(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003171
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】電気機器及び電気機器システム
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B25F5/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194079
(22)【出願日】2023-11-15
(62)【分割の表示】P 2022540128の分割
【原出願日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】P 2020129941
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】武久 真之
(72)【発明者】
【氏名】松岡 清人
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(57)【要約】
【課題】ユーザや作業内容に合った最適若しくはより適切な動作パラメータを設定可能な電気機器及び電気機器システムを提供する。
【解決手段】駆動部と、駆動部を制御する制御部と、駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と有する電気機器1と、電気機器1に装着される無線通信機能搭載電池パック20と、電池パック20と無線通信可能な携帯端末80とを含む電気機器システムであって、携帯端末80にインストールされた管理アプリによって電気機器1の駆動部が起動するための操作部の操作量等を含む各種動作パラメータを変更可能に構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、
前記動作パラメータは、前記駆動部が起動するための前記操作部の操作量と、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数又は前記駆動部の最低回転数と、を含み、
前記操作量及び前記設定回転数又は前記最低回転数を変更可能に構成し、
前記操作量を変更しても前記駆動部が最高回転数に到達するまでの前記操作部の引き量は変更されないよう構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記操作量、前記設定回転数、前記最低回転数の全てを変更可能に構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、
前記動作パラメータは、前記駆動部が最大回転数となる前記操作部の操作量と、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数と、を含み、
前記操作量及び前記設定回転数を変更可能に構成し、
前記操作量を変更しても前記駆動部が最高回転数に到達するまでの前記操作部の引き量は変更されないよう構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記操作部の引き量が前記操作量を超えてから前記駆動部が前記最高回転数に到達するまでの加速特性が自動的に変更されるよう構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、
前記動作パラメータは、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数と、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間と、を含み、
前記設定回転数及び前記時間を変更可能に構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が起動するための前記操作部の操作量、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数、前記駆動部の最低回転数、前記駆動部の最大回転数、前記駆動部が最大回転数となる前記操作部の操作量、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間、の少なくとも1つを含み、
前記動作パラメータの少なくとも1つを変更可能に構成したことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気機器と、
前記電気機器と通信可能な外部機器と、を備え、
前記動作パラメータを前記外部機器によって変更可能に構成した電気機器システムであって、
前記電気機器は、前記外部機器と通信するための機器側通信部を有し、
前記外部機器は、前記動作パラメータを入力する入力部と、前記動作パラメータを表示する表示部と、前記機器側通信部と通信するための外部機器側通信部と、を有することを特徴とする電気機器システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電気機器システムであって、
前記表示部は、前記電気機器を示す画像を表示可能であり、
前記画像を変更可能であることを特徴とする電気機器システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電気機器システムであって、
前記電気機器は、前記駆動部の電源となる電池パックと、前記電池パックが接続される接続部を有する電気機器本体と、を有し、
前記表示部は、前記電池パックと前記電気機器本体との接続状態を表示可能であることを特徴とする電気機器システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機器システムであって、
前記電池パックは前記機器側通信部を有し、
前記電気機器本体は前記記憶部を有し、
前記動作パラメータは、前記機器側通信部を介して前記記憶部に記憶されることを特徴とする電気機器システム。
【請求項11】
請求項7から9のいずれか一項に記載の電気機器システムであって、
前記動作パラメータは、第1及び第2の初期パラメータを有し、
前記初期パラメータを選択して使用可能であることを特徴とする。
【請求項12】
請求項7から8のいずれか一項に記載の電気機器システムであって、
前記入力部は、作業する相手材の名称を入力可能であり、
前記表示部は、前記入力された前記相手材の名称を表示可能であることを特徴とする電気機器システム。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか一項に記載の電気機器システムであって、
前記動作パラメータは前記外部機器からネットワークにアップロード可能であり、さらに別の外部機器は前記動作パラメータを前記ネットワークからダウンロード可能であることを特徴とする電気機器システム。
【請求項14】
請求項7から13のいずれか一項に記載の電気機器システムであって、
前記動作パラメータを変更したときの設定完了を、機器側表示部の色又は明滅の変化として表示することを特徴とする電気機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具等の電気機器、及び電気機器を備える電気機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
同じ種類の電気機器を使用する場合であっても、ユーザや作業内容によって使い方が異なるため、ユーザや作業内容にあった最適な作業ができる電気機器が求められている。下記特許文献1には、携帯機器から無線通信によって電動工具の設定パラメータを変更可能にすることで、作業に最適な設定パラメータを選定できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザや作業内容に合わせた動作パラメータを設定可能にしたいという第1の課題がある。
【0005】
また、ユーザの手の大きさによって操作部を操作しやすい位置が異なるため、ユーザ毎に合った状態(条件)に設定可能にしたいという第2の課題がある。
【0006】
本発明は、上記第1及び第2の課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、ユーザや作業内容に合った最適若しくはより適切な動作パラメータを設定可能な電気機器及び電気機器システムを提供すること、及び/又は、モータが起動する操作部の操作量(所謂、遊び量)をユーザに合った位置に設定可能としつつ、当該ユーザに最適若しくはより適切な動作パラメータを設定することが可能な電気機器及び電気機器システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は電気機器である。この電気機器は、駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、前記動作パラメータは、前記駆動部が起動するための前記操作部の操作量と、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数又は前記駆動部の最低回転数と、を含み、前記操作量及び前記設定回転数又は前記最低回転数を変更可能に構成し、前記操作量を変更しても前記駆動部が最高回転数に到達するまでの前記操作部の引き量は変更されないよう構成したことを特徴とする。
【0008】
前記操作量、前記設定回転数、前記最低回転数の全てを変更可能に構成してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様は電気機器である。この電気機器は、駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、前記動作パラメータは、前記駆動部が最大回転数となる前記操作部の操作量と、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数と、を含み、前記操作量及び前記設定回転数を変更可能に構成し、前記操作量を変更しても前記駆動部が最高回転数に到達するまでの前記操作部の引き量は変更されないよう構成したことを特徴とする。また、前記操作部が前記操作量を超えてから前記駆動部が最高回転数に達するまでの加速特性が自動的に変更されるよう構成してもよい。
【0010】
本発明の第3の態様は電気機器である。この電気機器は、駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、を備え、前記動作パラメータは、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数と、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間と、を含み、前記設定回転数及び前記時間を変更可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
前記動作パラメータは、前記駆動部が起動するための前記操作部の操作量、前記駆動部が起動した後の前記操作部の操作に応じた前記駆動部の設定回転数、前記駆動部の最低回転数、前記駆動部の最大回転数、前記駆動部が最大回転数となる前記操作部の操作量、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間、の少なくとも1つを含み、前記動作パラメータの少なくとも1つを変更可能に構成してもよい。
【0012】
本発明の第4の態様は電気機器システムである。この電気機器システムは、前記電気機器と、前記電気機器と通信可能な外部機器と、を備え、前記動作パラメータを前記外部機器によって変更可能に構成し、前記電気機器は、前記外部機器と通信するための機器側通信部を有し、前記外部機器は、前記動作パラメータを入力する入力部と、前記動作パラメータを表示する表示部と、前記機器側通信部と通信するための外部機器側通信部と、を有することを特徴とする。
【0013】
前記表示部は、前記電気機器を示す画像を表示可能であり、前記画像を変更可能であるとよい。
【0014】
前記電気機器は、前記駆動部の電源となる電池パックと、前記電池パックが接続される接続部を有する電気機器本体と、を有し、前記表示部は、前記電池パックと前記電気機器本体との接続状態を表示可能であるとよい。
【0015】
前記電池パックは前記機器側通信部を有し、前記電気機器本体は前記記憶部を有し、前記動作パラメータは、前記機器側通信部を介して前記記憶部に記憶されるとよい。
【0016】
前記動作パラメータは、第1及び第2の初期パラメータを有し、前記初期パラメータを選択して使用可能であるとよい。
【0017】
前記入力部は、作業する相手材の名称を入力可能であり、前記表示部は、前記入力された前記相手材の名称を表示可能であるとよい。
【0018】
前記動作パラメータは前記外部機器からネットワークにアップロード可能であり、さらに別の外部機器は前記動作パラメータを前記ネットワークからダウンロード可能であるとよい。
【0019】
前記動作パラメータを変更したときの設定完了を、機器側表示部の色又は明滅の変化として表示するとよい。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電気機器及び電気機器システムによれば、ユーザや作業内容に合った最適若しくはより適切な駆動部の動作パラメータを設定可能である。また、駆動部が起動する操作部の操作量(所謂、遊び量)を動作パラメータとして選択する場合、遊び量をユーザに合った位置に設定可能としつつ、他の動作パラメータを当該ユーザに最適若しくはより適切に設定することが可能である。このため、電気機器に対して、従来に比べてより多くのユーザにとって使いやすい最適な若しくはより適切な動作パラメータの設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電気機器及び電気機器システムの概略説明図。
【
図3】電気機器1のトリガスイッチ及びその周辺部分であって、(A)はトリガスイッチ9の遊び量が少ないときの回転数制御可能なトリガ引き量の範囲、(B)は遊び量が多いときの回転数制御可能なトリガ引き量の範囲をそれぞれ矢印で示す説明図。
【
図4】電気機器1のモード切替部11を示す平面図。
【
図5】実施の形態における、無線通信機能搭載電池パック20のパネル部27を示す平面図。
【
図6】電気機器1(電気機器本体)、電池パック20及び携帯端末80を含む電気機器システムの回路図。
【
図7】電気機器1におけるトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量変更例を示すグラフ。
【
図8】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最低回転数変更例を示すグラフ。
【
図9】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、変速特性変更例を示すグラフ。
【
図10】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量及び最低回転数変更例を示すグラフ。
【
図11】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量及び変速特性変更例を示すグラフ。
【
図12】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量、最低回転数、及び変速特性変更例を示すグラフ。
【
図13】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置変更例を示すグラフ。
【
図14】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数変更例を示すグラフ。
【
図15】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置及び最高回転数変更例を示すグラフ。
【
図16】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置及び変速特性変更例を示すグラフ。
【
図17】同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置、最高回転数、及び変速特性変更例を示すグラフ。
【
図18】電気機器1における時間と回転数との関係であって、トリガ引き量を最大にしたときの加速特性変更例を示すグラフ。
【
図19】電気機器1におけるトリガ引き量とON信号及びトリガ変位信号の信号電圧との関係、並びにトリガ引き量と回転数との関係を示すグラフ。
【
図20】電気機器1における時間とON信号及びトリガ変位信号の信号電圧との関係、並びに時間と回転数との関係を示すグラフ。
【
図21】電気機器1(電気機器本体であって以下の画面では「工具」と表記)の各種設定のカスタマイズや電池パック20(以下の画面では「蓄電池」と表記)の選択を行う管理アプリをインストール済みの携帯端末80の画面であって、(A)は登録リスト画面(登録画像なし)、(B)は蓄電池の新規登録画面。
【
図22】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は接続状態の蓄電池のニックネームの登録画面、(B)は接続状態の蓄電池の撮影画像の登録画面。
【
図23】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は接続状態の蓄電池情報表示画面(工具未接続)、(B)は電気機器1としての工具が接続状態となっている蓄電池情報表示画面。
【
図24】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は接続状態の工具のニックネームの登録画面、(B)は接続状態の工具の撮影画像の登録画面。
【
図25】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は接続状態の工具及び蓄電池の表示及び工具のスイッチフィーリングのカスタマイズ調整を選択可能とした工具情報表示画面、(B)工具のスイッチフィーリングのカスタマイズを行うフィーリング調整画面。
【
図26】同じく携帯端末80の画面であって、(A)はスイッチフィーリングのカスタマイズ調整後のカスタマイズ設定値保存画面、(B)は保存したカスタマイズ設定値の設定リスト画面。
【
図27】同じく携帯端末80の画面であって、(A)はスイッチフィーリングのデフォルト又はクラッシックモード(旧デフォルトモード)のみが表示された設定リスト画面(初期状態)、(B)は既保存の設定リスト編集画面。
【
図28】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は登録済みの選択可能な工具及び蓄電池の全てを表示可能な登録リスト画面(全て)、(B)は登録リスト画面(登録済み未接続)。
【
図29】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は選択可能な工具を表示した工具リスト画面(工具のみ)、(B)は選択可能な蓄電池を表示した工具リスト画面(蓄電池のみ)。
【
図30】同じく携帯端末80の画面であって、(A)はリストに登録された工具及び蓄電池を検索可能な工具リスト画面(折り畳み)、(B)は特定の選択された工具及び蓄電池を表示するとともに、蓄電池について編集(接続解除又はリストから削除)可能な蓄電池情報表示画面。
【
図31】同じく携帯端末80の画面であって、(A)は特定の選択された工具について編集(カスタマイズ又はリストから削除)可能な工具情報表示画面(未接続)、(B)は特定の選択された蓄電池について編集(リストから削除)可能な蓄電池情報表示画面(未接続)。
【
図32】携帯端末80にインストールされた管理アプリの使いかた等を表示するメニュー画面。
【
図33】管理アプリを用いた未登録の電気機器1(「工具」と表記)及び未登録の電池パック20(「電池」と表記)の接続・登録完了までの流れを示す説明図。
【
図34】管理アプリを用いた登録済工具及び登録済電池の接続・登録完了までの流れを示す説明図。
【
図35】管理アプリを用いた登録済工具及び登録済電池の接続完了及びその後のカスタマイズ設定変更完了までの流れを示す説明図。
【
図36】工具のフィーリングをカスタマイズするときのフローチャート。
【
図37】工具のフィーリングをカスタマイズした設定値を共有する場合の説明図。
【
図38】前記設定値を共有する場合の携帯端末80の表示画面を含む説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る電気機器及び電気機器システムの概略説明図である。この図に示すように、ユーザのスマートフォン等の無線通信機能を有する外部機器としての携帯端末80と無線通信機能搭載電池パック20との間は無線通信で相互接続可能であり、電気機器(電気機器本体であって電動工具本体)1と装着された電池パック20との間は有線通信で相互接続される。
【0025】
携帯端末80から電池パック20にはカスタマイズ設定値の送信を行い、電池パック20から携帯端末80には工具・電池情報を送信する。電池パック20から電気機器1には前記カスタマイズ設定値が送信(転送)される。電気機器1から電池パック20には工具情報を送信する。ユーザは携帯端末80を用いて電気機器1及び電池パック20の登録リスト管理や工具カスタマイズを行う。詳細は後述する。
【0026】
図2は、電池パック20を接続した電気機器1の側断面図である。
図2により、電気機器1における互いに直交する前後、上下の各方向を定義する。前後方向は、駆動部としてのモータ3の出力軸3aの中心軸と平行な方向である。電気機器1は、電動工具であり、具体的には、コードレスタイプのインパクトドライバである。電気機器1は、ハウジング2を備える。ハウジング2は、胴体部(筒状部)2aと、ハンドル部2bと、電池パック装着部2cと、を含む。ハウジング2の胴体部2aは、筒形状であり、その中心軸は前後方向と平行である。胴体部2aの中間部から、ハンドル部2bが下方に延びる。ハンドル部2bの下端部に、電池パック装着部2cが設けられる。
【0027】
胴体部2a内に、後方から順に、ファン4、駆動部としてのモータ3のステータ及びロータ、センサ・インバータ回路基板12、遊星歯車機構(減速機構)5、スピンドル6、ハンマ7、並びにアンビル8が設けられる。ファン4は、駆動部としてのモータ3の出力軸3aに直結され、モータ3と共に回転し、ハウジング2内に冷却風を発生させる。モータ3は、ここではインナーロータ型のブラシレスモータである。センサ・インバータ回路基板12は、前後方向と垂直となるように胴体部2aに収容される。具体的にはモータ3のステータに取り付けられたインシュレータに支持(固定)される。センサ・インバータ回路基板12は、背面にホールIC等の磁気センサ13を搭載し、前面に複数のスイッチング素子14を搭載する。磁気センサ13は、モータ3の回転位置検出用である。スイッチング素子14は、モータ3への電流供給用である。複数のスイッチング素子14は、
図6のスイッチング素子Q1~Q6に対応する。モータ3の出力軸3aは、センサ・インバータ回路基板12を貫通して前方に延びる。遊星歯車機構5は、モータ3の回転を減速し、スピンドル6に伝達する。ハンマ7は、スピンドル6と共に回転し、アンビル8を回転ないし回転打撃する。アンビル8には、図示しないビット等の先端工具が取り付けられる。スピンドル6、ハンマ7及びアンビル8は、被駆動部の例示であり、周知の回転打撃機構(インパクト機構)を構成する。
【0028】
ハンドル部2bは作業者が把持する部分であり、その上端前部に、
図3(A),(B)に拡大して示すトリガスイッチ9が設けられる。トリガスイッチ9は、作業者がモータ3の駆動、停止を切り替えるための操作部である。
図3(A)はトリガスイッチ9の遊び量が少ないときの回転数制御可能なトリガ引き量の範囲、(B)は遊び量が多いときの回転数制御可能なトリガ引き量の範囲をそれぞれ矢印で示している。
【0029】
電池パック装着部2c内の上部に、電気機器制御基板10が設けられる。電気機器制御基板10は基板ケースに収容されて樹脂でコーティングされ、基板ケースが電池パック装着部2cに支持される。電気機器制御基板10には、
図6に示す演算部40等が設けられる。演算部40はマイコン等を含み制御部として機能する。電池パック装着部2cの上面には、
図4の機器側表示部としてのモード切替部11が設けられる。モード切替部11は、電気機器1の動作モードを例えば強(高速)、中(中速)、弱(低速)モードの間の切り替え、又は、低速で駆動するソフトモード(弱)、高速で駆動するパワーモード(強)、ボルト締め付けに用いるボルトモード、ボルトモードで1回の打撃したらモータ3を停止するボルト単発モード、ねじが着座したらモータ3の回転数を低下するテクスモードの間で切り替えるための操作部11bと、操作部11bによって切り替えられた現在のモードを表示する表示部(
図4の中央部に縦に並んだ4つのLED)と、先端工具周辺を照らすライトの点灯と消灯を切り替えるライトボタン11cと、を備える。表示部は、4つのLEDを有し、操作部11bを押すたびに点灯する箇所が変更される。表示部において、一番上がソフトモード、上から2番目がパワーモード、上から3番目がボルトモード及びボルト単発モード、一番下がテクスモード、を選択したときに点灯するが、上から3番目のLEDはボルトモード選択時に点灯し、ボルト単発モード選択時に点滅する。更に、上から2番目のLEDは、後述の管理アプリに対応するため動作パラメータの設定状態を表示するApp表示部11aを兼ねて構成されている。
【0030】
なお、ここでは電気機器1から電池パック20を除いた部分を電気機器1の本体(電気機器本体)と定義する。電気機器1の本体は、モータ3の電源となる電池パック20が接続される接続部としての電池パック装着部2cを有する。但し、例えば
図1や後述する
図6で示すように、電気機器1の本体(電気機器本体)を単に電気機器1と称する場合もある。
【0031】
電池パック装着部2cには、電池パック20が接続される。電池パック20は、電池セルを収容すると共に、電池制御基板25を収容する。電池制御基板25は、近距離無線通信のための通信部(電池通信部)26を搭載する。通信部26は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)モジュールである。電池パック20の外面には、パネル部27が設けられる。
図5に示すように、パネル部27には、電池パック20の残量を表示したり近距離無線通信機能のオンオフを切り替えるための操作ボタン27aが設けられる。操作ボタン27aを短く押した場合は電池残量に応じて左側の表示部としてのLEDが点灯し、その状態を窓27bから視認可能となる。電池残量が多いほどLED(窓27bから見えるLED)の点灯個数が多くなる。操作ボタン27aを長押しすると、右端の窓27bに対応する位置に設けたLEDが点滅し、電池パック20と外部機器、例えば携帯端末80との接続を行い、接続完了時に右端の窓27bに対応する位置に設けたLEDが点灯する。なお、右端の窓27bに対応する位置には色の異なる2種類(例えば緑色と青色)のLEDが設けられており、一方は残量表示用、他方は無線通用である。左端から3つ目までの窓27bに対応する位置には1種類(例えば緑色)のLEDが設けられる。操作ボタン27aを短く押すと4つの緑色のLEDが電池残量に応じて点灯する。操作ボタン27aを長押しすると、右端の青色のLEDが点滅する。各LEDは電池制御基板25に搭載される。
【0032】
図6は電池パック20が装着された電気機器1(電気機器本体)及び携帯端末80を含む電気機器システムの回路図である。この図において、電池パック20は、電池セル組21と、電池制御部としての演算部22と、電池記憶部としての記憶部23と、電池通信部としての通信部26と、を有する。電池セル組21は、リチウムイオン二次電池セル等の複数の電池セルからなる。複数の電池セルの直列接続数及び並列接続数は任意である。演算部22は、マイクロコントローラ(マイコン)等を含み、電気機器1の機器制御部としての演算部40と通信(有線通信)すると共に、通信部26を制御する。記憶部23は、電池パック20の固有情報、例えば形名及び製造番号を記憶する。通信部26は、携帯端末80の通信部85と通信(無線通信)する。演算部22、記憶部23も電池制御基板25に搭載される。記憶部30は、演算部22と別体であってもよいし、演算部22に内蔵されてもよい。
【0033】
携帯端末80は、端末制御部としての制御部81と、端末記憶部としての記憶部82と、表示部83と、入力部として機能する操作部84と、端末通信部としての通信部85と、電池86と、を有する。携帯端末80がスマートフォンやタブレット端末であれば、スマートフォンやタブレット端末の画面が表示部83であって操作部84でもある。通信部85は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を有し、電池パック20の通信部26と通信する。記憶部82には、管理アプリがインストールされる。制御部81は、管理アプリの各機能を実行する。管理アプリにより表示部83は後述するように電気機器1の動作パラメータ等を表示可能である。
【0034】
電気機器1において、センサ・インバータ回路基板12に設けられたスイッチング素子Q1~Q6は、三相ブリッジ接続され、インバータ回路を構成する。スイッチング素子Q1~Q6は、演算部40の制御に従ってスイッチング動作し、モータ3に駆動電力を供給する。センサ・インバータ回路基板12に設けられた磁気センサ13は、モータ3の回転位置に応じた電気信号を回転位置検出回路44に送信する。電気機器制御基板10には、電気機器制御部としての演算部40、電流検出回路41、スイッチ操作検出回路42、制御信号回路(制御信号出力回路)43、回転位置検出回路44、回転数検出回路45、及び記憶部(電気機器記憶部)46が設けられる。
【0035】
電流検出回路41は、モータ3の電流経路に設けられた抵抗Rの電圧により、モータ3の電流を検出し、演算部40に出力する。スイッチ操作検出回路42は、トリガスイッチ9の操作を検出し、演算部40に出力する。制御信号回路43は、演算部40の制御に従い、スイッチング素子Q1~Q6の各制御端子に制御信号(例えばPWM信号)を印加する。回転位置検出回路44は、磁気センサ13からの信号によりモータ3の回転位置を検出し、演算部40に出力する。回転数検出回路45は、回転位置検出回路44からの信号によりモータ3の回転数を検出し、演算部40に出力する。記憶部46は、電気機器1の固有情報や電気機器1の使用履歴情報、モータ3を駆動するための動作パラメータ等を記憶する。動作パラメータは携帯端末80の管理アプリで追加、編集されるものを含む。記憶部46は、演算部40と別体であってもよいし、演算部40に内蔵されてもよい。記憶部46は、電源が供給されない状況でも記憶された情報を保持できる不揮発性メモリで構成される。演算部40は、トリガスイッチ9の操作、モータ3の回転位置及び回転数、及びモータ3の電流に応じて、制御信号回路43を介してスイッチング素子Q1~Q6のオンオフを制御(例えばPWM制御)し、モータ3の駆動を制御する。
【0036】
図7は、電気機器1における操作部としてのトリガスイッチ9に関して、トリガ引き量[mm](操作部の操作量)と電気機器1の回転数[mim-1]との関係であって、遊び量変更例を示すグラフである。電気機器1が
図2のインパクトドライバの構造を有する場合、回転数は先端工具を保持するアンビル8(モータ3の回転数に比例した回転数)の無負荷時の回転数である(以下同じ)。図示の場合、トリガ遊び量はトリガ引き量2mm未満から3mm位の範囲で調整可能である。トリガ引き量が設定されたトリガ遊び量を超えると、モータ3(アンビル8)が回転を開始する。その後、最低回転数で回転を開始してからトリガ引き量の増加に伴って回転数は増加して行き、回転数制御可能なトリガ引き量の上限値(最高回転数引き量)になると最高回転数に達して以後その回転数を維持する。このとき、
図7から明らかなように、トリガ遊び量の設定値の変更にかかわらず、最高回転数及び最高回転数に到達するまでのトリガ引き量(最大操作量)は一定(変化しない)である。そのため、設定されたトリガ遊び量を超えてから最高回転数に達するまでの加速特性(トリガ引き量に応じた回転数の曲線であり変速特性とも称する)が異なる。すなわち、トリガ遊び量の設定値を変更すると最高回転数に達するまでの加速特性が自動的に変化する(変更される)。これにより、トリガ操作量が最大にときに最高回転数に到達しなくなることを防止ることができる。なお、トリガ遊び量に応じて最高回転数に到達するまでのトリガ引き量を変更してしまうと、言い換えると、加速特性を変えずにトリガ遊び量に応じてシフトするだけ(トリガ引き量に応じた回転数の曲線が同じ)すると、トリガ操作量を最大にしたときに最高回転数に到達しなくなる可能性がある。
【0037】
また、ユーザの手の大きさや好みに応じてトリガスイッチ9によるモータの起動位置(所謂、遊び量)を変更できるため、ユーザが使い易くなり作業性が向上する。例えば、ユーザの手が小さい場合には遊び量を大きくし、逆に大きい場合には小さくすることで、操作フィーリングを良く(統一)することができる。
【0038】
図8は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最低回転数変更例を示すグラフである。この場合、回転開始時の最低回転数は毎分500回転未満の範囲で変更可能である。
【0039】
最低回転数を変更可能であるので、使用するねじの種類に合わせて設定することができるため作業性が向上する。例えばねじ舐め防止、ねじ立てしやすい設定が可能である。最低回転数が低いと、短いビス締めなど低速を必要とする繊細な作業に適する。このとき、
図8から明らかなように、最低回転数の設定値の変更にかかわらず同じトリガ引き量で最高回転数は到達する。そのため、設定された最低回転数から最高回転数に到達するまでの加速特性(変速特性)は自動的に変更される。
【0040】
図9は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、変速特性変更例を示すグラフである。この場合、最低回転数と最高回転数は一定であるが、その間の回転速度変化の程度が異なるように設定可能である。つまり、モータが起動した後のトリガ操作に応じたモータの設定回転数を変更可能である。
【0041】
また、回転速度の時間変化を緩慢にするソフトスタート機能と組み合わせることにより、低中速でねじ立てした後、全速に変える場合の調整がしたい場合、機械ねじでは超低速でねじ入りを確認し、急に全速でねじのリードを走らせることが可能になる(ソフトスタート機能小)。また、木ビスでは、ある程度のねじ入りしやすい中速に合わせやすくい変速特性とし、ねじが立ったらカムアウトしない様に徐々に回転を上げて打撃することが可能になる(ソフトスタート機能大)。
【0042】
図10は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量及び最低回転数変更例を示すグラフである。この場合、最高回転数は一定であるが、遊び量及び最低回転数が異なるように設定可能である。このとき、
図10から明らかなように、トリガ遊び量及び最低回転数の設定値の変更にかかわらず同じトリガ引き量で最高回転数に到達する。そのため、設定された最低回転数(トリガ遊び量を超えて)から最高回転数に到達するまでの加速特性(変速特性)は自動的に変更される。
【0043】
最低回転数変更の利点として、機械ねじをねじ舐めしないようにするため超スローの回転数にしたり、木ねじをねじ立てしやすい低速でもある程度の回転数にしたり、選択できることが挙げられる。しかし、低速にトリガスイッチで調整しようとした場合、ユーザの手の大きさによって調整しやすい位置が異なる。最低回転数の調整と合わせて遊び量の調整も可能とすることにより、手の大きなユーザは遠い位置でも届くため、遊び量を小さく設定することで、低速域に設定しやすい。手の小さなユーザは遠い位置では操作しづらいため、遊び量を大きく設定することで、低速域に設定しやすくなる。
【0044】
図11は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量及び変速特性変更例を示すグラフである。この場合、最低回転数と最高回転数は一定であるが、遊び量及び変速特性が異なるように設定可能である。
【0045】
変速特性の変更の利点として、例えば低速域で微調整しやすくしたり、中速域で微調整しやすくしたりするように、選ぶことが可能となる。しかし、ユーザの手の大きさによって調整しやすい位置が異なるが、変速特性の調整と合わせて遊び量の調整も可能とすることで、最適、若しくはより適切な設定が可能となる。つまり、手の大きなユーザは遠い位置でも届くため、遊び量を小さく設定することで、変速特性を変更した場合でも使用しやすい。手の小さなユーザは遠い位置では操作しづらいため、遊び量を大きく設定することで、変速特性を変更した場合でも使用しやすい。
【0046】
図12は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、遊び量、最低回転数、及び変速特性変更例を示すグラフである。この場合、最高回転数は一定であるが、遊び量、最低回転数、及び変速特性が異なるように設定可能である。この場合、
図10や
図11の場合よりも更に多様な設定が可能となる。
【0047】
図13は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置変更例を示すグラフである。この場合、最低回転数と最高回転数は一定であるが、最高回転数トリガ位置、つまり最高回転数に到達するトリガ引き量が変更可能であり、最高回転数トリガ位置は略5~7mmの範囲内で設定可能である。
【0048】
図14は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数変更例を示すグラフである。最高回転数は毎分2000~3500回転の範囲で調整可能である。
【0049】
ユーザが工具の扱いに慣れており早く作業をしたい場合には最高回転数が高い設定が適し、工具の扱いに慣れていない場合は最高回転数が低い設定が適するが、ユーザの習熟度に合わせて最高回転数を設定できる利点がある。
【0050】
図15は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置及び最高回転数変更例を示すグラフである。最低回転数は一定であるが、最高回転数トリガ位置は略5~7mmの範囲内で設定可能で、最高回転数は毎分2000~3500回転の範囲で調整可能である。
【0051】
図16は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置及び変速特性変更例を示すグラフである。この場合、最低回転数と最高回転数は一定であるが、最高回転数トリガ位置は略5~7mmの範囲内で設定可能で、変速特性を変更可能である。
【0052】
変速特性の変更の利点として、例えば低速域で微調整しやすくしたり、中速域で微調整しやすくしたりするように、選ぶことが可能となる。しかし、ユーザの手の大きさによって調整しやすい位置が異なるが、変速特性の調整と合わせて最高回転数トリガ位置の調整も可能とすることで、より適切な設定が可能となる。
【0053】
図17は同じくトリガ引き量と電気機器1の回転数との関係であって、最高回転数トリガ位置、最高回転数、及び変速特性変更例を示すグラフである。この場合、最低回転数は一定であるが、最高回転数トリガ位置は略5~7mmの範囲内で設定可能、最高回転数は毎分2000~3500回転の範囲で調整可能、変速特性も変更可能である。
【0054】
図18は電気機器1における時間と回転数との関係であって、トリガ引き量を最大にしたときの加速特性変更例を示すグラフである。モータ起動時から定速に達するまでの時間を変更可能である。つまり、ソフトスタートの設定値を変更可能である。
【0055】
ユーザが工具の扱いに慣れており早く作業をしたい場合には回転数上昇率が高い設定が適し、作業スピードを重視せず、カムアウトを抑えたい場合は回転数上昇率が低い設定が適するが、ユーザの習熟度に応じて回転数上昇率を設定できる。
【0056】
図19は電気機器1におけるトリガ引き量とON信号及びトリガ変位信号の信号電圧との関係、並びにトリガ引き量と回転数との関係を示すグラフである。この場合、トリガ引き量略1mmの位置でスイッチ操作検出回路42からトリガON信号が演算部40に出力され(ON信号が立ち上がり)、トリガ引き量略2mmの位置になるとスイッチ操作検出回路42からトリガ変位信号が演算部40に出力され、以後トリガ引き量の増加に比例してトリガ変位信号の電圧値は5Vに向けて直線的に増加する。演算部40は、このようなトリガオン信号、トリガ変位信号が入力されると、これら信号に応じた駆動信号を制御信号回路43に出力し、制御信号出力回路43はインバータ回路12のスイッチング素子Q1~Q6の各制御端子に制御信号を出力することによりモータ3を回転させる。モータ3(アンビル8)の回転数はこの制御信号に応じて最低回転数から最高回転数に至るまで変化する。トリガ変位信号の傾きを変えることで、モータが最大回転数に達するまでの時間(ソフトスタートの設定値、変速特性の設定値)を変更することができる。
【0057】
図20は電気機器1における時間とON信号及びトリガ変位信号の信号電圧との関係、並びに時間と回転数との関係を示すグラフである。この場合、トリガ引き量をゼロから最大にすると、トリガON信号が立ち上がり、これと同時にトリガ変位信号が5Vまで急速に立ち上がっている。このようなトリガ変位信号により回転数は起動時のゼロ回転から毎分3000回転に到達する。トリガ変位信号の傾きを変えることで、トリガ引き量を最大にした際にモータが最大回転数に達するまでの時間(ソフトスタートの設定値)と、トリガ引き量に応じた最低回転数と最高回転数の間の回転速度変化の程度に関する動作パラメータ(変速特性の設定値)は変更可能である。
【0058】
図21(A)は電気機器1(以下の画面では「工具」と表記)の各種設定のカスタマイズや電池パック20(以下の画面では「蓄電池」と表記)の選択を行う管理アプリをインストール済みの携帯端末80の登録リスト画面(登録工具、蓄電池なし)、(B)は接続できる製品、ここでは電池パック20を探している状態(未接続)の蓄電池の新規登録画面を示す。同図(A)は、管理アプリ起動後に画面下部の「全て」、「工具」、「蓄電池」のボタンのうち、「全て」をタップした状態で、工具及び蓄電池共に登録されたものがないことを示す。
【0059】
図5の池パック20の操作ボタン27aを長押しし、パネル部27の右端の青色LED(窓27b)が点滅すると接続待機状態となる。
図21(A)の画面で+ボタン801をタップすると、通信可能状態の蓄電池の個数が表示され(図では1個)、個数の数字が出ているときにタップすると、(B)の接続可能な製品(工具及び蓄電池)を探す画面に遷移する。画面には通信可能状態の蓄電池の形名が表示される。ここでは、蓄電池として例えば「BT1100」が検索され、未接続状態であることを示す。同図(B)の画面で蓄電池の形名の横の未接続の文字802をタップすることで表示された蓄電池の接続が行われる。接続が完了すると右端の窓27bに対応する位置に設けた青色LEDが点灯し、
図22(A)の画面に遷移する。
【0060】
図22(A)は接続状態の蓄電池のニックネームの登録画面であり、ニックネーム入力ポップアップにニックネーム、例えば「電池1」を入力し、決定ボタンをタップすると、(B)の接続状態の蓄電池の撮影画像の登録画面に遷移する。同図(B)では、「撮影する」、「写真から選択」(カタログ写真がデフォルトで用意されている)、「後で設定する」のいずれかを選択して登録すると、
図23(A)の蓄電池情報表示画面(工具未接続)に遷移する。
【0061】
図23(A)は接続状態の蓄電池のモデル名等の情報の電池情報表示画面(工具未接続)であり、ニックネーム及び画像(写真)の変更、接続解除、蓄電池登録削除等の処理が可能である。蓄電池に対応工具を接続し、電気機器1側の
図4の操作部11bを押して表示部の表示箇所をApp表示部11aに合わせると、App表示部11aが動作パラメータ設定前の色(例えば赤)で点灯する。また、蓄電池に対応工具を接続することで、
図23(B)の電池情報表示画面(未登録工具)に遷移する。同図(B)において、接続している対応工具の工具接続状況表示ボタン803(「未設定 IPD220」表示となっている)をタップすると、
図24(A)の接続状態の工具のニックネームの登録画面に遷移する。
【0062】
図24(A)の登録画面において、ニックネーム入力ポップアップにニックネーム、例えば「インパクト1」を入力し、決定ボタンをタップすると、(B)の接続状態の工具の撮影画像の登録画面に遷移する。同図(B)では、「撮影する」、「写真から選択」(カタログ写真がデフォルトで用意されている)、「後で設定する」のいずれかを選択して登録すると、
図25(A)の工具情報表示画面に遷移する。電池パック20及び電気機器1としての工具の写真、ニックネーム等の情報はアプリ内(外部機器内)の記憶部に保存される。
【0063】
図25(A)は接続状態の工具のモデル名等の情報の工具情報表示画面であり、ニックネーム及び画像(写真)の変更、工具登録削除等の処理が可能である。カスタマイズ-スイッチフィーリングの項目のフィーリング調整ボタン804をタップしたら同図(B)のフィーリング調整画面に遷移する。このフィーリング調整画面では、電気機器1のトリガスイッチ9に関するフィーリング調整、つまり動作パラメータ設定値の変更が可能であり、「スイッチの遊び」、「最低回転数」、「最高回転数」、「ソフトスタート」(トリガ操作量を最大にした時に最大回転数に達するまでの時間)、トリガ操作に応じた設定回転数の変更に対応する「低速域の幅」(トリガ操作に応じた設定回転数の変更例)等の項目についてフィーリング変更スライダー805を表示しており、フィーリング変更スライダー805の位置変更により、複数段階、例えば5段階で調整可能である。5段階のうちの現在の設定値が各項目の横に表示される。また、連続的に調整可能な構成としてもよい。同図(B)の「この設定を新しくリストに登録する」のボタン806をタップすることで、設定値が工具に送信されるとともに
図26(A)のスイッチフィーリングのカスタマイズ調整後のカスタマイズ設定値保存画面に遷移する。
【0064】
図26(A)のカスタマイズ設定値保存画面では名前入力ポップアップに設定値名を入力し、決定ボタンをタップすることで保存完了となる。設定値名としては工具が加工する相手材(角材、アルミ板、ベニア板等)及び厚み等を入力可能である。以後、電気機器1はこのカスタマイズ設定値で使用可能となる。このとき
図4のApp表示部11aは動作パラメータ設定前の色とは異なる色(例えば青)で点灯して動作パラメータ変更の設定完了を表示する。表示色の変化の代わりに、表示色の明滅の変化で設定完了を表示してもよい。
【0065】
図26(B)はカスタマイズしたスイッチフィーリングの保存名称リストを選択可能な設定リスト画面である。設定リストには、例えば工具が加工する相手材として角材、アルミ板、ベニア板等の入力、表示が可能であり、現在の設定値にはチェック表示がある。「スイッチフィーリング」の文字807をタップすることで
図25(B)のフィーリング調整画面に遷移する。
図26(B)の「編集」の文字808をタップすることで
図27(B)の設定リスト編集画面に遷移する。
【0066】
図27(A)はスイッチフィーリングのデフォルト(第1の初期パラメータ)又はクラッシックモード(旧デフォルトモード:第2の初期パラメータ)のみが表示された設定リスト画面(初期状態)であり、(B)は既保存の設定リスト編集画面である。同図(B)において、消去ボタン809をタップすることでチェックを入れた設定値を消去することができる。編集終了を示す「×」810をタップすることで
図26(B)の設定リスト画面に遷移する。デフォルトモード(第1の初期パラメータ)は例えば本電気機器システムを提供するメーカの基本的な仕様(一つの作業に特化せず全ての作業に適したオールラウンド仕様)とし、クラシックモード(第2の初期パラメータ)は例えば既に発売されている工具の仕様としてもよい。新たな工具を購入したユーザが、今まで使っていた工具の使い慣れた仕様(動作パラメータ)で作業したい場合や、全ての作業に適した基本的な仕様で作業したい場合にも、ユーザがゼロから設定することなく即座に対応(設定)することができる。
【0067】
図28は登録工具リスト機能のための画面であって、(A)は選択可能な工具及び蓄電池の全てを表示可能な登録リスト画面(全て)、(B)は登録リスト画面(登録済未接続)であり、工具及び蓄電池は登録済みだが通信できない状態の表示画面である。
図28(A)の登録リスト画面において、メニュー820のタップで
図32のメニュー画面に遷移する。工具の右端部821のタップで
図30(A)の折り畳んだ工具リスト画面(折り畳み)に遷移する。リストされた工具名の右端部822のタップで
図25(A)の工具情報表示画面に遷移する。リストされた蓄電池名の右端部823のタップで
図30(B)の蓄電池情報表示画面(登録済工具接続)に遷移する。なお、画面下部の「工具」ボタンのタップで
図29(A)の工具リスト画面(工具のみ)に遷移し、「蓄電池」ボタンのタップで
図29(B)の工具リスト画面(蓄電池のみ)に遷移する。
【0068】
図28(B)の登録リスト画面(登録済未接続)において、リストされた工具名の右端部824のタップで
図31(A)の工具情報表示画面(未接続)に遷移する。リストされた蓄電池名の右端部825のタップで
図31(B)の蓄電池情報表示画面(未接続)に遷移する。
【0069】
図29(A)は選択可能な工具を表示した工具リスト画面(工具のみ)、(B)は選択可能な蓄電池を表示した工具リスト画面(蓄電池のみ)であり、
図28(A)の登録工具リスト機能を工具と蓄電池の画面に分けたものであり、機能は同じである。
【0070】
図30(A)は登録工具リストの検索のための工具リスト画面(折り畳み)であって、工具表示右端部830をタップすることで、工具リストを表示可能である。同様に、蓄電池表示右端部831をタップすることで、蓄電池リストを表示可能である。
【0071】
図30(B)は特定の選択された工具及び蓄電池を表示するとともに、蓄電池について編集(接続解除又はリストから削除)可能な電池情報表示画面(登録済工具接続)である。「接続を解除」ボタン832をタップすることで表示されている蓄電池の接続を解除する。また、「この蓄電池をリストから削除する」ボタン833をタップすることで、表示されている蓄電池をリストから削除する。
【0072】
図31(A)は特定の選択された工具について編集(リストから削除)するときの工具情報表示画面(未接続)、(B)は特定の選択された蓄電池について編集(リストから削除)するときの蓄電池情報表示画面(未接続)である。同図(A)において、「この工具をリストから削除する」ボタン834をタップすることで、表示されている工具をリストから削除する。同図(B)において、「この蓄電池をリストから削除する」ボタン835をタップすることで、表示されている蓄電池をリストから削除する。
【0073】
図32は携帯端末80にインストールされた管理アプリの使いかた等を表示するメニュー画面である。
【0074】
図21(A),(B)~
図32では、
図25(B)のフィーリング調整画面で設定したトリガ引き量と回転数との関係を示すグラフ等の画面は図示されていないが、それらの画面を表示する機能を管理アプリが有していてもよい。
【0075】
図33は携帯端末80にインストールされた管理アプリ(「アプリ」と表記)を用いた登録済みの電気機器1(「工具」と表記)及び電池パック20(「電池」と表記)の接続・登録完了までの流れを示す説明図である。管理アプリ、つまり携帯端末80と未登録電池間の通信は近距離無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)通信で行い、未登録電池と未登録工具間の通信は工具に電池を装着した上で有線通信(UART通信)で行う。
【0076】
まず、管理アプリを起動し、接続先探索を行うとともに未登録電池のスイッチ操作(操作ボタン27aの操作)で電池側を接続待機状態とする。アプリで接続先を発見したらアプリの画面上に接続先電池が表示される(
図21(B)参照)。アプリ登録操作により、アプリから登録要求を接続待機状態の未登録電池に送る。電池側からは電池情報をアプリに送る。この結果、アプリと電池間の接続と登録が完了となる(
図22(A)~
図23(B)参照)。それから、電池を工具に装着し、相互が有線通信可能な状態となる。工具のトリガスイッチ9(「トリガ」と表記)を操作(ON)として通信可能状態とするとともに制御部としてのマイコン(演算部40)を起動し、トリガの操作をやめる(OFF)までの期間モータ駆動を行う。その後、工具情報を電池に送り、さらに電池から接続工具情報がアプリに送られ、アプリ画面上に接続先工具が表示される(
図24(A)~
図25(A)参照)。アプリ側で登録操作を行うことでアプリと工具間の接続と登録が完了となる。なお、工具情報は工具(電気機器本体1)の記憶部46に記憶され、この情報が電池パック20を経由して携帯端末80に送られ記憶部82に記憶される。この際、電池パック20の記憶部23に工具情報が記憶されることはなく、電池パック20は単に情報を中継するだけである。後述する携帯端末80から工具に送られる動作パラメータの情報も同様に、電池パック20の記憶部23には記憶されず電池パック20は中継器として機能する。
【0077】
図34は管理アプリを用いた登録済工具及び登録済電池の接続・登録完了までの流れを示す説明図である。
図33に準ずる手順となるが、電池登録、工具登録のステップが不要となる。
【0078】
図35は管理アプリを用いた登録済工具及び登録済電池の接続完了からその後のカスタマイズ設定変更完了までの流れを示す説明図。管理アプリ、つまり携帯端末80と登録済電池間の通信は近距離無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)通信で行い、登録済電池と登録済工具間の通信は有線通信(UART通信)で行う。
【0079】
管理アプリによる登録済電池及び登録済工具間の接続完了後、
図25(B)のアプリ画面からカスタマイズ設定変更を行う。これにより登録済電池を経由して登録済工具にカスタマイズの設定値が送信される。登録済工具は通信可能状態となっており、工具内部の設定値変更を行い、設定値を記憶部46に記憶し、完了通知を登録済電池に送信し、さらに登録済電池からアプリに完了通知が送信される。アプリ画面に変更完了通知が表示される(
図26(A),(B)参照)。
【0080】
図36は工具のフィーリングをカスタマイズするときのフローチャートである。この図において、工具起動後、ステップS1でトリガ9が操作されているかを判断する。「はい」の場合、ステップS2で現在の動作モード及びフィーリング設定値でモータ駆動し、ステップS1に戻る。すなわち、トリガ9が操作されている状態ではカスタマイズすることができない。ステップS1の判断が「いいえ」の場合、ステップS3でモード切替スイッチ(モード切替部11の操作部11b)が操作されたか判断する。ステップS3の判断が「はい」の場合、ステップS4で動作モードを、ソフト→パワー→ボルト→ボルト単発→テクス→ソフトの順に切り替え、ステップS1に戻る。
【0081】
ステップS3の判断が「いいえ」の場合、ステップS5でフィーリング設定値を受信したかを判断する。ステップS5の判断が「はい」の場合、ステップS6でパワーモードのフィーリング設定値を更新してステップS1に戻る。ステップS5の判断が「いいえ」の場合はステップS1に戻る。
【0082】
図37は工具のフィーリングをカスタマイズした設定値を共有する場合の説明図である。ユーザAがAの携帯端末からAの工具の設定値変更を行った後に、他のユーザに対し設定値の共有を許容若しくは推奨する場合、設定値のリンクをSNS等のネットワークにアップロードして公開する。Aと同じ設定を希望するユーザBは、Bの携帯端末から設定値のリンクへアクセスし、リンクから設定値をダウンロードし、ユーザBの工具の設定値変更を行うことができる。
【0083】
同じ作業現場で働くユーザ等の場合、フィーリングをカスタマイズした設定値を共有することで、カスタマイズの手間を省略できることがある。また、同じ作業現場で設定値を共有することで、同じ条件で作業を行うことができるため、ユーザ毎の作業ムラを抑制することができる。
【0084】
図38は工具のフィーリングをカスタマイズした設定値を共有する場合の携帯端末80の表示画面を含む説明図である。ユーザA以外の携帯端末80’でユーザAのSNSページの設定値リンクをタップすることでアプリが起動し、設定リストに追加することが可能である。
【0085】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0086】
(1) 電気機器1に予め用意された動作パラメータに制約されずに、電気機器1の動作フィーリングを幅広くカスタマイズ可能となるため、従来に比べてより多くのユーザにとって使いやすい最適若しくは適切な動作フィーリングの電気機器1を提供できる。
【0087】
(2) 外部の携帯端末80からユーザや作業内容に合った最適若しくは適切な動作パラメータを、無線通信機能搭載電池パック20を介して電池パック20が装着された電気機器1に送信可能である。このため、電気機器1の本体自体には無線通信機能は不要である。また、動作パラメータを電気機器内に一度記憶すれば、無線通信機能が無い電池パックを接続しても、記憶した動作パラメータで電気機器1を駆動できるため作業性が向上する。
【0088】
(3) 操作部としてのトリガスイッチ9の操作(引き量)に応じた駆動部(モータ3)の設定回転数(換言すれば変速特性)を変更する場合、例えば、微調整したい速度領域を大きくできる等、作業内容に合わせて必要な速度領域を設定できるため作業性が向上する。
【0089】
(4) モータが起動した後のトリガスイッチ9の操作に応じたモータの設定回転数と、トリガスイッチの引き量を最大にした際にモータが最大回転数に達するまでの時間(ソフトスタートの程度)とをユーザや作業内容に合った最適な、若しくはより適切な設定値に設定することが可能であり、ねじの種類に合った動作パラメータを設定でき、ねじを傷めずに作業性が向上する。
【0090】
(5) 動作パラメータを変更したときの設定完了を、電気機器1の機器側表示部(モード切替部11)の色又は明滅の変化として表示することができ、ユーザは動作パラメータの変更完了を認識できる。
【0091】
(6) 電気機器1がインパクトドライバ等の工具の場合、例えば以下の動作パラメータが変更可能である。a.工具が回転を始めるトリガスイッチ引き量(遊び量)の設定値 ユーザの手の大きさや好みに応じてトリガスイッチ9によるモータの起動位置(所謂、遊び量)を変更できるため、ユーザが使い易くなり作業性が向上する。例えば、ユーザの手が小さい場合には遊び量を大きくし、逆に大きい場合には小さくすることで、操作フィーリングを良く(統一)することができる。b.最低回転数の設定値 最低回転数を変更可能であるので、使用するねじの種類に合わせて設定することができるため作業性が向上する。例えばねじ舐め防止、ねじ立てしやすい設定が可能である。最低回転数が低いと、短いビス締めなど低速を必要とする繊細な作業に適する。c.回転数が最大となるトリガスイッチ引き量の設定値 ユーザの手の大きさや好みに応じてトリガスイッチ9の回転数が最大となるトリガスイッチ引き量の設定を変えることで、ユーザの手の大きさや好みに合わせることができ、作業性が向上する。d.最高回転数の設定値 ユーザが工具の扱いに慣れており早く作業をしたい場合には最高回転数が高い設定が適し、工具の扱いに慣れていない場合は最高回転数が低い設定が適するが、ユーザの習熟度に合わせて最高回転できる利点がある。e.a~dで決まるトリガスイッチ引き量-回転数特性の2点を結ぶ特性を決める設定値 (トリガスイッチ引き量に応じた回転数変化の曲線の次数や変曲点の引き量、回転数を設定) 変速特性を変更可能とした場合には、例えば、微調整したい速度領域を大きくできる等、作業内容に合わせて必要な速度領域を広く設定できるため作業性が向上する。これと同時にトリガ遊び量、最低回転数、最高回転数、回転数が最大となるトリガスイッチ引き量を変更可能とすることで、ユーザの要求に応じた多様な設定が可能となる。f.トリガスイッチを操作して、モータの回転数がトリガスイッチ操作後の設定回転数に到達するまでの時間を決める設定値(回転数上昇率) ユーザが工具の扱いに慣れており早く作業をしたい場合には回転数上昇率が高い設定が適し、作業スピードを重視せず、カムアウトを抑えたい場合は回転数上昇率が低い設定が適するが、ユーザの習熟度に応じて回転数上昇率を設定できる。なお、a~eの項目を組み合わせて同時に変更することもできる。
【0092】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0093】
本発明の実施の形態では、
図2にインパクトドライバの構造を例示したが、本発明はハンマドリル、ドライバドリル、丸鋸等の電動工具の他、操作部の操作量でモータ等の駆動部の回転数を変化させる制御を行う電気機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…電気機器、2…ハウジング、2a…胴体部(筒状部)、2b…把持部(ハンドル部)、2c…電池パック装着部、3…モータ(電動モータ)、3a…出力軸(回転軸)、4…ファン、5…遊星歯車機構(減速機構)、6…スピンドル、7…ハンマ、8…アンビル、9…トリガスイッチ、10…電気機器制御基板、11…モード切替部、12…センサ・インバータ回路基板、13…磁気センサ(ホールIC)、14…スイッチング素子、20…電池パック、21…電池セル、22…演算部(電池側制御部)、23…記憶部(電池側記憶部)、26…通信部(電池側通信部)、27…パネル部、40…演算部(機器側制御部)、41…電流検出回路、42…スイッチ操作検出回路、43…制御信号回路、44…回転位置検出回路、45…回転数検出回路、46…記憶部(機器側記憶部)、80…携帯端末、81…制御部(端末側制御部)、82…記憶部(端末側記憶部)、83…表示部、84…操作部、85…通信部(端末側通信部)、86…電池
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、
を備え、
前記動作パラメータは、前記駆動部が最高回転数に到達する前記操作部の操作量を含み、
前記操作量を外部機器との無線通信によって3以上の複数段階に変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始するときの最低回転数と、前記最高回転数と、を含み、
前記最低回転数及び前記最高回転数が一定の場合において前記操作量を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始するときの最低回転数と、前記最高回転数と、を含み、
前記最低回転数及び前記最高回転数の少なくとも一方を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始した後の前記操作部の操作量に応じた前記駆動部の回転数の曲線である変速特性を含み、
前記変速特性を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最高回転数に達するまでの時間を含み、
前記時間を前記外部機器との無線通信によって変更可能とした、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機器であって、
前記変速特性及び前記時間を前記外部機器との無線通信によって5段階に変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項7】
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、
を備え、
前記動作パラメータは、
前記駆動部が回転を開始した後の前記操作部の操作量に応じた前記駆動部の回転数の曲線である変速特性と、
前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間と、
を含み、
前記変速特性及び前記時間を前記外部機器との無線通信によって5段階に変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が最高回転数に到達する前記操作部の操作量を含み、
前記操作量を外部機器との無線通信によって変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電気機器であって、
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始するときの最低回転数と、前記最高回転数と、を含み、
前記最低回転数及び前記最高回転数の少なくとも一方を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成した、
ことを特徴とする電気機器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電気機器と、
前記電気機器と通信可能であり、前記動作パラメータを変更するための管理アプリがインストールされた前記外部機器と、
を備えた電気機器システムであって、
前記外部機器は、
前記動作パラメータを入力する入力部と、
前記動作パラメータを表示する表示部と、
を有する、
ことを特徴とする電気機器システム。
【請求項11】
請求項10に記載の電気機器システムであって、
前記入力部は、
前記動作パラメータを変更するための画面に前記表示部を切り替えるためのカスタマイズボタンと、
前記動作パラメータを変更するためのスライダーと、
前記動作パラメータを登録するための登録ボタンと、
を有し、
前記動作パラメータは前記スライダーの位置変更により複数段階で変更可能である、
ことを特徴とする電気機器システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のある態様は、電気機器である。この電気機器は、
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、
を備え、
前記動作パラメータは、前記駆動部が最高回転数に到達する前記操作部の操作量を含み、
前記操作量を外部機器との無線通信によって3以上の複数段階に変更可能に構成した、
ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始するときの最低回転数と、前記最高回転数と、を含み、
前記最低回転数及び前記最高回転数が一定の場合において前記操作量を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成してもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始した後の前記操作部の操作量に応じた前記駆動部の回転数の曲線である変速特性を含み、
前記変速特性を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記動作パラメータは、前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最高回転数に達するまでの時間を含み、
前記時間を前記外部機器との無線通信によって変更可能としてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記変速特性及び前記時間を前記外部機器との無線通信によって5段階に変更可能に構成してもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の別の態様は、電気機器である。この電気機器は、
駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部の起動及び停止を指示する操作部と、
前記駆動部を駆動するための動作パラメータを記憶する記憶部と、
を備え、
前記動作パラメータは、
前記駆動部が回転を開始した後の前記操作部の操作量に応じた前記駆動部の回転数の曲線である変速特性と、
前記操作部の操作量を最大にした際に前記駆動部が最大回転数に達するまでの時間と、
を含み、
前記変速特性及び前記時間を前記外部機器との無線通信によって5段階に変更可能に構成した、
ことを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
前記動作パラメータは、前記駆動部が最高回転数に到達する前記操作部の操作量を含み、
前記操作量を外部機器との無線通信によって変更可能に構成してもよい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
前記動作パラメータは、前記駆動部が回転を開始するときの最低回転数と、前記最高回転数と、を含み、
前記最低回転数及び前記最高回転数の少なくとも一方を前記外部機器との無線通信によって変更可能に構成してもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の別の態様は、電気機器システムである。この電気機器システムは、
前記電気機器と、
前記電気機器と通信可能であり、前記動作パラメータを変更するための管理アプリがインストールされた前記外部機器と、
を備えた電気機器システムであって、
前記外部機器は、
前記動作パラメータを入力する入力部と、
前記動作パラメータを表示する表示部と、
を有する、
ことを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記入力部は、
前記動作パラメータを変更するための画面に前記表示部を切り替えるためのカスタマイズボタンと、
前記動作パラメータを変更するためのスライダーと、
前記動作パラメータを登録するための登録ボタンと、
を有し、
前記動作パラメータは前記スライダーの位置変更により複数段階で変更可能であってもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
図6は電池パック20が装着された電気機器1(電気機器本体)及び携帯端末80を含む電気機器システムの回路図である。この図において、電池パック20は、電池セル組21と、電池制御部としての演算部22と、電池記憶部としての記憶部23と、電池通信部としての通信部26と、を有する。電池セル組21は、リチウムイオン二次電池セル等の複数の電池セルからなる。複数の電池セルの直列接続数及び並列接続数は任意である。演算部22は、マイクロコントローラ(マイコン)等を含み、電気機器1の機器制御部としての演算部40と通信(有線通信)すると共に、通信部26を制御する。記憶部23は、電池パック20の固有情報、例えば形名及び製造番号を記憶する。通信部26は、携帯端末80の通信部85と通信(無線通信)する。演算部22、記憶部23も電池制御基板25に搭載される。記憶部
23は、演算部22と別体であってもよいし、演算部22に内蔵されてもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
図7は、電気機器1における操作部としてのトリガスイッチ9に関して、トリガ引き量[mm](操作部の操作量)と電気機器1の回転数[mi
n-1]との関係であって、遊び量変更例を示すグラフである。電気機器1が
図2のインパクトドライバの構造を有する場合、回転数は先端工具を保持するアンビル8(モータ3の回転数に比例した回転数)の無負荷時の回転数である(以下同じ)。図示の場合、トリガ遊び量はトリガ引き量2mm未満から3mm位の範囲で調整可能である。トリガ引き量が設定されたトリガ遊び量を超えると、モータ3(アンビル8)が回転を開始する。その後、最低回転数で回転を開始してからトリガ引き量の増加に伴って回転数は増加して行き、回転数制御可能なトリガ引き量の上限値(最高回転数引き量)になると最高回転数に達して以後その回転数を維持する。このとき、
図7から明らかなように、トリガ遊び量の設定値の変更にかかわらず、最高回転数及び最高回転数に到達するまでのトリガ引き量(最大操作量)は一定(変化しない)である。そのため、設定されたトリガ遊び量を超えてから最高回転数に達するまでの加速特性(トリガ引き量に応じた回転数の曲線であり変速特性とも称する)が異なる。すなわち、トリガ遊び量の設定値を変更すると最高回転数に達するまでの加速特性が自動的に変化する(変更される)。これにより、トリガ操作量が最大にときに最高回転数に到達しなくなることを防止
することができる。なお、トリガ遊び量に応じて最高回転数に到達するまでのトリガ引き量を変更してしまうと、言い換えると、加速特性を変えずにトリガ遊び量に応じてシフトするだけ(トリガ引き量に応じた回転数の曲線が同じ)すると、トリガ操作量を最大にしたときに最高回転数に到達しなくなる可能性がある。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
図19は電気機器1におけるトリガ引き量とON信号及びトリガ変位信号の信号電圧との関係、並びにトリガ引き量と回転数との関係を示すグラフである。この場合、トリガ引き量略1mmの位置でスイッチ操作検出回路42からトリガON信号が演算部40に出力され(ON信号が立ち上がり)、トリガ引き量略2mmの位置になるとスイッチ操作検出回路42からトリガ変位信号が演算部40に出力され、以後トリガ引き量の増加に比例してトリガ変位信号の電圧値は5Vに向けて直線的に増加する。演算部40は、このようなトリガオン信号、トリガ変位信号が入力されると、これら信号に応じた駆動信号を制御信号回路43に出力し、制御信号出力回路43はインバータ回
路のスイッチング素子Q1~Q6の各制御端子に制御信号を出力することによりモータ3を回転させる。モータ3(アンビル8)の回転数はこの制御信号に応じて最低回転数から最高回転数に至るまで変化する。トリガ変位信号の傾きを変えることで、モータが最大回転数に達するまでの時間(ソフトスタートの設定値、変速特性の設定値)を変更することができる。
なお、「最大回転数」は「最高回転数」と同じ意味である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
図5の
電池パック20の操作ボタン27aを長押しし、パネル部27の右端の青色LED(窓27b)が点滅すると接続待機状態となる。
図21(A)の画面で+ボタン801をタップすると、通信可能状態の蓄電池の個数が表示され(図では1個)、個数の数字が出ているときにタップすると、(B)の接続可能な製品(工具及び蓄電池)を探す画面に遷移する。画面には通信可能状態の蓄電池の形名が表示される。ここでは、蓄電池として例えば「BT1100」が検索され、未接続状態であることを示す。同図(B)の画面で蓄電池の形名の横の未接続の文字802をタップすることで表示された蓄電池の接続が行われる。接続が完了すると右端の窓27bに対応する位置に設けた青色LEDが点灯し、
図22(A)の画面に遷移する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
図35は管理アプリを用いた登録済工具及び登録済電池の接続完了からその後のカスタマイズ設定変更完了までの流れを示す説明図
である。管理アプリ、つまり携帯端末80と登録済電池間の通信は近距離無線通信の規格であるBluetooth(登録商標)通信で行い、登録済電池と登録済工具間の通信は有線通信(UART通信)で行う。