気の流れを表している。
図3に示すように、吸気扇101によって吸気された外気が、開口部140を介して床下部10から床上部11へと通流した後、さらにラック112を通り、排気扇131によって屋外へ排出されるように構成される。このような態様により、冷房設備を使用せずに外気によるデータセンタ1の冷却が可能となり、冷房設備を有するデータセンタと比較して省エネルギー化を実現することができる。これにより、環境負荷を低減させた態様となり、かつ、運用コストを抑制することができる。
【0023】
<仕切り板111>
好ましい例において、データセンタ1は、さらに、床上部11に位置する仕切り板111を備える。仕切り板111は、データセンタ1の天井及び壁と、ラック112との間に位置する。仕切り板111は、床上部11を、ラック112の吸気面側通路12と、ラック112の排気面側通路13とに隔てる。このような態様により、データセンタ1内部での空気の還流を抑制し、吸気扇101から排気扇131への空気の流れをより効率的に発生させることができる。これにより、ラック112に積載された電子機器をより効率的に冷却することができる。なお、仕切り板111に扉を設け、吸気面側通路12から排気面側通路13へと作業員が通行可能な構成としてもよい。また、仕切り板111は、設置を省略してもよい。
【0024】
<情報処理装置15>
床上部11には、情報処理装置15(図示せず)が備えられる。具体的な例において、情報処理装置15は、ラック112に設置されてよい。情報処理装置15については、後に詳述する。
【0025】
<温度センサ>
データセンタ1は、複数の温度センサを備える。温度センサは、データセンタ1の屋内外に設置されてよい。具体的な例において、データセンタ1は、床下部10に配置された第1の温度センサ(図示せず)と、床上部11に配置された第2の温度センサ(図示せず)とを備える。好ましい例において、第2の温度センサは、排気面側通路13に配置される。このような態様により、電子機器の排熱により高温となる排気面側通路13の温度を測定することが可能となる。好ましい例において、第1の温度センサ及び第2の温度センサは、それぞれ複数設置されてよい。
【0026】
2.情報処理装置15のハードウェア構成
第2節では、情報処理装置15のハードウェア構成の一例について説明する。
【0027】
図4は、情報処理装置15のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置15は、通信部151と、記憶部152と、制御部153と、入力部154と、表示部155とを有し、これらの構成要素が情報処理装置15の内部において通信バス150を介して電気的に接続されている。各構成要素についてさらに説明する。
【0028】
通信部151は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、5G/LTE/3G等のモバイル通信、Bluetooth(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、情報処理装置15は、通信部151を介して、他の装置とネットワークを介して種々の情報を通信する。特に、通信部151は、第1の温度センサ、第2の温度センサ、吸気扇101、及び排気扇131と通信可能に構成される。
【0029】
記憶部152は、情報処理装置15の情報処理に必要な様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部153によって実行される情報処理装置15に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
制御部153は、情報処理装置15に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部153は、例えば、不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部153は、記憶部152に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、情報処理装置15に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部152に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部153によって具体的に実現されることで、制御部153に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部153は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部153を有するように実施してもよい。またそれらの組み合わせであってもよい。特に、制御部153は、第1の温度センサ及び第2の温度センサによって測定された温度の情報を取得する。また、制御部153は、吸気扇101及び排気扇131のファンを回転させるモータの回転速度の情報を取得する。さらに、制御部153は、取得された第1の温度センサ及び第2の温度センサの検出温度に基づいて、吸気扇101及び排気扇131の回転速度を制御する。
【0031】
入力部154は、情報処理装置15の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部154は、表示部155と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部154は、ユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力は、命令信号として、通信バス150を介して制御部153に転送される。そして、制御部153は、必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。
【0032】
表示部155は、情報処理装置15の筐体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。表示部155は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、情報処理装置15の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0033】
3.情報処理方法
第3節では、前述した情報処理装置15の情報処理方法の一例について説明する。
図5は、情報処理装置15によって実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って、説明するものとする。なお、
図5に示した情報処理方法が任意の時間の間隔で繰り返されるものとする。
【0034】
まず、制御部153は、通信部151を介して第1の温度センサの検出温度と第2の温度センサの検出温度を取得し、各検出温度の温度差を特定する(ステップS001)。
【0035】
次に、制御部153は、特定した温度差の値が、閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS002)。閾値Thは、ユーザによって予め設定される任意の値であってよい。ここで、温度差の値が閾値Th未満であると判定された場合には、後述するS007の処理が実行される。一方で、温度差の値が閾値Th以上であると判定された場合には、次のステップへと進む。
【0036】
次に、制御部153は、通信部151を介して、吸気扇101の回転速度を第1速度V1に、排気扇131の回転速度を第2速度V2に設定する信号を送信する(ステップS003)。第1速度V1及び第2速度V2は、データセンタ1の規模に応じて予め設定される任意の値であってよい。具体的な例において、制御部153は、屋外への排熱を促進させるため、吸気扇101及び排気扇131のファンを回転させるモータの回転速度を上げ、送風量を増加させる。なお、第1速度V1及び第2速度V2は等しい値であってもよい。
【0037】
次に、制御部153は、期間Tが経過したか否かを判定する(ステップS004)。ここで、期間Tは任意の長さの時間であってよい。ここで、期間Tが経過していないと判定された場合には、期間Tが経過するまで処理は実行されない。一方で、期間Tが経過したと判定された場合には、次のステップへと進む。
【0038】
次に、制御部153は、通信部151を介して第1の温度センサの検出温度と第2の温度センサの検出温度を取得し、各検出温度の温度差を特定する(ステップS005)。
【0039】
次に、制御部153は、特定した温度差の値が、閾値Th未満であるか否かを判定する(ステップS006)。ここで、温度差の値が閾値Th以上であると判定された場合には、ステップS004の処理へと戻る。一方で、温度差の値が閾値Th未満であると判定された場合には、次のステップへと進む。
【0040】
次に、制御部153は、通信部151を介して、吸気扇101の回転速度を第3速度V3に、排気扇131の回転速度を第4速度V4に設定する信号を送信する(ステップS007)。第3速度V3及び第4速度V4は、データセンタ1の規模に応じて予め設定される任意の値であってよい。具体的な例において、制御部153は、吸気扇101及び排気扇131のファンを回転させるモータの回転速度を下げ、送風量を減少させる。なお、第3速度V3及び第4速度V4は等しい値であってもよい。
【0041】
以上の態様により、データセンタ1内に設置される電子機器を、冷房設備を使用せずに適切に冷却することが可能となる。特に、電子機器の稼働状況により発熱量が変化するため、データセンタ1内の温度にも変動が生じる。データセンタ1内の温度の変動にあわせ、吸気扇101及び排気扇131によって送風される空気の風量を適切に制御することで、消費電力の無駄を抑制することができる。これにより、データセンタ1の運用コストをより抑制することができる。
【0042】
4.その他の態様
第4節では、本開示の変形例について説明する。
【0043】
図6は、本開示の変形例である、データセンタモジュール2の一例を示す立面図である。データセンタモジュール2は、データセンタ1を複数備える。データセンタモジュール2は、吸気扇101の上部に位置し、複数のデータセンタ1を連結する、渡り廊下屋根21をさらに備える。複数のデータセンタ1は、吸気扇101を備える壁面が向い合せとなるように構成される。このような態様により、需要者の要望にあわせて、様々な規模のデータセンタを提供することができる。また、吸気扇101が設置される箇所の上に渡り廊下屋根21を設けることで、雨、雪、又は埃等がデータセンタ1内に入ることを抑制することができる。なお、渡り廊下屋根21は、データセンタモジュール2の長手方向に対する傾斜を設けることで、雨又は雪の除去がより容易となる。同様に、データセンタ1の屋根にも、データセンタ1の短手方向に対する傾斜が設けられてよい。
【0044】
一態様において、情報処理装置15を備えないデータセンタ1であってもよい。具体的な例において、吸気扇101及び排気扇131が温度センサと通信可能に構成され、温度差の値が閾値Th以上になった場合に、吸気扇101及び排気扇131の回転速度のモードが高速モードに切り替えられる態様であってもよい。同様に、温度差の値が閾値Th未満になった場合に、吸気扇101及び排気扇131の回転速度のモードが低速モードに切り替えられる態様であってもよい。
【0045】
一態様において、閾値Thは、第2の温度センサの検出温度に対して設定されてもよい。一態様において、複数の閾値Thと、それらに対応する吸気扇101及び排気扇131の運転モードが設定されてもよい。別の態様において、第1の温度センサは、屋外の吸気扇101付近に設置されてよく、外気温を検出可能に構成されてよい。第1の温度センサが複数ある場合、これらの平均温度が特定されてよい。なお、第2の温度センサについても同様である。別の態様において、閾値Thは、例えば、各温度センサの検出温度の平均値、又はデータセンタ1内の全ての温度センサの検出温度の平均値等に対して設定されてもよい。
【0046】
一態様において、データセンタ1は、さらに、湿度、気圧、室内圧、風量等を測定するための各種センサ又は測定機器を、屋内外に備えてもよい。これらのセンサ又は測定機器は、通信部151と通信可能に構成されてよく、制御部153が各測定結果を取得可能に構成されてよい。
【0047】
一態様において、情報処理装置15は、複数のデータセンタ1の制御が可能であってもよい。また、情報処理装置15は、管理センタ等のデータセンタ1とは別の建物において備えられていてもよい。別の観点によると、本開示の一態様は、複数のデータセンタ1と、情報処理装置15とを備え、これらが電気通信回線を通じて通信可能に構成されるデータセンタシステムであってよい。一態様において、データセンタシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。仮に例えば、データセンタ1のみからなる場合であれば、データセンタシステムはデータセンタ1となりうる。
【0048】
例えば、情報処理装置15は、2台以上の装置に分散されてもよいし、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。例えば、情報処理装置15の機能が2台以上の装置に分散して実現されてもよい。例えば、ユーザが操作するユーザ端末から、データセンタ1の制御が可能であってもよい。また、1つの機能が行う動作を2以上の機能が分散して行ってもよいし、2以上の機能が1つの機能に統合されてもよい。要するに、データセンタ又はデータセンタシステムの全体で本開示に示す各機能が実現されていれば、それらの機能を実現する装置はどのような構成であってもよい。
【0049】
本開示の態様は、情報処理方法であってもよい。情報処理方法は、制御部153が実行する情報処理方法における各ステップを備える。本開示の態様は、プログラムであってもよい。プログラムは、上述した情報処理方法を、情報処理装置15であるコンピュータに実行させる。
【0050】
次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0051】
(1)データセンタであって、前記データセンタの壁面に位置する、吸気扇及び排気扇と、前記データセンタの屋内を床下部と床上部とに隔てる床と、前記床下部に配置された第1の温度センサと、前記床上部に配置された第2の温度センサと、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサの検出温度に基づいて、前記吸気扇及び前記排気扇の回転速度を制御する制御部とを備え、前記床は、その少なくとも一部に、前記床下部と前記床上部とを連通させる開口部を備え、前記床の上には、電子機器を収納可能に構成された複数のラックが設置され、前記吸気扇は前記床下部の壁面に、前記排気扇は前記床上部の壁面に位置し、前記吸気扇によって吸気された外気が、前記開口部を介して前記床下部から前記床上部へと通流した後、前記排気扇によって屋外へ排出されるように構成される、もの。
【0052】
(2)上記(1)に記載のデータセンタにおいて、前記吸気扇と前記排気扇とを備える壁面は、互いに並行して位置する壁面であり、複数の前記ラックは、これらの壁面に沿った方向に並べて設置される、もの。
【0053】
(3)上記(1)又は(2)に記載のデータセンタにおいて、前記データセンタは、その屋内にダクトを有しない、もの。
【0054】
(4)上記(1)~(3)の何れか1つに記載のデータセンタにおいて、さらに、前記床上部に位置する仕切り板を備え、前記仕切り板は、前記データセンタの天井及び壁と、前記ラックとの間に位置し、前記床上部を、前記ラックの吸気面側通路と、前記ラックの排気面側通路とに隔て、前記第2の温度センサは、前記排気面側通路に配置される、もの。
【0055】
(5)データセンタモジュールであって、前記データセンタモジュールは、上記(1)~(4)の何れか1つに記載のデータセンタを複数備え、前記吸気扇の上部に位置し、複数の前記データセンタを連結する屋根をさらに備え、複数の前記データセンタは、前記吸気扇を備える壁面が向い合せとなるように構成される、もの。
もちろん、この限りではない。
【0056】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 :データセンタ
10 :床下部
100 :吸気口
101 :吸気扇
102 :吸気扇フード
11 :床上部
111 :仕切り板
112 :ラック
12 :吸気面側通路
13 :排気面側通路
130 :排気口
131 :排気扇
132 :排気扇フード
14 :床
140 :開口部
141 :グレーチング
15 :情報処理装置
150 :通信バス
151 :通信部
152 :記憶部
153 :制御部
154 :入力部
155 :表示部
16 :ドア
17 :階段
2 :データセンタモジュール
21 :渡り廊下屋根
T :期間
Th :閾値
V1 :第1速度
V2 :第2速度
V3 :第3速度
V4 :第4速度