(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031731
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240229BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240229BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240229BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182081
(22)【出願日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106071
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519094204
【氏名又は名称】オール イン オン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALL IN ON Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】1719, 625, Teheran-ro, Gangnam-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】クワク,ジョン ボク
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC442
4C083AD572
4C083CC01
4C083CC02
4C083DD45
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】皮膚弾力改善などの効果を増大させた金花葵(トロロアオイ)抽出物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、二酸化炭素を含む超臨界流体を通じて超臨界抽出して得られた金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことで皮膚弾力改善の効果、シワ改善効果などを有するようにした金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を超臨界抽出して得た、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことを特徴とする、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物。
【請求項2】
前記金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)は、花部分を超臨界抽出することを特徴とする、請求項1に記載の金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む 化粧料組成物。
【請求項3】
前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、40~120℃の温度、90~650気圧の圧力で二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出して得られたことを特徴とする、請求項1に記載の金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物。
【請求項4】
金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を粉砕して準備する粉砕段階(S10)と、
前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出して抽出物を得る超臨界抽出段階(S20)とを含むことを特徴とする、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成の製造方法。
【請求項5】
前記超臨界抽出段階(S20)では、粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を40~120℃の温度、90~650気圧の圧力で二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出することを特徴とする、請求項4に記載の金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関し、さらに詳細には、金花葵(トロロアオイ;Hibiscus manihot L.)抽出物を含むことで、皮膚弾力の改善効果、シワ改善効果などを有するようにした金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、外部環境に直接露出する身体部位であって、我々の体の重要な器官を保護する保護膜の役割をするだけでなく、水分の蒸発を調節して外部感染から体を保護する役割をする。しかし、たとえ外部からのウイルス浸透を防ぐ皮膚であるとはいえ、過度な紫外線、微細塵埃及び汚染された環境などの外部から受けるストレスは、皮膚への刺激を誘発し、結局、皮膚の老化につながる。
【0003】
コラーゲンは、動物の体内に最も多く含まれている繊維状タンパク質であり、皮膚の真皮層と結合組織の主成分であり、また、骨を構成しているタンパク質のうちの90%はコラーゲンである。一般的に、医療用や化粧品用として用いられるコラーゲンは、動物の骨と皮膚から抽出したものであり、分子量約10万ほどの、ポリペプチド鎖が3本寄り集まった螺旋構造からなる高分子タンパク質である。
【0004】
コラーゲンの分子量は、約130,000程度であり、哺乳動物の組織(皮膚、結合組織、そして骨と歯の有機物質の主な構成要素)の1/3を構成しているポリペプチド(Polypeptide)である。骨のミネラル部(mineral part)をリン酸(phosphoric acid)でもって溶解させて製造する。組織からの分離は、有機溶媒による抽出、及び酸アルカリ処理の後、トリプシンヒアルロニダーゼを作用させて不溶性物質であるコラーゲンとして得る。構成アミノ酸は、プロリンオキシプロリン(ヒドロキシプロリン)グリシングルタミン酸などであり、その中でも他のタンパク質に存在しないオキシプロリンの含有量が高いことが特徴である。
【0005】
現在流通されているコラーゲンのほとんどが、牛から原料を選択して製造された動物性コラーゲンであり、口蹄疫及び狂牛病などの不安を抱いている。これによって、コラーゲンの主成分であるヒドロキシプロリン(Hydroxy proline)、ヒドロキシリシン(Hydroxy lysine)などが含まれている植物性タンパク質(以下、植物性コラーゲンと称する)を開発することで、不安を抱きながら使用していた牛からの原料を選択して製造された動物性コラーゲンにおける脆弱性を補完する必要性が台頭している。
【0006】
一方、活性酸素種は、生物体が呼吸を通じてエネルギーを作り出す際、酸素分子が電子殻における電子配列の特殊性のために、生成される反応性の高い酸素ラジカルである。このように生成された活性酸素種は、フリーラジカル(free radical)の一種で、この活性酸素種は、反応性が非常に高く、細胞の主な構成物質である脂質、タンパク質及びDNAを破壊して組織に酸化的損傷を招き、慢性的な酸化的損傷は、細胞の機能低下だけでなく、老化や癌といった各種の慢性疾患を誘発する原因となる。
【0007】
このような活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)は、過酸化アニオン、過酸化水素(hydrogen peroxide、H2O2)、ヒドロキシルラジカル(hydroxyl radical、OH)があり、これらは細胞内ミトコンドリアやミクロソームといった顆粒やサイトゾルで主に生成される。
【0008】
活性酸素種は、定常のエネルギー代謝の過程で生成されるのは勿論のことであるが、その他の様々な機構によっても絶えず生成されるのであり、同時に、各種の酵素及び非酵素的坑酸化物質によって除去され、正常生体ではこれらの生成と消去がバランスをなしている。生体に存在する酵素的抗酸化剤としては、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase(SOD))、カタラーゼ(catalase)などがあり、非酵素的抗酸化剤には、ビタミンC、トコフェロール、還元型グルタチオン(glutathione)、セレニウム、尿酸などが知られている。このような人体の抗酸化剤の活動は、活性酸素種による細胞の脂質、タンパク質及び核酸の損傷を防御する。
【0009】
また、適正量の活性酸素種は、細胞内の信号伝達物質として作用することでミトコンドリア内の電子伝達系及び白血球細胞の活性化などの細胞機能を維持するのに重要な役割を担うのであるが、過剰に生成された活性酸素種は、生体内の酸化防止バンランスを崩すことで酸化的ストレスを引き起こす。
【0010】
上記酸化的ストレスは、細胞にストレスを与える要因であり、体内の様々な物質と反応して細胞を攻撃し、細胞と組織に非可逆的な損傷を誘導したり、突然変異、細胞毒性及び発癌などを招きながら脳疾患、心臓疾患、動脈硬化、糖尿病、肺線維症、癌、関節炎及び認知症などの様々な疾患と老化の重要な病因として知られている。
【0011】
一方、紫外線は、波長によって、紫外線C(UVC、200ないし280nm)、紫外線B(UVB、280ないし320nm)、紫外線A(UVA、320ないし400nm)に分けられるのであり、紫外線Cは、波長が短く、大部分が地球のオゾン層に吸収されて地表面に到達しないのであって、主として、皮膚には紫外線Bと紫外線Aが直接に影響を及ぼす。
【0012】
紫外線B(ultraviolet B、UVB放射線(radiation)、波長:280-320nm)は、皮膚癌(skin cancer)、免疫システム抑制及び光老化(photo-aging)などの皮膚に対する有害作用を引き起こす主な環境要因の一つである。このような紫外線Bによって発生した活性酸素種(reactive oxygen species、ROS)は、脂質(lipids)、タンパク質(proteins)及びDNAといった細胞成分に、酸化性損傷(oxidative damage)を引き起こし、結果的に皮膚老化を促進させ、多様な皮膚病変を誘発する。
【0013】
一方、微細塵埃は、亜硫酸ガス、窒素酸化物、重金属、オゾン及び一酸化炭素などの有害物質を含む大気汚染物質として、自動車及び工場などで発生し、大気中に長期間漂う物質を意味する。前記微細塵埃は、粒径10μm以下の場合、PM10と表記し、微細塵埃の粒径が2.5μm以下の場合は、PM2.5と表記し、超微細塵埃、または極微細塵埃という。
【0014】
このような微細塵埃は、鼻、口だけでなく、皮膚を通じても体内に侵入する。人体の皮膚は、大きくは表皮層及び真皮層から構成され、前記表皮層は、レンガを細かく積み重ねたようにして防御膜(皮膚障壁)を形成し、塵埃などの体内への浸透を防ぐ。しかし、重金属及び環境ホルモンなどを含有した微細塵埃は、このような皮膚障壁を破壊して体内に浸透しうる。
【0015】
このような有毒性化学物質を含有した微細塵埃は、皮膚と接触して細胞変形を引き起こす。これによって皮膚障壁に亀裂が発生し、前記微細塵埃に含まれた各種発ガン物質及び環境ホルモンなどが人体へと容易に浸透しうる。人体の毛穴の大きさは、微細塵埃の大きさ(0.01mm前後)の2~5倍の大きさを有するため、毛穴を容易に通過しうる。
【0016】
したがって、微細塵埃は、各種皮膚疾患の主な原因として作用する。重金属の鉛、カドミウムなど並びに各種化学物質を内包する超微細塵埃の危険性は、皮膚の代謝経路を弱化させ、皮脂に対する調節の機能を下げて、乾燥症と掻痒症、皮膚のトラブルを誘発し、微細塵埃に内包された重金属と環境ホルモンなどの有害物質が、細胞の炎症性サイトカイン分泌を促進し、白血球数を増加させて、アトピー性皮膚炎としてのアレルギー反応を引き起こしうる。
【0017】
このような外部環境の脅威から皮膚を保護するため、天然植物を利用する事例が増加している。これと関連した技術として、韓国公開特許公報第10-2022-0068779号(2022.05.26.公告)には、「金花葵の発酵抽出物の製造方法及び皮膚保湿及び弾力増進用化粧料組成物」が掲示されたことがある。これは、金花葵の粉末を製造する1段階;前記金花葵粉末及び水を含む溶液を製造する2段階;前記溶液に菌株培養液を接種して菌株培養溶液を製造する3段階;前記菌株培養溶液を発酵させて発酵液を製造する4段階;前記発酵液を熟成させる5段階;5段階を遂行した発酵液に熱処理する6段階;6段階を遂行した発酵液を遠心分離させた後、上清液を得る7段階;及び、前記上清液を攪拌及びろ過したろ過物に、添加剤を投入して発酵抽出物を製造する8段階;を含む金花葵の発酵抽出物の製造方法に関する。
【0018】
しかし、上記従来の金花葵の発酵抽出物は、金花葵(「ゴールドハイビスカス」)の活性物質の作用を極大化させることができないという問題点があり、「ゴールドハイビスカス」内の有効活性物質を極大化することができる抽出方法と、これを通じて製造された「ゴールドハイビスカス」抽出物がますます必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2022-0068779号(2022.05.26.公告)、「金花葵の発酵抽出物の製造方法及び皮膚保湿及び弾力増進用の化粧料組成物」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことで、皮膚弾力の改善効果、シワの改善効果などを有するようにした、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記のような目的を達成するために、本発明は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を超臨界抽出して得た金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことを特徴とする金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物を提供する。
【0022】
また、前記金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)は、花部分を超臨界抽出することを特徴とする。
【0023】
また、前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を40~120℃の温度、90~650気圧の圧力にて二酸化炭素を含む超臨界流体を通じて超臨界抽出して得られたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を粉砕して準備する粉砕段階(S10)と、前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素を含む超臨界流体を通じて超臨界抽出して抽出物を得る超臨界抽出段階(S20)を含むことを特徴とする金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成の製造方法を提供する。
【0025】
また、前記超臨界抽出段階(S20)では、粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を40~120℃の温度、90~650気圧の圧力にて二酸化炭素を含む超臨界流体を通じて超臨界抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の製造方法による金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物は、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことで皮膚弾力改善効果、シワ改善効果などを有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法に利用される金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の写真。
【
図2】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の皮膚シワ改善効果の確認実験に関するグラフ。
【
図3】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の皮膚弾力改善効果の確認実験に関するグラフ。
【
図4】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の坑酸化効果の確認実験に関するグラフ。
【
図5】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の抗炎効果の確認実験に関するグラフ。
【
図6】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の毛包虫死滅効果の確認実験に関するグラフ。
【
図7】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4の角栓改善効果の確認実験に関するグラフ。
【
図8】本発明に係る実施例1ないし4及び比較例1ないし4のアンチポリューション効果確認実験に関するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の本発明に関する詳細な説明は、本発明が実施され得る実施例であり、当該実施例の例示として図示された添付の図面を参照する。これら実施例は、当業者が本発明を実施するに足りるよう詳細に説明される。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが、相互排他的である必要はないことを理解されたい。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造及び特性は、一実施例に関連して本発明の思想及び範囲を逸脱せずに、他の実施例で具現され得る。また、それぞれの記載された実施例内の個別の構成要素の位置、または配置は、本発明の思想及び範囲を逸脱せずに変更され得ることを理解されたい。
【0029】
したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味をもって採用しようとするものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるなら、その請求項が主張することと均等なすべての範囲と、併せて添付された請求項によってのみ限定される。図面で類似する参照符号は、いくつかの側面において同一か類似する機能を指称する。
【0030】
本発明で使用される用語は、本発明での機能を考慮しながらできるだけ現在広く使用される一般的な用語を選択したが、これは当分野に従事する技術者の意図、または判例、新たな技術の出現などによって変わる場合がある。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合は該当する発明の説明の部分において詳細にその意味を記載する。したがって、本発明で使用される用語は単なる用語の名称ではなく、その用語が持つ意味と本発明の全般にわたる内容を基に定義されなければならない。
【0031】
本発明で、ある部分がある構成要素を含むとする場合、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0032】
以下、本発明に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物について詳細に説明する。
【0033】
本発明に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を超臨界抽出して得た金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明において、前記金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)は、花の部位を超臨界抽出することが最も好ましい。
【0035】
また、前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を40~120℃の温度、90~650気圧の圧力にて、二酸化炭素を含む超臨界流体を通じて超臨界抽出することで得られた、金花葵(トロロアオイ)の超臨界抽出物である。
【0036】
一方、前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を超臨界抽出して得るにあたり、連続バッチ式の超臨界抽出法を通じて得られてもよい。
【0037】
よって、前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に対して、30~150分間には二酸化炭素のみを流し、30~150分間には二酸化炭素と補助溶媒とを混合した混合流体を流し、残りの30~150分間には二酸化炭素のみを流す、連続バッチ(sequencing batch; 逐次バッチ)式の超臨界抽出法を通じて得られてもよい。
【0038】
前記超臨界流体は、二酸化炭素を含むことが好ましく、二酸化炭素に、比較的少量(例えば、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下または10重量%以下で、5重量%以上または8重量%以上)の、精製水、エタノール、メタノール、エチルアセテート、ヘキサン、またはジエチルエーテルのいずれか1つ以上の補助溶媒を混合した混合流体でもよい。ここで、使用可能な補助溶媒としては、好ましくは、エタノール、または精製水にエタノールを希釈したものであってもよい。
【0039】
ここで、本発明に係る混合流体は、二酸化炭素を90体積%と、エタノール、メタノール、水、エチルアセテート、ヘキサン及びジエチルエーテルのいずれか1つ以上の補助溶媒を10体積%とを混合したものであってもよい。
【0040】
一方、前記金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を超臨界抽出して得て、これをナノリポソームに取り込んでもよい。
【0041】
前記ナノリポソームの捕集には、金花葵(トロロアオイ)の超臨界抽出物、ポリオール、界面活性剤、リン脂質、脂肪酸及び水を含む混合物を用いて製造されてもよい。
【0042】
前記金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物は、ナノリポソームの総重量に対して0.1~30.0重量%含まれることが好ましい。
【0043】
前記ポリオールは、特に制限されず、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、メチルプロパンジオール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、エリトリトール、キシリトール及びソルビトールなどからなる群から選択された1つ以上を用いてもよく、好ましくは、プロピレングリコールを用いてもよい。前記ポリオールは、ナノリポソームの総重量に対して0.1~70重量%であることが好ましい。
【0044】
前記界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を用いてもよく、好ましくは、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が用いられる。アニオン性界面活性剤の具体的な例としては、アルキルアシルグルタメート、アルキルホスフェート、アルキルラクチレート、ジアルキルホスフェート及びトリアルキルホスフェートなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤の具体的な例としては、アルコキシル化アルキルエーテル、アルコキシル化アルキルエステル、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリルエステル及びシュガーエステルなどが挙げられる。最も好ましくは、非イオン性界面活性剤に属するポリソルベート類が利用される。前記界面活性剤の使用量は、ナノリポソームの総重量に対して0.1~5.0重量%であることが好ましい。
【0045】
前記リン脂質は、天然リン脂質、または合成リン脂質であるものを用いてもよい。好ましくは、天然リン脂質であるレシチンを用いてもよい。より好ましくは、前記レシチンは、大豆または卵黄から抽出した、天然由来の不飽和レシチン、または飽和レシチンが好ましい。前記レシチンは、ナノリポソームの総重量に対して0.1ないし8.0重量%が好ましい。
【0046】
前記脂肪酸は、C12-22アルキル鎖の飽和または不飽和の脂肪酸であって、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸 、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸のいずれか1つ以上を使用することが好ましい。前記脂肪酸は、ナノリポソームの総重量に対して0.1~3.0重量%で含まれることが好ましい。
【0047】
前記水は、精製水を使用することが好ましく、ナノリポソームを構成することにおいて残量含まれることが好ましい。
【0048】
前記ナノリポソームの製造は、多様な方法を通じてなされてもよく、最も好ましくは、前記成分を含む混合物と金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物とを高圧ホモジナイザーに適用して製造する。この際、好ましくは、800~1000barの圧力下で2~4回、高圧ホモジナイザーを通過するようにしてナノリポソームを製造することが好ましい。
【0049】
上記ナノリポソームの製造方法は、公知のナノリポソームの製造方法の一例を説明したものに過ぎず、ナノリポソームが上記製造方法でのみ行われるものではない。
【0050】
すなわち、本発明に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物は、金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物でもよく、または金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物をナノリポソームに取り込んでもよい。
【0051】
上記のように製造された金花葵(トロロアオイ)抽出物は、化粧品の剤型に含まれる多様な成分を含み、例えば、安定化剤、可溶化剤、ビタミン、顔料、香料、またはキレート剤などを含み、多様な剤型で製造されて市販されうるであろう。
【0052】
以下、本発明に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成の製造方法について詳細に説明する。
【0053】
本発明に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成の製造方法は、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を粉砕して準備する粉砕段階(S10);前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出して抽出物を得る超臨界抽出段階(S20)を含む。
【0054】
先ず、粉砕段階(S10)を行う。
【0055】
前記粉砕段階(S10)では、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を粉砕して準備する過程を行う。
【0056】
前記粉砕段階(S10)では、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を粉砕することで、金花葵(トロロアオイ)から有効成分の溶出が容易になるようにすることが好ましい。
【0057】
前記粉砕段階(S10)で金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)は、花の部位を集めて粉砕することが好ましい。
【0058】
次に、超臨界抽出段階(S20)を行う。
【0059】
前記超臨界抽出段階(S20)では、前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出して抽出物を得る過程を行う。
【0060】
この際、前記超臨界抽出段階(S20)では、粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、40~120℃の温度、90~650気圧の圧力で二酸化炭素を含む超臨界流体でもって超臨界抽出することが好ましい。
【0061】
一方、前記超臨界抽出段階(S20)は、二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階(S21)、混合流体超臨界抽出段階(S22)、及び、二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23)を含んでもよい。すなわち、前記超臨界抽出段階(S20)は、連続バッチ式の超臨界抽出方式で行ってもよい。
【0062】
前記二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階(S21)では、粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に、二酸化炭素のみを流すことで超臨界抽出を行う。前記二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階(S21)は、30~150分間行ってもよい。
【0063】
前記混合流体超臨界抽出段階(S22)では、粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に、二酸化炭素と補助溶媒とを混合した混合流体を流すことで超臨界抽出を行う。前記混合流体超臨界抽出段階(S22)は、30~150分間行ってもよい。一方、前記混合流体は、二酸化炭素と、エタノール、メタノール、水、エチルアセテート、ヘキサン及びジエチルエーテルのいずれか1つ以上の補助溶媒とを混合したものであってもよい。
【0064】
前記二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23)では、再び二酸化炭素のみを流すことで超臨界抽出を行う。前記二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23)は、30~150分間行ってもよい。
【0065】
上記のような連続バッチ式超臨界抽出過程を経ることで、金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の皮膚弾力改善の効果、シワ改善の効果などが増進されるという効果を有する。
【0066】
一方、前記超臨界抽出段階(S20)を行った後、前記超臨界抽出段階(S20)で得られた金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を、ナノリポソームに取り込むナノリポソーム捕集段階(S30)をさらに含んでもよい。
【0067】
前記ナノリポソーム捕集段階(S30)では、金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物に、ポリオール、界面活性剤、リン脂質、脂肪酸及び水を混合し、高圧ホモジナイザーに適用して800~1000barの圧力下で、2~4回高圧ホモジナイザーを通過するようにして、ナノリポソームを製造することが好ましい。ポリオール、界面活性剤、リン脂質、脂肪酸の種類は、前の段落で前述した目録から、適切に選択して適用してもよい。
【0068】
以下、下記の実施例、比較例及び実験例を通じて、本発明の製造方法による金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物が有する効果について詳細に説明する。
【0069】
<実施例1.金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、実施例1に係る試験用組成物を製造した。
【0070】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0071】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって80℃の温度、350気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0072】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0073】
<比較例1.金花葵(トロロアオイ)熱水抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例1に係る試験用組成物を製造した。
【0074】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花部分を集めて粉砕して準備した。
【0075】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、精製水を用いて100℃の温度で270分間、熱水抽出して抽出物を得た。
【0076】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0077】
<比較例2.金花葵(トロロアオイ)溶媒抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例2に係る試験用組成物を製造した。
【0078】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0079】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、エタノールを用いて100℃の温度で270分間、溶媒抽出して抽出物を得た。
【0080】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0081】
<比較例3.抽出条件を変えた金花葵(トロロアオイ)熱水抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例3に係る試験用組成物を製造した。
【0082】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0083】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって30℃の温度、350気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0084】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0085】
<比較例4.抽出条件を変えた金花葵(トロロアオイ)熱水抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例4に係る試験用組成物を製造した。
【0086】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0087】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって150℃の温度、350気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0088】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0089】
<比較例5.抽出条件を変えた金花葵(トロロアオイ)熱水抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例5に係る試験用組成物を製造した。
【0090】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0091】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって80℃の温度、80気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0092】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0093】
<比較例6.抽出条件を変えた金花葵(トロロアオイ)熱水抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例6に係る試験用組成物を製造した。
【0094】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0095】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって80℃の温度、700気圧の圧力で270分間超臨界抽出して抽出物を得た。
【0096】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0097】
<比較例7.異なる部位の金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例7に係る試験用組成物を製造した。
【0098】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の幹の部位を集めて粉砕して準備した。
【0099】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素を通じて80℃の温度、350気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0100】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0101】
<比較例8.異なる部位の金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、比較例8に係る試験用組成物を製造した。
【0102】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の根の部位を集めて粉砕して準備した。
【0103】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって80℃の温度、350気圧の圧力で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0104】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水が1:10の重量比になるように混合した。
【0105】
<実施例2.連続バッチ式超臨界抽出を適用した金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を含む組成物の製造>
下記製造工程により、実施例4に係る試験用組成物を製造した。
【0106】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0107】
二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階(S21):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に二酸化炭素のみを流すことで90分間超臨界抽出を行った。
【0108】
混合流体超臨界抽出段階(S22):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に、二酸化炭素とエタノールとを90:10の体積比で混合した混合流体を流すようにして90分間、超臨界抽出を行った。
【0109】
二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に再び二酸化炭素のみを流すようにして90分間、超臨界抽出を行って、金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を得た。
【0110】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水が1:10の重量比になるように混合した。
【0111】
<実施例3.金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物をナノリポソームに取り込んだ組成物の製造>
下記製造工程により、実施例4に係る試験用組成物を製造した。
【0112】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0113】
超臨界抽出段階(S20):前記粉砕段階(S10)で粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)を、二酸化炭素でもって80℃の温度、350気圧の気圧で270分間、超臨界抽出して抽出物を得た。
【0114】
ナノリポソーム捕集段階(S30):前記二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23)を経て得られた金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物20重量%と、ポリオールとしてプロピレングリコール30重量%、界面活性剤としてポリソルベート2.0重量%、リン脂質としてレシチン2.0重量%、脂肪酸としてラウリン酸2.0重量%、残量としての精製水を混合した後、高圧ホモジナイザーに適用してナノリポソームを製造した。
【0115】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0116】
<実施例4.連続バッチ式超臨界抽出を適用した金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物をナノリポソームに取り込んだ組成物の製造>
下記製造工程により、実施例4に係る試験用組成物を製造した。
【0117】
粉砕段階(S10):金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)の花の部位を集めて粉砕して準備した。
【0118】
二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階(S21):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に二酸化炭素のみを流すようにして90分間、超臨界抽出を行った。
【0119】
混合流体超臨界抽出段階(S22):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に二酸化炭素とエタノールとを90:10の体積比で混合した混合流体を流すことで90分間、超臨界抽出を行った。
【0120】
二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23):粉砕された金花葵(トロロアオイ)(Hibiscus manihot L.)に再び二酸化炭素のみを流すようにして90分間、超臨界抽出を行って金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物を得た。
【0121】
ナノリポソーム捕集段階(S30):前記二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階(S23)を経て得られた金花葵(トロロアオイ)超臨界抽出物20重量%と、ポリオールとしてプロピレングリコール30重量%、界面活性剤としてポリソルベート2.0重量%、リン脂質としてレシチン2.0重量%、脂肪酸としてラウリン酸2.0重量%、残量としての精製水を混合した後、高圧ホモジナイザーに適用してナノリポソームを製造した。
【0122】
得られた試料は、実験を行うために、試料と精製水とが1:10の重量比になるように混合した。
【0123】
<実験例1.皮膚シワ改善効果の確認>
実施例1ないし4及び比較例1ないし8についてシワ改善効果を確認した。
【0124】
皮膚線維芽細胞(HDFn)を48ウェルプレートに5×104cells/well(ウェル当たりの細胞数)の濃度で、培養培地0.3mLで接種して37℃、5%CO2で培養した。24時間経過後、実施例1ないし4及び比較例1ないし8の抽出物を含む新たな培地でもって24時間培養した。24時間の培養後、培養液を集めてenzymes-linked immunoassay kit(Takara社)を用いてコラーゲン前駆体のC-末端の量を測定した。また、コラーゲン溶液640ng/mLを用いて、コラーゲン濃度0ng~640ngの間の標準曲線(standard curve)を得て、培地にあるコラーゲンの量を計算した。
【0125】
【0126】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1に比べて多少高い効果を示した。これを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0127】
<実験例2.皮膚弾力改善効果の確認>
前記実施例1ないし4及び比較例1ないし8で製造した試料について、ヒトを対象に皮膚弾力改善効果実験を行って皮膚弾力改善効果を評価した。
【0128】
実験に用いられた化粧料は、実施例1ないし4及び比較例1ないし8で製造した試料である。実験者(20才~35才の女性)20人を対象に、顔のそれぞれの部位ごとに、実施例1ないし4及び比較例1ないし8で製造した試料を、各々、1日2回ずつ連続2ヶ月間にわたって塗布した。
【0129】
実験の完了後、皮膚弾力改善の効果は、製品使用前と、2ヶ月間の使用後とで、皮膚弾力測定機(cutometer SEM 575、C+K Electronic Co.,Germany)を用いて測定することで確かめた。
【0130】
実験結果は、下記表2にCutometer SEM 575の△R7の値で記載したが、R7値は、皮膚の粘弾性(viscoelasticity)を示す。表2のように実施例1ないし4のものを塗布した場合に、皮膚弾力改善の効果が優れていることが分かる。
【0131】
【0132】
その結果、実施例1の組成物が、比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1に比べて多少高い効果を示した。これを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0133】
<実験例3.坑酸化効果の確認>
坑酸化効果実験は、公知の方法により、DPPH法を利用したフリーラジカル消去の効果を通じて、実施例1ないし4及び比較例1ないし8についての坑酸化効果を確認した。
【0134】
実施例1ないし4及び比較例1ないし8を96ウェルマイクロプレート(microplate)の各ウェルに100μlずつ分注した後、エタノールを用いて1mMになるように溶解した2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH))溶液を10μl添加した。常温で30分反応後、517nmで吸光度を測定してフリーラジカル消去活性(free radical scavenging activity)を測定した。0.1%濃度のビタミンCを対照群とし、この対照群と、実施例1ないし4及び比較例1ないし8の組成物とについて、共に実験を行った。結果は、ビタミンC(対照群)のフリーラジカル消去効果を100%の基準として、表3に示した。
【0135】
【0136】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1に比べて多少高い効果を示した。このことを通じて、本発明の製造方法により予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0137】
<実験例4.抗炎効果の確認>
前記実施例1ないし4及び比較例1ないし8について、抗炎効果を確認した。
【0138】
実施例1ないし4及び比較例1ないし8の抗炎症効果及び皮膚トラブル緩和効果を確認するために、RAW264.7細胞株(ATCC number:CRL-2278)を利用したGRIESS法で一酸化窒素(Nitric oxide(NO))形成抑制力実験を実施した。
【0139】
具体的に、マウスのマクロファージであるRAW264.7細胞を数回にわたって継代培養し、ウェル一つに3×105個ずつ入るように24-ウェルプレートに入れた後、24時間培養させた。次に、10ppmの濃度に、実施例1ないし4及び比較例1ないし8の組成物を希釈した細胞培地に交替した。この際、NO-生成抑制物質であるL-NMMA(L-NG-Monomethylarginine)を陽性対照群として、共に処理して、30分間培養し、刺激原としてLPS(Lipopolysaccharide)を1μgずつ添加する処理を行って24時間培養した。上層液を100μlずつ採取して96-ウェルプレートに移し、GRIESS溶液を100μlずつ加えて常温で10分間反応させ、540nmにおける吸光度を測定することで、各実施例及び各比較例の組成物によるNO抑制の効果を判断し、その結果を下記表4に示した。
【0140】
【0141】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1の組成物に比べて多少高い効果を示した。これを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0142】
<実験例5.毛包虫死滅効果の確認>
実施例1ないし4及び比較例1ないし8について、毛包虫生存抑制の効果を次のような方法で確認した。
【0143】
まず、電子顕微鏡をCCDカメラに取付けた後、コンピュータに連結した。ブレードを用いて毛包から毛包虫を収集し、スライドガラス上に載せた後、実施例1ないし4及び比較例1ないし8の組成物を滴下した後、毛包虫の体と脚の動きを観察した。この際、電子顕微鏡は低倍率を用いて毛包虫の外形を観察した後、徐々に高配率で細部的な姿を観察しながら、時間を確認して生存時間を測定した。実験での生存時間は、試料を滴下した時間から毛包虫の体が縮んで動きが止まって死亡を確認した時間までを意味する。毛包虫に、生理食塩水を滴下した実験群を、対照群として使用した。
【0144】
【0145】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1の組成物に比べて多少高い効果を示した。これを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0146】
<実験例6.角栓除去効果確認>
実施例1ないし4及び比較例1ないし8を用いて、角栓の除去効果を試験した。
【0147】
角栓のスポット分析は、これを数値化するFacial stage DM3(Moritex、Japan)を用いて測定した。60人の試験者らを5つのグループに分けた後、実施例1ないし2及び比較例1ないし3の組成物を、4週間にわたって鼻に塗布するようにした。製品の使用前と使用後の測定部位である鼻の部位(width180、height100pixel)の領域で、FL撮影写真における赤色スポットの個数を比較し、その結果を下記表6に示した。
【0148】
【0149】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1の組成物に比べて多少高い効果を示した。これを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0150】
<実験例7.アンチポリューション効果確認>
実施例1ないし4及び比較例1ないし8について、アンチポリューション効果を確認した。
【0151】
アンチポリューション効果確認は、一般的に公害物質に直接触れる、皮膚角質細胞を用いて、公知の方法によって行われた。大気中の主な汚染物質であるベンゾピレン、硝酸アンモニウム、及びホルムアルデヒドを用いて、このような汚染物質と、実施例1ないし4及び比較例1ないし8の組成物とを、混ぜ合わせた際、皮膚角質細胞が生存する程度を測定することで、汚染物質による皮膚細胞損傷抑制効果を確認した。
【0152】
ヒト角質細胞HaCaTを5×103cells/ml濃度で96-well plateに分注し、24時間培養させた後、ベンゾピレン(10μM)、硝酸アンモニウム(500μg/ml)、及びホルムアルデヒド(1.5μg/ml)の各々と実施例1ないし4及び比較例1ないし8を処理し、48時間追加で培養した。その後、5mg/ml濃度のMTT溶液(MTT solution)を入れて3時間培養した後、培地を除去してジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)を150μlずつ各ウェル(well)に入れ、10分間の振盪(shaking)を行ってから、570nmでの吸光度を測定した。
【0153】
【0154】
その結果、実施例1の組成物が比較例1ないし8に比べて優れた効果を有することを確認することができた。一方、追加の手順を行った実施例2ないし4の組成物は、実施例1に比べて多少高い効果を示した。このことを通じて、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が発生したことを確認することができた。
【0155】
<結論>
上記実施例1ないし4及び比較例1ないし8を通じて、また、実験例1ないし7を通じて、本発明の製造方法に係る金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物が有する効果を確認した。
【0156】
実験例1を通じて皮膚シワ改善の効果を確認し、実験例2を通じて皮膚弾力改善の効果を確認し、実験例3を通じて坑酸化効果を確認し、実験例4を通じて抗炎効果を確認し、実験例5を通じて毛包虫死滅の効果を確認し、実験例6を通じて角栓除去の効果を確認し、実験例7を通じてアンチポリューション効果を有することを確認した。
【0157】
また、抽出方式を変えたり、抽出の温度または圧力条件を変えた場合、そして、抽出部位を変えた場合である比較例1ないし8の場合、実施例1に比べて顕著に低い効果が表れることを確認することができ、本発明の製造方法により、予期せぬ効果が表れることを確認することができた。
【0158】
一方、超臨界抽出の方式を具体的に限定したか、超臨界抽出物をナノリポソームとした場合である実施例2ないし4の場合、実施例1より多少高い効果が表れることを確認することができた。したがって、本発明に記述された製造方法は、金花葵(トロロアオイ)抽出物が、皮膚シワ改善の効果と皮膚弾力改善の効果は勿論のこと、坑酸化効果、抗炎効果、毛包虫死滅の効果、角栓除去の効果及びアンチポリューション効果などにおいて、予期せぬ効果をもたらすことを表わす。
【0159】
よって、本発明は、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含むことで皮膚弾力改善の効果、シワ改善の効果などを有するようにした、金花葵(トロロアオイ)抽出物を含む化粧料組成物及びその製造方法を開発したことを明示する。
【0160】
本発明を添付の図面と共に説明したが、これは本発明の要旨を含む多様な実施形態のうち一つの実施例に過ぎず、当業界で通常の知識を有する者が容易に実施することができるようにすることにその目的があり、本発明は、上記で説明された実施例のみに局限されるものではないことは明確である。したがって、本発明の保護範囲は、下記の請求の範囲によって解釈されなければならず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、変更、置換、代替などによってそれと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利に含まれる。また、図面の一部の構成は、構成をより明確に説明するためのもので、実際より誇張あるいは縮小されて提供されることは明確である。
【符号の説明】
【0161】
(S10):粉砕段階
(S20):超臨界抽出段階
(S21):二酸化炭素単独超臨界抽出第1段階
(S22):混合流体超臨界抽出段階
(S23):二酸化炭素単独超臨界抽出第2段階
(S30):ナノリポソーム捕集段階