(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031729
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ベルトコンベア、及びベルトコンベア用のローラ
(51)【国際特許分類】
B65G 15/42 20060101AFI20240229BHJP
B65G 39/20 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65G15/42 A
B65G39/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167948
(22)【出願日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2022135286
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504134759
【氏名又は名称】SKマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 純雄
【テーマコード(参考)】
3F024
3F033
【Fターム(参考)】
3F024DA07
3F033GA01
3F033GD09
(57)【要約】
【課題】ベルトコンベアのローラの強度を維持しながら、ベルトコンベアの高さ寸法を小さくする。
【解決手段】第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトであって、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備えたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの少なくとも一方は、回転軸を中心にして回転する第1の管と、前記回転軸を中心にして回転する第2の管と、前記第1の管と接続する第1の接続部と、前記第2の管と接続する第2の接続部とを備え、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に前記桟部が嵌るガイド溝が形成された接続部材と、を有する、ベルトコンベア。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のローラと、
第2のローラと、
前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトであって、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備えたベルトとを有し、
前記第1のローラと前記第2のローラの少なくとも一方は、
回転軸を中心にして回転する第1の管と、
前記回転軸を中心にして回転する第2の管と、
前記第1の管と接続する第1の接続部と、前記第2の管と接続する第2の接続部とを備え、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に前記桟部が嵌るガイド溝が形成された接続部材と、を有する、
ベルトコンベア。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記回転軸に沿って延びる固定軸と、前記固定軸を中心にして回転すると共に、前記第1の管の内周面に固定された外筒とを備えたモータを有する、
ベルトコンベア。
【請求項3】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持するフリーローラを複数有する、
ベルトコンベア。
【請求項4】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの前記裏面と擦接する擦接面を有すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持する支持部材を有する、
ベルトコンベア。
【請求項5】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記第1の接続部は、前記第1の管の内周面が装着される第1の外周面と、前記第1の外周面との間に段差が生じる第2の外周面とを有し、
前記第1の管は、前記段差に突き当たる端部と、前記第2の外周面と同一面をなす第3の外周面とを有する、
ベルトコンベア。
【請求項6】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記第1の管の外径と前記第2の管の外径の各々は、前記ガイド溝の外径よりも大きい、
ベルトコンベア。
【請求項7】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記接続部材は、筒状であり、前記接続部材の厚さは、前記第1の管の厚さと前記第2の管の厚さの各々よりも厚い、
ベルトコンベア。
【請求項8】
請求項1に記載のベルトコンベアであって、
前記ベルトは、ワークが搭載される上部走行部と、前記上部走行部とは逆方向に走行する下部走行部とを備え、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記下部走行部における前記ベルトの表面に当接して、前記下部走行部と前記上部走行部との間隔を狭める方向に前記下部走行部を押圧する補助ローラを更に有する、
ベルトコンベア。
【請求項9】
ベルトコンベア用のローラであって、
回転軸を中心にして回転する第1の管と、
前記回転軸を中心にして回転する第2の管と、
前記第1の管と接続する第1の接続部と、前記第2の管と接続する第2の接続部とを備え、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間にベルトの桟部が嵌るガイド溝が形成された接続部材と、を有する、
ローラ。
【請求項10】
ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備えたベルトと、
前記ベルトが掛けられ、前記桟部が嵌るガイド溝が形成された第1のローラ及び第2のローラと、
前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持する複数のフリーローラとを有し、
前記第1のローラ及び前記第2のローラの少なくとも一方は、モータが内蔵された駆動ローラである
ベルトコンベア。
【請求項11】
請求項10に記載のベルトコンベアであって、
前記フリーローラを4個以上有する
ベルトコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア、及びベルトコンベア用のローラに関する。
【背景技術】
【0002】
工場、店舗、及び病院等においては、ワークの搬送を自動で行う無人搬送車(AGV: Automatic Guided Vehicle)が使用されることがある。無人搬送車は、作業者の代わりに床の上を自動で走行して目的の場所にワークを搬送する自律型の台車であり、作業者の作業負担を軽減することができる。無人搬送車にワークを搭載する方法としては、例えばロボット又は人手で搭載する方法がある。更に、近年では、台車の上部にベルトコンベアが設けられた無人搬送車も実現されている(例えば特許文献1)。この無人搬送車では、ロボット及び人手に頼らずに、ベルトコンベアを利用して台車にワークを搭載することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無人搬送車に設けるベルトコンベアには様々な制約がある。例えば、無人搬送車の高さを低く抑えるために、ベルトコンベアの高さ寸法はなるべく小さいのが好ましい。
【0005】
しかしながら、ベルトコンベアの高さ寸法を小さくするために、ベルトが掛けられたローラを小径化すると、ローラの強度が不足し、ローラが撓んでしまう。
【0006】
本願発明は、ベルトコンベアのローラの強度を維持しながら、ベルトコンベア高さ寸法を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係るベルトコンベアは、第1のローラと、第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとに掛けられたベルトであって、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備えたベルトとを有し、前記第1のローラと前記第2のローラの少なくとも一方は、回転軸を中心にして回転する第1の管と、前記回転軸を中心にして回転する第2の管と、前記第1の管と接続する第1の接続部と、前記第2の管と接続する第2の接続部とを備え、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に前記桟部が嵌るガイド溝が形成された接続部材と、を有する。
【0009】
上記ベルトコンベアにおいて、前記回転軸に沿って延びる固定軸と、前記固定軸を中心にして回転すると共に、前記第1の管の内周面に固定された外筒とを備えたモータを有してもよい。
【0010】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持するフリーローラを複数有してもよい。
【0011】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの前記裏面と擦接する擦接面を有すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持する支持部材を有してもよい。
【0012】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1の接続部は、前記第1の管の内周面が装着される第1の外周面と、前記第1の外周面との間に段差が生じる第2の外周面とを有し、前記第1の管は、前記段差に突き当たる端部と、前記第2の外周面と同一面をなす第3の外周面とを有してもよい。
【0013】
上記ベルトコンベアにおいて、前記第1の管の外径と前記第2の管の外径の各々は、前記ガイド溝の外径よりも大きくてもよい。
【0014】
上記ベルトコンベアにおいて、前記接続部材は、筒状であり、前記接続部材の厚さは、前記第1の管の厚さと前記第2の管の厚さの各々よりも厚くてもよい。
【0015】
上記ベルトコンベアにおいて、前記ベルトは、ワークが搭載される上部走行部と、前記上部走行部とは逆方向に走行する下部走行部とを備え、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記下部走行部における前記ベルトの表面に当接して、前記下部走行部と前記上部走行部との間隔を狭める方向に前記下部走行部を押圧する補助ローラを更に有してもよい。
【0016】
本発明の別の態様に係るベルトコンベア用のローラは、回転軸を中心にして回転する第1の管と、前記回転軸を中心にして回転する第2の管と、前記第1の管と接続する第1の接続部と、前記第2の管と接続する第2の接続部とを備え、前記第1の接続部と前記第2の接続部との間にベルトの桟部が嵌るガイド溝が形成された接続部材と、を有する。
【0017】
本発明の更に別の態様に係るベルトコンベアは、ベルト送り方向に延びる桟部を裏面に備えたベルトと、前記ベルトが掛けられ、前記桟部が嵌るガイド溝が形成された第1のローラ及び第2のローラと、前記第1のローラと前記第2のローラとの間に設けられ、前記ベルトの動きに追従して回転すると共に、前記ベルトを前記裏面から支持する複数のフリーローラとを有し、前記第1のローラ及び前記第2のローラの少なくとも一方は、モータが内蔵された駆動ローラである。
【0018】
上記ベルトコンベアにおいて、前記フリーローラを4個以上有してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ベルトコンベアのローラの強度を維持しながら、ベルトコンベアの高さ寸法を小さくすることができる。
【0020】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(a)は、本実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例であり、
図1(b)は、
図1(a)のZ方向から見たベルトコンベアの側面図の一例である。
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)のA-A線に沿った第1のローラの一部断面側面図の一例であり、
図2(b)は、接続部材とその周囲の拡大断面図の一例であり、
図2(c)は、ガイド溝とその周囲の接続部材の断面図の一例である。
【
図3】
図3(a)は、モータの断面図の一例であり、
図3(b)は、
図3(a)のE方向から見たモータの正面図の一例である。
【
図4】
図4は、第2のローラの断面図の一例である。
【
図5】
図5(a)は、ベルトの上面図の一例であり、
図5(b)は、
図5(a)のF-F線に沿う断面図である。
【
図6】
図6は、
図1(a)のC-C線に沿ったベルトコンベア1の一部断面側面図の一例である。
【
図7】
図7は、フリーローラに替えて支持部材を用いたベルトコンベアの側面図の一例である。
【
図8】
図8(a)は、変形例に係るベルトコンベアの側面図の一例であり、
図8(b)は、
図8(a)の方向Gから見たときのベルトコンベアの一部断面正面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。なお、下記実施形態(及び変形例)において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0023】
<本実施形態>
図1(a)は、本実施形態に係るベルトコンベアの一部断面上面図の一例である。このベルトコンベア1は、無人搬送車用のベルトコンベアであって、第1のローラ2、第2のローラ3、及びベルト4を備える。なお、
図1では各ローラ2、3についてはその断面を示しており、ベルト4については破線で表すことでベルトコンベア1の内部構造が分かるようにしている。
【0024】
第1のローラ2は、モータが内蔵された駆動ローラであって、第1のブラケット11と第2のブラケット12により両端が支持される。なお、第1のブラケット11と第2のブラケット12は、第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々に固定されたアングルブラケットである。第1のフレーム7と第2のフレーム8は、略平行に延びる金属板である。
【0025】
一方、第2のローラ3は、モータが内蔵されていない従動ローラであって、第3のブラケット13と第4のブラケット14によって回転可能な状態で支持される。第3のブラケット13と第4のブラケット14は、第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々に固定されたアングルブラケットである。
【0026】
ベルト4は、第1のローラ2と第2のローラ3とに掛けられた無端ベルトである。ベルト4の材料は、例えば布、樹脂、及びゴム等の可撓性材料である。ベルト4の幅は、例えば20cm~60cmである。また、第1のローラ2と第2のローラ3との間隔は、例えば30cm~300cmである。
【0027】
このベルトコンベア1においては、駆動された第1のローラ2の回転運動に追従してベルト4がベルト送り方向Xに沿って送られると共に、そのベルト4の動きに追従して第2のローラ3が回転する。これにより、ベルト4の表面上に載置されたワークWが、ベルト送り方向Xに搬送されることになる。この例では、2kg~50kg程度の重量のワークWを搬送することができる。
【0028】
また、第1のフレーム7と第2のフレーム8の各々には、ベルト送り方向Xに直行する方向に延びる連結部材37が固定される。更に、その連結部材37には、ベルト送り方向Xに沿って延びる支持板18が二枚一組となって固定される。そして、一組の支持板18は、ベルト送り方向Xに沿って複数配列されたフリーローラ6を支持する。
【0029】
図1(b)は、
図1(a)のZ方向から見たベルトコンベア1の側面図の一例である。
図1(b)に示すように、支持板18は、複数のフリーローラ6を回転可能な状態で支持する。各フリーローラ6は、第1のローラ2と第2のローラ3との間に設けられており、ベルト送り方向Xに沿って移動するベルト4の動きに追従して回転すると共に、ベルト4をその裏面4b側から支持する。なお、裏面4bはフリーローラ6の上側と下側を走行するが、上側を走行する裏面4bがフリーローラ6で支持される。
【0030】
このようにフリーローラ6が回転することで、ワークWの自重でベルト4が撓むのを抑制しながらベルト4が受ける摩擦を低減することができ、第1のローラ2を回転駆動する際の消費電力を低減できる。一例として、本実施形態ではフリーローラ6の転がり摩擦係数μ1が0.05~0.1となる。一方、フリーローラ6の替わりにすべり板を用いた場合(
図7で後述)、裏面4bと擦接するすべり板の摩擦係数μ2は0.2~0.3程度となるから、本実施形態ではμ2/μ1 = 2~6倍の重さのワークWを搬送することができる。例えば、
図1(b)のように側面視でフリーローラ6の個数を4個以上とすることで、ベルト4が受ける摩擦を効果的に低減でき、第1のローラ2を回転駆動する際の消費電力を効果的に低減できる。
【0031】
特に、無人搬送車は二次電池で駆動するため、低消費電力化により二次電池の持ちを長くすることもできる。
【0032】
また、フリーローラ6はベルト4の移動に連動して回転するため、ベルト4とフリーローラ6とが擦接する部分はほとんどない。そのため、ワークWの搬送時に発塵がほとんど発生せず、周囲の環境をクリーンに維持できる。特に、ワークWが食品の場合には塵が食品に付着し難くなり、食品の衛生状態を良好に保つことができる。
【0033】
本実施形態では、無人搬送車にベルトコンベア1を搭載できるようにするために、ベルトコンベア1の高さ寸法Hをなるべく小さくする。一例として、高さ寸法Hは、6cm~13cmである。
【0034】
図2(a)は、
図1(a)のA-A線に沿った第1のローラ2の一部断面側面図の一例である。第1のローラ2は、第1の管21、第2の管22、及び接続部材23を備える。第1の管21と第2の管22は、いずれも回転軸Kを中心にして回転するステンレスパイプ材又はアルミパイプ材等の金属管である。アルミパイプ材の規格としては、内径が38mm、50mm、及び60mm等の規格がある。本実施形態では、ベルトコンベア1の高さ寸法Hをなるべく小さくするために、上記のうちで内径が最も小さい38mmのアルミパイプ材を各管21、22として使用する。但し、各管21、22の内径はこれに限定されず、38mmよりも大きな内径を有する金属管を各管21、22として使用してもよい。
【0035】
また、第2の管22の端部には、ベアリング等の軸受け19が収容される。その軸受け19には、先端が第1のブラケット11に固定された軸部材19aが装着される。これにより、第2の管22は、軸受け19を介して第1のブラケット11に回転可能な状態で取り付けられる。
【0036】
接続部材23は、第1の管21と第2の管22とを接続するための概略円筒形の金属管である。その接続部材23には、後述のベルト4の桟部が嵌るガイド溝23aが形成される。ガイド溝23aは、回転軸Kを中心にして接続部材23を一周するように形成される。接続部材23の材料としては、例えばアルミニウム又はステンレスがある。
【0037】
また、第1の管21の内部にはモータ25が収容されており、そのモータ25の回転駆動力により第1のローラ2が回転軸Kを中心にして回転する。なお、
図2(a)では、図が煩雑になるのを防ぐために、モータ25については断面ではなく側面を図示している。このように第1の管21の内部にモータ25を収容することで、モータ25の回転駆動力を第1の管21に伝達するための複雑な機構が不要となり、ベルトコンベア1の小型化を実現することができる。
【0038】
図2(b)は、接続部材23とその周囲の拡大断面図の一例である。前述のように第1の管21と第2の管22の各々の内径は38mmである。これに各管21、22の厚さ(2mm)を加えると、各管21、22の外径D1、D2は42mmとなり、これはガイド溝23aの外径D3よりも大きい。
【0039】
接続部材23は、第1の接続部23fと第2の接続部23gとを備える。第1の接続部23fは、第1の管21が装着することで当該第1の管21と接続する部分である。また、第2の接続部23gは、第2の管22が装着することで第2の管22と接続する部分である。前述のガイド溝23aは、第1の接続部23fと第2の接続部23gとの間において接続部材23の露出した部分に形成される。また、接続部材23は、第1の管21と第2の管22とを相互が離間した位置関係で保持する。
【0040】
第1の接続部23fと第2の接続部23gは、金属用の接着剤により第1の管21と第2の管22の各々に接着される。なお、第1の接続部23fを第1の管21にねじ込むことで両者を接続してもよい。これについては第2の接続部23gと第2の管22についても同様である。
【0041】
また、第1の接続部23fは、第1の管21の内周面21aが装着される円筒状の第1の外周面23bと、その第1の外周面23bとの間に段差23dが生じる第2の外周面23cとを有する。そして、第1の管21は、段差23dに突き当たる端部21cと、第2の外周面23cと同一面をなす第3の外周面21bとを有する。
【0042】
このように第2の外周面23cと第3の外周面21bとを同一面とすることで、ガイド溝23aを除いた部分の第1のローラ2の表面が段差のない滑らかな面となる。その結果、第1のローラ2の表面とベルト4とが確実に密着するようになり、第1のローラ2の駆動力をベルト4に確実に伝達することができる。
【0043】
なお、第1の管21の内周面21aと第1の接続部23fの第1の外周面23bの形状は、第1の管21と接続部材23とが接続できれば円筒状に限定されない。これについては第2の管22と第2の接続部23gについても同様である。
【0044】
図2(c)は、ガイド溝23aとその周囲の接続部材23の断面図の一例である。
【0045】
第1の管21と第2の管22の各々の厚さT1、T2は、例えば2mmである。一方、第1の管21又は第2の管22が装着される部分の接続部材23の厚さT3は、厚さT1、T2の各々よりも厚い。そのため、第1の管21又は第2の管22にガイド溝23aを形成する場合よりも第1のローラ2の強度を高めることができ、ベルト4の張力で第1のローラ2が撓むのを防止できる。
【0046】
図3(a)は、モータ25の断面図の一例であって、
図2(a)のD-D線に沿う断面図に相当する。
図3(a)に示すように、モータ25は、固定軸30、電磁石31、永久磁石32、及び外筒33を備える。
【0047】
固定軸30は、回転軸Kに沿って延びており、前述の第2のブラケット12(
図2(a)参照)に固定される。電磁石31は、固定軸30の外周側面に固定されており、リード線35から供給される直流電流によって励磁する。また、外筒33は、ベアリング等の軸受け26、27を介して固定軸30に取り付けられており、回転軸Kを中心にして回転可能である。一例として、外筒33は、金属製の円筒であり、第1の管21の円筒状の内周面21a(
図2(b)参照)に装着される。なお、外筒33の外周面と第1の管21の内周面21aの形状は、第1の管21に外筒33を収容できれば円筒に限定されない。
【0048】
また、外筒33は、金属用の接着剤で内周面21aに固定されてもよいし、ネジ等によって機械的に内周面21aに固定されてもよい。その外筒33の内面には、電磁石31から間隔をおいて永久磁石32が固定される。
【0049】
これによれば、リード線35に直流電流を供給することで、電磁石31と永久磁石32との間に作用する磁力によって外筒33が回転する。なお、固定軸30と外筒33との間に減速ギア(不図示)を接続することにより、外筒33の回転数を減速しつつ、外筒33のトルクを強めてもよい。
【0050】
この例のようにモータ25が直流モータの場合は、モータ25への供給電力は、無人搬送車に設けられた不図示の二次電池から供給される。また、モータ25の回転は、無人搬送車に設けられた不図示のコントローラにより制御される。なお、直流モータに代えて交流モータをモータ25として用いてもよい。
【0051】
図3(b)は、
図3(a)のE方向から見たモータ25の正面図の一例である。
図3(b)に示すように、外筒33は正面視で円形である。
【0052】
図4は、第2のローラ3の断面図の一例であって、
図1(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0053】
第2のローラ3は、第1のローラ2と同様に、第1の管21、第2の管22、及び接続部材23を備える。第1の管21の端部にはベアリング等の軸受け41が収容される。その軸受け41には、先端が第4のブラケット14に固定された軸部材41aが装着される。同様に、第2の管22の端部にはベアリング等の軸受け42が収容される。その軸受け42には、先端が第3のブラケット13に固定された軸部材42aが装着される。そして、各管21、22は、第1のローラ2と同様に接続部材23によって相互に接続される。これにより、第2のローラ3は、回転軸Kを中心にして回転可能となる。
【0054】
図5(a)は、ベルト4の上面図の一例である。
図5(a)に示すように、ベルト4の裏面4bには、ベルト送り方向Xに沿って延びる桟部4aが設けられる。桟部4aは、接続部材23のガイド溝23a(
図2(a)~(c)参照)に嵌る突形状を有し、接着剤等によって裏面4bに接着される。これに代えて桟部4aをベルト4と一体成型してもよい。なお、ガイド溝23aに桟部4aに嵌るのであれば、ガイド溝23aの表面を金属や樹脂等の部材で被覆してもよい。
【0055】
図5(b)は、
図5(a)のF-F線に沿う断面図の一例である。
図5(b)に示すように、ベルト4は、ベルト送り方向Xに沿って走行する。このとき、上記のように桟部4aがガイド溝23aに嵌ることで、ベルト4が蛇行するのを防止することができる。
【0056】
図6は、
図1(a)のC-C線に沿ったベルトコンベア1の一部断面側面図の一例である。
図6では、図が煩雑になるのを防ぐために、フリーローラ6については断面ではなく側面を示している。
図6に示すように、前述の複数のフリーローラ6の各々は、二枚一組の支持板18によって回転可能な状態で支持される。更に、複数の支持板18の各々は、連結部材37を介して各フレーム8、7に固定される。
【0057】
フリーローラ6の材料としては、例えばプラスチック又はアルミニウムがある。フリーローラ6はベルト4をその裏面から支持するように機能するが、フリーローラに代えて以下のような支持部材を用いてもよい。
【0058】
図7は、支持部材38を用いたときのベルトコンベア1の側面図の一例である。
図7に示すように、支持部材38は、第2のフレーム8に固定されており、ベルト4をその裏面4bの下方側から支持する。また、支持部材38は、送り方向Xに沿って走行するベルト4の裏面4bに擦接する擦接面38aを備える。
【0059】
このように支持部材38を設けることで、ベルトコンベア1の高さ寸法Hを小さく維持しながら、可撓性材料からなるベルト4がワークWの自重によって撓むのを防止でき、ワークWを安定して搬送することが可能となる。しかも、フリーローラ6が不要となるため、フリーローラ6のコストだけベルトコンベア1の低廉化を実現できる。
【0060】
以上説明した本実施形態によれば、
図2(a)~(c)に示したように、第1の管21と第2の管22とを接続部材23で接続し、その接続部材23にガイド溝23aを形成する。そのため、各管21、22として外径D1、D2が小さく厚さT1、T2が薄い管を使用しても各ローラ2、3の強度が接続部材23で補強される。その結果、各管21、22にガイド溝23aを形成する場合と比較して各ローラ2、3の強度が高まるため、これらのローラ2、3の強度を維持しながらベルトコンベア1の高さ寸法Hを小さくすることができる。
【0061】
また、ベルト4の弛みを防止するために、以下のような変形例に係る構成を採用してもよい。
【0062】
図8(a)は、変形例に係るベルトコンベア1の側面図の一例であって、
図1(a)のZ方向から見た側面図に相当する。また、
図8(b)は、
図8(a)の方向Gから見たときのベルトコンベア1の一部断面正面図の一例を示す図である。
【0063】
この変形例では、各ローラ2、3の軸方向と同じ方向に延びた軸棒52を設け、その軸棒52の両端を各フレーム7、8に固定する。第2のフレーム8に軸棒52を固定する方法は特に限定されず、
図8(a)のようにストッパ51で第2のフレーム8に軸棒52を固定し得る。第1のフレーム7についても同様である。また、軸棒52は、第1のローラ2と第2のローラ3の間に設けられる。
【0064】
軸棒52は、例えば鉄やステンレス等の金属製の丸棒である。そして、軸棒52の外周面に補助ローラ53を装着する。なお、
図8(b)においては、図が煩雑になるのを防ぐために、ベルト4と補助ローラ53についてはそれらの断面を示し、これ以外の要素については正面図を示している。補助ローラ53は、軸棒52の直径と同程度の内径を有する円筒であって、軸棒52を中心にして回転可能である。補助ローラ53の材料としては、例えばアルミニウム等の金属や樹脂等がある。
【0065】
この例では一つの軸棒52に補助ローラ53が複数装着される。なお、一つの軸棒52に補助ローラ53を一つのみ装着してもよい。また、この例では
図8(a)のように軸棒52の本数を2本としたが、軸棒52を3本以上設けてもよいし、軸棒52を1本のみ設けてもよい。
【0066】
また、ベルト4は、上部走行部4xと下部走行部4yとを備える。上部走行部4xは、ワークWを搭載したベルト4がベルト送り方向Xに沿って走行する部分である。一方、下部走行部4yは、上部走行部4xと相対するベルト4の部分であって、ベルト送り方向Xとは逆方向の方向Yに沿ってベルト4が走行する部分である。
【0067】
補助ローラ53は、下部走行部4yにおけるベルト4の表面4cに当接し、上部走行部4xと下部走行部4yとの間隔Dを狭める方向に下部走行部4yを押圧する。これにより、ベルト4の張力が増大するためベルト4の弛みを防止できる。その結果、例えばベルト4が弛んで床面に接し、ベルト4が汚染されたりベルトが摩耗したりするのを防止できる。
【0068】
以上、本発明に係るベルトコンベアの実施形態について説明したが、これらは本発明の一例に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、以上の各実施形態やその変形例を組み合わせた形態や、さらに様々な変形例が含まれる。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態では第1のローラ2を駆動ローラ、第2のローラ3を従動ローラとしたが、第1のローラ2と第2のローラ3の両方を駆動ローラとしてもよい。また、第1のローラ2と第2のローラ3の両方を従動ローラとしてもよい。この場合、ベルト4を手で移動させることで各ローラ2、3を回してもよいし、各ローラ2、3の外に設けた駆動機構(例えばチェーンとモータを用いた駆動機構)で各ローラ2、3を回してもよい。
【0070】
更に、第1のローラ2と第2のローラ3のいずれか一方を一本の筒で構成し、その筒にガイド溝23aを形成してもよい。
【0071】
また、第1のローラ2と第2のローラ3のいずれかと同じ構造を有するローラを設けることで、3個以上のローラでベルト4を搬送するようにしてもよい。
【0072】
本発明に係るベルトコンベアは、無人搬送車に限らず、ベルトコンベアが必要とされる様々な設備、装置、機器に使用できることは言うまでもない。また、第1のローラ及び第2のローラは、ベルトコンベア用の部品として提供できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0073】
1…ベルトコンベア、2…第1のローラ、3…第2のローラ、4…ベルト、4a…桟部、4b…裏面、4c…表面、4x…上部走行部、4y…下部走行部、6…フリーローラ、7…第1のフレーム、8…第2のフレーム、11~14…第1~第4のブラケット、18…支持板、19、26、27、41、42…軸受け、19a、41a、42a…軸部材、21…第1の管、21a…内周面、21b…第3の外周面、21c…端部、22…第2の管、23…接続部材、23a…ガイド溝、23b…第1の外周面、23c…第2の外周面、23d…段差、23f…第1の接続部、23g…第2の接続部、25…モータ、30…固定軸、31…電磁石、32…永久磁石、33…外筒、35…リード線、37…連結部材、38…支持部材、38a…擦接面、51…ストッパ、52…軸棒、53…補助ローラ。