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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031712
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】加圧加熱殺菌が施された容器詰め食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240229BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20240229BHJP
【FI】
A23L7/10 H
A23L23/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141152
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2022135031の分割
【原出願日】2022-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】592211688
【氏名又は名称】株式会社はくばく
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 肇
(72)【発明者】
【氏名】駒井 楓
(72)【発明者】
【氏名】松本 奏江
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 峰子
(72)【発明者】
【氏名】金子 真吾
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 智恵
【テーマコード(参考)】
4B023
4B036
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE11
4B023LE19
4B023LE30
4B023LG03
4B023LG05
4B023LK10
4B023LK13
4B023LL01
4B023LP01
4B023LP07
4B023LP08
4B023LP17
4B023LQ01
4B036LC01
4B036LF01
4B036LG03
4B036LH22
4B036LH29
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP18
4B036LP19
(57)【要約】
【課題】大麦粒に炊飯やレトルト殺菌等の加圧加熱処理を施した場合、大麦粒の粒食感が低下する傾向にあることが本発明者らにより新たに見出された。
【解決手段】無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒を用いることにより、加圧加熱殺菌を施した場合の大麦粒の粒食感低下を効果的に抑制できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒、及び、水を含有する、加圧加熱処理が施された容器詰め食品。
【請求項2】
前記大麦粒の無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上である、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項3】
前記大麦粒の品種が、BG104種、ヒマラヤ292種、及び、ファイバースノウ種からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項4】
前記大麦粒が、搗精されたものである、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項5】
さらにゼラチンを含有する、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項6】
前記大麦粒100質量部に対する前記ゼラチンの含有量が、1質量部以上、25質量部未満である、請求項5に記載の容器詰め食品。
【請求項7】
粥、パエリア、ピラフ、具入りスープ、又は、リゾットである、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項8】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、容器詰め食品の製造方法。
【請求項9】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、大麦粒の粒食感改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧加熱殺菌が施された容器詰め食品に関する。
【背景技術】
【0002】
大麦は、プチプチとした特有の粒食感を有しており、粒食感を活かした麦ご飯、粥、リゾット、スープ等の食品で用いられている。また、大麦は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とを含有しており、そのバランスや他の配合成分により整腸効果、血糖値改善効果、抗肥満効果等の種々の健康機能も奏する。
【0003】
健康志向の高まりから、大麦を配合した粥やリゾット等のレトルト食品が増加している状況にある。特許文献1では、大麦由来の穀物風味を抑制し、食感に優れた粥が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-13165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大麦粒に炊飯やレトルト殺菌等の加圧加熱処理を施した場合、粒食感が低下する傾向にあることが本発明者らにより新たに見出された。
【0006】
粒食感自体を向上させる方法としては、米飯にタンパク質等を添加する技術等は知られているが、大麦粒への適用には改善の余地があり好ましくなく、大麦粒の特有の粒食感を向上させるための根本的な解決技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒を用いることにより、加圧加熱殺菌を施した場合の粒食感低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる容器詰め食品を提供する。
[1]
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒、及び、水を含有する、加圧加熱処理が施された容器詰め食品。
【0009】
[2]
前記大麦粒の無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上である、[1]に記載の容器詰め食品。
【0010】
[3]
前記大麦粒の品種が、BG104種、ヒマラヤ292種、及び、ファイバースノウ種からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の容器詰め食品。
【0011】
[4]
前記大麦粒が、搗精されたものである、[1]~[3]のいずれかに記載の容器詰め食品。
【0012】
[5]
さらにゼラチンを含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の容器詰め食品。
【0013】
[6]
前記大麦粒100質量部に対する前記ゼラチンの含有量が、1質量部以上、25質量部未満である、[5]に記載の容器詰め食品。
【0014】
[7]
粥、パエリア、ピラフ、具入りスープ、又は、リゾットである、[1]~[6]のいずれかに記載の容器詰め食品。
【0015】
また、本発明は、下記に掲げる容器詰め食品の製造方法を提供する。
[8]
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、容器詰め食品の製造方法。
【0016】
また、本発明は、下記に掲げる大麦粒の粒食感改善方法を提供する。
[9]
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、大麦粒の粒食感改善方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加圧加熱処理を施した場合であっても、大麦粒の粒食感が低下することを効果的に抑制した容器詰め食品を提供することが可能となる。また、容器詰め食品を保管した場合であっても、大麦粒の良好な粒食感を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】試験例2における、プランジャーの構造を示した模式図である。
図2】試験例2における、液部を加えた容器においてプランジャーを用いる様子を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[容器詰め食品]
本発明の容器詰め食品は、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒、及び、水を含有する。
【0020】
(大麦粒)
本明細書において、大麦粒とは、イネ科植物であるオオムギの種子を用いた粒状物をいう。大麦としては、限定はされないが、脱穀された後、必要に応じて表面の穀皮が削り取られ(搗精)、通常、未発芽のものが用いられ得る。
【0021】
大麦粒は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とを含んでおり、本明細書では、これらの総量を総食物繊維量という。
【0022】
本発明で用いる大麦粒は、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上であり、本発明の効果を顕著に奏する観点から、4.7質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましく、10.0質量%以上が更に好ましく、13.0質量%以上が特に好ましく、15.0質量%以上が最も好ましい。ここで、無水換算値とは、完全に水を蒸発させた状態に換算することをいう。また、無水換算値における不溶性食物繊維含量の上限値は、特に限定されるものではないが、25質量%以下、23質量%以下、21質量%以下等が挙げられる。
【0023】
限定はされないが、本発明で用いる大麦粒は、例えば、無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上であることが好ましく、16質量%以上であることがより好ましく、17質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以上であることがより更に好ましく、23質量%以上であることが特に好ましく、30質量%以上であることが最も好ましい。また、無水換算値における総食物繊維量の上限値は、特に限定されるものではないが、35質量%以下、33質量%以下、31質量%以下等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる大麦の品種としては、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、BG種(BG104種、BG012種、BG006種等)、ヒマラヤ292種(例えば、バーリーマックス(登録商標)を含む)、サルート種、ファイバースノウ種、CDC種(CDC-Rattan種、CDC Fibar種、CDC Kendall種等)、ダイシモチ種、Transit(トランジェット)種等や、これらの改良品種が挙げられる。本発明で用いる大麦粒は、これらの品種を1種単独で用いてもよく、複数品種を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0025】
大麦粒の品種としては、本発明の効果を顕著に奏する観点から、BG104種、BG012種、BG006種、ヒマラヤ292種、サルート種、ファイバースノウ種、及び、これらの改良品種からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、BG104種、BG006種、ヒマラヤ292種、ファイバースノウ種、及び、これらの改良品種からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、BG104種、BG006種、ヒマラヤ292種、バーリーマックス、及び、ファイバースノウ種からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、BG104種、BG006種、ヒマラヤ292種、及び、バーリーマックス種からなる群より選択される少なくとも1種であることが特に好ましく、BG104種、及び、BG006種からなる群より選択される少なくとも1種であることが最も好ましい。
【0026】
容器詰め食品における大麦粒の含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、0.1~25質量%とすることができ、0.5~20質量%とすることが好ましく、1~15質量%とすることがより好ましい。
【0027】
一つの実施態様において、本発明で使用される大麦粒は、例えば、搗精されたものが好ましく、搗精歩留が98%以下であることがより好ましい。本明細書において、搗精とは、大麦粒の少なくとも一部を除去することをいう。搗精の方法は、大麦粒を削る、擦る、剥離する、又は、切る等の方法により、大麦粒の少なくとも一部を除去することができれば、特に公知の方法に限定されない。搗精の方法としては、限定はされないが、例えば、研削搗精や摩擦搗精等が挙げられる。本明細書において、搗精歩留とは、大麦の搗精後の重さを、搗精前の重さで割った割合をいう。また、大麦粒の搗精歩留は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが更に好ましく、80%以下であることが特に好ましく、75%以下であることが最も好ましい。また、大麦粒の搗精歩留は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、大麦粒の搗精歩留は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、50~98%、50~95%、50~90%、50~85%、50~80%、50~75%、55~98%、55~95%、55~90%、55~85%、55~80%、55~75%、60~98%、60~95%、60~90%、60~85%、60~80%、60~75%等とすることができる。
【0028】
一つの実施態様において、本発明で使用される大麦粒は、食味、食感及び色調を良好にする観点から、予め水浸漬処理に供しておいてもよい。水浸漬処理の方法については、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、水1L当たり、10~1000g程度の大麦粒を5~50℃程度で0.5~24時間程度、静置する方法が挙げられる。また、当該水浸漬処理では、必要に応じて、持続的又は断続的に撹拌を行ってもよい。
【0029】
一つの実施態様において、本発明で使用される大麦粒は、炊飯しやすくするために圧扁したもの(いわゆる押麦)や、切断したものなどであってもよい。
【0030】
(水)
本発明の容器詰め食品は、更に、大麦粒の炊き上げや、粥、スープ類、リゾット等における液部の構成成分等として、水を含有する。
【0031】
容器詰め食品における水の含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、10~99質量%とすることができ、15~95質量%とすることが好ましく、20~90質量%とすることがより好ましい。
【0032】
水100質量部に対する大麦粒の含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、0.1~25質量部とすることができ、0.5~20質量部が好ましく、1~16質量部がより好ましく、1.5~14質量部が更に好ましく、2~12質量部が特に好ましく、2.5~10質量部が最も好ましい。
【0033】
(ゼラチン)
本発明の容器詰め食品は、更に、ゼラチンを含有していてもよい。ゼラチンは、一般に、牛、豚、鶏、魚等の骨、皮膚、靭帯、腱、魚鱗等を原料として、酸又はアルカリで処理し、加熱抽出等の処理を経て得られる。限定はされないが、これらの原料の中でも、豚皮、魚鱗、豚骨、牛骨等が好ましく、豚骨、牛骨等がより好ましい。本発明で用いるゼラチンは、これらの原料を1種単独で用いてもよく、複数種を適宜組み合わせて用いてもよい。ゼラチンは、市販品を用いることも可能である。
【0034】
ゼラチンの重量平均分子量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、5万~20万、好ましくは15万~20万等が挙げられる。本明細書において、重量平均分子量は、GPC分析により算出される。
【0035】
ゼラチンのゼリー強度は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、10~500gとすることができ、20~400g未満であることが好ましく、50~350gであることがより好ましく、100~300gであることが更に好ましい。本明細書において、ゼラチンのゼリー強度は、JIS K6503-1996に定められる方法に従って測定される。即ち、6.67%ゼラチン溶液を、10℃で17時間冷却して調製したゼリーの表面を、2分の1インチ(12.7mm)径のプランジャーで4mm押し下げるのに必要な荷重(g)を、ゼリー強度とする。
【0036】
ゼラチンの市販品としては、例えば、GSN、APH-100、GQS-20、GBL-250、GBL-100等(いずれも重量平均分子量5万~20万:新田ゼラチン(株)製)等が挙げられる。
【0037】
容器詰め食品におけるゼラチンの含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、0.05~5質量%とすることができ、0.05~4質量%とすることが好ましく、0.05~3質量%とすることがより好ましく、0.1~3質量%とすることが更に好ましく、0.1~2質量%とすることが特に好ましい。
【0038】
大麦粒100質量部に対するゼラチンの含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、1質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、6質量部以上等が挙げられ、25質量部未満、24質量部以下、22質量部以下、20質量部以下、18質量部以下、16質量部以下、14質量部以下、12質量部以下、10質量部以下、8質量部以下等が挙げられる。また、大麦粒100質量部に対するゼラチンの含有量は、特に限定されないが、例えば、1質量部以上、且つ、25質量部未満、1~24質量部、1~22質量部、1~20質量部、1~18質量部、1~16質量部、1~14質量部、1~12質量部、1~10質量部、1~8質量部、2~24質量部、2~22質量部、2~20質量部、2~18質量部、2~16質量部、2~14質量部、2~12質量部、2~10質量部、2~8質量部、3~24質量部、3~22質量部、3~20質量部、3~18質量部、3~16質量部、3~14質量部、3~12質量部、3~10質量部、3~8質量部、4~24質量部、4~22質量部、4~20質量部、4~18質量部、4~16質量部、4~14質量部、4~12質量部、4~10質量部、4~8質量部、5~24質量部、5~22質量部、5~20質量部、5~18質量部、5~16質量部、5~14質量部、5~12質量部、5~10質量部、5~8質量部、6~24質量部、6~22質量部、6~20質量部、6~18質量部、6~16質量部、6~14質量部、6~12質量部、6~10質量部、6~8質量部等が挙げられる。
【0039】
(他の具材成分)
一つの実施態様において、本発明の容器詰め食品は、本発明の効果を奏する限り、更に、大麦粒以外の他の穀物粒を含有していてもよい。当該他の穀物粒としては、特に制限されないが、例えば、米(玄米、5分づき米、精白米、胚芽精米、無洗米等)、小麦、ライ麦、カラス麦、オーツ麦、ハトムギ、大豆、小豆、そば、とうもろこし、ひえ、あわ、きび、キヌア、アマランサス等の種子又は実が挙げられる。これらの穀物粒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上をブレンドして使用してもよい。当該他の穀物粒についても、大麦粒と同様に、搗精したものであってもよく、水浸漬処理に供したものであってもよい。
【0040】
当該他の穀物粒として米を用いる場合、米の品種は特に制限されないが、例えば、コシヒカリ、ひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまち、ななつぼし等が挙げられる。これらの米は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
当該他の穀物粒の含有量は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、0.1~10質量%とすることができ、0.5~8質量%とすることが好ましく、1~6質量%とすることがより好ましい。
【0042】
本発明の容器詰め食品は、本発明の効果を奏する限り、更に、糖類、食塩、酢、醤油、味噌、エキス類、ケチャップ等の調味料;コショウ、唐辛子、にんにく、山椒、ハーブ等の香辛料;油分等の調味成分;保存剤、pH調整剤、抗酸化剤、アミノ酸、核酸、有機酸、甘味料、着色料、安定剤、発色剤、増粘剤等の食品添加物;野菜、肉類、魚介類、キノコ類、豆類、ごま類等の具材等と含有していてもよい。
【0043】
(容器詰め食品の形態)
本発明の容器詰め食品の形態は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されず、液部のないドライパック形態でも、液部のあるウェットパック形態でもよい。具体的な、容器詰め食品の形態としては、例えば、粥、パエリア、ピラフ、リゾット、雑炊等の飯食品;コンソメスープ、ポタージュスープ、クリームスープ、中華スープ、味噌汁等のスープ状食品;グラタン、マヨネーズ等のペースト状食品;シチュー、カレー、ハヤシ、ハッシュドビーフ、たれ、パスタソース等のソース状食品等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、本発明の容器詰め食品の形態は、粥、パエリア、ピラフ、具入りスープ、又は、リゾットが好ましい。
【0044】
(加圧加熱処理)
必要に応じて他の具材や添加成分等と共に混合し、必要に応じて種々の調理処理に供してレトルトパウチ等の容器に充填して密封し、加圧加熱処理(レトルト殺菌等)することにより製造することができる。また、必要に応じて他の具材や添加成分等と共に混合し、必要に応じて種々の調理処理に供してレトルトトレイ等の容器に充填し、加圧加熱処理して無菌的に密封することにより製造することができる。
【0045】
加圧加熱処理における温度条件は、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、100℃以上とすることができ、110℃以上が好ましく、115℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましい。温度条件の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、150℃以下とすることができ、145℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、135℃以下が更に好ましい。
【0046】
加圧加熱処理における時間条件は、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、商業的無菌性を担保できる殺菌時間条件であればよく、例えば、1分以上とすることができ、2分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、4分以上がより好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が更に好ましく、11分以上が更に好ましく、12分以上が更に好ましく、13分以上が更に好ましく、14分以上が更に好ましく、15分以上が特に好ましい。時間条件の上限値は、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、2時間以内とすることができ、90分以内が好ましく、60分以内がより好ましい。
【0047】
加圧条件としては、本発明の効果を奏する限り、特に限定はされないが、例えば、0.1~0.5MPa(ゲージ圧として、以下同じ)とすることができ、0.1~0.4MPaが好ましく、0.1~0.3MPaがより好ましく、0.1~0.23MPaが更に好ましい。
【0048】
これらの工程により殺菌も同時に行うことが可能である。またこれらの工程は、レトルト殺菌機、レトルト食品用オートクレーブなどによって行ってもよい。上記の他、殺菌処理の条件は、公知の殺菌手段を用いる限り、特に制限されない。加熱殺菌の具体的な方法としては、ボイル殺菌、バッチ殺菌、UHT殺菌、レトルト殺菌、マイクロウェーブ殺菌等を使用することができる。加熱殺菌の温度条件及び時間条件はその方法によって異なり、例えば、F値が3.1~20の条件の殺菌であることが好ましく、3.1~15の条件の殺菌であることがより好ましい。
【0049】
本明細書において、F値とは、レトルト食品分野で用いられる指標であり、食品をある温度である時間加熱したときの微生物の死滅効果を、121℃で加熱した場合の時間に換算した値(単位は分)である。なお、F値については、「レトルト食品の基礎と応用(1995年6月10日)、pp.73-78、(株)幸書房発行」に詳細に記載されている。
【0050】
また、加熱殺菌の温度条件と時間条件の好ましい例としては、以下の通りである。
温度100~130℃で1秒以上、40分以下
温度130~145℃で1秒以上、5分以下
【0051】
(容器)
容器は、特に限定はされないが、例えば、耐熱性容器であることが好ましく、酸素バリア性容器であってもよく、電子レンジ加熱対応性容器であってもよい。容器の種類としては、平袋、スタンディングパウチ、トレイなどの成形容器、缶詰、瓶詰であってもよい。
【0052】
当該容器への充填方法は、公知の方法であれば特に限定はされない。当該容器への充填後は、例えば、平袋であれば熱板方式、インパルス方式などの方法で容器を密封する。
【0053】
容器の材質には特に制限がないが、例えば、ガラス製、金属製、合成樹脂製の容器を使用することができ、不透明、透明、半透明の合成樹脂製の容器を使用することが好ましい。このような合成樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等が挙げられる。金属製の容器としては、アルミニウム製容器、スチール製容器等が挙げられる。また、合成樹脂とアルミニウムを組み合わせた、アルミラミネートフィルムやアルミ蒸着フィルム等からなる袋状の容器等も挙げられる。
【0054】
容器への充填の後、さらに、容器の開口部を包装フィルム等により封じる密閉を行うことが好ましい。包装フィルム等の材質は、特に制限されず、例えば、アルミラミネートや、SUSラミネートを用いることができる。限定はされないが、容器の開口部が包装フィルムによりヒートシールされることが好ましい。
【0055】
本発明の容器詰め食品は、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒を含有していることにより、加圧加熱処理を経ても、大麦粒内に不溶性食物繊維が十分に残存することで硬い粒食感が維持されるものと推測される。また、不溶性食物繊維は吸水しないことから、大麦粒内部への水の浸透が少ないことも、硬い食感が維持される要因と推測される。
【0056】
(pH)
本発明の容器詰め食品のpHは、特に限定はされないが、例えば、3.6以上7.0以下とすることができ、3.8以上とすることが好ましく、4.0以上とすることがより好ましい。また、本発明の容器詰め食品のpHは、特に限定はされないが、例えば、6.5以下とすることができ、6.0以下とすることが好ましい。本発明の効果を奏するメカニズムは未だ不明であり、限定はされないが、1つの推測されるメカニズムとしては、弱酸性域では、大麦粒中のデンプン分子における水素結合が形成されやすくなり、このデンプンの老化が生じ得る。大麦粒中の老化したデンプンと豊富な食物繊維の存在によって、レトルト殺菌後、あるいは保存、保管中に粒食感を残し、硬さを維持することに繋がるものと考えられる。pHの値は、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いて測定した値である。
【0057】
(酸材)
限定はされないが、本発明の容器詰め食品には、酸材がさらに含まれていてもよい。酸材としては、例えば、酸味料やpH調整剤として使用できる食品添加物のクエン酸、リンゴ酸、乳酸、アジピン酸、フマル酸、コハク酸、グルコン酸、酢酸、酒石酸、リン酸等及びそれらの塩類、トマト、レモン、リンゴ、オレンジ、グレープフルーツ、パイナップル、ブドウ、キウイフルーツ等及びそれらの果汁並びにそれらを配合する調味料、乳酸発酵乳、チーズ、食酢等を用いることができる。これらの酸材を配合することで、容器詰め食品のpHを調整したり、食味を良好にしたりすることができる。酸材含有量は、目的とするpHや他の配合成分の種類や含有量に応じて適宜調節することができる。酸材の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.05質量%以上20.0質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上15.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10.0質量%以下である。
【0058】
[容器詰め食品の製造方法]
本発明はまた、以下の態様を有する、容器詰め食品の製造方法に関する。
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、容器詰め食品の製造方法。
【0059】
本方法の実施態様は、上記の[容器詰め食品]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【0060】
[大麦粒の粒食感改善方法]
本発明はまた、以下の態様を有する、大麦粒の粒食感改善方法に関する。
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、大麦粒の粒食感改善方法。
【0061】
本方法の実施態様は、上記の[容器詰め食品]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【0062】
[容器詰め食品の液部の粘度上昇の抑制方法]
本発明はまた、以下の態様を有する、容器詰め食品の液部の粘度上昇の抑制方法に関する。
無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、容器詰め食品の液部の粘度上昇の抑制方法。
【0063】
本方法の実施態様は、上記の[容器詰め食品]の実施態様、及び使用方法に準じる。
【実施例0064】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、実施例中の「%」は、「質量%」であることを意味する。
【0065】
[試験例1.食物繊維含量によるレトルト殺菌後の官能評価試験]
(大麦の選定と食物繊維含量の測定)
試験に用いた大麦の品種と、無水換算値における各種食物繊維含量を常法により測定し、以下の表1に示した。なお、水分量は、常圧加熱乾燥法により求めた。水溶性食物繊維含量、及び、不溶性食物繊維含量は、酵素-重量法(プロスキー変法)により求めた。各大麦の搗精歩留りは約70%である。
【0066】
【表1】
【0067】
(評価対象の調製)
トマトリゾットA(ゼラチンなし)は、以下により調製した。
原料の大麦を歩留80%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料9質量部に水69重量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米4質量部、先のボイル済大麦18質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、122℃で18分間殺菌を行い、これを官能評価用試料及び物性試験用試料とした。
【0068】
トマトリゾットB(ゼラチンあり)は、以下により調製した。
原料の大麦を歩留80%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料11質量部(ゼラチン2質量部を含む)に水67重量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米4質量部、先のボイル済大麦18質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、122℃で18分間殺菌を行い、これを官能評価用試料及び物性試験用試料とした。
【0069】
(2点識別法による官能評価試験)
官能評価における専門パネラー12名(訓練期間の平均年数:5年以上)を6群に分け、順序効果を考慮して評価対象を入れ替えることで、評価順による回答のバラツキを抑えた。
比較方法は、片方を基準としてもう片方の程度を評価項目に従って評価し、片方が基準になるよう数値を換算した。12名の平均点を評価結果とした。
【0070】
以下の各評価項目について基準に対して11段階(-5:とても弱い、-4:弱い、-3:少し弱い、-2:わずかに弱い、-1:ごくわずかに弱い、0:同じ、+1:ごくわずかに強い、+2:わずかに強い、+3:少し強い、+4:強い、+5:とても強い)にて評価を行った。
試食サンプルはレトルトパウチを湯煎後に各50g程度取り分け、温かい状態(およそ50℃)にて提供した。
【0071】
(評価項目)
評価項目はオノマトペに関する論文から用語を集めた(参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/52/8/52_8_337/_pdf/-char/ja
)。
胚乳部の食感(弾力)については、「むっちり(噛んだ瞬間の跳ね返り、ゴム)」「ぷちぷち(噛んだ瞬間にぷちっと弾ける)」「噛みごたえ(噛み続けた時の硬さ)」の3項目とした。
外皮の食感については、「歯当たり(噛んだ瞬間の皮感)」の1項目とした。
液部の粘度については、「ぬめり(糸引き性)」「粘り(舌への残り(付着性))」「水っぽさ(さらさら感)」の3項目とした。
【0072】
トマトリゾットA(ゼラチンなし)における官能評価結果を表2に示す。無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.3質量%であるBG012の結果を0として記載した(表3においても同様)。
【0073】
【表2】
【0074】
トマトリゾットB(ゼラチンあり)における官能評価結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
ゼラチンを使用しない場合、BG104、バーリーマックス、ファイバースノウ、BG006、Transitは、何れもBG012よりも大麦粒の粒食感は残っていた。対応のあるt検定(有意水準p<0.05)を行ったところ、大麦粒の食感について、特に、BG104では「ぷちぷち」、バーリーマックス及びTransitでは「歯当たり」、ファイバースノウ及びBG006では「噛みごたえ」において、有意に差があることが確認できた。
【0077】
他方、ゼラチンを使用した場合にも、BG104、バーリーマックス、ファイバースノウは、何れもBG012よりも大麦粒の粒食感は残っていた。対応のあるt検定(有意水準p<0.05)を行ったところ、大麦粒の食感について、特に、BG104では「ぷちぷち」、バーリーマックスでは「歯当たり」、ファイバースノウでは「噛みごたえ」において、有意に差があることが確認できた。また、液部の粘度について、特に、BG104では「水っぽさ」でp=0.07で傾向があり、バーリーマックスでは「ぬめり」、ファイバースノウでは「粘り」において有意に差があることが確認できた。特筆すべき点として、食感の特徴(官能評価項目)は品種によって異なることが分かり、さらにこの特徴はゼラチンを加えることによって、その特徴を維持したままさらに増強される場合もあるということが分かった。
【0078】
よって、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒を用いた場合には、粒食感改善効果に優れていることが示された。
【0079】
[試験例2.テクスチャーアナライザーによる物性試験]
容器詰め食品における大麦粒の「硬さ」と液部の「粘着性」について、テクスチャーアナライザー(SMS社製 テクスチャーアナライザーTA.XTplus)を用いて物性データを測定した。
【0080】
硬さの測定には大麦粒をプランジャー(図1)で押しつぶした時の抵抗を、
粘着性の測定は液部を容器(図2)に入れ、プランジャー(図1)を液部に挿入し、液部からプランジャーを引き上げる時の抵抗を測定した。
【0081】
(大麦粒の「硬さ」の測定)
試料は室温25℃にて測定した。大麦粒のみを二粒取り出し、黒条線を下側に向け、以下の測定モードにて10回ずつ測定した。最大値と最小値を除いたn=8の平均値を測定結果とした。
【0082】
<測定モード>
テストモード:圧縮試験
テストスピード(測定前):1.00min/sec
テストスピード(測定中):2.00min/sec
テストスピード(戻り):10.00min/sec
ターゲットモード:Strain
Strain:95.0% ⇒ 粒に触れてから底面までの95%分を押す
トリガータイプ:オート(Force)
トリガー荷重:5.0g
【0083】
トマトリゾットA(ゼラチンなし)及びB(ゼラチンあり)における「硬さ」の測定結果を表4に示す。
【0084】
【表4】
【0085】
ゼラチンを使用しない場合、BG104、バーリーマックス、ファイバースノウ、BG006、Transitは、何れもBG012よりも硬かった。対応のあるt検定(有意水準p<0.05)を行ったところ、BG104、バーリーマックス、ファイバースノウ、BG006、Transitの何れもBG012と有意に差があることが確認できた。
【0086】
さらに、ゼラチンを使用しない場合よりも、ゼラチンを使用した場合の測定結果の数値が大きく、ゼラチンを使用することで、より大麦粒の硬さを残せることが分かった。
【0087】
(液部の「粘着性」の測定)
試料は室温25℃にて測定した。液部のみ網で濾し取り、容器に入れ、以下の測定モードにて3回ずつ測定し、平均値を測定結果とした。本明細書においては粘着性の測定により液部の粘度を評価している。
【0088】
<測定モード>
テストモード:圧縮試験
テストスピード(測定中):2.00min/sec
テストスピード(戻り):10.00min/sec
ターゲットモード:Distance
Distance:30.0mm
トリガータイプ:ボタン
プランジャー移動:28.0mm
【0089】
トマトリゾットA(ゼラチンなし)及びB(ゼラチンあり)における「粘着性」の測定結果を表5に示す。
【0090】
【表5】
【0091】
ゼラチンを使用した場合、BG104、バーリーマックス、ファイバースノウ、BG006、Transitは、何れもBG012よりも液部の粘着性が弱かった。また、ゼラチンを使用しない場合よりも、ゼラチンを使用した場合の測定結果の数値が大きく、ゼラチンを使用することで、液部の粘着性を抑制できることが分かった。
【0092】
以上に示す通り、官能評価試験及び物性試験の結果より、無水換算値における不溶性食物繊維含量が4.5質量%以上である大麦粒を用いた場合には、大麦粒の粒食感改善効果に優れていることが示された。また、これにゼラチンを加えた場合には、さらに大麦粒の粒食感改善効果が高まることに加え、液部の粘度上昇の抑制効果に優れていることが示された。
【0093】
[製造例]
(トマトリゾット)
大麦(BG104、バーリーマックス、ファイバースノウ、BG006、又は、Transit)を歩留90%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料11質量部(ゼラチン0.2質量部を含む)に水70質量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米4質量部、先のボイル済大麦15質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、122℃で18分間殺菌を行った。これにより、大麦粒の粒食感が残り、液部の粘度上昇の抑えられたトマトリゾットを製造することができた。
【0094】
(トマトリゾット)
大麦(BG104)を歩留98%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料10質量部(ゼラチン含まず、トマトケチャップ3質量部を含む)に水74質量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米4質量部、先のボイル済大麦12質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、122℃で18分間殺菌を行った。これにより、大麦粒の粒食感が残ったトマトリゾットを製造することができた。
【0095】
(チーズリゾット)
大麦(ファイバースノウ)を歩留80%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、チーズ調味料類をベースとした混合調味料11質量部(ゼラチン含まず、レモン果汁1質量部を含む)に水70質量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米4質量部、先のボイル済大麦15質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、122℃で18分間殺菌を行った。これにより、大麦粒の粒食感が残ったチーズリゾットを製造することができた。
【0096】
(トマト粥)
大麦(BG104)を歩留95%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料15質量部(ゼラチン1質量部を含み、トマトピューレ5質量部を含む)に水72質量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米3質量部、先のボイル済大麦10質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、120℃で30分間殺菌を行った。これにより、大麦粒の粒食感が残り、液部の粘度上昇の抑えられたトマト粥を製造することができた。
【0097】
(具入りスープ)
大麦(BG104)を歩留95%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料10質量部(ゼラチンを含まず、トマトペースト5質量部を含む)に水77質量部を加えて加熱溶解し、これに、カットトマト5質量部、先のボイル済大麦8質量部を加えた。そして、この200gをレトルトパウチ1袋に充填、密封し、121℃で25分間殺菌を行った。これにより、大麦粒の粒食感が残った具入りスープを製造することができた。
【0098】
(トマトリゾット)
大麦(BG104)を歩留95%まで精白し、この精白大麦の無水換算100質量部が180質量部になるまで沸騰水中でボイルした。次に、トマト調味料類をベースとした混合調味料10質量部(ゼラチン含まず、トマトケチャップ3質量部を含む)に水65質量部を加えて加熱溶解し、これに、玄米10質量部、先のボイル済大麦15質量部を加えた。そして、この200gをトレイ容器に無菌的に充填し、135℃で10秒間殺菌を行い、密封した。これにより、大麦粒の粒食感が残ったトマトリゾットを製造することができた。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が8.6質量%以上であり、且つ、無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上である大麦粒、及び、水を含有する、加圧加熱処理が施された容器詰め食品(但し、前記大麦粒の品種が、バーリーマックス種、サチホゴールデン種、はるしずく種、イチバンボシ種、又は、ファイバースノウ種である場合を除く)。
【請求項2】
前記大麦粒の品種が、BG104種、ヒマラヤ292種(但し、バーリーマックス種を除く)、及び、BG006種からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項3】
前記大麦粒が、搗精されたものである、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項4】
さらにゼラチンを含有する、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項5】
前記大麦粒100質量部に対する前記ゼラチンの含有量が、1質量部以上、25質量部未満である、請求項に記載の容器詰め食品。
【請求項6】
粥、パエリア、ピラフ、具入りスープ、又は、リゾットである、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項7】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が8.6質量%以上であり、且つ、無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合によって得られた物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、容器詰め食品の製造方法(但し、前記大麦粒の品種が、バーリーマックス種、サチホゴールデン種、はるしずく種、イチバンボシ種、又は、ファイバースノウ種である場合を除く)
【請求項8】
無水換算値における不溶性食物繊維含量が8.6質量%以上であり、且つ、無水換算値における総食物繊維量が15質量%以上である大麦粒と水とを混合する工程、及び、
前記混合によって得られた物を容器に充填して密封し、加圧加熱処理を施す工程、
を含む、大麦粒の粒食感改善方法(但し、前記大麦粒の品種が、バーリーマックス種、サチホゴールデン種、はるしずく種、イチバンボシ種、又は、ファイバースノウ種である場合を除く)