(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031711
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/42 20060101AFI20240229BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D5/42 E
B65D5/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135445
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 梨夏
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BB03
3E060BC02
3E060DA18
3E060DA23
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】包装箱内部への異物の混入を低減することができるとともに、組立を確実に行うことができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、直方体状のラップアラウンドケースタイプである。左内フラップ71は、その先端部の幅方向中央部において一対の外フラップ8の先端縁に挟まれるように設けられ、左内フラップ71の基端から離れる方向に突出して右内フラップ72に重なる揺動舌片71aと、その先端部の揺動舌片71aの両側に設けられ、左内フラップ71の先端縁が右内フラップ72の先端縁と互いに対向するように設けられた短縮部71bと、を有する。揺動舌片71aは、その基端に設けられ、右内フラップ72の先端よりも左内フラップ71の基端側の位置で左内フラップ71の基端縁に沿って延びる揺動折目線c3を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角筒状の胴部と、前記胴部の開放端をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部とを有する包装箱であって、
前記胴部は、天板、底板及び一対の側板が胴部折目線を介して連設されることで構成され、
前記閉塞部は、一対の内フラップと一対の外フラップとを有し、
前記内フラップは、それぞれ前記側板に連設され、一方の内フラップの先端部が他方の内フラップに重なるものであり、
前記外フラップは、それぞれ前記天板及び前記底板に連設され、互いの先端縁が所定の間隔を存して対向し、前記内フラップの外表面にそれぞれ固定されるものであり、
前記一方の内フラップは、その先端部の幅方向中央部において一対の外フラップの先端縁に挟まれるように設けられ、前記一方の内フラップの基端から離れる方向に突出して他方の内フラップに重なる揺動舌片と、その先端部の前記揺動舌片の両側に設けられ、該一方の内フラップの先端縁が前記他方の内フラップの先端縁と互いに対向するように設けられた短縮部と、を有し、
前記揺動舌片は、その基端に設けられ、前記他方の内フラップの先端よりも前記一方の内フラップの基端側の位置で該一方の内フラップの基端縁に沿って延びる揺動折目線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装箱において、
前記揺動舌片は、前記他方の内フラップの外表面に重ねられ、
前記外フラップの先端部には、該外フラップの基端から離れる方向に突出して前記揺動舌片の外表面の一部に重なる抑え部を有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2記載の包装箱において、
前記抑え部は、前記揺動舌片の突出方向中間部より揺動折目線側で前記揺動舌片の外表面に重なることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップアラウンドケースタイプの包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の商品を収容できる直方体状のラップアラウンドケースタイプの包装箱が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この包装箱は、水平方向に延びる四角筒状の胴部と、前記胴部の開放端をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部とを有する。この胴部は、胴部折目線を介して連設された天板、底板及び一対の側板を、胴部折目線で順次折り曲げることで組み立てられるものであり、閉塞部は、一対の側板にそれぞれ連設された一対の内フラップと、天板及び底板にそれぞれ連設された一対の外フラップとを内フラップ折目線及び外フラップ折目線ですべて内側に折り曲げ、内フラップの外表面に外フラップを接着剤で固定させることで組み立てられるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この包装箱は、組立状態で一対の内フラップ同士の間、及び、一対の外フラップ同士の間に隙間があると、この隙間から異物が混入するおそれがあるという問題がある。
【0006】
この問題に対し、対向するフラップの先端縁同士を突き合わせることで、上記隙間をなくすことが考えられる。しかしながら、段ボール板紙を折り曲げる位置には、少なからず誤差が生じるため、大量に生産される包装箱において、対向するフラップの先端縁同士を隙間なく突き合わせるという精度の維持は容易ではない。
【0007】
他方、問題に対し、対向するフラップの先端部同士を重ね合わせることが考えられる。しかしながら、フラップ同士が重なると段差が生じるため、内フラップと外フラップとが接着剤で十分に圧着できず固定力が弱くなるという新たな問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、包装箱内部への異物の混入を低減することができるとともに、組立を確実に行うことができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の包装箱は、 四角筒状の胴部と、前記胴部の開放端をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部とを有する包装箱であって、
前記胴部は、天板、底板及び一対の側板が胴部折目線を介して連設されることで構成され、
前記閉塞部は、一対の内フラップと一対の外フラップとを有し、
前記内フラップは、それぞれ前記側板に連設され、一方の内フラップの先端部が他方の内フラップに重なるものであり、
前記外フラップは、それぞれ前記天板及び前記底板に連設され、互いの先端縁が所定の間隔を存して対向し、前記内フラップの外表面にそれぞれ固定されるものであり、
前記一方の内フラップは、その先端部の幅方向中央部において一対の外フラップの先端縁に挟まれるように設けられ、前記一方の内フラップの基端から離れる方向に突出して他方の内フラップに重なる揺動舌片と、その先端部の前記揺動舌片の両側に設けられ、該一方の内フラップの先端縁が前記他方の内フラップの先端縁と互いに対向するように設けられた短縮部と、を有し、
前記揺動舌片は、その基端に設けられ、前記他方の内フラップの先端よりも前記一方の内フラップの基端側の位置で該一方の内フラップの基端縁に沿って延びる揺動折目線を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の包装箱において、一対の外フラップの先端縁は互いに所定の間隔を存して対向するところ、一方の内フラップの揺動舌片は、この外フラップの先端縁に挟まれるように設けられるとともに、他方の内フラップに重なっている。
【0011】
よって、本発明の包装箱によれば、一対の外フラップの先端縁の隙間において、一方の内フラップの先端部に設けられた揺動舌片が他方の内フラップに重なることで、包装箱の外部から内部へ連通する隙間を減少させることができるため、包装箱内部への異物の混入を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の包装箱において、一方の内フラップの揺動舌片は、他方の内フラップに重なっているが、その基端に、前記他方の内フラップの先端よりも前記一方の内フラップの基端側の位置で該一方の内フラップの基端縁に沿って延びる揺動折目線を有している。そのため、上側の一方の内フラップを他方の内フラップと平行になるように押し込むと、両者が重なっている部分である揺動舌片は揺動折目線に沿って折り曲げられる。
【0013】
また、本発明の包装箱において、一方の内フラップのうち揺動舌片の幅方向両側は、外フラップが外側から重ねられる部分であるが、この部分は短縮部になっているため、内フラップ同士は重なっていない。つまり、一方の内フラップ(揺動舌片を除く)と他方の内フラップとの間には、互いを包装箱の内側に折り曲げたときに段差が生じにくい。他方で、揺動舌片は、一対の外フラップの隙間に配置されるため、その部分が段差になっても、内フラップと外フラップとを接着剤で圧着する際に、圧着を阻害しない。
【0014】
よって、本発明の包装箱によれば、内フラップと外フラップとを接着剤で十分に圧着できるため、組立を確実に行うことができる。
【0015】
本発明の包装箱において、前記揺動舌片は、前記他方の内フラップの外表面に重ねられ、
前記外フラップの先端部には、該外フラップの基端から離れる方向に突出して前記揺動舌片の外表面の一部に重なる抑え部を有することが好ましい。
【0016】
この構成を備える包装箱では、上側の一方の内フラップを他方の内フラップと平行になるように押し込むと、揺動舌片は揺動折目線に沿って谷折りされ、包装箱の外方に向かって突出する。しかしながら、この構成を備える包装箱によれば、抑え部によって揺動舌片を外側から抑えることができるため、揺動舌片が輸送時などの際に捲れることを防止できる。
【0017】
また、この抑え部は、段差となる揺動舌片の一部にしか重なっていないため、内フラップと外フラップとの接着をさほど阻害しないため、この構成を備える包装箱によれば組立を確実に行うことができる。
【0018】
また、抑え部を有する包装箱において、前記抑え部は、前記揺動舌片の突出方向中間部より揺動折目線側で前記揺動舌片の外表面に重なることが好ましい。
【0019】
この構成を備える包装箱では、抑え部は揺動舌片の基端側しか抑えないところ、揺動舌片は、その基端の揺動折目線で谷折りされているので、基端側のほうが他方のフラップとの段差が小さい。つまり、この外フラップの抑え部は、揺動舌片のなかでも段差が小さい箇所のみを抑えるため、内フラップと外フラップとの接着をほとんど阻害しない。よってこの構成を備える包装箱によれば組立を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る包装箱の外観を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る包装箱の組立て前の構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る包装箱の組立ての過程を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1~3を参照しながら、本発明の1つの実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)に係る包装箱1について説明する。
図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、外観が直方体状に形成されたラップアラウンドケースタイプのものである。
【0022】
包装箱1は、水平方向に延びる四角筒状の胴部2と、胴部2の開放端を閉塞する閉塞部3とを有する。本実施形態の包装箱1は、閉塞部2側から見たときに、高さ(上下方向の長さ)が幅(左右方向の長さ)よりも長い縦長形状に形成されている。
【0023】
胴部2は、天板4、底板5及び一対の側板6を備えている。閉塞部3は、内フラップ7と一対の外フラップ8とを備えている。一対の内フラップ7には、
図1において、奥側(左側)の側板6に連設される左内フラップ71(本発明の「一方の内フラップ」に相当する。)と、手前側(右側)の側板6に連設される右内フラップ72(本発明の「他方の内フラップ」に相当する。)とが含まれる。
図1では、左内フラップ71の先端部は、右内フラップ72の外表面に重なっている。
【0024】
一対の外フラップ8には、天板4に連設される上外フラップ81と、底板5に連設される下外フラップ82とが含まれる。上外フラップ81の先端縁と、下外フラップ82の先端縁とは、所定の間隔を存して対向している。また、上外フラップ81及び下外フラップ82は、内フラップ8(左内フラップ71及び右内フラップ72)の外表面にそれぞれ接着剤を介して固定される。
【0025】
包装箱1は、
図2に示す略矩形状の段ボール板紙1xを原紙から打抜いて形成した後、これを折り曲げて組み立てられる。以下、
図2を参照しながら、段ボール板紙1xの構成について説明する。
【0026】
段ボール板紙1xは、
図2に示すように、右側から側板6、底板5、側板6、天板4、接着片9の順で、それぞれ胴部折目線aを介して連設されている。天板4、底板5及び側板6は、いずれも略矩形状に形成され、接着片9は、略倒台形状に形成されている。
【0027】
天板4には、その上下端に、上外フラップ折目線b1を介して上外フラップ81がそれぞれ連設されている。上外フラップ81は、いずれも略L字形状に形成されている。
【0028】
上外フラップ81の先端部には、幅方向中央から右側に、略矩形状の抑え部81aが形成されている。抑え部81aは、上外フラップ81の基端(上外フラップ折目線b1)から離れる方向に向かって突出している。
【0029】
抑え部81aが形成されている部分における上外フラップ81の基端から先端までの長さは、後述する左内フラップ71の左縁から隣接する揺動舌片71aの左縁までの長さより大きく設計されている。他方、先端部に抑え部81aが形成されていない部分における上外フラップ81の基端から先端までの長さは、左内フラップ71の左縁から隣接する揺動舌片71aの左縁までの長さより小さく設計されている。
【0030】
底板5には、その上下端に、下外フラップ折目線b2を介して下外フラップ82がそれぞれ連設されている。下外フラップ82は、いずれも略L字形状に形成されている。
【0031】
下外フラップ82の先端部には、幅方向中央から左側に、略矩形状の抑え部82aが形成されている。抑え部82aは、下外フラップ82の基端(下外フラップ折目線b2)から離れる方向に向かって突出している。
【0032】
抑え部82aが形成されている部分における下外フラップ82の基端から先端までの長さは、左内フラップ71の右縁から隣接する揺動舌片71aの右縁までの長さより大きく設計されている。他方、先端部に抑え部82aが形成されていない部分における下外フラップ82の基端から先端までの長さは、左内フラップ71の右縁から隣接する揺動舌片71aの右縁までの長さより小さく設計されている。
【0033】
上外フラップ81(抑え部81aが形成されている部分)の長さと、下外フラップ82(抑え部82aが形成されている部分)の長さとを合算した長さは、各内フラップ7(左内フラップ71及び右内フラップ72)の幅方向(
図2の左右方向)の長さより小さく設計されている。
【0034】
図2において、左側の側板6には、その上下端に、内フラップ折目線c1を介して左内フラップ71がそれぞれ連設されている。左内フラップ71は、略凸形状に形成されている。左内フラップ71の先端部には、幅方向中央部に左外フラップの基端(内フラップ折目線c1)から離れる方向に突出する揺動舌片71aが形成されている。
【0035】
また、左内フラップ71の先端部には、揺動舌片71aの両側に短縮部71bが形成されている。短縮部71bは、揺動舌片71aよりも上下方向の長さが小さく設計されている。
【0036】
また、左内フラップ71の先端部には、揺動舌片71aの側縁に沿って、基端方向に延びる一対のスリット71cが形成されている。さらに、左内フラップ71の先端部には、一対のスリット71cの先端を繋ぐ揺動折目線c3が形成されている。
【0037】
揺動舌片71aは、一対のスリット71c及び揺動折目線c3によって、揺動折目線c3を回動軸として、左内フラップ71に対して揺動可能に構成されている。
【0038】
右側の側板6には、その上下端に、内フラップ折目線c2を介して略矩形状の右内フラップ72がそれぞれ連設されている。
【0039】
揺動舌片71aが形成されている部分における左内フラップ71の基端から先端までの長さと右内フラップ72の基端から先端までの長さとを合算した長さは、外フラップ8(上外フラップ81及び下外フラップ82)の幅方向の長さよりも大きく設計されされている。他方、短縮部71bが形成されている部分の左内フラップ71の基端から先端まで長さと右内フラップ72の基端から先端までの長さとを合算した長さは、外フラップ8(上外フラップ81及び下外フラップ82)の幅方向の長さと同じかそれより若干小さく設計されている。
【0040】
上外フラップ81の右側縁から抑え部81aの左側縁までの長さは、左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)から揺動折目線c3までの長さより大きく、かつ、左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)から短縮部71bの先端縁までの長さと同じかそれより若干小さく設計されている。
【0041】
同様に、下外フラップ82の左側縁から抑え部82aの右側縁までの長さは、左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)から揺動折目線c3までの長さより大きく、かつ、左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)から短縮部71bの先端縁までの長さと同じかそれより若干小さく設計されている。
【0042】
なお、本実施形態では、短縮部71bの先端縁の延長線と、揺動舌片71aの先端と揺動折目線c3との中間位置に引いた仮想線と、が概ね一致している。
【0043】
側板6の中央部には、H字形状の破断開始部61が形成されている。破断開始部61の左右方向中央部から各内フラップ7の先端部の幅方向中央までカットテープが貼付されている(図示略)。
【0044】
次に、以上の
図2に示す段ボール板紙1xから、
図1に示す包装箱1を組み立てる手順について説明する。
【0045】
まず、作業者によって、段ボール板紙1xが例えば台(図示せず)に載置され、複数の商品(図示せず)が底板5上に整列させた状態で載置される。
【0046】
次いで、
図2において、底板5の右側に配置されている側板6が胴部折目線aで折り曲げられ、底板5に対して直角に起立する。そして、起立された右側の側板6の上端部外面に、接着剤が塗布される。
【0047】
次いで、底板5の左側に配置されている胴部折目線aで順次折り曲げることで、左側の側板6が底板5に対して直角に起立され、天板4が底板5に平行にされ、接着片9が垂下される。そして、接着片9の内面が接着剤を介して右側の側板6の外面に固定されることで、胴部2が組み立てられる。
【0048】
次いで、
図3に示すように、右内フラップ72が、内フラップ折目線c2で胴部2の内方に向かって、側板6に対し直角に折り曲げられる。
【0049】
次いで、左内フラップ71が、内フラップ折目線c1で胴部2の内方に向かって、側板6に対し直角に折り曲げられる。
【0050】
このとき、揺動舌片71aが形成されている部分の左内フラップ71の基端から先端までの長さと右内フラップ72の基端から先端までの長さとを合算した長さは、外フラップ8の幅方向の長さよりも大きいため、左内フラップ71の揺動舌片71aは、右内フラップ72の外表面に重ねられる。
【0051】
他方、短縮部71bが形成されている部分の左内フラップ71の基端から先端までの長さと右内フラップ72の基端から先端までの長さとを合算した長さは、外フラップ8の幅方向の長さと同じかそれよりも小さいため、左内フラップ71のうち短縮部71bの部分は右内フラップ72の外表面に重ならない。
【0052】
また、左内フラップ71において、揺動舌片71aの基端に形成された揺動折目線c3は、この短縮部71bよりも基端側に設けられているため、内フラップ7が互いに包装箱の内方に折り曲げられた際には、当然、右内フラップ72の先端縁よりも左内フラップ71側に配置される。そのため、左内フラップ71を側板6に対し直角に折り曲げようとした場合、内フラップ7同士で重なり合う部分である揺動舌片71aは、右内フラップ72によって相対的に包装箱の外方に押し出されて、揺動折目線c3に沿って谷折りされる。
【0053】
次いで、左内フラップ71及び右内フラップ72の外面には、揺動舌片71aの上側の側縁より上側の側縁部及び、揺動舌片71aの下側の側縁より下側の側縁部に接着剤が塗布される。
【0054】
次いで、
図3に示すように、下外フラップ82が、下外フラップ折目線b2で上方に折り曲げられ、下外フラップ82の内面が接着剤を介して内フラップ7(左内フラップ71及び右内フラップ72)の外面に固定される。
【0055】
このとき、下外フラップ82のうち抑え部82aが形成されていない部分(
図3において幅方向中央部より右側)は、その上下方向の長さが左内フラップ71の下側の側縁から隣接する揺動舌片71aの側縁までの長さより小さいため、揺動舌片71aの外表面に重ならない。
【0056】
他方、下外フラップ82のうち抑え部82aが形成されている部分は、その上下方向の長さが左内フラップ71の下側の側縁から隣接する揺動舌片71aの側縁までの長さより大きいため、揺動舌片71aの外表面に重ねられる。より具体的には、
図3において、下外フラップ82の左側縁から抑え部82aの右側縁までの長さは、内フラップ折目線c1から揺動折目線c3までの長さより大きく、かつ、内フラップ折目線c1から短縮部71bの先端縁までの長さと同じかそれより若干小さく設計されているため、下外フラップ82の抑え部82aは、揺動舌片71aの基端側のごく一部の外表面に重ねられる。
【0057】
次いで、
図1に示すように、上外フラップ81が、上外フラップ折目線b1で下方に折り曲げられ、上外フラップ81の内面が接着剤を介して内フラップ7(左内フラップ71及び右内フラップ72)の外面に固定される。このとき、上外フラップ81の長さと下外フラップ82の長さとを合算した長さは、各内フラップ7の幅方向(
図1及び3の上下方向)の長さより小さく設計されているため、上外フラップ81の先端縁と下外フラップ82の先端縁とは所定の間隔を存して対向する。これにより、胴部2の開放端が閉塞され、閉塞部3が形成される。
【0058】
このとき、上外フラップ81のうち抑え部81aが形成されていない部分(
図3において幅方向中央部より右側)は、その上下方向の長さが左内フラップ71の上側の側縁から隣接する揺動舌片71aの側縁までの長さより小さいため、揺動舌片71aの外表面に重ならない。つまり、揺動舌片71aは、下外フラップ82のうち抑え部82aが形成されていない部分の先端縁と上外フラップ81のうち抑え部81aが形成されていない部分の先端縁とに挟まれるように配置される。
【0059】
他方、上外フラップ81のうち抑え部81aが形成されている部分は、その上下方向の長さが左内フラップ71の上側の側縁から隣接する揺動舌片71aの側縁までの長さより大きいため、揺動舌片71aの外表面に重ねられる。より具体的には、
図1において、上外フラップ81の左側縁から抑え部12aの右側縁までの長さは、内フラップ折目線c1から揺動折目線c3までの長さより大きく、かつ、内フラップ折目線c1から短縮部71bの先端縁までの長さと同じかそれより若干小さく設計されているため、上外フラップ81の抑え部81aは、揺動舌片71aの基端側のごく一部の外表面に重ねられる。
【0060】
以上により、商品を内蔵した包装箱1の組み立てが終了し、
図1に示す状態の包装箱1が完成する。
【0061】
次に、
図1及び
図3を参照しながら、本実施形態の包装箱1の作用・効果について説明する。
【0062】
本実施形態の包装箱1では、上外フラップ81の先端縁と下外フラップ82の先端縁とは所定の間隔を存して対向するところ、揺動舌片71aは、下外フラップ82(抑え部82aが形成されていない部分)の先端縁と上外フラップ81(抑え部81aが形成されていない部分)の先端縁とに挟まれる位置において右内フラップ72の外表面に重ねられている。
【0063】
つまり、包装箱1では、上外フラップ81及び下外フラップ82の両先端縁の隙間を右内フラップ72の外表面に重なる揺動舌片71aで埋めることができる。
【0064】
よって、本実施形態の包装箱1によれば、閉塞部2の中央部に発生する外部から内部へ連通する隙間を減らすことができるため、包装箱1内部への異物の混入を抑制することができる。
【0065】
逆に、本実施形態の包装箱1では、揺動舌片71aで上外フラップ81及び下外フラップ82の両先端縁の隙間を埋めることができるため、閉塞部3が縦長の形状であっても上外フラップ81及び下外フラップ82を長くして突き合わせる必要はなく、短くすることができる。よって、本実施形態の包装箱1によれば、段ボール板紙1xの面積を小さくすることができる。
【0066】
ところで、包装箱1の閉塞部3では、左内フラップ71のうち揺動舌片71aの部分は、右内フラップ72と重なっているため、左内フラップ71及び右内フラップ72の間には全体的に段差が生じるようにも思われる。しかしながら、包装箱1において、左内フラップ71のうち短縮部71bの部分は短いため右内フラップ72の外表面に重ならず、かつ、左内フラップ71を側板6に対し直角に折り曲げようとした場合、揺動舌片71aは、揺動折目線c3に沿って谷折りされて相対的に包装箱の外方に押し出される。そのため、短縮部71bの先端縁と右内フラップ72の先端縁とは、突き合わされるまたは所定の間隔を存して互いに対向させることができ、揺動舌片71aを除く左内フラップ71の大部分と右内フラップ72とは、段差を生じないように平坦に折り曲げることができる。
【0067】
そして、包装箱1において、抑え部81aを除いた上外フラップ81の大部分は、揺動舌片71aに重ねられないため、この平坦に折り曲げられた揺動舌片71aを除く左内フラップ71の大部分及び右内フラップ72に接着されることになる。なお、これは、抑え部82aを除いた下外フラップ82においても同様である。
【0068】
よって、本実施形態の包装箱1によれば、内フラップ7と外フラップ8とを接着剤で十分に圧着できるため、組立を確実に行うことができる。
【0069】
また、包装箱1では、上外フラップ81の抑え部81a(及び、下外フラップ82の抑え部82a)が、揺動舌片71aの外表面に重ねられるため、輸送時などの際に揺動舌片71aが捲れることを防止できる。
【0070】
また、包装箱1では、上外フラップ81の抑え部81a(及び、下外フラップ82の抑え部82a)は、揺動舌片71aの基端側のごく一部の外表面にしか重ねられない。
【0071】
より具体的には、揺動舌片71aは、その基端の揺動折目線c3を回動軸として上方に向かって谷折りされているので、揺動舌片71aの基端から先端側に向かうにつれて、左内フラップ71の大部分及び右内フラップ72が含まれる同一平面上から徐々に離間している。よって、揺動舌片71aの基端側は、左内フラップ71の大部分及び右内フラップ72が含まれる同一平面上からあまり離間していないので、該同一平面から段差がほとんどなく、あってもわずかである。
【0072】
よって、左内フラップ71が揺動舌片71aの部分で右内フラップ72と段差を生じさせ、上外フラップ81の抑え部81a(及び、下外フラップ82の抑え部82a)がこの段差と接触するとしても、一番段差が小さい箇所の一部にしか接触しないため、内フラップ7と外フラップ8とを接着剤で圧着する際に、両者の接着をほとんど阻害しない。
【0073】
よって、本実施形態の包装箱1によれば、上外フラップ81の抑え部81a(及び、下外フラップ82の抑え部82a)によって、輸送時などの際に揺動舌片71aが捲れることを防止でき、かつ、内フラップ7と外フラップ8とを接着剤で十分に圧着できるため、組立を確実に行うことができる。
【0074】
[変形例]
上記本実施形態では、材質として段ボールを例に説明したが、材質は、折り曲げて組み立て可能であるとともに破断可能線に沿って破断可能なものであれば、ボール紙や薄い合成樹脂板であってもよい。
【0075】
上記本実施形態では、左内フラップ71に揺動舌片71aを設けたものを例に説明したが、左右に限定はなく、右内フラップ72に揺動舌片を設けてもよい。
【0076】
上記本実施形態では、左内フラップ71の揺動舌片71aの部分が右内フラップ72の外表面に重なっているものを例に説明したが、右内フラップ72が左内フラップ71の揺動舌片71aの部分の外表面に重なってもよい。
【0077】
上記本実施形態では、固定する手段として接着を例に説明したが、固定する手段は、ステープルや粘着テープでもよい。
【0078】
上記本実施形態では、上外フラップ81を略L字形状に形成したが、上外フラップ81は、略凸形状に形成して、先端部の中央だけを抑え部81aとしてもよい。また、上外フラップ81は、略矩形状に形成し、基端から先端全域までの長さを左内フラップ71の左縁から隣接する揺動舌片71aの左縁までの長さよりも大きく設計することで、上外フラップ81の先端部全域を抑え部81aにすることもできる。また、上外フラップ81は、略矩形状に形成し、基端から先端全域までの長さを左内フラップ71の左縁から隣接する揺動舌片71aの左縁までの長さと同じか、それより小さく設計することで、抑え部81aを省略することもできる。なお、以上の変形例は、下外フラップ82及び抑え部82aについても同様である。
【0079】
上記本実施形態では、揺動舌片71aは、左内フラップ71の先端部から基端方向に延びる一対のスリット71cを有するものを例に説明したが、スリット71cは省略可能であり、例えば、短縮部71bの延長線上に沿って揺動折目線c3だけを形成してもよい。逆に、スリット71cを左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)まで延設して、内フラップ折目線c1の中央部を揺動折目線c3とすることもできる。
【0080】
なお、揺動折目線c3は、揺動折目線c3から左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)までの長さと右内フラップ72の基端から先端までの長さとを合算した長さが、外フラップ8(上外フラップ81及び下外フラップ82)の幅方向の長さと同じかそれより小さくなる位置に形成されればよい。要約的に言えば、左内フラップ71及び右内フラップ72を包装箱1の内方に向かって折り曲げたときに、揺動折目線c3は、右内フラップ72の先端縁よりも左内フラップ71の基端(内フラップ折目線c1)側に配置される必要がある。
【符号の説明】
【0081】
1 包装箱
2 胴部
3 閉塞部
4 天板
5 底板
6 側板
7 内フラップ
71 左内フラップ(一方の内フラップ)
72 右内フラップ(他方の内フラップ)
71a 揺動舌片
71b 短縮部
8 外フラップ
81a、81b 抑え部
a 胴部折目線
c3 揺動折目線