(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031720
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】モノコックFRPコンクリート合成版で構築する再生可能建築
(51)【国際特許分類】
E04C 2/26 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E04C2/26 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022144874
(22)【出願日】2022-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】522056666
【氏名又は名称】吉永 光浩
(72)【発明者】
【氏名】吉永 光浩
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162CA11
2E162CD05
2E162DA02
(57)【要約】
【課題】現代の建築の構造強度、耐震性、耐久性、防火性等の品質向上を図り、工期の短縮、コストの削減の上で、再生可能な建築構法を提供する。
【解決手段】FRP型枠と含水率を低く抑えた固練りコンクリートを一体化して、軽量かつ強靭なモノコックFRPコンクリート合成版を工場で製作する。
尚、その合成版を構成するFRP型枠には、穴あきFRPジベル・トラスフレームが設置されており、これによりコンクリート部と一体化、版を覆うFRP部分がモノコック構造となるため、極めて強靭な合成版となる。
このモノコックFRPコンクリート合成版を主要構造部材である基礎床版、壁版、屋根版としてボルト止め等の容易で解体可能な方法で接合する事により、移築、転用が出来る再生可能建築を構築する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノコックFRPコンクリート合成版で構築する再生可能建築。
【請求項2】
請求項1に記載のモノコックFRPコンクリート合成版。
【請求項3】
請求項2に記載のモノコックFRPコンクリート合成版におけるFRP型枠。
【請求項4】
請求項3に記載のFRP型枠とコンクリート部分を一体化して合成する事、及びFRP型枠の構造強度向上と軽量化する事を目的としたトラス構造の孔あきFRPジベル・トラスフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能な建築とモノコックFRPコンクリート合成版によるその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の建築は、木造、RC造、S造、SRC造で構築される事が一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現代の建築は移築、転用及び再利用が出来ない為、将来的にゴミになる。
また、冗長的安全性に欠けており、地震、暴風雨等の被害が懸念される。
加えて、建築工事現場でのその構築方法において、仮設工事、鉄筋工事、型格工事、コンクリート工事等の多くの現場作業工程が必要である為に、その施工に多くの手間がかかり、工事期間は長く、工事費用は高くなる。
本発明は、前述の問題点を解決するものであり、その課題は、寿命が永く軽量で強靭な安全性の高い主要構造部材を、容易に解体可能な接続方法で構築する再生可能な建築を、短い工期で安い価格にて提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る再生可能な建築は、あらかじめ工場で製作されたモノコックFRPコンクリート合成版を主要構造部材の基礎床版、壁版、屋根版として、現場で組み立てて構築する。
組み立てはボルト止め等の着脱可能な接続方法で行われるために、容易に解体、移築、転用ができ、各部材が再利用可能で将来的にゴミにならない。
また、優れた構造強度、耐震性、耐久性、防火性をもつ安全な建築となる。
【0005】
前述主要構造部材となるモノコックFRPコンクリート合成版は、高精度なFRP型枠と含水率の少ない固練りコンクリートを工場平打ち打設により一体化した合成版で、FRP+RC造の建材パネルである。
合成版を構成するコンクリート部分は圧縮応力を負担する圧縮構造部材、FRP製型枠部分は引張応力を負担するモノコック引張構造部材となる。
更に付属するトラス構造のFRP製フレーム部分は、コンクリート部分と一体となって、合成版内において、通常の柱や梁に代わる軸組に相当する構造部材となる。
上記の理由で、この合成版は構造強度、耐震性、耐久性、防火性に優れた軽量かつ強靭な主要構造部分を構築する建材となる。
【0006】
前述モノコックFRPコンクリート合成版を製作する際に使うFRP型枠は、外皮となるFRP板と付属するトラス構造FRP製フレームで構成される。
このFRP型枠は、コンクリート打設時の型枠だけではなく、合成版の外皮となるFRP板がモノコックになる事、及びトラス構造FRP製フレーム部が軸組に相当する構造部材になり、同時に穴あきFRPジベルプレートとしてコンクリート部分と一体化する事で、強靭な主要構造の合成版となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の再生可能建築は、主要構造部であるモノコックFRPコンクリート合成版が寿命の永い部材であり、解体、移築、転用、再利用ができるので、将来的にゴミにならない持続的な建築となる。
【0008】
本発明の再生可能建築は、主要構造部であるモノコックFRPコンクリート合成版が軽量で強く、耐震性、耐久性、防火性をもつ優れた構造となる為、とても安全性の高い建築となる。
【0009】
本発明の再生可能建築は、主要構造部であるモノコックFRPコンクリート合成版を工場で製作して現場では組み立てるだけなので、現場作業工程がとても少なく、短い工期で安い価格の高品質な建築が提供できる。
【0010】
本発明のモノコックFRPコンクリート合成版は、現場での作業で作られる一品生産ではなく、工場で製作される標準化された建材製品であるので、量産化による大幅なコスト削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る再生可能建築の実施形態の構成を表す断面図である。
【
図2】本発明に係るモノコックFRPコンクリート合成版の実施形態の構成を表す断面図とFRP製型枠の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る再生可能建築及びモノコックFRPコンクリート合成版の図面を参照しつつ説明する。
図1は再生可能建築の断面図である。
再生可能建築は、主要構造部となるモノコックFRPコンクリート合成版を基礎床版、壁版、屋根版として、現場で組み立て構築する。
組み立てはボルト止め等の着脱可能な接続方法で行われるために、容易に解体、移築、転用ができ、各部材の再利用可能な再生可能建築となる。
【0013】
図2は部分的なモノコックFRPコンクリート合成版の断面図と部分的なFRP型枠の平面図である。
モノコックFRPコンクリート合成版は、FRP型枠と固練りコンクリートを一体化した合成版で、FRP+RC造の建材パネルである。
合成版を構成するコンクリート部分は圧縮応力を負担する圧縮構造部材、FRP型枠FRP部分は引張応力を負担するモノコック引張構造部材となる。
更に、孔あきFRPジベル・トラスフレームは合成版内においての通常の柱や梁に代わる軸組に相当するトラスフレーム構造部材となり、同時に穴あきFRPジベルとしてコンクリート部分と一体化して合成版となる。
【符号の説明】
【0014】
1 モノコックFRPコンクリート合成版で構築する基礎床版
2 モノコックFRPコンクリート合成版で構築する壁版
3 モノコックFRPコンクリート合成版で構築する屋根版
4 FRP製型枠
5 孔あきFRPジベル・トラスフレーム
6 固練りコンクリート
7 軽量化を目的として設置される断熱材